視聴者からのご意見

2021年8月に視聴者から寄せられた意見

2021年8月に視聴者から寄せられた意見

東京オリンピックに関連し、ボクシング女子選手を揶揄したような出演者のコメント、テレビ局のスタッフが打ち上げの宴会を開いてけが人を出したことなどへの意見が多かった。

2021年8月にBPOに寄せられた意見は1,930件で、先月と比較して511件増加した。
8月は東京都が緊急事態宣言下にあり、電話による意見の受け付けを中止した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性44%、女性18%で、世代別では40歳代31%、30歳代24%、50歳代19%、20歳代14%、60歳代9%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送事業者を特定したものは、当該事業者のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。8月の通知数は869件【56事業者】であった。
このほか、放送事業者を特定しない放送全般への意見の中から24件を抜粋し、全会員事業者に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

五輪に関する意見が引き続き多く寄せられた。なかでも、ボクシング女子の選手の金メダルについて出演者が「女性でも殴り合い、好きな人がいるんだね」などとコメントした番組や、五輪番組スタッフが打ち上げで未明までカラオケ店で飲酒して転落し救急搬送されたことについては多くの批判が寄せられた。ドッキリで驚かせ、催眠術で忘れさせる、これを同じ人に8回繰り返した「実験」企画には、倫理、健康両面から疑問の声が多かった。タレントが無人島を探査、木になっていたレモンをかじるなどした企画に、島の地権者の1人が「承諾した覚えがない」とツイートし、これが短時間に拡散。この地権者は翌朝「言葉足らずだった」と発信内容を事実上撤回したが、撤回の方はほとんど拡散せず、BPOにはこの番組を批判する意見が相次いだ。
また、BPO青少年委員会が「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」を審議対象としたことに対しても多くの意見が寄せられた。
ラジオに関する意見は47件、CMについては14件あった。

青少年に関する意見

8月中に青少年委員会に寄せられた意見は123件で、前月から35件増加した。
今月は「いじめ・虐待」が27件、「低俗、モラルに反する」が18件、「表現・演出」が17件、「危険行為」が12件、「差別・偏見」が8件、と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 五輪閉会式に急に台風情報が割り込んで録画できなかったのは納得いかない。臨時の台風情報をサブチャンネルで流せばよかったのでは?録画トラブルが出ているのだから、十分気をつけてほしい。

  • 五輪閉会式を中継していたメインチャンネルを途中で台風情報に切り替えた。人命重視や防災の意識を持っている放送局だと思う。賛否両論あるだろうが是非続けて欲しいと思う。

  • ボクシング女子金メダルに「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って、こんな競技、好きな人いるんだ」。謝罪は女性出演者。かつて五輪組織委・森喜朗前会長の女性蔑視発言として番組で批判していた「わきまえる女性」を、自分達がそのまま再現するとは。発言よりも、その構造の方が恐ろしかった。

  • 「ボクシングをやる女性が増えてほしいということを本当は言いたかった。言葉が足りなかった」という説明は、放送と照らし合わせれば納得できるものではなかった。大御所だから、ご意見番だからという理由で、明らかな性差別を容認する時代は、もう終わりにすべきではないだろうか。

  • 東京五輪の番組制作担当スポーツ局女性社員の飲酒と2階からの転落事故について。当該カラオケ店はHPで緊急事態宣言中の営業は夜8時までと案内している。何故その店で朝4時まで酒が提供されていたのか。さらにHPでは、このテレビ局のニュース番組で「コロナ対策をきちんと行っている店として紹介された」と宣伝していた。こういった点について視聴者に何も説明がされていない。

  • 名古屋市長が金メダルをかんだニュース。謝った市長に対して「謝り方が悪い」、「反省していない」、「辞める気はないのか」。報道は自由とはいえ、一回の失敗であれだけたたきつぶすような報道はいかがなものか。やったことは確かに悪いが、名古屋市長の職、調子に乗って金メダルをかんだくらいで失う、軽い職か。マスコミのハラスメントではないか。

【番組全般・その他】

  • 民放はパラリンピックをなぜ放送しないのか。都合のいいときだけ障がい者を利用するのはひどすぎると思う。自国開催で障がいのことをより理解できる機会をマスコミが潰している。スポンサーなどの都合もあるかもしれないが、放送することで得られるものがたくさんあると思う。

  • 恒例の大型特番は障がい者を支援しているような内容なのに、いざパラリンピックが始まると中継がほとんどないのは矛盾していないだろうか。

  • 恒例の大型特番で「医療従事者に感謝とエールを」と女性グループがマスクもせず密集して歌っていた。医療従事者である私の家族は「だったら集まって歌うな。こういう自分勝手な連中のために頑張りたくない」と憤っていた。医療従事者を都合よく利用するのはやめてもらいたい。

  • ワイドショーでコロナの切迫した状況を伝え、出演者たちから「外出を自粛すべき」の声。その同じ番組の中で司会者たちがテーマパークに遊びに行って新アトラクションを紹介している状況は理解できない。

  • バラエティーのアウトドア企画。10人くらいのキャストが、ろくに距離も取らずマスクもせず騒ぎまくっている。視聴者は芸能人のマスクなしの顔を見たいのではなく、きちんと感染対策をした上での芸能を求めている。やるべきことをやって楽しませるのがプロ。国民への影響を考えて。

  • 何人ものタレントが一室に集まってトーク。この番組は、マスクも無しでいわゆる3密。もうやめてください。お願いだからマスクして。マスクしないなら、しゃべらないで…本当にお願い。コロナに対応している私たち看護師を殺す気ですか。本当にお願いします。

  • 巨大ソフトクリーム店を紹介する際「この番組を見て来た」という他県からの来店者のコメントが積極的に取り上げられていた。私はエッセンシャルワーカー。仕事で非常に神経をすり減らす中、このような感染拡大を助長するような場面を楽しげに取り扱われるのは、非常に不愉快であり不安。健康や生活をおびやかす番組が放送されることに強い怒りを感じる。

  • 「つり革につかまらず立っていられるか」という企画は極めて危険。大けがの恐れがあり私たち乗務員も責任を問われる。決して面白半分で扱う題材ではない。明日以降、乗客が面白がってまねをして重大事故につながらないか戦々恐々。強く抗議する。

  • 「目覚めたら無人島」企画。タレントに高さ30メートルの崖を命綱なしで登らせていた。ありえない。この番組はせめているので好きだがこれはやり過ぎ。引いた。

  • 男性出演者の服が溶けて全裸になるドッキリ。LGBTの権利尊重や男女共同参画が進む中、「(女性に対しては許されないが)男性に対するセクハラや性犯罪は笑いものにしてよい」という時代錯誤の認識のもとに行われている差別的行為で極めて不適切。

  • 激辛料理の飲食を競わせる番組について。いわゆる激辛料理は、食道、消化器系の粘膜を損傷する。この損傷は避けられないもので「辛さに強い、弱い」とは無関係。粘膜の損傷は長期的にがんの発生確率を増加させる場合もある。こんなリスクを出演者に負わせて競わせる番組内容には違和感を覚える。出演者の自主的判断もあるのだろうが「仕事」として無理をする方もいると思われる。体内を損傷するという面において、暴力との違いがあまり見いだせない。また、辛がる様子を見て笑っているような状況もよくないのではないか。

  • 落とし穴、落ち舞台演出について。立ち位置が合っていても、落ちる瞬間に手を伸ばしたり前のめりになったりするだけで骨折、死亡事故につながる。大事故になる前にすぐにやめていただきたい。

  • 母親がDVに遭い、面前DVがトラウマになっている娘に対して、占い師が「今この場でお父さんに電話して、全て許しなさい」と強く勧める。DVをした父親は暴力について「覚えてないよ、そんなん」の一点張り。「全部許せてすっきりした」というような美談になっていたが、福祉の観点から見て、これは大変まずい。DVは犯罪。まして、安全確保のために別居している親子に対して、電話での連絡を勧め、さらに「許せ」というなどというのは、テレビを見ている人たちに間違ったメッセージを伝えかねない。

  • 出演者にホールケーキを5等分させ、うまくできなかったら「非常識」とばかにし嘲笑していた。しかし、うまく切れない背景に発達障がいが隠れていることがある。これは決して常識・非常識の問題ではなく、ましてやばかにされ嘲笑されるべきものでもない。「ケーキの切れない非行少年たち」という本などで社会的な認知が進んだがまだ不十分。テレビという影響力の強いメディアで「ケーキを5等分できない=常識がなくばかにされるべきこと」と放送するのは、同じような問題を抱えて苦しんでいる人をますます苦しめ、追い詰めるようなもの。

  • 盗撮犯を検挙する場面で、被疑者を「害虫」、「虫」と呼び、「虫は駆除」などと表現したナレーションが繰り返されていた。犯罪者も人間である。人権意識を欠いている。

青少年に関する意見

【「いじめ・虐待」に関する意見】

  • ドッキリ企画で、芸人に催眠術をかけて記憶を消し、何度も同じドッキリを仕掛けて皆で大笑いしていた。人の記憶を操作するなど倫理的に許されない。子どもに悪影響を与える。いじめやパワハラは仕掛ける側が「いじめじゃないよ」と言い逃れすれば、一日中どころか一生ループが止まらない。

【「低俗、モラルに反する」】

  • “大浴場の風呂場から脱衣所に戻った際に、男湯と女湯が切り替わる瀬戸際でコインロッカーの鍵が開かなかったら”という企画をやっていた。ドッキリをかけられて裸のまま困って慌てた男性の様子をモニターで見て、皆で笑うという光景が、いじめではないかと感じた。また、そのピンチに女性2人組が浴場を生配信するという設定も公序良俗に反するのでは。肖像権侵害かつ盗撮だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • オリンピック報道のすべてを見ているわけではないが、映像や解説が余りにも日本中心であることに驚き、残念に思った。金銀銅の外国選手はそっちのけで、日本選手の表情、インタビューを放送し、誰が勝者なのかすぐには分からないような報道もあった。視聴する日本の子ども達に対し自国中心主義、過度のナショナリズムを植え付けてしまうのではないかと心配。東京大会の理念である多様性に反し、教育的効果を阻害し、ひいてはヘイトクライムの温床になるのではないかと懸念するのは杞憂だろうか。

【「危険行為」に関する意見】

  • バスの中で吊り革に捕まったり手すりに接触したらポイントが減点という企画は、頭はヘルメットをつけてはいるが、ぶつかったり転倒したり見ていて痛々しい場面ばかりだった。息子も見ていて「俺できるかな」と言うので「危ないからダメだよ」と諭した。健全な番組ではない。

【「差別・偏見」に関する意見】

  • ダイエット&整形番組で、ブスとか怪物とか人の容姿をばかにする事を肯定するような当番組のあり方に異を唱えたい。イジメに繋がるといった想像力は無いのか。あのように容姿を化け物などと揶揄するのは「女性は容姿のみ」とする女性差別どころか、彼女達に似た人物が同じ酷い言葉に晒され、心を傷つけられ、最悪は自殺も考えられる。心が未熟な若い世代には影響が大きい。