委員会では、「人権侵害」の申立てによる審理以外にも、放送業界全体に対する、取材・放送上の 重大な問題について、「要望」「声明」等を公表しています。これまでに公表されたものは、以下のとおりです。
※「放送と人権等権利に関する委員会」は2008年6月まで「BRC」との略称を用いていました。
2014年6月
「顔なしインタビュー等についての要望~最近の委員会決定をふまえての委員長談話~」
委員会は年初来、報道・情報番組におけるいわゆる顔なしインタビューやボカシ・モザイク処理の現状について調査・分析し、議論を重ねてきた。
個人のプライバシーや名誉、肖像が守られなければならない一方で、実際には安易な顔なしインタビューがなされているのではないか。例外的に「顔なし、ボカシ・モザイク映像」とする場合の留意点は何かなど、委員会で議論するとともに、加盟社との意見交換会などでも、放送現場のご意見等もうかがってきた。
委員会は、事実の正確性、客観性、真実に迫る努力などを順守するために、あくまでも「顔出しインタビュー」を原則とするべきであることを確認。また、デジタル化された放送が無断で二次利用される現状において、例外的な「顔なしインタビュー」を放送する要件がきちんと確立され、運用される必要があると考え、「顔なしインタビュー等についての要望」を公表するものです。
2006年5月
「秋田県能代地区における連続児童遺体発見事件」取材についての要望
遺体で発見された児童の母親から「メディア各社の猛烈な取材攻勢に見舞われ、生活を脅かされている。何とかして欲しい」という訴えがあり、真相の究明を急ぐあまり過剰取材に陥り、プライバシーを侵害することのないよう、節度をもって取材することを強く要望した。
2005年12月
「犯罪被害者等基本計画」に関するBRC声明
閣議決定された「犯罪被害者等基本計画」が、犯罪被害者の実名を発表するか否かを警察判断に委ねることにしたことに対する抗議の声明。BRC(放送人権委員会)が放送被害の救済に努めてきた役割を軽視するものであり、報道関係者が取材の際に被害者らとの信頼関係を築きながら自主的に解決すべき問題だとして、閣議決定を改めるよう求めた。
2001年9月
BRCの審理と裁判との関連についての考え方
BRC(放送人権委員会)と裁判を比較して論じている。委員会は運営規則において「裁判で係争中の問題は扱わない」としているが、その第一の理由として法的判断の齟齬を防ぐためとしている。また、委員会は、法律だけでなく広く放送倫理の視点をふまえて判断していることや、手続きが簡単で迅速な処理が行われやすく無料であることなどを述べている。外国の放送の苦情処理機関についても紹介している。
2001年2月
放送番組の録画・録音の視聴請求について
申立人が放送テープの視聴請求を放送局に拒否され、申立書の提出を受けた委員会が当該局から提出された放送テープを申立人に視聴してもらうというケースがあった。委員会決定の通知にあたって、当該局に委員長の考えが示されたが、後日委員会で検討のうえ「委員会見解」として各社に伝えられた。
1999年12月
「桶川女子大生殺害事件」取材についての要望
被害者の家族から「大勢の取材陣が群がり、外出も出来ない状況で生活に支障をきたしている。被害者なのに、何でこれほどいじめられなくてはいけないのか」などと、テレビ局の執拗な取材に自粛を求める電話が寄せられた。このため、このような家族の声を真摯に受け止め、プライバシー侵害のないよう節度をもって取材に当たることを要望した