広島ドッグパーク関連報道
見解:問題なし
大阪の動物愛護団体の代表が、2006年11月から12月にかけて放送された朝日放送の報道番組『ムーヴ!』で、犬たちを救済する活動が、偏見や憶測によってあたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損されたと申し立てた事案。
2007年8月3日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第33号
- 申立人
- A(動物愛護団体B代表)
- 被申立人
- 朝日放送
- 対象番組
- 朝日放送 ニュース情報番組「ムーブ!」(ローカル)
- 放送日時
- 次の(1)から(11)までの日における午後3時49分から午後5時54分内
(1)2006年11月27日
(2)2006年11月28日
(3)2006年11月29日
(4)2006年12月4日
(5)2006年12月6日
(6)2006年12月11日
(7)2006年12月12日
(8)2006年12月18日
(9)2006年12月20日
(10)2006年12月21日
(11)2006年12月28日
申立てに至る経緯
本件番組は、毎週月曜日から金曜日までの午後3時49分から午後5時54分まで放送される、被申立人の報道局ニュース情報センター制作の「ムーブ!」において、上記(1)から(11)までの各時間帯で放送されたものである。
番組内容は、2003年4月に開園した犬のテーマパーク「ひろしまドッグぱーく」が経営不振に陥って2005年6月に閉園したところ、多数の犬が放置されていたので、2006年9月に、申立人が代表である大阪の動物愛護団体Bが放置犬の救助に乗り出したことについての一連の追跡報道である。Bは、ホームページを使って全国に放置犬の引き取り手を探し、寄付を募ったが、このことはマスコミによって全国的に大きく報道された。このため、集まった寄付金の額は、2006年10月25日のホームページ上で5400万円と公表され、また、放置犬の救出のために全国から延べ6000人以上のボランティアが参加した。
しかしその後、参加したボランティアや他の動物愛護団体から「犬の扱い方がおかしい」「寄付されたお金や物資の使い方に疑問がある」などの情報が被申立人の番組である「ムーブ!」宛に寄せられた。
「ムーブ!」では、Bにおいて多額の寄付金が残っているのに「医療費が足らない」と言って支援を呼びかけていたと判断して、申立人に対し、その収支などを明らかにするように取材・放送の過程で求めた。しかし、申立人はその内容を明らかにしないことから、被申立人の番組「ムーブ!」において、申立人が代表であるBの募金と活動実態が整合しているかを検証したものである。
これに対し、申立人は、被申立人の番組「ムーブ!」における上記(1)から(11)までの番組は、いずれも一方的な偏見報道及び憶測放送と恣意的な内容の連続的放送であるとして、2007年1月5日付で「申立書」をBRCに提出した。
これに先立ち、Bは、2006年12月7日付で、被申立人及び朝日放送番組審議会に対し、「番組に対する苦情申立書」を提出し、上記(1)から(5)までの一連の報道は、B及び申立人に対する名誉毀損その他の重大な人権侵害等権利侵害を含む内容であり、今後も同様の姿勢により継続されるならばさらに侵害されるおそれがあるので、今後の放送によりB及び申立人の人権等が侵害されることのないよう、また過去の放送による被害の回復のため謝罪と訂正放送を求めて、苦情申立てを行った。また、Bは、2006年12月11日に、被申立人報道局ニュース情報センター「ムーブ!」広島ドッグパーク問題取材班宛に「朝日放送に対する質問状」を送付し、上記(1)の放送番組に対する10項目の質問をした。
これに対し、被申立人は、上記苦情申立書は、回答を求めるものではなく、番組内容の検証など番組に対する要望であり、この要望については、報道局内で番組を検証することとして放送を続けた。また、上記質問状については、被申立人は、2006年12月15日付でBに対し、回答を送付し、対応に問題はないものと考えていることを伝えた。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立ての要旨
- Ⅲ. 答弁の要旨
- IV. 委員会の判断