よくあるご質問

委員会決定等について

question
選挙報道で注意することは何ですか?
BPOで何か注意喚起していますか?
answer

放送倫理検証委員会は、委員会決定や委員長コメントなどを通じて、放送局に対し選挙の自由と公正を守り、公平・公正な番組制作を心がけてほしいと繰り返し求めています。
また、放送人権委員会では、委員会決定の中で公正・公平など放送倫理と人権に一層配慮するよう要望しています。

放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会決定 第9号では、「放送局が独断で比例代表選出制度の設定している選挙区域と異なる区切りを設定し、限られた候補者のみを取り上げて放送することは、選挙の公平性・公正性を害し、選挙制度それ自体を歪めることになる」との意見を表明。対象番組は、参院選比例代表の非拘束名簿式の投票の仕組みを報道する際に、放送局が参議院の比例代表制度を正確に理解しないまま、当該放送局が所在する県に関係がある立候補者のみを取り上げたものでした。委員会は、公平・公正な選挙は民主主義の根幹であるとして、選挙にかかわるすべての放送関係者に公平性・公正性の徹底を求めています。

  • 参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第9号 2010年12月2日)
次は、千葉県知事選挙の期間中に現職知事の映像がバラエティー番組で約10秒間放送された事例。過去の映像を総集編的にまとめて紹介する中に、知事がこの番組に出演したときのものが含まれていました。制作担当者には選挙期間中であることの認識がなく、局内のチェックも機能しませんでした。委員会は、選挙の公平性・公正性に万全を期すよう求めた3年前の意見書の趣旨が徹底されていないとして、審議入りはしないものの、「委員長コメント」を公表し、各局にも注意を喚起することとしました。

  • 委員長コメントはこちらから
    (放送倫理検証委員会 第70回委員会議事概要 2013年4月26日公表)
委員会決定 第17号で審議の対象となったのは、インターネットでの選挙運動解禁についての特集企画で、比例代表選挙立候補予定者だった元大阪府知事の選挙準備活動だけを紹介したニュース番組と、比例代表選挙の候補が著名経済人としてVTR出演している企画を、参議院選挙投票当日の午前中に放送した情報バラエティー番組の2つの番組です。放送と選挙の関係について、委員会は3年前の意見(委員会決定 第9号)や、2013年4月の「委員長コメント」でも注意喚起を呼びかけてきました。それにもかかわらず、選挙にかかわる同様の問題が再び生じたことを、委員会は重く受け止めて、審議を行ってきました。今回の意見で、委員会は、この2つの番組について、選挙の公平性・公正性を損なう放送倫理違反があったと判断。そのうえで、選挙に関する放送倫理違反の問題の再発を防ぐために、放送業界全体において共有してほしい事柄として、「こころの秤(はかり)をイメージしよう」「組織や陣形を整えよう」などの提言を盛り込んでいます。

  • 2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第17号 2014年1月8日)
また、2016年7月に行われた参議院議員選挙と東京都知事選挙について、視聴者からさまざまな意見が寄せられたことなどから、委員会は、具体的な放送を踏まえながら選挙報道の公平・公正についての考え方を示すのは意味があるとして、選挙報道全般のあり方について審議しました。委員会は、「政治的に公平であること」などを定めている放送法第4条第1項各号の番組編集準則は「倫理規範」だとしたうえで、放送局には「選挙に関する報道と評論の自由」があり、テレビ放送の選挙に関する報道と評論に求められているのは「量的公平」ではなく、政策の内容や問題点など有権者の選択に必要な情報を伝えるために、取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をするという「質的公平」だと指摘しました。この観点からすると、真の争点に焦点を合わせて、各政党・立候補者の主張の違いとその評価を浮き彫りにする挑戦的な番組が目立たないことは残念と言わざるをえないとして、「放送局の創意工夫によって、量においても質においても豊かな選挙に関する報道と評論がなされる」ことを期待しています。

  • 2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第25号 2017年2月7日)
参議院選挙公示の前日、夕方のローカルワイド番組で、比例代表選挙に立候補を予定していた特定の政治家に密着取材した様子を放送した事例。委員会は、放送の内容が他の立候補予定者との公平性・公正性を害し放送倫理違反となる可能性があり、制作に当たってこれまで委員会が指摘してきた諸問題が検討された形跡がないなどとして、放送に至った経緯等を検証するために審議入りしました。審議の結果、委員会は、比例代表制度では自分の住む都道府県にかかわりなく立候補者や政党・政治団体に投票できるにもかかわらず、本件放送は公示日の前日に約5分間にわたって特定の立候補予定者のみを取り上げて視聴者に強く印象づけるような編集をし、有権者に誤解を与え比例区の投票行動を歪めた可能性があるとして、選挙報道に求められる公平性・公正性を害したことが、放送倫理に違反していると判断しました。

  • 北海道放送『今日ドキッ!』参議院比例代表選挙の報道に関する意見はこちらから
    (放送倫理検証委員会決定 第35号 2020年4月8日)

放送人権委員会

放送人権委員会は、「山口県議選事前報道」に関する委員会決定 第21号で、放送倫理上問題があったとする見解を公表しました。申立人は2003年4月の県議会議員選挙に立候補した男性。選挙前のニュース番組で放送した統一地方選挙の企画「県議選・なんでも一番」において、申立人が最多立候補者として実名・顔写真付きで「合わせて12回出馬していますが、いずれも当選に至っていません」と紹介されたとして、選挙妨害であり人権を侵害されたと訴えた事案。委員会は、本番組は故意ではないとはいえ、他の登場者に較べ申立人についての構成は明らかにマイナスイメージが強く、立候補予定者の公平な取り扱いについて配慮を欠いたと指摘したうえで、視聴者である有権者に対して不当に予断を与えた可能性もあり、放送倫理上問題があった判断しました。そのうえで、委員会の決定の主旨を放送するとともに、社内に徹底を図り、今後の番組の制作に際しては番組の目的を明確に捉え、公正・公平など放送倫理と人権に一層配慮するよう要望しています。

  • 「山口県議選事前報道」に関する委員会決定はこちらから
    (放送人権委員会決定 第21号 2003年12月12日)