放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第155回

第155回–2020年12月

フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』を審議
1月にも委員会決定を通知・公表へ

第155回放送倫理検証委員会は12月11日に開催された。
委員会が4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が6月30日に通知・公表した琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
委員会が9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
出場者の人数が不足した場合、解答権のないエキストラを番組に参加させて欠員補填したとして審議入りした、フジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、担当委員から意見書の修正案が再度示された。意見交換の結果、大筋で了解が得られたため、1月にも当該放送局への通知と公表を行うことになった。
データの一部が架空入力された世論調査結果を基にした放送が18回にわたり行われたとして審議入りしたフジテレビのニュース番組について、担当委員から意見書の修正案が示され、意見交換を行った。

1. 北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見への対応報告を了承

4月8日に通知・公表した北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見(委員会決定第35号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
対応報告は、通常、通知・公表後3か月をめどに提出されるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で当該局研修の日程が大幅に延期されたため、この時期の提出となった。
報告書には、委員会決定を受けて、全社員・スタッフにその内容を周知したほか、報道制作現場に対してアンケートを実施し、意見書の内容に関する受け止め方を確認したこと、委員会からの問題指摘後すぐに「選挙報道マニュアルの策定」を行うとともに、「報道ゼミナールの定期開催」「編集主幹を新設、メンター制導入などの組織の改善」などの再発防止への取り組みを決め実践していることなどが記されている。
委員からは、「事前に現場アンケートや社内に設けられた検証委員会の報告書に目を通して勉強会に臨んだ。出席者の感想を見ると委員会の思いが伝わっていると感じた」「簡潔にまとめられた報告書ではあるが、局内で十分に議論され、率直な意見交換も行われて再発防止に向けた取り組みを深めている様子がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北海道放送の対応報告書は、こちら。

2. 北日本放送「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」への対応報告を了承

6月30日に通知・公表した「琉球朝日放送と北日本放送の単発番組に関する意見」(委員会決定第36号)への対応報告が当該放送局である北日本放送から書面で提出された。
報告書には、問題が指摘された後、直ちに番組検証チームを立ち上げて関係者から聞き取った内容を検証し報告書にまとめ、営業活動における放送倫理研修会を自主開催したこと、関係部局が協議して営業系番組の取り扱いルールを明文化したことなどが記されている。また、委員会決定を受けて、機構改革を行い編成業務局内に考査部を新設したこと、検証委員会委員を招いて研修会を開催したことなどが記されている。
委員からは、「何が問題であり、なぜそうなったのかという観点からしっかりと検証した上で、今後の対応策についても極めて明確な方針を出しており、高く評価できる報告書である」「意見書の趣旨をきちんと受け止めている。放送倫理に対する意識の希薄さがあったことを率直に受け止め、再発防止に努める決意がうかがわれる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
北日本放送の対応報告書は、こちら。

3. テレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見への対応報告を了承

9月2日に通知・公表したテレビ朝日『スーパーJチャンネル』「業務用スーパー」企画に関する意見(委員会決定第38号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の内容を社内に周知徹底した上で、社内横断的な「放送倫理関連会議」で議論を行い、報道局以外の番組でも同種の事案の発生がないよう問題意識の全社的な浸透を図ったこと、再発防止勉強会や検証委員会の委員を招いて研修会を開催したことが記されている。また再発防止への取り組みとして、スタッフへの指導と環境づくりを行う「放送倫理を遵守するための対策」と、放送前に問題点を洗い出し修正する「放送倫理違反を防ぐための水際対策」を行ってきたことなどが報告されている。
委員からは、「研修会では活発な議論ができた。また再発防止策も大事なポイントを具体的に押さえている」「再発防止策がこの形で実施されるならば、今後は同様の問題が起きないことが期待できる」などの意見が出され、適切な対応がなされているとして、委員会として報告を了承し、公表することにした。
テレビ朝日の対応報告書は、こちら。

4. 解答権のないエキストラで欠員補填していたフジテレビのクイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について審議

フジテレビは4月3日、クイズバラエティー番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』について、100人の出場者を集めて収録すべきところ、人数が不足した場合、解答権のないエキストラで欠員補填して番組に参加させ、「番組が標榜している『1人対99人』というコンセプトを逸脱し、視聴者の信頼を損なう形となっていた」と、番組ホームページ上で公表した。
5月の委員会において、レギュラー番組として放送された第1回(2018年10月20日放送)から第25回(2019年10月26日放送)までについて、放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
前回までの議論を受けて担当委員から再度示された意見書の修正案について意見交換が行われ、大筋で合意が得られたため、表現などについて一部手直しの上、1月にも当該放送局へ通知して公表することになった。

5. データの一部が架空入力された世論調査結果を放送したフジテレビの一連のニュース番組について審議

フジテレビは、6月19日、昨年5月から今年5月まで14回にわたり行った世論調査「FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞 合同世論調査」のデータの一部に架空入力があったため、調査結果と関連する合計18回の放送を取り消し、世論調査は確実な調査方法が確認できるまで休止すると発表した。
フジテレビの報告書によれば、電話調査を委託した会社の再委託先の会社の社員が、全サンプルの12.9%に当たる1886サンプルについて、実際には電話をしていないにもかかわらず、架電済のサンプルの属性と回答内容の一部を変えた架空データを作成したとしている。フジテレビは架空のデータを含む誤った世論調査結果を放送していた。
8月の委員会において、誤った世論調査の結果が合計18回にわたり放送されたことや、フジテレビが架空データの作成が行われた調査会社への再委託の経緯自体を把握していなかったなどのチェック体制の不備を踏まえ、上記の合計18回の放送について放送倫理違反の疑いがあるとして審議入りを決めた。
委員会には、前回の委員会に諮られた意見書の原案に対する議論を踏まえて担当委員が作成した修正案が提出され、それに基づいて意見交換を行った。次回は再度修正案が示される予定である。

以上