2021年1月に視聴者から寄せられた意見
新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。
2021年1月にメール・電話・FAX・郵便でBPOに寄せられた意見は1,797件で、先月と比較して399件増加した。
意見のアクセス方法の割合は、メール98%、電話0%、郵便1%、FAX1%(※電話は今月休止)。
男女別は男性49%、女性24%で、世代別では40歳代28%、30歳代24%、50歳代21%、20歳代14%、60歳以上11%、10歳代2%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該放送局のBPO連絡責任者に「視聴者意見」として通知。1月の通知数は延べ1,146件【54局】だった。
このほか、放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、25件を会員社に送信した。
意見概要
番組全般にわたる意見
新型コロナの感染拡大で、昨年4月に続いて2度目の緊急事態宣言が出されたが、それを報じた番組への意見が多く寄せられた。また、テレビ出演者のマスク着用に関する意見も多く寄せられた。ラジオに関する意見は70件、CMについては15件あった。
青少年に関する意見
1月中に青少年委員会に寄せられた意見は139件で、前月から51件増加した。
今月は「表現・演出」が45件、「低俗、モラル」が39件、「その他」が13件、「差別・偏見」が11件、「いじめ・虐待」が6件と続いた。
意見抜粋
番組全般
【取材・報道のあり方】
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テレビでは、感染防止策として、手洗い、うがい、マスクの着用を連呼しているが、伝えているアナウンサーやタレントが、誰もマスクをしていない。これは、マスク着用は報道に関係しない人達のみが必要で、報道する側は必要ないとの見解からなのか。声高に叫んでいる人間がマスクをせず、いかにも物知り顔で発言するのはいかがなものかと思う。
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コロナ禍におけるアナウンサーやコメンテーターの発言は、全体的に政府の責任を追及する傾向にあるが、見るのが辛くなってきた。政府の頼りなさや見通しの甘さは確かにあるが、今、この災難の中で、マスコミがこぞってマイナス思考の情報や個人的意見を流していている場合だろうか。どの番組を見ても右向け右。マスコミには日本全国に声を届けることができる力、大勢に影響を及ぼす力がある。もっとウイルス感染について学び、その怖さを根気強く伝え、「人が動かなければ感染は収束に向かう」「ウイルスは人を介して感染する」「ウイルス単独では飛び回らない」など、基本的なことなどを前向きに発信して、国民の意識をリードすることが可能である。今こそマスコミの力を発揮すべき時。政府の批判はコロナ収束の後でもできる。
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新型コロナ関連の報道について、日本医師会会長の会見を多くの番組で報じているが、総理大臣の会見並みの扱いは、行き過ぎと感じる。医師会は一業界団体に過ぎないのに、公的機関であるかのような扱いは、視聴者に誤解を与えている。また、各メディアが同じ人物を繰り返し登場させることで、医師会の宣伝放送のようになっている。放送における諸団体については、その出自や成り立ち、構成員の選出方法、資金源など、利益構造を明らかにして視聴者に誤解のないよう配慮するべきである。
【番組全般・その他】
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年始の特番を見た。収録時期がいつなのか不明ではあるが、コロナ対策が不十分であった。ハイタッチやハグといった密着行為、審査発表までの控室という密閉空間では、座席の距離がなく、密接していた。さらに、大声で話しているのにフェイスシールドすらしていない。陽性者がたくさん出ているのに、ソーシャルディスタンスを取らないのはいかがなものか。もっと感染症対策を取ることができたのではないかと感じた。
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人気タレントの扱いについて。土曜日の番組は気軽な散歩企画なのに、かなり前から事前予約が必要な超高級店で食事をすることが多い。夏休みの特番ではハワイでの豪遊三昧、冬休みの特番でも沖縄での豪遊と、いずれも番組で高額なお金を使い、ただ彼に贅沢をさせ、大騒ぎしているだけだ。番組としてこれで良いのかという印象がある。人気のあるタレントを接待、忖度するだけになっている。特定の人に毎回贅沢や豪遊をさせるのではなく、また、私物化のようなお金の使い方をするのではなく、公共的でバランスの良い番組制作を願いたい。
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コロナ感染拡大防止の指針として、マスク着用があるのに、テレビでは全然マスクをしていない。「感染対策をしてください」という人が、やってないのでは説得力がない。ロケでは、感染対策に何の効果もないマウスシールドを多用している。アクリル板も体裁だけのように見える。最近はさらに緩んでいる番組が多くなったようで、見ていて腹が立つ。これでは視聴者に、「こんな感染対策でいい」と誤解されても仕方ないと思う。
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フェイスシールド、マウスシールドは、飛沫拡散防止効果がほとんどないと言われているのに、ロケ番組での多用が目に余る。感染防止策の徹底が叫ばれている今、影響力のあるテレビ放送が、不織布マスクをせずに喋る行為を垂れ流す事は、ニュース番組で協力を呼び掛け、不適切な行動を批判するのと矛盾している。まず、メディアが自ら範を垂れるべきではないか。また、前回の緊急事態宣言時に比べ、リモート出演が少なく感じる。政府の対策が緩いと批判するなら、メディアが率先して前回並みの自粛行動を取り、国民に訴えたら良いのではないか。
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楽観主義の人は、悲観主義の人より10年長生きするという統計がある。コロナ感染者の数字も、楽観的に伝えたらどうなのだろう。例えば、「今日も何とか医療破綻を回避できました」「感染者は○○人台で収まっています」「重症者の多くは順調に回復しています」「皆さんのご協力のおかげです」などとしてはどうか。呼吸が楽になりそうな気がしないか。
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コロナ報道は、なぜ偏った内容や国への批判しかしないのか。コメンテーターも素人で、誰でもテレビや新聞を読んでいれば発言しそうなことをとくとくと語る。内容によっては素人目線で、スタジオで語るのも良い場合もあるが、人の生死や国の政策に関わることは、かえって無用の混乱と不安をもたらす。しかも司会者やコメンテーターが言っていることがどんどん変わっても、誰も指摘しないことを良いことに言いたい放題。専門家も番組に合った人を選別しているのだろうと思える。映像はネットで拾い、街頭インタビューもやる意味がない内容を単純に言わせている。その結果、発言や撮影を切り取られて放送された、やらせではないかという疑惑が常につきまとう。VTRも使い回しているのではないかと思えるようなものを無神経に流す。今の時代、映像の捏造もインタビュー受ける人の発言も作り替えるのは簡単。それを承知で調べることも手を抜いて放送して、間違っても簡単にアナウンサーが訂正して終わる。国会議員も人間なら原稿を読むのも人間。議員もテレビ局も人に影響を与えることで言えば、心して報道番組を制作してもらいたい。
青少年に関する意見
【「表現・演出」に関する意見】
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学校に常駐する警察官を主人公にしたドラマを見て驚いた。非行や犯罪は許されないが、生徒を投げ飛ばす、手錠を掛けるなどやり過ぎではないか。目標に向かって勉強や部活に取り組む学園ドラマならいいのだが。
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謎の感染症が蔓延し、感染した屍が人間を襲うという設定のドラマで、屍の描写が生々しく青少年には健全と言えず悪影響だ。またコロナウイルスが蔓延する中、感染症で屍になるというテーマは人々を不安に陥れるのではないか。
【「低俗、モラル反する」との意見】
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夕方の時間帯に車内で家族とラジオを聴いていたら下ネタの多い番組をやっていた。夜中なら問題ないだろうが、この時間帯に流すのはいかがなものか。小学生の子どもがいてヒヤヒヤしてしまった。時間帯を変えるなどしてほしい。
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演芸番組に若い女優がゲストとして出ていた。ネタのやり取りの中で、落語家が女優に“胸を見せて”など冗談の枠を超えたセクハラをしていた。女優は冷静に対応していたが、気持ちよく笑えるものではなかった。
【「喫煙・飲酒」に関する意見】
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バラエティー番組で、高級ワインと安価なワインを当てるゲームをやっていた。解答者の一人は未成年だったため、ワインの匂いを嗅がせてどちらか決めさせていた。法律違反をしてはいないが、未成年にお酒の匂いだけでも勧める行為はいかがなものか。