青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第231回

第231回-2021年2月

視聴者からの意見について…など

2021年2月24日、第231回青少年委員会をオンラインで開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず1月16日から2月15日までに寄せられた視聴者意見について議論しました。
かつて敵対する王女から虐待を受けた主人公の少年が、その後、王女に復讐するという深夜のアニメ番組での残虐な行為や性的なシーンについて「暴力、性犯罪を助長させる内容で青少年に影響が大きい。深夜とはいえ地上波で放送するべきではない」などの意見が寄せられました。これについて委員からは、「過激なシーンは映像が配慮されており、深夜帯の放送であることをどのように考慮するか難しく、討論に進む必要はないのではないか」「アニメであること、深夜帯であることが免罪符のようになっていないか。番組の担当者はどのように考えているのか意見交換の場があってもよいのではないか」などの意見が出されました。
2月の中高生モニターのリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、課題番組は、2020年度民放連賞〔テレビ教養番組〕最優秀受賞作品『ザ・ノンフィクション おじさん、ありがとう~ショウとタクマと熱血和尚~』(フジテレビ)でした。26人から報告がありました。
モニターからは、
「私は『あと半歩ふみだせ』というおじさんの言葉が印象に残りました。(寺に預けられていた)タクマは高校に進学し、ショウも中学校に復帰して、今は夢を持った社会人として活躍しています。自分ができる中で『あと一歩』をふみだそうというおじさんの熱い思いが伝わってきました。(中略)私の周りには非行に走ってしまった人やいじめを受けている人はいないので、あまり知りませんでした。しかし、この番組を見た後で、いじめや非行、その支援について調べようと思いました」
「今回のVTRを見終わって気づいたことは、出てくる人々みんなが愛にあふれていて幸せに見えることだ。(中略)もちろん辛いことだって複雑な事情だってある。それでもあそこには笑顔がたくさんあってみんなが、これが正しい、あれが正しいといちいち全部言われなくても仲間がいて一緒に前に進んでいける。(中略)きっと彼らは警察に補導されたことも特別非行に走ったこともないような私よりもすっと自分の人生を見据えてまっすぐ前に進んでいけているように感じる」
「十数年前の映像から特定の人物をクローズアップし、(熱血和尚の)廣中さんとの歩みを紹介するこのスタイルはドキュメンタリーならではでないでしょうか。(中略)私はドキュメンタリー番組に対して『雰囲気が重い番組=見づらい番組』という認識で、自分から進んで見ることはあまりなかったのですが、そんな私でもいつの間にか見入っていて、終わったときには涙がこぼれました。ドキュメンタリー番組は、見る側はその事柄について全く知らないことが多いと思います。そのため視聴者側から表現の工夫の仕方などを挙げるのは難しいです。制作の方々は視聴者に内容が伝わる最善の表現方法をこれからも見つけていってほしいと思います」
「逃げれば今度は追われる側となり、余計に息苦しくなってしまうことをおじさんは子どもたちに伝えたかったのだろうと思いました。中高生という、嫌なことには投げやりになってしまいがちの年頃の子どもに『逃げるな』というメッセージを与えることは、きっとその後の人生の基盤になっていくのだろうと思いました。逃げない、すなわち諦めない姿勢こそが、おじさんが子どもたちに与えた社会スキルだと思います」
などのリポートが寄せられました。委員会では、これらの意見について議論しました。
次回は、3月23日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2021年2月24日(水)午後4時30分~午後6時30分
場所
オンラインで開催
議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
調査研究について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

かつて敵対する王女から虐待を受けた主人公の少年が、のちにその王女に復讐するという深夜のアニメ番組において、残虐行為や性的シーンについて、「暴力、性犯罪を助長させる内容で青少年に影響が大きく深夜とはいえ地上波で放送するべきではない」「残虐行為、薬物を使い人格を崩壊させる、性的行為などモラルに反する内容で青少年に悪影響だ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは、「子どもの見る時間帯なら問題だが、過激なシーンは映像がボカされたり真っ暗だったり、あからさまに描かれていない。深夜帯の放送であることをどのように考慮するか難しく、直ちに“討論”に進む必要はないのではないか」「他のアニメと比較した場合、この番組を特定のものとして取り上げることによって、他にも多くの作品を取り上げることになり、それによって表現の幅が狭くなってしまわないように注意する必要はある」などの意見が出された一方で、「アニメであること、深夜帯であることが免罪符のようになっていないか。番組の担当者はどのように考えているのか意見交換の場があってもいいのではないか」「登場人物がかわいく描かれていて、台詞も軽くて子どもが見ても大丈夫と勘違いされる恐れもあるので、保護者には気をつけてほしい」「今では夜中であっても録画で見られてしまう。録画制限のようなことはできないのだろうか」「アダルトアニメみたいな過激なものが、いくら映像がボカされているとはいえ、地上波に乗せることに関しては疑問に思う」といった意見が出されました。

学園ドラマにおいて、女性教師が未成年の俳優が演じる男子生徒を上半身裸にして強引にマッサージしたり、逆らったら部活の試合に出さないと言うシーンに関して、「男子生徒役は18歳にも満たない。番組内ではセクハラと表現しているが、これは性暴力だ。誤解を招き、役者の精神が心配だ」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「映画では18歳未満の出演者が、性的な場面を演じると児童ポルノに入ってしまう可能性もある。劇場公開にかかわるセンシティブな問題となる」「“児童”と言われる分類に入る役者が演じる性的なシーンについて、テレビの制作者はどのような認識で臨んでいるのか知りたい」「役者を職業としてプロでやっている人が未成年で、性的なシーンを演じる場合、プロだからいいのかどうなのか、なかなか難しい議論だ」といった意見が出されました。

中高生モニター報告について

33人の中高生モニターにお願いした2月のテーマは、「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、27人から報告がありました。いつものように、「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」についての欄も設けました。
課題に選んだ番組は、2020年度民放連賞 [テレビ教養番組]最優秀受賞作品
『ザ・ノンフィクション おじさん、ありがとう~ショウとタクマと熱血和尚~』(フジテレビ)。愛知県岡崎市の寺の住職・廣中邦充さんと、非行や虐待、いじめなどの理由によって親元で暮らせなくなった子どもたちとの11年間の歩みをしっかりと見つめた番組です。番組のタイトルに出ているショウやタクマも、ある時期、廣中さんのもとで過ごしました。番組では、子どもたちに「おじさん」と呼ばれ、慕われている廣中さんが、癌に侵されてもなお、亡くなる直前まで子どもたちに手を差し伸べ続ける姿を追っています。多くのモニターが、廣中さんの子どもたちへの愛情に感動し、また、番組に登場する子どもたちが自分と同世代であることに興味を持ち、自分の置かれた環境に照らしながら視聴した様子が伺えました。そして、思春期の子どもの成長には廣中さんのような本当に信頼できる大人の存在が必要であること、また、ショウやタクマの友情から、気持ちを分かち合える仲間は尊いものであることを読み取っていました。中には、「SNSでさまざまな人と簡単につながれてしまうことで、以前より子どもが抱える問題が複雑化し、危険性を増している今の時代には、駆け込み寺のような存在がより一層必要なのではないか」という感想を持った人もいました。
「自由記述」に寄せられた内容は多岐にわたりました。平日夜に放送されているニュース・報道番組で、キャスターがマスクを着用したままニュース原稿を読むことへの賛否やバラエティー番組でのコロナ対策に関する感想といった「コロナ禍の放送」という視点で書かれた意見、そして、2月13日夜に発生した福島県と宮城県で震度6強を観測した地震に関する記述。これらはいずれも複数名から寄せられていました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)に5人が、『ドラマ「ハルカの光」』(NHK Eテレ)に4人が、『ねこ育て いぬ育て』(NHK-BSプレミアム)に2人が感想を寄せています。

◆委員の感想◆

  • 【【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

    • 多くのモニターがのめり込んで視聴したようだ。自分の知らない世界、自分とは異なる環境から素晴らしい出会いによって立ち直った人たちの存在を知れたことがうれしかったということが、リポートからひしひしと伝わってきた。

    • これまでドキュメンタリーをあまり見たことがなかったというモニターが結構多かった。そのため、率直に、「自分か知らない世界があった」という驚きの声が寄せられていた。異なる境遇にある人への理解を深めたり、どうすれば問題が解決するのか考えたりしたようで、ドキュメンタリーの良さがしっかり伝わったのではないかと思う。

    • 廣中さんに心を寄せて書いているモニターが多かった。中には、廣中さんの人間性、懐が深く、おおらかで笑顔を絶やさない様子を見て、「私もおじさんのような人になりたいと心から思った」と書いたモニターもいた。中高生に、このように思わせるということは、とても良い番組だった証しだと思う。

    • 中高生モニターは中1から高3までの子どもたちだが、ショウやタクマなどの登場人物は年齢が近く、自分のことと重ね合わせながら考えてくれたモニターもいた。ショウが廣中さんに付き添われて、学校の担任に会いに行くシーンを見て、「学校というのはもっと合理的で、自由で、広い視野が持てる環境になってほしい」というような今の自分の環境における不満や問題意識を記述したり、「廣中さんのように自分のことを支えてくれた人に感謝する気持ちを持った」と感想を寄せたり、考察を深めながら視聴した様子が伺えた。

    • ショウの中学校の担任が、最初、事なかれ主義であるかのように描かれていて気になった。しかし最後にナレーションで、「先生がとてもよくケアしてくれた」というようなことが伝えられ、とても細やかにバランスを取っているのだなと感じた。

    • 最後まで、絶対に、自分のそばにいてくれる人がいるということが、子どもの成長に大きな影響を与えるとモニターみんな伝わったと思う。番組の中に出てきた家庭に問題があったり、「おまえなんか死んでしまえ」と親から言われてしまったりした子どもたちが、廣中さんのおかげで救われた様子に、私自身も感動した。

    • 廣中さんとショウとタクマの3人でバットを持った少年たちに話をつけに行く、というシーンについて、シーンの切り取り方が格好良くなりすぎていて少し疑問を持った。あのシーンはきっちり話をつけるというだけで終わっていたが、もしぶつかり合いになっていれば事件になった可能性もある。おそらく、放送されたシーンの前後には、話をつけるための調整など、もっと違うシーンが撮影されていたのではないかと思う。その部分を短く放送しても良かったのではないか。

    • 廣中さんの生き方が強く印象に残ったと感想を寄せたモニターは多かったが、登場する子どもたちに気持ちを寄せて考えたモニターは意外に少なかったような気がする。自分とは別世界で生きる子どもたちには共感しづらかったのだろうか。

◆モニターからの報告◆

  • 【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】

    • 「仲間」の大切さなど「仲間」について学べる、とても良い番組だと思った。演出が上手だったのか、題材が良かったのかわからないが45分とは思えないほどあっという間に番組が終わった。それほど番組に引き込まれた。(千葉・中学1年・男子)

    • 登場人物が、自分とちょうど同じ年代の人たちだったので、興味を持って視聴できました。私がいちばん印象に残った場面は、ショウが地元の不良たちから殴られたとき、後日、おじさんも同行して、その人たちを呼び出して、交渉をしていた場面です。普通だったら、「もう地元には戻るな」で終わるだろうに、ちゃんと話をつけて、そして、最終的には、ショウは地元の中学校を卒業できました。地元に戻れたのも、おじさんが、逃げずに向き合うことの大切さを、身をもってショウに示したからだと思います。ただ、主な登場人物のタクマとショウの会話の中で、「金が無くなったら、恐喝していた」とか、ショウとおじさんとの会話で「バイクを盗むときは、マイナスドライバーとハンマーで」という言葉があり、どれだけ、過去に悪いことをしてきたのか、ということを伝えたくて、この場面が番組内に取り入れられたのだと思うのですが、私は不必要に感じました。なぜなら、恐喝されたり、バイクを盗難されたりした被害者の気持ちは置いてきぼりで、加害者目線の、しかもあまり反省の色もないままの発言に感じ、視聴者によっては、「金が無いときは恐喝すればいい」「マイナスドライバーとハンマーでバイクを盗めるのか」と参考にする人もいるのではないか、と思ったからです。悪事の具体的な行動や方法については、番組内ではあえて触れない方がいいのではと感じました。(長崎・中学1年・女子)

    • 2回ほどリストカットの跡が残った腕が出てきたのが、心に刺さった。思春期の子どもたちの精神状態が現れていて、大人たちに伝えることはでいると思うが、私はトラウマになるくらい怖かったので、腕にモザイクをかけてほしいと思った。(宮城・中学1年・女子)

    • 子どもたちを預かって、お金まで払って、とても愛を感じました。おじさんの周りにいるとみんな笑顔になって、人としてお手本になるような人だと思います。私もおじさんのような人になりたいと心から思いました。(山形・中学1年・女子)

    • 私は「あと半歩ふみだせ」というおじさんの言葉が印象に残りました。タクマは高校に進学し、ショウも中学校に復帰して、今は夢を持った社会人として活躍しています。自分ができる中で踏み出そうというおじさんの熱い思いが伝わってきました。また、子どもたちからおじさんへの感謝の気持ちもよく伝わってきました。私の周りには非行に走ってしまった人やいじめを受けている人はいないので、あまり知りませんでした。しかし、この番組を見た後で、いじめや非行、その支援について調べようと思いました。(岡山・中学2年・女子)

    • 本当にいい番組だと思いました。題材がとてもいいというのもありますが、番組の構成がしっかりしているので、見ていて考えさせられることが多くありました。このような番組はもっと宣伝をしていたほうが視聴する人も増えて、ノンフィクションの需要というのがより明確になると思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • 寺で過ごす若者たちと和尚さんのありのままの姿を映し出しているような感じでいいなと思いました。(沖縄・中学3年・男子)

    • 強い思いは人を変えることができるのだとよく分かった。私はボランティア活動ができる人に憧れている。廣中さんのようにはいかなくても、周りの人をよく見て、相手の気持ちを考えて行動することから始めていきたい。(東京・中学3年・女子)

    • この番組では非行に走ったという少年や少女たちを決してかわいそうに描いたり恐ろしく描いたりしていない。私たちとは事情や環境も違うはずなのに、身近に感じるほど対等に描いていると感じた。そして、今回のVTRを見終わって気が付いたことは、出てくる人々みんなが愛にあふれていて幸せに見えることだ。出て来る映像のほとんどが、みんなが笑い合っていて幸せそうだった。もちろんつらいことだって複雑な事情だってある。それでもあそこには笑顔がたくさんあってみんながこれが正しい、あれが正しいといちいち全部言われなくても、何が正しいのか、正しいとは何なのかを自分で見つけ出して前に進める。分からなくなっても仲間がいて一緒に前に進んでいける。私はそういったことは簡単なようで難しいと思う。私はそんな彼らがすごいと思った。きっと彼らは警察に補導されたことも非行に走ったこともないような私よりも、ずっと自分の人生を見据えてまっすぐ前に進んでいけているように感じる。(東京・高校1年・女子)

    • 特に印象に残っている場面は、ショウが学校に復帰するために担任の先生のところに和尚さんと話しに行った場面です。そこで担任の先生が、ショウに対して、学校に戻ってきてほしくないような口調でショウのことを叱りました。その時、和尚さんが、ショウのことを全面的に守り、担任の先生を注意したのです。ショウは自分の味方になってくれる大人がいると知り、とても安心したと思います。それを見て、私はまるで自分のことのようにうれしく感じました。このような心温まる番組が、コロナで悲しいニュースばかりの今の状況に求められているのではないかと感じました。(東京・高校1年・女子)

    • 和尚さんのように、身近に頼れて、寄り添ってくれる人がいるのは心強いなと思います。番組を見て、自分にも支えてくれた人がいたかもしれないと思い返し、感謝するきっかけとなりました。自分も人に寄り添えるようになりたいと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • この作品を通して廣中さんの考え方や人生を少しですが知ることができました。だからなのか、最後の廣中さんが亡くなり、お葬式でかつて廣中さんにお世話になった人たちが泣きながら弔う場面で、思わず私も泣いてしまいました。それほど感情移入がしやすかったです。私はこの作品に出てくる人ほど厳しい人生を歩んでいるわけではありませんが、それでも胸に響いてくるものがありました。(愛知・高校1年・女子)

    • 自分は非行に走る人と無縁の生活をしてきたので、このような人たちがいることに驚いた。暴力団とつながると危険なことや足を洗おうとすれば筋を通せと言われること、未成年の薬物依存は、別世界の話だと思っていた。誰しもワルになった背景があり、更生できるということが分かったような気がした。自分はワルじゃないと思うけど、駆け込み寺のような存在は近くになくて、この状態に例えようのない不安を覚えたり、虚無を感じる人っているんだろうなと考えた。(東京・高校1年・女子)

    • 十数年前の映像から特定の人物をクローズアップし、廣中さんとの歩みを紹介するこのスタイルはドキュメンタリーならではなのでしょうか。このスタイルだと視聴者側は登場人物に対して感情移入しやすいので、自然に作品の意図・内容が入ってくるので気軽に見られてとてもいいと思います。私はドキュメンタリー番組に対して「雰囲気が重い番組=見づらい番組」という認識で、自分から進んで見ることはあまりなかったのですが、そんな私でもいつの間にか見入っていて、終わったときには涙がこぼれました。ドキュメンタリー番組は見る側はその事柄について全く知らないことが多いと思います。そのため視聴者側から表現の工夫の仕方などを挙げるのは難しいです。制作の方々は視聴者に内容が伝わる最善の表現方法をこれからも見つけていってほしいと思います。(熊本・高校2年・男子)

    • ショウのことを途中までは心配しながら見ていたのですが、最終的には中学校にも行くことができ、大人になって仕事をちゃんとしていて、とても安堵しました。和尚さんの頑張りもありますが、本人の頑張りがあったので、立派になられたのかなと思います。(長崎・高校2年・男子)

    • 人間のもろさを強く感じました。見た目は強そうだけど、実は人一倍心が弱った少年たち。和尚さんとの出会いは、彼らに生きることの意味を伝えるだけでなく、彼らが心の奥底でずっと求めていた本当の「愛」を教えるすごく貴重なものだったのだと思います。(東京・高校2年・女子)

    • 特に印象に残ったのは食事のシーンと、和尚さんが子ども一人ひとりの様子を見ているという2点だった。みんなで一緒にご飯を食べること。これは親の愛を十分に受けてこなかったり、親の仕事の都合で一人で食事を済ませたりしている子どもにとって大切な環境であり、その食卓が成長につながっていくのではと感じた。また、子どもたちの家族が抱える問題をも見通してしまう、和尚さんのような人は、核家族化やSNSの普及により、昔に比べて一層子どもが抱える問題が増え、複雑化した現在において重要な存在であるように思う。(千葉・高校2年・女子)

    • 逃げれば今度は追われる側となり、余計に息苦しくなってしまうことを、おじさんは子どもたちに伝えたかったのだろうと思いました。中高生という、嫌なことには投げやりになってしまいがちの年頃の子どもに「逃げるな」というメッセージを与えることは、きっとその後の人生の基盤になっていくのだろうと思いました。逃げない、すなわち諦めない姿勢こそが、おじさんが子ども達に与えた社会スキルだと思います。(東京・高校2年・女子)

    • さまざまな問題を抱える子どもを見てきた廣中住職もまた、昔はタクマと同様にヤンキーでした。ただ、そんな彼だからこそ、生活に悩む子どもを受け入れ、児童施設では決して癒されることがない部分にまで真摯に向き合ってくれ、叱ることなく、まずは笑顔で迎えるその場所は、時代が変わろうとも息苦しさを感じる生活の受け皿として、とても重要な役割をしているなと思いました。また、何より、自分も学校に悩み、少し自暴自棄な時期があったため、寺のような悩みを相談できる場所があれば、親を長い間困らせるようなことはなかっただろうに、と感じました。最後に住職の廣中さんが言っていた「逃げるなー」は、現実から目をそらし、ことを闇雲に終わらせ、あのときに行動を起こしておけばよかったと後悔させないために発せられていて、何もかもが中途半端に終わる自分にとってかけがえのない言葉になりました。(高知・高校3年・男子)

    • 今の社会の問題とは何か、正しい家族、人間関係の在り方とは何かということを考えさせられました。今、社会問題になっている親から子どもへの虐待、その逆である子どもから親への暴力のもとになる親と子どもの見えない溝、そんな溝の橋渡しをする役目を担ってくれていたのがこの番組で紹介されていた通称熱血和尚である廣中邦充さんだと思いました。今、核家族化や近所付き合いのなくなりなど、周りの人たちとの関係がなくなっている状況で、路頭に迷ったり人生に悩んだりしている子どもが多くなっていくかもしれません。和尚のように橋渡しをする。というのはなかなかできないと思いますが、話を聞いてあげたり、親の愚痴なども聞いてあげたりしてお互いのストレスを軽くし、関係に少しでもプラスの貢献ができるような人になりたいと思いました。ですが、それが余計な一言にもなるかもしれません。そんなときに、こんな和尚がいる駆け込み寺のような場所があってほしいなと思わせられる番組でした。(茨城・高校3年・男子)

    • 私は今、悩むことやしんどく思うことが積み重なっていますが、この番組を視聴したことで、放っておいても時間が解決することがあるし、生活や人との関わりの中で解決策が見つかることもあるのではないかと考えられるようになり、少し気持ちが軽くなりました。(宮城・高校3年・女子)

  • 【自由記述】

    • コロナ生活も、早いもので、もう1年となりましたが、そんな中でもテレビの存在は極めて大きいものだと改めて感じています。ちなみに、わが家は家族が在宅しているときは、ずっとテレビが付きっぱなしです。(長崎・中学1年・女子)

    • 朝の情報番組を見ていると、時々、有名人や芸能人が出演されていますが、正直「うるさいな」と思うことがあります。叫んだり、数人で騒いだりするシーンも見られ、コロナの状況を踏まえても、やや不適切な行為だと思います。(愛知・中学2年・女子)

    • 私は最近コロナの緊張感が緩んでいるように思います。世の中の空気を映し出し、全体の意識に大きく影響を与えるのはテレビだと思うので、気を引き締めるべきときは、テレビでも、もっと注意を呼びかけてほしいなと思います。(千葉・高校1年・女子)

    • バラエティー番組のひな壇で横にはアクリル板が立てられていても前後にはないときなど、感染対策として正しく効果を発揮できているのだろうかと不安に思ってしまうことがあります。心配してしまって番組に集中できないこともあるので、表情をしっかり見られないのは残念ですが、出演者がマスクを着用している場面があってもいいのではないでしょうか。(宮城・高校3年・女子)

    • 今のテレビ番組はコロナの感染対策も十分されていて安心して見ることができています。強いて言うならば、番組のはじめにどんな感染対策をしているか紹介してもらえるとそのテレビ番組への信頼も上がると思います。(愛知・高校1年・女子)

    • 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)で、キャスター同士がスタジオ内で会話するときにマスクを着用することにした件について。インターネット上でも称賛の声が上がっていましたが、私はこの取り組みに疑問を抱きました。マスクをするとキャスターの口の動き・表情がわかりづらく、(2月時点では)この番組は字幕放送に対応していないため、特に聴覚障害を持っている方などはニュースの内容が分かりづらいのではないかと思いました。(熊本・高校2年・男子)

    • 『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)コロナの状況の中、テレビ東京のアナウンサーがマスクを着けたままニュースを報道したことについて、私は、緊急事態宣言の緊張感を取り戻すことができて良い試みではないかと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 今シーズンのドラマは、簡単に人が死んでいく、残酷な死、暴力的な死が、とても多いように思います。命の重さは、ドラマでは描ききれないところもあり、とても不安になります。そんな中、『木曜ドラマ「にじいろカルテ」』(テレビ朝日)は、助け合って生きる姿が描かれていて、今のコロナ禍に、柔らかな気持ちになります。メディアは、視聴者に生きることのすばらしさを伝えてほしいと願います。(群馬・中学3年・男子)

    • 先日の地震を受け、新型コロナウイルスが流行する中での避難方法、ポイント、現状をメディアで流してもいいのではないかと思いました。メディアには影響力があるからこそ正しい情報、国民の役に立つ情報を流してほしいと思いました。そして地震で不安になっている人もいると思うので、少しでも心が落ち着く情報を流してほしいと思いました。(埼玉・中学2年・女子)

    • つい先日の福島県沖での地震で久しぶりに大きな揺れを自宅で感じ、東日本大震災から10年たつのかということも思い出しました。人間は忘れやすい生き物とも言われていますが、メディアなどを通して記憶を風化させず、これからの災害の予防として、いかしていくこともできる生き物だと思います。自分が将来大人になってもそんな記憶を風化させない番組が続いていてほしいなと思いました。(茨城・高校3年・男子)

    • いつも1時間の番組が、放送時間を拡大して2時間、3時間になるのが最近多い感じがします。延長が多くて、ときには見飽きてしまうこともあるのですが、放送局側としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。(東京・高校1年・男子)

  • 【青少年へのおすすめ番組】

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)ちびまる子ちゃんは昔から面白いという印象がありましたが、今見ても面白かったです。ボケとツッコミがあって、間もお笑いみたいで、面白いポイントを押さえているからかなと思いました。気を付けて見てみると、背景がよく変わったり、BGMもたくさん流れていて、よく作り込まれているのが分かりました。ちょっとお馬鹿なエピソードが小学生らしくてよかったです。(千葉・高校1年・女子)

    • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)時代のギャップを感じました。ちびまる子ちゃんの世界では、まる子の家は大家族で、また彼女は、おかっぱでサスペンダーの服をいつも着ています。このような光景は、最近だと街に全く見られないので、新鮮で、かつ懐かしさとともに心がほっこりしました。時代とともにバラエティーなどテレビ番組の形態は進化していきますが、アニメの世界観はもとのままで居続けていてほしいと思いました。(東京・高校2年・女子)

    • 『ドラマ「ハルカの光」』(NHK Eテレ)このドラマを視聴して、光は人の視界を照らすだけでなく、人生に悩む人に明るい未来へと続くヒントをくれる不思議な力を与えてくれるんだと感じました。(高知・高校3年・男子)

    • 『ねこ育て いぬ育て』(NHK-BSプレミアム)動物を飼う大変さがよく分かった。私はいつか保護犬・猫を飼いたいと思っていたが、番組を見て私には無理だと痛感させられた。一見楽しそうに見える番組だが、動物を軽はずみに飼いたいと言わせないような番組だと思った。(東京・中学3年・女子)

    • 『パオガオ』(琉球朝日放送)動物園にいる動物のことを紹介している番組だった。動物の身体的特徴や食事の仕方などなど、細かい部分まで紹介しているので、その動物の生態をよく知ることができ、実際に行って確認してみたくなった。(沖縄・中学3年・男子)

調査研究について

  • 調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、3月に実施する各放送局を対象としたアンケート調査の最終確認を行いました。

以上

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