日本テレビ『スッキリ』アイヌ民族差別発言に関する意見
2021年7月21日 放送局:日本テレビ
日本テレビは3月12日に放送した情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した際、出演したタレントが「この作品とかけまして、動物を見つけた時ととく。その心は、あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、日本テレビには視聴者から不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で「放送内容においてアイヌの方たちを傷つける不適切な表現がありました。深くお詫び申し上げるとともに今後、再発防止に努めてまいります」と謝罪し、日本テレビのウェブサイト及び番組ウェブサイトにお詫びを掲載した。翌週月曜日15日には、『スッキリ』の番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と同録DVDを求め協議した結果、差別的な表現であり放送倫理違反の疑いがあるとして、4月の委員会で審議入りを決め、議論を重ねてきた。審議の結果、本件放送はアイヌ民族に対する明らかな差別表現を含んだもので、オンエアに至った背景には、収録動画の最終チェック体制が極めて甘く、アイヌ民族やその差別問題に関する基本的知識がスタッフ間で決定的に不足していた点があったことを指摘し、日本民間放送連盟の「放送基準」の「(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「(10)人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」などに反しているとして、放送倫理違反があったと判断した。
2021年7月21日 第41号委員会決定
目 次
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- 1 『スッキリ』と「Huluッス」の制作体制
- 2 「アイヌ差別」を知らぬまま台本完成
- 3 収録現場で提案された問題発言
- 4 最終チェック――“無言・無反応は了承”
- 5 問題発覚後の対応
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- 1 隙だらけのチェック体制
- 2 自らの制作番組に対する“こだわりの薄さ”
- 3 差別に関する知識の乏しさと放送人としての感度
- 4 差別の意図はなかったという底流
2021年7月21日 決定の通知と公表
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、通知は7月21日午後5時40分からオンライン会議システムで行われた。また公表の記者会見は午後6時15分から同じくオンライン会議システムを使用して行われ、委員長および担当委員が委員会決定の説明と質疑応答を行った。会見には132アカウントの参加があった。
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2021年11月12日【委員会決定に対する日本テレビの対応と取り組み】
委員会決定 第41号に対して、日本テレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年10月20日付で提出され、委員会はこれを了承した。
日本テレビの対応
目 次
- 1、委員会決定についての放送
- 2、検証番組の放送について
- 3、番組審議会への報告
- 4、BPO委員を招き研修会を実施
- 5、再発防止に向けた取り組み
- 6、おわりに