放送人権委員会

委員会決定

2020年度一覧

「放送によって人権侵害を受けた」という申立てにより審理を行い、その結果を「委員会決定」として公表、掲載しています。

第76号 - 2021年3月30日 放送局:フジテレビ

「リアリティ番組出演者遺族からの申立て」 に関する委員会決定

見解:放送倫理上問題あり(補足意見、少数意見付記)
当事案は、フジテレビが2020年5月19日未明に放送した『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していた女性が放送後に亡くなったことについて、女性の母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、人権侵害があったと訴え、委員会に申し立てたもの。
これに対してフジテレビは、番組で「女性を暴力的に描いていない」などと主張するとともに、社内調査の結果を基に、「人権侵害は認められない」と反論した。
委員会は、審理の結果、人権侵害は認められないとしたが、出演者の身体的・精神的な健康状態に関する配慮が欠けていた点について、放送倫理上の問題があったと判断した。その上で、フジテレビに、本決定を真摯に受け止め、改善のための対策を講じることを要望した。 なお、本決定には補足意見と2つの少数意見が付記された。

第75号 - 2020年11月16日 放送局:札幌テレビ放送

「一時金申請に関する取材・報道に対する申立て」に関する委員会決定

見解:問題なし
札幌テレビは2019年4月26日の『どさんこワイド179』で、札幌市内に住む男性が「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づき、一時金を申請する模様を伝えた。
男性は札幌テレビの記者の働きかけで不本意ながら申請をし、これが報道されたことで名誉が毀損された等として、札幌テレビに謝罪と訂正を求めて申立書を提出した。
札幌テレビは、申立人に申請を働きかけたことはなく、取材と報道は公正なものだと反論していた。
委員会は、審理の結果、人権侵害の問題はなく、放送倫理上の問題もないと判断した。

第74号 - 2020年10月14日 放送局:フジテレビ

「大縄跳び禁止報道に対する申立て」に関する委員会決定

見解:問題なし
フジテレビは2019年8月30日の『とくダネ!』で、都内の公園で大縄跳びが禁止された問題を放送した。インタビューに答えた周辺住民女性が、突然マイクを向けられ誘導尋問され、勝手に放送に使われたとして、フジテレビに対して「捏造に対する謝罪と意見の撤回」を求めて申立書を提出した。フジテレビは、インタビュー内容を加工せずそのまま放送しており、「捏造には該当しない」などと反論した。
委員会決定は、本件放送に、人権侵害、また放送倫理上の問題があったとは判断できない、とした。

第73号 - 2020年6月30日 放送局:フジテレビ

「オウム事件死刑執行特番に対する申立て」に関する委員会決定

見解:問題なし
フジテレビは、2018年7月6日に放送した『FNN報道特別番組 オウム松本死刑囚ら死刑執行』で、オウム真理教の元幹部7人の死刑執行について報じた。
申立人の松本麗華氏はオウム真理教の代表だった松本智津夫元死刑囚の三女で、本件番組は、死刑囚の名前と顔写真を一覧にしたフリップに「執行」のシールを貼るなどした点で死刑執行をショーのように扱っているとし、父親の死が利用されたことや父親に対する出演者の発言によって名誉感情(敬愛追慕の情)を害されたなどとして、BPO放送人権委員会に申立てを行った。
委員会は、審理の結果、いずれについても名誉毀損等の問題は認められず、放送倫理上の問題もないと判断した。

第72号 - 2020年6月12日 放送局:テレビ埼玉

「訴訟報道に関する元市議からの申立て」に関する委員会決定

見解:問題なし
テレビ埼玉は2019年4月11日の『NEWS545』で、埼玉県内の元市議が提起した損害賠償訴訟のニュースを放送した。その中で、元市議は、自分が起こした裁判なのに自分がセクハラで訴えられたかのような「ニュースのタイトル」と、「議員辞職が第三者委員会のセクハラ認定のあとであるかのような表現」によって名誉が傷つけられ、また「次の市議会議員選挙に立候補予定」と伝えたことは選挙妨害であるとして、BPO放送人権員会に申し立てを行った。
委員会は、審理の結果、そのいずれについても、名誉毀損等の問題は認められず、放送倫理上の問題もないと判断した。