放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2007年度 第34号

部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え

委員会決定 第34号 – 2007年11月12日 放送局:毎日放送

見解:表現のあり方等について要望
毎日放送の報道番組『VOICE』は2006年11月、大阪市の“ヤミ補助金問題”を取り上げた。申立人は、報道内容に行き過ぎた演出があり名誉を毀損されたとして申し立てた。

2007年11月12日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第34号

申立人
A、B
被申立人
毎日放送
対象番組
毎日放送の報道番組「VOICE」
放送日時
2006年11月20日午後6時36分から4分40秒間

申立てに至る経緯

毎日放送は、2006年11月20日の報道番組「VOICE」(関西ローカル)の中で、「大阪市の民間社会福祉施設等に対する償還金補助」を取り上げ、「予算計上しないまま支給しているのは“ヤミ補助金”の疑いがある」と伝え、また、番組内では、当該補助金の支給を受けていた法人は約30あり、この内8法人は部落解放同盟の幹部らが理事を務めていることなどを、該当する2施設の映像などとともに放送した。
この番組に対し、部落解放同盟大阪府連のA書記長らから毎日放送に「抗議する」との申し入れがあり、12月7日A氏らが毎日放送を訪れ、口頭で抗議した。
抗議内容は、「償還金補助は大阪市の制度であり、“ヤミ”補助金ではない」「部落解放同盟関連法人だけが対象ではないのに、意図的に部落解放同盟を叩いている」「年間返済金の『2倍』の補助金が支払われていたというのは事実誤認」など。
これに対し、毎日放送は12月20日付け文書で次のように回答した。
「当該補助金は予算計上されておらず、不透明・不適切であり、“ヤミ補助金”という表現は不適切ではない」「部落解放同盟関連法人だけに限定していないことを表現したつもりだが、誤解を招いたことは本意ではない」「04年度に当該施設に2年分の補助金が入金されたのは事実。そうなったのは市側の事務手続きの遅延で2年分が同一年度に支払われたと説明しており、報道内容は事実誤認ではない」
この後、3月14日付けで部落解放同盟大阪府連のA書記長から毎日放送(山本社長宛)に「06年11月20日放送の『VOICE』についての再質問と要請」という文書が送られ、「部落解放同盟を殊更に強調していないか」「社会福祉法人側や部落解放同盟に問題があったのか」「部落解放同盟の支部長や府連書記長の肩書きを報道する必要があったのか」など8項目について質している。これに対し、毎日放送は4月3日付けでA氏宛に「再回答書」を送り、項目別に答えるとともに、「大阪市の公金支出の問題点を指摘した本件報道は、その目的の公益性からみても正当なものだ」としている。
この毎日放送の「再回答」を受けて、A氏らは「毎日放送に対し謝罪と『VOICE』の報道によって広がった誤ったイメージの是正を求めていたが、その前段階である見解に大きな違いが存在しており、このままでは私達の求めていることが理解されない」として、局側との交渉をやめ、6月11日付けでBRCに申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

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