産婦人科医院・行政指導報道
委員会決定 第25号 – 2005年7月28日 放送局:NHK名古屋局
勧告:重大な放送倫理違反
産婦人科医院の院長が2005年1月にNHK名古屋放送局が放送したニュースにおいて、「行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期を明示せず現在も違法行為を行っているかのように伝えられたことにより、名誉と信用を毀損され人権を侵害された」と申し立てた事案。
2005年7月28日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第25号
- 申立人
- 愛知県在住の産婦人科医院院長
- 被申立人
- NHK名古屋放送局
- 苦情の対象となった番組
- NHK名古屋放送局制作のニュース番組
- 放送日時
- 2007年(平成17年)1月25日
総合テレビ 午後5時10分~6時59分『ほっとイブニング』(愛知・岐阜・三重の3県向け地域情報番組)
ラジオ第1 午後6時50分~7時00分(愛知・岐阜・三重の3県)、午後11時10分~11時20分(中部ブロック)
申立てに至る経緯
放送内容
愛知県○○市の産婦人科医院が、助産師の資格を持たない看護師や准看護師に妊婦への内診などの助産行為をさせていたとして、愛知県と保健所が改善を指導していたことがわかったというニュース。
この放送に対して、申立人は「平成17年1月25日、NHK名古屋放送局(以下「NHK」又は「被申立人」という)の記者から『助産師不足で、産婦人科医療現場は大変困っているとのことなので、実情を調べ、少しでも現状を改善するのに役立つ番組を企画したい』との取材依頼があり、それに応じたが、取材の趣旨と違って、助産師の資格がない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして、行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期(平成15年10月)を明示せず、現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」としてNHKに抗議し、訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、NHKは、「無資格者による助産行為は重大な社会的問題と認識し、愛知県内でも行政指導の事例があった事を啓発することが重要だと判断して報道したのであり、特定の医療機関を貶める意図をもって報道したものではない。記者は最初から『行政指導の事実について確認したい』と告げて取材した。また翌1月26日に申立人から抗議を受けた『行政指導を受けた時期の明示』と『コメント内容の間違い』については、1月26日に修正放送を行い、その後の話し合いでも新たな要求は無く、放送上の対応については理解を得られたと認識している」としている。
放送後、3回の話し合いが行われたが、双方の主張に隔たりがあり、申立人からBRCに審理要請がなされ、2月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」及び「権利侵害補充書」が提出された。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
- Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
- IV. 委員会の判断