2008年度 第36号 放送局対応

第36号 高裁判決報道の公平・公正問題

【委員会決定を受けてのNHKの対応】

標記事案の委員会決定(6月10日)を受けて、NHKは9月3日放送人権委員会宛に「委員会決定に対するNHKの対応について」という文書を提出した。

NHKの報告は以下の通り

平成20年9月3日
BPO・放送と人権等権利に関する委員会御中

日本放送協会

「公平・公正に係る申し立てについての委員会決定」に対するNHKの対応について

平成20年6月10日、貴委員会は、平成19年1月29日の「ニュースウオッチ9」でのETV番組をめぐる控訴審判決報道について、「公平・公正を欠き、放送倫理違反があった」との判断を示しました。この決定に対するNHKの対応などに

ついて報告します。

NHKは、審理の中で「公平か公平でないかの判断は微妙な問題であり、より慎重に行われるべきだ」と繰り返し主張してきました。その理由は、決定で、公平・公正な裁判報道はこうあるべきだとの

一般的な枠組みが万一示された場合、今後の報道への影響が大きいとの危惧からです。
その点、今回の放送倫理違反という結論は、報道一般に適用されるものではなく、報道機関自身が当事者となっている民事事件に関する

裁判報道という非常に特殊なケースに限定したものとなっています。NHKとしては、この決定を真摯に受け止めています。

(1)勧告後のNHKの対応
NHKでは、決定を受け、「今回の決定を真摯に受け止めて、さら

に放送倫理の向上に努め、公共放送に対する期待に応えていきます」とのコメントを発表しました。
また当日午後7時からの「ニュース7」と9時からの「ニュースウオッチ9」で決定内容を放送し、その中で、申立人の記者会

見についても紹介しました。またラジオ第一放送でも、午後7時からの「NHKきょうのニュース」と午後10時からの「NHKジャーナル」で決定を伝えました。

 なお、2日後の6月12日に出された最高裁判決の報道にあた

っては、公平・公正に十分に配慮しました。また一般の裁判報道の際にも、決定の趣旨をいかしていくよう対応しています。

(2)社内周知のための対応
放送現場への周知については、翌日の6月11日に、全国の

報道現場に、決定内容を記した報道局長名の文書を配布し、決定趣旨を周知するとともに、日々の取材・報道に際して、改めて公平・公正の原則を再確認するよう指示しました。
さらに放送関係の部局長で作る放送倫理委員

会(6月23日)、及び現場の担当者で作る放送倫理連絡会(6月27日)で、今回の決定について説明し、報道以外の関係者にも周知を図りました。
今後、職員の研修などの場でも今回の決定の趣旨を徹底していきたいと考えて

います。

以上報告します。

以上

2008年度 第37号 放送局対応

第37号 群馬・行政書士会幹部不起訴報道

【委員会決定を受けてのエフエム群馬の対応】

エフエム群馬の報告は以下の通り

平成20年9月25日
放送と人権等権利に関する委員会
委員長 竹田 稔 殿

株式会社エフエム群馬
代表取締役社長 小林洋右

「委員会決定」の取組状況について(ご報告)

拝啓 貴委員会のご清栄を衷心よりお慶び申し上げます。
弊社の「群馬・行政書士会幹部不起訴報道」の審理に際して、貴委員会には多大なご面倒をおかけし、改めてお詫び申し上げます。

弊社は、貴委員会

決定「放送倫理違反」見解を真摯に受け止め、全社をあげて改善策を推進しております。今回のご報告は、既にご報告した委員会決定直後の措置を含め、弊社のこれまでの改善策全体についてまとめたものです。

弊社

の改善策は、(1)「放送倫理違反」見解を受けたことの公開、(2)申立人との関係改善、(3)社内統制と社員教育の改善、の三点について行いました。
このうち、(3)社員教育改善のため、弊社の「報道・編集ハンドブック」を

策定しましたので、添付させていただきました。
このハンドブックについて、9月中に全社員と番組出演者等を対象にした研修会を開き、日常業務の改善に役立てる所存です。なお、本報告書は、委員会決定があった平成20年

7月1日を起点に時系列でまとめさせていただきました。

ご査収いただき、行き届かない事柄についてご指導をいただければ幸甚です。

敬具

■7/1(火)

放送と人権等委員会が委員会決定 「放送倫理違反」見解を公表

17:00~30 地元記者会見で発表 於:県政記者クラブ
小林社長・大崎報道渉外担当部長が説明

18:03~04 夕方番組、ニュースコー

ナーで報道
委員会決定の概略

19:55~20:00 通常番組を休止し、特別枠で報道
委員会決定の詳細
弊社が真摯に受け止める旨のコメント
申立人のコメント

20:55~21:00 通常番組を

休止し、特別枠で報道
内容は上記と同じ

■7/2(水)

9:10~50 社内説明会実施

社長より在局社員に「放送倫理違反」の説明
不在者に説明骨子をメールで配信

午前~午後 関係各所へ報告

広告代理店へ説明文書を発送
JFN、エフエ

ム東京へ電話とメールで報告
ホームページ「お知らせ欄」に掲載、以後1週間
委員会決定の全文書(個人名をカット)
当社が真摯に受け止める旨のコメント
申立人のコメント
申立人に挨拶訪問

社長と報道渉外担当部長が挨拶に訪問、懇談
申立人は友好的に応対してくれた

■7/7(月)

午後 申立人と県行政書士会幹部4人が弊社に挨拶訪問
会長、常務理事、事務局長、申立人

■7/8(火)

放送番組審議会に報告
顧問弁護士に委員会決定内容を説明.

■7/15(火)

社長が上京、BPO事務局を訪問、経過を報告

■7/28(月)

「報道・編集ハンドブック」作成を開始
社長指導で報道部が作業

■7/29(火)

関係者3名の社内処分「文書による厳重注意」

■9/5(金)

人事異動内示 9月22日発令予定

■9/8(月)

「報道・編集ハンドブック」完成
常務会で決定、社内LANで掲示

■9/11(木)

代理店会議開催
「放送倫理違反」の概略説明
本報告書を作成

■9/16(火)

総務部長がBPO事務局を訪問
本報告書を提出

■9/19(金)

9月定例取締役会開催
「放送倫理違反」の概略説明

■9/24(水)

「報道・編集ハンドブック」の全社研修会を実施
社員・番組出演者・業務委託者、計36名参加

以上

2008年度 第39号 放送局対応

第39号 徳島・土地改良区横領事件報道

【委員会決定を受けてのテレビ朝日の対応】

テレビ朝日の報告は以下の通り

2009年6月29日
放送倫理・番組向上機構 御中

株式会社 テレビ朝日

委員会決定後の対応と取り組みについて

当社番組「報道ステーション」の「徳島・土地改良区横領事件報道」事案について、2009年3月30日の放送倫理・番組向上機構 放送と人権等権利に関する委員会による委員会決定を受けて、当社は以下の対応と取り組みを行って

おりますので、ご報告いたします。

  • 委員会決定後の対応について
    3月30日の委員会決定を受けて、当社広報部は当日「委員会の勧告を真摯に受けとめ、放送倫理や人権に十分配慮をしてまいります」というコメントを発表しました。委員会決定の内容につい

    ては、当社のコメントも交えて、当日夕方の「スーパーJチャンネル」と、委員会決定の当該番組である「報道ステーション」および翌日朝の「やじうまプラス」内「ANNニュース」で全国向けに放送したほか、4月5日の番組「はい

    !テレビ朝日です」の中で放送しました。社内においては、委員会決定の当日以降、局長会をはじめ社内常設の番組審査や放送倫理にかかわる会議などで委員会決定の内容を報告しました。また、報道局においては局内の会議で詳

    細な報告を行いました。4月14日には、顧問弁護士も交えて委員会決定について詳細に分析・検討する会議を開き、対応策の策定などの方針を確認しました。申立人には、4月16日に報道担当取締役が面会し、委員会決定の趣旨に沿

    って、今後番組を編集・放送していく方針を説明したところ、申立人はそれを了承されました。社員の処分は4月21日付で行い、「裏づけ取材など不十分なまま放送にいたり、結果、放送倫理違反があったとしてBPOから勧告を受け

    たことに対して」として、報道ステーション担当部長ら番組の担当者5名を減給1カ月、また「その管理監督責任を問う」として、報道局長と報道局ニュース情報センター長を譴責としました。当社放送番組審議会においては、4月17

    日の第499回審議会で社長が委員会決定について報告しました。5月15日の第500回審議会では「報道情報系番組の『取材』のあり方、『情報』の取り扱いと放送倫理、人権の問題について」というテーマで審議が行われました。この

    中では、委員から「ぜひ取材に関してはしっかりとやってもらいたい」「情報という危険なものの扱い方の伝承がなされているか。デスククラスが心をひきしめていかないといけない事態だ」などの意見が出されました。

    らに、6月4日の第76回テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議(大阪市で開催)においても前述のテーマで議論が行われました。出席委員からは「番組制作の現場で、経験の少ないスタッフによる放送倫理観が欠落して

    いたことや、それを監督する立場の責任者のチェック機能が十分でなかったのが取材不足の原因ではないか」「ジャーナリストとして勉強する機会がどこまで保証されているのだろうか。余裕がない現場が危ない状況を生んでいると

    思う」「テレビの映像と音声は一瞬にして消えるが、影響力が大きいだけに間違いを起こさないように謙虚であるべき」「取材を慎重に行い、事実の確認をきちんと行うことが重要だ。さらに事実を報道したとしても、視聴者がど

    のような印象を持ったかが重要となる」などの意見が出されました。

  • 再発防止に向けた取り組みについて
    「報道ステーション」では、番組の責任者が全スタッフを集めて、委員会決定の内容と、取材の経緯や表現方法などを説明しました。委員会決定で指摘された問題点を重く受け止めて

    、検証報道に必要な十分な裏付け取材を今後も怠ることなく徹底的に実施するよう注意喚起を促すとともに、様々な意見交換を実施しました。また、幹部デスクとも委員会決定後に協議を重ね、放送人権委員会で審理されることに

    なった問題点を再度整理し、今後は放送項目についてチームリーダーを決め、素材の確認をはじめナレーション原稿や表現方法など全体的な点検作業を徹底的に実施していく方針を確認しました。
    報道局に、放送倫理の一層

    の徹底および危機管理情報の共有を図り、問題発生の事前防止に向けた施策を機動的に立案し、実施するための会議「報道局・危機管理プロジェクト」を設置しました。この会議では、まず「徳島・土地改良区横領事件報道」につ

    いて、このような放送に至った原因の究明や、再発防止に向けた業務の改善方法などについて検討を行いました。
    5月14日には当社に、放送人権委員会委員長代行で今回の委員会決定のとりまとめを担当した三宅弘弁護士を

    招いて、委員会決定の内容や問題点等について2時間以上にわたって説明を受ける研修会を実施しました。社員・社外スタッフなど約80人が参加し、番組スタッフなどから出された質問や疑問について三宅委員長代行から回答をいた

    だき、委員会決定についての理解を深めるとともに、問題意識を持つことの重要性を再認識しました。

  • 番組における具体的な改善策
    1)検証報道を実施する際の裏付け取材の徹底。
    検証報道に限らず、ニュース報道の根幹は十分な裏付け取材が必要なことは言うまでもありません。確認作業は一人では行わず、必ず複

    数人で一つ一つ疑問点を解消していきながら、十分な裏付け取材ができているか、最終的な確認作業をデスクと必ず行うことを徹底します。
    2)安易で短絡的・拙速な報道の防止。
    十分な裏付け取材ができなかった場

    合や、コンセプトが明確になっていない場合などは、拙速な報道を避けて当日の放送を見送るという決断をするよう努めます。
    3)チームリーダーを決め確認作業を実施。
    現在のニュース編成は、一つの項目に対して複

    数のディレクターが取材や原稿、編集などを分担して作業を実施するため、全体を統括する責任者はいるものの、細部まで完璧に把握できていないこともありました。これを改めて、チームリーダーを項目ごとに配置して責任体制

    を明確にし、取材や編集などすべての過程において確認作業に当たらせることにします。
    4)チェック体制の強化と節目ごとに確認作業を実施。
    チームリーダーは1次的な確認作業を行いますが、進捗状況も含めて担当

    のデスクやプロデューサーがチームリーダーとともに節目節目で取材や編集など進捗状況をチェックして確認作業を行います。また、ナレーションでの表現方法なども含めて、適切かどうか確認を進めることとします。
    5)定

    期的な勉強会と研修を実施し、再発防止を推進。
    他番組や他局で起きたことも含めて、当該報道に関連した講師や人物を招いて勉強会や研修会を開催し、スタッフの意識を常に高めるように努めます。

以上、放送と人権等権利に関する委員会による委員会決定についての当社の対応と取り組みをご報告申し上げました。

以上

2009年度 第40号 放送局対応

第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

【委員会決定を受けてのTBSテレビの対応】

TBSテレビの報告は以下の通り

平成21年11月6日
BPO・放送と人権等権利に関する委員会 御中

(株)TBSテレビ

「保育園イモ畑の行政代執行を巡る訴えに関する委員会決定」に対する対応と取り組み

この度、当社番組「サンデージャポン」の「保育園イモ畑の行政代執行を巡る訴え」事案について、「放送倫理・番組向上機構(BPO)放送と人権等権利に関する委員会」による2009年8月7日の委員会決定を受けて、当社は以下の対応と取り組みを行っておりますので、ご報告いたします。

  • 委員会決定後の対応

    弊社では貴委員会の決定を受けて、「委員会の勧告の内容を真摯に受け止め、今後の番組作りに生かしてまいります」というコメントを公表しました。
    また、決定内容については通知当日の『総力報道!THE NEWS』の中で全国向けに放送をしたほか、8月9日に当該番組である『サンデージャポン』の中でも放送しました。

  • 社内での報告と周知
    貴委員会による「決定」通知以降、社内では局長会をはじめ、放送倫理委員会(9月4日開催)などで内容を報告し、全社的に周知徹底を図るように確認しました。さらに第521回番組審議会(9月14日開催)、当社の放送及び当社が放送責任を負う番組の制作や取材過程等における人権侵害等について審議する第52回放送と人権特別委員会(9月25日開催)においても内容を報告し、委員の皆様からご意見を頂きました。
  • 再発防止に向けた取り組みについて

    (1) 『サンデージャポン』が所属する情報制作局では、現在の情報番組が直面する様々なテーマを盛り込んだ、情報番組に携わるスタッフ専用版の「情報番組ガイドライン」を作成しました。ガイドラインの中に今回の『サンデージャポン』の事例を掲載し、「情報バラエティ番組は、手法はバラエティでも伝える内容は事実であり、且つ正確に伝える番組でなければならない」旨を再確認しました。
    このガイドラインをもとに8月末から9月初めにかけて勉強会を計4回にわたって実施し、情報制作局の社員・社外スタッフ約460人が参加しました。今回の事例を改めて振り返ると共に名誉毀損や人権問題に関する昨今の事例研究、取材や放送における社内でのチェック体制についての確認、加えて貴委員会からご指摘をいただいた「訂正放送」についても検証しました。

    (2) 『サンデージャポン』のスタッフ向けには個別勉強会を3ヶ月に1回実施します(既に1回実施)。社内外の問題事例を詳しく検証するほか、取材やVTR編集時などにおける問題点を研修したり、講師を招いて勉強会を開催することで、スタッフの意識を常に高めるように努めてまいります。

    (3) 情報番組においては政治・経済・事件などを扱うことが多いことから、報道局との連携を一層強める体制を作りました。『サンデージャポン』では報道局で記者経験のあるプロデューサーが、取り上げる項目の選定から取材、編集に至る過程で入念なチェックを行うことに加え、報道局各部のデスクによる原稿チェックや弁護士によるVTR内容のリーガルチェックなどを実施しております。
    そうすることでVTRにおける事実誤認をなくし、VTRを見た出演者が誤解を生じないように、また誤解に伴う発言をしないように配慮しております。

    (4) 出演者に対しては内容面の説明を手厚くするなど事前打ち合わせの時間を長めに取っておりますが、万が一出演者に不適切な発言が出た場合に備えて、サブで制作プロデューサー、番組プロデューサーと番組デスクが共同でチェックを行う体制を整えました。必要と判断すれば、番組内で速やかに訂正や補足説明を行うようにしております。

今回の「決定」を受けて、当社は放送局として今後も視聴者の皆様の信頼を損なわないように取材や制作を適正に行うため、情報制作局のみならず報道局などの制作現場と編成やコンプライアンス室などが連携していく所存です。

以上、貴委員会による委員会決定についての当社の対応と取り組みについて報告させていただきました。

以上

2011年 2月25日

第3回BPO事例研究会を開催

2011年 2月25日

第3回BPO事例研究会は2月4日(金)、千代田放送会館2階ホールで開かれた。事例研究会は、委員会決定への理解を深め、取材や番組制作に生かすとともに放送倫理の向上を図るのが目的。今回のテーマは、(1)咋年8月の「上田・隣人トラブル殺人事件報道」事案の委員会決定を基にした「犯罪被害者と遺族に対する取材と放送上の配慮」、(2)咋年11月に刊行した放送人権委員会「判断ガイド2010」に基づく放送倫理と事例の解説、(3)最近目立つテレビにおける顔無しインタビューについて、の3つ。放送人権委員会の三宅弘委員長代行と山田健太委員の報告を基に、30社89人の出席者が3時間にわたって熱心に意見を交わした。

2011年 3月24日

2011年 3月24日

震災によりBPO委員会の開催予定等を変更

このたびの震災によりBPO委員会の開催予定等を変更しました。
事後の対応は以下のとおりです。

BPOについて放送倫理検証委員会

  • 3月11日(金)の第47回委員会は、3月31日(木)15:00~に変更。
  • 4月8日(金)の第48回委員会は、4月15日(金)17:30~に変更。

BPOについて放送人権委員会

  • 3月15日(火)の第171回委員会は、中止。
  • 次回委員会は、4月19日(火)16:00~に開催。

BPOについて青少年委員会

  • 3月20日(日)の「中高生モニター会議」は、中止。
  • 3月29日(火)の第121回委員会は、中止。
  • 次回委員会は4月26日(火)16:30~に開催。
  • 4月の「青少年へのおすすめ番組」のホームページ掲載は、取り止め。

BPOについてBPOからのお知らせ

  • 3月24日(木)の年次報告会は、中止。
  • 冊子「BPO報告No.94」の発送を3月23日(水)に延期。
  • 新PRスポットは、4月1日(金)の放送開始を、5月1日(日)からに延期。

2009年度 第41号 放送局対応

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第43号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申 立 人    根本英樹、根本良美、根本美知子、根本晋一、根本美香穂
被申立人   株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本
件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のど
を貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」
で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならび
に論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的
被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、
また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは
認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とN
HKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公
平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反する
など重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとること
を勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

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2010年1月12日 委員会決定を受けてのTBSの取組み

全文pdfPDFはこちら

2010年5月6日

2011年5月6日

「BPO報告」年次報告会特集号について

BPOでは、年度末に構成員である放送各社を対象に年次報告会を開催しています。2010年3月25日に行われた「2009年度BPO年次報告会」では、BPO3委員会委員長の講演が行われました。飽戸理事長の開会挨拶とあわせて、講演の内容を公表します。

pdf 「BPO報告」2009年度年次報告会特集号 [PDFファイル]

2010年3月31日

2010年3月31日

理事・事務局長の交代について

当機構の理事・事務局長が4月1日付で、本橋春紀から村澤繁夫氏(現・社団法人日本民間放送連盟事務局次長兼研究所長)に交代することが理事会による書面審議で決定しましたので、お知らせします。村澤繁夫氏の略歴は次のとおりです。

  • 村澤繁夫(むらさわしげお、62歳)
    1947年生まれ。1971年慶応義塾大学経済学部卒。同年、社団法人日本民間放送連盟(民放連)事務局に入り、広報部副部長、研究所主任研究員、編集部長、番組部長などを経て、2004年4月に事務局次長兼企画部長、2008年4月に現職

以上

2010年3月25日

2010年3月25日

放送倫理検証委員会の新委員就任について

4月1日付で新しい委員が就任いたしますので、お知らせします。
BPOの各委員会委員の選任は、第三者性を担保するために、評議員会(議長=半田正夫・青山学院院長代行・常務理事)が行うことになっており、昨年10月9日開催の評議員会にて、下記の通り選任されました。なお上滝徹也委員長代行、市川森一委員、里中満智子委員の3名は、3月末に任期満了となります。

[新委員](五十音順)

  • 香山 リカ(かやま・りか) 精神科医、立教大学現代心理学部教授
    1960年生まれ。東京医科大学卒。学生時代より雑誌などに寄稿。その後も臨床経験を生かして、新聞、雑誌で社会批評、文化批評、書評なども手がけ、現代人の”心の病”について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。著作は『しがみつかない生き方-「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』など多数。
  • 是枝 裕和(これえだ・ひろかず) 映画監督、テレビディレクター
    1962年生まれ。1987年早稲田大学卒業後テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、現在に至る。主なテレビ作品に『しかし・・・』(ギャラクシー賞優秀賞)、『記憶が失われた時・・・』(放送文化基金賞)など。映画監督作品に『誰も知らない』『歩いても歩いても』など。2005年からは立命館大学の客員教授として教壇にも立っている。
  • 重松 清(しげまつ・きよし) 作家
    1963年生まれ。早稲田大学卒業。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞受賞。他の主著に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『きみの友だち』『青い鳥』などがある。
役職 肩書き
委員長 川端 和治(弁護士、大宮法科大学院大学教授)
委員長代行 小町谷 育子(弁護士)
委員 石井 彦壽(東北大学法科大学院教授、弁護士)
委員 香山 リカ(精神科医、立教大学現代心理学部教授)
委員 是枝 裕和(映画監督、テレビディレクター)
委員 重松 清(作家)
委員 立花 隆(評論家)
委員 服部 孝章(立教大学教授)
委員 水島 久光(東海大学教授)
委員 吉岡 忍(作家)

  • 二名の委員長代行のうち一名は、4月の定例委員会にて選任される予定です。
  • 以上

2009年6月30日

2009年6月30日

「BPO報告」年次報告会特集号について

BPOでは毎年度末に、構成員である放送各社を対象に年次報告会を開催していますが、2008年度の年次報告会ではBPO3委員会委員長による総括的な講演が行われました。その記録をホームページ上で公表することにいたしました。

pdf「BPO報告」2008年度 年次報告会特集号 [PDFファイル]

1998年度 第5号 放送局対応

第5号 其枝幼稚園報道

【委員会決定を受けてのNHKの対応】

被申立人のNHKは、「今回の決定では、『放送は取材した事実に基づいたもので、訂正放送の必要性までは認められない』としており、NHKの立場が基本的には受け入れられたものと認識している。しかし、取材の相手方に対して、より細やかな配慮を求められたことについては、その趣旨を真摯に受け止め、今後も放送倫理の徹底に努めていく考えです」とのコメントを出し、以下の番組で委員会決定の主旨を放送した。

10月26日 「ニュース7」で放送(全国)
ラジオニュース(全国)
11月 1日 「あなたの声に答えます」で放送(全国)

以上

2009年3月30日

2009年3月30日

評議員、放送人権委員会と青少年委員会の委員の新任について

4月1日付でそれぞれ新しい評議員と委員が就任いたしますので、お知らせします。
なお、評議員は理事会により放送事業者の役職員以外から選出され、委員は評議員会(議長=生田正輝・慶應義塾大学名誉教授)により放送事業者の役職員以外から選出されました。任期はいずれも3年間です。

1.評議員

〔新評議員〕2名(五十音順)

  • 辻井 重男 (つじい・しげお)
    情報セキュリティ大学院大学学長(3月末まで)、中央大学研究開発機構教授

    1933年生まれ。東京工業大学工学部電気工学コース卒。中央大学研究開発機構教授、東京工業大学名誉教授。工学博士。日本ペンクラブ会員。電子情報通信学会会長、総務省電波監理審議会会長、日本セキュリティ・マネジメント会長、日本学術会議会員等歴任。電子情報通信学会論文賞、業績賞、功績賞等受賞。IEEE Life Fellow, 第三千年紀記念賞受賞。総務省「電波の日」総務大臣表彰(2003年度)。日本放送協会「第55回放送文化賞」受賞(2004年)。2006年度高柳記念賞受賞。内閣官房「情報セキュリティの日」功労者表彰(2007年)。主な著書に『暗号-ポストモダンの情報セキュリティ』(講談社 メチエ選書)、『暗号と情報社会』(文藝春秋社)、『電子社会のパラダイム』(新世社)など。

  • 藤原 作弥 (ふじわら・さくや)
    ジャーナリスト、元日本銀行副総裁

    1937年生まれ。東京外国語大学外国語学部フランス学科卒。1962年時事通信社入社、その後、オタワ特派員、ワシントン特派員などを経て解説委員長を務めた。1998年~2003年日本銀行副総裁 。2003年~2007年日立総合計画研究所社長。著書の『聖母病院の友人たち』(新潮社、のち現代教養文庫)で「日本エッセイストクラブ賞」を受賞。このほか主な著書に『死を看取るこころ』(講談社)、『素顔の日銀副総裁日記』(集英社)、『この国の姿 藤原作弥のマルチ・エッセイ』(愛育社)など。

〔4月1日以降の評議員名簿〕(五十音順)

役職 名前 肩書き
評議員 篠田 正浩
映画監督、早稲田大学特命教授
評議員
辻井 重男
情報セキュリティ大学院大学学長(3月末まで)、
中央大学研究開発機構教授
評議員
半田 正夫
青山学院常務理事、元青山学院大学学長
評議員
福原 義春
株式会社資生堂名誉会長
評議員
藤原 作弥
ジャーナリスト、元日本銀行副総裁
評議員
堀部 政男
一橋大学名誉教授
評議員
三浦 朱門
作家

※生田正輝・評議員会議長、西澤潤一・評議員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※評議員会議長は、評議員の互選により2009年度第1回会合(日程未定)で選任される予定です。

2.放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)

〔新委員〕 5名(五十音順)

  • 大石 芳野 (おおいし・よしの)
    写真家

    1943年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。卒業と同時にフリーランスとなり40年余りになる。ドキュメンタリー写真。主な作品(写真集)は『沖縄に活きる』、『夜と霧は今』、『カンボジア苦界転生』、『ベトナム凜と』、『アフガニスタン戦禍を生きぬく』、『子ども戦世のなかで』、『黒川能の里 庄内にいだかれて』『<不発弾>と生きる 祈りを織るラオス』ほか。日本放送協会「第57回放送文化賞」(2005年)、芸術選奨、土門拳賞、日本放送協会賞、エーボン女性大賞、紫綬褒章、ほかを受賞。

  • 樺山 紘一 (かばやま・こういち)
    印刷博物館館長

    1941年生まれ。歴史家。1965年東京大学卒。東京大学文学部教授、国立西洋美術館長などを経て現職。東京大学名誉教授。NHK教育テレビ『人間大学』講師、テレビ朝日『やじうまワイド』のコメンテーターなどを務めた。現在、東京都文京区教育委員長など。主な著作に『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『旅の博物誌』など。

  • 小山 剛 (こやま・ごう)
    慶應義塾大学教授

    1960年生まれ。慶應義塾大学法学部・大学院法務研究科(法科大学院)教授。博士(法学)。専門分野は憲法学、特に基本的人権。著書に『基本権保護の法理』(成文堂、田上穣治賞)、『基本権の内容形成――立法による憲法価値の実現』(尚学社)、『「憲法上の権利」の作法』(尚学社)、『市民生活の自由と安全』(共編著、成文堂)、『論点探求憲法』(共編著、弘文堂)、『プロセス演習 憲法』(共編著、信山社)など。

  • 坂井 眞 (さかい・まこと)
    弁護士

    1957年生まれ。早稲田大学法学部卒。東京弁護士会人権擁護委員会報道と人権部会員、日弁連人権擁護委員会人権と報道に関する調査研究部会委員。2001年に報道被害救済弁護士ネットワークの設立に参加し、代表を務めた。最近の共著に『裁判員制度と知る権利』(現代書館)、『安部英医師「薬害エイズ事件」の真実』(現代人文社)、『人権を考える本⑥情報・報道と人権』(岩崎書店)など。

  • 田中 里沙 (たなか・りさ)
    株式会社宣伝会議 編集室長

    1966年生まれ。学習院大学卒。広告会社を経て、広告マーケティングの専門誌「宣伝会議」の編集部へ。企業宣伝部、メディア、広告会社などの取材を担当。1995年「宣伝会議」編集長、2002年より「環境会議」「人間会議」の編集長を兼任し、2007年取締役編集室長。テレビやCMに関するコラムを新聞に執筆。メディア・広告関連のシンポジウムなどの企画・コーディネーターを務める。行政、官公庁の広報アドバイザーとしても活動。メディア・広告関連のシンポジウムなどの企画・コーディネーター、政府広報事業評価基準等検討会、中央環境審議会委員などを務める

〔4月1日以降の委員名簿〕 (五十音順)

役職 名前 肩書き
委 員
大石 芳野
写真家
委 員
樺山 紘一
印刷博物館館長
委 員
小山  剛
慶應義塾大学教授
委 員
坂井  眞
弁護士
委 員
武田  徹
ジャーナリスト、評論家、恵泉女学園大学教授
委 員
田中 里沙 株式会社宣伝会議 編集室長
委 員
堀野  紀 弁護士
委 員
三宅  弘 弁護士
委 員
山田 健太 専修大学准教授

※竹田稔委員長、五代利矢子・委員長代行、右崎正博委員、崔洋一委員、中沢けい委員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※委員長は委員の互選により、委員長代行は委員長の指名により、2009年度第1回会合(4月21日開催)で選任される予定です。

3.放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

〔新委員〕 4名(五十音順)

  • 加藤 理 (かとう・おさむ)
    東京成徳大学准教授

    1961年生まれ。早稲田大学大学院教育学専攻修了。子どもの文化と子どもに関して歴史的に研究。日本児童文学学会理事。1988年日本児童文学学会25周年記念論文賞、1997年日本児童文学学会奨励賞をそれぞれ受賞。主な著書に『「ちご」と「わらは」の生活史』(慶應義塾大学出版会)、『<めんこ>の文化史』、『「北の国から」の父と子』(久山社)、『駄菓子屋・読み物と子どもの近代』(青弓社)ほか。

  • 汐見 稔幸 (しおみ・としゆき)
    白梅学園大学学長

    1947年生まれ。東京大学教育学部卒。東京大学大学院博士課程単位取得退学。教育学者。駒澤大学文学部講師を経て1984年より東京大学教育学部勤務。東京大学大学院教授を経て2007年より白梅学園大学に勤務。現在学長。東京大学名誉教授。専門分野は教育人間学、育児学。中教審委員など。主な著書に『子どものサインが読めますか』(女子パウロ会)、『「教育」からの脱皮』(ひとなる書房)『親子ストレス』(平凡社)など。

  • 萩原 滋 (はぎわら・しげる)
    慶應義塾大学教授

    1948年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了(文学博士)。千葉大学文学部講師、助教授を経て、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授。専門分野は社会心理学、メディア研究。近著は『変容するメディアとニュース報道』(丸善、2001年)、『テレビと外国イメージ』(勁草書房、2004年)、『テレビニュースの世界像』(勁草書房、2007年)など。

  • 渡邊 淳子 (わたなべ・じゅんこ)
    弁護士

    1953年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。OLを経て1983年弁護士登録。東京弁護士会子どもの人権救済センター相談員。東京都児童福祉審議会委員。子どもの人権、特に児童虐待に取り組む。著書に『児童虐待〔臨床編〕』(斎藤学編、金剛出版)。

〔4月1日以降の委員名簿〕 (五十音順)

役職 名前 肩書き
委 員 小田桐 誠 ジャーナリスト
委 員 加藤  理 東京成徳大学准教授
委 員 軍司 貞則 ノンフィクション作家
委 員 境 真理子 桃山学院大学教授
委 員 汐見 稔幸 白梅学園大学学長
委 員
萩原  滋
慶應義塾大学教授
委 員 渡邊 淳子 弁護士

※大日向雅美委員長、橋元良明副委員長、是永論委員、山田由紀子委員は3月末をもって任期満了により、退任されます。
※委員長は委員の互選により、副委員長は委員長の指名により、2009年度第1回会合(4月28日)で選任される予定です。

2009年1月9日

2009年1月9日

評議員の新任について

1月1日付で堀部政男氏(一橋大学名誉教授)が評議員に就任しましたので、お知らせします。
濱田純一氏が当機構理事に就任したことに伴い、2008年10月31日付で評議員を辞任され、欠員が生じていました。

堀部氏の略歴は次のとおり。

堀部政男氏(一橋大学名誉教授)
1936年生まれ。東京大学大学院社会科学研究科基礎法学修士課程修了(東京大学法学修士)、一橋大学法学博士。東京大学助手を経て、1966年から一橋大学で専任講師、助教授、教授、法学部長・大学院法学研究科長など歴任。1997年~2007年中央大学教授。1999年~2005年まで日本放送協会経営委員会委員。

2008年10月31日

2008年10月31日

放送事業者外理事の選任について

当機構では、独立した第三者機関として運営の透明性、第三者性をよりいっそう高めるために、放送事業者の役職員以外から理事を起用する方針を5月に開催した本年度第1回理事会で決め、人選を進めてまいりました。このほど、新たに理事にご就任いただく方々が以下のように決まりましたので、お知らせいたします。
当機構の理事長は、これまでも放送事業者の役職員およびその経験者以外の者が務めていましたが、理事については放送事業者の役職員等の関係者のみが就任していました。今回、(1)放送事業者の役職員以外の理事3名を新たに理事長が選任する、(2)NHK、民放連選任の理事を各3名と定める――ことを骨子とする規約の改正を11月1日付で行いました。

  • 黒川光博氏
    (株式会社虎屋代表取締役社長)=11月1日付就任

    1943年生まれ。1966年学習院大学法学部法学科卒。株式会社富士銀行(現みずほ銀行)勤務を経て、1969年株式会社虎屋入社、1991年株式会社虎屋代表取締役社長、株式会社虎玄代表取締役社長。現在、社団法人日本専門店協会会長、東京和生菓子商工業協同組合理事長、全国和菓子協会会長、全日本菓子協会副会長、東京ロータリークラブ会長などを務める。

  • 濱田純一氏
    (東京大学大学院情報学環教授)=委嘱手続き中

    1950年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科公法専門課程博士課程修了。東京大学新聞研究所教授、同情報研究所所長、同大学院学際情報学府長などを経て、2005年現職。主な著書に『情報法』『メディアの法理』など。

  • 藤久ミネ氏
    (評論家)=11月1日付就任

    1934年生まれ。早稲田大学文学部卒。朝日放送株式会社編成局制作部ディレクターなどを経て、中部大学教授、目白大学教授(専攻-コミュニケーション論)。2005年目白大学定年退職。現在、NPO法人放送批評懇談会理事。訳書に『オンリー・イエスタディ』『シンス・イエスタディ』(いずれもF.Lアレン著)。著書に『放送文化論』(共著)、『おんなの原風景』(編著)、『美しいことばの抽きだし』(PHP研究所)など。

以 上

【参考】BPO規約の主な改正条項 

※斜体が改正点

(役 員)

第8条
本機構に、次の役員をおく。
(1) 理事長 1名
(2) 理事 9名
(3) 監事 2名

2 理事のうち1名を専務理事、1名を事務局長とする。
(役員の選任)

第9条
理事長は、構成員が推薦する放送事業者の役職員およびその経験者以外の者から、理事会で選任する。
2 理事のうち3名は、放送事業者の役職員以外の者から、理事長が選任する。
3 第2項によって選任される以外の理事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ3名を選任する。
4 監事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ1名を選任する。
5 
専務理事および事務局長は、理事会において選任する。

(役 員)

第8条
本機構に、次の役員をおく。
(1) 理事長 1名
(2) 理事 8名以内(偶数)
(3) 監事 2名

2 理事のうち1名を専務理事、1名を事務局長とする。
(役員の選任)

第9条
理事長は、構成員が推薦する放送事業者の役員、従業員およびその経験者以外の者から、理事会で選任する。
2 理事および監事は、日本放送協会および日本民間放送連盟が、それぞれ同数を選任する。
3 専務理事および事務局長は、理事会において選任する。

2008年7月3日

2008年7月3日

「放送と人権等権利に関する委員会」の略称の変更について

BPOの「放送と人権等権利に関する委員会」について、これまで「BRC」との略称を使用してきましたが、2008年7月1日以降、同略称の使用を取りやめ、「放送人権委員会」との略称を使用することにしましたので、お知らせします。
「BRC」の略称は、11年前に同委員会が設置されたときから通称として使用してきたものです。しかし5年前にBPOに属するひとつの委員会となってから、BPOとBRCの略称がよく似ており、混同して分かりずらいという指摘が寄せられていました。
今後、同委員会については、下記のとおり、「放送人権委員会」の略称に変更します。

<これまで>

(正式名称) 放送と人権等権利に関する委員会
(略  称) BRC

<2008年7月1日以降>

(正式名称) 放送と人権等権利に関する委員会[変更なし]
(略  称) 放送人権委員会

2008年6月15日

2008年6月15日

シンポジウム「事件報道と開かれた司法」を5月30日に開催

BPOと東京大学大学院情報学環との共催によるシンポジウム「事件報道と開かれた司法」が5月30日(金)午後2時から東京大学構内にある情報学環・福武ホールで開催された。参加者は全国の放送局や新聞・雑誌などのマスコミ関係者、最高裁・日弁連など法曹関係者、東京大学をはじめとした研究者や各大学の学生など263人に上った。会場の福武ホールに加え、別に用意したモニター室も満席となり、熱心な議論は4時間に及んだ。(新聞、放送各社からの取材は16社24名)

このシンポジウムは、放送倫理検証委員会が光市事件の裁判報道や香川県坂出市の殺害事件報道、そしてこれらの報道のあり方と裁判員制度を討議する中で企画され、委員会が発足して1年が経過したタイミングを捉えて開催されたもの。パネリストは東京大学理事・副学長の濱田純一氏、評論家で放送倫理検証委員の立花隆氏、NHK解説委員の友井秀和氏、テレビ朝日報道担当取締役の渡辺興二郎氏、毎日新聞論説委員の三木賢治氏の5人で、コーディネーターは作家で放送倫理検証委員の吉岡忍氏が務めた。まず、川端和治委員長から「それぞれの立場の方から率直な意見交換をしていただき、今後の委員会の議論に役立てたい」とあいさつがあった。

シンポジウムは、過去に報道のあり方が問われた「松本サリン事件」「和歌山カレー事件」などの映像上映から始まった。

マスコミ側のパネリストからは、メディア・スクラムについて、「VTRカメラの小型軽量化により、番組毎に取材班が組めるようになった技術的・経済的側面が原因のひとつ」としてあげられ、「最近の取材においては携帯電話が大きな役割を果たす」(渡辺氏)現状も示された。「最近の事件報道は秘密保持を理由に取材が難しくなり、警察側の記者会見が主な取材源になるので画一化し、記者の独自性が失われてしまう」(三木氏)傾向が指摘された。更に、「表現の自由を危うくしているのは、むしろテーマによって自己規制したり徹底的な取材を行おうとしないマスコミ自身の姿勢に原因があるのではないか」(立花氏)との指摘がなされた。

また、事件報道が裁判員制度下の裁判員に予断を与える問題について議論が及び、特別参加した最高裁事務総局総括参事官の平木正洋氏が意見を述べた。

平木氏からは、同氏が昨年のマスコミ倫理懇談会全国大会で行った講演において、事件報道が与える予断について「捜査機関が取得した情報をあたかも真実であるかのように報道することには問題がある」など7項目の懸念を示したことについて、「一切報道してはいけないということではなく、公正な裁判の確保に配慮が必要だというのが趣旨である」との説明がなされた。

公正な裁判の確保と報道の自由とのバランスについては、「ポイントを絞って報道すると全体が見え難くなる。縮小均衡ではなく拡大均衡が正しい方向」(友井氏)、「メディアは、できるだけ多くの判断材料になる情報を提供するしかない」(三木氏)、「情報量の不足こそが予断や偏見を生む」(渡辺氏)といった発言があり、更に「べからず集を作ったりマニュアル化すべき問題ではない。報道全体として捉えるべきで、広く深い議論が大切」(濱田氏)、「これまでの裁判、法曹界にも問題がある中で報道のあり方だけを問うのはどうか」(立花氏)との意見が出された。

後半は、光市母子殺害事件の裁判報道に関する放送倫理検証委員会の「意見」をもとに小町谷育子委員長代行よる「視聴した放送が一様に被害者対弁護団の図式に見えてしまうことの不可解さ」「訴訟指揮が裁判所にあることを忘れたようなコメント、弁護士の役割に関する法律的基礎知識の欠如」などの問題提起から始まった。

報道する側からは、「事件発生後は捜査側の情報が多くなることはやむを得ないが、新たな制度下では、公判前整理、弁護側冒頭陳述などもあるので被告・弁護側情報を厚くしバランスをとることで公正性確保をめざす」(友井氏)、「裁判員の取材まで含め、徹底的に調べるという取材のやり方は変えてはいけない」(渡辺氏)といった発言があったが、「報道の自由は、法廷侮辱罪があっても挑戦する英国のメディア界のように、時には法に背いてでも報道するという緊張関係の中で確保できるもの」(濱田氏)という指摘や「『民の声は天の声』というのが裁判員制度だが、今は法曹界もメディア界もその認識があるのか疑問。かつてロッキード裁判で元首相が涙を流した姿をどこのメディアもちゃんと伝えなかった。司法はもちろんだが、報道する側も、社会的にプロフェッショナルに徹することが今こそ求められている」(立花氏)との提言がなされた。

最後にコーディネーターの吉岡氏が「今日のテーマは答えのない問題であるが、今後は司法に関する情報公開のルール作りが必要になるだろう。メディアと法曹三者が共同でそのルールをどう作っていくかが課題である」とシンポジウムを締め括った。

閉会にあたって、東京大学の吉見情報学環長が挨拶に立ち、「このシンポジウムは大学とメディア(BPO)との新しい連携の第一歩、キックオフである」と述べた。

2008年6月10日

「高裁判決報道の公平・公正問題」事案の委員会決定を通知・公表

2008年6月10日

放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)は2008年6月10日、「高裁判決報道の公平・公正問題」事案についての委員会決定を申立人、被申立人双方に通知した後、公表しました。2007年1月に申立てを受理し、2月から審理を続けてきたものです。

この事案は、「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの代表が、2007年1月にNHKで放送された『ニュースウオッチ9』において、「2001年放送された『ETV2001』シリーズ『戦争をどう裁くか』の第2回『問われる戦時性暴力』について東京高裁が判決を言い渡したニュースの中で、番組に政治家の介入があったかどうか等について『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道したことは、公平原則に照らして許されるものではないし、放送倫理にも違反していた」としてBRCに申立てがあったものです。BRCの決定は、27事案・36号目となります。

<委員会決定はこちら>

2008年6月5日

2008年6月5日

『BRC判断基準2008』発刊について

『BRC判断基準2008』が5月16日発行された。BRCは、1997年5月の発足以来これまで11年間に26事案35件の決定を出したが、これら決定の中で示された判断基準100余項目を、取材、編集、放送、権利侵害等のカテゴリーごとに整理した。
2年半前に発行された『BRC判断基準2005』以降、さらに10事案の決定があり、判断基準は40項目ほど追加されている。
新たに、「政治評論の自由」、「バラエティー番組における名誉毀損」、「ラ・テ欄表記と放送倫理」などの判断基準が盛り込まれたほか、「隠しカメラ・隠しマイク使用の許容範囲」や「肖像権侵害と違法性の阻却」についても、より多くの事例が示されている。
「放送倫理違反などを指摘された事案」についても整理して、その判断基準を列挙した。
また、判断基準の裏づけとなる放送法等の法規や最高裁判例なども参考資料として追記し、利用者の便を図っている。
BPO加盟各社や放送関係者に、一定部数を配布したが、別途社員教育などで多めの入手を希望される社には、実費(一冊600円)で頒布し、放送研究者や一般視聴者からの購入希望にも応じることにしている。

2008年4月7日

2008年4月7日

評議員の新任について

4月1日付で、篠田正浩氏(映画監督、早稲田大学特命教授)、福原義春氏(株式会社資生堂名誉会長)のおふたりが評議員に就任しましたので、お知らせします。

昨年10月に津村節子氏、本年2月に堤清二氏が評議員を辞任されたため、補充を行ったものです。

2008年3月31日

2008年3月31日

BPOの活動に関する視聴者対象調査 結果の概要

放送倫理検証委員会と放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)に、4月1日付で新しい委員が就任いたしますので、お知らせします。

BPOの3つの委員会委員の選任は、第三者性を担保するために、評議員会(議長=生田正輝・慶應義塾大学名誉教授)が行うことになっており、今回も3月3日開催の評議員会により選任されました。

1. 放送倫理検証委員会

〔新委員〕

水島久光(みずしま・ひさみつ)
東海大学文学部教授

1961年生まれ。1984年3月慶応大学経済学部卒。旭通信社(現ADK)でマーケティングを担当した後、「infoseek」の日本法人設立に参加。編成部長を務める。2001年に「infoseek」退社後、(社)日本広告主協会Web広告研究会事務局を務めながら、東京大学大学院学際情報学府で「情報学」を学ぶ。2003年4月に東海大学助教授、2008年4月からは教授。主な著書に『閉じつつ、開かれる世界 メディア研究の方法序説』(勁草書房)。

〔4月1日以降の委員名簿〕(五十音順)

  • 委員長 川端和治(弁護士、大宮法科大学院大学教授)
  • 委員長代行 上滝徹也(日本大学教授)
  • 委員長代行 小町谷育子(弁護士)
  • 委員 石井彦壽(東北大学法科大学院教授、元仙台高裁部総括判事)
  • 委員 市川森一(脚本家)
  • 委員 里中満智子(マンガ家)
  • 委員 立花 隆(評論家)
  • 委員 服部孝章(立教大学教授)
  • 委員 水島久光(東海大学教授)
  • 委員 吉岡 忍(作家)

2.放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

〔新委員〕

境 真理子(さかい・まりこ)
桃山学院大学国際教養学部教授

1952年生まれ。1974年藤女子大学卒業後、北海道テレビ入社。ニュースやドキュメンタリー制作に携わる。1980年休職してアメリカ・ウィスコンシン州立大学大学院ジャーナリズム研究科に留学(1年半)。1985年には、ドキュメンタリー「ロウ管をうたった」で、地方の時代映像祭・優秀賞を受賞。1994年東京メトロポリタン・テレビジョンに移籍。2001年日本科学未来館の開館準備に参加、メディア設計グループの主任研究員(シニアリサーチャー)を務める。2005年4月江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授、2008年4月から現職。

「地方の時代映像コンクール」ドキュメンタリー審査委員、「日本民間放送連盟賞」審査員、総務省メディア・リテラシー教材の委員会委員なども務める。

主な著書に、『メディアリテラシーの道具箱 テレビを見る・つくる・読む』東京大学大学院情報学環・日本民間放送連盟(編)共著、『送り手たちの森~メディアリテラシーが育む循環性~』(NIPPORO文庫・共同執筆)など。

〔4月1日以降の委員名簿〕(五十音順)

  • 委員長 大日向雅美(恵泉女学園大学教授)
  • 副委員長 橋元良明(東京大学大学院情報学環教授)
  • 委員 小田桐 誠(ジャーナリスト)
  • 委員 軍司貞則(ノンフィクション作家)
  • 委員 是永 論(立教大学准教授)
  • 委員 境 真理子(桃山学院大学教授)
  • 委員 山田由紀子(弁護士)

2007年10月25日

BPO青少年委員長交代および「斎藤次郎氏解嘱に対する青少年委員会の対応」について

2007年10月25日

斎藤次郎・BPO放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)副委員長が大麻取締法違反で逮捕・起訴され、委員を解嘱(10月3日付)されたことを受けて、青少年委員会は10月9日および10月23日の会合で、対応を協議しました。

その結果、下記のとおり、青少年委員会としての考え方のとりまとめが行われました。この文書にありますとおり、本田和子・青少年委員会委員長は23日、委員長を辞することを表明するとともに、委員辞職願いをBPOに提出されました。

このため、23日の青少年委員会では、本田和子氏の委員長辞任を受けて、新しい委員長として大日向雅美委員(恵泉女学園大学教授)を互選により選出しました。また、大日向新委員長の指名により橋元良明委員(東京大学大学院情報学環教授)が副委員長に新たに就任しました。本田委員長の委員辞任届けにつきましては、本日(25日)付けで受理しました。

2007年10月23日

「斎藤次郎前委員の解嘱」に当たっての青少年委員会の対応

放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送と青少年に関する委員会委員長 本田 和子

今回の斎藤次郎前委員の「大麻取締法違反」疑惑をめぐる一連の出来事に対して、当委員会としては、心から遺憾の意を表明する。

そして、視聴者および放送業界など関係方面の委員会に対する信頼の失墜を憂え、一日も早いその回復を願って、以下の対応を試みるものである。

今回の事態への対処として、当委員会は、委員長の自発的辞任と交替という自浄措置により、「結果責任」の一端を明らかにしようと考える。

当委員会は、これまで、委員会設立の理念と与えられた目標に即して、視聴者意見と制作者側との回路形成という責務を忠実に履行してきたが、以後、委員長交替による新体制の下、一層、その責務がまっとうされ、関連各位の信頼と期待に応え得ることを切望している。

2007年10月3日

2007年10月3日

斎藤次郎・放送と青少年に関する委員会副委員長の解嘱について

BPOの放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)委員の解嘱について、下記のとおり、お知らせいたします。

斎藤次郎・放送と青少年に関する委員会副委員長 委員の委嘱を解く

*斎藤氏は、9月21日に大麻取締法違反により現行犯で逮捕され、10月1日に同法違反により起訴されています。
*本件につきましては、9月26日付で飽戸弘理事長のコメントを公表しております。

2007年10月2日

2007年10月2日

BPO・新スポットの放送開始について

このたびBPOでは新たにスポットを制作しました。
このスポットは、CG(コンピューター・グラフィック)を用いて、「みんなでテレビ(ラジオ)を良くしていこう!」という気持ちをこめて制作したものです。
テレビ(ラジオ)を模したキャラクターが登場して、「放送に、人権や青少年への配慮、放送の真実性に欠けるところはありませんよね?」と語りかける内容となっています。
BPOの「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」と「放送と青少年に関する委員会」に加えて、今年(2007年)5月に新たに発足した「放送倫理検証委員会」についても、合わせて紹介しています。
全国の民間放送各社とNHKにて、平成19年10月1日から放送を始めました。

○「BPO告知スポット」

  • 〔テレビ〕・「うちのテレビがナンか言ってます編」 30秒版、15秒版
  • 〔ラジオ〕・「うちのラジオがナンか言ってます編」 40秒版、20秒版

2007年9月26日

2007年9月26日

放送と青少年に関する委員会の斎藤副委員長の逮捕について

BPOの「放送と青少年に関する委員会」(青少年委員会)の斎藤次郎副委員長が9月21日、大麻取締法違反で埼玉県警察本部に現行犯逮捕されました。斎藤氏には2004年度から青少年委員会委員を務めていただき、2005年度からは副委員長に就任いただいておりました。

BPOとしては、今回の事件を極めて重大なことと受け止めております。

逮捕理由が事実であるとすれば、斎藤氏が青少年委員会の副委員長、委員の立場にとどまることは許されないことであると考えますし、また、不適切な選任を行ったことについてBPOとして深く反省をしています。現在、斎藤氏は刑事手続き中でありますが、できるだけ早くこの問題についてBPOとしての決定を行いたいと考えております。

放送倫理・番組向上機構[BPO]
理事長 飽 戸 弘

2007年8月9日

2007年8月29日

放送と人権等権利に関する委員会(BRC)と放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)の新しい委員について

9月1日付けで、下記のとおり、BRCと青少年委員会に新たな委員にご就任いただくことになりましたので、お知らせいたします。
BPOの3つの委員会の選任は、第三者性を担保するために、評議員会(議長=生田正輝・慶應義塾大学名誉教授)が行うことになっており、今回も評議員会の選任により新委員を決定いたしました。

1.放送と人権等権利に関する委員会(BRC)

7月1日から運営規則を改め、「公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの申立て」「一定の要件を満たした団体からの苦情申立て」などを新たに審理対象とすることにいたしました。苦情申立て件数が増加することが想定されるため、委員1名の増員を図りました。

〔新委員〕

山田健太(やまだ・けんた)
専修大学文学部准教授

1959年、京都生まれ。専門は言論法、ジャーナリズム論、人権法。日本出版学会理事、日本マス・コミュニケーション学会理事、日本ペンクラブ理事・言論表現委員会委員長ほか。主著に『法とジャーナリズム』(学陽書房)、『マス・コミュニケーション概論』(学陽書房、共著)、『刑事裁判と知る権利』(三省堂、共著)ほか。

〔BRC委員名簿〕

2.放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

青少年委員会委員は、BPO規約第35条に基づき、放送事業者の役職員以外から選任することになっておりますが、鈴木秀美委員が関西テレビ放送の社外取締役に就任することが決まり、6月15日付で同委員を辞任いたしました。このため委員の補充選任を行いました。

〔新委員〕

小田桐 誠(おだぎり・まこと)
ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。1977年3月亜細亜大学法学部卒業後、日本実業出版社入社。1979年7月同社退社。『週刊現代』『現代』『AERA』『宝石』などで、教育、事件、人物ルポ等の記事を執筆する。80年代後半から、放送メディア関連のレポートを数多く発表。著書に『テレビのからくり』『PTA改造講座』『企業脅迫!-グリコ・森永事件の構図』などがある。子どもが通った小・中学校のPTA会長を務め、長年区教育委員会委嘱の学校運営協議会委員の職にある。2004年6月から「GALAC」編集長。現在、法政大学社会学部、武蔵大学社会学部の兼任講師も務める。

〔青少年委員名簿〕

2010年度 第46号

「大学病院教授からの訴え」事案

委員会決定 第46号 – 2011年2月8日 放送局:テレビ朝日・朝日放送

見解:放送倫理上問題あり
テレビ朝日・朝日放送の報道番組『サンデープロジェクト』で2010年2月に放送した「密着5年 隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」の特集に対して、大学病院教授が、自分が直接当事者ではなかった過去の出来事に関連して、事前の同意を得ることなく取材を強行されたことや番組で実名や取材映像を使用されたのは人格権の侵害だと訴えた事案。

2011年2月8日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第46号

申立人
A
被申立人
株式会社テレビ朝日・朝日放送株式会社
苦情の対象となった番組
『サンデープロジェクト』
(毎週日曜日 午前10時~11時45分、2010年3月終了)
放送日時
2010年2月28日(日)(番組の後半の特集 約34分)
「密着5年 隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」

本決定の概要

本件は、報道番組『サンデープロジェクト』の中の「密着5年 隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」と題する特集コーナーの後半部分で、1998年に金沢大学附属病院で起きた「患者の同意なき臨床試験」をめぐる裁判と大学病院側の対応等を取り上げたこと、および事前の同意を得ることなく「直撃取材」を行ったことに対して、この取材を受け、また番組で実名および取材映像を使用された金沢大学附属病院産婦人科学講座の教授である申立人が、人格権侵害等の違法と放送倫理違反を申し立てたものである。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「委員会」という)は、結論として、本件取材には人格権侵害の違法性は認められないが、放送内容には、企画意図は理解できるものの、放送倫理上の問題および表現上の問題があると判断した。とりわけ問題となるのは、番組のインタビュー部分における申立人の扱いと、「患者の同意なき臨床試験」をめぐる裁判の紹介の仕方である。本件放送における申立人インタビュー部分の取り上げ方は、真実性の追求や反論の機会の確保とはほど遠いものであり、また、「患者の同意なき臨床試験」をめぐる裁判結果の紹介は、上訴審以降の経過を捨象し、その結果を誤り伝えたため、裁判所も患者が実験目的を主とした臨床試験の対象にされたと認定したかのような不正確なものになっているとの批判を免れない。これらについて委員会は、放送倫理上の問題があると判断した。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

I.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁の要旨

II.委員会の判断

  • 1.審理の対象
  • 2.実名・映像の使用による人格権侵害
  • 3.取材上の問題点
  • 4.放送内容の問題点

III.結論と措置

IV.審理経過

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2011年6月20日【委員会決定を受けてのテレビ朝日・朝日放送の取組み】

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2011年7月4日【「委員会決定を受けての取り組み」に対する意見】

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2010年度 第45号

「機能訓練士からの訴え」 事案

委員会決定 第45号 – 2010年9月16日 放送局:TBSテレビ

見解:問題なし
TBSの報道番組『報道特集NEXT』が2009年4月と11月に放送した車イスの少女の普通中学校入学をめぐる問題を扱った特集について、映像に登場した少女の機能訓練士が無断で訓練の映像を使用されたとして肖像権や名誉、財産権等の侵害を訴えた事案。

2010年9月16日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第45号

申立人
(有)A
B
C
被申立人
株式会社TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『報道特集NEXT』
(毎週土曜日午後5時30分~6時50分)
放送日時
2010年2月28日(日)(番組の後半の特集 約34分)
(1) 2009年4月11日
特集「車イスの少女が入学できない訳」19分20秒
(2) 2009年11月7日
特集「Dさん入学・・・豊かな教育」24分10秒

本決定の概要

TBSテレビ(以下「被申立人」という)は、報道番組『報道特集NEXT』において、2009年4月11日に特集「車イスの少女が入学できない訳」を、2009年11月7日に特集「Dさん入学・・・豊かな教育」を放送した。これらの番組は、普通小学校に通うことができた少女がなぜ普通中学校に通うことができないのかという企画意図に基づくものであったが、番組中、(有)A(以下「A」という)の代表者であるB氏、同社員であるC氏(以下三者をあわせて「申立人ら」という)が少女に機能訓練を行う映像が放送された。この映像は少女の両親が撮影したものであった。
申立人らは、4月11日の放送については、事前にB氏C氏両名の肖像を使用することについて被申立人が了解を得ておらず肖像権侵害にあたるとしたほか、申立人らの名誉、財産権(特許技術)、著作権、営業権を侵害したものと主張した。11月7日の放送については、放送前に被申立人から連絡があり一応の許諾を与えたものの、その後許諾を与えた前提に反する対応があったことから、結局、B氏C氏両名の肖像権、申立人らの名誉、財産権(特許技術)、著作権、営業権を侵害したものであり、いずれの放送も申立人らの活動を曲解させ、または、不法な説明があり、申立人らの活動を阻害するもので、申立人らの被申立人に対する善意を踏みにじるものであるとして、申立てに及んだ。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「委員会」という)は審理の結果、以下の理由により、本件放送内容については名誉、肖像権等の権利侵害はなく、また、放送倫理違反にあたる点も認められないと判断した。
まず、B氏C氏両名の肖像の使用については、4月11日の放送については事後の承諾が与えられており、11月7日の放送については事前の承諾が与えられているので、いずれも肖像権の侵害があったとはいえない。また、放送において視聴者に申立人らの活動を曲解させるような内容や不法な説明があり、そのことによって申立人らの活動を阻害した事実は認められず、そのほか、申立人らとの対応のうえで、被申立人において申立人らの善意を踏みにじる行為があったとする点もこれを認めることができなかった。
ただし、被申立人においては肖像にかかわる権利処理について軽率なところがあり、その点において報道される側に対する配慮に欠けた部分があったと考えるので、この点については、今後の放送の糧として欲しい。
なお、財産権(特許技術)、営業権に関わる部分については、委員会の審理の対象とはならないので判断しない。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

I.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁の要旨

II.委員会の判断

  • 1.申立ての要旨(1)について
  • 2.申立ての要旨(2)について
  • 3.申立ての要旨(3)について
  • 4.申立ての要旨(4)について

III.結論

IV.審理経過

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2010年度 第44号

「上田・隣人トラブル殺人事件報道」

委員会決定 第44号 – 2010年8月5日 放送局:テレビ朝日

見解:放送倫理上問題あり(意見付記)
テレビ朝日は、2008年12月の『報道ステーション』において、長野県上田市で夫婦が殺害され隣家の男が逮捕された事件を特集で取り上げた。この放送について、遺族が、夫婦が長年にわたって加害者やその親族に嫌がらせをしてきたことが、殺害の動機を形成したかのような事実に反する内容だったとして、名誉毀損などを訴えた事案。

2010年8月5日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第44号

申立人
A
被申立人
株式会社 テレビ朝日
苦情の対象となった番組
『報道ステーション』
(月~金 午後9時54分~11時10分)
特集「身近に潜む境界トラブルの悲劇 住宅地の惨劇はなぜ起きた」
放送日時
2008年12月23日(火)午後10時48分過ぎから約15分間

本決定の概要

テレビ朝日は、2008年12月23日放送の『報道ステーション』において、同年11月に長野県上田市で夫婦が殺害され、隣家の男が逮捕された事件を取り上げ、特集「身近に潜む境界トラブルの悲劇 住宅地の惨劇はなぜ起きた」(以下「本件放送」という)を放送した。
これに対して、申立人は、(1)本件放送において、申立人の両親である被害者夫妻が長年にわたって加害者やその親族に対して嫌がらせをしてきたことが加害者の殺害の動機を形成したかの真実に反する内容が放送されたことによって、被害者夫妻およびその子供である申立人自身の名誉が毀損され、あるいは申立人の被害者夫妻に対する敬愛追慕の情が侵害された、また、(2)本件放送が近隣住民から聴取した内容の真実性等に十分配慮することなくそのまま放送したことは、事実を正確に、かつ公平に報道すべきであるという放送倫理に違反すると主張して、放送内容の訂正と謝罪を求めて本件申立てを行った。
審理の結果、被害者夫妻が、自分の土地に加害者の車が入ることを嫌がって、加害者自宅から公道へ出るために通過する路地の屈曲箇所付近に障害物を置いて通行を妨害しようとした事実、また、事件当日、障害物を置いた上で、被害者(妻)が加害者の様子をうかがい、加害者を写真撮影しようとしていた事実が認められた。また、こうした被害者夫妻の行為が加害者による本件犯行の動機形成に影響したことは、加害者に対する刑事事件判決においても指摘されているところである。こうした認定に基づき、委員会は、これらの点に関する本件放送の報道内容は、主要な部分において真実であり、または真実と信じるにつき相当の理由があったといえ、申立人に対する名誉毀損に当たらず、その他の違法もないと判断する。したがって、訂正放送、謝罪放送はいずれも必要がない。
他方、委員会は、とりわけ本件放送が一般的な隣人トラブルにとどまらず殺人事件という深刻な犯罪を取り扱うものであったことを考慮すれば、(1)取材段階においては、少なくとも申立人ら遺族など被害者関係者と接触を試み、その言い分も聴取するなどの被害者保護の観点からの積極的姿勢が求められる場合であったにもかかわらず、そうした努力をしていなかった点において被害者に対する配慮に欠けるところがあり、また、(2)編集・放送段階においては、被害者夫妻が非常識であったといったイメージを与えかねない放送をする一方で、加害者の側の問題点には一切触れなかったため、被害者側への配慮に乏しく、公平性を欠く内容になっていることが否定できないものと認めた。
このように、本件放送は、取材や編集・放送の各段階において被害者夫妻および申立人ら遺族に対する配慮に欠ける点があったものと認められ、「放送倫理基本綱領」が「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」とし、民放連の報道指針が「事件の被害者に対し、節度をもった姿勢で接する」としていることに照らして、放送倫理上問題があると判断する。 したがって、委員会は、被申立人に対し、本決定の趣旨を放送するとともに、今後は、報道においてより正確性、公平性を確保するよう留意して真実を追求し、かつ被害者等の名誉と生活の平穏のいずれをも害することのないよう公平な取材・報道をするよう十分配慮することを要望する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

I.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

II.委員会の判断

  • 1 苦情申立てが期限内に行われなかったことについて
  • 2 申立人が名誉毀損等にあたると主張する事実
  • 3 これらの事実についての検討
  • 4 名誉毀損等の成否
  • 5 放送倫理上の問題
  • 6 小括

III.結論と措置

IV.審理経過

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2010年11月4日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

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2009年度 第43号

「拉致被害者家族からの訴え」事案

委員会決定 第43号 – 2010年3月10日 放送局:テレビ朝日

見解:放送倫理上問題あり(補足意見付記)
2009年4月放送のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において拉致問題に触れた番組司会者の発言をめぐって、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が「人の生死に関する安易な発言は名誉毀損やプライバシーの侵害以上に最も重大な人権侵害である」として申し立てた事案。

2010年3月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第44号

申立人
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(代表 飯塚繁雄)
被申立人
株式会社テレビ朝日
苦情の対象となった番組
『朝まで生テレビ!』
(毎月最終金曜日25時25分~28時25分)
放送日時
(1)2009年4月24日27時15分頃から約5分間
(2)2009年5月29日25時29分頃から約2分間

本決定の概要

テレビ朝日(以下「局」または「被申立人」という)の制作によるニュース討論番組『朝まで生テレビ!』は、2009年4月24日深夜、「激論 日本の安全保障と外交」とのテーマで、北朝鮮ミサイル問題を入り口に日本の安全保障や外交について各界専門家による約3時間にわたる議論を放送した。この中で司会者のジャーナリスト田原総一朗氏は拉致問題に触れ、横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げて「外務省も生きていないことは分かっている」と発言するとともに、拉致問題に関する言論が拉致被害者の生死に触れることをタブー視する閉塞状態に陥っていることを指摘し、そのような見方にとらわれた政府の方針を批判する趣旨の意見を展開した。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下、「家族会」という)は、田原氏のこのような発言は人の生死にかかわる安易な発言であって、家族の心情を傷つけ、名誉毀損やプライバシー侵害以上の最も重大な人権侵害であるとともに、政府の基本方針を批判し、誤まったメッセージを発したことによって救出運動を妨害し、ひいては拉致被害者の人命にもかかわる最も重大な人権侵害である等として、局に対し、田原氏の発言の撤回と謝罪、田原氏の司会者としての起用の見直しなどを求め、放送と人権等権利に関する委員会(以下「委員会」という)に救済を申し立てた。
委員会は、田原氏の発言について以下の通り判断した。番組中で田原氏が、生死の確証のない2人の拉致被害者について、実体的根拠を示すことなく「生きていない」と断定的に述べたことは、家族にとって耐え難い苦痛である。田原氏の発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであることは疑いがない。拉致被害者の救出に全力で取り組んでいる家族の心情に対しあまりに配慮に欠ける表現であった点において不適切であった。
しかし、田原氏の発言全体について見れば、拉致問題についての言論が閉塞状況にあり、そのことが拉致問題の解決を妨げているとの認識のもとに、そのような状況を打開するためあえて批判と苦言を呈したという発言意図に照らせば、その発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであったとしても、論評全体としては、言論の自由の範囲内にあるものとして許容されるべきである。異論が提起されることによって自らの立場が否定されたとの不快の念を抱く場合があったとしても、メディアの世界における自由な言論は保障されなければならない。田原氏の発言に関する局の責任としては、名前を特定した2人の拉致被害者について、根拠を示すことなく「生きていない」と断定し、被害者家族の心情を無視した不適切な発言に対する対応のあり方の問題に限られる。
局は番組終了後、田原氏からの事情聴取や局としての独自の取材によって上記のような事実が確認できなかったことを認め、二度にわたって謝罪しているから一応必要な措置を講じていると認められる。しかし、問題の深刻さを考えれば謝罪に関してはより迅速かつ適切な方法をとるべきであった。この点において放送倫理上の問題があったと判断し、報道に対する信頼が確保されるよう一層の努力を求めることとした。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.田原発言に対する評価
  • 2.田原発言に対する局の対応と責任

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

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2010年6月9日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

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2009年度 第42号

「派遣法・登録型導入報道」事案

委員会決定 第42号 – 2009年11月9日 放送局:テレビ朝日・朝日放送

見解:構成・表現に関し配慮を求む
テレビ朝日・朝日放送の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月に2回にわたり特集「派遣法誕生」を放送した。この番組について、インタビュー取材を受けた元労働次官と経済学者らが、「質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された」などとして名誉侵害を訴えた事案。

2009年11月9日 委員会決定

申立人
高梨 昌・関 英夫・木村 大樹
被申立人
株式会社テレビ朝日・朝日放送株式会社
苦情の対象となった番組
『サンデープロジェクト』
(毎週日曜日 午前10時~11時45分)
放送日時
第1回 2009年2月1日(日)(番組後半の特集 約30分)
「派遣法誕生(前編)~“雇用破壊”の原点はこう作られた~」
第2回 2009年2月8日(日)(番組後半の特集 約31分)
「派遣法誕生(後編)~“生みの親”キーマン二人の証言~」

本決定の概要

テレビ朝日・朝日放送(以下「局」もしくは「被申立人」という)の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月1日および8日の2回にわたり、特集「派遣法誕生」(以下「本件放送」という)を放送した。番組は、2008年秋以降の派遣切り・雇用不安の拡大を受け、いわゆる「労働者派遣法」の問題点、特に「登録型」に焦点を当て、その成立の過程を追った調査報道である。
この中で「労働者派遣法に登録型を導入するにあたり大きな力を発揮したのが、元労働次官と経済学者の2人であることが分かった」と、多くの関係者や本人のインタビューを積み重ねて伝えた。
この番組について元労働次官と経済学者ら(以下「申立人ら」という)が、「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された。また、労働者派遣法に『登録型をひっそりと盛り込んだ』などの表現を多用し、2人が派遣切りなどの雇用不安を生みだした犯人だと攻撃された。これにより名誉を侵害されたので、局に対し訂正と謝罪の放送を求める」と、放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)に申し立てたものである。
この申立てを受け当委員会で審理した結果、本件放送には一部に申立人の社会的評価に影響をもたらす表現が含まれているが、申立人らが公人として労働者派遣法の制定に関わっていた以上、論評を受忍すべき範囲は一般人よりも広く認められるし、そもそも放送内容自体にはその重要な部分において事実に反するところがなく、現在の雇用不安に至る原因を探るという公共性の高い性格を有していることから、名誉毀損などの違法性はないとの見解に至った。
また、この調査報道番組を制作するに当たって、インタビュー証言の編集や放送表現に関し、なお配慮すべき点が幾つかあるものの、放送倫理上問題ありとまではいえないとの結論で当委員会は一致をみた。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.派遣法成立の経過と報道のあり方
  • 2.事実の認定と判断
  • 3.放送内容についての評価

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

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2009年度 第41号

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第41号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

勧告:重大な放送倫理違反
2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申立人
A、B、C、D、E
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のどを貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならびに論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とNHKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反するなど重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとることを勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

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2010年1月12日【委員会決定を受けてのTBSの取組み】

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2009年度 第40号

保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

委員会決定 第40号 – 2009年8月7日 放送局:TBSテレビ

勧告:重大な放送倫理違反(意見付記)
TBSの情報バラエティー番組『サンデージャポン』は2008年10月、大阪の保育園の野菜畑が道路建設のため行政代執行される様子を伝えた。この放送について、保育園理事が、あたかも保育園が代執行の当日に園児たちを現場に動員して並ばせたかのような事実に反する放送内容で名誉を毀損され、その後の訂正放送も不十分だったと申し立てた事案。

2009年8月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第40号

申立人
A
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『サンデージャポン』
放送日時
2008年10月19日(日)=本放送
午前10時~11時24分(当該項目 計 約4分50秒)
同 年 11月2日(日)=訂正放送
午前10時~11時24分(終了間際の約37秒)

本決定の概要

本件申立ては、情報バラエティー番組『サンデージャポン』において、大阪府が高速道路建設のため、保育園用地に対して行った行政代執行の様子を報じた内容に事実と異なる点があり、またそれを前提としたスタジオトークによっても申立人の名誉が毀損されたとして、TBSテレビ(以下「TBS」という)に対し謝罪と訂正を求めるものである。申立人はあわせて、その後の訂正放送においても適切な訂正とお詫びがなされておらず、二度にわたって人権侵害を受けたとしている。
放送内容の誤りについては、大筋においてTBSも認めるところであるが、問題は、それがどのような経過と原因から生じたか、放送によって申立人の名誉その他の権利が侵害されたのか、また訂正放送が適切に行われたかどうかにあった。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)は、結論として、放送において使用したVTRは、故意に事実をねじ曲げたり虚偽の内容を報道したとまではいえないものの、編集上配慮されるべきことが守られず、明らかに視聴者を誤解させる構成があったほか、出演者がVTRの内容によって形成された誤った認識に基づく発言を行ったのを看過して、放送中、または放送直後に訂正する措置がまったくとられなかったことにより、申立人に対する社会的評価を低下させ、その名誉を毀損した疑いが強く、少なくとも申立人の名誉感情を侵害したものと認めた。TBS自身も、放送内容の問題性を認識し、後日訂正放送を行ったが、その訂正放送も不十分であり、申立人の意向に沿うものになっているとはいいがたい。本決定は、本件の放送内容及び放送態勢において「事実を報ずる」という点において重大な放送倫理違反があったとするものであり、当委員会としてはTBSがしかるべき措置をとることを求めるものである。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(TBS)の答弁と実施措置

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定
  • 2.放送内容と放送態勢に対する評価
  • 3.訂正放送の在り方

Ⅲ 結論

Ⅳ 審理経過

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2009年11月6日【委員会決定を受けてのTBSテレビの取組み】

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2008年度 第39号

徳島・土地改良区横領事件報道

委員会決定 第39号 – 2009年3月30日 放送局:テレビ朝日

勧告:重大な放送倫理違反(補足意見・少数意見付記)
徳島県で起きた土地改良区の横領事件を伝えた2007年7月のテレビ朝日『報道ステーション』をめぐって、全国土地改良事業団体連合会会長の野中広務氏が作為的な構成の報道内容により、名誉と信用を毀損されたとして訴えた事案。

2009年3月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第39号

申立人
野中 広務
被申立人
株式会社 テレビ朝日
対象番組
『報道ステーション』
「『土地改良区と補助金』6億円着服・・・60歳女の裏側」
放送日時
2008年7月23日(水)
午後9時54分~11時10分内 約7分

Ⅰ 申立てに至る経緯

  • 1 苦情の対象となった番組
  • 2 申立ての経緯

Ⅱ 申立人の申立ての要旨

  • 1 名誉・信用の侵害
  • 2 肖像権の侵害
  • 3 放送局に要求すること

Ⅲ 被申立人の答弁の要旨

  • 1 名誉・信用の侵害について
  • 2 肖像権について
  • 3 放送局への要求について

Ⅳ 委員会の判断

  • 1 名誉権の侵害について
  • 2 信用の毀損について
  • 3 肖像権の侵害について
  • 4 放送倫理違反について
  • 5 結論と措置

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2009年6月29日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

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2008年度 第38号

広島県知事選裏金疑惑報道

委員会決定 第38号 – 2008年12月3日 放送局:中国放送

見解:ホームページでの当該報道の文字情報は放送と同視せず(意見付記)
1997年の広島県知事選挙において当時の知事の後援会組織等から裏金を受け取ったとの疑いを持たれ、中国放送のニュース番組で実名を報道された元県議会議員3名が、「事実無根の報道により大きな被害を受けた」として名誉権の侵害を訴えた事案。

2008年12月3日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第38号

申立人
A
B
C
被申立人
株式会社中国放送(RCC)
対象番組
『イブニングニュース広島』内
「特集 藤田県政の闇 知事選裏金疑惑」
放送日時
① 2006年11月30日放送 標題「メモの現職県議8人が判明」
② 2007年 2月20日放送 標題「メモの現職県議、残る2人も判明」
③ 2007年 2月28日放送 標題「藤田知事の元秘書が供述『宮本県
議に30万円渡した』~疑惑の現職県議は11人」
④ 2007年 4月10日放送 標題「県議会選挙ドキュメント~あの人
たちは何を語った?~」

Ⅰ.申立てに至る経緯

  • (1)苦情の対象となった番組
  • (2)申立ての経緯

Ⅱ.申立人の申立ての要旨

  • (1)名誉権の侵害について
  • (2)被った不利益
  • (3)放送局への要求

Ⅲ.被申立人の答弁の要旨

  • (1)名誉権の侵害について
  • (2)交渉の経過について
  • (3)インターネットでの報道について

Ⅳ.委員会の判断

  • (1)第1の申立てについて
  • (2)第2の申立てについて
  • (3)結論

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2008年度 第37号

群馬・行政書士会幹部不起訴報道

委員会決定 第37号 – 2008年7月1日 放送局:エフエム群馬

見解:放送倫理違反
申立人は2006年7月に暴行容疑で書類送検されたが、その後不起訴処分になった。エフエム群馬は2007年12月に県議会で取り上げられたこの問題を伝えたが、申立人は「何の取材も受けないまま真実でない放送をされ、名誉を傷つけられた」と申し立てた。

2008年7月1日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第37号

申立人
A
被申立人
エフエム群馬
対象番組
エフエム群馬 夕方のニュース
放送日時
2007年12月12日
午後6時07分頃
1分10秒

申立てに至る経緯

民放ラジオ局であるエフエム群馬は、夕方の定時ニュースの一項目として、「群馬県行政書士会の総務部長が会員に暴行を加えてケガを負わせたとして、傷害の疑いで前橋地方検察庁に書類送検されていたことが分かりました」で始まり、同行政書士会の会員が県議会に総務部長らの処分を行うように陳情し、放送当日の県議会総務常任委員会で取りあげられたこと、総務部長は書類送検されて不起訴処分となっていること、また県では検察で不起訴処分になっていることから処分は行わないとしたことなどを伝えた(以下、「本件放送」という)。

本件放送に対し、申立人である総務部長は、事実関係が異なるうえ、自分になんらの取材をしないまま一方的な報道をされ、名誉を傷つけられたとして、2008年1月、エフエム群馬に対し、放送法4条に基づく訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、エフエム群馬は、本件放送は県議会での質疑応答の過程において明らかになった内容を伝えたものであって、重要事項についての事実確認を行った上で報道しており、真実でない事項の放送はしておらず、訂正放送などに応じることはできないと反論した。その後、双方の直接の交渉はなされないまま、2008年2月、申立人から当委員会に対し「申立書」が提出され、3月の委員会で審理入りを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2008年9月25日【委員会決定を受けてのエフエム群馬の対応】

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2008年度 第36号

高裁判決報道の公平・公正問題

委員会決定 第36号 – 2008年6月10日 放送局:NHK

見解:放送倫理違反
「戦争と女性への暴力」日本ネットワークが申し立てた事案。NHKは2007年1月の『ニュースウオッチ9』において、申立人らとNHKが争ったETV2001シリーズ『戦争をどう裁くか』に関する高裁判決を伝えたが、申立人は「当事者としてのNHKの言い分」と「報道機関としての報道」を峻別せずに報道したことは公平原則に照らして到底許されるものではない、また公平原則を逸脱した部分は正確な報道を行うという放送倫理に違反すると申し立てた。

2008年6月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第36号

申立人
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク
被申立人
 NHK
対象番組
NHK制作の報道番組「ニュースウオッチ9」
放送日時
2007年1月29日
NHK総合テレビ 午後9時00分~

申立てに至る経緯

2001年にNHKが、教育テレビで放送した「戦争をどう裁くか」というシリーズの番組をめぐって、取材を受けた民間の団体「戦争と女性への暴力」日本ネットワークが「事前の説明と異なる不本意な番組を放送された」として訴えていた裁判で、NHKは、2007年1月29日、東京高等裁判所でなされた判決について、その概要やこれに関連する事項について、次のとおり放送した。
「東京高等裁判所の南敏文裁判長は『番組編集の自由は、憲法上、尊重すべき権利で、不当に制限されてはならないが、今回の番組は、取材を受けた団体への事前の説明とかけ離れたものになって、期待と信頼に反した。放送前に十分な説明もしていなかった』と指摘しました。そして『NHKの当時の幹部が、国会議員から一般論として公正・中立にと言われたことなどを、必要以上に重く受け止め、その考えを推し量って、番組を編集し直すよう指示したもので、編集権を乱用した責任は重い』と判断し、NHKに200万円の賠償を命じました。」と判決内容を紹介したあと、「判決についてNHKは『不当な判決であり、直ちに上告した。判決は、番組編集の自由を極度に制約するもので、到底受け入れられない』としています。」と被申立人自身の見解を紹介し、「今日の判決の中で、東京高等裁判所は、この番組をめぐって、朝日新聞が政治家の圧力で改変されたと報道したことについて、『国会議員が具体的に番組に介入したとは認められない』と述べました。」とのコメントの後に、朝日新聞で被申立人に圧力をかけたと指摘された本人である安倍晋三内閣総理大臣と中川昭一政務調査会長(いずれも本件放送当時。以下同じ。)の、政治的圧力をかけた事実はなかったことがはっきりした旨のコメントを放送した。
この放送に対して、申立人らは、「上記ニュース内容は『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道している。このことは、公平原則に照らして到底許されるものではない。また、公平原則を逸脱した部分は、正確な報道を行うという放送倫理にも違反している」として2007年4月、被申立人に対して抗議・要求書を送付し訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し被申立人は、「この報道は、前半部分で、当日の判決の内容とNHKのコメントを伝えた上で、後半部分で、この判決に関連して一昨年1月の朝日新聞の記事をめぐる朝日新聞社と自民党との問題について、安倍氏と中川氏のコメントを交えて伝えたもので、何ら問題はないと考える」と反論し、訂正放送・謝罪には応じられない旨回答した。
その後、双方の直接の交渉はなされないまま、2008年1月、申立人らから本委員会に対して「申立書」が提出され、本委員会は、2月の委員会で審理入りを決定した。
なお、政治家の介入があったか否かの点に関する高裁判決の内容は、次のとおりである。
「一審原告らは、政治家等が本件番組に対して直接指示をし介入したと主張するが、上記面談の際、政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、証人松尾及び証人野島の各証言によってもこれを認めるに足りず、他に認めるに足りる証拠はない。」
(注:証人松尾・・・NHK 放送総局長     松尾 武 氏)
(注:証人野島・・・NHK 総合企画室担当局長 野島直樹 氏)

(いずれも2001年当時)

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人らの申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2008年9月3日【委員会決定を受けてのNHKの対応】

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2007年度 第35号

“グリーンピア南紀”再生事業の報道

委員会決定 第35号 – 2007年12月4日 放送局:読売テレビ

見解:問題なし
和歌山県にある大規模保養施設の再生事業を請け負った人物が、読売テレビの報道番組『ウェークアップ!プラス』(2007年5月と6月放送)で事実と異なる報道がされ、名誉が著しく傷つけられ、取材・放送によりプライバシーが侵害されたと申し立てた事案。

2007年12月4日 委員会決定

申立人
A
被申立人
読売テレビ
対象番組
読売テレビ 報道番組「ウェークアップ!ぷらす」
放送日時
2007年5月26日 午前8時から午前9時25分内
2007年6月2日  午前8時から午前9時25分内

申立てに至る経緯

本件放送は、旧年金福祉事業団が設置した大規模年金保養施設「グリーンピア南紀」の払い下げを受けた和歌山県那智勝浦町と、その跡地の再開発事業を請け負ったBという会社の契約を巡る不明瞭且つ不透明な経緯を指摘し、問題提起する内容となっている。
被申立人読売テレビは、毎週土曜日の「ウェークアップ!ぷらす」で、4月21日、5月26日、6月2日の3回にわたり、このグリーンピア南紀再生事業に関する追跡報道を行った。
Bのオーナーである申立人A氏は、これら番組のうち、上記 I の(1)、(2)についてプライバシーの侵害、名誉毀損があったと訴え、被申立人に謝罪・訂正を求め、話し合ったが決着がつかず、BRCに対し権利侵害を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人らの申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第34号

部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え

委員会決定 第34号 – 2007年11月12日 放送局:毎日放送

見解:表現のあり方等について要望
毎日放送の報道番組『VOICE』は2006年11月、大阪市の“ヤミ補助金問題”を取り上げた。申立人は、報道内容に行き過ぎた演出があり名誉を毀損されたとして申し立てた。

2007年11月12日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第34号

申立人
A、B
被申立人
毎日放送
対象番組
毎日放送の報道番組「VOICE」
放送日時
2006年11月20日午後6時36分から4分40秒間

申立てに至る経緯

毎日放送は、2006年11月20日の報道番組「VOICE」(関西ローカル)の中で、「大阪市の民間社会福祉施設等に対する償還金補助」を取り上げ、「予算計上しないまま支給しているのは“ヤミ補助金”の疑いがある」と伝え、また、番組内では、当該補助金の支給を受けていた法人は約30あり、この内8法人は部落解放同盟の幹部らが理事を務めていることなどを、該当する2施設の映像などとともに放送した。
この番組に対し、部落解放同盟大阪府連のA書記長らから毎日放送に「抗議する」との申し入れがあり、12月7日A氏らが毎日放送を訪れ、口頭で抗議した。
抗議内容は、「償還金補助は大阪市の制度であり、“ヤミ”補助金ではない」「部落解放同盟関連法人だけが対象ではないのに、意図的に部落解放同盟を叩いている」「年間返済金の『2倍』の補助金が支払われていたというのは事実誤認」など。
これに対し、毎日放送は12月20日付け文書で次のように回答した。
「当該補助金は予算計上されておらず、不透明・不適切であり、“ヤミ補助金”という表現は不適切ではない」「部落解放同盟関連法人だけに限定していないことを表現したつもりだが、誤解を招いたことは本意ではない」「04年度に当該施設に2年分の補助金が入金されたのは事実。そうなったのは市側の事務手続きの遅延で2年分が同一年度に支払われたと説明しており、報道内容は事実誤認ではない」
この後、3月14日付けで部落解放同盟大阪府連のA書記長から毎日放送(山本社長宛)に「06年11月20日放送の『VOICE』についての再質問と要請」という文書が送られ、「部落解放同盟を殊更に強調していないか」「社会福祉法人側や部落解放同盟に問題があったのか」「部落解放同盟の支部長や府連書記長の肩書きを報道する必要があったのか」など8項目について質している。これに対し、毎日放送は4月3日付けでA氏宛に「再回答書」を送り、項目別に答えるとともに、「大阪市の公金支出の問題点を指摘した本件報道は、その目的の公益性からみても正当なものだ」としている。
この毎日放送の「再回答」を受けて、A氏らは「毎日放送に対し謝罪と『VOICE』の報道によって広がった誤ったイメージの是正を求めていたが、その前段階である見解に大きな違いが存在しており、このままでは私達の求めていることが理解されない」として、局側との交渉をやめ、6月11日付けでBRCに申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第33号

広島ドッグパーク関連報道

見解:問題なし
大阪の動物愛護団体の代表が、2006年11月から12月にかけて放送された朝日放送の報道番組『ムーヴ!』で、犬たちを救済する活動が、偏見や憶測によってあたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損されたと申し立てた事案。

2007年8月3日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第33号

申立人
A(動物愛護団体B代表)
被申立人
朝日放送
対象番組
朝日放送 ニュース情報番組「ムーブ!」(ローカル)
放送日時
次の(1)から(11)までの日における午後3時49分から午後5時54分内
(1)2006年11月27日
(2)2006年11月28日
(3)2006年11月29日
(4)2006年12月4日
(5)2006年12月6日
(6)2006年12月11日
(7)2006年12月12日
(8)2006年12月18日
(9)2006年12月20日
(10)2006年12月21日
(11)2006年12月28日

申立てに至る経緯

本件番組は、毎週月曜日から金曜日までの午後3時49分から午後5時54分まで放送される、被申立人の報道局ニュース情報センター制作の「ムーブ!」において、上記(1)から(11)までの各時間帯で放送されたものである。
番組内容は、2003年4月に開園した犬のテーマパーク「ひろしまドッグぱーく」が経営不振に陥って2005年6月に閉園したところ、多数の犬が放置されていたので、2006年9月に、申立人が代表である大阪の動物愛護団体Bが放置犬の救助に乗り出したことについての一連の追跡報道である。Bは、ホームページを使って全国に放置犬の引き取り手を探し、寄付を募ったが、このことはマスコミによって全国的に大きく報道された。このため、集まった寄付金の額は、2006年10月25日のホームページ上で5400万円と公表され、また、放置犬の救出のために全国から延べ6000人以上のボランティアが参加した。
しかしその後、参加したボランティアや他の動物愛護団体から「犬の扱い方がおかしい」「寄付されたお金や物資の使い方に疑問がある」などの情報が被申立人の番組である「ムーブ!」宛に寄せられた。
「ムーブ!」では、Bにおいて多額の寄付金が残っているのに「医療費が足らない」と言って支援を呼びかけていたと判断して、申立人に対し、その収支などを明らかにするように取材・放送の過程で求めた。しかし、申立人はその内容を明らかにしないことから、被申立人の番組「ムーブ!」において、申立人が代表であるBの募金と活動実態が整合しているかを検証したものである。
これに対し、申立人は、被申立人の番組「ムーブ!」における上記(1)から(11)までの番組は、いずれも一方的な偏見報道及び憶測放送と恣意的な内容の連続的放送であるとして、2007年1月5日付で「申立書」をBRCに提出した。
これに先立ち、Bは、2006年12月7日付で、被申立人及び朝日放送番組審議会に対し、「番組に対する苦情申立書」を提出し、上記(1)から(5)までの一連の報道は、B及び申立人に対する名誉毀損その他の重大な人権侵害等権利侵害を含む内容であり、今後も同様の姿勢により継続されるならばさらに侵害されるおそれがあるので、今後の放送によりB及び申立人の人権等が侵害されることのないよう、また過去の放送による被害の回復のため謝罪と訂正放送を求めて、苦情申立てを行った。また、Bは、2006年12月11日に、被申立人報道局ニュース情報センター「ムーブ!」広島ドッグパーク問題取材班宛に「朝日放送に対する質問状」を送付し、上記(1)の放送番組に対する10項目の質問をした。
これに対し、被申立人は、上記苦情申立書は、回答を求めるものではなく、番組内容の検証など番組に対する要望であり、この要望については、報道局内で番組を検証することとして放送を続けた。また、上記質問状については、被申立人は、2006年12月15日付でBに対し、回答を送付し、対応に問題はないものと考えていることを伝えた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第32号

ラ・テ欄表記等に対する訴え

委員会決定 第32号 – 2007年6月26日 放送局:テレビ朝日

見解:適正なラ・テ欄表記を要望
2007年2月放送のテレビ朝日のバラエティー番組を紹介する新聞のラジオ・テレビ欄の表現について、外国人の女性が、家庭の事情を公表され名誉・プライバシーの侵害を受けたと訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第32号

申立人
北海道在住のセラピスト
被申立人
テレビ朝日
対象番組
テレビ朝日 バラエティー番組『銭形金太郎』
放送日時
2007年2月7日午後8時~8時54分(テレビ朝日系列で全国放送)

申立てに至る経緯

被申立人であるテレビ朝日は、2月7日放送のバラエティー番組「銭形金太郎」で、申立人であるルーマニア人女性のセラピストが、北海道の自然の中で家族と楽しく暮らしているという生活ぶりを放送した。
この放送に対し、申立人は「新聞のラジオ・テレビ欄(以下「ラ・テ欄」という)に『バツイチ子連れ美女の……』等の表現で家庭の事情を公表され、名誉・プライバシーの侵害を受け、また、放送された内容は、当初の企画意図の説明の趣旨と違っており、放送倫理に違反する」と放送局に苦情を訴えた。
これに対し被申立人は「前夫との離婚について番組で紹介することは、事前に了承を得ている。放送の企画説明と放送内容は違っておらず一貫している」と反論した。
話し合いは数回にわたって行われたが決着がつかず、2月23日申立人から本委員会に申立書が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年度 第31号

エステ店医師法違反事件報道

委員会決定 第31号 – 2007年6月26日 放送局:日本テレビ

見解:放送倫理違反
エステ店経営者が医師法違反で書類送検された事件を伝えた2007年2月の日本テレビの報道について、経営者が「盗み撮りした映像が使われ、まるで極悪人のように報道された。名誉も毀損されプライバシーも侵害された」と訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第31号

申立人
東京都町田市在住のエステ店経営者
被申立人
日本テレビ
対象番組
日本テレビのニュース番組
放送日時
2007年2月7日「NNNニュースD」午前11時30分から放送(関東ローカル、45秒)
「NNN Newsリアルタイム」午後4時50分から放送(関東ローカル、2分)
「NEWS ZERO」午後10時54分から放送(全国ネット、3分)

申立てに至る経緯

申立人は、東京都町田市所在のエステ店を経営しているが、2006年10月31日町田警察署から医師法違反容疑で家宅捜索を受け、2007年2月6日同容疑で書類送検された。
日本テレビは、翌2月7日3回にわたってこの事件を「エステ店経営者が医師法違反容疑で書類送検」と放送したが、その放送内容について申立人は「盗み撮りした映像を使ってまるで極悪人のように報道された。名誉も毀損され、プライバシーも侵害された」と日本テレビ側に抗議した。
その後、申立人は「文書での回答要求も断られた。ラチが明かない」として2月15日付でBRCに「申立書」を送付し、謝罪放送、文書での謝罪等を求めている。
これに対し、被申立人の日本テレビは「本件報道は、申立人が医師法違反で摘発され、書類送検された事実を誤りなく伝えたものだ」と主張している。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2007年8月28日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

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2006年度 第30号

民主党代表選挙の論評問題

委員会決定 第30号 – 2006年9月13日 放送局:テレビ朝日

見解:問題なし
テレビ朝日の『報道ステーション』は2006年4月に民主党代表選挙に関する報道をした。
これに対して民主党の衆議院議員2人が「政治評論家によって虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された」と申し立てた。

2006年9月13日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第30号

申立人
衆議院議員 仙谷由人 衆議院議員 枝野幸男
被申立人
テレビ朝日
苦情の対象となった番組
テレビ朝日 報道ニュース番組『報道ステーション』
放送日時
2006年4月4日  午後9時54分~11時10分
4月5日  午後9時54分~11時10分

申立てに至る経緯

被申立人テレビ朝日は、4月4日、5日の「報道ステーション」で、民主党代表選挙に関して報道したが、放送後に仙谷申立人側から、「政治評論家によって、虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された。訂正放送か書面での謝罪を求める」と電話で抗議があった。その後、被申立人と仙谷申立人の間で3回にわたり話し合いが行われたが決着がつかず、5月23日仙谷申立人と枝野申立人が、連名で放送人権委員会に審理の申立てを行った。
これまでの双方の話し合いでは、申立人らは、「政治的な謀略的筋書きで一方的に放送し、裏づけ取材なく虚偽の報道をした」などと主張したのに対し、被申立人は「真実ないし真実と信じるに足る相当な理由がある事実に基づいて論評を行ったものだ」と反論した。当委員会は、当該番組を視聴した上で、6月の委員会で審理入りを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年度 第29号

若手政治家志望者からの訴え

委員会決定 第29号 – 2006年7月26日 放送局:日本テレビ

見解:迅速・丁寧な対応を要望
若手政治家志望者3人が、日本テレビが2005年11月に放送した報道番組について「我々が作った政党と個人の活動について誤解を与える表現と作為的な編集、演出が行われ、名誉が傷つけられた」と申し立てた事案。

2006年7月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第29号

申立人
A、B、C
被申立人
日本テレビ
苦情の対象となった番組
日本テレビ 報道番組「先端研」
放送日時
2005年11月22日 午前1時45分から約30分間放送

申立てに至る経緯

「先端研」は、日本テレビの説明によると、ニュース離れが進む若年層をターゲットに、気になる「先端的なテーマ」を取り上げた報道局制作の深夜番組であり、05年4月から12月まで週に1回関東ローカル枠で放送された。
「政治家を志す若者たち」というテーマで放送された本件番組は、主に以下の4つのパートから成り立っている。
•元フリーターから当選した(東京の)中野区議
•自分たちで政党をつくった「日本公進党」の党首ら
•早稲田大学雄弁会の学生たち
•松下政経塾の塾生たち
今回申立てを行ったのは、04年10月に「日本公進党」を立ち上げたいずれも20歳代の党首・A、幹事長・B、幹事・Cの3氏で、「当該放送は、当方の活動について誤解を与える表現を使い、また作為的な編集や演出が行われた結果、我々の名誉が傷つけられた」としている。
申立人らは、当初05年12月に日本テレビ報道局長宛に公開質問状を送るなどして局側の説明を求めていたが、06年2月に担当プロデューサーと電話で話しあった後、書面による回答を求めていた。
被申立人の日本テレビは、06年4月に報道局担当プロデューサー名で「当該番組は取材で浮かび上がった事実をありのままに伝えたもので、事実を歪曲して編集していない。したがって、取材方法や編集作業において謝罪や訂正すべき点があるとは考えていない」と回答した。
申立人らは、この回答を不満として同年4月9日付けで「申立書」を本委員会に提出した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年10月13日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

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2005年度 第28号

バラエティー番組における人格権侵害の訴え

委員会決定 第28号 – 2006年3月28日 放送局:関西テレビ

勧告:人権侵害
東京の男性が、2005年6月と7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』における元妻の発言によって、名誉・プライバシーを侵害されたと申し立てた事案。

2006年3月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第28号

申立人
A
被申立人
関西テレビ
苦情の対象となった番組
関西テレビ トークバラエティー番組「たかじん胸いっぱい」
放送日時
(1) 2005年6月25日 午後0時~午後1時
サブタイトル「知られざる結婚生活5か月に迫る!!」
「検証 B 離婚寸前報道の真実とウソ!!」
(2) 2005年7月9日 午後0時~午後1時
サブタイトル「芸能界サミット」

申立てに至る経緯

本件番組は、タレントのやしきたかじんが司会し、落語家など数名のゲストが出演している昼の時間帯のトークバラエティー番組である。
(1)の6月放送の番組には、申立人の当時の妻のタレントB氏がゲスト出演し、結婚生活等について赤裸々に語った。
(2)の7月放送の番組には、B氏は出演しなかったが、出演者たちが先の番組におけるB氏の発言にもとづいて、トークを繰り広げた。
申立人は、2005年1月にB氏と結婚し同年8月に離婚したが、上記番組によって申立人の名誉及びプライバシーが著しく侵害されたとして、同年9月21日関西テレビに文書で抗議し、取り消しと謝罪放送を求めた。
これに対し、関西テレビは同年10月14日申立人側の要求には一切応じない旨を回答した。
当事者同士の交渉が不調に終わったことを受けて、申立人は同年11月30日付けで「権利侵害申立書」をBRCに提出した。

目次

  • I. 申立てに至る経緯
  • II. 申立人の申立ての要旨
  • III. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年6月13日 【委員会決定を受けての関西テレビの対応】

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2005年度 第27号

新ビジネス“うなずき屋”報道

委員会決定 第27号 – 2006年1月7日 放送局:テレビ東京

見解:放送倫理違反
テレビ東京が2005年6月に放送した『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』というドキュメンタリー番組において、”孤独老人相手の新商売”として紹介された男性が、悪徳業者と受け取られる放送内容だったなどとして、名誉・信用の毀損を申し立てた事案。

2006年1月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第27号

申立人
東京都在住の保育園経営者
被申立人
テレビ東京
苦情の対象となった番組
テレビ東京 ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』
放送日時
2005年6月14日  午後10時00分~10時54分 (テレビ東京系列各局で放送)

申立てに至る経緯

本件番組は、最近多発し大きな社会問題になっている「悪徳リフォーム」や「振り込め詐欺」など、高齢者の財産を狙う犯罪の手口を取材し、警鐘を鳴らすとともに、その対策を紹介することを目的に制作したものであり、その中で、核家族化が進み孤独な高齢者が増加している状況を背景にして出現した新商売が紹介された。
申立人は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのこのドキュメンタリー番組の中で“孤独老人相手の新商売”を行っている者として紹介されたが、ただうなずくだけで「2時間1万円」をとる、「高齢者の寂しさにつけ込みお金をむしり取る悪徳業者」と視聴者に受けとられる放送内容だったとして、当該局に対し名誉・信用の侵害を主張し、謝罪、訂正放送などを求めた。双方で話し合いが行なわれたが決着がつかず、放送人権委員会に苦情を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年3月20日 【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

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2005年度 第26号

新喫茶店廃業報道

委員会決定 第26号 – 2005年10月18日 放送局:毎日放送

見解:放送倫理違反
たこ焼き屋の店主の申立て。喫茶店の入り口付近で営業していたが、2005年5月の毎日放送のニュース番組『VOICE』の特集について、「隠しマイクの録音、隠しカメラの映像を巧みにつなぎ合わせ、いかにも私が嫌がらせを続けて喫茶店を廃業に追いやったかのように放送された」として、人権侵害などを訴えた。

2005年10月18日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第26号

申立人
兵庫県在住 元たこ焼き屋台店主
被申立人
毎日放送
苦情の対象となった番組
毎日放送 ニュース番組「VOICE」
特集「憤懣本舗:嫌がらせの『屋台』・無神経な『役所』」
放送日時
2005年5月9日午後6時16分~6時55分内

申立てに至る経緯

放送内容
「兵庫県宝塚市内のある駅前の喫茶店の入口付近において、女店主がたこ焼き屋台器具を搭載した車を夜間日常的に違法駐車して営業していたことに端を発し、付近 住民が再三にわたって警察に通報し、市役所にも相談したところ、警察が同たこ焼き屋台の移動をさせたり、市当局がバリケードを設置して駐車できないようにした。市当局から通報者を聞き出した女店主がこれに憤慨して喫茶店に乗り込んで大声で脅迫めいた抗議をし、また度重なる嫌がらせをした結果、喫茶店の常連客は怖がって寄りつかなくなり、売り上げがガタ落ち、喫茶店営業者は閉店に追い込まれたのに、市は責任をとることなく、当のたこ焼き店は今も営業している」という趣旨のナレーションのもとに、毎日放送は、喫茶店営業者がサラリーマン時代に貯めた資金で苦労して喫茶店を開業した状況、たこ焼き屋台車を違法駐車して営業している状況を隠し撮りして放送した。
さらに、客を装って同店主が喫茶店の悪口をしゃべるのを密かに録音し、また、喫茶店に乗り込んで客の前で大声で抗議している状況を密かに録音したテープを入手して、これらのテープの音声を流し、喫茶店は閉店に追い込まれたのに当のたこ焼き店主は依然営業を続けると言っている状況を隠し撮りにより放送した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての趣旨及び理由の要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2006年1月16日 【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

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2005年度 第25号

産婦人科医院・行政指導報道

委員会決定 第25号 – 2005年7月28日 放送局:NHK名古屋局

勧告:重大な放送倫理違反
産婦人科医院の院長が2005年1月にNHK名古屋放送局が放送したニュースにおいて、「行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期を明示せず現在も違法行為を行っているかのように伝えられたことにより、名誉と信用を毀損され人権を侵害された」と申し立てた事案。

2005年7月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第25号

申立人
愛知県在住の産婦人科医院院長
被申立人
NHK名古屋放送局
苦情の対象となった番組
NHK名古屋放送局制作のニュース番組
放送日時
2007年(平成17年)1月25日
総合テレビ 午後5時10分~6時59分『ほっとイブニング』(愛知・岐阜・三重の3県向け地域情報番組)
ラジオ第1 午後6時50分~7時00分(愛知・岐阜・三重の3県)、午後11時10分~11時20分(中部ブロック)

申立てに至る経緯

放送内容
愛知県○○市の産婦人科医院が、助産師の資格を持たない看護師や准看護師に妊婦への内診などの助産行為をさせていたとして、愛知県と保健所が改善を指導していたことがわかったというニュース。

この放送に対して、申立人は「平成17年1月25日、NHK名古屋放送局(以下「NHK」又は「被申立人」という)の記者から『助産師不足で、産婦人科医療現場は大変困っているとのことなので、実情を調べ、少しでも現状を改善するのに役立つ番組を企画したい』との取材依頼があり、それに応じたが、取材の趣旨と違って、助産師の資格がない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして、行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期(平成15年10月)を明示せず、現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」としてNHKに抗議し、訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、NHKは、「無資格者による助産行為は重大な社会的問題と認識し、愛知県内でも行政指導の事例があった事を啓発することが重要だと判断して報道したのであり、特定の医療機関を貶める意図をもって報道したものではない。記者は最初から『行政指導の事実について確認したい』と告げて取材した。また翌1月26日に申立人から抗議を受けた『行政指導を受けた時期の明示』と『コメント内容の間違い』については、1月26日に修正放送を行い、その後の話し合いでも新たな要求は無く、放送上の対応については理解を得られたと認識している」としている。
放送後、3回の話し合いが行われたが、双方の主張に隔たりがあり、申立人からBRCに審理要請がなされ、2月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」及び「権利侵害補充書」が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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2005年10月18日 【委員会決定を受けてのNHK名古屋放送局の対応】

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