2021年4月26日

2021年 4月26日

緊急事態宣言に伴うBPO視聴者電話応対業務の休止について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言が、事務局がある東京都に出されたことを受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを徹底し、視聴者からの電話応対を休止します。
  • 郵便物とメール、ファクスは受け付けます。

第291回放送と人権等権利に関する委員会

第291回 – 2021年4月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表報告…など

議事の詳細

日時
2021年4月20日(火)午後4時~5時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
曽我部委員長、鈴木委員長代行、國森委員、斉藤委員、丹羽委員、野村委員、廣田委員、水野委員

1. 委員長選出

2021年度最初の今月の委員会は、3月末で退任した奥武則委員長、市川正司委員長代行、紙谷雅子委員、城戸真亜子委員、松田美佐委員に替わり、新任の、斉藤とも子委員、鈴木秀美委員、丹羽美之委員、野村裕委員の挨拶があった後、曽我部真裕委員長代行が委員の互選により第9代委員長に選出された。曽我部委員長は鈴木委員と二関辰郎委員を委員長代行に指名した。

2.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表報告

3月30日に通知・公表が行われた「委員会決定第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て」について、当該局フジテレビの当日のニュース番組を視聴し、新聞各紙を事務局が説明して意見交換を行った。

以上

第159回 放送倫理検証委員会

第159回–2021年4月

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

第159回放送倫理検証委員会は4月9日に開催された。
委員会の冒頭、3月に退任した神田安積前委員長、中野剛委員に替わり新たに就任した小町谷育子委員、井桁大介委員が挨拶を行ったあと、委員の互選により小町谷育子委員が委員長に選出された。また、小町谷委員長は岸本葉子委員長代行及び升味佐江子委員長代行を引き続き委員長代行に指名した。
アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』について同局から提出された報告書と番組DVDを踏まえて協議した結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。

議事の詳細

日時
2021年4月9日金午後5時00分~午後7時00分
場所
千代田放送会館会議室
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、井桁委員、大石委員、高田委員、長嶋委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した。その結果、差別的な表現は放送倫理違反の疑いがあり、適切な編集が行われずに放送された経緯等について詳しく検証する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

以上

2020年3月30日

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」通知・公表の概要

[通知]
2021年3月30日(火)午後1時から千代田放送会館2階ホールにおいて、奥武則委員長と事案を担当した曽我部真裕委員長代行、廣田智子委員、補足意見を書いた水野剛也委員、少数意見を書いた國森康弘委員、二関辰郎委員の6人が出席して、委員会決定を通知した。申立人本人と代理人弁護士、被申立人のフジテレビからは編成制作局コンテンツ事業センター局長補佐ら3人が出席した。
はじめに奥委員長が、放送人権委員会の判断の対象はあくまで「放送」であり、Netflixでの先行配信などは関連して取り上げることになると説明した上で、委員会の決定を伝えた。「人権侵害については3点の判断を行った」として、「①本件放送自体による、視聴者の行為を介した人権侵害」については、人権侵害があったとまでは断定できないと述べた。「②自己決定権及び人格権の侵害」については、自由な意思決定の余地が事実上奪われているような場合には当たらず、自己決定権等の侵害は認められないとした。また、申立人が主張する「③プライバシー侵害」も、木村氏は撮影されることを認識し認容していたことなどから、違法なプライバシー侵害であるとは言えないと説明した。一方、放送倫理上の問題については、「Netflixでの配信を契機に木村氏に対する誹謗中傷が起こり、自傷行為に至るという深刻な事態が生じていたところ、本件放送を行うとする決定過程で、出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で、本件放送には放送倫理上の問題があった」とした。これに関連してドラマなどのフィクションとは違い、視聴者の共感や反発が生身の出演者自身に向かうことになるというリアリティ番組の特殊性についても言及した。決定文の最後に「放送界全体が本件及び本決定から教訓を汲み取り、木村花氏に起こったような悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する」と記したことは、放送人権委員会としては異例のことであり、ぜひその真意をくみ取ってほしいと締めくくった。
続いて、曽我部委員長代行が補足説明し、「人権侵害と放送倫理上の問題では、判断の基準が違う。番組そのものに違法性がない場合、人権侵害を認めるのはハードルが高い」と発言した。
続いて、水野委員が補足意見の意図について述べ、少数意見を書いた國森委員、二関委員が自身の意見の要点を説明した。
決定を受け、申立人は「娘本人がこの場に不在のため、事実を証明することが難しく悲しい」と発言。フジテレビは「今回の委員会決定を真摯に受け止め、今後の放送と番組作りに生かしていきたい」と述べた。

[公表]
午後3時から紀尾井カンファレンス・メインルームで記者会見を行い、委員会決定を公表した。29社50人が取材した。テレビカメラの取材は、在京局を代表して当該局のフジテレビ、そのほかTOKYO MXが行った。出席委員は奥武則委員長と事案を担当した曽我部真裕委員長代行、廣田智子委員、補足意見を書いた水野剛也委員、少数意見を書いた國森康弘委員、二関辰郎委員の6人。
まず、奥委員長が判断部分を中心に、決定を説明した。続いて、曽我部委員長代行が、「決定文の最後に、放送界全体へのメッセージを織り込んだ。通常は対象となった放送局に向けて要望を述べるのだが、この案件は放送界全体で考えてもらいたいという気持ちが込められている。また、木村氏の自傷行為後のケアについて、フジテレビの責任ある役職者と現場の間で情報共有や協議がなされていなかったという問題はあるが、制作スタッフは現場としてできることを懸命にやっていたと思う。さらに判断の内容の補足となるが、いずれも花さんへのケアの問題に焦点を当てながら、人権侵害と放送倫理上の問題で異なる見解を出した理由は、判断の基準が違うということ。番組そのものに違法性がない場合、人権侵害を認めるのはハードルが高い」と説明した。廣田委員は本事案の審理の難しさについて「委員会で議論を重ね、悩んで、考えて、今回の結論に至った」と述べた。
続いて、水野委員が補足意見を書いた意図について話し、さらに、少数意見を書いた國森委員、二関委員が、委員会決定との差異を中心に自身の意見の要点を説明した。
その後行われた質疑応答の主な内容は以下のとおり。

(質問)
番組と木村花氏の死の因果関係をどう考えているのか。また、木村氏のケアに関連してコロナ禍について触れているが、コロナだったら自傷行為をした後、放っておいてよいというのか。また、この案件について放送倫理検証委員会と合同で議論する余地はなかったのか?
(奥委員長)
番組と木村花氏の自死との因果関係はわからない。テレビ局も自死を予見することはできなかったと思う。番組スタッフも木村氏を放っておいてよいとは思っていなかったはずだ。決定文ではコロナ禍との関連について、緊急事態宣言が発出されていたため木村氏のケアに物理的な制約があったことを指摘している。
BPOの3委員会はそれぞれ独立して活動しており、委員会に付与されている役割も違う。放送倫理検証委員会は、申立て制を取っている放送人権委員会とはまったく違う角度から放送番組を検証する役割だと理解している。簡単に合同委員会を開いて、ということにはならない。
(曽我部委員長代行)
番組と木村花氏の自死との因果関係については、委員会は判断していない。ただ、ケアをする責任はあるということで、それが十分だったかどうかに焦点を当てて議論した。コロナに関しては二つ影響があったと考える。一つはケアに関し制約があったということ。精神科医の受診ができなかったことや、テラスハウスに同居していれば日常的なサポートができたはずがコロナの関係で収録が中断しており出演者は自宅へ帰っていた。もう一つ、本業であるプロレスの興行ができなかったことが木村氏に与えた影響は無視できないと思う。

(質問)
今回はNetflixでの先行配信がきっかけで木村氏への誹謗中傷が起こったわけだが、番組以外の理由で木村氏への誹謗中傷が起きていた場合も、フジテレビは放送倫理上の問題を問われるのか?
(曽我部委員長代行)
今回については、先行配信があって自傷行為があり、そのケアの問題に焦点を当てたのだから、先行配信が無ければ責任は生じないというのが基本だと考える。前提として、BPOは、適法な内容の番組放送に関する第三者の誹謗中傷への責任をテレビ局が負うことについて否定的な立場を取っている。ただ、特殊な事情があれば、またその時に判断することになると思う。

(質問)
現在BPOは、放送されていない番組は扱わないという規則で運営されているが、最近は、スピンオフ作品を配信のみで流すという形が浸透している。放送局の自主自律を守っていく上で、今後、“放送はされていないが局が制作したコンテンツ”にどう対応していくか、見解をうかがいたい。
(奥委員長)
委員会は、現行の運営規則に則って審理しているが、BPOという組織そのものが新しい状況にどう対応するかという課題はあると思う。
(曽我部委員長代行)
運営規則にある委員会のミッションは、われわれ委員が決めているわけではない。BPO全体、ひいてはNHKと民放連で考えていくべき問題だと思う。

(質問)
木村氏の自死について、フジテレビから親子関係が要因の一つであったような発言があったとのことだが、具体的に教えてもらいたい。
(廣田委員)
ヒアリングではなく委員会への提出書類の中で、いろいろな背景事情の一つとして親子関係が挙げられていただけで、フジテレビが親子関係を自死の原因として主張しているわけではない。

(質問)
今回の審理を振り返って、難しさを感じた点があればうかがいたい。また、ヒアリングの規模感や難航した点があれば教えてほしい。
(奥委員長)
本来の当事者とも言うべき木村花氏が亡くなっていることに一番の難しさを感じた。
当委員会は、基本的に書面を提出してもらい、それに基づいて当事者にヒアリングするというやり方を採っている。調査対象を広げて大勢に話を聞くという仕組みにはなっていない。しかし今回は、フジテレビの社員だけでなく制作会社のスタッフにもヒアリングし、申立人側では木村氏のケアに当たったプロレス仲間の方二人にも協力していただき話を聞いた。
(曽我部委員長代行)
放送人権委員会は、普段は名誉毀損やプライバシー侵害を審理していて、申立人と放送局側の当事者の意見を聞くという意図で手続き等が定められている。そこが放送倫理検証委員会と違う点で、放送局のさまざまな立場の方に多数ヒアリングすることは想定していない。

(質問)
決定は、放送局の対応について、例えば放送を見送ることや内容を差し替えるなどの編成上の問題には踏み込んでいないが、そのような視点での議論はされなかったのか。
(奥委員長)
放送することを前提に、こうすべきだったと指摘しているわけではない。自傷行為以降、地上波放送にいたるまでの間に、ケアが十分であればもっと違う対応もあったのではないかということだ。放送するか否かは放送局が決めることであって、われわれ委員会は「放送を中止すべきだった」「内容を差し替えるべきだった」というようなことを言う立場にはない。

(質問)
制作の現場と制作責任者との間の意思疎通のあり方に問題があったと指摘しているが、制作会社とフジテレビの間で意識の違いはあったと思うか。また、放送決定にいたる過程で、現場と責任者の間に温度差があったのか知りたい。
(奥委員長)
意思疎通のあり方の問題点とは、自傷行為があった時点で、フジテレビ本体に情報を伝えて、どう対応するかを議論・検討すべきだったのではないかということを指している。また、放送決定に至る過程でどのような議論がされたか不明だ。ヒアリングで、放送するか否かの判断について温度差があったか等については浮かび上がってこなかった。

以上

2021年4月9日

アイヌ民族に対する差別的表現を放送した日本テレビの情報番組『スッキリ』が審議入り

日本テレビは3月12日、情報番組『スッキリ』のコーナー『週末オススメHuluッス』で、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介した後、コーナーに出演したタレントが「この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は。あ、犬」という謎かけのコメントをした。放送後、視聴者からアイヌ民族を犬とかけるのは不適切だという批判が相次ぎ、日本テレビは、同日夕方のニュース番組『news every.』で謝罪するとともに局および番組ホームページにお詫びを掲載した。また、翌週月曜日15日には、番組冒頭で「制作に関わった者に、この表現が差別に当たるという認識が不足していて、番組として放送に際しての確認が不十分でした」と説明し、全面的に謝罪した。
委員会は、当該放送局に報告書と番組DVDを求め、それらを踏まえて協議した結果、放送に至る経緯等を解明する必要があるとして審議入りを決めた。今後は当該放送局の関係者からヒアリングを行うなどして審議を進める。

2021年3月に視聴者から寄せられた意見

2021年3月に視聴者から寄せられた意見

東日本大震災から10年、各局で放送された特別番組への意見が多く寄せられた。

2021年3月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,408件で、先月と比較して81件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール90%、電話8%、郵便1%、FAX1%(※電話は1日から21日まで休止)。
男女別は男性48%、女性23%で、世代別では30歳代25%、40歳代23%、50歳代20%、20歳代15%、60歳以上14%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。3月の通知数は延べ804件【57局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般への意見の中から抜粋し、26件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

東日本大震災から10年がたった。各局で放送された特別番組への意見が多く寄せられた。ラジオに関する意見は57件、CMについては21件あった。

青少年に関する意見

3月中に青少年委員会に寄せられた意見は79件で、前月から9件減少した。
今月は「表現・演出」が16件、「いじめ・虐待」が11件、「動物」が10件、「低俗、モラル」が7件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 岡山駅のホームで取材を受けた。いきなりマイクとカメラを向けられ、「地元の放送局です」と告げられた後、質問責めだった。仕事で仕方なく外に出ているのに、外出していることが悪いような質問のされ方だった。カメラやマイクを向ける前に、テレビ局名や放送番組名など事前に説明を受け、承諾した後に取材を受けるものだとの認識していたが、この時は非常に気分が悪かった。

  • 政府に対する意見について、国民に寄り添いたいという各局の気持ちは分かるとしても、後出しジャンケンばかりで、見ていて、聞いていて、各局の立場が全く分からない。局の立場としての考えをしっかり表明してほしい。今の政権が全て正しいと思わないが、ああ言ったらこう言う、こう言ったらああ言うでは、マスコミも何を言っているのか?見るのも馬鹿馬鹿しくなってしまう。

【番組全般・その他】

  • 感染対策について。感染防止そのものと、視聴者へのお手本との両方の意味で、出演者もマスクをする場面を増やした方がいい。最近、局によっては、アナウンサーがマスク着用で司会をしていて、とても良いことだと思った。金曜夜のドラマでは、現在の私たちと同じく、出演者がマスクをして歩いている場面があった。とても自然で違和感がなかった。コロナ禍なのだから、そんなドラマも良いと思う。

  • 注目度の高い映像なのだろうが、注射針を刺している映像を繰り返し映す必要はないと思う。私は注射が苦手で、刺しているところを見るだけでも寒気がするほど嫌だ。一日に繰り返し何度も見せられて気分が悪くなる。せめて、ぼかした映像を作るなどの配慮をしてもらいたい。

  • 木曜夜の番組を見た。台本通りの演出なのかもしれないが、一人の芸人に対して、司会者と出演者全員で、無視、発言の阻止や全否定、暴言を浴びせるなどしていてとても不快な気分になった。お笑い芸人だからといって何でもしていいということはない。度が過ぎたものは全く笑えない。イジリを越えてもはや集団いじめにしか映らなかった。

  • 日曜昼の番組は、以前は楽しかったが、先週から司会者と出演者が人の悪口ばかり言っている。視聴者に喧嘩を売っているようにも見える。視聴者相手にストレスを発散して楽しんでいるのだろうか。情報番組なら人の悪口ではなく、楽しめるような内容にしてほしい。

  • 朝の番組で差別表現が、人を笑わせる目的でシャレとして行われた。このことを問題視しないのであれば、それはいままで歴史的に行われてきたのと同じ、差別拡散、扇動行為であり、それがテレビという媒体を通じて行われたことは非常に大きな暴力的な意味をもつ。当該の番組及びテレビ局は形だけの謝罪で終わらせるのではなく、なぜそのようなことが起きたのかを明らかにし、いかに再発防止を行うかについて真摯に考え、実行するべきである。

  • 東日本大震災から10年となり、各局で特別番組が組まれ、同じ内容を放送していた。私は福島出身、東京育ちで、震災当時住んでいた東京で激しい揺れに見舞われ、家具や備品が落ちて割れるなどの経験をしたが、机の下にすぐ隠れたため、なんとか命を守ることはできた。しかし、津波の映像が衝撃的で、長時間に渡って「震災、津波」と言われて辛く、特番のテレビを消してしまった。アナウンサーが「今から津波の映像が流れます」と注意を呼び掛けているが、映像がトラウマなことに変わりはない。震災関連の特番は、各局一斉にやる必要があるのだろうか。来年はもうやってほしくない。

  • 11日昼の特番で津波の映像が流れたが、その恐ろしさを学べて良かった。津波に巻き込まれた人が撮った映像が特に印象的で、最初は低く来て一気に大きな津波が来る、前からも後ろからも横からも来て囲まれるとは知らず驚いた。今まで実際の津波の映像を見るのが怖くて見るのを控えていたが、10年経ち、学ぶべき事だと改めて気づかされた。これを機に防災グッズを購入した。この時期に限らず、定期的に大地震が起こる前にどうすべきか、津波の恐ろしさを学ぶ番組をやってほしい。

  • 11日の夜の特番を見た。日本は、地震に限らず各種災害のリスクが大きく、防災の知識や考えをアップデートした方が良い。また、年を追うごとに東日本大震災をはじめとした災害の教訓や悲しみが薄れていく中、この番組は「どうしたら命を守れるのか」という防災思考や意識を改めて高めてくれる良い番組だった。

  • ニュースとワイドショーの境界線を明確にし、番組表に区分を表記してほしい。ニュースは情報の精度。ワイドショーはあくまでバラエティー番組。最近はワイドショーで新型コロナ、災害情報を伝えている。専門家ではない芸人などがいかにも正しいかのようにコメントしているが、災害時に混乱をいたり被害を受けたりする危険性があると思う。テレビは視聴者に不安を与えるのではなく、冷静な判断ができるよう整然とした情報を伝えてほしい。ワイドショーで時事ネタを扱うべきではないと思う。曖昧な情報が溢れている。

  • 一人暮らしの年寄りはテレビしか楽しみがない。しかし最近はどの局も同じような内容のワイドショーや通販番組ばかりで見ていると憂鬱になってしまう。年金暮らしの年寄りは通販番組を見ても買い物ができるわけでもないし、ワイドショーはコロナ関連の気分が暗くなるような話題ばかりで辛い気持ちが募ってしまう。テレビを見ているのは一人暮らしの年寄りも多いはず。もっと気分が明るくなるような楽しい番組を放送してほしい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 1000円ガチャ検証という企画は、子どもを含め、ギャンブル依存症になる可能性が非常に高いにもかかわらず、3000円ガチャという更にギャンブル性が高い企画を放送している。子どもにも人気の芸人やアイドルを起用して射幸心を煽る放送内容はやりすぎだ。

【「いじめ、虐待」に関する意見】

  • アニメ内で、男の子が女の子の髪留めをいきなり遠くに投げてそれを取り合う競争をやっていた。二人は仲良しの設定で、女の子も仕方なく受け入れている設定だったが、いじめにも繋がりかねない行為であり、教育番組で流すのはどうかと思う。

【「動物」に関する意見】

  • バラエティー番組で、風呂上がりの濡れた犬が水気を払うため体をブルブルするのを我慢させるという企画があった。犬にとっては体温維持のための本能的な生理現象であるのに、これを強いるのは人間のエゴであり、飼い主の児童にやらせることは動物愛護の精神に反する。

【「低俗、モラル」に反するとの意見】

  • 帰宅後テレビをつけたら、口にするのも憚れるタイトルのドラマを放送していた。内容はセックスレスに悩む夫婦の物語らしいが、露骨すぎないか?深夜とは言え、万が一子どもが見てしまったらどうするのか?せめてタイトルだけでも自粛すべきだ。

第232回 放送と青少年に関する委員会

第232回-2021年3月

視聴者からの意見について…など

2021年3月23日、第232回青少年委員会を千代田放送会館会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
バラエティー番組で出演者のグラビアアイドルがSNSで人気があると紹介した際、グラビアアイドルが胸の谷間を強調したり、セクシーな話をしたことに対して「深夜番組のような内容。子どもと見るには少し度が過ぎている」などの意見が、また男女のトイレ事情をクイズにしたことに対して「出演者、視聴者へのセクハラだ。子どもに見せられない」などの意見が寄せられました。委員会ではこれらの視聴者意見について議論しました。
3月の中高生モニターのリポートのテーマは「1年間で最も印象に残った番組について」でした。25人から報告がありました。
モニターからは、明智光秀の生涯を描いた連続ドラマについて、「光秀や信長の『平らかな世を作りたい』という思いは周りの人に受け継がれて、江戸時代は光秀と信長の願った世になったのかなと思います。歴史ドラマを作るということは、事件や資料を基にわからない部分を想像し、違和感がないようにつなぎ合わせる必要があります。その中で視聴者が楽しめる創作した部分があるドラマがおもしろいと思います。このドラマは、どちらもいい感じで、最初から最後まで楽しく見ることができました」、去年7月の熊本豪雨関連のニュース番組について、「数か月たって録画していた各番組を見返してみて感じたのは、映像が伝えてくるものはとても凄まじいものだったということです。例えばネットのニュース記事や記録サイトに掲載されている文章の情報ではわかりづらくても、映像だと視覚ですぐ自分の頭に入るので、当時のことを思い出しやすくなりました。今後はその映像を使いながら、この災害を継続して伝えてほしいと思います」、人気ロックグループを率いる音楽家・常田大希さんに密着したドキュメンタリー番組について、「曲を作るところをここまで取材したのは初めて見たので、どんどん曲が作られていくのを見るのが面白く、作ってはやり直す、試行錯誤して突き詰める様子がよくわかりました。一人でずっと音楽に向き合って曲を作る姿はストイックそのもので、妥協せず理想を追い求める熱量が素晴らしいと思いました。作り手に熱量があるからファンも熱狂するのだと私は常々思います。(中略)この番組を見て、私も負けていられないと思いました。自分のできることを一生懸命やろうと思います」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は、4月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年3月23日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
千代田放送会館会議室
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、2月後半から3月前半に寄せられた視聴者意見について議論しました。
バラエティー番組で出演者のグラビアアイドルがSNSで人気があると紹介した際、グラビアアイドルが胸の谷間を強調したり、セクシーなトークを繰り広げたことに対して、「子どもと見る時間帯の番組として相応しくない」「深夜番組のような内容。児童生徒と見るには少し度が過ぎている」といった意見が寄せられました。また同じ番組内で男女のトイレ事情をクイズにしたことに対して「出演者、視聴者へのセクハラだ。子どもに見せられない」「下品な内容を扱うならば、小中学生に人気のアイドルを出演させないでほしい」といった意見も寄せられました。
グラビアアイドルに関する視聴者意見について委員からは、「グラビアアイドルをきれいと思うか、いやらしいと思うかは人次第で、人によっては反感をもってしまうのは仕方ないだろう。しかし放送を取り止めさせるようなものではない」「子どもに見せたくない場合は見せない、という対応を取る範囲のものかと思う」「胸の谷間に物を挟んだり下ネタに近いところもあって、それが不快で子どもに見せたくないという親の気持ちは理解できる」との意見が出されました。
またトイレ事情のクイズについて委員からは、「単なるクイズという感じがした。青少年が視聴したからといって、特に何か問題があるとは感じない」「他人のトイレ事情など知りたくないと思う人はいるだろうが、それで放送を止めさせるような子どもへの悪影響があるとは思えない」「子どもに見せたくないものは見せなければいいという親としては当然のことがなかなかできていない日本の状況がある。自分でそれができていないので、そういう番組を作るなというような方向に行っているのではないか」といった意見が出されました。
この件に関しては、これ以上話し合う必要はないとなりました。

最後に、今年度の青少年委員会での論議を振り返って、榊原委員長から次のような意見が出されました。「子どもにふさわしくないとか、教育上よくない、子どもには見せたくないというのは、どこがダメなのか。青少年委員会としては、それがどういう意味で良くないのか、ということになる。過度の刺激はよくないと思うが、人間というのはいろいろな経験をする。その中で子どもにとって“教育上良くない”と言われるものが、本当に良くないかどうかを見極めるのが私たちの仕事であると思う。
また年次報告会でも言ったが、芸能人同士で演技ではない本当に痛いことをさせて、それを笑っているというのを子どもたちが見ることによって、人が本当に痛みを感じているときに笑うというのが普通になっていってしまう可能性はあると思う。お笑い芸人は子どもたちに人気があるので、悪い意味のロールモデルになってしまわないか。その辺を見ていく必要があると感じている」

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした3月のテーマは、「1年間で最も印象に残った番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で25人から報告がありました。
「1年間で最も印象に残った番組について」では、全部で22番組への報告が寄せられました。複数のモニターが取り上げたのは、『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で、3人でした。ラジオ番組を挙げたモニターは1人でした。また、特定の番組ではなく、印象に残ったニュース・報道について記述したモニターもいました。
「自由記述」では、東日本大震災に関連した番組を見て、自分の意見をまとめたモニターが多く、今後も震災の記憶を後世に伝える番組を望む声が届きました。また、新型コロナウイルス関連の報道のあり方について取り上げたモニターも少なくありませんでした。コロナと共にあったこの1年を振り返って、「これからもさまざまな変化に伴って進化し続けるテレビであってほしい」という放送局への期待も寄せられています。
「青少年へのおすすめ番組」では、複数のモニターから感想が寄せられたのは2番組でした。『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)を6人が、『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)と『池上彰の災害サバイバル~地震・台風・水害に役立つ10カ条~』(テレビ東京)をそれぞれ2人が取り上げています。
なお、『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)については、「1年間で最も印象に残った番組について」と「青少年へのおすすめ番組」合わせて2人から感想が寄せられました。

◆委員の感想◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 東日本大震災関連の番組について報告したモニターが少なくなかった。震災のときに彼らは生まれていたが、ニュースをリアルタイムで見たわけではない。だからこそ、若い世代には、津波などの震災にまつわる生の映像を見てもらって、その恐ろしさを訴えるのが良いのだと、リポートを読んでいて感じた。リポートからは、当時の生の映像がいちばんの脅威であり、力を持ったということが伝わってきた。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)について書いたモニターの記述に、「紅白が放送できたことで、1年が何とか終わったと感じられた。安心感につながった」というものがあった。視聴者に安心感を与えるという、紅白の役割を再認識した。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)コロナ禍で制約がある中、制作されたが、それが逆に良かったというモニターがいた。出演者の長いトークや寸劇がなく、歌合戦に特化していて面白かったという。これからの制作に生かせるのではないか。

    • 『紅白歌合戦』の3人以外は、みんな挙げた番組がバラバラで、報道番組に関しては、ほとんどが東日本大震災関連のものを記述していた。ということは、今年度は、中高生に強く訴えかける、力を持った番組がなかったと言わざるを得ないと感じている。

  • 【自由記述について】

    • 今年は東日本大震災から10年で、かなりの数の関連番組があった。一区切りではあるが、「もう来年から放送はなくてもいいですよね」ということではなく、今後も放送を続けくれると願いたい。

    • 東日本大震災関連の番組は、8月に戦争の特集をするのと同様、やはり、繰り返し、忘れないように放送することが必要だ。長く続けるとマンネリ化のように思えるかもしれないが、視聴者の中には、毎回、若い世代や東日本大震災についての知識がない人たちがいる。視聴者は常に代替わりしている。番組を新鮮なまなざしで見ている人たちがいることを忘れないでほしい。

    • モニターの中には、この1年の放送局の努力を評価する人もいた。「昨年の今ごろは、新型コロナウイルスの影響で、予定通りにドラマの制作ができないなどのさまざまな試練があったが、試行錯誤しながら今までやってきた。1年たっても、コロナは依然として減らないが、放送局は可能な限り放送を続けている。人間はコロナと共存する適用力があり、番組からは順応力を感じている」という内容で、このような温かい目線で応援してくれているモニターがいることを放送局に伝えたい。

    • コロナ感染者数が、毎日、ニュース速報として、効果音とともにテロップで出るのが煩わしいという意見があった。モニターは毎日速報として流すと、オオカミ少年のように本当に重要な時に注意が散漫になってしまうことを危惧している。確かに、もう少し、制作者は配慮したほうが良いと思った。

    • どのニュース番組かは不明だが、コロナ変異種について、「死亡率が2倍」とフリップで紹介された後、キャスターが「死亡率が最高2倍」と説明した番組があったという。モニターは、「フリップでは“最高”が抜け落ちたのかな」と思ったそうだが、あまり良い気分ではなかったと書いていた。フリップが間違い、という訳ではないかもしれないが、言葉の使い方で、視聴者の不安をあおってしまう可能性があるということを制作者に伝えたい。

    • 「オタク」を自称するモニターが、「自分みたいなオタクは声優さんがテレビに出たらうれしいが、普通の人はどうなのだろうか」と記述していた。「ユーチューバーやインフルエンサーという肩書の人が出演しているときに、「この人、いったい誰?」というのと同じことが起こっているのではないかと彼女は気にしているという。これを読んで、時代が変化したのだと思った。以前は万人に知られる人やものが放送にのったが、今は最初は狭い範囲の人にしか受けないものが、やがて大きな波を作るという時代に変わった。「オタク的感性を持った若い世代の時代」になってきていると感じた。

    • 最近、ゴールデンタイムで衝撃映像といった番組が多すぎて、もう見飽きたというモニターがいた。「両親はいつも好んで見ているので、ターゲット層が自分たちより上の世代なのだろうか?」という疑問、「ゴールデンタイムは家族で見ている世帯が多いのだから家族みんなで楽しめる番組を編成してほしい」という要望を寄せている。中高生からの貴重な意見だと受け止めた。

    • あるモニターが、テレビ離れの要因の一つとして、「バラエティー番組などで見られる、他人を下げる、バカにする発言が挙げられると思う」と記述していた。このモニターは、人の容姿についてとやかく言ったり、傷つくような言葉を投げたりするのが不快で面白くないと感じ、このような番組を見なくなったという。個人差が大きいとは思うが、嫌悪感を持つ若者がいるということを制作者に伝えたい。

◆モニターからの報告◆

  • 【1年間で最も印象に残った番組について】

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)いつもの紅白歌合戦とは違う観客がいない状態での放送だったが、それぞれの曲の演出がすごかった。この番組は1年間ではやった曲が流れるので、その曲が流行したときの思い出がよみがえってきて、すごく懐かしい気持ちになった。去年1年間はたくさんのことが起こり過ぎたが、毎年行われているこの番組を見て、安心していつもと同じように年が締めくくれた。今年の紅白が行われるころには、コロナも収束していたらいいなと思う。(宮城・中学1年・女子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)コロナ禍で今まで通りの方法で実施はできなかったが、別々のスタジオで歌うようにしたことで、歌い終わったらすぐ次の歌、とテンポが速くなっていて、飽きさせないようにしていた。2020年を締めくくる番組にふさわしく、本当に印象に残るいい番組だった。(東京・高校1年・男子)

    • 『NHKスペシャル「津波避難 何が生死を分けたのか」』(NHK総合)番組では、津波の生の映像を見せており、視覚的に視聴者に訴えかけているため、より一層津波の脅威を感じさせることができていた。コロナウイルスのことでも同様だが、津波の脅威を知ってもらうには実際の被害映像を映すことが最も効果的だと感じた。(高知・高校3年・男子)

    • 『NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」』(NHK総合)改めて環境問題が本当に危機的状況にあることを痛感しました。2030年までにもう9年しかないということは、今すぐに行動を起こさなければならないということだと思いました。しかし、私の周りではそれほど危機感を持った人はいない気がします。そのことも大きな課題であると感じました。その原因の一つに、挙げられた諸問題には科学的要素が多く入っていて身近に感じづらいからだと思います。特に、マイクロプラスチックについては、プラスチックの便利さや衛生的なところばかりをみて、プラスチックが海を汚し、魚たちを汚し、私たちへ回ってくることは想像しがたいと思います。知らず知らずに自分にも影響が及んでいること(空気中のマイクロプラスチックを吸ってしまうことなど)を、この番組は教えてくれたと思います。NHKの特集は、タイムリーに私たち全員が知っておくべき内容を伝えてくれている気がします。視聴した私が周りに話していくことが大切だと思うので、実行していきたいと思います。(東京・高校2年・女子)

    • 『あさイチ』(NHK総合)私はこの番組を学校がコロナウイルスの影響で休校になったときに初めて見ました。毎日見ていると、料理や掃除の方法など、企画の一つ一つが図を使ったりクイズ形式だったり、とても分かりやすく説明されていて、とても実践したくなりました。(秋田・中学2年・男子)

    • 『麒麟がくる』(NHK総合)光秀や信長の「平らかな世をつくりたい」という思いは周りの人に受け継がれて、江戸時代は光秀と信長の願った世になったのかなと思います。歴史ドラマを作るということは、事件や資料を基に分からない部分を想像し、違和感がないようにつなぎ合わせる必要があります。その中で視聴者が楽しめる創作した部分もあるドラマが面白いと思います。『麒麟がくる』は、どちらもいい感じで、最初から最後まで楽しく見ることができました。(岡山・中学2年・女子)

    • 『ざんねんないきもの事典』(NHK Eテレ)この番組は、さまざまな動物について、笑える角度から紹介していて、初めて知ることばかりで、とてもためになります。私は、「ざんねんないきもの事典」について、本から読み始めたのですが、実際のところ、文字で読むのと、このようにテレビ画面を通して動物の生態を知るのとでは、テレビの方が分かりやすく、面白く脚色されていて印象にも残りました。読書は視覚が頼りですが、テレビというのは、視覚も聴覚もフル回転するからこそ、体全身で楽しめるものなのだと改めて感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)曲を作るところをここまで取材したものは初めて見たので、どんどん曲が作られていくのを見るのが面白く、「破壊と構築」とあるように、作ってはやり直す、試行錯誤して突き詰める様子がよく分かりました。一人でずっと音楽に向き合って曲を作る姿はストイックそのもので、妥協せず理想を追い求める熱量が素晴らしいと思いました。作り手に熱量があるからファンも熱狂するのだと私は常々思います。番組の構成もわかりやすく、たまたまテレビをつけて見た人でも楽しめたと思います。どんな人なのか、どんなことをしているのか、そのルーツ、最後には完成した曲、すべてがそろっていて内容が濃いなと思いました。取材時の日時が入っていて状況も伝わりやすかったです。NHKの密着ものは、余計なものは入れずに淡々と伝えるイメージがあります。そのほうが本人の良さを引き立てる気がします。この番組を見て、私も負けていられないと思いました。自分のできることを一生懸命やろうと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 『金曜ドラマ「俺の家の話」』(TBSテレビ)父親が死ぬ前にと家族旅行を計画するところなど、主人公はなんだかんだ家族思いで、周りのみんなもついて来てくれるのが優しい環境だと思った。幸せそうな姿がほほえましく、まぶしく、純粋にうれしくなった。家族の確かな信頼関係が伝わってきた。結局はお互いに放っておけない存在であると伝えたいのだろうか。主人公の息子のシーンは特に温かい気持ちにさせてくれた。当たり前のようにコロナ禍の世界線(前提)で物語が進むことに魅力を感じる。視聴者が今、リアルタイムに感じている空気と合わせるほうが、物語に入り込みやすく、違和感を持つこともない。しかし、もしもコロナ禍から脱出したときには、後から見る人は少し困惑するのではないかとも思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『いざわ・ふくらの解けば解くほど賢くなるクイズ』(日本テレビ)一応、勝ち負けはつくが、それ以上に問題の面白さが重視されているように感じた。なぜこれが良いと思ったかというと、「やらせ」や「仕込み」の疑惑が出にくいからだ。まず、やらせをする意味があるのは勝ち負けや番組の展開・ストーリー性が重要視された番組が主だろう。なぜなら「やらせ」は続きが気になる展開を作ったり、番組として面白い人に勝たせたりするためのものなので、ストーリー性が重要視されていない番組でやらせをしてもあまり意味がないからだ。そのため、ストーリー性が重要視されていない番組ではやらせの疑惑が出にくい。このような勝ち負けや番組の展開が重視されない番組が増えるといいと思う。(千葉・中学1年・男子)

    • 『news every.』(日本テレビ)震災の特集を見るのは初めてだった。映像を見ると、津波はゆっくり迫ってくるように見えるが、次々と家や電柱をなぎ倒していく様子を見て、波の威力を感じた。津波の経験をした方々は辛い思いをするとは思うが、このような映像を見て、今後同じような被害を出さないようにすべきだと思った。(東京・中学3年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!「絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時」』(日本テレビ)コロナ禍の影響で、接触があまりできないため、今年は体を張る企画がかなり少なくなっていて寂しかったです。ですが、その企画の代わりなのか、過去の番組を振り返るコーナーができていて、新しい感じがあっていいなと感じました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)イッテQがここまで幅広い年代に支持される理由は、出演者とスタッフの一体感だと思います。番組に携わっているすべての人が一丸となって作り上げているのが視聴者に伝わることが、イッテQが人気の理由なのではないかと感じます。(東京・高校1年・女子)

    • 令和2年7月豪雨関連ニュース・特番について(熊本県内の放送局)。今回このリポートを書くため、録画していた各番組を改めて見返してみました。数ヶ月たって感じたのは、映像が伝えてくるものはとてもすさまじいものだったということです。例えばネットのニュース記事や記録サイトに掲載されている文章の情報では分かりづらくても、映像だと視覚ですぐ自分の頭に入るので、当時のことを思い出しやすくなりました。今後はその映像を使いながら、この災害を継続して伝えてほしいと思います。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 生まれて初めてのモニターでしたが、ちょうど始まった時は、コロナが流行し始めたときで、テレビも今までと随分形態も異なり、これからどうなってしまうのだろうと不安に思ったりしたことを思い出しました。あれから1年たち、コロナは相変わらず続いていますが、テレビの世界もできるだけ通常の放送を続けていて、人間ってコロナと共存する適応力があって、改めてスゴイなと思いました。これからも、様々なことがどんどん変化を遂げていくだろうけど、きっと人間はそれさえも乗り越えていくのかもと思います。そんなときに頼りになるのが、テレビであり、これからも変化に伴って進化し続けるテレビであってほしいと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 震災のことはほとんど覚えていません。テレビで3月11日を振り返るということはつらい記憶を思い出すことでもありますが、私たちのような震災を知らない世代に震災の怖さや恐ろしさを伝えることでもあり、いい番組がたくさんあったなと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • 東日本大震災から10年ということもあり、震災にまつわる番組が多かったと思います。当時の状況を再現したものや、今の復興状態、防災の知識などさまざまなものを扱っていて良かったと思います。今のコロナの時期も、震災時とはまた違う苦しみがあるなと改めて思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • テレビ番組を通して、被災地の現状や震災遺構、3.11当時の状況をたくさん知ることができました。学校や仕事をしている人が多い時間帯以外にも、3.11を特集した番組をもっと放送してほしいと思ったし、どうしても当時の映像を見られない人もいると思うので、防災だけに焦点を当てた番組があってもいいと感じました。(宮城・高校3年・女子)

    • 毎日、テレビ画面上部にテロップとして表示されるコロナの感染者数。最近、あのニュース速報について「必要ないのでは?」と思うことがあります。感染者数が過去最高になったときや急な増加のときは、迅速に情報を得たいと思いますが、数が減ってきてからはすぐに知りたいと思わなくなり、わざわざニュース速報で知らせるまでもないと思います。以前、音楽番組中のニュース速報の音が物議をかもしましたが、たまにドラマの再放送を見ているとき、この音が邪魔に感じることもあり、検討してほしいです。毎日ニュース速報を流すと、オオカミ少年(イソップ寓話)のように、本当に重要なときに注意が散漫になってしまうことを危惧します。(愛知・中学2年・女子)

    • ニュース番組中に緊急ニュース速報が、テレビ画面上部に流れる必要はあるのだろうか?(千葉・高校2年・女子)

    • コロナ関連のニュースは毎日放送していますが、いつも同じような内容なので視聴者は少し飽きていると思いました。もっと何を伝えたいのかはっきりさせないと、コロナへの関心も薄くなっていくのではと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • あるニュース番組でコロナの変異種について死亡率が2倍とフリップで紹介されていたのですが、その後、キャスターさんは死亡率が最高2倍だと説明されました。私は「フリップでは最高が抜けたのかな」と思ったのですが、その後も訂正することはなく番組が終わってしまいました。この間違いに気が付かなかった人は無駄に不安があおられるようでいい気持ちはしないだろうなと感じました。こういった情報の訂正はしっかりとしてほしいです。(愛知・高校1年・女子)

    • 最近、声優さんがテレビに出演していたり、ナレーションをやっていたりするのを見てうれしいと感じるが、私のようなオタク以外の人からすればどうなのだろうかと気になる。最近、インフルエンサーという肩書きでバラエティーなどに出演する人をよく見かける。だがほとんど知らない人だ。ネットは頻繁に見ているはずなのだが私は知らない間に流行に乗り遅れているのだろうか。以前家庭科の先生(年配の女性)が、バラエティーでよく見るタレントという肩書の人たちがよくわからない、あの人たちは何なのか、いる意味が分からないとさえ言っていた(彼女はバラエティーの騒がしいのが苦手だそうなので仕方がないが)が、そういった人たちから見て、インフルエンサーというタレントですらなくテレビに登場する人々はどう映るものなのだろうか。(東京・高校1年・女子)

    • テレビ離れの要因の一つに、バラエティー番組などで見られる、他人を下げる、バカにする発言が挙げられると思う。私自身、人の容姿についてとやかく言ったり傷つくような言葉を投げたりしているのは見ていて不快だし全く面白くないと感じたため、このような番組は見なくなった。(神奈川・高校2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)津波の被害を受けた父と母、遠方に住む娘の物語で、決して気持ちが明るくなるわけではありませんが、家族のきずなを通じて心が温まりました。この番組のポイントはリアリティーです。地震に関する報道もNHKのリアルな映像が使用されており、目の前に津波が迫っているのかと思えるような映像でした。戦争と同じで、もっともっと語り継ぐべき出来事だと思いました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)当時の状況が再現されていて、余震やテレビのニュースなど、私の薄れてきた記憶がよみがえりました。被災者の家族の視点もあって、震災時はどうしようもなくて、もどかしくつらかっただろうと身に染みて思われました。「津波の映像が流れます」というテロップからも、震災の残した傷の深さが感じられました。震災を忘れてはいけないと思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『NHKスペシャル「ドラマ 星影のワルツ」』(NHK総合)こういったリアリティーのある番組こそが被災の記憶を伝えるのに必要なのだと思いました。男性が助かってドラマが終わるのではなく、亡くなった奥さまの遺品を取りに行ったりお葬式の場面が描かれたりするところ、次世代の小さな子どもに津波のことを伝える場面が描かれているのもメッセージ性が強いと思いました。自分が助かっただけでは終わらない、被災の記憶を次の世代へ伝えなければならないリアルな描写をみて、私も記憶のリレーをつなげていこうと改めて強く思いました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)世界の10代の意見はなかなか聞ける機会がないので、聞くことができて良かったです。(山形・中学1年・女子)

    • 『世界10代コロナ会議』(NHK Eテレ)同世代の人たちがコロナに対してどのような考えを持ち、不安を抱えているのかを知ることができて、とても役に立ちました。また、日本だけでなく、海外の学生の様子も分かり、新たな発見がありました。(東京・高校1年・女子)

    • 『池上彰の災害サバイバル~地震・台風・水害に役立つ10カ条~』(テレビ東京)私は、趣味で災害対策を調べたり実際に対策したりすることがあるので、この番組内容は興味をそそられるものでした。東日本大震災を振り返ることだけでなく、いずれ起こる首都直下型地震の対策にもなるので、有意義なものだったと思います。「そなエリア」での撮影は、本当に緊張感やリアリティーのあるもので、とても印象に残りました。エリア内で緊急地震速報の音声が流れた時には不安を感じました。地震が10年前より少なくなった今、音による緊張感・不安感を感じることは、当時の記憶をいいようにも悪いようにもよみがえらせるものだと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『常田大希 破壊と構築』(NHK-BSプレミアム)常田さんもメンバーであるKing Gnuの曲を以前吹奏楽部で演奏してからとても気になっているアーティストだったのでこの番組を見ることにしました。この番組を通して、独特のリズムや音楽の中にみられる特有の音や重なり方は常田さんの常に音楽の常識を壊していくという考えから生まれていることを知りとても感銘を受けました。また、思っていたのと印象が違ったり、知らない一面も知れた気がしました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『Nスタスペシャル・東日本大震災10年~つなぐ・つながる~』(TBSテレビ)この地震が起きたとき、私は3歳で宮城にいましたが、とてもつらい生活が続いたのをよく覚えています。私が感じたつらさとは比べものにならないくらいのことを経験した方がたくさんいて、すごく心に刺さりました。震災から10年たちますが、このことを風化させては未来のために絶対良くないので、3月11日だけでも、毎年国民が震災のこと、防災のことを思い出す番組を作り続けてほしいです。(宮城・中学1年・女子)

    • 『にじいろのまちへ 多様性を認め合う高知市に』(テレビ高知)この番組では、当事者の心境などを伝え、差別や偏見をなくすための取り組みを紹介していました。私の地元がこの制度を導入したことはすごく誇りに思うし、この流れがほかの県に波及することを切に願っています。しかし、それと同時に性的少数者への理解を深めるためにも、この番組のようにテレビなどを通じて彼らが直面している課題を報道していく必要があると考えます。(高知・高校3年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況などの報告がありました。

委員退任について

稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員が、3月末で任期満了となり、退任することとなりました。3委員とも、それぞれ2期6年務められました。

以上

2020年11月16日

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」に関する委員会決定の通知・公表の概要

[通知]
(2020年)11月16日午後1時からBPO会議室において決定通知が行われた。委員会からは、奥武則委員長、担当した二関辰郎委員、國森康弘委員、及び補足意見を書いた市川正司委員長代行が出席した。
申立人側は代理人のみが出席し、申立人本人は高齢であることや体調の問題等により出席できないとの説明があった。札幌テレビからはコンプライアンス担当の取締役、局長が出席した。
奥委員長から「決定の通知は、申立人と被申立人に同じ決定を同じ席で伝えることが重要だが、今回はご本人の体調に配慮して委員会としても異例の判断をした」と申立人本人不在での決定通知開催について説明した。
次に決定の内容について奥委員長から概略次のような説明があった。
「結論としては人権侵害の問題はなく、放送倫理上の問題も認められない。
人権侵害、名誉毀損について言えば、社会的評価が低下したかどうかが入り口となる。本件放送は、国に対する損害賠償請求訴訟を起こしていた申立人が、新しくできた法律に基づいて一時金を請求したことをニュースにしたもの。一般的にこのニュースを見た人が申立人に対する社会的評価を低下させることはない。一方で、新しくできた法律に批判的であった申立人が一時金を申請したことで、申立人の従来の見解を知っていた人から見れば考え方を変えたのではないかとみられてしまう可能性があり、社会的評価を低下させるというのが申立人の主張。しかし、本件放送は一時金支給法の問題点を鋭く追及しているし、申立人が悩みながら申請したということも伝わっており、社会的評価を低下させることにはならない。
放送倫理上の問題は、申立人が申請をするにいたるまでに、記者からの働きかけがどの程度あったのかということ。ヒアリングなどを通じて取材の経過を考えると、基本的には申立人に一時金申請をするという意図があり、記者の働きかけによって申請をしたとは認められないと判断した。それ以外にも事実を歪めるなどの内容も認められない。ということから放送倫理上の問題は認められないと結論付けた。法律専門家の援助を受ける権利等についての判断などは二関委員から説明する。」
二関委員からは以下の通りの発言があった。「繰り返しになるが、人権侵害については、申立人がどういう人なのかという前提知識がなかった人と、あった人の二段構えで判断した。いずれにせよ社会的評価の低下はなかったと判断した。
法律専門家の助言を受ける機会を奪われたという主張については、放送にいたる前の事情なので、基本的には当委員会では取り上げないというルールがある。記者による働きかけについても同様だが、今回は後者を取り上げ、法律専門家に相談する機会の問題はそのことに関連するので、その際にまとめて検討した。
放送倫理上の問題も、ある意味では二段構えと言える取り上げ方にしている。本件放送を見る限り、申立人が不本意ながら申立を行っているようには見えない。ただし、我々はそこだけでは検討を終えずに、放送に至るまでの経緯も検討対象とし、その点に関する双方の対立する主張の中から、共通して認められることをさぐった上で判断している。そのような過程を経てこの結論に至った。」
続いて補足意見を書いた市川委員長代行から以下のような説明がなされた。「結論は決定通りだが、今回の議論の中には一般論としても今後の参考になる点があり、掘り下げて述べておくのが良いと考えて補足意見を書いた。
今回の取材は、過去のことではなく、現在進行中のことを取材しており、その過程で、取材対象者が自ら選択し行動することに取材者がどこまで関与するのかは検討すべきこと。申立人が自ら行うことを記者が代わって行っているが、これが取材対象者との関係で踏み込みすぎと言われかねないものであるということを指摘している。今後の糧になると考えてここに掲載した。」
これに対し、申立人の代理人からは特に発言はなく、STVからは「概ね当社の主張が認められた。今日の内容は今後の取材活動に生かしていきたい」との話があった。

[公表]
同日午後2時から千代田放送会館2階ホールで記者会見が行われ21社28人が出席した。
奥委員長、二関委員、市川代行からは概ね通知と同様の内容が公表された。國森委員からは弱者に寄り添うという同じ方向を向いている弁護団と記者が相対するのは悲しいこと。申立人を含めて三者がもっと密にコミュニケーションがはかれたらよかったと感じている。」という発言があった。

以上

2020年度 第76号

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」
に関する委員会決定

2021年3月30日 放送局:フジテレビ

見解:放送倫理上問題あり(補足意見、少数意見付記)
当事案は、フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと訴え、委員会に申し立てたもの。
これに対してフジテレビは、番組で「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果を基に、「人権侵害は認められない」と反論した。
委員会は、審理の結果、人権侵害は認められないとしたが、出演者の身体的・精神的な健康状態に関する配慮が欠けていた点について、放送倫理上の問題があったと判断した。その上で、フジテレビに、本決定を真摯に受け止め、改善のための対策を講じることを要望した。 なお、本決定には補足意見と2つの少数意見が付記された。

【決定の概要】

 申立ての対象は、2020年5月19日に放送されたフジテレビの『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(本件番組)。出演していたプロレスラーの木村花氏が放送後に亡くなったことについて、同氏の母親が、娘の死は番組の“過剰な演出”がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。本件番組は、募集によって選ばれた初対面の男女6人が「テラスハウス」で共同生活する様子を映し、スタジオのタレントらがそれにコメントするスタイルのいわゆるリアリティ番組であり、Netflix等で配信され、数週間後に地上波で放送されていた。
 本件放送の中盤、木村花氏が共用の洗濯乾燥機に置き忘れていた重要な試合用のコスチュームを、男性出演者が誤って洗濯、乾燥してしまったため縮んで着用できなくなったことに対し、木村氏が怒りをあらわにする様子が描かれる。木村氏は、テラスハウス住人全員が顔を合わせたところで、男性に怒りの言葉をぶつけ、「ふざけた帽子かぶってんじゃねえよ」と言い、男性がかぶっていた帽子をとって投げ捨てる。この場面が「コスチューム事件」と名付けられ、SNS上で木村氏に対する多数の誹謗中傷を招いた。
 「コスチューム事件」が最初に人々の目に触れたのは3月31日のNetflix配信においてであるが、その直後、木村氏は自傷行為に至る。その後、5月14日には、未公開動画として、女性出演者から落ち度を指摘されたことに対し、木村氏が自身の正当性を主張するかのような動画がYouTube上で公開され、再度誹謗中傷を招いた。5月19日には地上波にて本件放送が行われ、5月23日、木村氏は自死した。
 以上の事案につき、人権侵害については3点の判断を行った。第1に、申立人は、視聴者からの誹謗中傷がインターネット上で殺到することは十分に認識可能であることから、放送局に「本件放送自体による、視聴者の行為を介した人権侵害」 の責任があると主張した。これについては、表現の自由との関係で問題があり、一般論としてはこうした主張は受け入れられない。ただ、本件では、先行するNetflix配信が誹謗中傷を招き、自傷行為という重大な結果を招いたという特殊性がある。このような場合においては、少なくとも、先行する放送ないし配信によって本件の自傷行為のような重大な被害が生じている場合、それを認識しながら特段の対応をすることなく漫然と実質的に同一の内容を放送・配信することは、具体的な被害が予見可能であるのにあえてそうした被害をもたらす行為をしたものとして、人権侵害の責任が生じうるものと考えられる。
 しかし、本件では、自傷行為後にフジテレビ側は一定のケア対応をしており、また、本件放送を行う前にも一定の慎重さをもって判断がなされたため、漫然と本件放送を決定したものとはいえず、人権侵害があったとまでは断定できない。
 第2に、申立人は、木村氏の言動は、著しく一方的な「同意書兼誓約書」の威嚇の下、煽りや指示によってなされたものだから、自己決定権及び人格権の侵害があると主張する。この点について、若者であるとはいえ成人である出演者が自由意思で応募して出演している番組制作の過程で、制作スタッフからなされた指示が違法性を帯びることは、自由な意思決定の余地が事実上奪われているような例外的な場合である。本件では、制作スタッフからの強い影響力が及んでいたことは想像に難くないが、上記のような例外的な場合にあったとはいえず、自己決定権等の侵害は認められない。
 第3に、コスチューム事件における木村氏の言動が、通常他人に見られたくないと考えられるものでプライバシー侵害に当たるとする主張については、撮影されることを認識し認容していたことなどからして、違法なプライバシー侵害であるとは言えない。
 他方、放送倫理上の問題に関して、3点につき判断した。第1に、それまでの経緯からして、木村氏に精神的な負担が生じることが明らかである本件放送を行うとする決定過程で、出演者の精神的な健康状態に対する配慮に欠けていた点で、放送倫理上の問題があったと判断した。すなわち、リアリティ番組には、出演者のありのままの言動や感情を提示し、共感や反発を呼ぶことによって視聴者の関心を引きつける側面がある。しかし、ドラマなどのフィクションとは違い、真意に基づく言動とは異なる姿に対するものも含め、視聴者の共感や反発は、生身の出演者自身に向かうことになることから、リアリティ番組には、出演者に対する毀誉褒貶を、出演者自身が直接引き受けなければならない構造がある。そして、出演者の番組中の言動や容姿、性格等についてあれこれコメントをSNSなどで共有することがリアリティ番組の楽しみ方となっており、自身の言動や容姿、性格等に関する誹謗中傷によって出演者自身が精神的負担を負うリスクは、フィクションの場合よりも格段に高い。このことなどを踏まえると、出演者の身体的・精神的な健康状態に放送局が配慮すべきことは、もともと放送倫理の当然の内容をなすものと考えられるが、リアリティ番組においては特にそれがあてはまる。しかし、上述のとおり、本件においてはこうした配慮が欠けており、放送倫理上の問題がある。
 第2に、申立人が、ことさらに視聴者の感情を刺激するような過剰な編集、演出を行ったことによる問題があると主張した点については、事実関係が確定できないこと、および、木村氏の怒りの場面は、少なくとも相当程度には真意が表現されたものと理解でき、放送倫理上の問題があるとは言えない。
 第3に、フジテレビの検証が内部調査にとどまった点の評価については、番組による人権侵害等を判断する委員会の基本的任務とは距離があり、本決定では判断を行わない。
 最後に、リアリティ番組の制作・放送を行うに当たっての体制の問題を、課題として指摘せざるを得ない。本決定を真摯に受け止めた上で、フジテレビが木村氏の死去後に自ら定める対策を着実に実施し、その効果の不断の検証を踏まえて改善を続けるなどして再発防止に努めるとともに、本決定の主旨を放送するよう要望する。
 同時に、放送界全体が本件及び本決定から教訓を汲み取り、木村花氏に起こったような悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する。

全文PDFはこちらpdf

2021年3月30日 第76号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第76号

申立人
番組出演者の母親
被申立人
株式会社フジテレビジョン
苦情の対象となった番組
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』第38話
放送日
2020年5月19日(火)
放送時間
午前0時25分~0時55分

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1. 放送の概要と申立ての経緯
  • 2. 本件放送の内容
  • 3. 論点

II.委員会の判断

  • 1.委員会の判断の対象
    • (1) 本件番組及びその関連動画の相互関係
    • (2) 委員会の判断の対象
  • 2.事案の概要
    • (1) 本件番組について
    • (2) 木村花氏の本件番組への出演契約の際の状況
    • (3) 本件放送について
    • (4) 第38話のNetflix 配信後の状況
    • (5) 5月14日の未公開動画の配信
    • (6) 本件放送前後の状況
    • (7) SNS対策とSNS上の誹謗中傷の状況
      • ① 本件番組におけるSNS対策について
      • ② 第38話のNetflix配信及び本件放送を受けたSNS上の誹謗中傷の状況
    • (8) 木村氏死去後のフジテレビの対応
  • 3. 「本件放送自体による、視聴者の行為を介した人権侵害」について
    • (1) 当事者の主張
    • (2) 人権侵害の判断基準について
      • ①「本件放送自体による、視聴者の行為を介した人権侵害」に関する一般論
      • ② リアリティ番組における、視聴者の行為を介した人権侵害に関する放送局の責任
      • ③ 本件放送の特殊性
    • (3) Netflix 配信の前後から本件放送の前後までのフジテレビの対応について
      • ① Netflix配信前の状況
      • ② 自傷行為後の木村氏へのケアについて
      • ③ 5月14日の本件未公開動画の公開について
      • ④ 本件放送を行うとする判断について
    • (4) 人権侵害についての検討
  • 4. 自己決定権及び人格権の侵害について
    • (1) 当事者の主張
    • (2) 検討
    • (3) 小括
  • 5. プライバシー侵害について
  • 6. 放送倫理上の問題について
    • (1) 本件放送を行うとする決定に際しての出演者への配慮について
      • ① 出演者の身体的・精神的な健康状態への配慮と放送倫理
      • ② 本件について
    • (2)「過剰な編集、演出を行ったことによる放送倫理上の重大な問題」について
    • (3)「検証を十分に行わなかったことによる放送倫理上の重大な問題」について
    • (4) 申立人に対する対応について

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯および審理経過

全文PDFはこちらpdf

2021年3月30日 決定の通知と公表の記者会見

通知は2021年3月30日午後1時から千代田放送会館2階ホールにおいて、午後3時から紀尾井カンファレンス・メインルームで公表の記者会見が行われた。詳細はこちら。

2021年7月20日 委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み

委員会決定第76号に対して、フジテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が6月25日付で提出され、委員会はこれを了承した。

全文PDFはこちらpdf

  • 「補足意見」、「意見」、「少数意見」について
  • 放送人権委員会の「委員会決定」における「補足意見」、「意見」、「少数意見」は、いずれも委員個人の名前で書かれるものであって、委員会としての判断を示すものではない。その違いは下のとおりとなっている。

    補足意見:
    多数意見と結論が同じで、多数意見の理由付けを補足する観点から書かれたもの
    意見 :
    多数意見と結論を同じくするものの、理由付けが異なるもの
    少数意見:
    多数意見とは結論が異なるもの

2021年3月19日

2021年 3月19日

業務についてのお知らせ

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大に関する政府の緊急事態宣言の解除を受け、視聴者電話の受け付けを3月22日から再開する予定です。

第158回 放送倫理検証委員会

第158回–2021年3月

2月の視聴者意見を報告

第158回放送倫理検証委員会は3月12日に開催され、2月にBPOに届いた視聴者意見の概要が事務局から報告された。

議事の詳細

日時
2021年3月12日(金)午後5時~午後7時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第1会議室(千代田放送会館7階)+オンライン
議題
出席者

神田委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、大石委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. 2月の視聴者意見の概要

2月の28日間にBPOに届いた視聴者意見のうち、新型コロナウイルスのワクチン接種のニュースで注射の映像が頻繁に放送されることに対する批判的な意見などが事務局から報告されたが、個別の番組について特に踏み込んだ議論は行われなかった。

以上

第290回放送と人権等権利に関する委員会

第290回 – 2021年3月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」決定を了承…など

議事の詳細

日時
2021年3月16日(火)午後3時~7時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、番組において「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果を基に、「人権侵害は認められない」と反論している。
委員会は、これまでの審理をもとにまとめた決定文の最終案が起草委員から示され議論を行った。前回の委員会で残されたインターネットでの配信後の経緯において放送を行ったことや、同意書兼誓約書の存在などを人権侵害や放送倫理上の問題としてどのように判断するかといった論点などについても、改めて議論を行い、最終的に文案の一部に修正を加えたうえで、委員会決定として了承した。これを受けて委員会は、できるだけ早い機会に、申立人、被申立人に対して通知し、委員会決定を公表することを確認した。

2. その他

今年度で退任する委員から挨拶があった。

以上

2020年12月3日

全国の放送局を対象に意見交換会開催

放送倫理検証委員会と全国の放送局との意見交換会が、2020年12月3日千代田放送会館2階大ホールで開催された。また事前に申し込みのあった放送局に対して、オンライン配信を同時に実施した。放送局の参加者は、会場に40人、配信にて視聴したのは97社で、そのアカウント数は298件であった。さらに社内の会議室等で複数名による共同視聴をしたところも多数あった。委員会からは神田安積委員長、岸本葉子委員長代行、升味佐江子委員長代行、西土彰一郎委員の4人が出席した。コロナ禍のため、2020年度に放送倫理検証委員会が意見交換会を開くのは今回限りで、オンライン配信を利用して全国を対象に実施したのは初めてのことである。

開会にあたり、BPO事務局を代表して濱田純一理事長が「この意見交換会はBPOとしても大変重視しており、BPOの活動と放送局の皆さまとをつなぐ非常に重要な役割となっている。これからメインテーマである番組と広告の問題について議論してもらうが、民放連の広告の取り扱いのルールなどにもあるように、放送の番組内容と、広告放送との識別、区別というのは大変重要で、視聴者にとって、放送の効用というものがしっかり伝わっていくための重要な原理だと思う。同時に、広告放送は民間放送が放送を自由で自律的に行っていくための大事な柱でもあるので、この番組と広告の問題というのは、放送局全体として幅広く議論していくテーマである」と挨拶した。

意見交換会の最初は、10月30日に公表した「番組内容が広告放送と誤解される問題について」と題した委員長談話について、以下のとおり、神田委員長が解説をした。
放送基準は全部で152条あるが、3分の1以上は広告に関する放送基準である。理事長から、番組と広告の問題は民放において重要な原理であるとのお話があったが、放送基準における広告にかかる条文の多さはそのことを物語っている。
約3年前に、ある地方局の番組の中で、いわゆるステマの問題が取り上げられたことがあり、2017年5月25日付で民放連が「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」を策定した。
「留意事項」は、まず、「民放は視聴者の利益に資することを目的に、さまざまな情報を番組で取り扱っており、そうした取り組みのひとつとして、特定の商品・サービスなどを取り上げ、紹介することが日常的に行われている」「番組で特定の商品・サービスを取り扱うことは、視聴者に対して具体的で有益な情報提供となる」ということを明らかにしている。
同時に、「留意事項」は、「取り上げ方や演出方法などによっては、広告の意図や目的がなくても、視聴者に『広告放送』であるとの誤解を招く場合がある」ことも指摘している。また、万が一にも「誤解や疑念を持たれることは、民放の信頼やメディア価値の根幹にも関わる」と書かれている。
皆さんには、常にその2つの視点を意識しながら、番組の制作をしていただきたい。委員会も、番組が広告と誤解されることが問題になることがあれば、この2つの視点から考えることになる。つまり、特定の商品・サービスを取り上げ、紹介する番組について、最初から規制ありきではなく、視聴者に対して具体的で有益な情報提供であるという点を前提としたうえで、検討や評価をしているということをご理解いただきたい。
本年、秋田放送、山口放送の番組に関して、広告と誤解されるのではないかとの視聴者意見が寄せられ、委員会は討議を約半年間かけて行ってきた。その経過の中で、本年3月6日に、民放連の放送基準審議会が、「放送基準の遵守・徹底のお願い」という文書を発出した。本文書は、番組と広告の識別に関して、「その取り上げ方は放送責任の範囲内でおのずと決まってまいります。そのうえで、演出や構成などには大いに工夫の余地があるのではないでしょうか。番組の企画から放送前の考査まで、社内横断的なしっかりとした体制を構築し、放送の価値向上と収益の確保に尽力していただきたいと思います」としている。この点について、委員会は、民放連が各局に向けて、自主的・自律的な検討を促す趣旨のメッセージであると受け止めている。また、本文書は、番組と広告の問題とは別に、BPOにおいて過去にあった事例と同様の事例が繰り返し審議入りされていることについて、各局に対して警鐘を鳴らしている。
委員会は、このような動きを踏まえながら、半年間をかけて両放送局の番組の討議を行い、また、番組と広告の問題について、民放各局の自主的・自律的な対応を促すために望ましい結論に向けた議論をし、その結果、本年10月30日付の委員長談話を出すに至った。
委員長談話において触れているとおり、委員会は、これまで3局の事案について2つの意見書を出してきた。その中で、番組と広告の問題について、今後も民放各局で自主的・自律的に判断してほしい、その判断に当たっては「留意事項」を総合的に判断していただきたいということを繰り返し伝えてきた。その趣旨は、意見書で問題になった番組が放送倫理違反であると評価したとしても、そのことが、ある特定の部分を放送しなければ問題なかったということを意味するものではなく、むしろ、たとえば、その番組の中で、仮に問題がある部分があったとしても、他の部分で別の内容の放送になっていれば、いわば広告の印象が減殺され、全体として放送倫理に違反しないとされる余地があるのではないか、言い換えれば、ある特定の部分だけの問題ではなく、番組全体について「総合的に」考えてほしいということである。
通知公表時の質疑応答や意見交換会において、「番組の内容をどのようにすれば広告放送であると誤解を招かれなかったのか教えてほしい」といった質問や、さらには「番組と広告の境目をはっきりさせる明確な基準を示してほしい」という質問・要望も寄せられた。しかし、委員会の守備範囲は放送局の判断基準を作る役割ではない。仮に私たちが判断基準を作ることになれば、民放連が自主的・自律的に策定した「留意事項」を越えて、放送局の手足を縛る基準を作ってしまうことになりかねない。また、「総合的に判断する」ことは、放送局の自主的・自律的な判断を必要以上に阻害しないようにするためであり、決して放送局の判断を迷わせるためではない、ということは委員長談話でも重ねて触れているところである。
もっとも、「留意事項」が策定されてから既に3年が経過しているとしても、委員会で具体的なケースが取り上げられたのは去年以降であり、番組と広告の問題が急にクローズアップされて放送倫理違反という判断が出され、多くの局がどのような対策を講じたらよいか悩んでいることが意見交換等でもうかがわれたところである。そこで、委員長談話において、そのような事情を踏まえ、本問題について放送事業者や民放連が自ら問題点を整理した上で、処方箋を出すことが望ましく、自主的・自律的な取り組みが期待できるのであれば、その成果を待つべきであろうと考えるに至った。なお、自主的・自律的な取り組みが期待できるという1つの事情として、先ほど言及した民放連の放送基準審議会の文書に触れ、「本問題に関する放送局の現場の声を集約しながら、改めてこの問題に向き合う必要があるという民放連の自覚と決意がうかがわれる」と評価させていただいた。
以上のような点を踏まえて、委員会は、「民放連加盟各社または民放連の自主的・自律的な取り組みを当面注視することとする」旨の結論に至った。放送基準92条や「留意事項」の原点に立ち返っていただき、「留意事項」を実質的にまた総合的に会社の中で議論し参照して、よりよい番組作りをしてほしいと思う。委員会が「見守る」というのは、本問題を今後も皆さんと一緒に考えていくという趣旨であり、このような意見交換の機会があれば引き続き一緒に考えていきたいと思っている。
なお、本年9月に民放連の放送基準審議会に私が出席し、本問題について意見交換の機会をいただいた。議事要録が作成され各局に配付されていると聞いているので、どの程度ご参考になるか心もとないが、ご参考にしていただきたいと思う。
ご清聴いただき感謝申し上げたい。

次に、西土委員が「番組と広告の境目について」というテーマで講演をした。
本委員会は番組と広告の識別をめぐる問題を扱い、2つの決定を出している。これらの決定では、対象となった番組について、民放連放送基準第92条及び「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」に盛り込まれた「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らして総合的に判断した結果、視聴者に広告放送であると誤解を招くような内容・演出になっていたと結論づけた。
決定を公表した後、「何を基準として総合的に判断するのか」という声をよく聞く。この基準については、何よりも皆さんがお作りになった民放連放送基準第92条及び留意事項に依拠して判断する。その際、迷った時には原点に立ち返ってもらいたい。なぜ放送基準第92条及び留意事項が定められたのか、そこが原点になろうかと思う。当然だが、放送局の独立とそれに対する視聴者の信頼を保持することに、第92条の趣旨、目的を見出すことができる。
以上の趣旨に照らして、最終的には視聴者の読後感というか、視聴後感において、番組全体が広告放送であるとの印象を残すかどうかがポイントになるかと考える。つまり、番組の中に広告の要素、特定の商品をPRする要素があったとしても、番組を見終わった後に、例えば全体としてこれは情報番組であるという印象を視聴者に残すかどうかが、重要になる。
この判断のために、留意事項の2において例示として挙げられている「番組で取り扱う理由・目的」「視聴者への有益な情報」「視聴者に対してフェアな内容」など事案に即した多様な要素を番組のテーマや制作に至った背景も含め検討する。こうした検討は、繰り返しになるが、視聴者の知る権利に奉仕する放送の自由を確保するためという視点に立ってのことである。
もちろん、視聴者の知る権利に奉仕する放送の自由を行使するのは皆さんであり、したがって番組と広告の境目の問題は、皆さんがまず自主・自律的に考えていただくことになる。この点について、決定第36号は、決定第30号を引用して、「番組と広告の違い、その境目を認識し、緊張感を持って一線を画す日々の作業は部署を問わず、すべての民放関係者が肝に銘じるべき根本ではないか」と指摘して、自主・自律による対応策を求めている。
濱田理事長が冒頭で述べられた通り、広告は民放各局の自主・自律にとって、また財源という点でも極めて重要である。皆さんが番組と広告の境目の問題に突き当たって苦慮されていることは、私共も重々承知している。綺麗ごとではないことを承知してはいるけれども、国民の知る権利に奉仕する放送のプロの皆さんであれば、視聴者の立場に立って、説得力のある根拠を示しながら、グレーゾーンにある番組と広告の線引きも行うことができるものと確信している。そして、以上の不断の積み重ねにより養われるはずの皆さんの実践的な知を、民放連等を通じて、ぜひとも放送界全体の共有知にしてくだされば、大変嬉しい。それができるのであれば、この問題を扱った本委員会として、せめてもの救いになると考えている。最後に希望を付け加えて、私からの簡単な話に代えたいと思う。
どうもありがとうございました。

このあとの意見交換での主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: 番組と広告の問題は民放全体の重要な課題でありながら、例えば他局の営業系番組に関する深い情報を聞くことなどはなく個別の問題は表に出て来ないのだが、共有知とするために、委員会がヒアリングなどを通じて経験したことから共有化に向けての方策や方法論として気付いた点があれば披歴してほしいのだが。
A: 委員会決定の対象になった当該局が、その経験値を民放連に伝えるとか、系列局で悩みや苦労を共有して民放連に出してもらい、民放連が何らかの形で文書化するのが筋道立った方法ではないかと考える。(西土委員)
  各事案の意見書、特に委員会の「調査」または「検証」というところには、ヒアリングで制作過程について詳細にお聞きし、委員の受け止めたことが非常に具体的に書かれている。ヒントや共有知としてお役立ていただければうれしく思う。(岸本委員長代行)
  事例研究会であれば、参加している局どうしの意見交換、質疑応答の場があるので知見を共有できると思う。また、各局からの依頼(講師派遣制度)で機会を設けていただければ、率直な意見交換ができると思う。(神田委員長)
   
Q: 今後番組が番組として成立しつつ、ビジネスツールとしても考えていかねばならない時代に、現場にはBPOを恐れるような感覚があるが、新しい取り組みについて委員はどういうふうに考えるのかを伺いたい
A: 大変難しい質問であるが、問題になった時に備えて、きちんと説明できる社内における社内横断的かつ総合的な検討と、それを記録しておくことが必要である。新しい取り組みの内容については私たちにも知見として教えていただきたいし、勉強会などで意見交換していくことも大切な役割であると思う。(神田委員長)
  個人の意見だが、家のテレビで自分の家族が見た時にどう思うか、というのが1つの判断基準になるのではないか。恐れるべきはBPOの審議入りより、視聴者にそっぽを向かれることのはずだ。皆さんと共にトライ&エラーしながら経験値を重ねて、視聴者の信頼を失わない放送を、維持していきたい。(岸本委員長代行)
  番組は放送局が自らの責任で作る。局自身の判断で作られていると視聴者は信じているから、広告放送の中でなく番組の中である特定の商品やサービスが取り上げられると、その商品やサービスに対する好意的印象は高まる。だからこそ、広告主も広告放送ではなく番組の中で、自分の商品やサービスが取り上げられることを期待する。そこに気を付けないと、局の作る番組の中に広告が紛れ込み、視聴者は混乱し、商品やサービスに対する判断を誤ることにもなる。それは、本来局が制作する番組に対する信頼を低下させる恐れもあり、その点が心配である。そうならないためには、局が独自の視点で番組を展開していることが明確になるようにしなければならないのではないか。番組が全部同じ方向での特定の商品やサービスの情報提供になると視聴者の選択肢がなくなるので、番組の制作主体である局の姿が見えにくくなりがちである。番組制作の際に構成や内容に何かしらの手間をかけ、制作する主体が局である点に誤解が生じないようにすることが、放送の領域を自分たちで守ることにつながると思う。(升味委員長代行)
   
Q: 秋田放送と山口放送のローカル単発番組について、委員会は審議の対象としないという結論になったが、その理由について詳細に聞きたい。また、審議入りするか否かの判断基準について「①対象となる問題が小さく、かつ、②放送局の自主的・自律的な是正措置が適切に行われている場合には、原則として審議の対象としない」との考え方は、今後も判断基準の1つと考えても良いのか。
A: 後者の質問については、2009年7月に出した委員長談話の中で、審議に入るか否かの基準についてご指摘の2点の基準を明示しており、現在もその基準に沿って運用している。最初の質問については、議事概要に書いてあるとおりである。討議で終了している案件は、当該局に対してもそれ以上の説明をしていないので、その旨ご理解いただきたい。(神田委員長)
   
Q: 現在、民放連の考査事例研究部会で放送基準の改定作業が始まっているのだが、放送基準の書きぶりやよく分からない点などが委員会で議論になったことがあるか。
A: 「留意事項」において「対価を得て」という点が要件になるのかが議論になった。この点について、民放連に問い合わせたところ、対価の支払いの有無に関係なく「留意事項」は適用がされるとの回答であった。このことは意見書や委員長談話において触れているが、民放連でも改めて各局に十分周知されたほうがよいのではないかと思う。(神田委員長)
   
Q: 番組制作に伴う収益化が放送局にとっては命綱なので営業担当としては守っていきたいのだが、考査上のストライクゾーンが以前と比べて狭まった訳ではないのか。今までストライクだと思っていたのをボールと言われたのが今回の例だった、と解釈しているのだが。
A: ストライクゾーンつまりホームベースの大きさは変わっていない。ただし、ホームベースを通っていなくてもストライクだと思い込んでいた可能性はあるかもしれない。投げる前にきちんと考査をしてほしい。ストライクゾーン自体に変わりはないとしても、永久に変えなくて良いのかという問題はあると思う。時代の変化やメディアの役割の在り方などを踏まえ、民放連や各局において自主的・自律的に検討の余地はあるのかもしれない。(神田委員長)
   
Q: 対価性があっても視聴後感が悪くなく、番組内容が視聴者にとって有益であれば、番組として成立するのかどうかについて聞きたい。
A: 「留意事項」に照らして総合的に判断した結果、特に内容に問題がなければ、対価の支払いの有無にかかわらず、番組として問題ないという判断になると思う。(神田委員長)
   
Q: 質問ではなく要望ですが、2009年にバラエティー番組に対して出された意見書(委員会決定第7号)の中に、バラエティーが「嫌われる」5つの瞬間というのがあってすごく分かりやすかったので、「番組が広告と認識されない5つの瞬間」のような形でまとめてもらえると理解しやすくなると思うのだが。
A: 今回の番組と広告の問題は、民放の信頼やメディア価値の根幹にも関わる問題であり、少し硬い文章にせざるを得なかった。ご指摘の趣旨を踏まえて、今後も分かりやすく説明する機会や工夫をするように努めていきたい。(神田委員長)

意見交換会のまとめとして、神田委員長が、「当面は放送局の自主的・自律的な対応を見守りたいと考えているが、チェックリスト化、マニュアル化という対応ではなく、自主的・自律的に総合的な検討を深めていただきたい」と述べ、「是非お声掛けいただければ、できる限り意見交換の機会を設けていきたい」と結んだ。
最後にBPO事務局の竹内淳専務理事が、「番組と広告をめぐる現状の厳しさはひしひしと伝わってくるが、皆さまの自主・自律に期待することをご理解いただき、コロナ禍でもこういう意見交換の場は今後オンラインも加味して設けていきたい」と挨拶して閉会した。

終了後に実施したアンケートの回答から一部を紹介する。

  • 気になっていた「委員長談話」の詳細な解説を聞くことができて良かった。
  • 番組と広告の境界線については、今後も引き続き取り上げてほしい。
  • 多数かつ関連部署の人が同時に遠隔参加できることがオンラインの最大の利点。
  • 出張しなくて済むので助かる。時間も交通費も節約でき、大変ありがたい。
  • 参加しやすく効果的なので、今後もオンライン形式での意見交換の場を設けてほしい。
  • 必要な資料の事前共有をさせてほしかった。
  • キー局の場合は社員数が多いので、「1社5枠」という配信の制限は厳しい。

以上

2021年2月に視聴者から寄せられた意見

2021年2月に視聴者から寄せられた意見

女性蔑視と受け取れる発言により辞任した、東京オリンピック組織委員会会長の発言を取り上げた番組への意見が多く寄せられた。

2021年2月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,489件で、先月と比較して308件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール97%、電話0%、郵便2%、FAX1%(※電話は今月休止)。
男女別は男性52%、女性18%で、世代別では40歳代27%、50歳代25%、30歳代20%、20歳代13%、60歳以上12%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。2月の通知数は延べ829件【55局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、27件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

番組全般にわたる意見
女性蔑視と受け取れる発言により辞任した、東京オリンピック組織委員会会長の発言を取り上げた番組への意見が多く寄せられた。ラジオに関する意見は80件、CMについては15件あった。

青少年に関する意見

2月中に青少年委員会に寄せられた意見は88件で、前月から51件減少した。
今月は「表現・演出」が27件、「低俗、モラル」が24件、「報道・情報」が8件、「いじめ・虐待」が7件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • コロナ禍における最近の番組を見て、若者がウイルスを感染させている原因とも取れるような印象を受ける。確かに若者は、テレビをあまり見ない傾向があるが、特定の年齢層を批判することは、年代間の分断を生み出す可能性がある。確たる証拠に基づいた報道をすべきだと思う。

【番組全般・その他】

  • 事の発端は、新聞が元会長の女性軽視となるように発言を切り抜きで報道したものを、繋がりがあるアメリカの新聞が翻訳して伝えた記事のせいである。元会長自身の発言は軽率な部分もあるが、本筋では、女性は優秀だと褒めている。それをほとんどのテレビが報道しないのは事実に反する行為だと思う。編集されていない発言の全文を読んだ上で批判するのなら一向に構わない。しかし、一部を切り取った記事で女性蔑視だという意見ばかりを報道するのは不公平であり、視聴者に対する洗脳行為だ。全文を読み、公平な目で報道するようなテレビが出てくることを祈る。

  • 元会長のいわゆる女性蔑視発言について。本当にそのような思想があるのなら弁解の余地はないと思うが、発言の全文ではなく、部分的な切り取りのみで、朝から晩まで全人格の否定ともとれる批判を放送する必要性があったか、大いに疑問である。謝罪会見の本人の態度もいかがなものかと思うが、重大な事件を起こしたわけではない。今回はっきりと分かった事は、メディアがスクラムを組んで、連日批判一辺倒で放送すれば、権力のある有名人の首でも取れるという事だけ。暴走するメディアを監視し、行き過ぎを注意する組織もない。簡単に一人の人生を変える事ができるという流れに恐怖を感じる。メディアにあおられて溜飲を下げる感覚になった国民にも危険を感じる。

  • 昼の番組で、コメンテーターが、老人は社会の害悪かのごとく、老害と表現していた。60歳を超える人たちが、心身の衰えを感じつつ社会で数多く活躍していると思うが、その人たちは不要という意味で受け取った。テレビ放送は公共性を持っていて、共生社会を目指すものと思う。社会で活躍される人たちには敬意を持って接してもらいたい。

  • 昼の番組について。なぜ自分たちが過去に報道してきたのを忘れてしまうのか。司会者も全く普通に無視して、今日知ったみたいに話す。いくら芸人だとしても度が過ぎる。制作側も出演者も恥ずかしくないのか。元会長をいじめ同様に批判。結果、会長を辞任しても、いつまでもVTRやパネルを使って掘り起こして批判。それによりネットでもあおられた人たちによる批判が起こる。そうすると今度はネットの影響という流れを作る。自分たちが火をつけておきながら、反省も謙虚さもなく、ただただ批判するのみ。寄ってたかっての攻撃は許されるのか。会長選出が不透明とか言いつつ、組織委員会の定款も規定もまともに説明せず、まるで人気投票みたいに、いろんな人たちをあげていく。こんな番組をスポンサーもテレビ局の上層部も何とも思わず、ただただ垂れ流し放送。マスコミには自浄作用は働かないのか。国民は不幸だ。

  • テレビは何かといえば政権を責めている。一方、コロナ禍では、「飲食店が苦しいから、時短要請に応じない」という店主の声を同情的に伝えている。深夜まで遊んでいる若者を何の批判もなしに、彼らのコメントを流している。テレビは批判しやすい人や組織を貶めて楽しいのか。それが国民のためなのか。心地よい言葉で人の弱みにつけ込むのは反社会的勢力と同じだ。放送という武器を持った恐ろしい権力者であることを自覚せず、芸人やタレントを使い、世論に名を借りて断罪することこそ怖い。

  • 水曜日の番組を見た。日本の長い歴史の中で、女性はほとんどその権利を制限されて生きてきた。ネット社会になり、ようやく女性を悪く言う事がおかしいと声を上げられるようになり、海外からも批判され、これで少しは日本の男性も反省してくれるかと思いきや、日本はまだまだ人権後進国のようで、抵抗してこのような芽を潰そうとしている感じがする。この番組の企画もまさにそれ。女性を差別しないでという人間をフェミニストと呼び、それがあたかも悪いイメージであるかのように放送する。差別され続けた人たちが、差別しないでほしいと言うことの何が悪いのか。差別してきた側としては耳が痛いだけなので、どうにかこのムーブメントは収まってほしいのではないか。それを笑いにしてテレビで放送する事に悪意しか感じない。

  • 深夜の番組を見た。客観的に見て、注意力、交渉能力に問題があるAD(アシスタントディレクター)を、「ヤバい奴」という見下しのニュアンスが濃い、内輪のイジリがとても不愉快だった。スタッフの、彼の挙動に対して放たれる高笑いが高慢さに満ちていた。彼は、「自分自身も困っている」と語っているのに、それを病気である可能性すら頭に浮かばない制作側の扱い方が恐怖でしかない。裏方の彼がイジられ、笑い物にされる事は本当に彼自身が望んでいるのか。決してヤバい奴というくくりで、エンターテイメントとして消費してはいけない。彼が、自分の扱われ方に対して、立場がADということもあり、言われる、されるがままだとしたら、一方的なパワハラ企画である。

  • このコロナ禍において、なぜテレビ番組ではマスクをしないのか。スタジオは密室である。一方的に倫理的な対応をメッセージしておきながら、その人物はマスクをしない。ようやく、議員もマスクして、会食も控えるようにした。テレビ関係者は以前と変わりなく、つまらないことに騒ぎ、タレントは不祥事を繰り返す。視聴者は言っていることの内容ではなく、見たもので判断すると言われている。マスクをしようと誰ひとりしない、してはいけないと指示があるのか、誰も語らない、異常な世界である。ますますテレビ離れに拍車がかかるのではないか。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で後輩芸人を無理やり冬の川に入らせて笑っていた。嫌がっていることを無理やりさせるのが面白いとしていることは問題だ。中高生に人気の芸人なのでお手本となるような番組作りをしてほしい。

【「低俗、モラル反する」との意見】

  • バラエティー番組でグラビア・アイドルの女性の下品な姿を皆で笑ったり、芸能人のトイレ事情をクイズの問題にしていた。親子で見ていて気分が悪くなる内容だった。21時台という子どもも見る時間帯ならば、家族で見て安心して見られる、役に立つ番組であってほしい。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 小学生数人がひき逃げされるというニュースがあった。ドライブレコーダーからの映像だったが、事故時の映像を生々しく放送しており衝撃的だった。ひき逃げに遭った子どもたちや家族への心理面に配慮した内容であったのか疑問を感じる。

  • コロナ関連のニュースでワクチン注射の場面が放送されるが、体に針が入っていく映像がアップで映されるのは生理的に耐えられない。なぜ注射の風景ではだめなのか。コロナの注射は深く刺すので、子どもは恐怖心を抱くのではないか。

第231回 放送と青少年に関する委員会

第231回-2021年2月

視聴者からの意見について…など

2021年2月24日、第231回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
かつて敵対する王女から虐待を受けた主人公の少年が、その後、王女に復讐するという深夜のアニメ番組での残虐な行為や性的なシーンについて「暴力、性犯罪を助長させる内容で青少年に影響が大きい。深夜とはいえ地上波で放送するべきではない」などの意見が寄せられました。これについて委員からは、「過激なシーンは映像が配慮されており、深夜帯の放送であることをどのように考慮するか難しく、討論に進む必要はないのではないか」「アニメであること、深夜帯であることが免罪符のようになっていないか。番組の担当者はどのように考えているのか意見交換の場があってもよいのではないか」などの意見が出されました。
2月の中高生モニターのリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題番組は、2020年度民放連賞〔テレビ教養番組〕最優秀受賞作品『ザ・ノンフィクション おじさん、ありがとう~ショウとタクマと熱血和尚~』(フジテレビ)でした。26人から報告がありました。
モニターからは、
「私は『あと半歩ふみだせ』というおじさんの言葉が印象に残りました。(寺に預けられていた)タクマは高校に進学し、ショウも中学校に復帰して、今は夢を持った社会人として活躍しています。自分ができる中で『あと一歩』をふみだそうというおじさんの熱い思いが伝わってきました。(中略)私の周りには非行に走ってしまった人やいじめを受けている人はいないので、あまり知りませんでした。しかし、この番組を見た後で、いじめや非行、その支援について調べようと思いました」
「今回のVTRを見終わって気づいたことは、出てくる人々みんなが愛にあふれていて幸せに見えることだ。(中略)もちろん辛いことだって複雑な事情だってある。それでもあそこには笑顔がたくさんあってみんなが、これが正しい、あれが正しいといちいち全部言われなくても仲間がいて一緒に前に進んでいける。(中略)きっと彼らは警察に補導されたことも特別非行に走ったこともないような私よりもすっと自分の人生を見据えてまっすぐ前に進んでいけているように感じる」
「十数年前の映像から特定の人物をクローズアップし、(熱血和尚の)廣中さんとの歩みを紹介するこのスタイルはドキュメンタリーならではでないでしょうか。(中略)私はドキュメンタリー番組に対して『雰囲気が重い番組=見づらい番組』という認識で、自分から進んで見ることはあまりなかったのですが、そんな私でもいつの間にか見入っていて、終わったときには涙がこぼれました。ドキュメンタリー番組は、見る側はその事柄について全く知らないことが多いと思います。そのため視聴者側から表現の工夫の仕方などを挙げるのは難しいです。制作の方々は視聴者に内容が伝わる最善の表現方法をこれからも見つけていってほしいと思います」
「逃げれば今度は追われる側となり、余計に息苦しくなってしまうことをおじさんは子どもたちに伝えたかったのだろうと思いました。中高生という、嫌なことには投げやりになってしまいがちの年頃の子どもに『逃げるな』というメッセージを与えることは、きっとその後の人生の基盤になっていくのだろうと思いました。逃げない、すなわち諦めない姿勢こそが、おじさんが子どもたちに与えた社会スキルだと思います」
などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は、3月23日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年2月24日(水)午後4時30分~午後6時30分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

かつて敵対する王女から虐待を受けた主人公の少年が、のちにその王女に復讐するという深夜のアニメ番組において、残虐行為や性的シーンについて、「暴力、性犯罪を助長させる内容で青少年に影響が大きく深夜とはいえ地上波で放送するべきではない」「残虐行為、薬物を使い人格を崩壊させる、性的行為などモラルに反する内容で青少年に悪影響だ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは、「子どもの見る時間帯なら問題だが、過激なシーンは映像がボカされたり真っ暗だったり、あからさまに描かれていない。深夜帯の放送であることをどのように考慮するか難しく、直ちに“討論”に進む必要はないのではないか」「他のアニメと比較した場合、この番組を特定のものとして取り上げることによって、他にも多くの作品を取り上げることになり、それによって表現の幅が狭くなってしまわないように注意する必要はある」などの意見が出された一方で、「アニメであること、深夜帯であることが免罪符のようになっていないか。番組の担当者はどのように考えているのか意見交換の場があってもいいのではないか」「登場人物がかわいく描かれていて、台詞も軽くて子どもが見ても大丈夫と勘違いされる恐れもあるので、保護者には気をつけてほしい」「今では夜中であっても録画で見られてしまう。録画制限のようなことはできないのだろうか」「アダルトアニメみたいな過激なものが、いくら映像がボカされているとはいえ、地上波に乗せることに関しては疑問に思う」といった意見が出されました。

学園ドラマにおいて、女性教師が未成年の俳優が演じる男子生徒を上半身裸にして強引にマッサージしたり、逆らったら部活の試合に出さないと言うシーンに関して、「男子生徒役は18歳にも満たない。番組内ではセクハラと表現しているが、これは性暴力だ。誤解を招き、役者の精神が心配だ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「映画では18歳未満の出演者が、性的な場面を演じると児童ポルノに入ってしまう可能性もある。劇場公開にかかわるセンシティブな問題となる」「“児童”と言われる分類に入る役者が演じる性的なシーンについて、テレビの制作者はどのような認識で臨んでいるのか知りたい」「役者を職業としてプロでやっている人が未成年で、性的なシーンを演じる場合、プロだからいいのかどうなのか、なかなか難しい議論だ」といった意見が出されました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした2月のテーマは、「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、27人から報告がありました。いつものように、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」についての欄も設けました。
課題に選んだ番組は、2020年度民放連賞 [テレビ教養番組]最優秀受賞作品
『ザ・ノンフィクション おじさん、ありがとう~ショウとタクマと熱血和尚~』(フジテレビ)。愛知県岡崎市の寺の住職・廣中邦充さんと、非行や虐待、いじめなどの理由によって親元で暮らせなくなった子どもたちとの11年間の歩みをしっかりと見つめた番組です。番組のタイトルに出ているショウやタクマも、ある時期、廣中さんのもとで過ごしました。番組では、子どもたちに「おじさん」と呼ばれ、慕われている廣中さんが、癌に侵されてもなお、亡くなる直前まで子どもたちに手を差し伸べ続ける姿を追っています。多くのモニターが、廣中さんの子どもたちへの愛情に感動し、また、番組に登場する子どもたちが自分と同世代であることに興味を持ち、自分の置かれた環境に照らしながら視聴した様子が伺えました。そして、思春期の子どもの成長には廣中さんのような本当に信頼できる大人の存在が必要であること、また、ショウやタクマの友情から、気持ちを分かち合える仲間は尊いものであることを読み取っていました。中には、「SNSでさまざまな人と簡単につながれてしまうことで、以前より子どもが抱える問題が複雑化し、危険性を増している今の時代には、駆け込み寺のような存在がより一層必要なのではないか」という感想を持った人もいました。
「自由記述」に寄せられた内容は多岐にわたりました。平日夜に放送されているニュース・報道番組で、キャスターがマスクを着用したままニュース原稿を読むことへの賛否やバラエティー番組でのコロナ対策に関する感想といった「コロナ禍の放送」という視点で書かれた意見、そして、2月13日夜に発生した福島県と宮城県で震度6強を観測した地震に関する記述。これらはいずれも複数名から寄せられていました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)に5人が、『ドラマ「ハルカの光」』(NHK Eテレ)に4人が、『ねこ育て いぬ育て』(NHK-BSプレミアム)に2人が感想を寄せています。

◆委員の感想◆

  • 【【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

    • 多くのモニターがのめり込んで視聴したようだ。自分の知らない世界、自分とは異なる環境から素晴らしい出会いによって立ち直った人たちの存在を知れたことがうれしかったということが、リポートからひしひしと伝わってきた。

    • これまでドキュメンタリーをあまり見たことがなかったというモニターが結構多かった。そのため、率直に、「自分か知らない世界があった」という驚きの声が寄せられていた。異なる境遇にある人への理解を深めたり、どうすれば問題が解決するのか考えたりしたようで、ドキュメンタリーの良さがしっかり伝わったのではないかと思う。

    • 廣中さんに心を寄せて書いているモニターが多かった。中には、廣中さんの人間性、懐が深く、おおらかで笑顔を絶やさない様子を見て、「私もおじさんのような人になりたいと心から思った」と書いたモニターもいた。中高生に、このように思わせるということは、とても良い番組だった証しだと思う。

    • 中高生モニターは中1から高3までの子どもたちだが、ショウやタクマなどの登場人物は年齢が近く、自分のことと重ね合わせながら考えてくれたモニターもいた。ショウが廣中さんに付き添われて、学校の担任に会いに行くシーンを見て、「学校というのはもっと合理的で、自由で、広い視野が持てる環境になってほしい」というような今の自分の環境における不満や問題意識を記述したり、「廣中さんのように自分のことを支えてくれた人に感謝する気持ちを持った」と感想を寄せたり、考察を深めながら視聴した様子が伺えた。

    • ショウの中学校の担任が、最初、事なかれ主義であるかのように描かれていて気になった。しかし最後にナレーションで、「先生がとてもよくケアしてくれた」というようなことが伝えられ、とても細やかにバランスを取っているのだなと感じた。

    • 最後まで、絶対に、自分のそばにいてくれる人がいるということが、子どもの成長に大きな影響を与えるとモニターみんな伝わったと思う。番組の中に出てきた家庭に問題があったり、「おまえなんか死んでしまえ」と親から言われてしまったりした子どもたちが、廣中さんのおかげで救われた様子に、私自身も感動した。

    • 廣中さんとショウとタクマの3人でバットを持った少年たちに話をつけに行く、というシーンについて、シーンの切り取り方が格好良くなりすぎていて少し疑問を持った。あのシーンはきっちり話をつけるというだけで終わっていたが、もしぶつかり合いになっていれば事件になった可能性もある。おそらく、放送されたシーンの前後には、話をつけるための調整など、もっと違うシーンが撮影されていたのではないかと思う。その部分を短く放送しても良かったのではないか。

    • 廣中さんの生き方が強く印象に残ったと感想を寄せたモニターは多かったが、登場する子どもたちに気持ちを寄せて考えたモニターは意外に少なかったような気がする。自分とは別世界で生きる子どもたちには共感しづらかったのだろうか。

◆モニターからの報告◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

    • 「仲間」の大切さなど「仲間」について学べる、とても良い番組だと思った。演出が上手だったのか、題材が良かったのかわからないが45分とは思えないほどあっという間に番組が終わった。それほど番組に引き込まれた。(千葉・中学1年・男子)

    • 登場人物が、自分とちょうど同じ年代の人たちだったので、興味を持って視聴できました。私がいちばん印象に残った場面は、ショウが地元の不良たちから殴られたとき、後日、おじさんも同行して、その人たちを呼び出して、交渉をしていた場面です。普通だったら、「もう地元には戻るな」で終わるだろうに、ちゃんと話をつけて、そして、最終的には、ショウは地元の中学校を卒業できました。地元に戻れたのも、おじさんが、逃げずに向き合うことの大切さを、身をもってショウに示したからだと思います。ただ、主な登場人物のタクマとショウの会話の中で、「金が無くなったら、恐喝していた」とか、ショウとおじさんとの会話で「バイクを盗むときは、マイナスドライバーとハンマーで」という言葉があり、どれだけ、過去に悪いことをしてきたのか、ということを伝えたくて、この場面が番組内に取り入れられたのだと思うのですが、私は不必要に感じました。なぜなら、恐喝されたり、バイクを盗難されたりした被害者の気持ちは置いてきぼりで、加害者目線の、しかもあまり反省の色もないままの発言に感じ、視聴者によっては、「金が無いときは恐喝すればいい」「マイナスドライバーとハンマーでバイクを盗めるのか」と参考にする人もいるのではないか、と思ったからです。悪事の具体的な行動や方法については、番組内ではあえて触れない方がいいのではと感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 2回ほどリストカットの跡が残った腕が出てきたのが、心に刺さった。思春期の子どもたちの精神状態が現れていて、大人たちに伝えることはでいると思うが、私はトラウマになるくらい怖かったので、腕にモザイクをかけてほしいと思った。(宮城・中学1年・女子)

    • 子どもたちを預かって、お金まで払って、とても愛を感じました。おじさんの周りにいるとみんな笑顔になって、人としてお手本になるような人だと思います。私もおじさんのような人になりたいと心から思いました。(山形・中学1年・女子)

    • 私は「あと半歩ふみだせ」というおじさんの言葉が印象に残りました。タクマは高校に進学し、ショウも中学校に復帰して、今は夢を持った社会人として活躍しています。自分ができる中で踏み出そうというおじさんの熱い思いが伝わってきました。また、子どもたちからおじさんへの感謝の気持ちもよく伝わってきました。私の周りには非行に走ってしまった人やいじめを受けている人はいないので、あまり知りませんでした。しかし、この番組を見た後で、いじめや非行、その支援について調べようと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • 本当にいい番組だと思いました。題材がとてもいいというのもありますが、番組の構成がしっかりしているので、見ていて考えさせられることが多くありました。このような番組はもっと宣伝をしていたほうが視聴する人も増えて、ノンフィクションの需要というのがより明確になると思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 寺で過ごす若者たちと和尚さんのありのままの姿を映し出しているような感じでいいなと思いました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 強い思いは人を変えることができるのだとよく分かった。私はボランティア活動ができる人に憧れている。廣中さんのようにはいかなくても、周りの人をよく見て、相手の気持ちを考えて行動することから始めていきたい。(東京・中学3年・女子)

    • この番組では非行に走ったという少年や少女たちを決してかわいそうに描いたり恐ろしく描いたりしていない。私たちとは事情や環境も違うはずなのに、身近に感じるほど対等に描いていると感じた。そして、今回のVTRを見終わって気が付いたことは、出てくる人々みんなが愛にあふれていて幸せに見えることだ。出て来る映像のほとんどが、みんなが笑い合っていて幸せそうだった。もちろんつらいことだって複雑な事情だってある。それでもあそこには笑顔がたくさんあってみんながこれが正しい、あれが正しいといちいち全部言われなくても、何が正しいのか、正しいとは何なのかを自分で見つけ出して前に進める。分からなくなっても仲間がいて一緒に前に進んでいける。私はそういったことは簡単なようで難しいと思う。私はそんな彼らがすごいと思った。きっと彼らは警察に補導されたことも非行に走ったこともないような私よりも、ずっと自分の人生を見据えてまっすぐ前に進んでいけているように感じる。(東京・高校1年・女子)

    • 特に印象に残っている場面は、ショウが学校に復帰するために担任の先生のところに和尚さんと話しに行った場面です。そこで担任の先生が、ショウに対して、学校に戻ってきてほしくないような口調でショウのことを叱りました。その時、和尚さんが、ショウのことを全面的に守り、担任の先生を注意したのです。ショウは自分の味方になってくれる大人がいると知り、とても安心したと思います。それを見て、私はまるで自分のことのようにうれしく感じました。このような心温まる番組が、コロナで悲しいニュースばかりの今の状況に求められているのではないかと感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 和尚さんのように、身近に頼れて、寄り添ってくれる人がいるのは心強いなと思います。番組を見て、自分にも支えてくれた人がいたかもしれないと思い返し、感謝するきっかけとなりました。自分も人に寄り添えるようになりたいと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • この作品を通して廣中さんの考え方や人生を少しですが知ることができました。だからなのか、最後の廣中さんが亡くなり、お葬式でかつて廣中さんにお世話になった人たちが泣きながら弔う場面で、思わず私も泣いてしまいました。それほど感情移入がしやすかったです。私はこの作品に出てくる人ほど厳しい人生を歩んでいるわけではありませんが、それでも胸に響いてくるものがありました。(愛知・高校1年・女子)

    • 自分は非行に走る人と無縁の生活をしてきたので、このような人たちがいることに驚いた。暴力団とつながると危険なことや足を洗おうとすれば筋を通せと言われること、未成年の薬物依存は、別世界の話だと思っていた。誰しもワルになった背景があり、更生できるということが分かったような気がした。自分はワルじゃないと思うけど、駆け込み寺のような存在は近くになくて、この状態に例えようのない不安を覚えたり、虚無を感じる人っているんだろうなと考えた。(東京・高校1年・女子)

    • 十数年前の映像から特定の人物をクローズアップし、廣中さんとの歩みを紹介するこのスタイルはドキュメンタリーならではなのでしょうか。このスタイルだと視聴者側は登場人物に対して感情移入しやすいので、自然に作品の意図・内容が入ってくるので気軽に見られてとてもいいと思います。私はドキュメンタリー番組に対して「雰囲気が重い番組=見づらい番組」という認識で、自分から進んで見ることはあまりなかったのですが、そんな私でもいつの間にか見入っていて、終わったときには涙がこぼれました。ドキュメンタリー番組は見る側はその事柄について全く知らないことが多いと思います。そのため視聴者側から表現の工夫の仕方などを挙げるのは難しいです。制作の方々は視聴者に内容が伝わる最善の表現方法をこれからも見つけていってほしいと思います。(熊本・高校2年・男子)

    • ショウのことを途中までは心配しながら見ていたのですが、最終的には中学校にも行くことができ、大人になって仕事をちゃんとしていて、とても安堵しました。和尚さんの頑張りもありますが、本人の頑張りがあったので、立派になられたのかなと思います。(長崎・高校2年・男子)

    • 人間のもろさを強く感じました。見た目は強そうだけど、実は人一倍心が弱った少年たち。和尚さんとの出会いは、彼らに生きることの意味を伝えるだけでなく、彼らが心の奥底でずっと求めていた本当の「愛」を教えるすごく貴重なものだったのだと思います。(東京・高校2年・女子)

    • 特に印象に残ったのは食事のシーンと、和尚さんが子ども一人ひとりの様子を見ているという2点だった。みんなで一緒にご飯を食べること。これは親の愛を十分に受けてこなかったり、親の仕事の都合で一人で食事を済ませたりしている子どもにとって大切な環境であり、その食卓が成長につながっていくのではと感じた。また、子どもたちの家族が抱える問題をも見通してしまう、和尚さんのような人は、核家族化やSNSの普及により、昔に比べて一層子どもが抱える問題が増え、複雑化した現在において重要な存在であるように思う。(千葉・高校2年・女子)

    • 逃げれば今度は追われる側となり、余計に息苦しくなってしまうことを、おじさんは子どもたちに伝えたかったのだろうと思いました。中高生という、嫌なことには投げやりになってしまいがちの年頃の子どもに「逃げるな」というメッセージを与えることは、きっとその後の人生の基盤になっていくのだろうと思いました。逃げない、すなわち諦めない姿勢こそが、おじさんが子ども達に与えた社会スキルだと思います。(東京・高校2年・女子)

    • さまざまな問題を抱える子どもを見てきた廣中住職もまた、昔はタクマと同様にヤンキーでした。ただ、そんな彼だからこそ、生活に悩む子どもを受け入れ、児童施設では決して癒されることがない部分にまで真摯に向き合ってくれ、叱ることなく、まずは笑顔で迎えるその場所は、時代が変わろうとも息苦しさを感じる生活の受け皿として、とても重要な役割をしているなと思いました。また、何より、自分も学校に悩み、少し自暴自棄な時期があったため、寺のような悩みを相談できる場所があれば、親を長い間困らせるようなことはなかっただろうに、と感じました。最後に住職の廣中さんが言っていた「逃げるなー」は、現実から目をそらし、ことを闇雲に終わらせ、あのときに行動を起こしておけばよかったと後悔させないために発せられていて、何もかもが中途半端に終わる自分にとってかけがえのない言葉になりました。(高知・高校3年・男子)

    • 今の社会の問題とは何か、正しい家族、人間関係の在り方とは何かということを考えさせられました。今、社会問題になっている親から子どもへの虐待、その逆である子どもから親への暴力のもとになる親と子どもの見えない溝、そんな溝の橋渡しをする役目を担ってくれていたのがこの番組で紹介されていた通称熱血和尚である廣中邦充さんだと思いました。今、核家族化や近所付き合いのなくなりなど、周りの人たちとの関係がなくなっている状況で、路頭に迷ったり人生に悩んだりしている子どもが多くなっていくかもしれません。和尚のように橋渡しをする。というのはなかなかできないと思いますが、話を聞いてあげたり、親の愚痴なども聞いてあげたりしてお互いのストレスを軽くし、関係に少しでもプラスの貢献ができるような人になりたいと思いました。ですが、それが余計な一言にもなるかもしれません。そんなときに、こんな和尚がいる駆け込み寺のような場所があってほしいなと思わせられる番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 私は今、悩むことやしんどく思うことが積み重なっていますが、この番組を視聴したことで、放っておいても時間が解決することがあるし、生活や人との関わりの中で解決策が見つかることもあるのではないかと考えられるようになり、少し気持ちが軽くなりました。(宮城・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • コロナ生活も、早いもので、もう1年となりましたが、そんな中でもテレビの存在は極めて大きいものだと改めて感じています。ちなみに、わが家は家族が在宅しているときは、ずっとテレビが付きっぱなしです。(長崎・中学1年・女子)

    • 朝の情報番組を見ていると、時々、有名人や芸能人が出演されていますが、正直「うるさいな」と思うことがあります。叫んだり、数人で騒いだりするシーンも見られ、コロナの状況を踏まえても、やや不適切な行為だと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 私は最近コロナの緊張感が緩んでいるように思います。世の中の空気を映し出し、全体の意識に大きく影響を与えるのはテレビだと思うので、気を引き締めるべきときは、テレビでも、もっと注意を呼びかけてほしいなと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • バラエティー番組のひな壇で横にはアクリル板が立てられていても前後にはないときなど、感染対策として正しく効果を発揮できているのだろうかと不安に思ってしまうことがあります。心配してしまって番組に集中できないこともあるので、表情をしっかり見られないのは残念ですが、出演者がマスクを着用している場面があってもいいのではないでしょうか。(宮城・高校3年・女子)

    • 今のテレビ番組はコロナの感染対策も十分されていて安心して見ることができています。強いて言うならば、番組のはじめにどんな感染対策をしているか紹介してもらえるとそのテレビ番組への信頼も上がると思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)で、キャスター同士がスタジオ内で会話するときにマスクを着用することにした件について。インターネット上でも称賛の声が上がっていましたが、私はこの取り組みに疑問を抱きました。マスクをするとキャスターの口の動き・表情がわかりづらく、(2月時点では)この番組は字幕放送に対応していないため、特に聴覚障害を持っている方などはニュースの内容が分かりづらいのではないかと思いました。(熊本・高校2年・男子)

    • 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)コロナの状況の中、テレビ東京のアナウンサーがマスクを着けたままニュースを報道したことについて、私は、緊急事態宣言の緊張感を取り戻すことができて良い試みではないかと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 今シーズンのドラマは、簡単に人が死んでいく、残酷な死、暴力的な死が、とても多いように思います。命の重さは、ドラマでは描ききれないところもあり、とても不安になります。そんな中、『木曜ドラマ「にじいろカルテ」』(テレビ朝日)は、助け合って生きる姿が描かれていて、今のコロナ禍に、柔らかな気持ちになります。メディアは、視聴者に生きることのすばらしさを伝えてほしいと願います。(群馬・中学3年・男子)

    • 先日の地震を受け、新型コロナウイルスが流行する中での避難方法、ポイント、現状をメディアで流してもいいのではないかと思いました。メディアには影響力があるからこそ正しい情報、国民の役に立つ情報を流してほしいと思いました。そして地震で不安になっている人もいると思うので、少しでも心が落ち着く情報を流してほしいと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • つい先日の福島県沖での地震で久しぶりに大きな揺れを自宅で感じ、東日本大震災から10年たつのかということも思い出しました。人間は忘れやすい生き物とも言われていますが、メディアなどを通して記憶を風化させず、これからの災害の予防として、いかしていくこともできる生き物だと思います。自分が将来大人になってもそんな記憶を風化させない番組が続いていてほしいなと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • いつも1時間の番組が、放送時間を拡大して2時間、3時間になるのが最近多い感じがします。延長が多くて、ときには見飽きてしまうこともあるのですが、放送局側としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。(東京・高校1年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)ちびまる子ちゃんは昔から面白いという印象がありましたが、今見ても面白かったです。ボケとツッコミがあって、間もお笑いみたいで、面白いポイントを押さえているからかなと思いました。気を付けて見てみると、背景がよく変わったり、BGMもたくさん流れていて、よく作り込まれているのが分かりました。ちょっとお馬鹿なエピソードが小学生らしくてよかったです。(千葉・高校1年・女子)

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)時代のギャップを感じました。ちびまる子ちゃんの世界では、まる子の家は大家族で、また彼女は、おかっぱでサスペンダーの服をいつも着ています。このような光景は、最近だと街に全く見られないので、新鮮で、かつ懐かしさとともに心がほっこりしました。時代とともにバラエティーなどテレビ番組の形態は進化していきますが、アニメの世界観はもとのままで居続けていてほしいと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『ドラマ「ハルカの光」』(NHK Eテレ)このドラマを視聴して、光は人の視界を照らすだけでなく、人生に悩む人に明るい未来へと続くヒントをくれる不思議な力を与えてくれるんだと感じました。(高知・高校3年・男子)

    • 『ねこ育て いぬ育て』(NHK-BSプレミアム)動物を飼う大変さがよく分かった。私はいつか保護犬・猫を飼いたいと思っていたが、番組を見て私には無理だと痛感させられた。一見楽しそうに見える番組だが、動物を軽はずみに飼いたいと言わせないような番組だと思った。(東京・中学3年・女子)

    • 『パオガオ』(琉球朝日放送)動物園にいる動物のことを紹介している番組だった。動物の身体的特徴や食事の仕方などなど、細かい部分まで紹介しているので、その動物の生態をよく知ることができ、実際に行って確認してみたくなった。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

  • 調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、3月に実施する各放送局を対象としたアンケート調査の最終確認を行いました。

以上

第157回 放送倫理検証委員会

第157回–2021年2月

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見と、「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について意見交換

第157回放送倫理検証委員会は2月12日に開催された。
委員会が1月18日に通知・公表したフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見の通知・公表について、委員長と担当委員から詳細が報告された。
委員会が2月10日に通知・公表したフジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について、出席した委員長と担当委員から当日の様子が報告された。

議事の詳細

日時
2021年2月12日(金)午後3時~午後6時
場所
オンライン
議題
出席者

神田委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、大石委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見の通知・公表について報告

フジテレビが2018年10月20日から2019年10月26日にかけて放送したクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、委員会は、解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている「1人対99人」というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るものであり、また、NHKと日本民間放送連盟が定めた「放送倫理基本綱領」の「放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」との規定に照らし、制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、放送倫理違反があったと判断した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、1月18日、当該局への通知は電子メールで行い、公表は委員会決定をBPOのウェブサイトに掲載する形で行い、記者会見の開催は見合わせた。広報を窓口に質問を受け付けたところ、当日数件の確認の連絡が寄せられた。
この日の委員会では、委員会決定を伝えた当該局のニュースを視聴し、委員長と担当委員が通知・公表の経緯について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表について報告

フジテレビは、2019年5月から2020年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」の一部に架空データが含まれていたとして、2019年5月13日から2020年6月1日にかけて18本のニュース番組で報じた一連の世論調査結果に関する放送を取り消した。世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年余りにわたって報じたもので、委員会は、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めないとして、本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言発出を踏まえ、2月10日、当該局に対する通知および公表の記者会見をオンライン会議システムを使用して行った。
この日の委員会では、委員会決定を伝えた当該局のニュースを視聴し、委員長と担当委員が会見での質疑応答などについて報告した。
通知と公表の概要は、こちら

以上

2021年2月10日

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見の通知・公表

上記委員会決定の通知は、コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発出されていることから、2021年2月10日午後1時30分からオンライン会議システムで行われた。委員会から神田安積委員長、高田昌幸委員、巻美矢紀委員の3人が出席し、フジテレビからは5人が出席した。
まず神田委員長から、委員会決定について、「架空データが含まれた一連の世論調査報道」には重大な放送倫理違反があったと判断したことを通知した。その理由として、架空データが含まれた世論調査の結果を正しい世論調査として放送し、事実に反する情報を視聴者に伝えた点を挙げた上で、当該局は架空データ作成に関与しておらず、本件放送において意図的な作為もなかったものの、世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査のニュースを1年余りにわたって合計18本放送し、市民の信頼を大きく裏切り、また、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない、と指摘した。
続いて高田委員は、民主主義の根幹である世論調査の信頼性に大きな影響を与えたことに言及した上で、「委託先の調査会社が全面的に信用できると考え、立ち会いで防げたかもしれないのに立ち会わなかった」といった、過去の審議事案と同様の思い込みや判断ミスが認められるとし、「ニュース番組で報じる以上、世論調査もジャーナリストの取材活動の一環であるとの認識があれば、委託先の作業であっても、より目配りがきいて今回の事態を防止できた可能性がある」と述べた。巻委員からは、「民主主義における世論調査の重要性を強く認識している以上、委託先に任せたままにせず、何らかの対応を取るべきだった。再発防止策をつくり、世論調査を開始しているが、二度とこうした事態を招かないようジャーナリストとしての目線を欠かさないでいただきたい」との意見が示された。最後に神田委員長から「結論として重大な倫理違反と評価しており、再発することがないように自主的、自律的な努力を続けていただきたい。」と要望が伝えられた。
これに対してフジテレビは、「本日の決定をきわめて重く受け止めている。ご意見を真摯に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしていきたい」「世論調査は先月再開したが、不正防止策を徹底していくことで、視聴者の信頼回復に努めていきたい」と述べた。

続いて、午後2時30分から同じくオンライン会議システムによる記者会見を行い、委員会決定を公表した。記者会見には42のアカウントから参加があった。
はじめに神田委員長が「本件放送は、フジテレビが、架空データが含まれた世論調査の結果を正しい世論調査として放送し、事実に反する情報を視聴者に伝えたものであり、放送倫理基本綱領、民放連放送基準の前文、さらには、放送基準の第32条に反しているものと評価される。フジテレビは、架空データ作成に関与しておらず、また意図的な作為もなかったが、世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、意見書の別表に記載したテーマに関し、架空データが含まれた世論調査報道を1年余りにわたり、合計18回放送したものであり、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めない。これらの点を踏まえ本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した」と述べ、意見書の構成に沿って概要を説明した。
続いて高田委員は「専門の業者に調査そのものを任せたとは言え、世論調査に関する作業はすべて取材活動の一環であり、集めた材料が正しいかどうか、記者として仔細に検討し、裏付けを取り確認に確認を重ねるという、ジャーナリストとしての初歩の行いを貫徹することができていれば、また違った結果になったと思う」と審議を振り返った。
巻委員は「ヒアリングを通じ、当該局の皆さんが民主主義における世論調査の重要性を認識していることがわかったが、そうであれば、委託先の調査会社に任せたままにせず、ジャーナリストとして適切な対応を取るべきだったのではないか」と述べた。

記者会見での主な質疑応答は以下のとおりである。

Q: この調査は産経新聞社と合同だが、主体はフジテレビだったという認識か。
A: BPOは放送のみを対象としている。新聞社は検証の対象にしておらず、フジテレビのみを対象として調査をした。(高田委員)
   
Q: 本件において、委員会は委託先、再委託先をヒアリングの対象としていないが、不正に実効的な役割を果たしていた再委託先、ないしは委託先にヒアリングしなかったのはなぜか?
A: フジテレビが委託先、再委託先にヒアリングを実施しており、フジテレビに対する委員会の調査で委託先、再委託先のシステムの実態について必要な情報が得られた。フジテレビに対するヒアリングの内容に特段の疑義があれば委託先、再委託先にヒアリングを求めることもあり得たが、今回の事案では、フジテレビからの聞き取りで事実認定が可能と判断した。(神田委員長)
   
Q: 他の新聞やテレビ各社に比べフジテレビのチェック体制はどうだったと評価しているか?
A: 委託先への立ち会いに入るか、入らないかなどは、他メディアと比べての判断ではない。今回はヒアリングでも、当のフジテレビ自身に、委託先を訪問していれば防ぐことができたかもしれないとの認識があり、我々もヒアリングを重ねる中、訪問していれば、防ぐことが出来た可能性があった、という判断をしている。他局と比べての判断ではない。(高田委員)
   
Q: フジテレビは取り消した放送18本の世論調査の結果と、それを修正した結果を、現在に至るまで公表していない。不正の内容を公表するべきと考えるが、委員会では明らかになっていない状態をどう考えるか?
A: 訂正をどのように行うかは、それぞれの当事者が自主的に判断することだと思う。取り消した場合はこのような内容で放送しなさいと言うことは、もとよりBPOの役割ではない。(高田委員)
放送の取り消しの方法には、各局の自主的・自律的な判断がある。取り消した放送の内容を紹介・周知することもひとつの考え方であり、それを明らかにしないということも、その是非は別として、当該局の判断だと考える。そこで、どのような内容の放送の取り消しだったのかということを事実として別表に客観的に記載するにとどめ、当該局のかかる自主的・自律的な判断については委員会が評価を控え、意見書の読み手がそれをどう評価するかに委ねることとした。(神田委員長)
   
Q: 重大な放送倫理違反があったという結論だが、重大がついた理由は?
A: 報道番組における重要な情報である世論調査であることを前提とし、フジテレビがその世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにしていたこと、その時々に世論形成に大きな影響を与える重要なテーマに関して架空データが含まれた世論調査報道を1年余りにわたり合計18本放送したということを踏まえ、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことを総合的に考慮し、委員会で議論の結果、重大な放送倫理違反があったとの判断に至った。(神田委員長)
   
Q: 1人に任せきりだったということだが、政治部長や、報道局長、あるいは解説委員室もあると思うが、一緒に作業をしていなかったということか?
A: トピック的にその時々の政治情勢、社会情勢に関する質問をつくる場合、報道局内で声をかけ質問を集め検討はしていた。ただ、委託先の世論調査会社から(調査の)答えが返ってくると、そのデータは共有するが、分析・解析、ニュース原稿の作成といったプロセスは担当者に任されていた。政治部長や報道局長は、職制上は当然関わっているが、事実上任されていた。(高田委員)

以上

第289回放送と人権等権利に関する委員会

第289回 – 2021年2月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理…など

議事の詳細

日時
2021年2月16日(火)午後3時~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、番組において「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果を示して、「人権侵害は認められない」と反論している。
委員会は、前回委員会の審理をもとに修正した決定文の修正案が起草委員から示され議論を行った。その結果、リアリティ番組の特性、番組における演出、放送とSNSにおける誹謗中傷の関係などの論点については、概ね意見がまとまった。インターネットでの配信後の経緯において放送を行ったことや同意書兼誓約書の存在などを人権侵害や放送倫理上の問題としてどのように判断するかという論点については、委員会全体の結論には至らなかった。次回委員会で最終決定に向けて審理を尽くすことを確認した。

2. その他

今後の委員会の予定について、事務局より報告があった。

なお、感染症拡大防止の緊急事態宣言延長にともない、今委員会も全委員とオンラインで結んで開催された。

以上

第40号

フジテレビ「架空データが含まれた一連の世論調査報道」に関する意見

2021年2月10日 放送局:フジテレビ

フジテレビは、2020年6月19日、2019年5月から2020年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったと発表した。フジテレビが調査を委託した会社が再委託した調査会社で、実際には電話をしていないにもかかわらず「電話をした」として架空の調査データが入力されていたと明らかにした。フジテレビは世論調査を休止し、2019年5月19日から2020年6月1日にかけて18のニュース番組で伝えた世論調査結果とそれに関連する放送を取り消した。
2020年8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、調査を委託した会社が不正の行われた調査会社へ再委託した経緯自体をフジテレビが把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決め、議論を続けてきた。
日本民間放送連盟(民放連)とNHKが1996年に定めた放送倫理基本綱領は「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」と定め、また、民放連の放送基準の冒頭では「世論を尊び」「正確で迅速な報道」の重視を求めている。さらに放送基準の第32条は報道の責任として「事実に基づいて報道し、公正でなければならない」と規定する。
委員会は、本件放送は世論調査の業務を委託先の調査会社に任せたままにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年余りにわたり報じたもので、市民の信頼を大きく裏切り、他の報道機関による世論調査の信頼性に影響を及ぼしたことも否めないとして、本件放送には重大な放送倫理違反があったと判断した。

2021年2月10日 第40号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2021年2月10日 決定の通知と公表

コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が発出されていることから、当該局に対する通知は2021年2月10日午後1時30分からオンライン会議システムで行われた。また公表の記者会見は午後2時30分から同じくオンライン会議システムで行われ、委員長、担当委員が決定の説明及び質疑応答を行った。記者会見には42のアカウントから参加があった。
詳細はこちら。

2021年6月11日【委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み】

委員会決定 第40号に対して、フジテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年6月1日付で提出され、委員会はこれを了承した。

フジテレビの対応

全文pdf

目 次

  • 1.経緯、委員会決定時の報道と社内部局への周知
  • 2.再発防止策の策定・公表と世論調査再開
  • 3.委員会決定を受けての取り組み
  • 4.終わりに

第230回 放送と青少年に関する委員会

第230回-2021年1月

視聴者からの意見について…など

2021年1月26日、第230回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、1件の番組について継続「討論」しました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」などの意見が寄せられた件について、前回委員会に続いて「討論」を継続しました。その結果、この件については「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって「討論」を終了することになりました。
1月の中高生モニターのリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。26人から報告がありました。
大みそか恒例の音楽番組について、「飽きなかった理由は、コロナ禍で、無観客で行われたため、無観客だからこそできる、別スタジオで歌ったり、CGを使ったりしていて、歌と歌の間隔が短かったように感じたからだと思う。(中略)幅広い世代のアーティストが出場していて、若者からお年寄りまで、楽しむことができたのではないかと思う。(中略)問題点としては、“合戦”とする必要があるのか疑問に思った。(中略)昔から続いているからだと思うが、基本的には紅組は女性アーティスト、白組は男性アーティストと決まっており、なぜ男女で分けるのか、今の時代ではおかしいと感じる人も多くいると思った」、4年前に放送された連続ラブコメディー・ドラマのスペシャル版について、「時代背景がタイムリーで新型コロナに振り回された世界がよく描かれていると思いました。新型コロナによって(初めて)緊急事態宣言が出された頃の緊張感を思い出し、今の私のウイルスに対する危機感のゆるみを感じました。あくまでドラマの中の世界ですが、まるで実話のように物語がリアリティーをもって進んでいくので、より世界観を身近に感じました。また、女性の産休・育休制度の取りづらさや男性の育休制度の取り方に対する疑問、同性婚に対する理解についてもドラマ内で触れられており、社会に対する改善点も改めて再認識できました」、21世紀に世界で起こった「巨大な転換点」に注目した報道番組について、「時事問題を主に扱う報道番組とは異なり、放送6時間を使って米中対立の“はざま”に立つ日本がどのような対応をしたのかを深く探り、時がたったからこそ発見された新たな取材やキーパーソンによる証言を基に21世紀の歴史を紐解き、WEBメディアや新聞でさえ情報の複雑性や時間の都合上報道できない事件に触れられているため、テレビの存在意義が際立った番組となっていた。(中略)この1年間の報道番組やバラエティー番組も含めて最も“面白い”番組であったなと思います」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は2月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年1月26日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、12月前半から1月前半までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
芸人の不倫謝罪記者会見の模様を伝える情報番組について、「記者の質問がひどく、公開のいじめで言葉の暴力のようだった。それを各局が朝から晩まで垂れ流しているが、子どもも見ている」「記者会見は未成年の私が見ても記者によるいじめにしか見えなかった」「集団リンチが放送されているようだ。大人がやっているのだから子ども同士でやるようになる」といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「緩い質問をしたら忖度し過ぎだとか、タレントの側に肩を持っているとか言われてしまう。従来やってきたワイドショーのやり方としては、ある程度突っ込んで、そこから本音を引き出すというのがスタイルだったのではないか」といった意見が出されました。

ネット上にあふれる「デマ」や「フェイク情報」とどう向き合えばよいのか、その具体的な方法を専門家と考える番組について、「SNSで実際に被害を受けた人の経験をもとに漫画で解説していて、専門家の話も的確だった。若者にも分かりやすかった」「勉強になった。SNSをよく使う若者に見せたい番組だ」
といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは「子どもが見るかどうかわからないが、ある意味時宜にかなった番組だと思う」「青少年委員会の調査研究のテーマであるメディア・リテラシーの向上につながる番組だと思う」といった意見が出されました。

学校内に常駐する警察官が、学内の悪と対決するというドラマについて「中学生に手錠を掛けたり、ピストルを突き付けるなどやり過ぎだ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「学校に警察官が警棒と拳銃を持って常駐し、法を犯した子どもを速攻警察に突き出すという設定は、学校と警察があまりにも近い関係に見え、ドラマとはいえ不気味な感じがする」といった意見が出されました。

これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

次に、前回委員会を受けて、1件の番組について継続「討論」しました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクでロリコンを自称するお笑い芸人が、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話をしたことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」などの意見が寄せられた件に関して、継続「討論」しました。当該局からは参考資料として追加の報告メモも出されました。
委員からは、
「報告メモを読むとGPSと性犯罪の結びつきを認識できなかった人、認識したけどスルーしてしまった人がいる。再発防止の勉強会を開催したそうなのでそれを活かしてほしい」
「報告メモには芸人の発言に違和感を持ったスタッフがいたという。誰かが違和感を持ったのならば表に出して話し合う、そんな体制を築いてほしい」
「芸人さんは発言を“盛る”ので本当かどうなのか分からないことを局側がすべてチェックするのは手間がかかるし、これは犯罪を助長させる発言ではないのでカットしにくかったのだろう。ネットでも問題になり、テレビ局にも随分とクレームがあったと思うので、一旦そこで考えて、これからの番組の在り方について考えられた一つのきっかけとしては、よかったのではないか」
「アイドルオタクやロリコンが悪いわけではないので、チェックの過程でうっかりスルーしてしまったのだろう。今回は制作者の中でも心の緩みがあったということなので、今後作る側としてもきちんと認識してもらえるようになればいいと思う」
「局側に問題点を知らせたことで、事実を知らなかった人は知るし、チェックの際、違和感を持っていた人は、違和感を放っておかないでおこうと思ってくれたことはよかったのではないか」
など、問題意識を持つことの重要性と今回の委員会の討論を今後の体制作りに生かしてほしいとの意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした1月のテーマは、「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で26人から報告がありました。
「年末年始に見たスペシャル番組について」では、全部で13番組について取り上げられていました。複数のモニターが挙げたのは4番組で、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)に8人が、『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!「絶対に笑ってはいけない大貧民Go Toラスベガス24時」』(日本テレビ)に4人が、『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に3人が、『芸能人格付けチェック!2021お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)に2人が感想を寄せています。
「自由記述」では、多くのモニターが、コロナ禍で放送に何を求めるかについて記述しています。いつ収束するか分からず不安な状況だからこそ、笑顔になれる番組や元気をもらえる番組が必要だという意見が複数寄せられました。コロナ報道については、「報道の仕方を、感染を身近に感じられるよう工夫すれば感染者数を減らせると思う」「新型コロナウイルスはどういうウイルスなのか、どういう対策が必要か、いま一度周知してほしい」という要望もありました。また、「スタジオ番組はリモート収録に戻した方が良い」という声も寄せられました。ほかには、年末年始の番組編成について、「ニュース・報道番組が少ない。もっと増やしてほしい」という意見がありました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『世界は教科書でできている』(NHK総合)を6人が、『サザエさん』(フジテレビ)を4人が、『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)を3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】

    • いくつかの番組に関して、「新型コロナへの感染対策がなされておらず、心配になった」や反対に、「対策がされていて安心した」という意見が寄せられていた。マスクやフェイスシールドの着用の有無、出演者同士の距離など、対策が万全かどうかを、子どもたちがかなり厳しくチェックしていることが伺えた。

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)あるモニターが、「選択的夫婦別姓、妊娠・出産、男性の育休など、かなり多くの社会問題の話ばかりしていて、普通なら難しくてつまらないものになりそうだが、演出によって面白く、気軽に見られたところがすごい」と記述していた。この意見はぜひ、制作者に教えたい。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)従来の、NHKホールだけを使って生放送するというスタイルだと、どうしても間を持たせるための工夫が必要で、それが一部の視聴者から「興ざめだ」と思われていたのが、今回は、3つのスタジオを使って、すでに撮影してある素材も取り入れながら音楽を聞かせる、というスタイルだったため、若い視聴者からとても好意的に受け入れられていた。『紅白歌合戦』が今後どういう作りになっていくか分からないが、今回のモニターの反応は今後の参考になると思った。

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)テレビ放送と同時間帯でYouTube生配信を行っていて、モニターの中には、この番組を、テレビを見ながら同時並行でYouTubeでも視聴したという人がいた。視聴の在り方として大変興味深かった。

    • 「下ネタがひどすぎてチャンネルを変えてしまった」というモニターがいた。笑いをとる場面で下ネタを使った場合、若い視聴者の中には、それが嫌でチャンネルを変えてしまう人もいるということを、制作者にフィードバックした方が良いと思った。

  • 【自由記述】

    • 年末年始に、特番的なものばかりではなく、普段のニュース番組もきちんと放送してほしいという意見が少なくなかった。若者もニュースを見るという習慣がついていると感じた。例年だったら、このような意見は来なかったかもしれないが、今年はコロナで「年末年始はニュース番組が少ない」ということが気になったようだ。

    • 過去に放送されたドラマの全話再放送については賛否両論あるが、あるモニターから「やる気がないようにも見える」という意見が寄せられていた。今後の放送を模索していくうえで、1つの意見として放送局に伝えたいと思う。

◆モニターからの報告◆

  • 【年末年始に見たスペシャル番組について】

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)コロナについても描かれていて、とても身近に感じることができた。(登場人物の)みくりちゃんと平匡さんがコロナに立ち向かっていて、「頑張っているのは私だけじゃないんだな」と孤独感が紛れた。(宮城・中学1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)SP決定という発表から楽しみにしていた作品だったので、期待が大きかったが、その期待を裏切らない内容だった。放送局を超えて織り込まれたパロディ(妄想)や、主人公だけでなく登場人物のキャラクターの嫌味のない個性が光るほんわかとしたやり取り、深刻な内容なのにクスっと笑える場面があり、見ていて苦しくないドラマだった。誰もがストレスを抱える今、どう乗り越えるかを考えること、発信すること、協力し合うことで乗り越えられるという希望を与えてくれる結末で、自粛の年末年始にふさわしいスペシャル番組だったと思う。「お受験」や「仕事や社会の変化」など、まだまだネタはありそうなので、続きが楽しみなドラマになった。(群馬・中学3年・男子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)こんなに社会問題の話ばかりしていて、難しくてつまらなくなりそうなものですが、演出によって面白くドラマとして気軽に見られるところがスゴイと思います。局の垣根を越えてパロディをやっていてこだわりを感じるし、間やネタが自然で面白いと私は思います。みくりの衣装も毎回チェックするくらいにかわいいです。(千葉・高校1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)近頃、ジェンダーについて考える機会が多かった。学校の授業でも扱うようなメジャーな問題だ。また、家で違和感を抱くことも多くなった。私が雑に物を扱うと、母に「女子なんだから恥ずかしいよ〜」と言われた。らしくあることを求める社会で、性別役割を覆すことは難しい。そんな中で、当たり前に育休を取ったりするのがかっこよかった。これが当たり前の社会になったらいいと思う。(東京・高校1年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)時代背景がタイムリーで新型コロナに振り回された世界がよく描かれていると思いました。新型コロナによって(初めて)緊急事態宣言が出されたころの緊張感を思い出し、今の私のウイルスに対する危機感の緩みを感じました。あくまでドラマの中の世界ですが、まるで実話のように物語がリアリティーをもって進んでいくので、より世界観を身近に感じました。また、女性の産休・育休制度の取りづらさや男性の育休制度の取り方に対する疑問、同性婚に対する理解についてもドラマ内で触れられており、社会に対する改善点も改めて再認識できました。(東京・高校2年・女子)

    • 『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBSテレビ)内容を、特に社会問題を盛り込みすぎた感は否めず、単純にコメディとしてこの作品を楽しみたかった人からすると、少し内容に不満足だったのかなとも思った。(千葉・高校2年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)特に印象に残ったのは、松平健さんが持ち歌の「マツケンサンバⅡ」を披露してくれたのですが、その替え歌が前半は笑いネタの歌詞だったのですが、後半では「こんな世の中でも歌おう みんなで 生きてさえいれば 未来は来る」「ガンバ 日本ガンバ み・ん・な・で・ガンバ 日本!」という歌詞で歌ったところです。今のコロナ禍を踏まえた応援歌のように思え、感動してなんだか泣きそうになりました。笑いばかりでなく、その笑いを通して、視聴者に勇気を与えてくれるこの番組は、やはり偉大だなと感じました。こんな状況下で、番組制作してくださったスタッフやタレントの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。(長崎・中学1年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)今年は新型コロナウイルス感染防止の観点からどのような番組構成になるんだろうと思っていましたが、例年と変わらない面白い番組になっていて、こんな状況下でも面白い番組が作れるのはすごいと思いました。特に私は番組序盤に登場した井上芳雄さんと神田沙也加さんのオープニングミュージカルが好きでした。ミュージカルで感染対策を表現しており序盤からとても明るい番組になっているのがいいと思いました。ただ、番組全体でマスクやフェイスシールド、マウスシールドを着用していなかったり、距離をとっているようには見られなかったりと、多くのゲストが登場しているのに、一般的な感染対策をしていないのが残念に見えました。出演者も多いと思うので感染対策をせめてしっかりとしていた方が視聴者にとっても出演者にとってもいいのではないかなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『ダウンタウンのガキの使い!大晦日年越しスペシャル!』(日本テレビ)豪華な俳優が気合の入った演技で笑いをとろうとするところは面白かった。ただ、今回は笑いをとろうとするネタの場面で下ネタを使ってくるところが多く、あまりにひどい場面もあったのでチャンネルを変えたこともあった。(東京・高校1年・男子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)今年は飽きずに見られた。飽きなかった理由は、コロナ禍で、無観客で行われたため、無観客だからこそできる、別スタジオで歌ったり、CGを使ったりして、歌と歌との間隔が短かったように感じたからだと思う。また、知っている歌が増えたこともあり、ずっと見ていても飽きなかった。幅広い世代のアーティストが出場していて、若者からお年寄りまで、楽しむことができたのではないかと思う。さらに、連続テレビ小説「エール」の特別企画もあり、僕は「エール」を見ていたので、ドラマの出演者や劇中の歌が出てきて、とても楽しむことができた。問題点としては、「紅白歌合戦」と名前がついているが、“合戦”とする必要があるのか疑問に思った。確かに、歌を競い合った方が盛り上がるとは思うが、近年、勝敗があまり関係なくなってきているように感じ、“合戦”ではなく“歌番組”にしても良いのではないかと感じる。また、昔から続いているからだと思うが、基本的に紅組は女性アーティスト、白組は男性アーティストと決まっており、なぜ男女で分けるのか、今の時代ではおかしいと感じる人も多からずいるのではないかと思った。(長野・中学2年・男子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)毎年見ていて、とても楽しみにしている番組です。テレビでしかできないリモコンを使って視聴者が参加できるものやCGを使った演出があって、いつもより楽しく見られました。コロナで大変だけどみんなで頑張っていこうというようなメッセージが込められた演出はとてもいいと思いました。暗くなりがちな世の中を元気づけてくれる番組をたくさん見たいです。(岡山・中学2年・女子)

    • 『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)毎年見ていますが、いつもは親戚で集まっている中で見ていたので番組を流している程度でした。しかし、今年はコロナ禍で家族だけなのでしっかり見ることができました。流行ったアーティストがたくさん出演するので見応えのある番組だったと思います。コロナ禍で出演者を分散させていることで、演出上良い相乗効果もあるのでは、と思いました。いつもは観客やゲストがいて、会場のお客さんも含めた演出をしていたような気がしますが、今年は無観客のためか、そういった演出もなくシンプルな印象でした。個人的にガヤガヤする寸劇のようなものは当たり外れがあると思うので今回の方が見やすくていいと思いました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『芸能人格付けチェック!2021お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)新型コロナウイルスの影響があった中、いつもと変わらない面白さがあり、工夫が素晴らしいなと思いました。例えば、部屋に入る前に出演者全員が毎回消毒をしたり、部屋の中で1人1人椅子が仕切られていたりと、感染症対策が万全に行われていたため、安心して見ることができたと思います。また、番組内でGACKTさんがおっしゃっていたことの中でとても共感したものがありました。どちらの演奏がプロでどちらの演奏が高校生の演奏か、を当てる吹奏楽の格付けチェックの際、「もし、高校生の演奏をプロの演奏だと聞き間違えて選んだとしても、高校生たちに夢を与えられるなんて、なんと良い番組なんだ」ということです。コロナでコンクールがなくなってしまった高校生にとって、希望を持てるきっかけとなったはずです。同じ高校生として見ていて私も嬉しく感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 『ゆく年くる年』(NHK総合)『紅白歌合戦』のお祭りムードから、「ついに今年が終わるんだ!」という気持ちになり、不思議な気分になります。大みそかの楽しい番組も良いですが、このような静かな番組も素敵でした。(愛知・中学2年・女子)

    • 『報道の日2020激動の21世紀~米中、そして日本』(TBSテレビ)時事問題を主に扱う報道番組とは異なり、放送6時間を使って米中対立の“はざま”に立つ日本がどのような対応をしたのかを深く探り、時がたったからこそ発見された新たな取材やキーパーソンによる証言をもとに21世紀の歴史をひも解き、WEBメディアや新聞でさえ情報の複雑性や時間の都合上報道できない事件に触れられているため、テレビの存在意義が際立った番組となっていた。非常にためになりました。この1年間の報道番組やバラエティー番組も含めて最も“面白い”番組であったなと思います。(高知・高校3年・男子)

    • 『RIZIN.26』(フジテレビ)毎年この番組を見ています。全然知らない(格闘技の)選手がたくさんいたのですが、みなさんとても強くてカッコ良かったです。1人1人が全力で戦っていて、「自分もこれからいろいろと大変なことがあると思うけど、この人たちみたいに諦めず、全力でやり切れるようなカッコ良い人になりたい」そう思うことができました。ですが、コロナがひどい中、生で見たいと試合場にいる人が多すぎると思います。いくらソーシャルディスタンスをとっていたとしても危険だと思うので、見に来る人をもっと少なくする、もしくはなくした方が良いと思いました。(岐阜・中学・2年・女子)

  • 【自由記述】

    • 『佐藤健&千鳥ノブよ! この謎を解いてみろ!〜天才謎解き集団からの挑戦状〜』(TBSテレビ)リアル脱出ゲームの面白さと謎解き以外の要素のミックスがとても面白かった。特に最後の問題は、テレビ会社ぐらいの規模がないとできないギミック(仕掛け)を使っており、リアル脱出ゲームとテレビのミックスを楽しむことができた。(千葉県・中学1年・男子)

    • わが家は、お笑い番組と歌番組を家族で見る時間が多かった。みんなで大笑いしたり歌ったりすることができて良かった。年代を問わず笑顔になる番組が今は必要だと思った。(群馬・中学3年・男子)

    • コロナが拡大することによって、もしかしたら、この環境の変化が新たな文化を生み出すきっかけにもなるのかもと思いました。特に、テレビという全国民が多く触れる世界においては、いち早く、さまざまな変化に対応していかなければならないから大変だろうなと思いますが、視聴者に大きな影響を与えることのできるテレビだからこそ、これからも進化し続けて、私たち視聴者を楽しませてほしいです。(長崎・中学1年・女子)

    • ドラマで、コロナウイルスが広まる前後と収束した後の生活の経過を描いていたことで、ストーリーがより身近に感じられました。過去のドラマを見ていて、登場する家電製品や携帯電話を懐かしく思うことが多いので、コロナ対策の生活様式も昔の映像の中だけのものになる日が早く来てほしいです。(宮城・高校3年・女子)

    • 最近コロナウイルスが流行する世の中(あるいは広まった後)の舞台のドラマが多いような気がします。人々の生活環境が大きく変わり、今まで当たり前だったことがそうではない状態になってしまった大きな出来事なので、それを題材にしてドラマを作ることは悪いことではないと思いますが、コロナの問題は今も動いている最中で、状況が日々変わっています。今年に入ってからは再度緊急事態宣言が出る状態になっているのに、基本的にフィクションのテレビドラマで、このことを多く取り入れるのはあまりいい気がしません。(熊本・高校2年・男子)

    • 2度目の緊急事態宣言が出て、政府がテレワークを勧めているので、テレビ番組もリモート収録などを復活すべきだと思いました。(宮城・中学1年・女子)

    • テレビは、距離をとっているとはいえ、ゲストを迎えて放送しています。全国で多くの感染者が確認されている今、昨年の発令時のように、完全リモート、最少人数での放送に切り替えたり、ロケを控えたりすることはできないのでしょうか。(東京・高校1年・男子)

    • コロナ禍以前と同様にドラマの撮影が行われ、次々と新作ドラマが制作されているが、普通に接触したりする場面もあると思うので、感染対策をしきれないのではないだろうか。(千葉・高校2年・女子)

    • テレビでコロナ感染者数についてよくやっています。ですが、それだけだとよく分からないので、何人検査して、何人陽性だったかを放送してほしいです。(岐阜・中学2年・女子)

    • 新型コロナウイルス感染者の情報は毎日公開されていますが、新型コロナウイルスがどんなものなのか、感染するとどんなことが起きてしまうのか、どのような対策をすれば効果が出るのかを放送してほしいと思いました。テレビやラジオのようなマスメディアにしかできないような情報を公表してくれた方がより新型コロナウイルスに対する危機感を抱く人が増えるのではないかなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • ニュース番組で新型コロナ感染者数を見て、とても増えているなと感じるのですが、それでも自分に100パーセント関係のあることとして受け止められずにいました。ですが、地元密着型の番組で市区町村別の感染者数を見た時、「私の住んでいる市もこんなにも感染している人がいるのか」と驚き、それからより一層感染対策に気合を入れるようになりました。やはり、メディアが与える影響は大きいので、コロナの報道の仕方を工夫すれば1人1人が危機感を持てるような世の中になると思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 年末にもっとニュースを放送してほしいと思います。特に、30日や31日になると朝の8時あたりでは、どの局もニュースはやっていませんでした(短いニュースは除く)。バラエティー番組も非日常な感じで楽しいですが、どこかの局はいつも通り、普段通りの編成にしてほしいです。(愛知・中学2年・女子)

    • 年末年始にニュース番組が一気になくなってしまうことで、最新の世の中の動向が分かりづらくなったと思いました。今年は特にコロナによって、普段に比べてより一層そのことを感じました。特番ばかりでなく、ニュース番組の放送があっても良いのではないかと思います。(東京・高校1年・女子)

    • 年末年始、毎日のようにテレビをつければどこかしらのチャンネルでドラマの再放送をしていて、テレビ欄を見れば早朝から夕方までそれだけなんてものもよく見た。このコロナ禍で制作時間が少なかったり、できることが限られていたりするのかもしれないけれど、“下手に番組を作るよりも売れたドラマを再放送した方が、視聴率が取れるから流している”というように見えてしまったし、実際私の周りの人も「確かに面白いけど、やる気ないのかな?」と思ったと言っている人が何人もいた。(東京・高校1年・女子)

    • 年末年始はNetflixのCMをよく見た気がします。今まで正月はテレビ一択だと思っていましたが、それもだんだん変わっていくのかなとも思いました。(千葉・高校1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)教科書に書いてあったこと(学んだこと)が日常でこんなに使えると思いませんでした。学んだことを思い出すことができて、学校でちゃんと勉強しようと改めて思いました。(山形・中学1年・女子)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)教科書で習う知識を日常のどんな場面で使うのか、クイズを通して学べる番組です。「こういう場面で使うのか」とためになることもあったのですが、日常で使うには無理があるのではないか、教科書で習った知識を使うよりも普段使う方法の方が簡単で使いやすいな、と思う場面が多々ありました。まるで、「教科書ってすごいでしょ」と教科書を持ち上げているかのように感じました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『世界は教科書でできている』(NHK総合)クイズが出題されるので、家族で議論しながら見られるのが面白い。また、さまざまな家族とテレビ電話がつながり、いろいろな家族がいることに気付かされる。(東京・高校1年・女子)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)ほのぼのとしていて、「今のピリピリした状況下でも家族というものはこうであってほしいのではないかな」と見ていて思いました。今はさまざまなアニメがありますが、サザエさんのような国民的アニメがこれからも多くの人の記憶に残るといいなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『サザエさん』(フジテレビ)ワカメちゃんのように小さいころに夢がころころ変わるのは私にも身に覚えがあって、あるあるだなぁと思いました。最後にワカメちゃんが自分を肯定できるようになるオチはなんだか心にしみました。しかし、みんな素直すぎて、実際の小学生とちょっと違う気がします。教育的観点からかもしれませんが、もう少しキャラクターの個性や面白さがあってもいいのではないかと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)番組名が気になり、公式サイトで概要を閲覧すると、「企画は皆さんが考えてください。」と書かれていて、疑問とともに大きな興味が出たので視聴することにしました。見てみると、女優の北川景子さんがこれまでできなかった二重跳びを成功させられるようにする企画や、櫻井翔さんが「バク転を成功させたい」という企画など、これまでの番組では見られなかった、自分が落ち度だと思っているものを練習してできるようにする企画や、野口聡一宇宙飛行士に協力してもらった「逆さゴマは宇宙で回すとどうなるのか」「宇宙で食レポをしたらどうなるのか」という企画では、逆さゴマは宇宙では逆さにならないことや、しょうゆはお菓子のグミのように浮かんでいるのを箸で食べることなどが分かり、家族で楽しみながら学べるいい番組だと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『1億3000万人のSHOWチャンネル 開局2時間SP』(日本テレビ)この番組は全国民参加型のバラエティー番組で、みんなの「知りたい」や「やってみたい」をかなえる番組となっています。このような類の番組は他にも数多くありますが、「1000年後の地球はどうなっているのか」など一見企画として難しそうなことにも挑戦し、最後は笑いに走るようなことをせず、知識として役に立つ情報を提供してくれているため、他番組とはひと味違うなと感じました。ただ、視聴者参加型と言いながらも結局はタレントや芸人さんの企画が多用され、番組が掲げている趣旨とかけ離れているのではとも思いました。(高知・高校3年・男子)

    • 『新春スペシャル 藤井聡太18才』(東海テレビ放送)子どものころのことや対戦の休憩中にどんなことをしているのか、知る機会があまりなかったので、ワクワクして、新鮮な気持ちになれました。本当に素晴らしい成績を残されていますが、藤井さんも普通の高校生だと思えました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『池上彰の鶴瓶に伝えたい!!~2021年こそ良い年になるための偉人伝~』(BSテレビ東京)北里柴三郎が今から100年以上前に予防医療を提案していたこと、そしてその内容が現在のコロナ対策と全く同じであったことに驚いた。その他にも、昔を生きた偉人たちが今の生活の基本となるべき生き方、今の苦境を乗り越えるためのヒントとなる生き方をしていたことに驚いた。(東京・中学3年・女子)

    • 『ディスカバリー傑作選 メガ輸送プロジェクト』(BS11)普段の生活では絶対に見ることのできない輸送現場の裏側なので興味深かったです。大量の高級車を傷つけないように配置したり固定の仕方を工夫したり、商品のキャタピラが痛まないようにマットを敷いたりと、機械化やITが進歩しているといえども、まだまだ人の手や細かい配慮は必要なんだなと感じました。大量の車両や積み荷の映像は迫力があり、それを見ているだけでも楽しめました。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

  • 担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、各放送局を対象としたアンケート調査案が提出され、検討しました。

以上

2021年1月に視聴者から寄せられた意見

2021年1月に視聴者から寄せられた意見

新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。

2021年1月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,797件で、先月と比較して399件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、電話0%、郵便1%、FAX1%(※電話は今月休止)。
男女別は男性49%、女性24%で、世代別では40歳代28%、30歳代24%、50歳代21%、20歳代14%、60歳以上11%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は延べ1,146件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。ラジオに関する意見は70件、CMについては15件あった。

青少年に関する意見

1月中に青少年委員会に寄せられた意見は139件で、前月から51件増加した。
今月は「表現・演出」が45件、「低俗、モラル」が39件、「その他」が13件、「差別・偏見」が11件、「いじめ・虐待」が6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • テレビでは、感染防止策として、手洗い、うがい、マスクの着用を連呼しているが、伝えているアナウンサーやタレントが、誰もマスクをしていない。これは、マスク着用は報道に関係しない人達のみが必要で、報道する側は必要ないとの見解からなのか。声高に叫んでいる人間がマスクをせず、いかにも物知り顔で発言するのはいかがなものかと思う。

  • コロナ禍におけるアナウンサーやコメンテーターの発言は、全体的に政府の責任を追及する傾向にあるが、見るのが辛くなってきた。政府の頼りなさや見通しの甘さは確かにあるが、今、この災難の中で、マスコミがこぞってマイナス思考の情報や個人的意見を流していている場合だろうか。どの番組を見ても右向け右。マスコミには日本全国に声を届けることができる力、大勢に影響を及ぼす力がある。もっとウイルス感染について学び、その怖さを根気強く伝え、「人が動かなければ感染は収束に向かう」「ウイルスは人を介して感染する」「ウイルス単独では飛び回らない」など、基本的なことなどを前向きに発信して、国民の意識をリードすることが可能である。今こそマスコミの力を発揮すべき時。政府の批判はコロナ収束の後でもできる。

  • 新型コロナ関連の報道について、日本医師会会長の会見を多くの番組で報じているが、総理大臣の会見並みの扱いは、行き過ぎと感じる。医師会は一業界団体に過ぎないのに、公的機関であるかのような扱いは、視聴者に誤解を与えている。また、各メディアが同じ人物を繰り返し登場させることで、医師会の宣伝放送のようになっている。放送における諸団体については、その出自や成り立ち、構成員の選出方法、資金源など、利益構造を明らかにして視聴者に誤解のないよう配慮するべきである。

【番組全般・その他】

  • 年始の特番を見た。収録時期がいつなのか不明ではあるが、コロナ対策が不十分であった。ハイタッチやハグといった密着行為、審査発表までの控室という密閉空間では、座席の距離がなく、密接していた。さらに、大声で話しているのにフェイスシールドすらしていない。陽性者がたくさん出ているのに、ソーシャルディスタンスを取らないのはいかがなものか。もっと感染症対策を取ることができたのではないかと感じた。

  • 人気タレントの扱いについて。土曜日の番組は気軽な散歩企画なのに、かなり前から事前予約が必要な超高級店で食事をすることが多い。夏休みの特番ではハワイでの豪遊三昧、冬休みの特番でも沖縄での豪遊と、いずれも番組で高額なお金を使い、ただ彼に贅沢をさせ、大騒ぎしているだけだ。番組としてこれで良いのかという印象がある。人気のあるタレントを接待、忖度するだけになっている。特定の人に毎回贅沢や豪遊をさせるのではなく、また、私物化のようなお金の使い方をするのではなく、公共的でバランスの良い番組制作を願いたい。

  • コロナ感染拡大防止の指針として、マスク着用があるのに、テレビでは全然マスクをしていない。「感染対策をしてください」という人が、やってないのでは説得力がない。ロケでは、感染対策に何の効果もないマウスシールドを多用している。アクリル板も体裁だけのように見える。最近はさらに緩んでいる番組が多くなったようで、見ていて腹が立つ。これでは視聴者に、「こんな感染対策でいい」と誤解されても仕方ないと思う。

  • フェイスシールド、マウスシールドは、飛沫拡散防止効果がほとんどないと言われているのに、ロケ番組での多用が目に余る。感染防止策の徹底が叫ばれている今、影響力のあるテレビ放送が、不織布マスクをせずに喋る行為を垂れ流す事は、ニュース番組で協力を呼び掛け、不適切な行動を批判するのと矛盾している。まず、メディアが自ら範を垂れるべきではないか。また、前回の緊急事態宣言時に比べ、リモート出演が少なく感じる。政府の対策が緩いと批判するなら、メディアが率先して前回並みの自粛行動を取り、国民に訴えたら良いのではないか。

  • 楽観主義の人は、悲観主義の人より10年長生きするという統計がある。コロナ感染者の数字も、楽観的に伝えたらどうなのだろう。例えば、「今日も何とか医療破綻を回避できました」「感染者は○○人台で収まっています」「重症者の多くは順調に回復しています」「皆さんのご協力のおかげです」などとしてはどうか。呼吸が楽になりそうな気がしないか。

  • コロナ報道は、なぜ偏った内容や国への批判しかしないのか。コメンテーターも素人で、誰でもテレビや新聞を読んでいれば発言しそうなことをとくとくと語る。内容によっては素人目線で、スタジオで語るのも良い場合もあるが、人の生死や国の政策に関わることは、かえって無用の混乱と不安をもたらす。しかも司会者やコメンテーターが言っていることがどんどん変わっても、誰も指摘しないことを良いことに言いたい放題。専門家も番組に合った人を選別しているのだろうと思える。映像はネットで拾い、街頭インタビューもやる意味がない内容を単純に言わせている。その結果、発言や撮影を切り取られて放送された、やらせではないかという疑惑が常につきまとう。VTRも使い回しているのではないかと思えるようなものを無神経に流す。今の時代、映像の捏造もインタビュー受ける人の発言も作り替えるのは簡単。それを承知で調べることも手を抜いて放送して、間違っても簡単にアナウンサーが訂正して終わる。国会議員も人間なら原稿を読むのも人間。議員もテレビ局も人に影響を与えることで言えば、心して報道番組を制作してもらいたい。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 学校に常駐する警察官を主人公にしたドラマを見て驚いた。非行や犯罪は許されないが、生徒を投げ飛ばす、手錠を掛けるなどやり過ぎではないか。目標に向かって勉強や部活に取り組む学園ドラマならいいのだが。

  • 謎の感染症が蔓延し、感染した屍が人間を襲うという設定のドラマで、屍の描写が生々しく青少年には健全と言えず悪影響だ。またコロナウイルスが蔓延する中、感染症で屍になるというテーマは人々を不安に陥れるのではないか。

【「低俗、モラル反する」との意見】

  • 夕方の時間帯に車内で家族とラジオを聴いていたら下ネタの多い番組をやっていた。夜中なら問題ないだろうが、この時間帯に流すのはいかがなものか。小学生の子どもがいてヒヤヒヤしてしまった。時間帯を変えるなどしてほしい。

  • 演芸番組に若い女優がゲストとして出ていた。ネタのやり取りの中で、落語家が女優に“胸を見せて”など冗談の枠を超えたセクハラをしていた。女優は冷静に対応していたが、気持ちよく笑えるものではなかった。

【「喫煙・飲酒」に関する意見】

  • バラエティー番組で、高級ワインと安価なワインを当てるゲームをやっていた。解答者の一人は未成年だったため、ワインの匂いを嗅がせてどちらか決めさせていた。法律違反をしてはいないが、未成年にお酒の匂いだけでも勧める行為はいかがなものか。

2021年1月18日

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見の通知・公表

フジテレビに対する委員会決定の通知は、新型コロナ特措法に基づき政府が緊急事態宣言を発出したことを踏まえ、1月18日午後1時30分に電子メールで行った。

これを受けてフジテレビは、「決定を真摯に受け止め、今後の番組制作に生かしてまいります。全社一丸となり、再発防止に取り組んでまいります」とコメントした。

意見の公表は、同日午後2時30分にBPOのウェブサイトに委員会決定の全文を掲載することにより実施し、記者会見の開催は見合わせた。広報を窓口に質問を受け付けたところ、当日数件の確認の連絡が寄せられた。

以上

第288回放送と人権等権利に関する委員会

第288回 – 2021年1月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理…など

議事の詳細

日時
2021年1月19日(火)午後3時~8時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」第1会議室(オンライン開催)
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」事案の審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。
委員会は、前回(第287回)委員会でのヒアリングと審理の結果を受け、起草委員が年末年始の間にまとめた決定文の原案が委員に示され審理を行った。議論は、委員会がヒアリング前に定めた論点に沿う形で進められ、リアリティ番組の特性、番組における演出、同意書兼誓約書の存在、放送とSNSにおける誹謗中傷の関係、インターネットでの配信後の経緯において放送を行ったことなど様々な問題点に分けて、それぞれ詳しく検討した。そのうえで、放送による人権侵害や放送倫理上の問題の有無について委員の間で意見を交わした。その結果、委員会は、決定文の原案に修正を加えるとともに、決定内容について次回委員会でさらに議論することとした。
なお、今委員会は、感染症拡大による緊急事態宣言にともない、全委員とオンラインで結んで開催した。

以上

第156回 放送倫理検証委員会

第156回–2021年1月

データの一部が架空入力された世論調査結果を放送した
フジテレビのニュース番組を審議
2月にも委員会決定を通知公表へ

第156回放送倫理検証委員会は1月15日に開催された。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の修正案が再度示された。意見交換の結果、大筋で了承が得られたため、2月にも当該放送局への通知と公表を行うことになった。

議事の詳細

日時
2021年1月15日(金)午後3時30分~午後7時
場所
オンライン
議題
出席者

神田委員長、岸本委員長代行、升味委員長代行、大石委員、高田委員、長嶋委員、中野委員、西土委員、巻委員、米倉委員

1. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、昨年6月19日、2019年5月から2020年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、電話調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
昨年8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、フジテレビが架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
前回までの議論を受けて担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、2月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

以上

第39号

フジテレビ 『超逆境クイズバトル!!99人の壁』
解答権のないエキストラ補充に関する意見

2021年1月18日 放送局:フジテレビ

フジテレビは、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」として、2020年4月3日、番組ホームページ上で事実関係を公表するとともに謝罪した。
委員会は、当該放送局から提供された報告書と番組の映像をもとに討議した結果、「意欲的な番組であるが、もともと無理があったのではないか」「同局の番組に対して委員会が2014年4月に出した意見書(委員会決定第20号)において指摘した背景や問題点との類似がうかがわれる。なぜ教訓が生かされなかったのか、再発防止策が生かされていたのか解明する必要がある」などの意見が委員から出され、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りし、議論を重ねてきた。
委員会は、本件番組が解答権のないエキストラを出場させていたことは、番組が標ぼうしている「1人対99人」というコンセプトを信頼した多くの視聴者との約束を裏切るものであり、また、NHKと日本民間放送連盟が1996年に定めた「放送倫理基本綱領」の「放送人は、放送に対する視聴者・国民の信頼を得るために、何者にも侵されない自主的・自律的な姿勢を堅持し、取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」との規定に照らし、制作過程の重要な部分を制作者たちが十分に共有していなかった点において、その過程が適正に保たれていなかったと言うべきであるとして、本件番組には放送倫理違反があったと判断した。

2021年1月18日 第39号委員会決定

全文はこちら(PDF)pdf

目 次

2021年1月18日 決定の通知と公表

政府の緊急事態宣言発出を踏まえ、通知は、1月18日午後1時30分に電子メールで行われ、公表は、午後2時30分にBPOのウェブサイトに委員会決定の全文を掲載し、記者会見の開催は見合わせた。
詳細はこちら。

2021年5月14日【委員会決定に対するフジテレビの対応と取り組み】

委員会決定 第39号に対して、フジテレビから対応と取り組みをまとめた報告書が2021年5月10日付で提出され、委員会はこれを了承した。

フジテレビの対応

全文pdf

目 次

  • 1.委員会決定の報道について
  • 2.委員会決定の社内周知について
  • 3.制作センターの取り組み
  • 4.BPO委員を招き研修会を実施
  • 5.番組審議会への報告
  • 6.再発防止の取り組み
  • 7.総括

2020年12月に視聴者から寄せられた意見

2020年12月に視聴者から寄せられた意見

新型コロナウイルス感染拡大が続く中、番組制作や取材、ロケのあり方への意見が多く寄せられた。

2020年12月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,398件で、先月と比較して56件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール80%、 電話18%、 郵便1%、FAX1%。
男女別は男性57%、 女性23%で、世代別では40歳代25%、 50歳代25%、 30歳代22%、60歳以上14%、 20歳12%、 10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。12月の通知数は延べ678件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、26件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

新型コロナの感染拡大が続く中、番組制作や取材、ロケのあり方への意見が多く寄せられた。また、不倫問題を起こした芸人の記者会見を取り上げた番組に対する批判も多く寄せられた。
ラジオに関する意見は74件、CMについては22件あった。

青少年に関する意見

12月中に青少年委員会に寄せられた意見は88件で、前月から7件増加した。
今月は「表現・演出」が33件、「低俗、モラル」が11件、「報道・情報」が10件、「暴力・殺人・残虐シーン」が9件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 新型コロナの報道が一向に改善されない。「医療崩壊が始まっている」「東京の新規感染者が過去最高だ」など、毎日のように不安をあおられ憂鬱になる。このような報道をしていても感染者は減らないのに、いつまでもネガティブな報道をしている。危機感を持たせることは大切だが、それよりも、どうすれば感染を防げるのかという、正しい知識を身につけるための報道をしてほしい。放送局は本気で感染を減らすことを考えているのだろうか。不安をあおる報道をやめて、国や地方自治体と協力し、コロナを食い止めていくことが必要ではないか。

  • GoToトラベルについて。感染者が増えても継続させていた時期は、政府の対応に批判的で、街角での一般の人たちのインタビューも継続に反対する人を放送していた。一方、政府が、GoToの全国的な一旦中止を決断すれば、遅すぎるといった批判的な声や、多数の観光業者の苦情的なコメントを放送している。これでは政府を批判しているだけであり、視聴者にとって悪い印象しか残らない。国民に色々な不満があるのは理解しているが、それら全てを同時に納得させる事など不可能だ。政府の対応を悪く印象付けているようにしか見えない。

【番組全般・その他】

  • 不倫問題を起こした人気芸人の一連の報道について。破廉恥な事件ではあるが、各局の報道姿勢は倫理に欠ける感じがした。本人は大きな社会的制裁を受け、それが家族にも及んでいる。不倫相手など事の詳細は週刊誌の情報に基づくもので、彼が全て悪いかのように不公平に扱われている。最も疑問に思ったのは、会見の囲み方とあまりにもひどい内容の質問。これは公開いじめのようで、言葉による暴力に感じた。各局が朝から晩までその会見内容を垂れ流している状況もいかがなものかと思った。

  • 土曜日の番組のエンディングについて。視聴者が意図を汲み取りづらい演出となっており、一連の騒動で降板した芸人を卑下するような内容であった。この放送を面白いと思うのは誰なのかということが一切分かっておらず、このコロナ禍で大変な日々を過ごす人々が迎える年末において、この番組を心底楽しみにしていた視聴者に悪い感情を残すような裏切りであった。

  • テレビを制作するにあたり、大食い、爆食い、フードファイトなどの番組は必要なのか。日本では7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われている。食べたくても食べられない子ども達がいる。また、毎年、日本のどこかで自然災害が起きている。救助が入るまでは食べ物も不自由だろう。加えて、今年はコロナ禍の影響で、失業者や日々食べることに困った人たちも多かったと思う。命を落とされた方もいただろう。こんな状況の中、こんな状況でなくとも、大食い番組は地上波放送に必要か。視聴率を上げるためになくてはならない番組か。必要ならば、地上波放送ではなく、有料放送などで制作できないものか。仕事柄、生活困窮の方と触れ合う機会が多い。大食い番組は困窮者に対して不適切な番組だと思う。

  • 都内のロケなのに、マスクをしていないのが気になった。一般の人はみんなマスクをしているのに、芸能人はノーマスクで一般人に近付き、話かける。ノーマスクの芸能人を恐れて後ずさりする人もいた。芸能人は特別なのか。ニュース番組では自粛と言っていながら、バラエティー番組のロケはノーマスク。矛盾していないか。

  • 新型コロナについて、情報番組やワイドショーでは、感染者、重症者、死亡者の数を速報で伝えている。アナウンサーやMCは恐怖をあおるだけだ。平常時ではないのに政府批判だけを繰り返していては、正しい感染予防も視聴者に伝わらない。報道機関の人たちは目を覚ましてほしい。感染状況と同時にマスクの正しい着け方、手の洗い方、避けるべき場面等を伝えなければ、視聴者は誤った感染予防方法を続け、感染は益々拡大してしまう。批判は収束後にいくらでもできる。また、バラエティー番組における出演者のマウスシールド着用も控えて欲しい。マウスシールド、フェイスシールドに感染を予防する効果はないと、複数の医師も警告している。これも、視聴者に誤った感染予防方法を伝えている事になる。

  • 午後の情報番組を見た。女性出演者が新型コロナの感染拡大について、「若者が感染を広げている」「若者が外出しすぎている」「青春はいつでもできる」などと言っていた。これには大変傷ついた。私は現在大学生で、自分がかからないように、家族や周りの人に感染させないように、今でも自粛を続けている。大学に勉強しに行きたいし、アルバイトもしたい。今しかない部活やサークル活動にも参加したい気持ちでいっぱいだ。でも我慢している。若者をひとくくりに攻撃するようなことはしないでほしい。

  • どのチャンネルに替えても、朝から晩までコロナ、コロナ、「感染者数が…、重症者が…」と、ほぼ同じ内容の放送をしている。恐怖心ばかりがつのって気が滅入る。テレビを見る気も失せてしまった。何とかならないのか。

  • 新型コロナの感染拡大が続く中、全国の医療機関、医療従事者への負担が日増しに大きくなっている。それに関連した報道で、「医療体制のひっ迫が懸念されている」というものがあった。どうにもこれは見苦しい表記法である。放送局や新聞社などの報道機関が、用いる漢字を定めているのは知っているが、そこに含まれないからといって、やたらに仮名書きにするものではない。そもそも日本語における漢語は外来語であり、音声よってその意味を理解するものではなく、漢字の組み合わせによって理解されるものである。このことから、「ひっ迫」ではなく「逼迫」と書いて、仮名を振れば良いのではないか。今後さらなる国際化が進み、外国人のテレビ視聴も増えるであろう。その時に、近隣の諸国・諸地域出身者にとっては、「逼迫」の方がはるかに理解しやすいはずである。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • バラエティー番組で芸人6人が都内各所に繰り出し、街歩きをしていたが、うち5人がマスクをしていなかった。一般の通行人はマスク着用が徹底していて、芸人を避けているように見えた。感染症に対する意識の低さが露呈していて、番組を見ていた子どもたちには“悪い見本”と説明するしかなかった。

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • ドッキリ番組で、男性が女湯に入ってしまうというドッキリがあった。多くの子どもが見ている時間帯にそのようなドッキリを放送することは快く思えない。また、裸の男性が女湯に入ることを笑いにするという考えが不快に感じる。

【「報道・情報」に関する意見】

  • ニュースで、住宅が燃えている火災のシーンが放送され、複数の子どもが亡くなったとナレーションがあった。亡くなられた子どもたちの友人がこの映像を見たとき、どれほどショックを受けるだろうか。消火した後の映像ならまだしも、燃え盛る映像の使用には疑問が残った。

【「危険行為」に関する意見】

  • 旅をするバラエティー番組でつり橋を渡るシーンがあったが、出演者の一人が橋を揺らし、仲間を怖がらせていた。子どもたちが見ていたら真似をするかもしれないし、危険だと思う。つり橋でふざけること自体が間違っている。

2021年1月8日

2021年1月8日

緊急事態宣言に伴うBPO業務の休止について

BPOは、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言を受けて、次のとおり対応いたします。

  • 期間中はテレワークを徹底し、視聴者からの電話応対を休止します。
  • 郵便物とメール、ファクスは受け付けます。

第229回 放送と青少年に関する委員会

第229回-2020年12月

視聴者からの意見について…など

2020年12月14日、第229回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、2つの番組について「討論」しました。
夜のバラエティー番組で、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって肩や胸をマッサージして言い寄るというドッキリ企画について「放送時間帯として子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」などの視聴者意見が寄せられた件について、全委員が番組を視聴したうえで議論しました。その結果、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって「討論」を終了することになりました。
深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」などの意見が寄せられた件について、全委員が番組を視聴したうえで議論しました。その結果、次回の委員会でさらに「討論」を継続することになりました。
12月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たニュース・報道番組について」でした。23人から報告がありました。
あるモニターからは、土日の6つの番組を比較し、朝の報道番組について「このコロナ禍で女性のうつが前年同月比でプラス82.6%増加とのことで、イギリスでは『孤独担当大臣』というのが存在することも報道されていました。番組内で『最も悲惨な貧困は孤独であり、愛されていないと感じることだ』というマザーテレサの言葉も紹介されていて、とても印象に残りました」さらに朝の情報・報道番組について「他の番組と切り口が異なっていたのが、マスク着用になり高齢者の音の聞こえについて触れていた点です。ただでさえ、高齢者は聴力が下がるところを更にマスクを通して聞こえる声は、高齢者にとっては高音が聞き取りにくい状況になるとのことでした。そして、『拍手→握手』『佐藤→加藤』に聞こえるなど不明瞭で聞き間違いも起きやすくなる傾向があり、マスクを着用している話す側が、今まで以上ゆっくり丁寧に繰り返して話すようにしなくてはと感じました」というリポートが寄せられした。また、別のモニターからは、コロナのニュース全般について「視聴者の不安をあおるものが多いと感じます。悪い面という一つの面の報道より、うまくいっている事例も入れた多面的な報道のほうが、視聴者にとってわかりやすいものになると思いました。例えば、異なる意見や主張があるときは、それぞれの言い分を丁寧に説明してほしいです。新型コロナの報道の場合、地方ニュースは全国ニュースよりも自分の生活に関わりの深いことを教えてくれるので参考になります。報道番組は、私たちの生活に必要な意思決定をするための材料を多角的に偏りなく伝えるものであってほしい」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は1月26日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年12月14日(月)午後4時30分~午後7時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

前回委員会を受け、2件の番組について「討論」しました。
芸人自らが考えた動画の面白さを競うバラエティー番組において、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって後輩の肩をマッサージしたり、胸をもんだりして言い寄るというドッキリ企画について、「放送時間帯としても子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」「子ども達が見るかもしれない時間帯に放送しているため、性的少数者、性犯罪被害者に対する差別や偏見を招きかねない」「LGBTを侮辱している。子どもには見せたくない」などの意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し、「討論」しました。当該局からは参考資料として報告メモも出されました。
委員からは、
「当該局の報告によれば、不適切だという視聴者意見が多数来たことをスルーしないできちんと受け止めて、それを現場や局全体で共有して、一旦立ち止まって対策をしていることがわかった。このことは評価できると思う」
「番組全体を見れば性的少数者をバカにしているわけではないのは分かるが、不適切と言われればそういうことになるのだろうと思う」
「報告メモを見ると、局としても真剣に検討したのが分かる。有名なタレントが持ち込んだ企画は、手が入れにくいのだろうかとも感じた」
「当該局の報告では、何が問題なのかはかなり明確で、それをきちんと分析している。これが今後に生かされるだろうから、審議に進む必要はないと思う」
「ドッキリ企画をもっと面白くすることは不可能なのか。差別、パワハラやセクハラ以外で、もっと面白いことの可能性というのを自分たちは思いつかなかったのか、制作者としてそこは省みてほしい」
といった意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクでロリコンを自称するお笑い芸人が、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話をしたことに対して、「海外の仲間は体内にGPSを埋め込まれていると話していた。GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」といった意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し、「討論」しました。当該局からは、参考資料として報告メモも出されました。
委員からは、
「GPSの性犯罪を笑いにしようと思っていたわけではなく、幼いアイドルのファンで、それが本業のお笑いに影響が出ているという趣旨で放送したかったことは分かった。しかし、その中でアメリカの仲間はGPSをつけているという発言が出てきたときに、それをそのまま放送してしまうということの問題性は、よく考えたほうがいいと思う」
「局側が性的な意味合いではないと言っていても、GPSを埋め込まれているのが仲間にいると言ったことで、性的な意味合いに文脈として構成されてしまったことを番組制作者たちが理解できていないのではないか」
「GPS発言をわざわざテロップでフォローし強調している。テロップを作ったのはスタッフで、芸人の話はここがポイントだとスタッフが取り上げてやったのではないか。そこはきちんと考えてほしい」
「発言した芸人は、笑いの差別化のためにあのようなことを言ったほうが受けると思ってやったのだろうが、それは編集の時点でカットしてあげないと芸人自身にもマイナスになってしまうのではないか」
「システム的にどういうチェック体制ができているのか、放送前に誰が最終的に判断するのか知りたい」
「テロップまで出ているので誰かが気がついているはずだが、最終チェックでスルーされていたとしたら、チェックする人にそのセンサーが欠けていたという気もする」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で「討論」を継続することになりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした12月のテーマは、「最近見たニュース・報道番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で23人から報告がありました。
「最近見たニュース・報道番組について」では、1人で複数の番組について取り上げたモニターもいて、全部で24番組について感想が寄せられました。その中で複数のモニターが取り上げたのは4番組で、『NHK NEWS おはよう日本』と『NHKニュース7』(いずれもNHK総合)をそれぞれ3人が、『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)と『ZIP!』『NEWS every.』(いずれも日本テレビ)をそれぞれ2人が取り上げていました。
「自由記述」では、12月のテーマに関連して、「情報番組は局による個性が出ている。面白いと思った」という感想や、「(Go Toキャンペーンを取り上げた番組を見て)放送局は政府批判をあおることが使命ではない。コロナをみんながどう乗り切るか、前向きに考える番組を作ってほしい」という要望がありました。また、芸能人の不倫報道やアメリカ大統領選に関する報道について考えたことを記述したモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、11月のおすすめ番組についても多くの感想が寄せられました。複数のモニターが取り上げた番組は3番組あり、『Best Artist 2020』(日本テレビ)を4人が、『ボクらの時代』(フジテレビ)を3人が、『ストロングポイントクロス』(BS日本)を2人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • テーマは「ニュース・報道番組」だったが、情報番組を取り上げて記述しているモニターが多く、「報道番組」「ニュース」「情報番組」のすみ分けが曖昧だということが伺えた。

    • ストレートニュースはどう解釈したら良いか伝わりづらいのに対し、ワイドショー的なニュースは説明やコメントが入るので面白いと若い世代に受け入れられているようだ。ニュース番組でもコメンテーターがいて、さまざまな意見を言うことで理解が進むことがある。放送局は今後、どういうふうにニュースを放送していくのか。番組のカラーを出しながら伝える方向にだんだん変わっていくのかもしれないという印象を受けた。

    • コロナ報道に関して、不満や不安を抱えているモニターが少なくないことが分かった。例えば、「視聴者の不安をあおっている」「多角的に偏りなく伝えてほしい」などという意見があった。放送局としては、ある程度配慮していろいろな見方を取り上げているのだと思うが、それでも放送内容にバランスが欠けていると感じている若い視聴者がいるということは制作者に伝える必要がある。

    • ローカルの番組について、数人が、自分に身近な情報を伝えてくれていると評価していた。うれしいと思った。

    • 情報量が多く慌ただしいと感じた番組について報告してくれたモニターがいた。番組の方針や、個々の視聴者の感じ方によって違うのかもしれないが、いろいろな人の意見に耳を傾けていくことが大事だと思うので、こういう意見も参考になると思った。

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)朝の時間は長時間見ている視聴者は少ないので、天気予報は30分に1回ほどとこまめに放送しているが、あるモニターがこの天気予報について記述していた。「キャスターの服装を真似てファッションコーデを組むというのはよくある話だ」ということだが、屋外から中継する場合に厚手のマフラーを巻いているのを見て寒さが分かるなど非常に役立つのだろう。気象キャスターの役割は重要なのだと感じた。

    • 「ニュースを視聴する時間が少なくなった。新鮮味がないと感じるからだ」というモニターがいた。「ウェブメディアや新聞など、短い時間でさまざまな情報を幅広く扱う情報媒体のほうにシフトしている」という記述がとても寂しく、気になった。

    • 『英太郎のかたらんね』(テレビ熊本)ローカルのニュース番組で、地元のダム問題について取り上げ、知事の所信表明をそのまま中継していたのだという。モニターが「生の声をそのまま放送するのがテレビらしく良かった」と評価していた。キー局の番組を見ていると、肝腎な人が説明しようとするときに途中で遮って、解説者などが勝手にまとめてしまうことがあって、いつも腹立たしいと思っていた自分としては、この番組のように朝からきちんと知事の説明をありのままに中継するというのは立派だと感じた。為政者が大事なことをどういうふうに、どういう言葉で説明するかということは、きちんと中継する必要がある。

    • 若い視聴者の中には、メジャーな放送局が視聴者を誘導しようとしているのではないか、ごまかそうとしているのではないか、と疑いの目で見ている人も少なくない。テレビ局はもっと意識をして神経を使いながら番組制作を行わなければならないと感じた。

  • 【自由記述】

    • ニュース番組内の特集について、テーマのマンネリ化を感じているという声が届いた。「地元の商店街」や「人情食堂」のようなものが多く、見飽きてしまったという。もっとシリアスな内容を見たいという。中高生の中には、「社会派」のもの、シリアスな問題に切り込むようなものを求めている人もいるということを制作者に伝えたい。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 音楽番組で「男性が選んだ〇〇」「女性が選んだ〇〇」というテロップが画面の上のほうに出ていたが、若い人たちの感覚と合わない文言だったという意見があった。興味深い指摘だと思った。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たニュース・報道番組について】

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)ほかの番組と切り口が異なっていたのが、マスク着用になり高齢者の音の聞こえについて触れていた点です。ただでさえ、高齢者は聴力が下がるところを更にマスクを通して聞こえる声は、高齢者にとっては高音が聞き取りにくい状況になるとのことでした。そして、「拍手→握手」「佐藤→加藤」に聞こえるなど不明瞭で聞き間違いも起きやすくなる傾向があり、マスクを着用している話す側が、今まで以上にゆっくりと丁寧に、繰り返して話すようにしなくてはと感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)朝の時間は食パンをくわえて走りたくなるほどに忙しい時間帯なので、欲しい情報が簡潔にまとまっていて助かっています。視聴者が短い時間で見ることに配慮して、一つ一つのコーナーが短くなっていて、どんどん変わっていくので広い分野のニュースを知ることができます。天気予報では、外にいるお天気キャスターが気象の情報だけでなく体感の天気も教えてくれます。キャスターの服装を真似てファッションコーデを組むというのもよくある話です。「おはBiz」では最近の新規事業やチャレンジを伝えていて、ビジネスに今の状況が反映されているのを見るのが面白いです。政治に経済も一緒に結びつけて考えるようになるので良いと思います。ちなみに、公民のテストがあったときの時事問題対策には『おはよう日本』がもってこいだと私の友達が言っていました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『NHK NEWS おはよう日本』(NHK総合)などの複数番組。私は朝にNHKの全国ニュース、夕方にNHKや民放の地方ニュースを見ています。NHKでは新型コロナウイルスの情報をグラフや数値を使って分かりやすく報道してくれます。しかし、各局とも、視聴者の不安をあおるものが多いと感じます。悪い面という1つの報道より、うまくいっている事例なども入れた多面的な報道のほうが、視聴者にとって分かりやすいものになると思いました。例えば、異なる意見や主張があるときは、それぞれ言い分を丁寧に説明してほしいです。新型コロナの報道の場合、地方ニュースは全国ニュースよりも自分の生活に関わりの深いことを教えてくれるので参考になります。報道番組は、私たちの生活に必要な意思決定するための材料を多角的に偏りなく伝えるものであってほしい。(岡山・中学2年・女子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)この日は「カプセル日本に到着 はやぶさ2の試料分析へ」「医療ひっ迫 旭川市に自衛隊看護師派遣へ」「手袋が足りない!医療・介護現場で悲鳴」「英国でワクチン接種開始」などが放送された。専門家の取材が放送されていたが、なんとなく無機質なものに見えた。その原因はスタジオに呼ばれた専門家の生の声ではなく、あらかじめ録音し、編集もされていた映像を放送したことにあったような気がする。専門家の意見を聞く場面も生放送のほうが専門家の意見が伝わりやすいし、編集が加えられていないプレーンなものだと視聴者にも伝わるため視聴者の安心にもつながるのではないだろうか。(千葉・中学1年・男子)

    • 『NHKニュース7』(NHK総合)アナウンサーが、コロナのような重いニュースのときは深刻さが伝わるように、はやぶさ2のように明るいニュースのときは楽しそうに報道していて、雰囲気が伝わってきた。(長野・中学2年・男子)

    • 『情報7daysニュースキャスター』(TBSテレビ)検索ランキングを使っているのがすごくいいと思った。中でもみんなが気になりそうな「鬼滅の刃」や「謝罪会見」の話など、ピックアップする話題が絶妙で、すごくいいなと感じた。また、司会のビートたけしさんがズバズバ自分の意見を言うのも面白くていいなと思った。ニュース以外の部分も面白く長い放送時間が短く感じた。コロナの感染者数もグラフを上手く使っていて分かりやすく、専門家の意見も重要性を感じるものだった。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『ZIP!』(日本テレビ)鉄道会社、消防署の方々の感染対策について特集していたが、こんなにも私たちのためにつり革などのアルコール消毒など、感染対策をしてくださっていることを知り、とても安心した。これからも、公共の建物などの感染対策についてテレビで取り上げてもらえればうれしいと思った。しかし、会社の宣伝のようにも見えてしまい、いやらしく感じてしまう自分もいた。(宮城・中学1年・女子)

    • 『NEWS every.』(日本テレビ)特集は、私が見たときには3兄妹の経営する店に取材したものを放送していました。テロップを多く出しており、見やすく情報も伝わりやすい映像になっていると思いました。特集自体は面白いものだったのですが、コーナー終了後もニュースが多く、番組後半は慌ただしいなという印象を受けました。ニュースの取り上げ量は多く、さまざまな情報が得られるのでいいと思うのですが、もう少し各情報をゆっくりと丁寧に取り上げてもいいのではないかと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『あさイチ』(NHK総合)番組のいちばん最初に、新型コロナウイルス対策の換気をするタイミングについての話がありました。学校での席が窓際だから換気をすることになっています。タイミングなど困っていたので助かりました。料理のコーナーでは、ためになる情報がたくさんあって勉強になります。(山形・中学1年・女子)

    • 『JNNニュース』(TBSテレビ)今回は、視聴したことのない報道番組を選びました。この放送を見終わったあと、これはほかの報道番組とは違うなと感じました。短い放送時間ながら主要な報道番組が報じない海外のニュースなどを幅広く取り扱っていたからです。最近では、特に「Go To」や「鬼滅の刃」などに関連した放送が多く、ほかにも知る必要のあるニュースがたくさんあるにもかかわらず、ほかの問題に触れる回数があまりにも少ない。ある意味でニュースに新鮮味がないと感じました。そのため、ニュースを視聴する時間も少なくなり、それよりもウェブメディアや新聞など短い時間でさまざまな情報を幅広く扱う情報媒体のほうへとシフトしています。(高知・高校3年・男子)

    • 『ウェークアップ!ぷらす』(日本テレビ)コロナ禍で女性のうつが前年同月比でプラス82.6%増加とのことで、イギリスでは「孤独担当大臣」というのが存在することも報道されていました。番組内で「最も悲惨な貧困は孤独であり、愛されていないと感じることだ」というマザーテレサの言葉も紹介されていて、とても印象に残りました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『グッド!モーニング』(テレビ朝日)「今日一日が明るくなるニュース」が良いコーナーだと思った。もともと、ニュースは暗い話題、物騒な話題が多くなりがちなため視聴者の心に負担をかけてしまうと思っていた。それをケアしてくれるこのコーナーはとても良いと思う。ぜひとも続けてほしい。(千葉・中学1年・男子)

    • 『報道ステーション』(テレビ朝日)この日の放送で、中国でのコロナウイルスの現状と、コロナウイルスの農業への影響の2点が気になりました。中国の現状という点は、しばらく感染者が確認されていない中国でコロナがどう扱われているかや臨時病棟の現在の様子を取材し、ウイルス終息後にも考えを向けられるようになっていると感じました。農業についてでは、外食のための農業生産に焦点が当てられていました。外食産業や旅行業者、観光地の損害は頻繁に報道されてきましたが、外食のための農業生産に焦点が当てられることは少なかったと思います。今回のように、できるだけたくさんの人が抱えているコロナウイルス関連の悩みを伝えてほしいです。(宮城・高校3年・女子)

    • 『めざましテレビ』(フジテレビ)国のコロナ対策の1つである「Go Toトラベル」について言及していました。経済を回すための政策ということでしたが、感染が拡大している今、その政策により人の動きが生まれ、かえって感染者を増やす原因になっているとのことで、札幌や大阪の利用を控える呼び掛けがなされていました。また医療面においても触れられており、分科会会長の「個人の努力のステージは過ぎた」「一般の医療との両立が困難」との談話もあり、政府と医療との認識の違いが露呈されるような報道の仕方でした。視聴者にとっては、危機感を持てる番組構成になっていて良かったと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 『ドデスカ!』(名古屋テレビ)この番組はずっと前から毎日視聴しているのですが、見ている理由はローカルの番組だからです。例えばコロナの話題でも、ほかのチャンネルは主に東京の感染状況を伝えていることが多いですが、この番組は名古屋の情報が多く、時には愛知県の知事が出演することもあり、地域の情報を知ることができるからです。また、お店を紹介する際にも、近所のお店が出てきたりと、番組に対して親近感を抱いています。(愛知・中学2年・女子)

    • 『英太郎のかたらんね』と『TKUライブニュース』(いずれもテレビ熊本)熊本にとって長年の課題だった「川辺川ダム問題」。朝の特別番組では、夕方ニュースのキャスター・コメンテーターの方が出演され、まずダム計画の概要がVTRにまとめられたものを放送し、その後県議会の中継、スタジオでの解説という構成でした。印象的だったのは、約40分間の放送のうち半分以上の約25分間にわたり県議会での県知事の発言が中継されたところでした。発言を後から要約して伝えるのではなく、生の声をそのまま放送する形は、生中継という特性をしっかり生かしたとても良い方法だったのではないかと思います。ただ、私のような当該地域住民以外の人とか、生中継中にチャンネルを合わせて視聴し始めた人などダム問題のことをあまり知らない視聴者からすると、長々と中継を見させられても内容がよく分からなかったので、中継中に別画面(ワイプ)で問題を要約した文字情報などを一緒に放送しても良かったのではと思いました。夕方ニュースでは、県知事の発言を要約・発言後の会見の情報や、県知事の発言を受けて地域住民・県議の受け止めのインタビューを中心に放送されました。ダム問題関連のニュースは10分程度の放送でしたが、コンパクトにまとめられていて分かりやすかったです。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • コロナの影響で、いろいろなテレビ局が番組制作において自粛している中、私が毎年楽しみにしている大みそかに放送される『絶対に笑ってはいけない24時』が撮影時期をずらして、撮影を完了したとのニュースが流れました。わが家の年末は、これを見ないと締めくくれないという程の恒例番組だったので、今年も放送されると知り、とってもうれしかったです。いつもの撮影時期に撮影がされなかったため、今年は無理かと諦めていたところだったので、びっくりすると同時に、テレビ局のスタッフの皆さんがとっても頑張ってくれているのだなと感じました。同日同時間に放送されるNHK紅白歌合戦も、今年は無観客で行うとのことで、コロナの影響がさまざまな所に出ていながらも、コロナ対策をしながらできるだけいつものように放送するという各放送局の意気込みがすごいなと思いました。(長崎・中学1年・女子)

    • 感染者が増加傾向の今、Go Toキャンペーンの在り方に反対意見の世論が多い中、ワイドショーでは、こぞって飲食店への打撃、悲壮感を取り上げていることに不安を感じる。政府批判をあおることが使命ではなく、コロナ禍をどうみんなで乗り切るかを前向きに考える番組を作ってほしい。(群馬・中学3年・男子)

    • コロナの第三波のニュースやワクチンなどのニュースが飛び交い日々恐怖にかられながらも、自分でできる対策はきちんとしなければという意識を引き締めなおして受験期間を過ごしています。幸い自分の学校では感染者が出ていないため自分が学校初の感染者などにならぬよう気を一層引き締めながら残り少ない学校生活を送っていこうと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 地元のニュース番組の特集を毎日見ていますが、なんだかテーマが似たり寄ったりだなといつも感じています。「人情食堂」「地元の商店街」など、毎回同じように見えて飽きてしまいます。毎日特集を制作するのは大変かもしれませんが、もうちょっとテーマがあってもいいのではないかと思います。私が以前見て、興味を持ったのはハロワークの特集で、シリアスな物語が新鮮だと感じたからです。このように、たまには明るすぎない特集も見たいです。(愛知・中学2年・女子)

    • 私は前まで朝の報道番組は『ZIP!』(日本テレビ)を見ていたのですが、最近は『おはよう日本』(NHK総合)を見るようになりました。以前はニュースよりもエンタメやおいしい食べ物の話に魅力を感じていましたが、今は世の中の出来事に関心が移ったことや、シンプルな情報を好むようになったからだと思います。局によって情報番組は特に個性があり、自分の求めるものの変化も感じ、面白いなと思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • 芸能人の不倫とか好きな人は好きなのかもしれないが私はあまり興味がなかった。今の時代に合わないかもしれないが私はただただ純潔な芸人さんだけではなくて破天荒な人がいたらもっといろんなバリエーションのある番組が見られるのかなと思った。不倫関係は当事者どうしの問題だし、それによって広告の違約金などの問題が発生するならまたそこで話し合えばいいだけだし、ここまで連日大きく取り上げる必要が分からない。不倫は法に触れないけど、それよりも法に触れるような「薬物」関連の芸能人のほうが早く復帰できて不倫ほどたたかれてもいないのは不思議だ。(東京・高校1年・女子)

    • 「鬼滅の刃」のキャラクターを知っている体で話が進んでいく番組があったのですが、「鬼滅の刃」を見ていない人もたくさんいると思うので画面のどこかに注釈などを付けてほしいなと感じました。また、情報番組でほぼ毎日「鬼滅の刃」の話をしていて、毎日似たようなことを言うなら時間帯をずらしたほうがより多くの人に情報が渡るし、聞き飽きたなんて状況にならずに済むと思います。(神奈川・高校2年・女子)

    • トランプ氏とバイデン氏、それぞれが当選したときの日本やアメリカ、世界に与える影響をまとめたものがあった。2人の発言や行動は抜きにして、どういう考えを持っていて、どんな政策を行っていくのかが分かるこの番組は貴重だと思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)毎回放送を楽しみにしています。イモトさんのワールドツアーでは、毎回全力で何ごとにも立ち向かう姿に感心しています。47都道府県制覇の企画は、山形県にもイモトさんが来てくれるということだから、とても楽しみです。(山形・中学1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『Best Artist 2020』(日本テレビ)新曲発表だけでなく人気曲のスペシャルメドレーなど内容が盛りだくさんで4時間があっという間だった。昔と違って最近は、今日のような特番以外で、生放送での音楽番組は殆どないので、私のような若い人にとっては“生放送”という点も特に番組の魅力の1つになっている気がした。(千葉・高校2年・女子)

    • 『Best Artist 2020』(日本テレビ)自分の好きなアーティストも出ていて、年末の音楽番組はその年を振り返る機会にもなるので、楽しみにしていました。しかし正直な感想を言うと少し演出がダサい、と感じてしまいました。画面の右上に出るタイトルが、「輝け!○○」や「女性/男性が選んだ」など今っぽくないなぁと思うもので、なんだか引っかかってしまいました。私が気にしすぎなところもあるのかもしれませんが、「女性/男性」など大きなくくりを付けるときはよく考えてほしいです。また、アーティストの紹介に魅力が引き出しきれていないようにも感じました。もっとファンでない人でも新たに関心を持ってもらえて、ファンも盛り上がれるような紹介を期待しています。(千葉・高校1年・女子)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)収録の裏話などが多く聞けてとても面白かった。声優さんのいわゆる顔面偏差値がどんどん高くなっている気がする。最近はアイドル的な立ち位置の声優さんも増えてきているしそれなら確かにそうだと思う。親が昔は裏方側に近かった声優がライブをして歌ってイベントをやってと俳優さんのようになってきているのは不思議だと言っていた。(東京・高校1年・女子)

    • 『ボクらの時代』(フジテレビ)今いちばんお話を聞きたい方々をキャスティングされていて、とても興味をそそられました。話題を振ったりする司会の方がいないおかげで声優の方々の素に近いような姿、テンション感が見られてうれしかったです。トーク番組ということでいろいろな話が聞けた濃い30分間でしたが、話題が切り替わったときに切り替わったことをもっと強調するような演出があればより分かりやすくなると思いました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『ストロングポイントクロス』(BS日本)今週のパラアスリートということでパラカヌー選手の瀬立モニカ選手が取り上げられていました。自分はあまりパラリンピックなどの知識がなくパラリンピックにもカヌーが競技としてあるのかと驚いたと同時に車いす生活を送っていると知りとても衝撃を受けました。モニカ選手を支え、1年ほぼ毎日共に過ごす女性コーチもついて、練習に励むモニカ選手の映像を見て自分も何事も一生懸命に練習や勉強をすれば結果につながると思い、いろいろなことへのやる気や自分の背中を押される感じがしました。これからはオリンピックだけではなくパラリンピックも注目し、モニカ選手のカヌーでの活躍を個人的に応援していこうと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『土佐のむかし話』(高知放送)この番組は幼いころに見たことがあり、およそ10年来の視聴となります。地元に伝わる郷土の歴史を分かりやすく映像化し、口頭や文字では理解しにくいところを可視化してくれているため、より一層郷土の歴史を楽しく視聴することができた。(高知・高校3年・男子)

    • 『NEXSTARS☆』(沖縄テレビ放送)サッカースクールの手伝いということで、子どもたちの将来の夢に触れていた。しかも、イベントの告知にもなるので、多くの人に興味を持ってもらえていいと思った。また、番組後半のマサマジックのマジックはすごくて、見入ってしまった。マサは、知名度があり、県内でも人気があるので視聴者の数を集められるのでいい人選だと感じた。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況の報告がありました。

以上

2020年12月22日

2020年12月22日

年末年始のBPO業務について

BPOでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2020年度年末年始の業務対応を次のとおりといたしますので、お知らせいたします。

  • 通常業務は、年内は12月25日(金)まで、新年は1月12日(火)から、となります。
  • 12月26日(土)~1月11日(月)は、視聴者応対電話、放送人権委員会の相談電話を含め、業務を休止します。
  • 業務休止期間中、郵便物の受領と、メール、ファクスの受信は行いますが、対応は原則として業務再開後となります。

第155回 放送倫理検証委員会

第155回–2020年12月

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を審議
1月にも委員会決定を通知・公表へ

第155回放送倫理検証委員会は12月11日に開催された。
委員会が4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が6月30日に通知・公表した琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の修正案が再度示された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、1月にも当該放送局への通知と公表を行うことになった。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の修正案が示され、意見交換を行った。

1. 北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見への対応報告を了承

4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見(委員会決定第35号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
対応報告は、通常、通知・公表後3か月をめどに提出されるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で当該局研修の日程が大幅に延期されたため、この時期の提出となった。
報告書には、委員会決定を受けて、全社員・スタッフにその内容を周知したほか、報道制作現場に対してアンケートを実施し、意見書の内容に関する受け止め方を確認したこと、委員会からの問題指摘後すぐに「選挙報道マニュアルの策定」を行うとともに、「報道ゼミナールの定期開催」「編集主幹を新設、メンター制導入などの組織の改善」などの再発防止への取り組みを決め実践していることなどが記されている。
委員からは、「事前に現場アンケートや社内に設けられた検証委員会の報告書に目を通して勉強会に臨んだ。出席者の感想を見ると委員会の思いが伝わっていると感じた」「簡潔にまとめられた報告書ではあるが、局内で十分に議論され、率直な意見交換も行われて再発防止に向けた取り組みを深めている様子がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北海道放送の対応報告書は、こちら。

2. 北日本放送「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」への対応報告を了承

6月30日に通知・公表した「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」(委員会決定第36号)への対応報告が当該放送局である北日本放送から書面で提出された。
報告書には、問題が指摘された後、直ちに番組検証チームを立ち上げて関係者から聞き取った内容を検証し報告書にまとめ、営業活動における放送倫理研修会を自主開催したこと、関係部局が協議して営業系番組の取り扱いルールを明文化したことなどが記されている。また、委員会決定を受けて、機構改革を行い編成業務局内に考査部を新設したこと、検証委員会委員を招いて研修会を開催したことなどが記されている。
委員からは、「何が問題であり、なぜそうなったのかという観点からしっかりと検証した上で、今後の対応策についても極めて明確な方針を出しており、高く評価できる報告書である」「意見書の趣旨をきちんと受け止めている。放送倫理に対する意識の希薄さがあったことを率直に受け止め、再発防止に努める決意がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北日本放送の対応報告書は、こちら。

3. テレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見への対応報告を了承

9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見(委員会決定第38号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の内容を社内に周知徹底した上で、社内横断的な「放送倫理関連会議」で議論を行い、報道局以外の番組でも同種の事案の発生がないよう問題意識の全社的な浸透を図ったこと、再発防止勉強会や検証委員会の委員を招いて研修会を開催したことが記されている。また再発防止への取り組みとして、スタッフへの指導と環境づくりを行う「放送倫理を遵守するための対策」と、放送前に問題点を洗い出し修正する「放送倫理違反を防ぐための水際対策」を行ってきたことなどが報告されている。
委員からは、「研修会では活発な議論ができた。また再発防止策も大事なポイントを具体的に押さえている」「再発防止策がこの形で実施されるならば、今後は同様の問題が起きないことが期待できる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
テレビ朝日の対応報告書は、こちら。

4. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」と、番組ホームページ上で公表した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
前回までの議論を受けて担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、1月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

5. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、電話調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、フジテレビが架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
委員会には、前回の委員会に諮られた意見書の原案に対する議論を踏まえて担当委員が作成した修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

以上

第287回放送と人権等権利に関する委員会

第287回 – 2020年12月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」ヒアリングを実施…など

議事の詳細

日時
2020年12月15日(火)午後3時~9時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」ヒアリングと審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。
今委員会ではヒアリングを実施した。通常のヒアリングは、申立人、被申立人に対して行われるが、今回は、女性が亡くなっているため番組制作当時や放送前後の様子を知る女性の知人らからも事情を聴いた。また被申立人側も、フジテレビの担当者に加え制作会社関係者からもヒアリングを行った。ヒアリングは全体で5時間に及び、母親は、SNS上で誹謗中傷が集中したあと女性が自傷行為を行ったことは、「SOSを出していたのであり、フジテレビが適切に対応していれば娘が命を落とすことはなかった」などと訴えた。また、女性の知人は当時の様子について、女性とのやり取りから制作スタッフに不信を抱いていたようだと感じたなどと述べた。一方フジテレビ側は、番組に過剰な演出はなく女性を暴力的に描いたことはないとして「人権侵害も放送倫理に反することもない」などと改めて主張した。
委員会は、ヒアリング後に審理を行い決定の方向性について意見を交わし、その議論を基に担当委員が起草に入ることを決めた。

以上

2020年11月に視聴者から寄せられた意見

2020年11月に視聴者から寄せられた意見

感染が拡大した新型コロナウイルスについて報じた番組への意見や、コロナ禍における番組収録、取材のあり方への意見が多く寄せられた。

2020年11月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,454件で、先月と比較して1,196件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール80%、電話18%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性53%、女性26%で、世代別では50歳代25%、40歳代24%、30歳代21%、20歳14%、60歳以上14%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。11月の通知数は延べ801件【50局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

感染が拡大した新型コロナウイルスについて報じた番組への意見、また、コロナ禍における番組収録、取材のあり方への意見が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は90件、CMについては16件あった。

青少年に関する意見

11月中に青少年委員会に寄せられた意見は81件で、前月から29件減少した。
今月は「表現・演出」が27件、「いじめ・虐待」が11件、「暴力・殺人・残虐シーン」と「報道・情報」がそれぞれ7件、「低俗、モラル」が6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 新型コロナについての報道で、予防のためのマスク着用を推奨している一方で、スタジオではマスクは着用せず、取材などではマウスシールドはしているが、マスクはしていない。報道と番組のあり方が違うので、視聴者としては、マスクをするのが適切なのか、マスクをしなくてもよい状況なのか、判断に迷ってしまう。番組出演や取材におけるマスク着用のスタンスを統一してほしい。

  • 新型コロナについて、「感染者急増」「過去最大」など、不安をあおる報道を繰り返し、結果的に罹患した方や関係者への偏見、差別につながり、社会全体を不安に陥れている。公的機関が発表している検査陽性者は、感染者と報じられ、視聴者に誤解を与えている。また、インフルエンザの流行については淡々と報じる一方で、新型コロナでは、「クラスター発生」「医療崩壊の危機」などと危機感をあおっている。感染抑制や罹患者の重症化防止のための情報を視聴者に伝えることが放送局の役割だと思うが、ワイドショーなどは、ただ騒いでいるだけにしか思えない。過信は禁物だが、過剰な報道はやめ、正しい情報を視聴者に伝え、感染抑制と罹患者への偏見防止につなげてもらいたい。

【番組全般・その他】

  • コロナ禍の中、少しでも感染拡大を防ごう、マスクをして三密を避けようとテレビで報じているが、土曜昼の番組は、それを自ら破るような放送をしている。ロケ中にマスクなどの感染対策をせず、大声で騒いでいる。マウスシールドはほとんど意味がないと言われているが、それすらもしていない。コロナ前の再放送かと思ったほどである。世の中、気が緩んでいるのではないかと言われているが、一番緩んでいるのはテレビ業界ではないだろうか。最大限の感染対策をしてロケをしてほしい。

  • 朝の番組は、新型コロナについて、「医療崩壊」「GoToトラベルの中止」「緊急事態宣言」などと、大げさにあおっている。その裏で若者などの自殺者数が増加傾向にある事実。今の状態からさらに経済を停止させるようなことを行えば、自殺者がさらに増加する可能性には触れない。テレビ局の意図するあおりに賛同しているかのような一部の医療関係者の出演コメント。それに真っ向から反対意見がある医療関係者も多数いるなかで、そういった人たちの出演は皆無。結局、テレビ局に都合の言いことだけを並べている。このような放送をして得をするのはテレビ局関係者だけで、国民は誰も得しない。国民を混乱させるのはやめてほしい。

  • 情報番組で新型コロナの感染状況を伝えている。感染者数・重症者数・ベッド数の状況などを逐一アナウンサーが深刻な表情で伝えるが、その直後、一変して笑顔で「おいしい飲食店情報」などを披露する。飲食店での会食が最大のクラスター発生源である現在、コロナのニュースの直後に飲食店情報とは矛盾している。

  • 羽田空港でGoToトラベルについて昼の番組の取材を受けた。私たちは男2人の70歳代。インタビューに対し、私は「札幌には行かないし、経由もしないのでこのツアーに参加した」という旨を答えた。しかし放送では、話の内容はすべてカットされ、「札幌観光に行ってきたという男性、GoToのチャンスを逃したくなかったから…」とのナレーションが流された。顔はモザイクで隠されていた。このように、番組の企画の方向性に合わせてインタビュー内容を改ざんすることはよくあるのだろうか。映像を都合よく利用されてしまった。改ざんを前提に処理をしたとしか思えない。テレビ局とはこのようなものなのか。

  • 食べられもしない量の料理を出し、無駄な食べ残しをし、食べられもしないほどの激辛にして食べ残しをするのは、あまりにも常識を超えている。新型コロナの影響もあり、出演者の食べ残しをスタッフが食べて処理するはずもない。世の中には何事にも限度と常識がある。食べられもしない量を分かっていながら出し、食べられもしない辛さにして食料を無駄にするのは非常識だ。限度ある常識的な番組作りをしてほしい。

  • 大ヒットしている人気アニメの過剰報道と、それに興味のない人たちに対する配慮のなさについて。いくら人気があるとはいえ、知っていて当たり前のように報じるのはどうなのか。それを知らない人、興味のない人、嫌う人たちからすれば、不快で腹立たしい。多様性の時代というのなら、はやりものを安易に取り入れ、過剰に報道するばかりでなく、別方向の意見をもっと取り上げたほうがいい。

  • 人気アニメの劇場版が連日取り上げられているが、テレビが騒げば騒ぐほど、劇場に人が殺到する。コロナに感染しそうで怖い。GoToトラベルも同様で、テレビであおると人は出かけたくなり、結果として感染拡大につながってしまう。私は宅配業者の配送員。仕事上、感染防止には万全な対策をとっている。いくら私たち現場が努力しても、テレビで人々をあおるような放送をされてしまうと何もならない。このことを放送関係者は忘れないでもらいたい。

  • 新型コロナと年齢(83歳)のため、最近はテレビを見て過ごす時間が長くなった。いつも思うのだが、ほとんどの番組は若い視聴者向けに作られている。たとえば歌番組は歌そのものを楽しみたいのに、踊りやトークなどの演出が過剰で疲れてしまう。ドラマでは出演俳優の名前が思い出せずイライラすることもある。できればその俳優のセリフの際、時々でも役名と俳優名を字幕表示してくれたら助かる。私も以前は問題なくテレビを楽しめたのだが、80歳を超えたころから少し難しくなってきた。若い人はテレビ以外の活動があるが、老人にとっては日々の生活でテレビの占める割合は年々大きくなる。是非、高齢視聴者の要望を生かしてほしい。

青少年に関する意見

【「報道・情報」に関する意見】

  • 子どもの通っている熊本県内の高校で新型コロナのクラスターが発生し、地元のテレビ局は学校名を公表して報道していた。公表されたことにより学校を貶める嘘の情報が広まり、風評被害が起こっている。学校は不特定多数の人が来るわけではないし、子どもたちにも影響が大きい。学校名の報道は慎重にすべきだ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • ドッキリ番組や実験番組は、最初は子どもの興味を引く軽いイタズラや実験だったが、最近は怪我をさせたり人を痛めつけるような内容に変わってきている気がする。子どもがマネをしたりイジメにつながってしまうのではないか。見ていてそうならないようなイタズラや実験にするべきだ。

  • バラエティー番組で「人気俳優が起こしたひき逃げ事件」のテロップを流し、延々このニュースについて放送し、非常に不快な内容だった。現段階では、起訴不起訴処分は決定しておらず、日本の司法では「推定無罪」であることを認知するべきだ。目を引くようなテロップやボードを使い、週刊誌の不確かな記事を鵜呑みにした内容を出演者の無責任なコメントと共に流し続けた。子どもも見る時間帯、いじめにも似た番組だ。

【「表現・演出」に関する意見】

  • 『SHIROBAKO』(NHK Eテレ)は、アニメ制作の舞台裏を題材にした作品で、制作の苦労が分かり、仕事の勉強になる。暴力シーンなどなく安心して見ていられた。アニメ業界で働きたい若者に見せたい番組だと思った。

第228回 放送と青少年に関する委員会

第228回-2020年11月

視聴者からの意見について…など

2020年11月24日、第228回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、1件の「討論」案件がありました。
夜のバラエティー番組で、控室に置かれた手指消毒ボトルから50℃に熱せられたゴマ油が出てくるという芸人相手のドッキリ企画について、「子どもがマネをしたら危ない」「中高生が身近な消毒液を他のものに入れかえたらどうする」などの意見が寄せられた件について討論しました。これについて委員からは、「“専門家の指導”とは、視聴者はやけどの専門家がいて大丈夫だろうと思ったはずだが、実は爆発に関する火薬の専門家だとわかり、視聴者側の安心を作っている期待とは違うところが気になった」「普通のドッキリ番組だと思ったが、消毒ボトルという“新しい生活様式”を題材に使ってやるのは不適切だと感じる」などの意見が出されました。この件については、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することになりました。
11月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近聴いたラジオ番組について」でした。29人から報告がありました。
モニターからは、中高生をターゲットとした学校形式の番組について「中高生、受験生にエールを送ることもあり、聞いて少し背中を押されたような気がした。ラジオは音だけしか情報がないので、DJはどんな人なのか、質問を送った人、コメントした人がいったいどんな人なのだろうと想像力がずっと働いた」、やさしい英語で書かれたニュースを通して、世界で実際に使われている現代英語を学んでいく番組について「普段学校で扱う英語の長文の内容は1年以内のニュースはなかなか出てこないので、ラジオという形で触れることができてよい機会になったと思います。さらに、ラジオは完全に音声のみであるので、余計な情報が入ってこなく、普段テレビやスマホなど視覚を中心に情報を取り入れていた私にとってはとても新鮮で、ラジオを聞くことで集中力を鍛えられたように思いました」、若い世代に人気のモデル、藤田ニコルさんによるトーク番組について「ラジオではパーソナリティーが話す時間が多いので、テレビだけではわからない人柄が見えて、友達一人増えたような気分になります。私は藤田ニコルさんが話すときに素直で気を張っていない感じが好きです。ラジオでは全員の声が聞こえるからちょっとしたところが面白かったり、普段の会話を聞いているみたいで、普段他人の会話を傍聴するのが好きな私にはピッタリかもしれません」などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は12月14日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年11月24日(火)午後4時30分~午後7時
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

まず、10月後半から11月前半までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
夜のバラエティー番組で、LGBTを扱ったドラマのパロディーとして、男性芸人が控室に挨拶に来た男性後輩芸人に対して、上半身裸になって肩や胸をマッサージして言い寄るというドッキリ企画について、「放送時間帯として子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子ども達への影響は大きい」「子ども達が見るかもしれない時間帯に放送しているため、性的少数者、性犯罪被害者に対する差別や偏見を招きかねない」「LGBTを侮辱している」などの視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、
「片方が女性だったら、この企画はできないだろう。男と女の登場人物を替えたら成立しないと思うものを社会に出す相当性を十分に注意しなければいけない時代になっている」
「上下関係が厳しい芸人の間で、相手が断り切れない状況でこういう仕掛けをしている。セクハラ、LGBTに対する考えだけでなく、パワハラを笑いのネタにしてしまうことの問題性は考えないといけない」
「LGBTを題材としたドラマが人気を博したり、LGBTを知ってもらえるということでは良いのかもしれないが、妙な取り扱い方をされることによって、逆にLGBTというのはちょっと変な感じなのかという捉え方をされてしまうのではないかと気にかかる」
「演出に言いたいことはあるが、これを青少年の問題として取り上げるのが適切なのか、考えるところはある」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

深夜のトークバラエティー番組で、アイドルオタクを自称するお笑い芸人が、幼いアイドルを応援している、アメリカの仲間は体内にGPSが埋め込まれていると面白おかしく話したことに対して、「GPSは一度性犯罪を起こした証だが、その話を笑いとしていた」「ロリコンを自称し、未成年への性被害を軽視する発言を繰り返していた」「芸人の発言が犯罪を肯定的に扱っていた印象を受けた」などと言った視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、
「日本はチャイルドポルノに緩い風潮が感じられる。アメリカの仲間はGPSが体内に埋め込まれているという発言を地上波のテレビで放送してしまったのは、生放送ではないのにどうしてだろうか。犯罪行為を肯定的に笑いにしてしまっているのではないか。コンプライアンスの観点からも子どもに対して悪い影響を与える」
「個人の趣味趣向は自由だが、GPS装着は子どもに対して性犯罪をした人たちだ。センシティブにならねばいけないことに意識がなかったのが問題だと思う」
「アメリカにそんな仲間が本当にいるのかどうか分からないが、これは制作側がもう少し配慮すべきだったと思う」
「アイドルが好きという話なのか、性的に何か問題があるという話なのか、ここが大きな分かれ目だと思う。性的に好きだとあからさまには言っていないようなので許容されたという考え方なのではないか」
「芸人のキャラクター付けで、他とどれだけ差別化するか、どうやったら際立たせられるというところで、一線を越えてしまったのではないか」
といった意見が出されました。
この件については、次回委員会で全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

次に前回委員会の決定を受けて、一件の番組について「討論」しました。
夜のバラエティー番組で、新型コロナ対策の手指消毒用ボトルに50℃以上に熱した油を入れ、それを知らずに使用したタレントが熱さに驚き、さらにそのボトルが爆発しタレントが油まみれになるというドッキリ企画に対して、「子どもが見て消毒液は怖いと思うかもしれない。“新しい生活様式”をこのような危険な企画に使うのは問題だ」「中高生などが身近にある消毒液を他の物に入れ替え、違った被害が出たらどうする」「専門家の指導のもと行っているとテロップが出たが、あまりに危険。子どもがマネをしたりイジメに使おうと思ったら怖ろしい」などの意見が寄せられた件に関して、委員全員が番組を視聴し「討論」しました。
委員からは、
「“専門家の指導”とは、視聴者はやけどの専門家がいて大丈夫なんだろうと思ったはずだが、当該局からの報告によれば、実は爆発に関する火薬の専門家だということで、視聴側の安心を作っている期待とは違うところが気になった。具体的にどのような専門家なのか表示するべきではないか」
「危険なことをする際、専門家が良いと言っていますと出せば済むという雰囲気があるのではないか」
「普通のドッキリ番組だと思った。いま問題になっているような演出はこれまでもずっと取り上げられたことだから。しかし、新型ウイルス感染問題が収束していない状況において、消毒ボトルという“新しい生活様式”を題材に使ってやるというのは、不適切だったと感じる」
「顔に向かって熱した油を爆発させるのは、プロの芸人が阿吽の呼吸でやっている演出だが、身近な消毒ボトルに熱いものを入れておいて驚かせて笑うというのは、子どもが簡単にまねができてしまう気がする」
「当該局からの報告では、コロナ禍の中、消毒液をネタにしたことは配慮が足りなく、反省しているとのことであった。今後の番組制作では注意喚起されると思う」
といった意見が出されました。
この件については、「審議」には進まず、委員会で出された意見を議事概要に掲載することをもって、「討論」を終了することとなりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした11月のテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「最近聴いたラジオ番組について」では、全部で22番組への報告がありました。複数のモニターが記述したのは3番組で、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)に4人(「自由記述」と合わせると5人)が、『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)に4人が、『高校生からはじめる「現代英語」』(NHKラジオ第2)に2人が感想を寄せています。英語の語学番組に関するものも多く、番組は異なりますが6人が報告を寄せました。聴取方法は、リアルタイムが13人、フリータイムアプリなどの利用が15人で、両方を利用したと答えたモニターが1人いました。
これまであまりラジオを聴いたことがなかったというモニターの中には、自分で情景を想像しながら聴くこと、出演者とリスナーの距離が近いこと、などラジオの特性に魅力を感じたという人が少なくありませんでした。また、モニターの記述からは、最初に出会う番組がその後の聴取習慣を左右する可能性も伺えました。
「自由記述」でもラジオ番組に関するものが目立ちました。「若い世代にもっとラジオを身近に感じてもらうような宣伝ができないのか」という提案や、「自分たちのような世代に向けた番組を増やしてほしい」という要望がありました。
また、新型コロナウイルス感染者数が再び増加していることについての意見も多く寄せられました。「東京など感染者の多い地域から地方に取材に来ることに抵抗を感じている。地元局と協力して番組制作を行ってほしい」「第1波のときより感染者数が増えているのに、以前よりニュースが少なくい。対策の仕方をもう一度取り上げてほしい」などの声がある一方で、「コロナ感染者数の増加に慣れてしまった。無観客やリモート出演も日常となった」という人もいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)を10人が、『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)と『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)をそれぞれ4人が、『林修の今でしょ!講座 2時間スペシャル』(テレビ朝日)を2人取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • 「ラジオといえば大人が聴いているイメージがある」というモニターからの意見に、若い人たちはそう感じているのかという発見があった。このモニターが寄せた「若い人向けのラジオ番組をもっと増やしてほしい」というリクエストはぜひとも制作者に伝えたい。

    • 去年まではあまり見られなかった感想がいくつかあった。あるモニターは「ふだんテレビばかり見ていると視覚的な情報が伝わりますが、ラジオは音声だけで集中して聴かないと内容が分からなくなってしまうと実感しました」と書いていた。若い人たちはあまりラジオを聴かなくなってしまっていて、距離ができているのだろうか、と心配になる記述も散見された。

    • 若いパーソナリティーがいることで、若い世代に需要があるのだと感じたというモニターがいた。若い人たちに聴いてもらうためには、若いパーソナリティーを出演させるということも重要だと感じた。

    • 初めてラジオ番組を聴いた人から、「ラジオに興味が沸き、また聴こうと思った」という感想があった。良い出会いで良かったと思う。最初にラジオは面白くないと思ってしまうと、もう二度と聴いてくれないかもしれない。最初に出会う番組がとても大事なのだと思う。

    • ラジオで情報を聴くという「文化」は、とても重要。制作者にはぜひ頑張ってもらいたい。

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)「番組を聴くと元気をもらえる」という記述があった。「特に、人間関係や家族のことで悩んだ時、あるいは勉強を頑張らなければいけない時に支えになった」と書かれていて、ラジオ番組が、生きていく上で力になっていると感じ取れる内容だった。制作者に、応援メッセージとしてぜひ伝えたいと思う。

    • 『基礎英語1』(NHKラジオ第2)月曜日から金曜日まで放送があり、金曜日にまとめがあったり、英語の曲の紹介が入ったり、という企画的なものが良いという評価をしているモニターがいた。英語圏の文化、生きた英語に触れられるように工夫されている部分が受け入れられているのだと感じた。

    • 『基礎英語2』(NHKラジオ第2)3年間続けて聴いているというモニターが、この番組のストーリーをとても楽しんでいるということを書いていた。やはり、ストーリー性があるという構成が、リスナーが継続して聞いてくれるポイントなのだろう。

  • 【自由記述】

    • 「自粛期間でラジオを聴く機会が増えました。運動に散歩に出ていたときに聴くことが多かったです」という記述について、コロナで生活が随分変わったことで、ラジオが見直された部分もあるのではないかと思う。

    • 「結末はCMの後で」ということが多いのが嫌いだし苦手だ、と書いたモニターが、一方で、クイズの場合には「この問題の答えはCMの後で」というのが良いのだという。問題について考える時間が与えられるからだそうだが、この指摘は新鮮だった。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)コロナ禍で学校行事などがなくなっておりモチベーションが下がっている中で、番組で、生徒たちがみんなで協力して楽しそうにしている姿を見て、元気が出たというモニターがとても多く印象的だった。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近聴いたラジオ番組について】

    • 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)夜遅い時間に放送される番組なので勉強のお供や夜更かししたい時に聴いているのですが、この番組はまさにそんな時にぴったりです。くだらないことで笑うことで勉強や深夜の時間を楽しくしてくれます。最大の魅力はなんといってもトークの面白さです。パーソナリティーであるオードリーのお二人のトークのテンポが良く、すごく面白いです。次から次へと新しい話題に切り替わっていくので全く飽きずに聴けます。また、お二人の仲むつまじい様子も聴いていてほっこりします。テレビで見る姿とはまた違ったラフな感じが聴いているほうにも伝わってきて、ラフな気持ちで聴くことができます。(愛知・高校1年・女子)

    • 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)一つ一つの話は長いのに、(オードリーの)お二人の話のテンポがいいので全く長く感じず、リスナーともすごく良い関係を築いているラジオなんだなと毎週思っています。芸人さんなので、厳しい言葉で突っ込んだり、ふざける事もありますが、ベテランの芸人さんなので生放送でもしっかりと発言を考えられているように感じます。(東京・高校2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)もともと私は音楽が好きで、アーティストのみなさんがコーナーを担当する「ARTIST LOCKS!」が豪華だったので小4から聴いています。人間関係や家族のことで悩んでいた時、すごく支えになった番組です。(宮城・中学1年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)ラジオといえば大人が聴いているイメージがあるが、大人ではない、私たち向けの番組があるのはいいと思う。『SCHOOL OF LOCK!』では中高生の抱える悩みや関心のあるニュースなどをテーマにしてくれて、楽しく聴きながらいろいろなことを考えることができる。(岡山・中学2年・女子)

    • 『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)中高生、受験生にエールを送ることもあり、聴いて少し背中を押されたような気がした。ラジオは音だけしか情報がないので、DJはどんな人なのかや、質問を送った人、コメントをした人はいったいどんな人なのだろうと想像力がずっと働いた。あまり聴いてこなかったが、ラジオに興味が沸き、また聴こうと思った。(東京・高校1年・男子)

    • 『高校生からはじめる「現代英語」』(NHKラジオ第2)ふだんあまりラジオを聴かないのですが、今回この番組を聴いてみて、勉強になる情報が多くて、聴き終わった後は満足感でいっぱいになりました。学校で扱う英語の長文の内容は1年以内のニュースはなかなか出てこないので、ラジオという形で触れることができて良い機会になったと思います。さらに、ラジオは完全に音声のみであるので、余計な情報が入ってこなく、普段テレビやスマホなど視覚を中心に情報を取り入れていた私にとってはとても新鮮で、ラジオを聴くことで集中力を鍛えられたように思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『基礎英語1』(NHKラジオ第2)金曜日には月曜から木曜までの復習と発音練習、「Friday SPecial」という週替わりのコーナーがある。そこで行われる英語の曲の紹介が気に入っている。楽しみながら英語が学べるのでいいと思う。(千葉・中学1年・男子)

    • 『基礎英語2』(NHKラジオ第2)『基礎英語1』から聴いていますが、毎日楽しく聴いています。番組にはストーリーがあり、その内容は1年ごとに変わっていくけど、毎回とてもクオリティが高いのでストーリーが変わる時がとても楽しみです。(秋田・中学2年・男子)

    • 『ボキャブライダー』(NHKラジオ第2)単語だけでなく、例文や語源も教えてくれるので、単語を文章の流れの中で覚えられ、英語の勉強に役立っている。(東京・中学3年・女子)

    • 『子ども科学電話相談』(NHKラジオ第1)初めて聴いたラジオ番組でしたが、とっても面白かったです。特に印象に残っている質問は「つばめは死なないの?」という質問でした。小学生の子が「なぜなら、つばめが死んでいるところを見たことがない」というもので、それに対して、専門家の先生が分かりやすく答えているのです。素朴な質問に専門家が丁寧に答えて解決するのがこの番組の面白さだと感じました。質問しているのがみんな小学生以下だったのですが、中学生も質問していいのなら、私も質問してみたいと思いました。せっかく、いい番組を知ったので、また来週も聴きたいと思います。(長崎・中学1年・女子)

    • 『サンドウィッチマンの天使のつくり笑い』(NHKラジオ第1)毎回爆笑してしまう番組で自然に笑顔になれるのでとても好きです。「天使の二択」のコーナーは、毎回日常にあることを「あなたならAとBのどっちを選ぶのか」を全員が納得するまで討論し合うコーナーで、それぞれの意見を聞きながら、自分の意見と比べて、共感しながら楽しんでいます。(山形・中学1年・女子)

    • 『アットホームpresents 藤田ニコルのあしたはにちようび』(TBSラジオ)テレビでのトークが面白いのでもっと話が聞きたいと思って聴くようになりました。ラジオではパーソナリティーが話す時間が多いので、テレビだけでは分からない人柄が見えて、友だちが一人増えたような気分になります。私は、にこるんが話す時に素直で気を張ってない感じが好きです。ラジオでは全員の声が聞こえるからちょっとしたところが面白かったり、普段の会話聴いてるみたいで、普段他人の会話を傍聴するのが好きな私にはぴったりかもしれません。(千葉・高校1年・女子)

    • 『井上芳雄 by MYSELF』(TBSラジオ)よくこのラジオを聴いていますが、「今日はどんな曲が歌われるんだろう?」と楽しみにしています。今週はカーペンターズの「雨の日と日曜日は」でしたが、まるでコンサートホールの最前列にいるような極上の音楽、臨場感でした。(東京・高校2年・女子)

    • 『内山昂輝の1クール!ポッドキャスト』(文化放送)パーソナリティー本人の話、例えばハマっている漫画であったり、学生時代の話であったりが聴けるというのはとても面白いと思った。今回の話で特に印象に残っているのが最後のコーナーで、違う職業やライフスタイルを知ることができた。このコーナーでお便りを送ったリスナーさんたちの1日を知る中で、同じ時間を過ごしているはずなのにこんなにも自分とは違った生活をしている人が世の中にはたくさんいるのだと改めて実感して不思議に感じた。(東京・高校1年・女子)

    • 『中居正広のON&ON AIR』(ニッポン放送)普段、テレビばかり見ていると、視覚的な情報が伝わりますが、ラジオは音声だけで、集中して聴かないと内容が分からなくなってしまうのだなと改めて実感しました。しかし、中居さんの声は特徴的で、顔も容易に想像できるため、あまりラジオを聴いているという感覚はありませんでした。夜の番組だからか、ダラダラ喋るような感じで、1日の終わりに疲れが取れそうだと感じました。また、テレビよりもラジオのほうが質問コーナーなどで出演者とリスナーのやり取りや連携が多く、リスナー目線で物事を語ってくださって、親しみを感じました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『杉咲花のFlower TOKYO』(エフエム東京)日曜日の朝にぴったりな、優しくて温かいラジオでとても心地よい1日を迎えられそうだなあと感じました。ラジオはテレビとは違い、耳だけで楽しめるのでなにかをしながら楽しむことができ、また、1人でいる時に誰かの声が流れているとなんだか安心できるので3月のステイホームの期間にたくさん聴きました。早起きできたらまた聞こうと思います。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『今夜はLucky Night~マシコ・フライデー~』(茨城放送)茨城県の人ならではのディープな話題や他県の人なら気づかないような話題もあり、これぞ県ならでは というものがたくさん発見できる番組でした。今回、自分もこの番組にお便りを送ったところ読み上げてもらい、(パーソナリティーに)「自分の番組にも若者が来るのか」と冗談交じりに面白く紹介していただきました。これからも定期的にこのようなラジオも聴いていくのもいいなと思わせてくれるいいラジオ番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 『MAGICAL SNOWLAND』(FM NACK5)全体的に明るく活気のある番組だと思います。リスナー参加コーナーが多く、リスナーがいるからこそラジオは成り立つのだとこの番組を聴いていて改めて感じました。パーソナリティーは、まだ10代であるのにも関わらず、落ち着いていて番組を引っ張っていて、若いのにしっかりしているんだなと感心する部分も非常に多いです。若い出演者がいるということでラジオは若い世代にも需要があるのだなと感じました。

    • 『GWEEENとはばたけHEROES!!』(熊本放送)県内の高校生が頑張っている取り組みを、MC陣が高校生のもとに出向いて取材・伝える番組。この日は、高校生が「DJポリス」として交通安全を呼びかける県内初の取り組みが取り上げられた。高校生たちの思いなどは、テレビではなかなか知ることはできないので、このラジオで聴けたのがとても良かったです。こういった深い情報まで知れるのがラジオの良さだと思います。実際に僕自身がやっていることも取材してもらいたいと思いましたが、ホームページを見てもどこにその旨を送ればいいのか分からなかったので、もっと多くの中高生たちに聴いてもらえる・情報提供してもらえるように、TwitterやInstagramなどのSNSを活用していくと番組もより良くなるのかなと思いました。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 私はほとんどラジオを聴く機会がないので声だけ、音だけでというのが少し新鮮だった。動画で人が動いてというのを見るのも面白いが、話を聴いてその情景を想像しながら聴くというのも面白く感じた。ラジオはテレビよりも視聴者参加型で、だからこそリスナーからのお便りあってのコンテンツなのかなと感じた。(東京・高校1年・女子)

    • 私は自粛期間でラジオを聴く機会が増えました。運動に散歩に出ていた時に聴くことも多かったです。自粛期間、私は精神的に大変な時もあったので、ラジオを聴くといつも音楽も流れてきて心が軽くなった覚えがあります。しかし、ラジオはとても面白いのに、若い人にはあまり浸透していないように思います。もっと目につくところで、どんなことをやっているかを宣伝してほしいです。私はよくRadikoで聴くのですが、新しい番組を聴きたいけどどんな番組か分からないことが多く、分かりやすいところに番組の内容や、こんな時に聴く、こんな年齢層に向けて作っている、など判断材料を書いてくれると聴く幅も広がっていいのになあと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 若い人向けのラジオ番組をもっと増やしてほしい。(岡山・中学2年・女子)

    • ラジオのCMはとても耳に残るものが多く、友だちとラジオの話をする時は番組の内容だけでなく、CMで流れていた曲や表現されていたことも話題になります。(宮城・高校3年・女子)

    • テレビでは時間表示されている番組も多いが、ラジオでは時刻のお知らせのようなものが少ないような気がします。時計がない場所では時刻が気になるのでもう少し番組内でも時刻のお知らせをしてほしいと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 最近、コロナが再拡大している中で、報道番組について思うことがあります。
      私は毎日同じ番組を見ていますが、同じアナウンサーがきのうは東京、きょうは茨城…など、様々な場所で取材をしていることです。私の住む所に、ふだん東京で生活・仕事をしている方が来られたら、ちょっと嫌だなと思ってしまいます。ぜひ、地方局と協力して取材してほしいと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 食べ歩きや旅関連の番組の企画がまた多くなってきたように感じるが、数か月前まではフェイスシールドやマスクをした上で出演していたのにそれもなくなってきている気がして、感染対策について少し引っかかってしまった。(千葉・高校2年・女子)

    • 第1波の時より感染者数が増えているのに、以前よりコロナウイルスのニュースを見かけなくなった気がします。気温も下がり、風邪をひきやすい季節になったのでより一層、電波を使って対策の仕方などをもう一度取り上げてほしいなあと感じています。(神奈川・高校2年・女子)

    • 最近は、番組内で新型コロナウイルスに感染しないためのアクリル板やマスクが気にならなくなってきました。(宮城・中学1年・女子)

    • 新規感染者数が多い日でも、私はそれほど驚かなくなってきました。無観客やリモート出演も日常となり、4月に感じていたような違和感をなくなってきて、いろんな番組にパーテーションが人と人との間に立てられていても受け入れられるようになってきました。(東京・高校2年・女子)

    • ワイドショー的な番組の進行役にキャスターやアナウンサーを本来の職業としていないタレントが就くことが増えている。とても勉強されていろいろな知識を持っている方もいる一方、「公務員は」「教員は」「医師は」「学生は」「留学生は」と「○○は~であるべき」といった偏った意見を平然と述べることがとても気になる。(群馬・中学3年・男子)

    • テレビ番組の放送開始時間が7時56分などのように、分刻みでスタートすることが多いことに疑問を感じています。視聴率を稼ぐためだとしても、全部の番組で同じように56分や57分に開始したら差はつかないのではないかと考えます。(東京・高校1年・女子)

    • テレビにおいて、「結末はCMの後で」というものは多くあると思うのですが、私はそれが苦手です。CMの間悶々とした思いが続いて少し嫌な気持ちになります。それに比べて、クイズ番組の「この問題の答えはCMの後で」というのは問題について考えられる時間が与えられているようで嫌な気持ちにはなりません。番組の演出ひとつでCMが嫌なものにも良いものにもなるので、こういう細かい演出の部分にもこだわってほしいです。(愛知・高校1年・女子)

    • 民放にも社会的責任がある以上、何らかの形でとっつきにくい問題にも長い時間をかけて議論するように働きかけをしてほしいと感じました。(高知・高校3年・男子)

    • 『姉ちゃんの恋人』(関西テレビ放送)物語の舞台が「コロナ渦中の現代」というまさに今の世の中のような設定だというのが出演者の発言などで伺えるのですが、手洗い・消毒はしているのにマスクはしておらず、中途半端な演出で違和感を覚えました。(熊本・高校2年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)「先生に感謝の気持ちを伝えたい‼校内全員が仕掛け人となり、サプライズ大作戦 ‼」がとても素敵な企画だと思った。ドキドキしながら先生にバレないようにサプライズ撮影をしていく生徒さんたちの姿は、とても生き生きしていた。同級生の僕にとってとても身近なことであるのに、僕にはできないことだと思い、羨ましくなったからだと思う。最後の先生がこっちこそありがとうだよ」といった言葉が忘れられない。(群馬・中学3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)毎年とても楽しみにしています。今年は、先生にバレずにV6とサプライズをするコーナーがいちばん面白かったです。この番組はいつも愛を感じることができて好きです。(山形・中学1年・女子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)先生に感謝の気持ちを伝えるべく、校内全員が仕掛け人となり、気づかれぬよう動画を作成していくサプライズ企画では、仕掛けを行っている人もそうですが、見るほうの私たちまで絶妙なスリルを感じることができて面白かったです。文化祭などのイベントができずとも、自分たちの知恵で思い出を作っていこうとする姿に同じ学生である自分にとってもすごく勇気をもらえた番組でした。(高知・高校3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)コロナ禍でさまざまな大会や行事、イベントがなくなり、モチベ―ジョンが下がっている中、このような感じで一緒に部活をやったり、人々に披露したりなど、見ている人々に元気を与えてくれる番組でした。特に、校内全体でピタゴラをやっていたのが印象的でした。生徒たちがみんなで協力をするシーンや楽しそうにギミックを作っている時など、コロナ禍なのに楽しそうにやっているのを見て、見ている側まで心が温まりました。このような、元気をあたえてくれるような番組が増えて欲しいです。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)ピタゴラが本当に面白かった。工業高校という部分をいかし、大きい装置や工夫された仕掛けなど、圧倒されるものを自分と変わらない年の人が作っていてびっくりした。そして、高校生たちの笑顔が本当に無邪気で純粋な笑顔だった。(東京・高校1年・男子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)未成年の主張は私も好きなコーナーで、毎回ユニークな主張が聞けて楽しい。(東京・高校1年・女子)

    • 『V6の愛なんだ2020』(TBSテレビ)いつもは見ないジャンルの番組だったのですが今回おすすめということもあり見てみることにしました。番組を見てみるとコロナなどで大会や発表会ができなかった学生たちに発表の場を設けてみんなで思い出にしようという企画があり。自分も吹奏楽部でやりきれなかった思いがあるのでこのような番組でのサポートが広く普及すれば学生たちも未練なく、またテレビで放送されるという思い出とともに忘れられない経験となるのではないかと思わせてくれる良い番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)小学生の時に、「明智光秀は、織田信長を裏切って“本能寺の変”を起こした人物」ということを習いましたが、それ以外のことは、何も知りませんでした。この番組では、明智光秀の人物像に迫っていて、意外な点がいくつもあり、とても興味深かったです。(長崎・中学1年・女子)

    • 『歴史秘話ヒストリア「あらためて知りたい!明智光秀」』(NHK総合)明智光秀といえば、本能寺の変で織田信長を殺害したけれど、教科書には詳しく載っておらず、私の中ではイマイチよく分からない人物でした。この番組はとても丁寧に光秀のことを紹介しており、歴史の勉強に直結しないけど、趣味として興味深い内容でした。やや小難しいさもあったものの、徐々に光秀への興味が湧いてきて、「もっと知りたい!」と思えました。(愛知・中学2年・女子)

    • 『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)いつもは漫画を読むだけだったし、漫画を見て楽しんでいたけど、この番組を見て、読んだり絵を見て楽しむだけでなく、これからは、自分も少し漫画を描いてみたいと思いました。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『浦沢直樹の漫勉neo』(NHK Eテレ)漫画家さんの絵の描き方などが(同じ人でもどの時代に描いたかによって)だんだん変化していくものだと知りました。その時でしか描けないものがあるのだろうなと思いました。(長崎・高校2年・男子)

    • 『林修の今でしょ!講座2時間SP』(テレビ朝日)私は学校でオーケストラに所属しているので音楽家ベートーヴェンについての番組内容には興味があったので、視聴することにしました。ベートーヴェンの色々なエピソードを知れて面白かったのはもちろんのことですが、ヴァイオリニスト葉加瀬太郎さんのスタジオ生演奏が番組の所々に織り交ぜてあり、その度に美しい音で聞き入ってしまいました。テレビからヴァイオリンの音が流れてくると心が和むので、改めて音楽の力を感じることができました。(東京・高校2年・女子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、放送局を対象としたアンケート調査の質問項目案が提示され、委員会で検討しました。

以上

委員会決定等について

question
取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったというケースについて、委員会で取り上げたことがありますか?
answer
放送倫理検証委員会は、委員会発足の翌年の2008年から2015年にかけてほぼ毎年のように、取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったというケースについて、委員会決定を出して放送局に注意を促してきました。その後、2020年に入り、NHK国際放送のドキュメンタリー番組で、仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組で、利用客として出演した男性らがサービスを提供する会社のスタッフだった事案や、テレビ朝日がニュース番組の特集で取り上げたスーパーの買い物客が取材ディレクターの知人だった事案について、委員会は相次いで放送倫理違反があったと判断しました。
取材対象者や一般人の出演者が実は関係者だったという事案に関する委員会決定は、以下のとおり。

  • ▼テレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見はこちらから
    第38号 2020年9月2日 放送局:テレビ朝日
    テレビ朝日は2019年3月15日、ニュース番組『スーパーJチャンネル』で、スーパーの買い物客に密着する特集を放送しましたが、この特集に登場した主要な客4人が取材ディレクターの知人だったとして、記者会見を開き謝罪しました。委員会は、同年11月の委員会で、放送倫理違反の疑いがあり、放送に至った経緯などを詳しく検証する必要があるとして審議入りを決め、議論を続けてきました。
    日本民間放送連盟とNHKが1996年に定めた放送倫理基本綱領は「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」とし、「取材・制作の過程を適正に保つことにつとめる」と定めています。また、民放連の放送基準では、前文で「正確で迅速な報道」を求め、第32条では報道の責任として「事実に基づいて報道し、公正でなければならない」と掲げています。本件特集は、その取材の過程が適正とは言い難く、内容においても、本来ならその場に現れるはずのない「客」を偶然を装って登場させたという点で正確ではなく、公正さを欠いていた。
    したがって、委員会は、本件特集には放送倫理違反があったと判断しました。
  • ▼NHK国際放送『Inside Lens』「レンタル家族」企画に関する意見はこちらから
    第34号 2020年3月31日 放送局:NHK
    2018年11月に放送されたNHK国際放送のドキュメンタリー番組『Inside Lens』で、仮の家族や恋人などをレンタルするサービスを描いた番組「HAPPIER THAN REAL」について、NHKは2019年5月29日、利用客として出演した男性ら3人がサービスを提供する会社のスタッフだったと発表しました。委員会は9月、利用客が会社関係者でないこと等の確認が適切に行われるべきであったところ、十分な確認をしなかった可能性がうかがわれるため、放送に至るまでの経緯や原因を検証する必要があるとして審議入りを決め、議論を続けてきました。
    委員会は、放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」、NHK「放送ガイドライン」の「NHKのニュースや番組は正確でなければならない」との規定に照らすと、出演者が本物の利用客ではなかった点、また、出演者が会社関係者だったのにその関係を明らかにしていなかった点において、放送の内容は正確ではなく、したがって、NHKが適正な考査を行わなかったことを含め、本件番組を放送したことについて、放送倫理違反があったと判断しました。
  • ▼『クローズアップ現代』”出家詐欺”報道に関する意見はこちらから
    第23号 2015年11月6日 放送局:NHK
    NHK総合テレビ『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)と、その基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)は、寺院で「得度」の儀式を受けると戸籍の名を変更できることを悪用した”出家詐欺”が広がっていると紹介。番組で「ブローカー」とされた人物が、演技指導によるやらせ取材だったと告発したのに対して、NHKは「過剰な演出」などはあったが「事実のねつ造につながるいわゆるやらせは行っていない」との報告書を公表しました。委員会は、NHK関係者のみならず、番組で紹介された「ブローカー」「多重債務者」に対しても聴き取り調査を行いました。その結果、2つの番組は「情報提供者に依存した安易な取材」や「報道番組で許容される範囲を逸脱した表現」により、著しく正確性に欠ける情報を伝えたとして、「重大な放送倫理違反があった」と判断しました。
  • ▼日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の”ニセ被害者”紹介」に関する意見はこちらから
    第19号 2014年3月5日 放送局:日本テレビ
    日本テレビは、朝の情報番組『スッキリ!!』で2012年2月29日と6月1日の2回、インターネット詐欺の特集を放送しましたが、ネット詐欺専門の弁護士から被害者として紹介され出演した男女2人が、実は被害者ではなく弁護士の当時の所属事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったとして審議入りした事案。委員会は、日本テレビが十分な裏付け取材を行わず「ニセ被害者」の証言を放送し視聴者の信頼を損なったと指摘しましたが、一方、放送時点において「ニセ被害者」が実際の被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠は存在したとして、「放送倫理違反とまでは言えない」と判断しました。そのうえで、今回の事例を踏まえ放送界全体で共有してほしい事柄として、「専門家」に対する過度の依存を考えなおしてほしい、など3点の問題提起を行いました。
  • ▼日本テレビ『news every.』の「飲み水の安全性」報道に関する意見はこちらから
    第14号 2012年7月31日 放送局:日本テレビ
    福島第一原発の事故の影響で懸念されている水道水の安全性の問題を特集企画で検証した際、最近「宅配の水」として利用者が急増しているボトルドウォーターについても取り上げました。この中で、利用者として紹介され、子どものためにも宅配の水のほうを選ぶとコメントした女性が、一般の利用客ではなく、宅配水メーカーの経営者の親族で、同社の大株主でもあったことが判明した事案。委員会は、約1年前に同じ放送局の同じ番組の「ペットビジネス」報道でも、類似の問題が繰り返されたことを重視して比較検討しました。その結果、取材・制作スタッフが実績のあるベテランだったため内部チェックが空洞化したこと、1年前の教訓をもとに策定された「企業・ユーザー取材ガイドライン」が現場で血肉化されておらず機能しなかったことなどを指摘しました。
  • ▼情報バラエティー2番組3事案に関する意見はこちらから
    第12号 2011年7月6日 放送局:テレビ東京、毎日放送
    1.番組で酸素飲料を飲み、ダイエットに成功したと紹介した女性が、その飲料を販売する会社の社長だった事が分かったテレビ東京の『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』(2010年11月8日放送)
    2.ホテルを購入しようとしたセレブな女性に密着した取材が、ホテルの宣伝のための作り話ではないかと視聴者から指摘された毎日放送の『イチハチ』(2010年11月17,24日放送)
    3.同じ『イチハチ』で、出演した女性がニューヨークに23件もの不動産物権を持っていると紹介し、その後、毎日放送が女性の所有とは証明できず、事実と異なる情報を放送した可能性が極めて高いと言わざるを得ないと公表した事案(2011年1月12日放送)
    委員会は、情報や事実の正確さを前提に制作されている以上、その正確性や公正性に対する確認や裏づけ取材は、バラエティーといえどもあやふやであってはならないと指摘しました。そのうえで、若い制作者たちへの手紙という「別冊」で、委員会への思いを表明しました。
  • ▼日本テレビ 「ペットビジネス最前線」報道に関する意見はこちらから
    第10号 2011年5月31日 放送局:日本テレビ
    番組の中で紹介されたペットサロンとペット保険の2人の女性客が、実は一般の利用者でなく、ペットビジネスを展開する運営会社の社員だったという事案。担当ディレクターは、そのことを知りながら、一般客として放送していました。委員会は事実を正確に伝えておらず、公正性も損なわれていると指摘しました。
  • ▼テレビ朝日『報道ステーション』マクドナルド元従業員制服証言報道に関する意見はこちらから
    第3号 2008年2月4日 放送局:テレビ朝日
    「マクドナルド製造日偽装問題」のニュースの中で、店の制服とバッジをつけた女性が「直営店でも商品の調理日改ざんをしていた」との内部告発の証言を放送しましたが、女性は現職ではなく、番組は、店員の制服を着て店長代理のバッジをつけた元店員が内部告発の証言をするという演出をしたことについて謝罪放送をし、また、証言者が番組関係者であることも明らかにした事案。委員会は、こうした安易な演出は、報道にあたっての慎重さに欠けるものであったなどと指摘しました。

委員会決定等について

question
委員会決定等に、当該放送局に対して措置を求める強制力はあるのか?
answer
3委員会から指摘された放送倫理上の問題点について、改善策を含めた取り組み状況を委員会に報告することになっています。いわゆる「3か月報告」と呼ばれるものです。日本民間放送連盟の申し合わせ2「委員会決定の尊重と改善等の報告」の中で、「加盟各社は、機構の各委員会からの『勧告』『見解』『提言』『声明』その他決定により指摘された放送倫理上の問題点について真摯に受け止め改善に努める。また、指摘を受けた当該加盟社は、決定内容をニュース等で速やかに視聴者に伝えるとともに、具体的な改善策を含めた取り組み状況を 3か月以内に委員会に報告する」となっています。つまり、委員会決定の内容をニュース等で伝えるとともに、当該放送局の対応と取り組みをまとめた報告書を3か月以内に提出することになっています。また、NHK、民放連との「基本合意」3で、「NHKと民放連加盟各社は、3 委員会の独立性を妨げることなく円滑な委員会運営に協力し、その活動内容を視聴者に広く周知するとともに、 3 委員会から指摘された放送倫理上の問題点については、当該放送局が改善策を含めた取り組み状況を委員会に報告し、放送倫理の向上を図る」となっていて、NHKもこれまでの委員会決定で問題点を指摘された際は、3か月以内に報告書を提出しています。

第154回 放送倫理検証委員会

第154回–2020年11月

データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビのニュース番組を審議

第154回放送倫理検証委員会は11月13日に開催された。
委員会が8月4日に通知・公表したTBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見について、当該放送局から具体的な改善策を含む取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
秋田放送または山口放送がそれぞれ制作放送した弁護士法人1社提供のローカル単発番組に関する討議を踏まえ、委員長談話「番組内容が広告放送と誤解される問題について」を10月30日にBPOのウェブサイトで公表したことについて報告があった。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の再修正案が示され意見交換を行った。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が合計18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の原案が示され、意見交換を行った。

1. TBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見への対応報告を了承

8月4日に通知・公表したTBSテレビ『クレイジージャーニー』「爬虫類ハンター」企画に関する意見(委員会決定 第37号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の社内周知を行った上で、バラエティ部門の全プロデューサーを対象に書面によるアンケートを行い、それを読み込むことで互いの現状認識や危機感を共有したこと、レギュラーのバラエティ番組ごとに「演出講座」を開いて「許される演出」「許されない演出」とは何かについて意見交換を行い、それぞれの番組が許容できるラインはどこまでかを改めて確認し共有したこと、また、再発防止への取り組みとして、各バラエティ番組に新たにチーフプロデューサー制を導入し、複眼でのチェックを行うようにしたことなどが記されている。
担当委員からは、「『演出講座』は効果的で、良い素材として当該番組担当者以外にも考えてもらい、率直な意見が出ている」ことなどが報告された。委員からは、「アンケート内容は詳細で役に立つと思う。危険の芽は、どこの放送局でも共通しているので、この報告書で今回のような問題が解消していくことを期待したい」「最近のバラエティ番組に関する意見書を通じて、構造的問題が共通していることが窺われるので、当該局に限らず、改めて何らかの形で放送界全体に見解を示すよう検討することが望ましい」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
TBSテレビの対応報告書は、こちら。

2.「番組内容が広告放送と誤解される問題について」と題する委員長談話について報告

10月の第153回委員会において、秋田放送が制作放送した30分のローカル単発番組『そこが知りたい!過払い金Q&A』及び山口放送が制作放送し、秋田放送が山口放送から購入して放送した30分のローカル単発番組『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』について、放送倫理違反の疑いがあるのではないかとの指摘はできるものの、討議にて終了し、審議入りしないとの結論に至ったことを議事概要に掲載した。
また、番組内容が広告放送と誤解される問題に関し、10月30日に委員長談話としてBPOウェブサイトに公表した。
今回の委員会では、神田委員長から報告がなされ、事務局からは秋田放送と山口放送の議事概要掲載後の対応などが説明された。

3. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」と、番組ホームページ上で公表した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会には、前回の委員会で議論された意見書の修正案を踏まえて担当委員が作成した再修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

4. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり合同で行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの約12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないのにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたこと、当該局が架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備等を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、報告書と、9月末から10月初旬にかけて当該局の関係者に対して実施したヒアリングに基づき担当委員が作成した意見書の原案が示され、意見交換を行った。次回は修正案が提出される予定である。

以上

第286回放送と人権等権利に関する委員会

第286回 – 2020年11月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理、ヒアリング実施を決定…など

議事の詳細

日時
2020年11月17日(火)午後4時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。
今委員会では、双方から所定の書面がすべて提出されたのを受けて、論点を整理し、ヒアリングのための質問項目を絞り込み、次回委員会の際にヒアリングを行うことを決めた。ただ、当事者の女性が亡くなっているため、番組制作時の様子や放送前後の女性の状況を知る人物にも直接事情を聴くことができるよう、申立人、被申立人に協力を要請することになった。

2. その他

  • 委員会決定第75号「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」に関して、11月16日に行った通知公表について報告があった。

以上

2020年度 第75号

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」
に関する委員会決定

2020年11月16日 放送局:札幌テレビ放送

見解:問題なし
札幌テレビは2019年4月26日の『どさんこワイド179』で、札幌市内に住む男性が「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づき、一時金を申請する模様を伝えた。
男性は札幌テレビの記者の働きかけで不本意ながら申請をし、これが報道されたことで名誉が毀損された等として、札幌テレビに謝罪と訂正を求めて申立書を提出した。
札幌テレビは、申立人に申請を働きかけたことはなく、取材と報道は公正なものだと反論していた。
委員会は、審理の結果、人権侵害の問題はなく、放送倫理上の問題もないと判断した。

【決定の概要】

 札幌テレビは、2019年4月26日(金)夕方のニュース『どさんこワイド179』において、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「一時金支給法」という)に基づく北海道初の一時金支給申請者として、申立人による申請の模様を伝えた(以下「本件放送」という)。
 申立人は、本件放送について、一時金申請を希望していなかった申立人に対し、札幌テレビのA記者が申請するよう働きかけた結果、不本意な申請をすることになり、これを広く報道されたことで名誉が毀損されたなどと人権侵害および放送倫理上の問題があったと主張して、本件申立てを行った。一方、札幌テレビは、信頼関係があったからこそ可能となった放送であり、取材と報道は公正なものと反論した。委員会は、審理のうえ、名誉毀損等の人権侵害はなく、放送倫理上の問題も認められないと判断した。
 申立人は、旧優生保護法に基づいてかつて強制不妊手術を受けた被害者として、国家賠償を求める旧優生保護法被害者訴訟を提起している原告の一人である。
 まず、名誉毀損について、一般視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば、本件放送が報じたのは、新たに成立した一時金支給法に基づいて申立人が申請したという合法的な行為の紹介であり、これによって申立人の社会的評価は低下しない。また、本件放送は、申立人の複雑な心境や悩みまで浮き彫りにし、国に対する批判的なナレーションもまじえるなど申立人のような被害者の立場に寄り添った視点で構成されたものであって、申立人が一時金支給法の内容について批判的見解を有していたことを知る視聴者の観点を前提として検討した場合であっても、やはり社会的評価を低下させるものではない。よって、本件放送による名誉毀損は成立しない。
 次に、放送倫理上の問題について検討した。仮に、報道機関として報道したいと考える内容にあわせるよう事実を歪めたり、本来であれば存在しなかった事実を作出したりすることがあれば、問題がある。本件に即せば、当初の取材意図に固執するあまり、申立人に自己の意思に反して一時金申請を行わせるようA記者が働きかけた事情がもしもあれば、正当な取材活動を逸脱したものとして放送倫理上問題が生じる。また、その際、国家賠償請求訴訟との関連で一時金申請に伴う利害得失について訴訟弁護団の助言を受ける機会を申立人から奪うような言動がA記者にあったとすれば、放送倫理上の問題にかかわるだろう。しかし、文書とヒアリングにおける双方の主張を踏まえると、申立人による一時金申請は、申請が時期的に可能になったことをA記者から伝えられたことを契機としているものの、A記者との電話の後に申立人自ら北海道庁に電話し担当者から一時金支給法と裁判は関係ないとの説明を受けたことを理由として、一時金申請をする意思を抱いたと考えられる。この間A記者が、申立人が弁護団に相談するのを妨げる言動なども認められない。電話翌日の同行取材が決まったのも申立人の方からA記者に電話をかけたことを契機としている。また、申立人は、本件放送によって報じられた一時金申請の後、同年5月に申請を一旦取り下げたものの、2020年2月には、弁護団の助けを借りて再び申請をしている。したがって、これらの事実経過に照らすならば、申立人の意思に反して一時金申請を行わせるようA記者が働きかけて翻意させたとか、訴訟弁護団から助言を受ける機会を奪ったとか、それ以外にも事実を歪めたりありもしない事実を作出したりしたと評価すべき行き過ぎた取材があったとまでは言えないと委員会は判断する。
 よって、放送倫理上の問題も認められない。

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2020年11月16日 第75号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第75号

申立人
札幌市在住の男性
被申立人
札幌テレビ放送株式会社
苦情の対象となった番組
『どさんこワイド179』
放送日時
2019年4月26日(金)
午後3時48分~午後7時00分のうち午後6時54分から約2分間(ローカル)

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.本件放送の内容
  • 3.論点

II.委員会の判断

  • 1.背景となる事情
  • 2.人権侵害の有無
  • 3.放送倫理上の問題

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯と審理経過

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2020年11月16日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2020年11月16日午後1時からBPO会議室で行われ、午後2時から千代田放送会館ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

第227回 放送と青少年に関する委員会

第227回-2020年10月

視聴者からの意見について…など

2020年10月27日、第227回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず9月16日から10月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
夜のバラエティー番組において、控室に置かれた手指消毒ボトルから50℃に熱せられたゴマ油が出てくるという芸人相手のドッキリ企画について、「子どもがマネをしたら危ない」「中高生が身近な消毒液を他のものに入れかえたらどうする」などの意見が寄せられました。これについて委員からは、「子どもがマネをしないだろうが、置いてあるものに対して不信感を感じる子どもがいないとも限らない」「“専門家の指導のもと行っている”という表示があるが、具合的にどのような指導なのか気になる」「真面目にコロナに世界中が立ち向かっているときに消毒液を笑いのネタにするのは抵抗感がある」などの意見が出され、次回委員会で「討論」することになりました。
10月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たドラマについて」でした。26人から報告がありました。
モニターからは、裏社会に伝説を残した極道が、足を洗って専業主夫になって大奮闘するコメディドラマについて、「一人一人のキャラクターを目立たせながら毎回すっきりとした終わりを迎えているので非常に分かりやすく視聴しやすいドラマになっていると思います。極道の世界のシーンもきちんとあるので主夫だけではない主人公の魅力が表現されていると思います。特に効果音がかみ合っているので、お話をより伝わりやすいものにしていると思います。テロップをもっと使ってもコメディー感は減少しないと思います」、資産家の遺産相続をめぐるミステリードラマについて、「私は本を読んでから実写映画やドラマを見ます。ドラマと本では違った面白さがあり、2倍面白く感じられます。最近若者の活字離れが進んでいると聞きます。私は本が原作のドラマや映画を作ることで、本を読む人が増えると思います」、薬剤師を主人公にした医療ドラマについて、「私はこのドラマでいつも感動するシーンがあります。それは最初に主人公のナレーションで入院している患者さんがオープニングソングとともに紹介されていくシーンです。このような始まり方をするドラマを今まで見たことがなかったので新鮮に感じ、これからドラマが始まるのだなという高揚感も高まってきます」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は11月24日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年10月27日(火)午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

夜のバラエティー番組で、新型コロナ対策の手指消毒用ボトルに50℃以上に熱した油を入れ、それを知らずに使用したタレントが熱さに驚き、さらにそのボトルが爆発しタレントが油まみれになるというドッキリ企画に対して、「子どもが見て消毒液は怖いと思うかもしれない。“新しい生活様式”をこのような危険な企画に使うのは問題だ」「中高生などが身近にある消毒液を他の物に入れ替え、違った被害が出たらどうする」「専門家の指導のもと行っているとテロップが出たが、あまりに危険。子どもがマネをしたりイジメに使おうと思ったら恐ろしい」といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「消毒液を笑いの道具に使ったのは良くないと思う。真面目にコロナに世界中が立ち向かっているときに笑いのネタにするのは抵抗感がある」「危なく見える演出のときに“専門家の指導”という表示を入れているが、どのような専門家なのか。具体的にどのような指導を受けているのか表記してもよいのではないか」「子どもがマネをしないだろうが、置いてあるものに対して不信感を感じる子がいないとも限らない」「見た子どもにボトルから何か熱いものが出たという記憶が残ったとすると、子どもによっては怖がるかもしれない」などの意見が出されました。
この件については、次回委員会で、全委員が番組を視聴し、「討論」することになりました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした10月のテーマは、「最近見たドラマについて」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全部で27人から報告がありました。
「最近見たドラマについて」で複数のモニターから感想が寄せられたのは4番組でした。『極主夫道』(読売テレビ/日本テレビ)を4人が、『NHK連続テレビ小説「エール」』(NHK総合)と『日曜劇場「半沢直樹」』(TBSテレビ)、『ルパンの娘』(フジテレビ)をそれぞれ3人が、『35歳の少女』(日本テレビ)と『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ)をそれぞれ2人が取り上げていました。それ以外のモニターは異なる番組について記述し、全部で16番組について報告がありました。
「自由記述」では、放送局に対し、「ドラマのスピンオフが有料配信されることに疑問を持っている」「CM前後の映像が同じでしつこすぎると感じることがある」「番組改編で放送時間などが変わる場合にはもっとアピールしてほしい」などの意見や要望がありました。また、「番組の個性をどう出すかが大事だと思う」という声も寄せられました。
今月は、新型コロナウイルスに関して記述したのは3人でした。そして、芸能人の自殺報道について書いたモニターも2人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、複数のモニターから感想が寄せられたのは5番組でした。『ダーウィンが来た!「敵か味方か?謎の巨大ゾウ」』(NHK総合)を6人が、『アメトーーク!3時間SP』(テレビ朝日)を4人が、『世界一受けたい授業 2時間スペシャル』(日本テレビ)を3人が、『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)と『出川哲朗のちょっと電動キックボードで』(テレビ東京)をそれぞれ2人が取り上げていました。

◆委員の感想◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『極主夫道』(読売テレビ)もう少しテロップ多用してもいいのではないかという意見があって、とても現代的な印象を受けた。

    • 『ルパンの娘』(フジテレビ)新型コロナウイルスによる新しい生活様式が描かれていて、登場人物の「自粛疲れだな」などのセリフがとても笑えた、と書いたモニターがいた。ある種の共感を覚え、自分の生きる現実の世界でのつらさがドラマによって少し癒やされたのだろうという印象を受けた。

    • 『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ)「医療ドラマは暗くなりがちだが、このドラマは明るい気分で見ることができた」と感想を寄せたモニターに共感した。明るい雰囲気の中で、毎回2人ほどの患者さんのドラマを描き、作り切ったという点で、よくできたドラマだったと思う。

    • 『彼女が成仏できない理由』(NHK総合)漫画家になることを夢見て来日したミャンマーからの留学生が主人公であるこのドラマを見て、ミャンマーの言葉や文化を知ることができるところが面白いと感じてくれたモニターがいた。ミャンマーの留学生の視点で見たら日本がどう見えるかということも考える機会になったようで、興味深く感想を読んだ。

    • 新型コロナウイルスの影響を受け続ける世の中を反映して、コメディー的な仕掛けが、多くのモニターにとても好意的に受け入れられていると感じた。

    • 原作のあるドラマは必ず原作を読んでから見るというモニターが、「ドラマには原作に書かれていないことも描かれるので、ドラマと本とは違った面白さを感じて2倍楽しんでいる」と書いていた。確かに、原作で感じた世界とドラマの世界にはギャップがある。必ず原作を読んでドラマに挑む姿勢、すごいと思った。

    • 最近のドラマの中では様々な職業や職場が描かれている。もしかしたらドラマと現実は少し異なることもあるかもしれないが、子どもたちがいろいろな職業について知るという意味ではそのようなドラマを作ることが大事で、制作者は面白いところに目をつけたという気がしている。

    • 「現実はそうではないけど、そうなるといいな」という内容をドラマで描くことによって、人々の気持ちが変化して現実が少しずつ変わっていく。ドラマはそんな力を持ちうるのではないかと思う。

  • 【自由記述】

    • CM前と明けで内容を繰り返すことについて、「時間稼ぎのような気がしてらない」という意見が来ていた。放送局からすると、ある意味の視聴者サービスで途中から見ても内容が分かるようにという配慮なのだが、視聴者からすると、それが時間稼ぎではないかと思うことがある。だからこそ、このモニターの意見は1つの問題提起であり、放送局には、CM前と明けで本当に内容を繰り返すことがいいのか否かをきちんと検証してもらいたい。

    • 新型コロナウイルスに関して、「現在の1日の感染者数は学校が休校していたころよりも多いのに報道は少なくなっていて、危機感が薄れてきていると感じる」と言うモニターがいて鋭い指摘だと感じた。再放送でもいいから、せめて感染予防の呼びかけを続けるなどの必要があるのではないかという提案、放送局に伝えたい。

    • 注射の映像を流すのは控えてほしいという要望があった。日本の報道はいろいろと、かなり配慮されているが、注射のシーンが気になる人も、気にならない人もいるという中で、放送はどうあるべきかという意見は、興味深い。少数ではあるが、注射の映像を見ただけで意識をなくす人もいる。マイノリティをどう守るか。難しいテーマだが、考えなければいけない。

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)を視聴したモニターが、「今のことだけではなくて未来のことを展望したり、昔を振り返ったりするようなところがメディアとしての意義だろう」という感想を寄せていた。面白い意見だと思い、興味深く感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【最近見たドラマについて】

    • 『極主夫道』(読売テレビ)コント的な要素とキャラ濃い目のキャストで家族と笑いながら見ました。まず、ドラマを見て思ったのは、「母に感謝しよう」ということです。主人公の龍が「主夫(婦)は誰よりも早く起きて、家事して、子どもの世話をして、気づけば深夜0時や」と言ったとき、母のありがたみを実感しました。母は見えないところでたくさんのことをしてくれていて、とても感謝します。(宮城・中学1年・女子)

    • 『極主夫道』(読売テレビ)1人1人のキャラを目立たせながら毎回すっきりとした終わりを迎えているので非常に分かりやすく視聴しやすいドラマになっていると思います。極道の世界のシーンもきちんとあるので主夫だけではない主人公の魅力が表現されていると思います。特に効果音がかみ合っているので、お話をより伝わりやすいものにしていると思います。テロップをもっと使ってもコメディー感は減少しないと思います。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『極主夫道』(読売テレビ)原作の漫画でストーリーを読んでいて気になっていた物語が実写化したと聞き、このドラマを視聴しました。近所間のやり取りに「そこにもし元ヤクザの専業主夫がいたら」という普通は遭遇することのない情景がプラスされた特殊な空気がうまく表現されていて、とてもユニークでほかの作品にはない面白さだと思いました。家の外では強い龍が妻の前では弱いなど現代社会のあるあるのような風景も盛り込まれていて思わずクスッと笑ってしまうシーンも多々ありました。また、ところどころに豆知識がちりばめられていて、ケチャップの付いたTシャツのシミを重曹を使って落としていく方法や、タンスの隙間などに入った取りづらいほこりを取る方法など日常の生活でも役立つ情報も組み込まれていてとてもためになることが多くありました。これからどんなストーリーや豆知識が出てくるのか見るほどに楽しみになってくる作品だと感じました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『NHK連続テレビ小説「エール」』(NHK総合)毎日楽しみに視聴していますが、ストーリーもついに終戦を迎え、人々に心の変化が表れ、描かれるようになってきました。終戦を機に我に返り、戦争の後悔をする様は、感慨深いものがありました。人の後悔・過ちというものは、視聴者に強く印象を残すものだと思いました。また、戦争によって家々が倒壊したシーンでは、ヒロインのお母さんの歌うシーンがありましたが、歌を用いることによって悲しみが一層伝わってきて、言葉以上に、歌の力に圧倒されました。音楽の力の大きさが伝わってきました。現在のところでは、主人公祐一は戦後まだ音楽家として立ち直れず、音楽との関係を断とうとしています。そこで今後、どのような人が祐一に声をかけ、前を向かせてくれるのか展開が楽しみです。後悔の後に、自分は何ができるのかを考え、行動するところが、ドラマとしても山場だと思うので、それを踏まえ今後も視聴していきたいと思います。(東京・高校2年・女子)

    • 『ルパンの娘』(フジテレビ)面白かったのは、ドラマの中で、いつもだったら家族みんなで泥棒に入るのに、コロナの影響を受けて、父親だけが泥棒に入り、家族はその様子をリモートで見て参加するという場面です。ドラマの世界でも、コロナの現状が反映されていて、母親が「リモートで泥棒に参加なんてしたくないわ」「一体、いつまで自粛していたらいいのよ」とか、祖母が「自粛疲れだな」とか、父親が「自粛明けにふさわしいお宝か」とか言うセリフがあって、とっても笑えました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『ルパンの娘』(フジテレビ)私は内容を全然知らなかったのでコメディーものと知らず、始めからネタのオンパレードというような感じで、いろいろなところにツッコミ要素があり、思わず1つ1つ突っ込んでしまいました。時事ネタや分かりやすいネタがあったり、細かいネタも言葉尻にクセが強かったり、挙げきれないほどたくさん詰まっていました。一緒に見ていた母と、これが何のネタだと見つけ合うのも楽しかったです。(千葉・高校1年・女子)

    • 『日曜劇場「半沢直樹」』(TBSテレビ)実際の日本でもこのような事が起きているのではないか、日本の裏世界を風刺しているのではないかと思った。半沢直樹には、自分が出向や解雇されるかもしれないという思いに負けず、悪いことは悪いと訴えられる力があり、すごいと思った。現実世界にも半沢のような人が必要だと思った。政治や証券など、難しいことが多い内容だったが、歌舞伎役者が多く出演していて、歌舞伎の技法を取り入れた演技や、顔芸、面白い台詞などが多く、飽きずに毎週楽しく見ることができた。(長野・中学2年・男子)

    • 『日曜劇場「半沢直樹」』(TBSテレビ)学校の先生が見ているというので見たらすごく面白かった。銀行員として筋を通す半沢がかっこいい。自分もこのような人になれたらいいなと思った。本当にこんな理不尽なことが行われているのか分からないけど、どんな場所でも半沢のように筋を通すなどのモットーを持ちたい。(東京・高校1年・女子)

    • 『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ)薬剤師というお仕事がどのような仕事か興味を持ったのでこのドラマを見始めました。このようにドラマから職業を知れることはいいと思います。(岐阜・中学2年・女子)

    • 『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ)私はこのドラマでいつも感動するシーンがあります。それは最初に主人公のナレーションで入院している患者さんがオープニングソングとともに紹介されていくシーンです。このような始まり方をするドラマを今まで見たことがなかったので新鮮に感じ、これからドラマが始まるのだなという高揚感も高まっていきます。医療系のドラマはどうしても重くなってしまいがちですが、このドラマは命の大切さを伝えながらも明るい気分で見ることができたように思います。なぜかを考えてみたところ、登場人物のキャラクターに理由があるように思いました。視聴者が親しみを感じられるキャラクターとドラマの内容とのバランスが良いのだと思いました。(東京・高校1年・女子)

    • 『彼女が成仏できない理由』(NHK総合)ミャンマーの言葉や文化を知ることができる部分がたくさんあって面白いです。主人公がひったくりにあったり、コンビニで立ち読みしている人を見たりして、日本に来る以前に抱いていたイメージとの差に落ち込む場面や「自分の国の良いところは自分で見つけろ」というセリフにハッとさせられました。(宮城・高校3年・女子)

    • 『日曜劇場「危険なビーナス」』(TBSテレビ)私は本を読んでから実写映画やドラマを見ます。ドラマと本では違った面白さがあり、2倍面白く感じられます。最近若者の活字離れが進んでいると聞きます。私は本が原作のドラマや映画を作ることで、本を読む人が増えると思います。(岡山・中学2年・女子)

    • 『火曜ドラマ「この恋あたためますか」』(TBSテレビ)最近のドラマや映画を見ていて感じるのが、コメディー要素が増えてきているということだ。このドラマも面白い掛け合いがあったり、おかしな行動をしたり、思わず笑ってしまう仕掛けが盛りだくさんだった。今の時代は見ていてつらいなー、いやだなーと思う内容よりもコメディーが多く、笑いが多い作品が求められていると感じた。今の世の中はコロナなどにより、大声を出して笑う機会が減ってしまっているように感じる。だからこそ、家の中で大声を出して笑いたいと思うのではないだろうか。また、この作品を見ていて仕事と関連付けている内容のドラマが増えているとも感じた。こうした背景にはキャリア教育の推進があるのだろうか。このドラマもコンビニ運営のために働く、商品を開発する人や、実際に作っている人など多くの人たちの姿が描写されている。これらをみて、僕が「これはうまい」だの「ちょっと高い」だの言っているコンビニの商品たちはこんなにたくさんの人が関わっているのだと知ることができた。(群馬・中学3年・男子)

    • 『#リモラブ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ)今も収束のめどが立たない新型コロナに関連した連続ドラマは私が知る限りは初めてなので、新鮮な気持ちで視聴しました。「テレワーク」「ソーシャルディスタンス」など、コロナ禍で生まれた新しい生活様式の場面も多く取り入れられ、とても共感・親近感がわきました。主人公は身の回りの男性たちを食べ物に例えるのですが、その表現の仕方が独特で単純に面白かったです。放送では、その男性たちの周りに文字で表示させて、その演出も面白さを引き立てていました。主人公が「産業医」というところから、感染予防に関する豆知識(専門家監修の元)など、ちょっとしたミニコーナーなども設けると、視聴者の注目も浴びやすいかなとも思いました。(熊本・高校2年・男子)

    • 『相棒season19』(テレビ朝日)今作で19作品目で昔から人気のあるドラマだと思いました。みんな個性が強く、主役に負けない癖を持っていて魅力的です。主人公の右京さんのとてもうまい紅茶の注ぎ方や特命係のおなじみの名前の木札が昔から変わらずあってとてもなじみ深いと思いました。(秋田・中学2年・男子)

    • 『24 JAPAN』(テレビ朝日)1話が1時間、24話で1日を作っているドラマで、視聴している時間と物語の時間が一致しているので見ていてとても緊張感を感じさせるドラマだった。1話完結のドラマとは全く違う、全話つなげないと最後まで分からないドラマも面白いなと思った。(東京・高校1年・男子)

    • 『ドラマパラビ「だから私はメイクする」』(テレビ東京)もともと原作を知っていたので見始めました。原作を知っているとき、原作のイメージと違うと見るのを断念してしまうのですが、この作品は原作のキラキラした感じを残しつつ現実味をより持たせているのでとても見やすかったです。また、この作品はオムニバス形式で1話ごとに主人公やストーリーが変わるのでどの回から見ても楽しめることも魅力の1つだと思いました。オムニバス形式の作品は1話で完結してしまうので尾を引かないきれいな形で終われるかが重要だと思うのですが、きれいにまとまって終わっていたので後味も良かったです。(愛知・高校1年・女子)

  • 【自由記述】

    • 東京オリンピックが、来年に延期になっていますが、そのころに日本が落ち着いていたとしても、外国はまだ第2波とか来ているので、どうなるのだろうと気になります。テレビでオリンピックの様子が放送されるのが楽しみですが、どうなるのかな…早く、コロナが終息して、いつもの生活が来てほしいです。(長崎・中学1年・女子)

    • ドッキリなどで事故物件や幽霊など、午後6時から10時の時間帯に怖いものはテレビで流さないでほしいです。(山形・中学2年・女子)

    • 新型コロナウイルスについて。現在の1日の感染者数は、学校が休校していた頃よりも多いが、テレビではあまり報道されておらず、危機感が薄れてきていると感じる。せめて感染予防の呼びかけを続けるなどする必要があると思う。(長野・中学2年・男子)

    • ニュースなどで注射の映像を流すのは少し控えてほしいと思いました。注射の映像は人によっては不快に感じる人もいると思います。注射の映像以外にも代用できる映像はないのかなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 10月になり、番組が改編されています。ニュース番組が延長されたり、人気バラエティー番組がなくなってしまったり、深夜番組が強化されたり。番組が終わってしまうと寂しく感じますが、仕方ないことなので、視聴者も新しい番組編成に慣れていきたいと思います。そして、番組側も放送時間が変わることをもっとアピールしてもらいたいと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 最近のドラマはスピンオフを有料のアプリで配信していて、時によってはそのスピンオフが本編でのカギを握る場合もあって、有料のスピンオフを見ている人と見ていない人との差が出てしまうのではないかと思います。なぜ最近有料配信のスピンオフが増えたのでしょうか。(東京・高校1年・男子)

    • ドラマやバラエティー番組でよく見かけるのが、つながりを分かりやすくするためなのかコマーシャル明けにコマーシャル前の映像を再び流す構成です。全ての番組ではありませんが、時々「もういいよ」と思うくらい前にさかのぼって流すのは時間稼ぎのような気がしてなりません。(東京・高校1年・女子)

    • 最近のドラマはネタ系のものが多いなと思いました。日本のコメディーもとても面白いと思うけど、テンポ感によっては、私はすぐに飽きてしまうものもあるなと感じます。やはりお笑いには間やテンポがつきものだなぁと思いました。また番組によって差をつくることや個性をどう出すかも大事なように思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 芸能人の自殺のニュースのことですが、影響の大きな方の自殺についてたくさん報道するのはどうかと思いました。また、たとえ影響が大きくなくてもセンシティブな内容なので扱いを考え直していただきたいです。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『日曜劇場「半沢直樹」』(TBSテレビ)を見てから、経済や会社のことについて報道などで見ると、前より少し興味がわくようになりました。(岡山・中学2年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ダーウィンが来た!「敵か味方か?謎の巨大ゾウ」』(NHK総合)ゾウにまつわる興味深い映像がふんだんに使用されていて教育によい番組だと思いました。ナレーションも分かりやすくタイミングが良いのですっと頭に入ってくる感じがしました。豆知識のようなコーナーもあり、その動物に興味を持てるような番組構成になっていていいなと感じました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『ダーウィンが来た!「敵か味方か?謎の巨大ゾウ」』(NHK総合)ゾウがメスだけで群れをなしている、体は一生大きくなり続けるなど、知らないことばかりで勉強になりました。群れに付きまとうオスは、実は遠くからメスの群れを見守っているという理由に驚きました。その姿は印象的でどこか人間と似ていると感じました。人間がゾウたちの住みかを脅かしたりするといった問題にも触れていて、環境問題も考えさせられました。動物たちの生態は発見が多く、とても興味深いのでこの番組は大好きです。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『アメトーーク!3時間SP』(テレビ朝日)私は「踊りたくない芸人」という企画が好きで楽しみにしていたが、何回も企画をしていくうちにどんどん出演者たちが上達して、笑うというよりはすごいなぁと思ってしまう方が多かった。それでも面白い部分はたくさんあって、とくに今回から参加した芸人さんが面白かった。運動神経悪い芸人という企画でもそうだが、自分の苦手という個性をあえて出して全力でそれに挑むからこそ私たちも笑ってしまって楽しいのだろうと思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『アメトーーク!3時間SP』(テレビ朝日)この番組は家族で見ていました!「踊りたくない芸人」はそれぞれ動きが独特で個性があってすごく面白かったです(笑)『アメトーーク!』は、何となくいつやっているか分からないけど、やっていると「おっ!今やってるんだ!」とレア感を感じていつも見てしまいます。嫌な感じのしない、「芸人」の面白さが出ていておなかを抱えて笑ってしまいます。(千葉・高校1年・女子)

    • 『世界一受けたい授業 2時間スペシャル』(日本テレビ)今回は、発想を変えただけでこんなにも売れた商品を解き明かしてくれる内容となっていました。いいアイデアを思いつくには柔軟な考え方と、自分だけでなくほかの人にも楽しんでもらえるような商品を考えることが重要であることを知りました。(高知・高校3年・男子)

    • 『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)自分と同い年の高校生がサッカーに打ち込み、プロを目指す姿は、同い年とは思えないほど大人びて見えました。近い未来活躍すると思われる「金のタマゴ」を紹介する企画は、後にその人が活躍するようになったときにこれが秘蔵映像となったり、現在からこの番組をきっかけに応援が増えたりと、プラスな効果がたくさんあって良いと思いました。今を時めく人に焦点を当てると視聴率は上がるかもしれませんが、未来を時めくであろう人を紹介したり、逆に昔を振り返ってみたりするのも、メディアとして大切なことなのだろうと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『出川哲朗のちょっと電動キックボードで』(テレビ東京)いつもの電動バイクとどのようなところが違ってくるのだろうと思い視聴しました。見てみると以前の電動バイクの際は充電が切れたとき運ぶのが苦労になっていたのがキックボードに変わったことによって充電場所を探す際にもスムーズに移動ができるように改善がされていてとても良いと思いました。また、車体が小さくなったことで裏道などの道もスムーズに運転でき、新しい発見ができる旅になっていたと思いました。また、このコロナ禍の状態に合わせてキャストの方はフェイスシールドを着用したり、いつもは訪問したお宅に番組のオリジナルシールをプレゼントしているところをオリジナルマスクに変えたり、この時代に合わせて番組が進化しているということが感じられました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『テレメンタリー2020 全力!青春ダンス~部活とコロナの300日~』(名古屋テレビ放送)三重高校ダンス部に密着したドキュメンタリー番組です。同じ高校生とは思えないエネルギー、行動力に驚かされました。ダンス部員のみなさんがアポロシアターの舞台に立つという1つの目標に向かって一生懸命努力する姿がとてもまぶしかったです。番組中、コロナウイルスのせいで様々なことができなくなったときもみなさんが前を向いて頑張る姿は多くの人に元気を与えると思いました。(愛知・高校1年・女子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況について報告がありました。

以上

2020年10月に視聴者から寄せられた意見

2020年10月に視聴者から寄せられた意見

不妊治療に関して不適切な発言をしたタレントへの批判や、幼少女への性的嗜好をネタにした芸人への批判が多く寄せられた。

2020年10月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は2,650件で、先月と比較して944件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール84%、電話14%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性35%、女性42%で、世代別では40歳代27%、30歳代25%、50歳代20%、20歳代15%、60歳以上11%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。10月の通知数は延べ1,882件【59局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

昼の番組で、不妊治療に関して不適切な発言をしたタレントへの批判や、夜の番組で、幼少女への性的嗜好をネタにした芸人への批判が多く寄せられた。
ラジオに関する意見は74件、CMについては31件あった。

青少年に関する意見

10月中に青少年委員会に寄せられた意見は110件で、前月から1件増加した。
今月は「表現・演出」が33件、「暴力・殺人・残虐」が17件、「要望・提言」が8件、「いじめ・虐待」と「低俗、モラル」がそれぞれ6件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 新型コロナの報道について、夕方のニュースになると、「今日、東京で新たに新規感染者が○○人確認された」と、いまだに新規感染者のみを報じている。入退院数、検査人数、陽性率は一切報じない。詳しいことはネットで調べればいいと、まるで視聴者に丸投げしているとしか思えない。新規感染者だけでは何の報道にもなっていない。報道機関としての役割を放棄しているように感じる。

【番組全般・その他】

  • ロケ番組において、出演者がマウスシールドやフェイスシールドを付けて収録するケースが多い。特にマウスシールドが目立つが、「ウイルス感染予防の観点からは不合格である」と、多くの専門家から指摘されている。人が少ない場所での収録であれば、出演者のみにリスクが及ぶだけだが、ある程度の街中での収録では、飛沫リスクは避けられない。おそらく顔を見せたいがための対応だろうが、放送では使用しないほうがいい。感染予防にはマスクの有効性がほぼ確立しているのだから、影響力を考え、見本となるよう遵守すべきだ。

  • 昼の番組を見た。次のバスまであまり時間がないなら、飲食店に入らなければいいのに、店の人に急いで作らせた料理に少ししか口をつけずに店を後にするシーンがあった。食べ方も急いでかきこむ感じで、代金は払ったものの最後まできちんと食べないなど、店に失礼だ。見るに堪えないのでチャネルを替えた。この時間帯は多くの世代の人たちが見ている。食事のマナー、食品ロス、店への気配りに欠けるなど、道徳的にどうかと感じた。

  • 芸人が、小児への性犯罪者を仲間であるとし、さらに同じ性的嗜好をもつ自分たちは、世間から虐げられている被害者であるという趣旨の発言をしていた。また、それを出演者一同が笑うという番組の流れだった。実際の被害者たちがどれだけの傷を負っているかの想像力もなく、何気なしにこの番組を見ていた視聴者の中には、これを笑い話のネタにしていいのだと感じる人たちもいることと思う。れっきとした犯罪を、嬉々として笑い話にする内容は、許されることではない。

  • 昼の番組で、不妊の原因についての不適切なコメントがあった。専門的な知識を持たないタレントが、何を根拠に断言できるのか。不妊治療で苦しんでいる女性たちがいることを忘れないでもらいたい。

  • GoToトラベルのおかげで、高級ホテルのエグゼクティブルームが、普段は一泊14万円のところ、特別価格と税金の補助で一泊55,000円になるという話題。「これはお得ですね」と、出演者たちは大喜びしている。一泊55,000円の宿泊ができる人たちに、税金の補助が必要なのか。

  • 夜のニュースで、新型コロナの感染拡大以降、東京・品川駅の朝の通勤風景を流している。いつも、いやだなと思いながら通るのだが、ついに今日、自分の足元が映ってしまった。もし、顔が出ていたらと思うとぞっとする。テレビに映りたくない人の気持ちはどう考えているのか。

  • どこの局も同じ話を一日中繰り返している。それも新型コロナなど、気が滅入る話題ばかりでうんざりする。私は、寝ている時間以外、テレビ画面と向き合っているが、番組があまりにつまらないので、ビデオばかり見ている。何とかしてほしい。

  • BSの番組を見た。町の中華店を訪ね歩く番組だが、今回は、東京都練馬区が舞台。レギュラー出演の芸人とその店の店員は、今年閉園した遊園地「としまえん」の思い出話で盛り上がっていた。都市開発によって消えゆく昔ながらの人情の温かみを、下町のノスタルジーとともに、じんわりと味わうことができた。飲酒を

  • 扱う点で、「青少年には見せるべきではない」という意見もあると思うが、温かい人情に触れることができる番組こそ、青少年に見てもらいたい。近年、放送倫理の劣化が叫ばれているが、このような良質な番組もあることを知ってもらいたい。

【ラジオ】

  • FMの夜7時からの番組は、社会問題や政治などを取り上げる内容だが、一部の常連リスナーによるコメントが、徐々に誹謗中傷化している。いろいろな問題について、異なる意見が交わされることは健全だと思うが、一部のリスナーが、自分と意見が異なる相手に対して、個人攻撃と思われるようなコメントを投稿することが多々見られる。また、ナビゲーターに対して攻撃的なコメントをするリスナーもいる。何年もこの番組を聞いているが、ここ最近、エスカレートしているようで怖い。

青少年に関する意見

【「表現・演出」に関する意見】

  • 深夜のトーク番組で、アイドルおたくをネタとする芸人が自分はロリコンで応援しているアイドルは14~17歳。自分の仲間がアメリカでGPSを付けられていると面白おかしく話していた。しかしGPSを付けられているということは犯罪者のはずで、このように軽々しく話すことではない。性被害にあってPTSDに苦しむ子どもたちもたくさんいる。性に対する問題意識が低すぎる。

【「差別・偏見」に関する意見】

  • ドッキリ番組において、男性先輩芸人が男性の後輩に言い寄るという同性間のセクハラ、パワハラを放送していた。男女であればセクハラとして放送できない事を同性であれば笑えるかのように放送するのは、同性間セクハラを矮小化している。また同性愛者=セクハラをするかのような偏見を助長する表現だ。子どもが見る時間帯であり、LGBT当事者の子どもたちへの影響は深刻ではないか。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • グロテスクで残忍なシーンが多く、子どもが見ることのできない深夜に放送していたアニメをゴールデンタイムで放送するのはいかがなものか。鬼の首を切り、血しぶきが上がる。子どもに見せていい内容ではない。

【「食べ物」に関する意見】

  • 路線バスを乗り継いで旅をするバラエティー番組でカレー屋を訪問してカレー三食とグラタンを注文。しかし次のバスまでの時間がないからと最初に来た一食を4人でつつき、さっさと店から出て行った。料理も無駄になったし、作ってくれた人への感謝の気持ちもなかった。お金を払えばよいという問題ではない。子どもも見る時間帯なのでこのような企画はやめてほしい。

【「推奨番組」に関する意見】

  • 『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日)は、毎回感心やら可愛いやらで楽しませてもらっている。出演者と素晴らしい才能の子どもの会話も楽しく、この子たちは日本の宝だとうれしくなる。視聴者はこのような番組を期待していると思う。

2020年10月14日

「大縄跳び禁止報道に対する申立て」
に関する委員会決定の通知・公表の概要

[通知]
2020年10月14日午後1時からBPO会議室において、奥武則委員長と、担当した水野剛也委員、紙谷雅子委員が委員会決定を通知した。
申立人本人と、被申立人のフジテレビから本件番組の責任者らが出席した。
はじめに奥委員長が「本件放送に人権侵害、また放送倫理上の問題があったとは判断できない」と結論を伝え、その上で「ただし、申立人のように取材・報道に不慣れな者が予期せず声をかけられる種の街頭インタビューでは、誤解やトラブルを招かぬためにも、放送局名・番組名はもとより、取材の趣旨などを取材に際しては可能な範囲で説明し、かつ撮影した映像等の使用について本人の意向を明確に確認しておくことが望ましい」と結論には注文がついていることを述べた。その後決定文に沿って説明した。まず判断の前提となった申立人と被申立人との対立点が取材の経緯と申立人本人の発言内容の2点であり、この対立点は双方から完全に言い分が異なる主張としてなされている、と指摘した。双方の主張についていずれかが明らかに整合性を欠いていた訳ではなく、委員会としては各種書面やヒアリングの結果「申立人の主張する事実があったとは認定できない」としたと述べた。それらを総合的に判断した結果、「人権侵害、また放送倫理上の問題があったとは判断できない」という結論に至ったと説明した。また、編集のありかたについて、より慎重な姿勢を望む意見が付記されていることも説明した。
水野委員は、「放送人権委員会決定第24号(2004年)を引用しているが、『カメラに向かってインタビューに応じることは放送についても承諾している』とする第24号決定は、SNSの普及や個人情報保護の観点から、現在ではすべての取材に一律に適用できない、とこの決定文に記した。申立人からすれば人権侵害や放送倫理違反が認められなかったことは不本意かもしれないが、今後の街頭インタビューの方法などについて改善が期待できる」と述べた。紙谷委員は「実際の映像を見ると、切り張りされていたり何かがすごく強調されていたりした訳ではない。妥当な部分を編集して放送したと考えた。その上で人格権の侵害があったと判断できない、とした」と述べた。
申立人は「そもそも自分の考えとはまったく反対の意見が放送されたことで申し立てたが、認められなくて不本意だ」と述べた。
被申立人のフジテレビは「我々の考えが理解されたと考えるが、その一方で指摘された取材の在り方については真摯に受け止めたい」と述べた。

[公表]
午後2時から千代田放送会館ホールで、奥委員長、水野委員、紙谷委員が記者会見を行った。取材したのは22社33人。

(奥委員長)
結論として人権侵害も放送倫理上の問題も認められない。判断のグラデーションとしては「問題なし」に当たる。

(水野委員)
今後のインタビュー取材の在り方において一つの基準となる判断なのではないか。人権委員会の判断としては「問題なし」だが、今後の街頭インタビュー取材についてこの種のトラブルが生じた時の指針となると考えた。

(紙谷委員)
今回の場合、申立人は具体的な人権侵害ではなく「本来ではない自分」を放送されたと主張したので、人格権という観点で審理した。総合して考慮した結果、「人格権の侵害があったと判断することはできない」としたが、結論で述べているように取材時の丁寧な説明が望ましい。

質疑応答の概要は以下のとおり。

(質問)
申立人の年齢は?

(奥委員長)
申立書に年齢を記載する欄がないので把握していない。

(質問)
今後の取材の在り方が変化していくのではないか?

(奥委員長)
基本的なことをしっかりやっていただきたい、ということに尽きる。

以上

委員会決定等について

question
視聴者に番組なのか、広告なのか曖昧な印象を与えないために気をつけることは何ですか?
answer
放送倫理検証委員会は、民放連放送基準の「(92)広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない」や、民放連が策定した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」の「視聴者に『広告放送』であると誤解されないよう、特に留意すべき事項」に照らした適正な考査が重要だと指摘しています。
委員会決定の起草に当たった委員の一人は、放送局との意見交換会の場で、「営業発案の番組についてどのように向き合えばよいか」という質問に対して、「一社提供の単発番組は、複数社提供の番組やレギュラー番組に比べてスポンサーの意向が強く反映されやすいが、営業担当者はスポンサーに対して番組と広告の境目の問題について理解してもらうように努めることが重要ではないか」と述べたうえで、「過剰に視聴者を意識する必要もないし、視聴者の意見におびえることもない。自主・自律に基づく放送の自由を主体として、よい番組作りをしてほしい。そのためには担当者一人の判断ではなく、営業、制作現場、編成など社内の多くの部署と協議していき、最終的にしっかりとした考査判断をしていくことが重要」との考えを示しています。
番組と広告について放送倫理検証委員会が出した「意見」や「委員長談話」は以下のとおり。

  • 長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見はこちらから
    第30号 2019年10月7日 放送局:長野放送
  • 琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見はこちらから
    第36号 2020年6月30日 放送局:琉球朝日放送・北日本放送
  • 番組内容が広告放送と誤解される問題についての委員長談話はこちらから
    2020年10月30日

委員会決定等について

question
選挙報道で注意することは何ですか?
BPOで何か注意喚起していますか?
answer

放送倫理検証委員会は、委員会決定や委員長コメントなどを通じて、放送局に対し選挙の自由と公正を守り、公平・公正な番組制作を心がけてほしいと繰り返し求めています。
また、放送人権委員会では、委員会決定の中で公正・公平など放送倫理と人権に一層配慮するよう要望しています。

放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会決定 第9号では、「放送局が独断で比例代表選出制度の設定している選挙区域と異なる区切りを設定し、限られた候補者のみを取り上げて放送することは、選挙の公平性・公正性を害し、選挙制度それ自体を歪めることになる」との意見を表明。対象番組は、参院選比例代表の非拘束名簿式の投票の仕組みを報道する際に、放送局が参議院の比例代表制度を正確に理解しないまま、当該放送局が所在する県に関係がある立候補者のみを取り上げたものでした。委員会は、公平・公正な選挙は民主主義の根幹であるとして、選挙にかかわるすべての放送関係者に公平性・公正性の徹底を求めています。

  • 参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第9号 2010年12月2日)
次は、千葉県知事選挙の期間中に現職知事の映像がバラエティー番組で約10秒間放送された事例。過去の映像を総集編的にまとめて紹介する中に、知事がこの番組に出演したときのものが含まれていました。制作担当者には選挙期間中であることの認識がなく、局内のチェックも機能しませんでした。委員会は、選挙の公平性・公正性に万全を期すよう求めた3年前の意見書の趣旨が徹底されていないとして、審議入りはしないものの、「委員長コメント」を公表し、各局にも注意を喚起することとしました。

  • 委員長コメントはこちらから
    (放送倫理検証委員会 第70回委員会議事概要 2013年4月26日公表)
委員会決定 第17号で審議の対象となったのは、インターネットでの選挙運動解禁についての特集企画で、比例代表選挙立候補予定者だった元大阪府知事の選挙準備活動だけを紹介したニュース番組と、比例代表選挙の候補が著名経済人としてVTR出演している企画を、参議院選挙投票当日の午前中に放送した情報バラエティー番組の2つの番組です。放送と選挙の関係について、委員会は3年前の意見(委員会決定 第9号)や、2013年4月の「委員長コメント」でも注意喚起を呼びかけてきました。それにもかかわらず、選挙にかかわる同様の問題が再び生じたことを、委員会は重く受け止めて、審議を行ってきました。今回の意見で、委員会は、この2つの番組について、選挙の公平性・公正性を損なう放送倫理違反があったと判断。そのうえで、選挙に関する放送倫理違反の問題の再発を防ぐために、放送業界全体において共有してほしい事柄として、「こころの秤(はかり)をイメージしよう」「組織や陣形を整えよう」などの提言を盛り込んでいます。

  • 2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第17号 2014年1月8日)
また、2016年7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられたことなどから、委員会は、具体的な放送を踏まえながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般のあり方について審議しました。委員会は、「政治的に公平であること」などを定めている放送法第4条第1項各号の番組編集準則は「倫理規範」だとしたうえで、放送局には「選挙に関する報道と評論の自由」があり、テレビ放送の選挙に関する報道と評論に求められているのは「量的公平」ではなく、政策の内容や問題点など有権者の選択に必要な情報を伝えるために、取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をするという「質的公平」だと指摘しました。この観点からすると、真の争点に焦点を合わせて、各政党・立候補者の主張の違いとその評価を浮き彫りにする挑戦的な番組が目立たないことは残念と言わざるをえないとして、「放送局の創意工夫によって、量においても質においても豊かな選挙に関する報道と評論がなされる」ことを期待しています。

  • 2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第25号 2017年2月7日)
参議院選挙公示の前日、夕方のローカルワイド番組で、比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した事例。委員会は、放送の内容が他の立候補予定者との公平性・公正性を害し放送倫理違反となる可能性があり、制作に当たってこれまで委員会が指摘してきた諸問題が検討された形跡がないなどとして、放送に至った経緯等を検証するために審議入りしました。審議の結果、委員会は、比例代表制度では自分の住む都道府県にかかわりなく立候補者や政党・政治団体に投票できるにもかかわらず、本件放送は公示日の前日に約5分間にわたって特定の立候補予定者のみを取り上げて視聴者に強く印象づけるような編集をし、有権者に誤解を与え比例区の投票行動を歪めた可能性があるとして、選挙報道に求められる公平性・公正性を害したことが、放送倫理に違反していると判断しました。

  • 北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第35号 2020年4月8日)

放送人権委員会

放送人権委員会は、「山口県議選事前報道」に関する委員会決定 第21号で、放送倫理上問題があったとする見解を公表しました。申立人は2003年4月の県議会議員選挙に立候補した男性。選挙前のニュース番組で放送した統一地方選挙の企画「県議選・なんでも一番」において、申立人が最多立候補者として実名・顔写真付きで「合わせて12回出馬していますが、いずれも当選に至っていません」と紹介されたとして、選挙妨害であり人権を侵害されたと訴えた事案。委員会は、本番組は故意ではないとはいえ、他の登場者に較べ申立人についての構成は明らかにマイナスイメージが強く、立候補予定者の公平な取り扱いについて配慮を欠いたと指摘したうえで、視聴者である有権者に対して不当に予断を与えた可能性もあり、放送倫理上問題があった判断しました。そのうえで、委員会の決定の主旨を放送するとともに、社内に徹底を図り、今後の番組の制作に際しては番組の目的を明確に捉え、公正・公平など放送倫理と人権に一層配慮するよう要望しています。

  • 「山口県議選事前報道」に関する委員会決定はこちらから
    (放送人権委員会決定 第21号 2003年12月12日)

委員会決定等について

question
複数の委員会で同じ番組について議論したことがありますか?
answer
放送倫理検証委員会と放送人権委員会で、これまで同じ番組が取り上げられたケースは4件あります。ただし、それぞれの委員会で独立して審議・審理が行われました。
▼NHK教育『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」
▼NHK総合『クローズアップ現代』出家詐欺報道
▼“全聾の天才作曲家”佐村河内守氏を取り上げた番組
▼TOKYO MX『ニュース女子』沖縄の基地問題の特集
委員会決定は、以下のとおり。

放送倫理検証委員会

  • NHK教育テレビ『ETV2001 シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見はこちらから
    第5号 2009年4月28日 放送局:NHK
  • “全聾の天才作曲家” 5局7番組に関する見解はこちらから
    第22号 2015年3月6日 放送局:TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビ
  • NHK総合テレビ『クローズアップ現代』”出家詐欺”報道に関する意見はこちらから
    第23号 2015年11月6日 放送局:NHK
  • 東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見はこちらから
    第27号 2017年12月14日 放送局:東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)

放送人権委員会

  • 女性国際戦犯法廷・ 番組出演者の申立てはこちらから
    第20号 2003年3月31日 放送局:NHK
  • 「謝罪会見報道に対する申立て」(TBSテレビ)に関する委員会決定はこちらから
    第55号 2015年11月17日 放送局:TBSテレビ
  • 「大喜利・バラエティー番組への申立て」(フジテレビ)に関する委員会決定はこちらから
    第56号 2015年11月17日 放送局:フジテレビ
  • 「出家詐欺報道に対する申立て」に関する委員会決定はこちらから
    第57号 2015年12月11日 放送局:NHK
  • 「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」に関する委員会決定はこちらから
    第67号 2018年3月8日 放送局:東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)

委員長談話

番組内容が広告放送と誤解される問題について

2020年10月30日

放送倫理検証委員会
委員長 神田安積

1. はじめに

 委員会は、これまで、「長野放送『働き方改革から始まる未来』に関する意見」(2019年10月7日付第30号。以下「決定第30号」という)及び「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」(2020年6月30日付第36号。以下「決定第36号」という)において、番組内容が広告放送と誤解されることに関する問題(以下「本問題」という)についての基本的な考え方を示してきた。
 そして、①秋田放送が制作し2019年10月26日に放送した30分のローカル単発番組『そこが知りたい!過払い金Q&A』(以下「本件番組①」という)及び②山口放送が制作し、秋田放送が山口放送から購入して同年10月19日に放送し、また山口放送においても同年5月25日及び同月29日に放送した30分のローカル単発番組『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』(以下「本件番組②」という。以下、本件番組①・②を「本件番組」と総称する)について、2020年5月の委員会(第148回)以降計6回にわたり本問題に関する討議を重ねてきた。
 討議の過程においては、本件番組を両局から購入して放送した局があり、また、本件番組を1社提供した弁護士法人X法律事務所(以下「X法律事務所」という)が提供する類似した番組を制作放送した局またはその番組を購入して放送した局がいずれも相当数存在することが報告され、本件番組が内包する本問題が全国的な広がりを有し、日本民間放送連盟(民放連)加盟各社が直面している共通の課題であることを改めて認識するに至った。
 そこで、10月の委員会(第153回)において、民放連加盟各社及び民放連に対する要望を含めて、本問題に関する委員の総意を改めて示すことが適切であると考え、委員長談話として明らかにすることとした。また、本件番組については放送倫理違反の疑いがあるのではないかとの指摘はできるものの、討議にて終了し、審議入りしないとの結論に至った。なお、本件番組に関する討議の詳細は委員会の議事概要に掲載することをもって代えることとする。

2. 委員会からの要望

 民放連の放送基準第92条は、「広告放送はコマーシャルによって、広告放送であることを明らかにしなければならない。」と定めている。冒頭にも述べたとおり、委員会は、3局の事案に関する2つの意見書において、本問題に関する基本的な考え方を示してきた。特に、決定第36号では、「番組と広告の違い、その境目を認識し、緊張感を持って一線を画す日々の作業は部署を問わず、すべての民放関係者が肝に銘じるべき根本ではないか」との決定第30号の一文を今一度引用したうえで、「『番組と広告の境目』をめぐる問題の対応策についても、民放連や民放各局の自主的・自律的な精神と姿勢で検討されるよう望みたい」との要望の意を表明した。
 同時に、委員会は、視聴者に広告放送であるとの誤解を招くような内容・演出になっていないかを局が判断する際、民放連が2017年に策定した「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」(以下「留意事項」という)において「総合的に判断する必要がある」とされていることを重視し、各意見書における個別的・具体的な判断がいわば新たな一般的な基準として独り歩きし、その結果、番組制作を必要以上に制約することがないように、両意見書において基本的な考え方を示すにとどめてきた。しかし、その結果、両意見書の通知・公表時の記者会見や意見交換会、事例研究会等において、少なからぬ局から、「どのようにすれば広告放送であるとの誤解を招かずに済んだのか」「番組と広告の境目を画するより明確な基準を示してほしい」という質問や要望が出されるに至っている。
 たしかに、留意事項が策定されて既に3年以上が経過しているとはいえ、本問題が短期間にクローズアップされたこともあり、また、民放連の説明によると、留意事項は対価の有無にかかわらず適用されるとのことであり、この点がまだ十分に浸透されていないことにも鑑みれば、問題点の整理や自主的・自律的な対応を講じるために一定の時間的な猶予が必要であると思われる。
 しかし、上記の要望の背景にかかる事情があるとしても、視聴者との約束である放送基準を策定し、また、適切に運用 するのはもとより委員会ではなく、放送事業者や民放連の役割であることからすれば、委員会が上記の要望等に応えることは適切ではない。そもそも委員会は、放送事業者自身がその自由を確保し、その自律を促すための仕組みの中に位置づけられた組織である。また、放送事業者は、放送の自由を生かし、その使命を果たすために、自らの手で放送倫理を具体化し、問題が生じれば、自主的・自律的に方策を講じる責任がある。
 したがって、本問題についても、放送事業者や民放連が、委員会がこれまで示してきた基本的な考え方を参照し、自ら問題点を整理したうえで、自らの手で処方箋を出すことが望ましいものと考える。そして、このような自主的・自律的な取り組みが期待できるのであれば、その成果を待つべきであろう。
 この点に関し、民放連は、2020年3月6日付で、放送基準審議会議長名による「放送基準審議会から放送基準の遵守・徹底のお願い」と題する文書を会員社宛に発出し、その中で「番組と広告の識別」の問題を取り上げて、「番組の企画から放送前の考査まで、社内横断的なしっかりとした体制を構築し、放送の価値向上と収益の確保に尽力していただきたい」と注意喚起し、併せて、「演出や構成などには大いに工夫の余地がある」ことを指摘するとともに、「会員社の皆さまの声に耳を傾けながら、丁寧に対応してまいります」と表明するに至った。この表明からは、留意事項が策定されたときと同様に、同種の事案が今後生じ得ることを前提として、本問題に関する放送局の現場の声を集約しながら、改めてこの問題に向き合う必要があるという民放連の自覚と決意がうかがわれる。
 そこで、委員会は、当面、本問題に対する民放連加盟各社及び民放連の自主的・自律的な取り組みを注視することとしたいと考えるに至った。当然のことながら、この判断は本問題にかかる放送倫理違反の疑いを今後一律に不問に付すことを意味するものではない。
 この結論に至るまでの委員会の議論では、すべての局が必要十分な自主的・自律的な対応を取るとは限らず、中には適切な対応を取らない局が出る可能性もあるのではないか、また、一見対応が取られたように見えても、留意事項に例示された事項をチェックリスト化することをもって十分と考え、様々な要素を踏まえた総合的な検討を怠る局が出るのではないか等の懸念の声が上がったのも事実である。実際、最近の意見交換会等における各局との質疑応答からは、留意事項に例示された基準や3局の事案に関する2つの意見書を形式的にマニュアル化しようとする傾向がうかがえることも否めないところである。
 しかし、番組と広告の識別には、抜け道を探すような後ろ向きの対応が求められているのではない。留意事項にも明記されている「民放の信頼やメディア価値の根幹」を維持・発展させるために、自主的・自律的な「攻めの対応」が求められているのである。そして、判断の当否に迷うことがあれば、本問題の原点に常に立ち返ることが求められる。それは、なぜ番組と広告を識別しなければならないのか、なぜ番組と広告の識別が「民放の信頼やメディア価値の根幹」に関わるのか、を考えることに他ならない。
 「広告」は、商品やサービスを視聴者に対して訴求し、その購買を誘引するために、スポンサーが主体となって制作されるものである。これに対し、「番組」は、放送局が主体となって、独立した立場で内容を吟味して制作しているとの視聴者からの信頼を前提として放送されている。ところが、「番組」の中に「広告」の要素が混在し、「番組」と「広告」の識別が困難になればどうなるか。視聴者の商品・サービスに対する判断を誤らせ、ひいては視聴者の放送事業者に対する信頼や番組の内容に対する信頼が損なわれてしまうのではないか。放送の社会的影響力の大きさ、そして視聴者の保護の観点をも踏まえ、番組と広告との識別の意義の重要性を今一度問い直すべきではないか。そのうえで、各局において、編成・制作・営業・考査がそれぞれの立場から多角的に相互にチェックすることが求められるのではないか。
 このような議論をする中で、委員会は、本問題にはもとより唯一の答えはなく、不断の議論こそが大切であることを痛感させられた。各局においても、制作・放送に携わる一人一人においても、番組と広告を識別しなければならない意義を常に自問自答し、その原点に立ち返る姿勢がない限り、たとえ対応策を講じても問題は再発し、民放の信頼は損なわれ、メディア価値の根幹も傷つき修復が困難になることだろう。
委員会は、民放連加盟各社及び民放連が、番組と広告の識別の意義を踏まえ、現場の声にも耳を傾けながら、留意事項に照らして「総合的に判断する」姿勢を深化させる取り組みを実行することを期待する。そして、今後も本問題に対する自主的・自律的な対応に重大な関心を持ちながら、その取り組みを見守りたい。

以上

委員長談話全文(PDF)pdf

第153回 放送倫理検証委員会

第153回–2020年10月

番組内容が広告放送と誤解される問題について委員長談話を公表

第153回放送倫理検証委員会は10月9日に開催された。
委員会が6月30日に通知・公表した「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」への対応報告が当該放送局である琉球朝日放送から書面で提出され、その内容を検討した結果、委員会との意見交換が適切な時期に開催されることを期待して、報告を了承し公表することにした。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の修正案が示され意見交換を行った。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にして、合計18回にわたりフジテレビで放送されたニュース番組について、当該局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が報告された。
秋田放送又は山口放送がそれぞれ制作した弁護士法人1社提供のローカル単発番組に関し、委員会はこれまで番組内容が広告と誤解されることに関する問題について合計6回にわたり討議を重ねてきたが、今回の委員会で討議を終了し、審議入りしないこととした。また、民放連加盟各社および民放連に対する要望を含めて、本問題に関する委員の総意を改めて共有することが適切であるとして、「番組内容が広告放送と誤解される問題について」と題された委員長談話をBPOのウェブサイトで明らかにすることにした。

1.「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」への琉球朝日放送の対応報告を了承

6月30日に通知・公表した「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」(委員会決定第36号)への対応報告が当該放送局である琉球朝日放送から書面で提出された。
報告書には、委員会決定を受けて、全職員に決定内容を周知し、全社員・スタッフによる番組再検証を実施したこと、再発防止への取り組みとして、「番組制作にあたっては企画提案書を提出して、それを基に様々な人が意見を出し合い、スポンサーとも交渉をして、最終的にスポンサーが納得できないということであれば、見送りもある。売り上げが厳しいから放送倫理違反をしてもいいということはありえない」「放送倫理違反の意見書を受けた意味合いは大きい。今後も定期的に勉強会を開き社員教育を図っていく」などを確認したことが記されている。委員からは「全般的に意見書の主旨は理解されていると感じた」という意見が出され、また、「営業主導が途中から徐々に報道主導になったその境目を整理して書いていただけるとよかった」という意見も出されたが、意見書で指摘した課題に対しては概ね適切な対応がなされており、またコロナ禍で、委員会と当該局との意見交換は行われていないが、今後適切な時期に開催されることを期待することとして、当該対応報告を了承し公表することにした。
琉球朝日放送の対応報告書は、こちら。

2. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」として、番組ホームページ上で事実関係を公表するとともに謝罪した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会には、前回の委員会で議論された原案を踏まえて担当委員が作成した意見書の修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

3. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビと産経新聞は、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり合同で行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送及び記事をすべて取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの追加報告書によれば、調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの約12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないのにもかかわらず、架電済サンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成し、誤った世論調査結果のデータを作成していたとしている。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたこと、当該局が架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備等を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
今回の委員会では、9月末から10月初旬にかけて当該局の関係者に対して実施したヒアリングの概要が担当委員から報告された。次回委員会では意見書の原案が提出される予定である。

4. 視聴者に広告放送と誤解される疑いのある内容だった秋田放送と山口放送のローカル単発番組を討議

秋田放送は2019年10月26日に『そこが知りたい!過払い金Q&A』と題した30分のローカル単発番組を制作放送した(以下「本件番組①」という。2018年2月17日初回放送・同年10月13日再放送)。この番組を見た視聴者から「CMの延長のような番組作りは許されるのか」という意見がBPOに寄せられ、併せて「山口県で放送されたものと同じ内容の番組も1週間前に流している」との指摘もなされた。秋田放送では同年10月19日に、山口放送が制作した『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!PART2』(以下「本件番組②」という)を番組販売で購入し放送していた。また、山口放送は、本件番組②を2019年5月25日、同月29日に制作放送していた。
なお、山口放送は、本件番組②とは別に、『“見ねれば”損!損?過払い金びっくり講座!』(以下「本件番組③」という)を制作し、2018年6月2日以降合計4回放送している。本件番組③については、本件番組②との関連性から、念のため一体のものとして検討することが適切であると考え、討議の対象としたが、放送内容が類似していることを踏まえ、討議における議論の対象は本件番組①及び本件番組②のみ(以下「本件番組」と総称する)とした。

本件番組は、その共通点として、弁護士法人X法律事務所(以下「X法律事務所」という)の1社提供の単発番組であり、X法律事務所の提供表示がなされ、番組名の前にも「弁護士法人X法律事務所presents」というタイトルが付けられている。また、番組の内容は、X法律事務所の代表弁護士(当時)が自ら出演し、クイズ形式か再現ドラマ形式かの違いはあるものの、X法律事務所における高額の過払金の回収事例を複数紹介して解説を加えている。そして、X法律事務所の相談料が原則無料であることを含む基本的な料金体系を説明し、さらに放送日時と近接した時期に開催されるX法律事務所の無料相談会を案内して勧めている。本編の中には中CMがあり、いずれも代表弁護士が登場するX法律事務所のCMである。以上のとおり、本件番組の内容や構成はほぼ共通している。
なお、討議中において、X法律事務所が、2020年6月に破産開始決定を受け、その後、X法律事務所の所属弁護士会が、X法律事務所が回収した過払い金を依頼者の意思に反して流用した疑い等があるとして、同弁護士会の綱紀委員会に対して懲戒処分に向けた調査をするよう求めるという報道に接した。

委員会は2020年5月、両局から提出された報告書及び同録DVDを基に討議し、本件番組はいずれも、総合的に判断すれば、番組内容が広告放送と誤解されることに関する問題(以下「本問題」という)の観点から、放送倫理違反の疑いがあるのではないかといった意見が多く出された。その後の委員会においては、本件番組を両局から購入して放送した局があり、また、本件番組を1社提供したX法律事務所が提供する類似した番組を制作放送した局またはその番組を購入して放送した局がいずれも相当数存在することが報告された。上記の各局に対しては、本件の討議の参考のために、任意の報告を依頼し、報告書と同録DVDの提供を受けた。しかし、各局が番組を制作した時期に幅があり、一部の局においては日本民間放送連盟(民放連)が「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」(以下「留意事項」という)を策定した2017年以前に制作・放送された番組もあるなど、番組の制作や考査の在り方について公平に比較検討することが困難であることを踏まえ、両局以外の番組は討議の対象としないこととした。

10月の委員会においても、本件番組について、民放連の放送基準第92条や留意事項に照らし、X法律事務所の取り上げ方や演出方法は、仮に広告の意図や目的がなかったとしても、また、必要とされる考査をした旨の両局の主張を踏まえても、総合的に判断すれば、視聴者に広告放送であるとの誤解を招きかねず、放送倫理違反の疑いがあるのではないかとの意見が多数出された。
そして、審議に入るか否かの基準については、委員長談話「TBSテレビ『情報7daysニュースキャスター「二重行政の現場」』について」(2009年7月17日)において、①対象となる問題が小さく、かつ、②放送局の自主的・自律的な是正措置が適切に行われている場合には、原則として審議の対象としないとされており、本件番組の問題は小さいとは言い難いから、審議入りの基準を満たしているともいえ、実際、審議入りをすべきであるとの意見もあった。
しかしながら、10月の委員会までの、計6回にわたる討議を踏まえ、本件番組が内包する本問題が全国的な広がりを有し、民放連加盟各社が直面している共通の課題であることを改めて認識するに至った。そこで、民放連加盟各社及び民放連に対する要望を含めて、本問題に関する委員の総意を改めて示すことが適切であると考え、委員長談話として明らかにすることとし、また、上記のとおり、同様の番組を制作放送した各局の番組について公平に比較検討することが困難であり、結論として討議の対象としないこととしたこととの均衡も考慮し、本件番組について放送倫理違反の疑いがあるとしても、委員から厳しい意見が出たことを議事概要に掲載して注意を喚起した上で、今回で討議を終了し、審議の対象としないとの結論に至った。
委員長談話は、こちら。

【委員の主な意見】

  • 本件番組はいずれも、X法律事務所における高額の過払金の回収事例を複数並べたうえで、X法律事務所の相談料が原則無料であることが説明され、本編の最後ではX法律事務所の基本的な料金体系と併せて、放送日時と近接した時期に開催されるX法律事務所の無料相談会を案内して勧める内容になっていること等からすると、過払金返還請求についての法的知識や手続きに関し、具体的で有益な情報提供をしていると認められる部分があるとしても、全体を通じて視聴すれば、X法律事務所のサービス内容を一方的にPRしているとの印象を否定できないのではないか。また、X法律事務所のサービス内容のみを取り扱う理由は明確とは言えないのではないか。

  • 本編の中にある中CMでは、いずれも代表弁護士が本編と関連するフレーズを語り、無料相談会を告知している。また、本編と中CMが連続して放送されるため、これを連続して視聴することによって、全体としてX法律事務所のサービスの広告効果がさらにもたらされているのではないか(2001年3月14日付にて民放連が作成し、2009年3月18日付にて改訂した「持ち込み番組と関連するCMの取り扱いについて」の第3文参照)。

  • 本件番組②については、本編におけるいずれの相談再現ドラマの中にもX法律事務所の情報が盛り込まれており、また、番組の最後の場面で男性タレントがX法律事務所の名前を挙げて番組が終了していること等も、視聴者に広告放送との誤解を招く事情となっているのではないか。

  • 総合的に判断すれば、本件番組におけるX法律事務所の取り上げ方や演出方法は、仮に広告の意図や目的がなかったとしても、視聴者に広告放送であるとの誤解を招きかねず、放送倫理違反の疑いがあるのではないか。

  • 本件番組に関し、秋田放送は「社員や代理店の勉強会などにより、いま一度、持ち込み番組を含めた社内外の認識確認を行いたい。『視聴者の誤解を招かない内容・演出』のため、今後はもっと全社的な考査機能を高めていかなければならない」との見解を、また、山口放送は「今回いただいた指摘を真摯に受け止め、民放連放送基準第92条及び留意事項、また2019年10月の委員会意見の内容について、改めて社内各所での徹底を図り、『広告放送』との誤解を招かない番組制作・放送に取り組んでいきたい」との見解をそれぞれの報告書において明らかにしている。両局が当該各見解を実質的かつ有効的に深化させる方策を講じることを期待したい。

以上

第285回放送と人権等権利に関する委員会

第285回 – 2020年10月

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理開始…など

議事の詳細

日時
2020年10月20日(火)午後4時~7時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO]」千代田放送会館7階会議室
議題
出席者
奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、國森委員、二関委員、廣田委員、松田委員、水野委員

1.「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」事案、審理

今事案の対象となったのは、札幌テレビが2019年4月26日の『どさんこワイド179』内のニュースで、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づいて一時金の申請を行った男性に関する報道で、男性が自宅で申請書類に記入をし、北海道庁で申請手続きをする様子等の場面を放送した。この放送に対して取材された男性が、記者が申請のための請求書を取り寄せ、必要な書類の準備を指示するなど、「一時金申請を希望していなかったのに、記者が申請するよう働きかけた」と主張して、放送内容の訂正と謝罪を求めて申立書を提出した。これに対して札幌テレビは、記者との信頼関係があったからこそ可能となった取材であり、「検証の結果、報道の内容は公正で、取材手続きも適正である」と反論している。
今委員会では、担当委員から決定文の修正案が示され、前回委員会で指摘のあった取材する側と取材される側の関係について更に議論が交わされた。そのうえで委員会は決定を了承し、次回委員会までに通知公表を行うことになった。
今事案は、第276回委員会で審理入りを決め審理を進めてきたが、新型コロナウイルス対策によって審理に遅延があった。

2.「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」審理

フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019 - 2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと申し立てた。これに対してフジテレビは、社内調査によって「人権侵害は認められない」と反論している。委員会は、第284回委員会で、運営規則第5条(苦情の取り扱い基準)に照らして審理入りの要件を満たしていると判断し、審理を始めることを決めた。今委員会では、これまでに双方から提出されている書面を基に、論点の整理を始め、それに伴い審理を進めるうえで必要な資料の提出を当該局に求めることを決めた。今後、所定の書面がすべて整ったあと、委員会で論点を絞り込む予定。

3. その他

  • 委員会決定第74号「大縄跳び禁止報道に対する申立て」に関して、10月14日に行った通知公表について報告があった。

  • 申立て状況について事務局から報告があり、委員の間で意見が交わされた。

以上

2020年度 第74号

「大縄跳び禁止報道に対する申立て」
に関する委員会決定

2020年10月14日 放送局:フジテレビ

見解:問題なし
フジテレビは2019年8月30日の『とくダネ!』で、都内の公園で大縄跳びが禁止された問題を放送した。インタビューに答えた周辺住民女性が、突然マイクを向けられ誘導尋問され、勝手に放送に使われたとして、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて申立書を提出した。フジテレビは、インタビュー内容を加工せずそのまま放送しており、「捏造には該当しない」などと反論した。
委員会決定は、本件放送に、人権侵害、また放送倫理上の問題があったとは判断できない、とした。

【決定の概要】

 2019年8月30日に放送されたフジテレビの『とくダネ!』は、都内の公園で近隣の受験塾の生徒が大縄跳びをしながら歴史上の人物名などを暗唱していることに周辺住民から苦情があり、行政が大縄跳びを禁止する看板を立てたことなどを紹介した。申立人はインタビューを受けた周辺住民の一人で、「本を読んでたりとか、集中して何かをやんなきゃいけない日だったりすると、ちょっとうるさいなと思って」などと答える場面が17秒にわたり放送された。
 申立人は、日没後に犬を連れて公園を散歩中、突然、若い女性に背後から声をかけられ、放送局名・番組名や取材の趣旨を告げられず、撮影許可を明示的に求められぬままインタビューを受け、また大縄跳びは「一度も目撃したことがなく、理解に苦しむ内容」なのに「誘導尋問」され、あたかも迷惑しているかのような発言を「捏造」された、と主張している。「懇意にしている学習塾の批判にもつながり、非常に憤慨している」として、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて、BPO放送と人権等権利に関する委員会に申立書を提出した。
 一方、フジテレビは、取材したディレクターが2度にわたり「フジテレビ、とくダネ!です」と伝え、「(大縄跳びを禁止するという)看板について取材しているのですが」などと断ってからインタビューと撮影を開始したのであり、申立人は撮影・放送(いわゆる「顔出し」を含む)を承諾していた、また「誘導尋問」はしておらず、インタビュー内容も加工せずそのまま放送しており「捏造には該当しない」と反論している。
 申立書などの書面とヒアリングを総合して検討した結果、委員会は、撮影・放送それ自体に対する申立人の承諾がなかったとまではいえず、また質問者が本意でない答えを強いるという意味での「誘導尋問」や「捏造」があったと断定することもできないため、本件放送が申立人の肖像権など人格権を不当に侵害したと判断することはできない。同じ理由で、取材交渉を含めたインタビューの手法とその編集方法についても、放送倫理上の問題があったと判断することはできない。
 ただし、本件放送のような、通行人が予期せず声をかけられる種の街頭インタビューの場合、被取材者の大多数は申立人のようにマス・メディアの取材・報道に不慣れであることから、取材者は放送局名・番組名をはじめ、質問の対象・趣旨などを取材に際して可能な範囲で説明し、かつ撮影した映像等の実際の使用についても本人の意向を明確に確認しておくことが望ましい。

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2020年10月14日 第74号委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第74号

申立人
東京都内在住 女性
被申立人
株式会社 フジテレビジョン
苦情の対象となった番組
『とくダネ!』
放送日時
2019年8月30日(金)
午前8時~9時50分のうち午前8時13分から8時35分

【本決定の構成】

I.事案の内容と経緯

  • 1.放送の概要と申立ての経緯
  • 2.本件放送の内容
  • 3.論点

II.委員会の判断

  • 1.申立人とフジテレビの対立点
    • (1) 取材経緯(承諾の有無)
    • (2) 発言内容(「誘導尋問」と発言の「捏造」)
  • 2.人権侵害
    • (1) 肖像権の侵害
    • (2) 「誘導尋問」と発言の「捏造」による人格権の侵害
  • 3.放送倫理上の問題
    • (1) 取材交渉を含めたインタビューの手法とその編集方法
    • (2) 申立人に対する本件放送後の一連の対応

III.結論

IV.放送概要

V.申立人の主張と被申立人の答弁

VI.申立ての経緯と審理経過

全文PDFはこちらpdf

2020年10月14日 決定の通知と公表の記者会見

通知は、2020年10月14日午後1時からBPO会議室で行われ、午後2時から千代田放送会館ホールで公表の記者会見が行われた。
詳細はこちら。

第226回 放送と青少年に関する委員会

第226回-2020年9月

視聴者からの意見について…など

2020年9月29日、第226回青少年委員会をBPO第2会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず7月16日から9月15日までの2か月間に寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
報道・情報番組において、コロナ感染者の出た学校を実名で報道したことについて、「未成年者が風評被害を受ける。配慮すべきだ」などの視聴者意見が寄せられました。これに対して、委員からは「学校は行く人が特定されていて、感染者が出たとしても濃厚接触者は追跡できるという状況のときに、公益目的だからという理由だけで学校名を出すことは、少し考えたほうがいい」、また一方で「いじめが起きるとか、学校で問題が起きることは、テレビで学校名が出たからというわけではないと思う」などの意見が出されました。また、著名人の自殺報道について、「有名人の自殺は子どもや若者への影響が大きいので、WHOのガイドラインに沿って報道するべきだ」などの視聴者意見が寄せられました。これに対して、委員からは「詳細な報道ができないから、そこのところはなるべく避けて、最後に命の電話番号を流すという形がパターン化してくるのではないかと懸念している」などの意見が出されました。
8月の中高生モニターのリポートのテーマは「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。29人から報告がありました。
モニターからは、太平洋戦争中、原子爆弾の開発に関わった若き科学者を描いたドラマについて、「核兵器がいかにすごく大きな影響を日本に与えたかということが伝わった。この頃の研究者たちの苦悩を感じることができた。しかし、僕には少し違和感があった。『原子爆弾』というものを作り出す行為が美化されているような印象を受けたからだ。日本が『原子爆弾』を作ろうとしていたことが『努力』『青春』などという言葉で言い表されていて、少し疑問を持った」、女性に焦点を当てた終戦スペシャル番組について、「(女優の綾瀬はるかさんがインタビューした内容で)私が印象に残ったのは広島の原爆によって肌がただれてしまった女性の話でした。その女性は綾瀬さんに『今あなたが美しくて嬉しい』と言っていたのが心に残りました。女性が美しくいられるのも平和があってのことなのだと気づきました。写真を手掛かりに丁寧に取材していて、責任をもって番組を作っているのが伝わってきました」などの意見が寄せられました。
また、9月のテーマは「今年4月から9月までで最も印象に残った番組について」でした。27人から報告がありました。
モニターからは、警視庁機動捜査隊を舞台にした刑事ドラマの最終回について、「最後まで展開が予想できず、見入ってしまった。俳優の演技も狂気に満ち溢れていて、怖さを生み出し、作品の世界観に浸ってしまった。また、最後も完ぺきなハッピーエンドにしないところが、面白いと思った。バッドエンドだと悲しく、ハッピーエンドすぎると腑に落ちず、その中間をとったのがいいと思った」、新型コロナウイルス元感染者を追った報道番組について、「なぜこの番組が最も印象に残ったのかというと、コロナがインフルエンザのように1,2週間で回復する病気でないことに気づかせてくれた大きな契機となったからです。これを知るまでは、新型コロナウイルスにはインフルエンザと同様、健康な方にはその後の体調不良は見られないのではないか、と考えていました。しかし、現実はそうではなく、元感染者の3割近くが回復後もいまだに苦しみ続けていることを知り、これからもコロナと共存していかなければならない私たちにとって知らなければならない情報だと感じました。(この番組が放送された)6月から3か月がたち、現在ではワイドショーを中心にもはや、コロナに関する報道が少なくなっています」などの意見が寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は10月27日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2020年9月29日(火)午後4時30分~午後7時15分
場所
放送倫理・番組向上機構[BPO]第2会議室(千代田放送会館7階)
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

バラエティー番組で、お笑いタレントが農家の人に言われるままパイナップルを皮ごと丸かじりさせられるドッキリ企画に対して「皮にはトゲがあって危険だ。子どもがマネをする」「まるでイジメ。子どもに見せられる内容ではない」といった視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「企画自体が心地よい笑いを提供してくれるようなものではないのかもしれないが、このバラエティー番組はそれで人気を取っているところもあり、それを好む人も一定数いる」「VTRを見ているスタジオの反応が同時に流れるが、そこである程度、それはあり得ないとか、やってはいけない、というようなことが分かるコメントを編集で入れているので、青少年がマネをすることもないだろう」といった意見が出されました。

報道・情報番組において、コロナ感染者の出た学校名を実名で放送したこと
に対して、「未成年者が風評被害を受ける。配慮すべきだ」「実名の必要はあるのか。コロナ差別やクレームが発生したら子どもたちや学校の負担は甚大だ」と言った視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「地元ではあそこから出たよと分かるだろうが、全国放送することについてはどうなのか。感染拡大しないようなメッセージとして、その地域では十分機能しているので、校名を出したり校舎を映したりすることには課題がある気がする」「飲食店とか病院とか不特定多数の人が行く場所ならば、公表する意味はあると思う。しかし学校は行く人が特定されていて、感染者が出たとしても濃厚接触者は追跡できるという状況のときに、公益目的だからという理由だけで学校名を出すというのは、もう少し考えてもいいのではないか」という意見が出ました。その一方で、「いじめが起きるとか、学校で問題が起きることは、テレビで学校名が出たからというわけではないと思う。地元では既にみんな知っていて、その中でいじめや差別が起きるわけで、実名を出しても変わらないのではないか」との意見も出されました。

報道・情報番組において著名人の自殺報道に関して、「有名人の自殺は子どもや若者への影響が大きいので、WHOのガイドラインに沿って報道すべきだ」「自殺方法などを具体的に放送していた。見ていた子どもが動揺している」
「人格形成の途上にある若い人たちに命を粗末にしないよう伝えてほしい」という視聴者意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「著名人の自殺が増えていて、どのメディア報道も取扱いには注意して報道していると思いうが、続いているので、ガイドラインを形式的にとらえるような報道にならないよう気をつけないといけない」「詳細な報道ができないから、そこのところはなるべく避けて報じて、最後に命の電話番号を流すという形がパターン化してくるのではないかと懸念している」などの意見が出されました。

音楽番組で昭和60年代アイドルのヒット曲が披露されたが、その歌詞の内容について「未成年者の不純異性交遊を匂わす歌詞。倫理的に問題だ」「子どもも起きている時間帯にこんな歌を流すのは教育の観点から良くない」「ヒット当時、世間では大きな問題意識がなかったと思うが、いま問題意識なく流すのはいかがなものか」といった意見が寄せられました。
これに対して委員からは、「歌詞なので致し方ないのではないか」「当時、こういうものをアイドルが堂々と歌うということに意味があると、中高生にも支持されたということだったのが、三十数年経って、世の中は保守化したということではないのか」「昭和60年代の世相を反映してこういう歌詞が作られたのであって、いま作る音楽にこの作詞は絶対にないような気がする」などの意見が出されました。

これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。

中高生モニター報告について

今月は、8月と9月のモニター報告について話し合われました。
33人の中高生モニターにお願いした8月のテーマは、「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。
「終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」では、複数のモニターから意見が寄せられたのは5番組でした。『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)に7人から、『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら」』(NHK-BS1)に4人から(「青少年へのおすすめ番組」欄での感想と合わせると5人から)、『NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」』(NHK総合)に3人から、『NHKスペシャル「沖縄 “出口なき”戦場~最後の1か月で何が~」』(NHK総合)と『ドラマ×マンガ「あとかたの街~12歳の少女が見た戦争~」』(NHK-BSプレミアム)にそれぞれ2人から報告がありました。それ以外のモニターは別々の番組を取り上げ、全部で16の番組について感想がありました。多くのモニターが「祖父母など身近な戦争経験者に直接話を聞きたい」と記述し、自分にできることは何かを考えた様子がうかがえました。また、「当時の映像や証言を後世に伝えるためにテレビは大きな役割を担う」と、放送局の存在意義を再確認し、期待を寄せたモニターもいました。また、一部の番組で行われた取り組み(SNSを活用する、漫画と組み合わせる、など)は若い世代の感覚に合っていると好意的に受け入れられていました。
「自由記述」では、6人からコロナ禍での報道や番組制作の仕方に関する意見が寄せられました。そのほか、8月のテーマと関連づけて、「最近は戦争関連の番組が少なくなっていると感じる」と記述したモニターが2人いました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『さよなら!インターハイ ミキと高校生の“校内放送” 』(NHK総合)と『音が出たら負け』(日本テレビ)をそれぞれ4人が、『炎の体育会TVSP』(TBSテレビ)と『THE 名門校 全国すごい学校名鑑』(BSテレビ東京)をそれぞれ3人が取り上げています。

◆委員の感想◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • 『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)について、モニターたちの感じ方は一様ではなかった。太平洋戦争中に日本が原爆を作ろうとして一生懸命研究していたことに対して、「科学者の若いエネルギー、努力、そういうものを描いた部分が今までの番組とは違って新しかった」と感じるモニターがいた一方で、「原子爆弾を作ろうとしたことを努力や青春と美化してはいけない」と疑問を持ったモニターもいた。このようにそれぞれ印象が違ったということは、原爆を多面的に取り上げた成果なのだと思う。そういう意味で意欲的なドラマだった。

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら』(NHK-BS1)について、当時の人たちの気持ちになってSNSでつぶやくことによって、戦争中の状況を今までよりもリアルに感じることができたとモニターが記述しており、中高生にとって面白い企画だったのだという印象を受けた。ただ、SNSはつぶやくだけじゃなく、相手のリアクションもあるツールなので、そういう視点がもう少し入るとより良かったのではないか。戦争の敵、味方がSNSを通して本音で言い合うような環境が提起されていたら、より面白かっただろうと感じた。

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら』(NHK-BS1)について、SNSと番組を連動させるということが子どもたちの間で話題となって興味がそそられて視聴し、当事者の語りに触れ、様々なことを感じられたようだ。あるモニターが「当時、戦争をしているという意識はあまりなくて、生活があった」という当事者の語りにハッとさせられたと記述していた。気づきにくいところに気づかせたということも有意義であったと思う。

    • 原爆に関する番組を視聴して感想を寄せたモニターが少なくなかったが、やはり、番組の中できちんと原爆について取り上げることが大事である。

    • これまで戦争関連の番組を見る機会がなかなかなかったというモニターもいた。しかしそのような子も視聴して多くを感じ取っていた。若い人に見てもらう工夫をすること、戦争関連番組を制作し続けることが今後も重要だと感じた。

◆モニターからの報告◆

  • 【終戦関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】

    • 『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)私がこれまで見ていた戦争のドラマや映画は、戦争の悲惨さを主に伝えていました。「太陽の子」は、戦争に勝つために国民が努力する姿や科学者が純粋に技術開発に取り組む姿が描かれていました。戦争の悲惨さを伝えるだけではなく、当時の雰囲気や価値観などをきちんと描こうとしているところがいいと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • 『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)この頃の研究者たちの苦悩を実際に感じることができた。しかし、僕には少し違和感があった。「原子爆弾」というものを作り出すという行為が美化されているような印象を受けたからだ。日本に原子爆弾を投下したアメリカへの非難の気持ちが今も根強く残っている中、日本が「原子爆弾」を作ろうとしていたということが「努力」「青春」などいう言葉で言い表されていて、少し疑問を持った。(群馬・中学3年・男子)

    • 『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)今までこの時期は戦争特集をしているドキュメント番組を見ることが多かったのですが、今回初めてドラマを視聴しました。すると、ドラマ作品はドキュメント番組と違い登場人物に感情移入ができるので分かりやすく、実感がとても湧きやすかったです。また、モノローグも適度に入れられており当時の様子について詳しく知ることができ、適度に入っているので作品の邪魔も全くしていなかったです。今回いちばん衝撃的だったのは、突然はさまれた原爆の写真です。不意に出てきたことも相まってとても衝撃を受けました。こういった演出もドラマならではでとても印象に残りました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」』(NHK総合)主人公の暮らしていた家が、空襲にあった際に火災が延焼しないようにと家を強制的に取り壊され、代わりの家は用意されない、介護が必要な祖父もいるのにいきなりホームレスとなってしまうのに周りの人は「日本万歳」と声を上げながらあっという間に家を取り壊す、という悲しい現実を最初の場面から突き付けられ、この物語にくぎづけとなりました。弟の裕之が軍に帰る矢先に海で自殺を図ろうとするところでは、裕之の軍に戻ることしか許されない現実、でも戦地で死にたくないという思い、その思いを周りの人に伝えたら悲しませてしまう、皆から非国民と冷たい目を向けられ生きていけなくなる、という極限の状態。いっそ自分のタイミングで命を終わらせたいという追い詰められた状況になっていたのではないか、戦争中はこのような心情の、自分と同じような年ごろの人がたくさんいたのではないかと思い、心が痛かった。(茨城・高校3年・男子)

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら』(NHK-BS1)もし、あの時にSNSがあったらというのを考えたこともなかったので面白いと思いました。SNSのコメントを考えている方たちが言っていたけれど、戦争時代と今の時期は似ていると思いました。いつ終わるか分からない、死と隣り合わせの日々を送っている、いつ何が起こるか分からない怖い時間を過ごしてきたんだなと思います。(山形・中学1年・女子)

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら』(NHK-BS1)この番組ではSNSと戦争を絡め、違った切り口で戦争について知識を深めることができました。内容は、戦時時代を生きた3人の方の日記をもとに、広島にゆかりのある高校生や大学生がその時の気持ちを考えてツイッターにツイートするというものでした。当時中学生であった方は現在もご健在で、その方の言葉が印象に残っています。「原爆の日、僕は放射能を浴びただろう。」その方は現在88歳で、今までに何度も癌に侵され、手術をしてきたそうです。昔のことなのに、現在も影響を受けているとなると、いかに戦争が悲惨であったかよく分かります。(愛知・中学2年・女子)

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら』(NHK-BS1)ポップなイラストとSNSという身近な存在が登場するということで、親しみやすそうだと思い、見ることにした。話の中で、「当時戦争しているという意識はあまりない。生活があった。」という言葉にハッとさせられた。なぜなら私は、みんなが戦争の中で恐れながら日々を送っていたのではないかと思っていたからだ。原爆が投下された戦争中も、今も昔もどんな時でも世界中に1人1人がちゃんと生きていて、暮らしているというのが改めて理解できた。8月6日のその時(原爆投下)を迎えた彼らのツイートを見たとき、彼らの日々はこれからも続くのだということに気づき、この取り組みの目的でもある「原爆投下の後に続く生活」というテーマに納得した。過去の事実は絶対に変わらないけれど、こうして戦争を毎年思うことがどれだけ大切なことか知った。(東京・高校1年・女子)

    • 『NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」』(NHK総合)この番組の中でいちばん印象に残っているのが、絵とともに語られた原爆投下直後の風景だ。原爆はじわじわと人の心と体をむしばんでしまうことを物語っており、その非情さを鮮明に表していました。戦後75年を経て、戦争の悲劇さを自らの体験として次世代に伝えられる人が次第に減っている。それが途絶えたとしても私のように若い世代の人が語り継いでいけるようにしていきたいと強く思いました。(高知・高校3年・男子)

    • 『NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」』(NHK総合)近年、どんどん原爆を体験した人が亡くなっていかれる中で、このような番組はとても大切だと思う。あのようなことを二度と犯してはならないと当事者の方々は言う。しかし、当事者の方々も永遠に生きることはできない。そのような中で戦争、原爆の悲惨さを訴えるにはこのようにメディアが伝えていくしかないと思う。(千葉・中学1年・男子)

    • 『NHKスペシャル「証言と映像でつづる原爆投下・全記録」』(NHK総合)学校や自分で調べるだけでは知ることができなかった原爆投下までのアメリカ軍の流れや原爆投下後の様子を知ることができました。視点を日本、広島だけに絞らず、アメリカやソビエト側からも見られて、考えが一方向にならないのでいいなと思いました。初めて原爆によって亡くなられた方の写真を見て、血すら出ずに黒こげになって人間が死ぬことが現実に起こるのか、起こってしまったのかと、とても怖くなりました。当時の証言を語れる人が少なくなる中、このようにテレビで学べるのはとてもいいなと思いました。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『NHKスペシャル「沖縄 “出口なき”戦場~最後の1か月で何が~」』(NHK総合)太平洋戦争で起こった大規模な沖縄地上戦の最後の1か月に焦点を当て、米、日本両軍、民間人にインタビューしていてとてもリアルな戦争を伝えていて内容も重かった。インタビューの音声には「死」という言葉がかなり多く含まれていて、常に死と隣り合わせだったんだと思い、戦争の怖さを思い知った。(東京・高校1年・男子)

    • 『NHKスペシャル「沖縄 “出口なき”戦場~最後の1か月で何が~」』(NHK総合)番組を見ていちばんの感想は、「あぁ、私は戦争について何も知らないんだ」という後悔だった。当時の様子をそのまま放送しているところに嬉しさを感じた。いくら無残な死体でも、当時を知らない私たちは目に焼きつけ、少しでも戦争の怖さを知るべきだと思う。(東京・中学3年・女子)

    • 『ドラマ×マンガ「あとかたの街~12歳の少女が見た戦争~』(NHK-BSプレミアム)この番組を見て、いちばん最初に感じたのは独特な構成だなということです。普通のドラマかと思いきや、漫画が所々に入ってくるという初めて見る形式で、心が引き付けられました。俳優さんが演じることで躍動感が生まれるというドラマの良さもあり、映像が動かないことで、見ている人たちが自分自身の頭の中で映像を作り上げていくという漫画の良さもありました。戦争というテーマですが、難しくなってしまわないようにストレートに思いを伝える言い回しは、そのまま視聴者にも真っすぐ届いたように思います。(東京・高校1年・女子)

    • 『#あちこちのすずさん』(NHK総合)最初の若者へのインタビューであったように、自ら戦争経験者に聞くのはハードルが高く、聞きづらい事に共感でき、このような戦争のエピソードを見やすくアニメで放送するのは、いい番組構成だと思いました。僕の祖父母も沖縄戦の体験者ですが、こちら側から体験談を聞こうとすることには抵抗があり、同じような気持ちの人も多くいるのではないかと思いました。今は、コロナの影響で家にいる時間が長いのでアニメ番組で子どもが見やすいのでもっと早い時間で放送してもいいと思いました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 『NHKスペシャル「渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像~」』(NHK総合)戦争はビジネスだと思っている人もいたそうです。その話を聞いて、命をかけて戦争に行った人を、金を回すためだけに行かせたと思うと何とも言えない複雑な気持ちでした。(秋田・中学2年・男子)

    • 『にっぽん ぐるり「語りだす被爆建物」』(NHK総合)全体的にナレーションが少なくて見やすい。特に、被害に遭った建物を映すときにナレーションがなくて見やすかった。75年前の出来事で私たちには遠い昔の出来事に思えるが、「声のない叫び」が聞こえてくるような気がした。(宮城・中学1年・女子)

    • 『“ひめゆりの声”を届けたい~戦後75年 生まれ変わる資料館~』(NHK総合)新しくなったひめゆり平和祈念資料館がどのようにして新しくなったのかを紹介していました。学徒隊の方々が作った資料館は長い文章が多く、今の若い人たちには読む気が失せるなどという意見が来ていて、リニューアルで変える点の1つになっていました。長い文章を短めにし、イラストを増やすという案でそれなら分かりやすくて見やすいものになるなと思いました。戦争の事実を伝えるためにはどんどん時代に合わせた伝え方をする必要があるのだなと思いました。もし、この番組の続編となる番組が作られるなら資料館に来た人がどのようなことを思ったのかなどを紹介するコーナーが入ったら嬉しいなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『NHKスペシャル 選 ドラマ「東京裁判」』(NHK総合)戦時中の人々の苦悩などではなく戦争が終わった後の「戦争は犯罪であったのか」という問いに取り組んだ東京裁判にフォーカスされていたのでとても興味がわき視聴した。外国人の俳優の方々のセリフもすべて日本語で吹き替えられていたり、ナレーションで詳しく場面説明がされたりと、高校生の私でもとても理解しやすかった。教科書で静止画でしか見たことのない場面をリアルに見ることができた感じがして刺激的だった。こういう作品を学校で見ることができたら良いのに、と思った。(千葉・高校2年・女子)

    • 『“焼き場に立つ少年”を探して』(NHK Eテレ)この番組で取り上げられている“焼場に立つ少年”は、10歳位の男の子で、背中に亡くなってしまった弟か妹を背負ってその子の火葬を待っている。私にも弟がいるが、同じ状況に直面したとき、この少年のように泣くのをこらえているような、何かを耐えているような表情をしていることができるのだろうか、と考えた。そもそも私たちは死というものは遠いもので、あまり深く考えることは少ない。しかしこの時代の子どもたちは死をすぐそばに感じて生きていたのだと考えるととても切ない気持ちになる。この少年のように原爆で親を失い、子どもだけで生き抜いきた人の話も取り上げられていた。中には誹謗中傷に耐えられず自殺してしまった人もいると聞き、戦争が終わってもなお残る被害は大きいのだと感じた。依然として世界各国では地域紛争など、戦時中の日本のような現状が続いている国が少なくない。『焼場に立つ少年』の少年たちのような思いをする子どもがでないよう戦争をなくし、平和に過ごせるようにしていくことがこれからの世界を作っていく私たちの課題である。(長野・高校1年・女子)

    • 『終戦75年スペシャル』(TBSテレビ)2部に渡った編成で様々な体験をした女性をインタビューしていました。前半は女子高生と共にインタビューを見るという内容でした。コロナの影響もあって女子高生の人数が少なく、また、少し居心地が悪そうに見えました。私はもっと活発に意見交換ができるように、高校生はバーチャルで出演にしたり、ツイッターで意見を募集したりした方が良いのではないかと思いました。後半は綾瀬はるかさんがインタビューした内容で、私が印象に残ったのは、広島の原爆によって肌がただれてしまった女性の話でした。何度皮膚を移植しても以前のように戻ることはなく、その女性は綾瀬さんに「今あなたが美しくて嬉しい」と言っていたのが心に残りました。女性が美しくいられるのも平和があってのことなのだと気づきました。写真を手掛かりに丁寧に取材していて、責任をもって番組を作っているのが伝わってきました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『戦後75年特別番組 日能研presentsラジオドラマ「青空」』(TBSラジオ)戦争関連の話から目を背けてはいけないと分かっていつつも、自分から進んで番組を視聴することはなかったのですが、このドラマは動物の視点から描かれていて、難しく感じる部分がほとんどなく、登場人物が全員生きて終戦を迎えることができ、クスリと笑えるシーンもあって、子どもでも聞きやすかったです。ラジオドラマを聞くのは初めてでしたが、生きるために盗みをはたらくシーンや「人生20年」というセリフなど、ハッとさせられるところも多く、飽きずに集中することができました。改めて、戦争がない世界を大切に守っていかなければならないという思いが強くなりました。(宮城・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • 自分たちのような戦争を知らない世代がもっと戦争について知り、後世に伝えていく必要があると感じた。(長野・中学2年・男子)

    • 今年はコロナが大変で戦争に関する話題が薄れていたように思います。戦争に関する話を取り上げる機会を意識して作ってほしいです。(千葉・高校1年・女子)

    • 今年は終戦、原子爆弾投下から75年という節目の年なのに戦争に関連した内容の番組が少なすぎではないか?と思いました。原爆が投下された日にはもともとオリンピックが予定されていたので準備をしていなかったのかなとも思いましたが、もしそうであるならとてもやるせないです。(神奈川・高校2年・女子)

    • 75年という時による記憶の風化、また戦争体験者が高齢化により後世に伝える人が少なくなっているという実情に、新型コロナウイルスという新たな未知の災害が猛威を振るい、以前のような講演会を開けない状況が加わり更なる記憶の風化が起きてしまうのではないかという不安が大きくなっているということも伝えられていて、自分のような年代が戦争中の体験をした人たちからお話を聞ける最後の世代になるのかもしれないと思い、自分も息子などができた際には実際に聞いた話を後世に伝えていかなければならないという責任を改めて感じることができました。(茨城・高校3年・男子)

    • 外出がままならなくなった現在は、テレビの存在が今まで以上に重要で貴重な存在のように思えて、夏休みの今は、結構テレビを見ています。コロナで自宅待機が続いていますが、番組で、いろいろなスポットを紹介してくれたり、また生活が楽しくなるような情報を提供してくれたりするので、思ったほど不便さは感じません。さらに、いちばんの関心事のコロナに関する情報もテレビなしでは、あり得ません。それほどまでに、今の生活にテレビは必需品の1つになっています。(長崎・中学1年・女子)

    • 最近多くの番組が距離をとったりアクリル板を挟んだりしながらも元の撮影形態に戻ってきているように思います。感染者数が日に日に増えているこの状況の中で、対策を緩めて良いのかと少し心配があります。(東京・高校1年・女子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『さよなら!インターハイ ミキと高校生の“校内放送” 』(NHK総合)最後の大会がなくなるのはすごくつらくて悔しいだろうなぁと思いました。こんな時期だからこそできる企画で、今の高校生の思いを聞けたので良かったです。(山形・中学1年・女子)

    • 『さよなら!インターハイ ミキと高校生の“校内放送” 』(NHK総合)私もせっかくの高校生活なのに楽しみだった行事もなくなり、時間がどんどん過ぎていくだけで歯がゆさを感じていました。この番組のような高校生が声をあげる機会を作ることで、また前に向かっていける気持ちになれればいいなと思います。また、校内放送の形式がまるでラジオのようで楽しそうだなと思いました。(千葉・高校1年・女子)

    • 『さよなら!インターハイ ミキと高校生の“校内放送” 』(NHK総合)番組のコンセプト(何をしたいのか)がよく分からなかった。おそらく、中止になったインターハイに関して全国の高校生の思いを共有するような番組だと思うが、番組内では”校内放送”の舞台になった1つの高校(出演者の出身校)に関する話題が多く、その高校に向けるえこひいきのような印象を受けた。インターハイが中止になり、同じようにつらい思いをした全国の高校生はこれを見てどう思うのだろうか。(熊本・高校2年・男子)

    • 『音が出たら負け』(日本テレビ)見ているこちらも息を潜めてしまうほど音のない番組で、テレビなのに音がないなんて斬新で面白いな、と思いました。私も実際体験してみたいな、と思いました。(長野・高校1年・女子)

    • 『音が出たら負け』(日本テレビ)いつも旬な出演者や若い人に人気のインフルエンサーたちが出演するのでいつも楽しみにしている。(東京・高校1年・女子)

    • 『炎の体育会TVSP』(TBSテレビ)生放送の対決はとても見ごたえがありました。(長崎・高校2年・男子)

    • 『炎の体育会TVSP』(TBSテレビ)コロナの影響でプロ野球の試合数が減って地上波で野球を見ることが少なかったので、より一層楽しんで視聴できた。(千葉・高校2年・女子)

    • 『THE 名門校 全国すごい学校名鑑』(BSテレビ東京)都立日比谷高校の校長にカメラが密着し、どのような改革を行ったのかを取材していました。校長先生が自ら動いている姿や生徒さんが多く映っているところから親しみが感じられ、私のような若い世代にも見やすい作りがされていました。また、CMの前後で話題が切り替わるので、頭の切り替えもしやすかったです。CMの前と話題がつながっている時はその内容を忘れてしまうことが多いので、良い演出だなと思いました。(愛知・高校1年・女子)

    • 『BS1スペシャル「1945ひろしまタイムライン もし75年前にSNSがあったら」』(NHK-BS1)この番組の“高校生やスタッフさんが実際に被爆者の方の話を聞いてツイートを作っていく”という形に興味をそそられました。身近なSNSを通して戦争・原爆について考える機会があるということは、私など高校生に向けて特に意味のあることだと思いました。斬新で面白かったです。出演していた高校生たちが被爆者の方に「当時の気持ちがツイートで正しく再現されていない。行軍は憂うつだなんて思っていない」と言われた場面がありました。体験者にしか分かり得ないことがたくさんあるのだとわかりました。「実際に話を聞く」という行為で学ぶことはやはり大切で貴重だなと思いました。私事ですが、私の祖母は戦争体験者であるので、話を聞けるうちにたくさん聞いておこうと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『サンドのぼんやり~ぬTV』(東北放送)新しくなった東北放送の社屋を探検するという内容で、番組作りの裏側をのぞけたような気持ちになれて楽しかったです。今までも何度かこの番組を見たことがありますが、地元宮城の良いところや人と人との縁が大切にされていて、毎回心が温まります。(宮城・高校3年・女子)

9月のテーマは、「今年4月から9月までで最も印象に残った番組について」でした。「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」の欄も設けました。全部で27人から報告がありました。
「今年4月から9月までで最も印象に残った番組について」で複数のモニターから意見が寄せられたのは、『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)で、6人でした。それ以外のモニターは全員異なる番組を取り上げていました。
「自由記述」では、6人がコロナ禍での番組制作に関連した内容で記述していました。「リモート出演が減って嬉しい」という声がある一方で、「共演者同士、コロナをうつし合うのではないか」という心配の声がありました。また、「遠出しづらい中、旅番組で旅気分を味わい楽しんでいる」という声、「コロナで疲れた心を癒すような番組を作ってほしい」という放送局への要望もありました。そのほか、俳優の薬物所持・逮捕報道について考えをまとめたモニターもいました。
「青少年へのおすすめ番組」では、複数のモニターから意見が寄せられたのは4番組でした。『THE MUSIC DAY 2020』(日本テレビ)を7人が、『世界くらべてみたらSP』(TBSテレビ)と『もしもツアーズ』(フジテレビ)をそれぞれ3人が、『B面ベイビー!』(NHK Eテレ)をそれぞれ2人が取り上げていました。

◆委員の感想◆

  • 【今年4月から9月までで最も印象に残った番組について】

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)について、多くのモニターが報告してくれた。対照的な性格の2人が衝突しながら事件を解決していくようなバディものは刑事ドラマとかサスペンスではよくあるパターンだが、このドラマは1回1回の事件の深みがこれまでのドラマとは違っていた。今、現実に起こっていることが内容に取り入れられ、リアリティーがあり、社会的メッセージが大いに含まれていた。それが中高生にもしっかり届いていた。

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)について、あるモニターから「これまで報道で伝えられていても、自分の周りで起こっていることとしてリアルに感じられなかったことが、ドラマ上の脚色はあるとはいえ、きちんと認識できて、自分で調べてみようと思えました」という声が届いた。社会的な関心まで発掘したこのドラマは素晴らしい。

    • 『NHKスペシャル「豪雨災害 いま何が必要か~命を守る“避難スイッチ”~」』(NHK総合)を視聴したモニターが、自分も危険を感じたらすぐに行動して命を守ろうという強いメッセージを番組から受け取ったと感想を寄せた。若い人たちにとって、異常気象は自分たちの未来に関わる大きな問題だ。自分の問題として重く受け止め、この番組を見た人も多かったのではないか。

  • 【自由記述】

    • バラエティー番組の企画内容がどれも似通っているという指摘があった。「バラエティー番組なのだからバラエティーに富んだ番組をもっと見たいです」という意見をぜひ放送局に伝えたい。

    • ドラマやバラエティー番組などの続編を有料コンテンツで放送することに関して、モニターから「サイドストーリーならまだ分かるが、気になる終わり方をして続きは有料コンテンツでしか見られないということが多く、おかしい」という声が届いた。以前も同じような意見が来たと記憶している。テレビ局の事情はわかってはいるが、それでも、このように考える若い視聴者がいることをぜひ伝えたいと思った。

    • 「最近リモートではなくなってきた」「飲食店での撮影は密になることもある」など、最近のコロナ禍での番組の作り方からいろいろと感じ取っているモニターが多く、とても興味深い。

◆モニターからの報告◆

  • 【今年4月から9月までで最も印象に残った番組について】

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)第10話でSNSの脅威が鮮やかに描き出されていた。1人の人物が多数のアカウントでフェイクの動画をアップしたことで、街中の人がその内容を信じ込んでしまう様子が描かれていた。多少の脚色はあるにしろ、私たちが今このような世の中で生きているということに恐怖を感じた。(東京・中学3年・女子)

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)最後まで展開が予想できず、見入ってしまった。俳優の演技も狂気に満ちあふれていて、怖さを生み出し、作品の世界観に浸ってしまった。また、最後も完ぺきなハッピーエンドにしないところが面白いと思った。バッドエンドだと悲しく、ハッピーエンドすぎるとふに落ちず、その中間をとったのがいいと思った。(東京・高校1年・男子)

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)大ヒットした『アンナチュラル』と『逃げ恥』のスタッフがいるという安心感から見る人も多かっただろうなと思う。なんのドラマを見ようか、という時に裏方の人たちで選ぶことがないので、今度からチェックしてみようと思う。(東京・高校1年・女子)

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)あまり身近ではない初動捜査に全力をささげる機動捜査隊の様子が(おそらく)とてもリアルに描かれていて臨場感があり、見ていて引き込まれてしまった。当初の予定より数話分少なくなったそうだが、最終話に向けて決して詰め込んだ感もなく、最終話で主演の2人がマスク姿で登場した時(今のコロナ禍の日本と同じ世界)は、今までコロナ情勢を盛り込んだ作品を見たことがなかったので意外性に驚いた。続編を期待したい。(千葉・高校2年・女子)

    • 『金曜ドラマ「MIU404」』(TBSテレビ)在日外国人の技能実習生の問題を扱っていたことがとても印象に残りました。これまで技能実習生をめぐって、パワハラや長時間勤務などの問題が報道されていましたが、自分の身の回りで起こっていること、という認識があまりできていませんでした。ドラマ上の脚色も少しはあるかもしれませんが、ドラマとして今起きている問題を認識できると、ニュースで知るより関心が湧き、自分で調べてみようと思えました。(神奈川・高校2年・女子)

    • 『NHKスペシャル「豪雨災害 いま何が必要か~命を守る“避難スイッチ”~」』(NHK総合)今まで19回避難して、20回目の避難で家屋の土砂崩れから逃れたという人の話しがあり、ずっと「空振り」だったけど、それは20回目の避難のための「素振り」だったのだと紹介されていました。19回は「本番に向けての素振り」という表現に、私は無駄なことはないのだなと思い、自分も少しでも危険を感じたら、自分の命を守るための最大の努力をしようと思いました。集中豪雨の原因である「地球温暖化」の原因は、地球に住んでいる人間の生活活動によって生じる様々なものが原因と言われており、結局は、自分達人間が災害という形で、しっぺ返しをされているのかもと感じました。地球にも優しい生活様式に変えることが、自分自身の生活や命を守ることに通じるのではと、この番組を見て思いました。(長崎・中学1年・女子)

    • 『駅・空港・街角ピアノ スペシャル』(NHK総合)“音楽とは何か”自分はこれまで吹奏楽部の1人のメンバーとして音楽に携わってきましたが、この答えが出せないまま高校3年まで部活をやってきました。そんな時に偶然この番組の番宣を見かけ録画して見ることにしました。この映像を見て自分は音楽とは目には見えない人と人との絆をつなぐもの、自分の気持ちや思いをその曲を通じて伝える手紙のようなものなのではないのかと考えました。自分もこれからも、高校3年生になり吹奏楽部という部活動を引退した後も、どこかで音楽を通じて人を笑顔にさせたり、励ましたりできるようにしたいと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • 『クローズアップ現代+「新型コロナ 元感染者たちの告白」』(NHK総合)なぜこの番組が最も印象に残ったのかというと、コロナがインフルエンザのように1、2週間で回復する病気ではなかったことに気づかせてくれた大きな契機となったからです。これを知るまでは、新型コロナウイルスにはインフルエンザと同様、健康な方にはその後の体調不良は見られないのではないか、と考えていました。しかし現実はそうではなく、元感染者の3割近くが回復後もいまだに苦しみ続けている人がいることを知り、これからもコロナと共存していかなければいけない私たちにとって知らなければいけない情報だと感じました。(この番組が放送された)6月から約3か月が経ち、現在ではワイドショーを中心にもはや、コロナに関する報道が少なくなっています。(高知・高校3年・男子)

    • 『ソーイング・ビー』(NHK Eテレ)コンテスト出場者が作品を作っているところを映しているだけでなく、その課題の洋服などの歴史を紹介していたり、個人で作る作品を決める時にその出場者がどんなドレスを作っていくのかを図で説明していたりしていてとても分かりやすいです。日本のコンテスト番組ではあまり見ないような部分も多く、海外の番組とは違いが多いのだと思いました。違った点でいうと、ゲスト(モデルや身内)が多く登場したり、司会者と審査員と出場者の距離が近かったり、出場者が審査結果を待つ間のお茶の様子を映していたりしていたという点。日本にはこのような番組があまり多くないので、たまにはこのような番組参加出場者が少なく、長期間に及ぶコンテスト番組をもっとやってもいいような気がしました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『ファインド・ミー~パリでタイムトラベル~』(NHK Eテレ)毎週リアルタイムで見るほど楽しみにしている番組です。登場人物それぞれに家庭の事情や対人関係などに問題を抱えており、その悩むさまがとてもリアルで、登場人物と年代が重なることもあり毎回共感したり、深く考えさせられたりします。どの登場人物にも共感できるところ、欠点があるので、とても感情移入しやすいところも良いところの1つだと思います。こういったティーン向けのドラマは日本ではあまり制作されない印象があるので、とても貴重な枠だと思います。夜の時間帯に放送されているドラマも面白いのですが、もっと若い人に向けたメッセージ性のあるドラマが増えてもいいのではないかなと思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 『報道特集』(TBSテレビ)特集で、公演再開までの東京都交響楽団の取り組み等が紹介されていた。私はこのコーナーを見て驚いたことがいくつかある。1つ目は、楽器ごとの飛沫についての実験結果だ。2つ目は楽器の特性や飛沫実験の結果によって舞台上での感染防止策(アクリル板など)を変えていたということだ。私はすべての奏者の横や前、後ろを仕切ったり距離を取ったりする必要があると考えていた。しかし、もちろん基礎的なものは必要だが、実際にはすべての楽器の前に、すべての角度にアクリル板を置く必要はないし、距離も飛沫の飛びやすさによって調整していた。楽器にも様々な特性があるから一律に定められた距離を取っておけばいいというわけではないのだなと思った。(東京・高校1年・女子)

    • 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)今回のテーマである「動く」にとても共感できました。何もしなければ何も変わらない、だからこそ今できることから始めてみようというのは素晴らしいことだと思いました。コロナウイルスの影響で直接会って何かをするということはできないけれど、離れた場所であってもこうして誰かを元気づけることができるというのは今いちばん必要なことなのではないかと感じ、それを視聴者に届けた24時間テレビが最も印象に残っています。(東京・高校1年・女子)

    • 『木曜ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」』(テレビ朝日/秋田朝日放送)たまにほかの作品とのコラボがあり、とても面白く、ほかの作品を見てみたくなるような工夫がされていると思いました。(秋田・中学2年・男子)

    • 『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ)塾から疲れて帰ってきてこの番組をうだうだと見るのを楽しみにしています。私がひかれるポイントは、占われる人の様々な人生や経験が見えるところだと思います。占い師の聞き上手話し上手の展開の仕方が聞いているだけで面白いし、言い当てるところは驚きや快感で、見るのが癖になります。言い当てられた過去のつらい出来事も、それで終わりではなくて、占い師にアドバイスをもらいながら自分の内面と向き合って、これからどうしていくかを考えるので、1人1人の話に深みがあるし、人間って面白いなぁと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 『夕方LIVE ゲツキン!』(熊本放送)平日18時台に放送されている報道番組の拡大版で、4日前に熊本で発生した豪雨災害に関連した報道特別番組。中盤では、災害発生前日に取材した映像を発生後の同じ場所の映像と合わせて放送されました。たった一晩の雨でここまで街が変わるんだと、かなりの衝撃を覚えました。その映像には出演の方(被災地域出身)も衝撃だったのか、放送中に涙を流されていて今でも強く印象に残っています。ただ、被災地の今の状況や発災後のドキュメント、かつてのダム建設計画の話題など、被災者以外に現状を伝える分にはとても充実した内容でしたが、被災者に必要なライフライン情報や、ボランティアの情報などが全体的に少ない印象でした。私は実際に被災した身ではないのでわかりませんが、発災4日ではまだそういった情報も必要なのかなとも思いました。(熊本・高校2年・男子)

  • 【自由記述】

    • 最近、テレビで「〇〇できたら100万円!」という企画が多いなと感じます。お金だけではなく、もっと違う方法で出演者に対して褒美を与えた方が新鮮味があって面白いのではないかと思います。バラエティー番組なのだから、バラエティーに富んだ番組がもっと見たいです。(愛知・中学2年・女子)

    • ずっと嫌だなと思っていたことがあり、それはドラマやバラエティー番組などの続編を有料コンテンツで放送することです。サイドストーリーならまだ分かるのですが、わざと続きが気になる終わり方をして、続きは有料でしか見られないということが多々あり、その部分はテレビと有料コンテンツできっちり分けなければいけないのではないかと感じています。(東京・高校1年・女子)

    • 飲食店などでのロケが増えてきたが、密を避けるために出演者同士が距離をあけているのは良いが、とても場を回すのがつらそうに見えてしまう。(千葉・高校2年・女子)

    • 各局が密を避けて収録をされていますが、結局何かの弾みで近くにいることもよく見かけるので、見ていて不安になりました。特に、番組の司会で共演をされていたお笑い芸人の方とアナウンサーが新型コロナウイルスにかかったニュースは、感染が共演によるものなのかは分わかりませんが、テレビ収録は危ないのだろうと、より感じました。(東京・高校2年・女子)

    • 最近バラエティー番組などで、リモートや電話での出演が少なくなって嬉しいです。同じスタジオでトークをしている方が面白いし、いいなぁと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • あまり外出できない状況なので、町を探索する番組やご当地グルメを紹介する番組を視聴して旅行気分を味わっています。マスクを着用しての撮影や中継を活用しての町の人たちとの関わりなど、どの番組も安全に工夫しているため安心して見られるし、改めて日本のことをより知ることができて楽しいと思います。(宮城・高校3年・女子)

    • コロナについて、最近はもうみんな慣れてきて騒ぎも落ち着いたと思います。でも、やっぱりどこかで疲れや心の負担を感じている人は多いと思います。テレビでリフレッシュや、心のケアができればいいなと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • 学校でのコロナの話題は薄くなりいつも通りの生活が戻ってきました。もっぱら学校での話題は受験勉強や推薦入試など自分たちの将来に関する話がとても多くなりました。ですが、これから冬になるにつれてインフルエンザやコロナウイルスの再拡大などまた気を付けなくてはいけない日々が待っているのだろうなという不安も学校の中では出てきています。(茨城・高校3年・男子)

    • 芸能人が麻薬で逮捕され、ニュースも多く流れましたが、麻薬の恐ろしさをあまり伝えていないような気がします。本当に必要なことを今注目している時こそ伝えるべきだと思います。(東京・高校1年・男子)

    • 母から、最近は緊急性のないものも速報としてテレビに流れることが多いという話を聞きました。コロナウイルスの感染者数が速報として流れることがあるが、それはニュース番組で報道すればいいのではと言っていました。私も速報が流れてテレビに飛びつくと政治関連の緊急性のない内容であきれた経験があります。緊急性のない内容を速報として流すことは「速報」の価値を落とすことにつながるので不適切ではないかと思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ)芸能人が小学校で習う問題に挑戦する番組で最終問題に挑戦せずにドロップアウトした場合に「わたしは小学5年生より賢くありません」と言うルールがあると知った。このようなルールは小さな子がみた時に誤解しかねないのでやめたほうがよい。せめて、賞金をドロップアウトする場合も問題を解くことはできるようにした方がよい。(千葉・中学1年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『THE MUSIC DAY 2020』(日本テレビ)いろいろなジャンルの曲をグループでまとめて分かりやすくしていると思いました。幅広い年代にもわかるようなたくさんのジャンルがあったと思いました。(秋田・中学2年・男子)

    • 『THE MUSIC DAY 2020』(日本テレビ)8時間の音楽番組を放送してくれて嬉しかった。生放送で元気をもらった。(長崎・高校2年・男子)

    • 『世界くらべてみたらSP』(TBSテレビ)「世界の様々な国の人に同じ質問をすればどう返ってくる?」というとてもシンプルなテーマだけれども、意外と手間がかかる番組だと思いました。様々な国出身の外国人ゲストが出ていて、企画の結果がどうしてこうなったのかを考察を交えながら説明していて、より企画がわかりやすく頭に入ってくるなと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 『もしもツアーズ』(フジテレビ)横須賀はよく行っていた場所だったので、番組を見てまた行きたくなった。家族が家にいて夕食を食べている時間帯でもあるので、家族で楽しめる場所を紹介するのはかなりいいんじゃないかなと思った。(東京・高校1年・男子)

    • 『B面ベイビー!』(NHK Eテレ)ファンの視点から魅力が分かりやすく解説されていて、興味を持てました。出演者同士のトークの場面では、教室やタクシー車内など背景がかわいくて、自分も同じ空間にいるかのような感覚になれました。(宮城・高校3年・女子)

調査研究について

担当の中橋雄委員より、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、進捗状況について報告がありました。

以上

2020年9月に視聴者から寄せられた意見

2020年9月に視聴者から寄せられた意見

首相の辞任表明を受けた自民党総裁選、飲酒運転で逮捕された元タレントや亡くなった女優を取り上げた番組等への意見が多かった。

2020年9月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,706件で、先月と比較して202件減少した。
意見のアクセス方法の割合は、メール78%、電話20%、郵便1%、FAX1%。
男女別は男性52%、女性28%で、世代別では40歳代27%、30歳代24%、50歳代21%、20歳代13%、60歳以上13%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は延べ897件【59局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、24件を会員社に送信した。

意見概要

番組全般にわたる意見

首相の辞任表明を受けた自民党総裁選について報じた番組への意見が多く寄せられた。そのほか、飲酒運転で逮捕された元タレントや亡くなった女優を取り上げたワイドショーへの意見も多かった。
ラジオに関する意見は65件、CMについては32件あった。

青少年に関する意見

9月中に青少年委員会に寄せられた意見は109件で、前月から19件増加した。
今月は「表現・演出」が24件、「低俗、モラル」が17件、「その他」が16件、「危険行為」が14件と続いた。

意見抜粋

番組全般

【取材・報道のあり方】

  • 新型コロナの報道のあり方について。各放送局の定時ニュースでは、ほとんどの場合、新規感染者の増加数しか報道しない。なぜ完治した人の数を同時に伝えないのか。「今日も感染者が200人を超えました」などのセンセーショナルな表現で、視聴者の不安をあおるだけでいいのだろうか。これだけ聞いていると、いかにも新規の感染者だけがどんどん増えているような印象を与える。不安をあおるだけではなく、真の状況を視聴者が冷静に理解し易いように伝えるのが、メディアの役割ではないのだろうか。

  • 最近の報道番組を見ていると、どの局も同じ話題ばかり。新型コロナが流行すればコロナばかり、台風が来れば台風ばかり、それも首都圏への影響があればすぐに地方を切り捨て、首都圏の情報ばかりだ。偏った意見に集約され、多様な意見は発信しない。自民党総裁選にしても、すでに決定しているような報道が相次いでいる。しばらくしたら一斉に批判するのだろう。報道は世論を形成する。もっと責任を持って、多様な意見を広く伝えてほしい。若い世代は、インターネットでその他の情報を得ることもできるが、それには偏った考え方の場合もある。マスコミ報道以外に情報を取得できる手段を持たない人たちも大勢いることを認識し、制作、発信にあたってほしい。

  • 自民党総裁選について、メディアはひたすら状況を伝えるだけで、前政権がやり残したことへの追及すべき問題について、候補者に聞き、視聴者に伝える姿勢が全く感じられない。一般市民に総裁選の投票権は無い。派閥の駆け引きなど伝えてもらっても無駄なこと。「もう新総裁は決まり」的な雰囲気でまとめている。それよりも、今後取り組むべきことを忖度なく視聴者に伝えたほうがいい。

【番組全般・その他】

  • 台風10号に関して、気象庁のコメントを再三報じているが、あまりにもお粗末だ。「経験したことのない強い台風」「特別警報を発する可能性」「最大限の警戒」など、可能性ではなく、もっと現実に即して、いつ警報を出すのか、台風の経路に予想される住民がどう対応すべきかについて放送してほしい。

  • 緊急ニュースの各大臣の入閣速報が迷惑。数分おきに速報を鳴らし、その度に大臣の話。全く緊急性が感じられない。台風や洪水で、避難の遅れる人たちが出るのは、日頃からどうでもいい速報を流しているからではないか。

  • わざわざニュース速報で、「○○氏が再任」や「○○氏が初入閣へ」と、音付きで何度も速報を流す必要はないと思う。速報は、大雨特別警報など、本当に特別な時だけ流すべきだ。

  • 閉園した遊園地の最後の日にスポットを当てていた。そこには、コロナ禍で迎えた最後の日に、マスクもせずに楽しそうに騒いでいる来園客の姿があった。中高年を中心に、多くの人たちが自らの人生と重ね合わせて閉園を惜しむ姿を描きたかったのかもしれないが、今や人の集まるところでマスクをつけることは常識だ。世の中とのギャップが大きく、違和感があった。

  • 飲酒運転による追突事故を起こした元タレントについて、各局で過去の映像や事象を引き合いに出し、実名・顔出しでの報道を行っている。事故を報じるのは致し方ないとしても、芸能界を引退し、一般人として生活している人への配慮がされていない。ましてや、過去に不起訴になった件や離婚理由について、関連付けて報道するのはいかがなものか。日々、飲酒運転による交通事故が発生している中、交通事故の加害者を実名・顔出しでは報じていない。彼が元芸能人であったことを考慮しても、過去の件を持ち出しての報道は、人権を侵害しているように感じる。

  • 元タレントの逮捕報道について。有名芸能人だったからといって、「○○さん」という呼び方はいかがなものか。あくまで違法行為をして逮捕されたのだから、きちんと一般人と同じように「○○容疑者」の呼び方で報道したほうがいい。報道は公平中立の立場であらねばならない。それをしっかり踏まえてほしい。

  • 亡くなった女優について。各メディアに言えることだが、自殺と思われる報道は慎重になる必要がある。コロナ禍などで不安定な社会、芸能に携わる人たちの自死が相次ぐ中、なおさらそれが当てはまると思う。彼女が訪れていた寿司店へのインタビューでは、店員からの「微笑みがなかった」や「楽しそうではなかった」という証言が引き出されていたが、プライバシーは一体どこにあるのか。これを報じることで、自殺の抑止になるなど、社会に良い影響があるのだろうか。こうした報道のされ方が、芸能界をはじめとする様々な業界にストレスを与え、さらなる悲劇を生むことになるのではないかと危惧している。自殺を取り扱うすべての番組に、もう少し配慮が必要だと思う。

  • 日曜昼の傑作選は、芸人が大量の麺類や超激辛ライスを食べる企画。料理に使用された唐辛子や香辛料は常識を超えている。芸人たちは涙を流しながら無理やり口に運ぶ。食事を堪能する表情は全くなく、どう見ても苦行を強いられている。人間が一度に食事を摂る量には限界があり、胃破裂を引き起こす可能性が高く、医学的に危険である。食品ロス問題が叫ばれる昨今、大量の残飯を生み出すなど時代に逆行した企画で、不快感しか残らない。

  • 見たくない、見せたくない暴力的な映像が流れることがあり、子ども達への影響を懸念している。先日も、朝、テレビをつけると、タクシー車内で運転手が殴られるドライブレコーダーの映像が流れていて、子どもが大変怖がっていた。心理的な影響や、これらの暴力的な映像が常態化して、何とも思わない、当たり前の風景になってしまうのではないか。視聴者からの映像を入手する簡易さと、センセーショナルな映像による視聴率の追求が相まってなのか、近頃、暴力的な映像が垂れ流しされているように感じる。放送による影響を考慮し、人が被害を受けている映像を見ても平気でいられる人間を育てないよう、配慮してもらいたい。

青少年に関する意見

【「低俗、モラルに反する」との意見】

  • 音楽番組で昭和60年代のヒット曲を歌っていたが、歌詞の内容が未成年者の性行為を想起させ卑わいで下品だった。発売当時は世間が大きな問題意識を持っていなかったと思うが、いまこの曲を子どもも見ているゴールデンタイムで放送したのは残念だ。

【「危険行為」に関する意見】

  • ドッキリを仕掛けるバラエティー番組で、手指消毒液の入れ物から熱したゴマ油が噴出。熱さに困惑していると、さらに熱したゴマ油を掛けるという企画をやっていた。加熱した油は危険だ。子どもが平気だと思って料理中に近づいてきたり、マネをしていじめに使ったら恐ろしい。

【「報道・情報」に関する意見】

  • 子どもの通う小学校の児童一人がコロナの陽性となり、休校となった。これについて朝の情報番組で、学校名と校舎を外から撮った映像が放送されたが、その必要はあるのか。特定する報道の仕方は、コロナ差別やクレームを助長するのではないか。

  • 著名人の自殺に関する報道を控えてほしい。悩みを持つ人々に対して刺激となりかねない。思春期の若者の自殺は、もっとも危惧される死因の一つになっている。

【「暴力・殺人・残虐シーン」に関する意見】

  • バラエティー番組の動画を紹介するコーナーで、人が車にはねられたり、銃で撃たれて苦しんだりする様子がモザイクなしで放送されていた。人が死んだわけではないという判断で放送したのかもしれないが、子どもが見てもおかしくない時間帯で普通に流されることに驚いた。もう少し子どもたちに配慮して頂きたい。

【「その他」に関する意見】

  • 子ども向けアニメ番組放送中に、有名人が自殺したニュース速報テロップが表示され、子どもたちが怯えていた。速報性も大事だとは思うが、アニメ番組であることやニュースの内容を考えると、速報テロップの出し方に子どもへの配慮がほしかった。