2009年度 第43号

「拉致被害者家族からの訴え」事案

委員会決定 第43号 – 2010年3月10日 放送局:テレビ朝日

見解:放送倫理上問題あり(補足意見付記)
2009年4月放送のテレビ朝日『朝まで生テレビ!』において拉致問題に触れた番組司会者の発言をめぐって、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が「人の生死に関する安易な発言は名誉毀損やプライバシーの侵害以上に最も重大な人権侵害である」として申し立てた事案。

2010年3月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第44号

申立人
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(代表 飯塚繁雄)
被申立人
株式会社テレビ朝日
苦情の対象となった番組
『朝まで生テレビ!』
(毎月最終金曜日25時25分~28時25分)
放送日時
(1)2009年4月24日27時15分頃から約5分間
(2)2009年5月29日25時29分頃から約2分間

本決定の概要

テレビ朝日(以下「局」または「被申立人」という)の制作によるニュース討論番組『朝まで生テレビ!』は、2009年4月24日深夜、「激論 日本の安全保障と外交」とのテーマで、北朝鮮ミサイル問題を入り口に日本の安全保障や外交について各界専門家による約3時間にわたる議論を放送した。この中で司会者のジャーナリスト田原総一朗氏は拉致問題に触れ、横田めぐみさんと有本恵子さんの名前を挙げて「外務省も生きていないことは分かっている」と発言するとともに、拉致問題に関する言論が拉致被害者の生死に触れることをタブー視する閉塞状態に陥っていることを指摘し、そのような見方にとらわれた政府の方針を批判する趣旨の意見を展開した。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(以下、「家族会」という)は、田原氏のこのような発言は人の生死にかかわる安易な発言であって、家族の心情を傷つけ、名誉毀損やプライバシー侵害以上の最も重大な人権侵害であるとともに、政府の基本方針を批判し、誤まったメッセージを発したことによって救出運動を妨害し、ひいては拉致被害者の人命にもかかわる最も重大な人権侵害である等として、局に対し、田原氏の発言の撤回と謝罪、田原氏の司会者としての起用の見直しなどを求め、放送と人権等権利に関する委員会(以下「委員会」という)に救済を申し立てた。
委員会は、田原氏の発言について以下の通り判断した。番組中で田原氏が、生死の確証のない2人の拉致被害者について、実体的根拠を示すことなく「生きていない」と断定的に述べたことは、家族にとって耐え難い苦痛である。田原氏の発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであることは疑いがない。拉致被害者の救出に全力で取り組んでいる家族の心情に対しあまりに配慮に欠ける表現であった点において不適切であった。
しかし、田原氏の発言全体について見れば、拉致問題についての言論が閉塞状況にあり、そのことが拉致問題の解決を妨げているとの認識のもとに、そのような状況を打開するためあえて批判と苦言を呈したという発言意図に照らせば、その発言が家族の心情を深く害し、強い不快の念を抱かせたものであったとしても、論評全体としては、言論の自由の範囲内にあるものとして許容されるべきである。異論が提起されることによって自らの立場が否定されたとの不快の念を抱く場合があったとしても、メディアの世界における自由な言論は保障されなければならない。田原氏の発言に関する局の責任としては、名前を特定した2人の拉致被害者について、根拠を示すことなく「生きていない」と断定し、被害者家族の心情を無視した不適切な発言に対する対応のあり方の問題に限られる。
局は番組終了後、田原氏からの事情聴取や局としての独自の取材によって上記のような事実が確認できなかったことを認め、二度にわたって謝罪しているから一応必要な措置を講じていると認められる。しかし、問題の深刻さを考えれば謝罪に関してはより迅速かつ適切な方法をとるべきであった。この点において放送倫理上の問題があったと判断し、報道に対する信頼が確保されるよう一層の努力を求めることとした。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.田原発言に対する評価
  • 2.田原発言に対する局の対応と責任

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2010年6月9日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第42号

「派遣法・登録型導入報道」事案

委員会決定 第42号 – 2009年11月9日 放送局:テレビ朝日・朝日放送

見解:構成・表現に関し配慮を求む
テレビ朝日・朝日放送の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月に2回にわたり特集「派遣法誕生」を放送した。この番組について、インタビュー取材を受けた元労働次官と経済学者らが、「質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された」などとして名誉侵害を訴えた事案。

2009年11月9日 委員会決定

申立人
高梨 昌・関 英夫・木村 大樹
被申立人
株式会社テレビ朝日・朝日放送株式会社
苦情の対象となった番組
『サンデープロジェクト』
(毎週日曜日 午前10時~11時45分)
放送日時
第1回 2009年2月1日(日)(番組後半の特集 約30分)
「派遣法誕生(前編)~“雇用破壊”の原点はこう作られた~」
第2回 2009年2月8日(日)(番組後半の特集 約31分)
「派遣法誕生(後編)~“生みの親”キーマン二人の証言~」

本決定の概要

テレビ朝日・朝日放送(以下「局」もしくは「被申立人」という)の共同制作による『サンデープロジェクト』は、2009年2月1日および8日の2回にわたり、特集「派遣法誕生」(以下「本件放送」という)を放送した。番組は、2008年秋以降の派遣切り・雇用不安の拡大を受け、いわゆる「労働者派遣法」の問題点、特に「登録型」に焦点を当て、その成立の過程を追った調査報道である。
この中で「労働者派遣法に登録型を導入するにあたり大きな力を発揮したのが、元労働次官と経済学者の2人であることが分かった」と、多くの関係者や本人のインタビューを積み重ねて伝えた。
この番組について元労働次官と経済学者ら(以下「申立人ら」という)が、「インタビューの質問と答えを勝手に切り貼りされ、局の都合の良い内容に捏造された。また、労働者派遣法に『登録型をひっそりと盛り込んだ』などの表現を多用し、2人が派遣切りなどの雇用不安を生みだした犯人だと攻撃された。これにより名誉を侵害されたので、局に対し訂正と謝罪の放送を求める」と、放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)に申し立てたものである。
この申立てを受け当委員会で審理した結果、本件放送には一部に申立人の社会的評価に影響をもたらす表現が含まれているが、申立人らが公人として労働者派遣法の制定に関わっていた以上、論評を受忍すべき範囲は一般人よりも広く認められるし、そもそも放送内容自体にはその重要な部分において事実に反するところがなく、現在の雇用不安に至る原因を探るという公共性の高い性格を有していることから、名誉毀損などの違法性はないとの見解に至った。
また、この調査報道番組を制作するに当たって、インタビュー証言の編集や放送表現に関し、なお配慮すべき点が幾つかあるものの、放送倫理上問題ありとまではいえないとの結論で当委員会は一致をみた。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人の答弁の要旨

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.派遣法成立の経過と報道のあり方
  • 2.事実の認定と判断
  • 3.放送内容についての評価

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第41号

割り箸事故・医療裁判判決報道

委員会決定 第41号 – 2009年10月30日 放送局:TBS

勧告:重大な放送倫理違反
2008年2月、TBS『みのもんたの朝ズバ!』は、1999年に男児が割り箸を喉に刺して死亡したいわゆる「割り箸事故」の民事裁判判決を取り上げた。その内容について、男児の治療を担当した勤務医とその家族が、事実誤認と捏造ともいえる放送により医師の名誉が毀損され家族も精神的苦痛を受けたと申し立てた事案。

2009年10月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第41号

申立人
A、B、C、D、E
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『みのもんたの朝ズバッ!』における「8時またぎ」のコーナー
放送日時
2008年2月13日(水)午前7時30分過ぎ~
VTR部分 8分20秒
スタジオトーク部分 6分50秒

本決定の概要

本件申立ては、2008年2月13日放送の『みのもんたの朝ズバッ!』(以下「本件放送」という)において、男児が綿菓子の割り箸を口にくわえたまま転倒し、のどを貫いた割り箸の先端部分が脳にまで達した結果死亡した、いわゆる「割り箸事故」で、その治療に関与した医師の責任の有無をめぐる民事裁判の判決内容の報道ならびに論評が行われたが、その内容が当該医師の名誉と信用を毀損し、その家族に精神的被害をもたらしたとしてTBSに対して謝罪放送等を求めたものである。
当委員会は、審理の結果、本件放送は、当該医師の名誉を毀損するものではなく、また申立人ら家族の精神的圧迫感もその侵害が社会通念上許された限度を超えるとは認められないが、放送内容及びその前提となる放送態勢において、民間放送連盟とNHKが制定した『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反するなど重大な放送倫理違反があると判断し、TBSに対してしかるべき措置をとることを勧告する。

(決定の構成)

委員会決定は以下の構成をとっている。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容と問題点
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(放送局)の答弁

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定と判断
  • 2.放送倫理上の問題および権利侵害の有無

Ⅲ 結論と措置

Ⅳ.審理経過

全文PDFはこちらpdf

2010年1月12日【委員会決定を受けてのTBSの取組み】

全文PDFはこちらpdf

2009年度 第40号

保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え

委員会決定 第40号 – 2009年8月7日 放送局:TBSテレビ

勧告:重大な放送倫理違反(意見付記)
TBSの情報バラエティー番組『サンデージャポン』は2008年10月、大阪の保育園の野菜畑が道路建設のため行政代執行される様子を伝えた。この放送について、保育園理事が、あたかも保育園が代執行の当日に園児たちを現場に動員して並ばせたかのような事実に反する放送内容で名誉を毀損され、その後の訂正放送も不十分だったと申し立てた事案。

2009年8月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第40号

申立人
A
被申立人
株式会社 TBSテレビ
苦情の対象となった番組
『サンデージャポン』
放送日時
2008年10月19日(日)=本放送
午前10時~11時24分(当該項目 計 約4分50秒)
同 年 11月2日(日)=訂正放送
午前10時~11時24分(終了間際の約37秒)

本決定の概要

本件申立ては、情報バラエティー番組『サンデージャポン』において、大阪府が高速道路建設のため、保育園用地に対して行った行政代執行の様子を報じた内容に事実と異なる点があり、またそれを前提としたスタジオトークによっても申立人の名誉が毀損されたとして、TBSテレビ(以下「TBS」という)に対し謝罪と訂正を求めるものである。申立人はあわせて、その後の訂正放送においても適切な訂正とお詫びがなされておらず、二度にわたって人権侵害を受けたとしている。
放送内容の誤りについては、大筋においてTBSも認めるところであるが、問題は、それがどのような経過と原因から生じたか、放送によって申立人の名誉その他の権利が侵害されたのか、また訂正放送が適切に行われたかどうかにあった。
放送と人権等権利に関する委員会(以下「当委員会」という)は、結論として、放送において使用したVTRは、故意に事実をねじ曲げたり虚偽の内容を報道したとまではいえないものの、編集上配慮されるべきことが守られず、明らかに視聴者を誤解させる構成があったほか、出演者がVTRの内容によって形成された誤った認識に基づく発言を行ったのを看過して、放送中、または放送直後に訂正する措置がまったくとられなかったことにより、申立人に対する社会的評価を低下させ、その名誉を毀損した疑いが強く、少なくとも申立人の名誉感情を侵害したものと認めた。TBS自身も、放送内容の問題性を認識し、後日訂正放送を行ったが、その訂正放送も不十分であり、申立人の意向に沿うものになっているとはいいがたい。本決定は、本件の放送内容及び放送態勢において「事実を報ずる」という点において重大な放送倫理違反があったとするものであり、当委員会としてはTBSがしかるべき措置をとることを求めるものである。

Ⅰ.事案の内容と経緯

  • 1.申立てに至る経緯
  • 2.放送内容の概要
  • 3.申立人の申立ての要旨
  • 4.被申立人(TBS)の答弁と実施措置

Ⅱ.委員会の判断

  • 1.事実の認定
  • 2.放送内容と放送態勢に対する評価
  • 3.訂正放送の在り方

Ⅲ 結論

Ⅳ 審理経過

全文PDFはこちらpdf

2009年11月6日【委員会決定を受けてのTBSテレビの取組み】

全文PDFはこちらpdf

2008年度 第39号

徳島・土地改良区横領事件報道

委員会決定 第39号 – 2009年3月30日 放送局:テレビ朝日

勧告:重大な放送倫理違反(補足意見・少数意見付記)
徳島県で起きた土地改良区の横領事件を伝えた2007年7月のテレビ朝日『報道ステーション』をめぐって、全国土地改良事業団体連合会会長の野中広務氏が作為的な構成の報道内容により、名誉と信用を毀損されたとして訴えた事案。

2009年3月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第39号

申立人
野中 広務
被申立人
株式会社 テレビ朝日
対象番組
『報道ステーション』
「『土地改良区と補助金』6億円着服・・・60歳女の裏側」
放送日時
2008年7月23日(水)
午後9時54分~11時10分内 約7分

Ⅰ 申立てに至る経緯

  • 1 苦情の対象となった番組
  • 2 申立ての経緯

Ⅱ 申立人の申立ての要旨

  • 1 名誉・信用の侵害
  • 2 肖像権の侵害
  • 3 放送局に要求すること

Ⅲ 被申立人の答弁の要旨

  • 1 名誉・信用の侵害について
  • 2 肖像権について
  • 3 放送局への要求について

Ⅳ 委員会の判断

  • 1 名誉権の侵害について
  • 2 信用の毀損について
  • 3 肖像権の侵害について
  • 4 放送倫理違反について
  • 5 結論と措置

全文PDFはこちらpdf

2009年6月29日【委員会決定を受けてのテレビ朝日の取組み】

全文PDFはこちらpdf

2008年度 第38号

広島県知事選裏金疑惑報道

委員会決定 第38号 – 2008年12月3日 放送局:中国放送

見解:ホームページでの当該報道の文字情報は放送と同視せず(意見付記)
1997年の広島県知事選挙において当時の知事の後援会組織等から裏金を受け取ったとの疑いを持たれ、中国放送のニュース番組で実名を報道された元県議会議員3名が、「事実無根の報道により大きな被害を受けた」として名誉権の侵害を訴えた事案。

2008年12月3日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第38号

申立人
A
B
C
被申立人
株式会社中国放送(RCC)
対象番組
『イブニングニュース広島』内
「特集 藤田県政の闇 知事選裏金疑惑」
放送日時
① 2006年11月30日放送 標題「メモの現職県議8人が判明」
② 2007年 2月20日放送 標題「メモの現職県議、残る2人も判明」
③ 2007年 2月28日放送 標題「藤田知事の元秘書が供述『宮本県
議に30万円渡した』~疑惑の現職県議は11人」
④ 2007年 4月10日放送 標題「県議会選挙ドキュメント~あの人
たちは何を語った?~」

Ⅰ.申立てに至る経緯

  • (1)苦情の対象となった番組
  • (2)申立ての経緯

Ⅱ.申立人の申立ての要旨

  • (1)名誉権の侵害について
  • (2)被った不利益
  • (3)放送局への要求

Ⅲ.被申立人の答弁の要旨

  • (1)名誉権の侵害について
  • (2)交渉の経過について
  • (3)インターネットでの報道について

Ⅳ.委員会の判断

  • (1)第1の申立てについて
  • (2)第2の申立てについて
  • (3)結論

全文PDFはこちらpdf

2008年度 第37号

群馬・行政書士会幹部不起訴報道

委員会決定 第37号 – 2008年7月1日 放送局:エフエム群馬

見解:放送倫理違反
申立人は2006年7月に暴行容疑で書類送検されたが、その後不起訴処分になった。エフエム群馬は2007年12月に県議会で取り上げられたこの問題を伝えたが、申立人は「何の取材も受けないまま真実でない放送をされ、名誉を傷つけられた」と申し立てた。

2008年7月1日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第37号

申立人
A
被申立人
エフエム群馬
対象番組
エフエム群馬 夕方のニュース
放送日時
2007年12月12日
午後6時07分頃
1分10秒

申立てに至る経緯

民放ラジオ局であるエフエム群馬は、夕方の定時ニュースの一項目として、「群馬県行政書士会の総務部長が会員に暴行を加えてケガを負わせたとして、傷害の疑いで前橋地方検察庁に書類送検されていたことが分かりました」で始まり、同行政書士会の会員が県議会に総務部長らの処分を行うように陳情し、放送当日の県議会総務常任委員会で取りあげられたこと、総務部長は書類送検されて不起訴処分となっていること、また県では検察で不起訴処分になっていることから処分は行わないとしたことなどを伝えた(以下、「本件放送」という)。

本件放送に対し、申立人である総務部長は、事実関係が異なるうえ、自分になんらの取材をしないまま一方的な報道をされ、名誉を傷つけられたとして、2008年1月、エフエム群馬に対し、放送法4条に基づく訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、エフエム群馬は、本件放送は県議会での質疑応答の過程において明らかになった内容を伝えたものであって、重要事項についての事実確認を行った上で報道しており、真実でない事項の放送はしておらず、訂正放送などに応じることはできないと反論した。その後、双方の直接の交渉はなされないまま、2008年2月、申立人から当委員会に対し「申立書」が提出され、3月の委員会で審理入りを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文PDFはこちらpdf

2008年9月25日【委員会決定を受けてのエフエム群馬の対応】

全文PDFはこちらpdf

2008年度 第36号

高裁判決報道の公平・公正問題

委員会決定 第36号 – 2008年6月10日 放送局:NHK

見解:放送倫理違反
「戦争と女性への暴力」日本ネットワークが申し立てた事案。NHKは2007年1月の『ニュースウオッチ9』において、申立人らとNHKが争ったETV2001シリーズ『戦争をどう裁くか』に関する高裁判決を伝えたが、申立人は「当事者としてのNHKの言い分」と「報道機関としての報道」を峻別せずに報道したことは公平原則に照らして到底許されるものではない、また公平原則を逸脱した部分は正確な報道を行うという放送倫理に違反すると申し立てた。

2008年6月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第36号

申立人
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク
被申立人
 NHK
対象番組
NHK制作の報道番組「ニュースウオッチ9」
放送日時
2007年1月29日
NHK総合テレビ 午後9時00分~

申立てに至る経緯

2001年にNHKが、教育テレビで放送した「戦争をどう裁くか」というシリーズの番組をめぐって、取材を受けた民間の団体「戦争と女性への暴力」日本ネットワークが「事前の説明と異なる不本意な番組を放送された」として訴えていた裁判で、NHKは、2007年1月29日、東京高等裁判所でなされた判決について、その概要やこれに関連する事項について、次のとおり放送した。
「東京高等裁判所の南敏文裁判長は『番組編集の自由は、憲法上、尊重すべき権利で、不当に制限されてはならないが、今回の番組は、取材を受けた団体への事前の説明とかけ離れたものになって、期待と信頼に反した。放送前に十分な説明もしていなかった』と指摘しました。そして『NHKの当時の幹部が、国会議員から一般論として公正・中立にと言われたことなどを、必要以上に重く受け止め、その考えを推し量って、番組を編集し直すよう指示したもので、編集権を乱用した責任は重い』と判断し、NHKに200万円の賠償を命じました。」と判決内容を紹介したあと、「判決についてNHKは『不当な判決であり、直ちに上告した。判決は、番組編集の自由を極度に制約するもので、到底受け入れられない』としています。」と被申立人自身の見解を紹介し、「今日の判決の中で、東京高等裁判所は、この番組をめぐって、朝日新聞が政治家の圧力で改変されたと報道したことについて、『国会議員が具体的に番組に介入したとは認められない』と述べました。」とのコメントの後に、朝日新聞で被申立人に圧力をかけたと指摘された本人である安倍晋三内閣総理大臣と中川昭一政務調査会長(いずれも本件放送当時。以下同じ。)の、政治的圧力をかけた事実はなかったことがはっきりした旨のコメントを放送した。
この放送に対して、申立人らは、「上記ニュース内容は『当事者としてのNHKの言い分』と『報道機関としての報道』を峻別せずに報道している。このことは、公平原則に照らして到底許されるものではない。また、公平原則を逸脱した部分は、正確な報道を行うという放送倫理にも違反している」として2007年4月、被申立人に対して抗議・要求書を送付し訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し被申立人は、「この報道は、前半部分で、当日の判決の内容とNHKのコメントを伝えた上で、後半部分で、この判決に関連して一昨年1月の朝日新聞の記事をめぐる朝日新聞社と自民党との問題について、安倍氏と中川氏のコメントを交えて伝えたもので、何ら問題はないと考える」と反論し、訂正放送・謝罪には応じられない旨回答した。
その後、双方の直接の交渉はなされないまま、2008年1月、申立人らから本委員会に対して「申立書」が提出され、本委員会は、2月の委員会で審理入りを決定した。
なお、政治家の介入があったか否かの点に関する高裁判決の内容は、次のとおりである。
「一審原告らは、政治家等が本件番組に対して直接指示をし介入したと主張するが、上記面談の際、政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、証人松尾及び証人野島の各証言によってもこれを認めるに足りず、他に認めるに足りる証拠はない。」
(注:証人松尾・・・NHK 放送総局長     松尾 武 氏)
(注:証人野島・・・NHK 総合企画室担当局長 野島直樹 氏)

(いずれも2001年当時)

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人らの申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文PDFはこちらpdf

2008年9月3日【委員会決定を受けてのNHKの対応】

全文PDFはこちらpdf

2007年度 第35号

“グリーンピア南紀”再生事業の報道

委員会決定 第35号 – 2007年12月4日 放送局:読売テレビ

見解:問題なし
和歌山県にある大規模保養施設の再生事業を請け負った人物が、読売テレビの報道番組『ウェークアップ!プラス』(2007年5月と6月放送)で事実と異なる報道がされ、名誉が著しく傷つけられ、取材・放送によりプライバシーが侵害されたと申し立てた事案。

2007年12月4日 委員会決定

申立人
A
被申立人
読売テレビ
対象番組
読売テレビ 報道番組「ウェークアップ!ぷらす」
放送日時
2007年5月26日 午前8時から午前9時25分内
2007年6月2日  午前8時から午前9時25分内

申立てに至る経緯

本件放送は、旧年金福祉事業団が設置した大規模年金保養施設「グリーンピア南紀」の払い下げを受けた和歌山県那智勝浦町と、その跡地の再開発事業を請け負ったBという会社の契約を巡る不明瞭且つ不透明な経緯を指摘し、問題提起する内容となっている。
被申立人読売テレビは、毎週土曜日の「ウェークアップ!ぷらす」で、4月21日、5月26日、6月2日の3回にわたり、このグリーンピア南紀再生事業に関する追跡報道を行った。
Bのオーナーである申立人A氏は、これら番組のうち、上記 I の(1)、(2)についてプライバシーの侵害、名誉毀損があったと訴え、被申立人に謝罪・訂正を求め、話し合ったが決着がつかず、BRCに対し権利侵害を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人らの申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2007年度 第34号

部落解放同盟大阪府連幹部からの訴え

委員会決定 第34号 – 2007年11月12日 放送局:毎日放送

見解:表現のあり方等について要望
毎日放送の報道番組『VOICE』は2006年11月、大阪市の“ヤミ補助金問題”を取り上げた。申立人は、報道内容に行き過ぎた演出があり名誉を毀損されたとして申し立てた。

2007年11月12日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第34号

申立人
A、B
被申立人
毎日放送
対象番組
毎日放送の報道番組「VOICE」
放送日時
2006年11月20日午後6時36分から4分40秒間

申立てに至る経緯

毎日放送は、2006年11月20日の報道番組「VOICE」(関西ローカル)の中で、「大阪市の民間社会福祉施設等に対する償還金補助」を取り上げ、「予算計上しないまま支給しているのは“ヤミ補助金”の疑いがある」と伝え、また、番組内では、当該補助金の支給を受けていた法人は約30あり、この内8法人は部落解放同盟の幹部らが理事を務めていることなどを、該当する2施設の映像などとともに放送した。
この番組に対し、部落解放同盟大阪府連のA書記長らから毎日放送に「抗議する」との申し入れがあり、12月7日A氏らが毎日放送を訪れ、口頭で抗議した。
抗議内容は、「償還金補助は大阪市の制度であり、“ヤミ”補助金ではない」「部落解放同盟関連法人だけが対象ではないのに、意図的に部落解放同盟を叩いている」「年間返済金の『2倍』の補助金が支払われていたというのは事実誤認」など。
これに対し、毎日放送は12月20日付け文書で次のように回答した。
「当該補助金は予算計上されておらず、不透明・不適切であり、“ヤミ補助金”という表現は不適切ではない」「部落解放同盟関連法人だけに限定していないことを表現したつもりだが、誤解を招いたことは本意ではない」「04年度に当該施設に2年分の補助金が入金されたのは事実。そうなったのは市側の事務手続きの遅延で2年分が同一年度に支払われたと説明しており、報道内容は事実誤認ではない」
この後、3月14日付けで部落解放同盟大阪府連のA書記長から毎日放送(山本社長宛)に「06年11月20日放送の『VOICE』についての再質問と要請」という文書が送られ、「部落解放同盟を殊更に強調していないか」「社会福祉法人側や部落解放同盟に問題があったのか」「部落解放同盟の支部長や府連書記長の肩書きを報道する必要があったのか」など8項目について質している。これに対し、毎日放送は4月3日付けでA氏宛に「再回答書」を送り、項目別に答えるとともに、「大阪市の公金支出の問題点を指摘した本件報道は、その目的の公益性からみても正当なものだ」としている。
この毎日放送の「再回答」を受けて、A氏らは「毎日放送に対し謝罪と『VOICE』の報道によって広がった誤ったイメージの是正を求めていたが、その前段階である見解に大きな違いが存在しており、このままでは私達の求めていることが理解されない」として、局側との交渉をやめ、6月11日付けでBRCに申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2007年度 第33号

広島ドッグパーク関連報道

見解:問題なし
大阪の動物愛護団体の代表が、2006年11月から12月にかけて放送された朝日放送の報道番組『ムーヴ!』で、犬たちを救済する活動が、偏見や憶測によってあたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損されたと申し立てた事案。

2007年8月3日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第33号

申立人
A(動物愛護団体B代表)
被申立人
朝日放送
対象番組
朝日放送 ニュース情報番組「ムーブ!」(ローカル)
放送日時
次の(1)から(11)までの日における午後3時49分から午後5時54分内
(1)2006年11月27日
(2)2006年11月28日
(3)2006年11月29日
(4)2006年12月4日
(5)2006年12月6日
(6)2006年12月11日
(7)2006年12月12日
(8)2006年12月18日
(9)2006年12月20日
(10)2006年12月21日
(11)2006年12月28日

申立てに至る経緯

本件番組は、毎週月曜日から金曜日までの午後3時49分から午後5時54分まで放送される、被申立人の報道局ニュース情報センター制作の「ムーブ!」において、上記(1)から(11)までの各時間帯で放送されたものである。
番組内容は、2003年4月に開園した犬のテーマパーク「ひろしまドッグぱーく」が経営不振に陥って2005年6月に閉園したところ、多数の犬が放置されていたので、2006年9月に、申立人が代表である大阪の動物愛護団体Bが放置犬の救助に乗り出したことについての一連の追跡報道である。Bは、ホームページを使って全国に放置犬の引き取り手を探し、寄付を募ったが、このことはマスコミによって全国的に大きく報道された。このため、集まった寄付金の額は、2006年10月25日のホームページ上で5400万円と公表され、また、放置犬の救出のために全国から延べ6000人以上のボランティアが参加した。
しかしその後、参加したボランティアや他の動物愛護団体から「犬の扱い方がおかしい」「寄付されたお金や物資の使い方に疑問がある」などの情報が被申立人の番組である「ムーブ!」宛に寄せられた。
「ムーブ!」では、Bにおいて多額の寄付金が残っているのに「医療費が足らない」と言って支援を呼びかけていたと判断して、申立人に対し、その収支などを明らかにするように取材・放送の過程で求めた。しかし、申立人はその内容を明らかにしないことから、被申立人の番組「ムーブ!」において、申立人が代表であるBの募金と活動実態が整合しているかを検証したものである。
これに対し、申立人は、被申立人の番組「ムーブ!」における上記(1)から(11)までの番組は、いずれも一方的な偏見報道及び憶測放送と恣意的な内容の連続的放送であるとして、2007年1月5日付で「申立書」をBRCに提出した。
これに先立ち、Bは、2006年12月7日付で、被申立人及び朝日放送番組審議会に対し、「番組に対する苦情申立書」を提出し、上記(1)から(5)までの一連の報道は、B及び申立人に対する名誉毀損その他の重大な人権侵害等権利侵害を含む内容であり、今後も同様の姿勢により継続されるならばさらに侵害されるおそれがあるので、今後の放送によりB及び申立人の人権等が侵害されることのないよう、また過去の放送による被害の回復のため謝罪と訂正放送を求めて、苦情申立てを行った。また、Bは、2006年12月11日に、被申立人報道局ニュース情報センター「ムーブ!」広島ドッグパーク問題取材班宛に「朝日放送に対する質問状」を送付し、上記(1)の放送番組に対する10項目の質問をした。
これに対し、被申立人は、上記苦情申立書は、回答を求めるものではなく、番組内容の検証など番組に対する要望であり、この要望については、報道局内で番組を検証することとして放送を続けた。また、上記質問状については、被申立人は、2006年12月15日付でBに対し、回答を送付し、対応に問題はないものと考えていることを伝えた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての要旨
  • Ⅲ. 答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2007年度 第32号

ラ・テ欄表記等に対する訴え

委員会決定 第32号 – 2007年6月26日 放送局:テレビ朝日

見解:適正なラ・テ欄表記を要望
2007年2月放送のテレビ朝日のバラエティー番組を紹介する新聞のラジオ・テレビ欄の表現について、外国人の女性が、家庭の事情を公表され名誉・プライバシーの侵害を受けたと訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第32号

申立人
北海道在住のセラピスト
被申立人
テレビ朝日
対象番組
テレビ朝日 バラエティー番組『銭形金太郎』
放送日時
2007年2月7日午後8時~8時54分(テレビ朝日系列で全国放送)

申立てに至る経緯

被申立人であるテレビ朝日は、2月7日放送のバラエティー番組「銭形金太郎」で、申立人であるルーマニア人女性のセラピストが、北海道の自然の中で家族と楽しく暮らしているという生活ぶりを放送した。
この放送に対し、申立人は「新聞のラジオ・テレビ欄(以下「ラ・テ欄」という)に『バツイチ子連れ美女の……』等の表現で家庭の事情を公表され、名誉・プライバシーの侵害を受け、また、放送された内容は、当初の企画意図の説明の趣旨と違っており、放送倫理に違反する」と放送局に苦情を訴えた。
これに対し被申立人は「前夫との離婚について番組で紹介することは、事前に了承を得ている。放送の企画説明と放送内容は違っておらず一貫している」と反論した。
話し合いは数回にわたって行われたが決着がつかず、2月23日申立人から本委員会に申立書が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2007年度 第31号

エステ店医師法違反事件報道

委員会決定 第31号 – 2007年6月26日 放送局:日本テレビ

見解:放送倫理違反
エステ店経営者が医師法違反で書類送検された事件を伝えた2007年2月の日本テレビの報道について、経営者が「盗み撮りした映像が使われ、まるで極悪人のように報道された。名誉も毀損されプライバシーも侵害された」と訴えた事案。

2007年6月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第31号

申立人
東京都町田市在住のエステ店経営者
被申立人
日本テレビ
対象番組
日本テレビのニュース番組
放送日時
2007年2月7日「NNNニュースD」午前11時30分から放送(関東ローカル、45秒)
「NNN Newsリアルタイム」午後4時50分から放送(関東ローカル、2分)
「NEWS ZERO」午後10時54分から放送(全国ネット、3分)

申立てに至る経緯

申立人は、東京都町田市所在のエステ店を経営しているが、2006年10月31日町田警察署から医師法違反容疑で家宅捜索を受け、2007年2月6日同容疑で書類送検された。
日本テレビは、翌2月7日3回にわたってこの事件を「エステ店経営者が医師法違反容疑で書類送検」と放送したが、その放送内容について申立人は「盗み撮りした映像を使ってまるで極悪人のように報道された。名誉も毀損され、プライバシーも侵害された」と日本テレビ側に抗議した。
その後、申立人は「文書での回答要求も断られた。ラチが明かない」として2月15日付でBRCに「申立書」を送付し、謝罪放送、文書での謝罪等を求めている。
これに対し、被申立人の日本テレビは「本件報道は、申立人が医師法違反で摘発され、書類送検された事実を誤りなく伝えたものだ」と主張している。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2007年8月28日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2006年度 第30号

民主党代表選挙の論評問題

委員会決定 第30号 – 2006年9月13日 放送局:テレビ朝日

見解:問題なし
テレビ朝日の『報道ステーション』は2006年4月に民主党代表選挙に関する報道をした。
これに対して民主党の衆議院議員2人が「政治評論家によって虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された」と申し立てた。

2006年9月13日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第30号

申立人
衆議院議員 仙谷由人 衆議院議員 枝野幸男
被申立人
テレビ朝日
苦情の対象となった番組
テレビ朝日 報道ニュース番組『報道ステーション』
放送日時
2006年4月4日  午後9時54分~11時10分
4月5日  午後9時54分~11時10分

申立てに至る経緯

被申立人テレビ朝日は、4月4日、5日の「報道ステーション」で、民主党代表選挙に関して報道したが、放送後に仙谷申立人側から、「政治評論家によって、虚偽の事実を摘示され、著しく名誉を毀損された。訂正放送か書面での謝罪を求める」と電話で抗議があった。その後、被申立人と仙谷申立人の間で3回にわたり話し合いが行われたが決着がつかず、5月23日仙谷申立人と枝野申立人が、連名で放送人権委員会に審理の申立てを行った。
これまでの双方の話し合いでは、申立人らは、「政治的な謀略的筋書きで一方的に放送し、裏づけ取材なく虚偽の報道をした」などと主張したのに対し、被申立人は「真実ないし真実と信じるに足る相当な理由がある事実に基づいて論評を行ったものだ」と反論した。当委員会は、当該番組を視聴した上で、6月の委員会で審理入りを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2006年度 第29号

若手政治家志望者からの訴え

委員会決定 第29号 – 2006年7月26日 放送局:日本テレビ

見解:迅速・丁寧な対応を要望
若手政治家志望者3人が、日本テレビが2005年11月に放送した報道番組について「我々が作った政党と個人の活動について誤解を与える表現と作為的な編集、演出が行われ、名誉が傷つけられた」と申し立てた事案。

2006年7月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第29号

申立人
A、B、C
被申立人
日本テレビ
苦情の対象となった番組
日本テレビ 報道番組「先端研」
放送日時
2005年11月22日 午前1時45分から約30分間放送

申立てに至る経緯

「先端研」は、日本テレビの説明によると、ニュース離れが進む若年層をターゲットに、気になる「先端的なテーマ」を取り上げた報道局制作の深夜番組であり、05年4月から12月まで週に1回関東ローカル枠で放送された。
「政治家を志す若者たち」というテーマで放送された本件番組は、主に以下の4つのパートから成り立っている。
•元フリーターから当選した(東京の)中野区議
•自分たちで政党をつくった「日本公進党」の党首ら
•早稲田大学雄弁会の学生たち
•松下政経塾の塾生たち
今回申立てを行ったのは、04年10月に「日本公進党」を立ち上げたいずれも20歳代の党首・A、幹事長・B、幹事・Cの3氏で、「当該放送は、当方の活動について誤解を与える表現を使い、また作為的な編集や演出が行われた結果、我々の名誉が傷つけられた」としている。
申立人らは、当初05年12月に日本テレビ報道局長宛に公開質問状を送るなどして局側の説明を求めていたが、06年2月に担当プロデューサーと電話で話しあった後、書面による回答を求めていた。
被申立人の日本テレビは、06年4月に報道局担当プロデューサー名で「当該番組は取材で浮かび上がった事実をありのままに伝えたもので、事実を歪曲して編集していない。したがって、取材方法や編集作業において謝罪や訂正すべき点があるとは考えていない」と回答した。
申立人らは、この回答を不満として同年4月9日付けで「申立書」を本委員会に提出した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2006年10月13日 【委員会決定を受けての日本テレビの対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2005年度 第28号

バラエティー番組における人格権侵害の訴え

委員会決定 第28号 – 2006年3月28日 放送局:関西テレビ

勧告:人権侵害
東京の男性が、2005年6月と7月に関西テレビで放送されたバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』における元妻の発言によって、名誉・プライバシーを侵害されたと申し立てた事案。

2006年3月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第28号

申立人
A
被申立人
関西テレビ
苦情の対象となった番組
関西テレビ トークバラエティー番組「たかじん胸いっぱい」
放送日時
(1) 2005年6月25日 午後0時~午後1時
サブタイトル「知られざる結婚生活5か月に迫る!!」
「検証 B 離婚寸前報道の真実とウソ!!」
(2) 2005年7月9日 午後0時~午後1時
サブタイトル「芸能界サミット」

申立てに至る経緯

本件番組は、タレントのやしきたかじんが司会し、落語家など数名のゲストが出演している昼の時間帯のトークバラエティー番組である。
(1)の6月放送の番組には、申立人の当時の妻のタレントB氏がゲスト出演し、結婚生活等について赤裸々に語った。
(2)の7月放送の番組には、B氏は出演しなかったが、出演者たちが先の番組におけるB氏の発言にもとづいて、トークを繰り広げた。
申立人は、2005年1月にB氏と結婚し同年8月に離婚したが、上記番組によって申立人の名誉及びプライバシーが著しく侵害されたとして、同年9月21日関西テレビに文書で抗議し、取り消しと謝罪放送を求めた。
これに対し、関西テレビは同年10月14日申立人側の要求には一切応じない旨を回答した。
当事者同士の交渉が不調に終わったことを受けて、申立人は同年11月30日付けで「権利侵害申立書」をBRCに提出した。

目次

  • I. 申立てに至る経緯
  • II. 申立人の申立ての要旨
  • III. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2006年6月13日 【委員会決定を受けての関西テレビの対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2005年度 第27号

新ビジネス“うなずき屋”報道

委員会決定 第27号 – 2006年1月7日 放送局:テレビ東京

見解:放送倫理違反
テレビ東京が2005年6月に放送した『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』というドキュメンタリー番組において、”孤独老人相手の新商売”として紹介された男性が、悪徳業者と受け取られる放送内容だったなどとして、名誉・信用の毀損を申し立てた事案。

2006年1月7日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第27号

申立人
東京都在住の保育園経営者
被申立人
テレビ東京
苦情の対象となった番組
テレビ東京 ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け~消える高齢者の財産~』
放送日時
2005年6月14日  午後10時00分~10時54分 (テレビ東京系列各局で放送)

申立てに至る経緯

本件番組は、最近多発し大きな社会問題になっている「悪徳リフォーム」や「振り込め詐欺」など、高齢者の財産を狙う犯罪の手口を取材し、警鐘を鳴らすとともに、その対策を紹介することを目的に制作したものであり、その中で、核家族化が進み孤独な高齢者が増加している状況を背景にして出現した新商売が紹介された。
申立人は、〈消える高齢者の財産〉というタイトルのこのドキュメンタリー番組の中で“孤独老人相手の新商売”を行っている者として紹介されたが、ただうなずくだけで「2時間1万円」をとる、「高齢者の寂しさにつけ込みお金をむしり取る悪徳業者」と視聴者に受けとられる放送内容だったとして、当該局に対し名誉・信用の侵害を主張し、謝罪、訂正放送などを求めた。双方で話し合いが行なわれたが決着がつかず、放送人権委員会に苦情を申立てた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2006年3月20日 【委員会決定を受けてのテレビ東京の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2005年度 第26号

新喫茶店廃業報道

委員会決定 第26号 – 2005年10月18日 放送局:毎日放送

見解:放送倫理違反
たこ焼き屋の店主の申立て。喫茶店の入り口付近で営業していたが、2005年5月の毎日放送のニュース番組『VOICE』の特集について、「隠しマイクの録音、隠しカメラの映像を巧みにつなぎ合わせ、いかにも私が嫌がらせを続けて喫茶店を廃業に追いやったかのように放送された」として、人権侵害などを訴えた。

2005年10月18日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第26号

申立人
兵庫県在住 元たこ焼き屋台店主
被申立人
毎日放送
苦情の対象となった番組
毎日放送 ニュース番組「VOICE」
特集「憤懣本舗:嫌がらせの『屋台』・無神経な『役所』」
放送日時
2005年5月9日午後6時16分~6時55分内

申立てに至る経緯

放送内容
「兵庫県宝塚市内のある駅前の喫茶店の入口付近において、女店主がたこ焼き屋台器具を搭載した車を夜間日常的に違法駐車して営業していたことに端を発し、付近 住民が再三にわたって警察に通報し、市役所にも相談したところ、警察が同たこ焼き屋台の移動をさせたり、市当局がバリケードを設置して駐車できないようにした。市当局から通報者を聞き出した女店主がこれに憤慨して喫茶店に乗り込んで大声で脅迫めいた抗議をし、また度重なる嫌がらせをした結果、喫茶店の常連客は怖がって寄りつかなくなり、売り上げがガタ落ち、喫茶店営業者は閉店に追い込まれたのに、市は責任をとることなく、当のたこ焼き店は今も営業している」という趣旨のナレーションのもとに、毎日放送は、喫茶店営業者がサラリーマン時代に貯めた資金で苦労して喫茶店を開業した状況、たこ焼き屋台車を違法駐車して営業している状況を隠し撮りして放送した。
さらに、客を装って同店主が喫茶店の悪口をしゃべるのを密かに録音し、また、喫茶店に乗り込んで客の前で大声で抗議している状況を密かに録音したテープを入手して、これらのテープの音声を流し、喫茶店は閉店に追い込まれたのに当のたこ焼き店主は依然営業を続けると言っている状況を隠し撮りにより放送した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立ての趣旨及び理由の要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2006年1月16日 【委員会決定を受けての毎日放送の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2005年度 第25号

産婦人科医院・行政指導報道

委員会決定 第25号 – 2005年7月28日 放送局:NHK名古屋局

勧告:重大な放送倫理違反
産婦人科医院の院長が2005年1月にNHK名古屋放送局が放送したニュースにおいて、「行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期を明示せず現在も違法行為を行っているかのように伝えられたことにより、名誉と信用を毀損され人権を侵害された」と申し立てた事案。

2005年7月28日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第25号

申立人
愛知県在住の産婦人科医院院長
被申立人
NHK名古屋放送局
苦情の対象となった番組
NHK名古屋放送局制作のニュース番組
放送日時
2007年(平成17年)1月25日
総合テレビ 午後5時10分~6時59分『ほっとイブニング』(愛知・岐阜・三重の3県向け地域情報番組)
ラジオ第1 午後6時50分~7時00分(愛知・岐阜・三重の3県)、午後11時10分~11時20分(中部ブロック)

申立てに至る経緯

放送内容
愛知県○○市の産婦人科医院が、助産師の資格を持たない看護師や准看護師に妊婦への内診などの助産行為をさせていたとして、愛知県と保健所が改善を指導していたことがわかったというニュース。

この放送に対して、申立人は「平成17年1月25日、NHK名古屋放送局(以下「NHK」又は「被申立人」という)の記者から『助産師不足で、産婦人科医療現場は大変困っているとのことなので、実情を調べ、少しでも現状を改善するのに役立つ番組を企画したい』との取材依頼があり、それに応じたが、取材の趣旨と違って、助産師の資格がない看護師、准看護師に内診等の助産行為をさせていたとして、行政指導を受けたことを実名で報道され、しかも指導を受けた時期(平成15年10月)を明示せず、現在も違法行為を行っているかのように報道されたことにより、名誉と信用を毀損され、人権を侵害された」としてNHKに抗議し、訂正放送と謝罪を求めた。
これに対し、NHKは、「無資格者による助産行為は重大な社会的問題と認識し、愛知県内でも行政指導の事例があった事を啓発することが重要だと判断して報道したのであり、特定の医療機関を貶める意図をもって報道したものではない。記者は最初から『行政指導の事実について確認したい』と告げて取材した。また翌1月26日に申立人から抗議を受けた『行政指導を受けた時期の明示』と『コメント内容の間違い』については、1月26日に修正放送を行い、その後の話し合いでも新たな要求は無く、放送上の対応については理解を得られたと認識している」としている。
放送後、3回の話し合いが行われたが、双方の主張に隔たりがあり、申立人からBRCに審理要請がなされ、2月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」及び「権利侵害補充書」が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2005年10月18日 【委員会決定を受けてのNHK名古屋放送局の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2004年度 第24号

警察官ストーカー被害者報道

委員会決定 第24号 – 2004年12月10日 放送局:名古屋テレビ

見解:問題なし
警察官からストーカー行為の被害を受けた女性が、警察に被害届を出した際に名古屋テレビからインタビュー取材を受けたが、意に反してニュース等において顔を出して放送され、肖像権やプライバシーの権利侵害を受けたと訴えた事案。

2004年12月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第24号

申立人
愛知県在住の女性
被申立人
名古屋テレビ
苦情の対象となった番組
名古屋テレビ放送制作の番組
放送日時
2004年 3月 9日 17時台『スーパーJチャンネル』、22時台『ニュースステーション』
3月10日 5時台『朝いち!やじうま』、7時台『やじうまプラス』

申立てに至る経緯

放送内容
警察官にストーカー行為を受けたとする愛知県在住の女性が、傷害、暴行の被害届を出したというニュース。女性の、警察官に対する憤りのインタビューを含む。
この放送に対して、申立人は、「名古屋テレビ放送(以下「名古屋テレビ」または「被申立人」という)のインタビューに応じた際、顔出しの放送はしないとの約束がなされていたにもかかわらず顔出しで放送されたため、世間から興味本位で見られるなど、肖像権を侵害されたのをはじめ、プライバシーなど人権を侵された」として、放送後名古屋テレビに抗議し、謝罪を求めた。
これに対し、名古屋テレビは、「取材の際、顔出しで放送することの了承を得ており、申立人の勇気ある告発の意志を尊重して顔出し放送に踏み切ったものであり、訴えは心外」と主張した。
放送直後に、申立人からBRCに対し苦情が寄せられたが、名古屋テレビが話し合いによる解決の意向を示し、断続的に話し合いが行われた。しかし、双方の事実認識に大きな隔たりがあり、6月、申立人から「申立書」が提出され、その後の話し合いも不調に終わったことから、BRCでは話し合いによる解決が困難と判断し、8月の委員会で審理入りを決定した。審理入り決定後、申立人から手直しした「申立書(改訂版)」が提出された。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁の要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

【委員会決定を受けての名古屋テレビの対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2004年度 第23号

国会・不規則発言編集問題

委員会決定 第23号 – 2004年6月4日 放送局:テレビ朝日

勧告:人権侵害
2003年9月のテレビ朝日の情報トーク番組『ビートたけしのTVタックル』で、自民党の衆議院議員が予算委員会でヤジを飛ばしている映像が使われ、同議員が「全く関係ない映像を切り貼り編集した捏造で、名誉を毀損された」などと訴えた事案。テレビ朝日は別番組で同議員に意見表明の機会を提供し、当該番組内でもお詫びをしたが、同議員は救済措置を求めて申し立てた。

2004年6月4日 委員会決定

申立人
藤井孝男
被申立人
テレビ朝日
苦情の対象となった番組
テレビ朝日 「ビートたけしのTVタックル」
放送日時
2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで

申立てに至る経緯

株式会社テレビ朝日(以下「テレビ朝日」又は「被申立人」という)は、2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで、「ビートたけしのTVタックル」第627回「あれから1年…日本の決断」を放送した。
テレビ朝日は、同番組中の「自民党総裁選と北朝鮮問題」において、自民党総裁選挙に立候補した4人の候補者がこれまで北朝鮮問題へどのように対応してきたかについての発言を紹介する放送をしたが、自由民主党所属の衆議院議員であって同党総裁選挙に立候補している申立人(以下「藤井議員」又は、「申立人」という)については、同年9月9日の候補者所信発表演説会の北朝鮮に関する発言の紹介に引き続き、1997年2月3日の衆議院予算委員会において西村真悟議員(当時新進党)が「横田めぐみという一人の13歳の少女が拉致されたというむごい事件に関して」との質問を開始した直後に藤井議員が「発言に気を付けろ」、「しっかり責任をもって発言しろよ」との不規則発言をしたと視聴者に認識される放送(以下「本件番組部分」という)をした。
藤井議員は、上記不規則発言は、全く関係のない映像を切り貼り編集した「やらせ」映像であり、藤井議員が北朝鮮に対する拉致問題では極めて消極的な態度をとっているとの印象を一般視聴者に与えるものであり、藤井議員の名誉を著しく毀損するとともに、総裁選挙(2003年9月8日告示、同月20日開票)の悪質な選挙妨害であるとして、テレビ朝日に対し厳重抗議した。
テレビ朝日は、同年9月19日放送の「ニュースステーション」において他の総裁候補者と共に出演した藤井議員に特別に意見表明の機会を提供し、藤井議員は、「全くの事実無根であり、捏造といっていい」との発言をした。さらに、テレビ朝日は、同年10月6日の「ビートたけしのTVタックル」で「二つの場面が拉致問題に関する一連の議論であるとの認識で、直接繋げる編集を行ったため、藤井議員が横田めぐみさん拉致問題に対して不規則発言を行ったかのような誤った印象を視聴者に与える結果となったことについて心よりお詫び申し上げる」旨のお詫び放送をした。
その後テレビ朝日と藤井議員あるいは自民党との間で数回にわたり本件に関する話し合いないし電話連絡がもたれたが、同年12月11日藤井議員からテレビ朝日を相手方として当委員会に対し、本件申立てがなされた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2004年8月11日 【委員会決定を受けてのテレビ朝日の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2004年度 第22号

中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道

委員会決定 第22号 – 2004年5月14日 放送局:北海道文化放送

勧告:人権侵害(少数意見付記)
北海道文化放送は2003年10月の『スーパーニュース』で教育界におけるセクハラ急増問題を取り上げた。この中で、問題教師として取り上げられた中学教諭が「人事委員会が刑罰法規に触れる行為でない等の理由で教育委員会の懲戒処分を軽減したにもかかわらず、放送はこの修正採決を曲解してセクハラ教師と印象付け、名誉を傷つけ教壇復帰を妨げようとした」と訴えた事案。

2004年5月14日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第22号

申立人
北海道在住中学校教諭
被申立人
北海道文化放送放送
苦情の対象となった番組
北海道文化放送(UHB)<スーパーニュース>内「今日の特集」
放送日時
2003年10月14日午後5時50分

申立てに至る経緯

特集の内容
「生徒にキスを迫った教師の信じられない行為に親も激怒・・・処分は妥当?
スクールセクハラの驚くべき実態」(新聞テレビ欄タイトル)

申立人は、「5回にわたって自校の女子生徒の頬にキスをしたほか、同生徒と二人だけでドライブや食事に行き、また自宅の鍵を渡して生徒を自宅に招くなど、教育公務員としての節度を著しく逸脱した」として、北海道教育委員会から2002年4月12日付で懲戒免職処分に付された。
この処分に対して、申立人は、北海道人事委員会に対して懲戒権の濫用があるとして、処分の取消ないし修正を求める不服申立てを行った。
この申立てに対し、北海道人事委員会は、2003年7月10日、申立ての一部を認め、「申立人の行為は、教育公務員としてふさわしくない非違行為に該当するが、いわゆるセクシュアル・ハラスメントと評価されるものでなく、刑罰法規に触れるものではない」として、「処分は重きに失し、処分者の裁量権を逸脱した違法がある」(要旨)との理由で、停職6か月の処分に修正する裁決を下した。
これに対して北海道教育委員会は、同年9月18日、再審を請求したが、同年12月17日、再審事由に当たらないとして却下した。
以上の事実経過の中で、北海道教育委員会の再審請求後、その却下決定がなされるまでの間である10月14日に行われたのが本件放送であり、申立人は、本件放送内容が申立人の名誉を毀損し、申立人の職場復帰を妨げるものであるとして、10月17日以降12月22日まで、申立人代理人を通じ苦情を申し入れ、再三にわたり交渉の機会を持ったが、了解に達せず、2004年1月7日、当委員会に対して本申立てを行うに至ったものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2004年6月21日 【委員会決定を受けての北海道文化放送の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2003年度 第21号

山口県議選事前報道

委員会決定 第21号 – 2003年12月12日 放送局:テレビ山口

見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
申立人は2003年4月の県議会議員選挙に立候補した男性。テレビ山口が選挙前の3月のニュース番組で放送した統一地方選挙の企画「県議選・なんでも一番」において、申立人が最多立候補者として実名・顔写真付きで「合わせて12回出馬していますが、いずれも当選に至っていません」と紹介されたとして、選挙妨害であり人権を侵害されたと訴えた事案。

2003年12月12日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第21号

申立人
A
被申立人
テレビ山口
苦情の対象となった番組
テレビ山口 「TYS夕やけニュース21」
放送日時
2003年3月25日午後6時19分から6時51分まで

申立てに至る経緯

2003年4月の統一地方選挙を前にした3月25日、テレビ山口株式会社(以下、「テレビ山口」または「被申立人」という)は、午後6時19分から6時51分までの「TYS夕やけニュース21」の中で「統一地方選ミニ知識」として企画した14本シリーズのうちの1本「県議選・なんでも一番」を放送した。
内容は、最年少当選者、最多得票者など過去の県議選データから拾い上げた「一番」を紹介するもので、最後に「また補欠選挙も含めて県議選への立候補の回数が最も多いのはAさんで、71年から合わせて12回出馬していますがいずれも当選に至っていません」というコメントとともにA氏の上半身写真を出し、一行目に「立候補回数最多12回」、二行目に「A氏(下関市区)」、三行目に「⇒いずれも落選」のスーパーを付けた。
この放送に対して、申立人である下関市在住のA氏(以下、「A氏」または「申立人」という)は、放送当日テレビ山口に対して「選挙妨害である。改めて放送で名誉を回復してほしい」旨の抗議と救済措置を電話で要請した。
テレビ山口では、社内協議の上「事実関係は間違っていないので訂正放送は出来ない」と電話で回答した。
しかし、申立人はこの説明に納得せず、3月26日テレビ山口に対して「選挙違反行為である」との文書をFAX送信するとともに、山口地方法務局人権擁護課に対しても人権侵害・名誉毀損で訴えた。また、5月16日に「選挙の自由と公正・平等が阻害され人権が侵害された」とする文書をテレビ山口に送り回答を求めた。
テレビ山口は6月11日、報道制作局長名で「山口地方法務局人権擁護課から人権侵害・名誉毀損には該当しない旨の判断をもらっており、当社には法的責任はないと考えている」旨の文書を申立人に郵送した。
この後、8月1日付けで申立人は、BRCに対し「告示前の大切な時に、真実を曲げ嘘の番組を作り報道されたことで名誉を毀損され、人権を侵害された。また、意に反した悪いイメージの写真を無断で使われ肖像権を侵害された」などと申立てたものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2004年2月12日 【委員会決定を受けてのテレビ山口の対応】

当該局の対応pdfPDFはこちら

2002年度 第20号

女性国際戦犯法廷・番組出演者の申立て

委員会決定 第20号 – 2003年3月31日 放送局:NHK

見解:放送倫理違反(少数意見・補足意見付記)
NHKは2001年1月末から4日連続でETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」を放送した。この2回目「問われる戦時性暴力」に出演した女性が、「何の連絡もなく発言を改変し放送した。この結果、発言が視聴者に不正確に伝わり、研究者としての立場や思想に対する著しい誤解を生み、名誉権および著作者人格権を侵害した」などと申し立てた。

2003年3月31日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第20号

申立人
A・カリフォルニア大学準教授
被申立人
NHK
対象番組
NHK 「戦争をどう裁くか」第2回「問われる戦時性暴力」
放送日時
2001年1月30日

申立てに至る経緯

2000年12月、東京で民間法廷「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」(以下「女性国際戦犯法廷」または「女性法廷」という)が開催された。日本放送協会(以下「被申立人」または「NHK」という)は、この「女性国際戦犯法廷」を取材し、2001年1月29日から2月1日までの4日間連続で、ETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」を放送した。
申立人のカリフォルニア大学準教授、A氏(以下「申立人」または「A氏」という)は、上記シリーズの第2回「問われる戦時性暴力」および第3回「いまも続く戦時性暴力」の放送に、コメンテーターとして出演したが、このうち、第2回「問われる戦時性暴力」(2001年1月30日午後10時~10時40分放送)に対し、「スタジオ収録後、NHKの制作意図の変更に伴い、申立人に対して何の連絡もなく、申立人の発言を改変し放送した。この結果、申立人の発言が視聴者に不正確に伝わり、申立人の研究者としての立場や思想に対する著しい誤解を生み、名誉権及び著作者人格権を侵害した」として、2002年1月10日、BRCに権利侵害救済の申立てを行いたい旨、連絡があった。
BRCでは、NHKに相容れない状況にあるのか確認したところ、「A氏とは、個人の人権侵害について直接には一度も話し合いがなされていない」との説明があり、BRCとしては、双方に当事者間での交渉を継続するよう要請した。
この交渉の中で、同年7月8日、一時帰国したA氏とNHKとの直接面談が実現したが、双方の主張、認識の差が大きく、これ以上、話し合いの余地がないことを双方で確認して、交渉は物別れに終わった。このため、申立人が8月2日、BRCに権利侵害救済の申立てを行ったものである。
他方、NHKは、「女性国際戦犯法廷」の主催団体の一つとその代表者が、現在、NHK及び制作委託プロダクションを相手に損害賠償を求めている裁判と「対象番組が同一」「当事者が実質的に同一」であり、「問題とされている事実も同一」との判断から「裁判係争中の事案」に当たり、BRCの審理対象にならないと主張した。
しかし、BRCは本件申立てと裁判係争中の事案とでは当事者が別人格であること、申立て事由が、申立人自らの発言部分に関する指摘である、ことなどを総合的に判断した結果、2002年9月17日の委員会で審理することを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2002年度 第19号

福井・産廃業者行政処分報道

委員会決定 第19号 – 2002年12月10日 放送局:NHK福井放送局

見解:問題なし
福井県は2002年5月、申立人である産廃の収集運搬業者の事業許可を取り消す行政処分を行なった。NHK福井放送局は同日のニュースでこれを伝えたが、申立人は「処分が発効する前の一方的な放送で、名誉・信用を著しく損ねた」と訴えた。

2002年12月10日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第19号

申立人
福井県内の産業廃棄物収集運搬業者
被申立人
NHK福井放送局
対象番組
NHK福井放送局 ローカルニュース
放送日時
2002年5月24日 午後6時10分からと午後8時45分から

申立てに至る経緯

2002年5月24日、福井県廃棄物対策課は、県内の産業廃棄物収集運搬業者である申立人が、契約のない処理業者に産業廃棄物を運び込んだ上、廃棄物の受け渡しを管理するための書類に虚偽の記載をしていたとして、この収集運搬業者の事業許可を取り消す行政処分を行った。
NHK福井放送局(以下「被申立人」または「福井局」という)は、県が公表したこの処分内容を同日午後6時10分からと午後8時45分からのローカルニュース枠で放送した。
この放送に対して、処分を受けた収集運搬業者である申立人は、6月6日「NHKのニュースは誤った内容である上、不適正な画像放映が為されたことにより、申立人の会社や役職員らの人権と名誉を著しく損ねた」と文書で福井局へ抗議し、謝罪報道等の救済措置を講ずるよう要求した。
福井局では、福井県に問い合わせるなど報道内容について再調査したところ事実関係に間違いがないことが確認できたとして、6月8日申立人側に電話で「県の発表に基づき事実を伝えたもので、映像についても県の発表後に撮影取材したもの」と説明した。
しかし申立人側はこの説明に納得せず、6月10日にBRO事務局に「放送局側は非を認めず、決裂状態になった」と伝え、申立ての意向を示した。
その後申立人は6月14日福井県と県知事を相手取って「処分の取り消しと損害賠償を求める訴え」を福井地裁に起こした。
この一か月余り後の7月24日付けで申立人は「被申立人は当方への取材・確認をしないまま、県の一方的な言い分を報道して、当方の名誉・信用を毀損した」などとして、BRCに申立てたものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2002年度 第18号

出演者比喩発言問題

委員会決定 第18号 – 2002年9月30日 放送局:テレビ朝日

見解:番組内・放送後の対応に問題あり(少数意見付記)
2001年9月のテレビ朝日の情報番組『サンデープロジェクト』の討論において、ゲスト出演者が「戸塚ヨットスクール」を比喩に用いて発言し、同スクールの校長が重大な名誉毀損だと訴えた事案。

2002年9月30日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第18号

申立人
A
戸塚ヨットスクール校長
被申立人
テレビ朝日
対象番組
テレビ朝日 報道番組『サンデープロジェクト』
放送日時
2001年9月9日午前10時

申立てに至る経緯

申立ての対象になった番組は、2001年9月9日(日)午前10時の全国朝日放送株式会社(以下「テレビ朝日」という)の報道番組『サンデープロジェクト』であるが、その中で、「緊急・救国経済大討論」のタイトルの下、当面する日本の経済危機をどう乗り切るかをテーマに、司会者と3人のゲスト出演者による討論が、約23分間、放送された。
上記放送の中で、ゲスト出演者の経済アナリスト・森永卓郎氏(以下「当該ゲスト」という)が、IMFの対日審査をめぐって、「IMFなんか受け入れたら、あれは戸塚ヨットスクールですからね」「しごきの理論しかないんですよ。もう、どれだけのアジアの国を駄目にしたか分かっているんですか。あれはひどいところなんですよ」と発言した(以下「当該発言」という)。
戸塚ヨットスクール(以下「ヨットスクール」ともいう)側は、次週放送の前日である9月15日(土)午後10時30分頃、テレビ朝日に電話し、「当該発言は戸塚ヨットスクールがしごきで子供を駄目にしたという意味になり、同スクールと同校校長のAに対する重大な名誉毀損にあたる。謝罪と訂正をしてほしい」と抗議した。これに対して、テレビ朝日側は、「名誉毀損には当たらない」などと答えた。
その後、申立人、被申立人とも弁護士を通じ、それぞれ3回の文書の交換を行ったが、解決に至らず、A氏は、2002年2月21日、放送と人権等権利に関する 委員会(以下「委員会」という)に申立てを行ったものである。
申立人が校長を務めるヨットスクールは、同人により、1977年、愛知県美浜町に開設されたもので、厳しいスパルタ式のヨット訓練などを標榜し、情緒障害などの子供を中心に、全国から訓練生を集めていた。
しかし、1980年以降に訓練生の死亡事件が発生し申立人らが起訴され、2002年2月25日に、最高裁判所は上告を棄却する決定を下したため、申立人に対して傷害致死による懲役6年の刑が確定した。申立人は、同年3月29日に収監されたことにより、申立人側は同人妻である戸塚幸子氏を申立人代理人とした。

2002年3月19日開催の委員会は、「直接話し合いによる解決の機会を持つべきである」と判断し、双方に話し合いを求めた。
同年6月14日、申立人側から、「テレビ朝日は『話し合いは弁護士同士で行いたい』と言っているが、これまでも弁護士同士で行ってきて、それでも解決しなかったのだから進展は期待できない。委員会で審理してほしい」との連絡があった。
これを受けて、同年6月18日開催の委員会は、「話し合いによる解決は難しい」と判断し、本件を審理事案とすることを決定した。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2001年度 第17号

熊本・病院関係者死亡事故報道

委員会決定 第17号 – 2002年3月26日 放送局:テレビ朝日

勧告:人権侵害(少数意見付記)
熊本で車に乗っていた病院関係者4人全員が死亡する転落事故があり、テレビ朝日は2000年8月の情報番組で”熊本・謎の自動車事故”のタイトルで取り上げた。この放送に対して、医療法人と理事長が「事故は保険金目的の殺人事件の可能性が高いと報道し、名誉・信用を毀損された」と抗議した。テレビ朝日は翌年7月に地検の「事故は運転ミス」とする最終処分を放送したが、医療法人側は名誉・信用の甚大な被害の回復に足りないとして申し立てた。

2002年3月26日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第17号

申立人
医療法人A
B(同理事長)
被申立人
テレビ朝日
対象番組
テレビ朝日 情報番組『週刊ワイドコロシアム』
放送日時
2000年8月6日午後6時56分~

申立てに至る経緯

2000年5月28日、熊本県天草町で乗用車が崖下に転落し、乗っていた熊本市内のC病院の副理事長や看護部長ら4名全員が死亡するという事故が起きた。同年8月6日、全国朝日放送株式会社(以下、テレビ朝日又は被申立人という)は、午後6時56分からの情報番組『週刊ワイドコロシアム』でこの事故を”熊本・謎の自動車事故”というタイトルで取上げ、約40分間にわたって放送した。(注 当該情報番組は同年9月10日で終了)
この放送に対して、当病院を経営している医療法人Aと同会を代表するB理事長(以下、申立人という)は、「本件番組は、当該事故を保険金目的の殺人事件の可能性が高いと報道し、申立人の名誉・信用を毀損している」と抗議し訂正放送と謝罪を要求した。
一方、テレビ朝日は、「番組は、警察の杜撰な対応を検証するのが狙いで、保険金目的の事故と捉える意図はない」と主張、話し合いは進展しないまま年を越えた。
2001年2月2日、テレビ朝日は、「検察庁の処分がなされた時点で、情報系の番組で取上げる。その際警察が送致に当たって発表した保険金殺人疑惑がないとの意見を付記する」旨申し入れた。
2001年7月27日、熊本地方検察庁は「事故は、運転ミスによるもので、保険契約と事故は無関係」との最終処分及びコメントを発表した。テレビ朝日は7月30日午前8時からの『スーパーモーニング』の中で、この地検の最終処分内容を放送したが、申立人は、「極めて不十分な放送内容で、当方の名誉・信用に対する甚大な被害を回復するに足りない」として、8月2日、BRCに申立てたものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2001年度 第16号

インターネットスクール報道

委員会決定 第16号 – 2002年1月17日 放送局:日本テレビ

見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
日本テレビは2000年10月『NNNきょうの出来事』で、インターネットを活用して教育を行うフリースクールを取り上げた。学園側は、取材段階でアポなしの強引な取材だと抗議し、報道内容についても事実を歪曲した一方的な内容で、関係者や学園の名誉を著しく毀損したと申し立てた。

2002年1月17日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第16号

申立人
A
B学園高等部理事・事務局長
被申立人
日本テレビ
対象番組
日本テレビ ニュース番組『NNNきょうの出来事』
放送日時
2000年10月20日午後11時30分

申立てに至る経緯

申立ての対象になった番組は、2000年10月20日午後11時30分の日本テレビ放送網株式会社(以下、日本テレビという)のニュース番組『NNNきょうの出来事』で、「インターネットの落とし穴」のタイトルの下、約9分間、放送されたものである。
申立人が事務局長を務める「B学園高等部」(以下、学園という)は、インターネットを活用して教育を行う「フリースクール」で、放送では、入学した生徒たちからは、授業料を払ったのに何の指導もしてくれないと抗議の声があがっており、元生徒と保護者およそ20名からなる「B学園・被害者の会」(以下「被害者の会」という)が結成されているとし、同会会員らへのインタビュー、「生徒の撮影したビデオテープ」や「学園の委託先会社で取締役を解任された旧役員のカセット録音テープ」、申立人への「直接取材」などによって構成されている。
申立人は、この放送に先立つ取材段階において、「アポなし、無通告、かつ嘘を含め強引な」取材について、日本テレビに対し「質問書」などを提出、抗議をするとともに、取材及び放送の取り止めを求めた。放送後においても、「対立している被害者の会なるものの撮影したビデオテープや対立している人物のカセット録音テープ」を放送で使用し、「報道は事実を歪曲し、一方的な内容で関係者や学園の名誉を著しく毀損し、損害を与えた」として、日本テレビに対し、謝罪と被害の回復措置を求める「抗議文」を提出した。
これに対し、日本テレビは、取材は、「通常の報道番組の取材プロセスに沿ったものであること」、放送は、「すべて匿名であり、映像や音声の処理を通じて、プライバシー保護には、十分な注意を図っており」「放送した事実関係に、間違いはないものと確信している」と回答した。
申立人はこれにより、日本テレビとの話し合いはつかないと判断し、2001年7月11日付けで申立てを行ったものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

2000年度 第12号

自動車ローン詐欺事件報道

委員会決定 第12号 – 2000年10月6日 放送局:伊予テレビ

勧告:人権侵害(少数意見付記)
1999年9月、松山市の元自動車販売仲介業者が架空ローン容疑で逮捕された事件を伝えた伊予テレビのニュースについて、自動車販売業者が「事件と関係ない自分の店の映像が断りもなく撮影され放送された。映像のボカシ処理が不十分で明らかに店名がわかり、事件の共犯かのような印象を多くの視聴者に与えた」などとして、名誉・信用の毀損を訴えた。

2000年10月6日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第12号

申立人
愛媛県松山市の自動車販売業者
被申立人
伊予テレビ
対象番組
ニュース番組「キャッチあい」
放送日時
1999年9月13日

申立てに至る経緯

1999年9月13日、愛媛県松山市で自動車購入の名義貸しを利用し、架空のローン契約を結んで信販会社から現金をだまし取ったとして、元自動車販売仲介業者が詐欺容疑で逮捕された。
伊予テレビではこの事件を、同日夜の県内向けニュース番組「キャッチあい」の中で、映像を使い1分55秒間放送した。
この放送に対し、松山市の自動車販売業者が、「詐欺事件と関係ない自分の店を、断りもなく撮影し放送した。映像のボカシ処理が不十分で、明らかに店名が分かる。放送は、正当な商取引をしただけの当店が、詐欺事件の共犯であるかのような印象を多くの視聴者に与え、多大な迷惑を被っている」と伊予テレビに抗議した。
しかし、放送局側は今回のニュースは、「詐欺容疑で逮捕された元自動車販売仲介業者の逮捕事実を主眼に放送したものであり、申立人の販売店は取引のあった一つの舞台として放送しただけで、映像上もボカシ処理を施し、特定できないよう配慮している。放送原稿でも申立人の販売店名および詐欺事件との関連について一切言及していない」と主張し、双方の話し合いは対立したままに終わった。
このため、自動車販売業者が「放送によって自分や家族の名誉・信用が毀損されただけでなく、経営も追い詰められた」として、今年6月1日、本委員会に「権利侵害」の救済を求める申立てを行った。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

1999年度 第11号

隣人トラブル報道

委員会決定 第11号 – 1999年12月22日 放送局:フジテレビジョン

見解:放送倫理上問題あり(少数意見付記)
1998年11月、フジテレビの情報番組『スーパーナイト』は石材業を営む男性とその作業場に隣接する住民の間のトラブルについて放送したが、男性が「放送は隣人の嘘の言い分を信用した一方的なもので、公平・公正を欠き名誉を傷つけられた」と申し立てた。

1999年12月22日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第11号

申立人
福島県いわき市の石材業者
被申立人
フジテレビジョン
対象番組
情報番組「スーパーナイト」
放送日時
1998年11月29日

申立てに至る経緯

1998年11月29日、フジテレビの情報番組「スーパーナイト」で、「激撮ご近所戦争3年間の全記録」(放送時間は24分)のタイトルの下に、福島県いわき市で石材業を営む申立人と、その作業場に隣接する住民(以下「隣人」)との間に生じたトラブルについて放送した。この放送は、トラブルの一方の当事者である隣人から送られてきたビデオテープや録音テープ、及び隣人が3年間にわたって記録した日誌などを基に取材、構成したものである。
この放送に対して申立人は「放送は隣人の嘘の言い分のみを信用した一方的なもので、公正、公平を欠き、終始申立人が悪者として報道され、著しく名誉を傷つけられた」としてフジテレビに抗議した。しかし、「事前の調査と十分な取材に基づいて制作したもので、放送内容に問題はない」とするフジテレビとの間で話し合いがつかず、今年8月、本委員会に申立がなされたものである。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

1997年度 第1号~第4号

サンディエゴ事件報道

第1号~第4号 – 1998年3月19日

1996年5月、アメリカで日本人教授と娘が射殺される事件が起きた。この事件の報道について、教授の夫人が、自分が事件に関与していたのではないかという予断に基く誤報、犯人視報道が繰り広げられたとして、NHK、TBS、テレビ朝日、テレビ東京を相手に名誉やプライバシーの侵害等を訴えた事案。

第4号 – 放送局:テレビ東京 見解:放送倫理上問題あり
第3号 – 放送局:テレビ朝日 見解:放送倫理上問題あり
第2号 – 放送局:TBS 見解:放送倫理上問題あり
第1号 -放送局:NHK 見解:問題無し

第4号 – 放送局:テレビ東京

申立人
A教授夫人
被申立人
テレビ東京
対象番組
「NEWS THIS EVENING」(平成8年年5月10日)
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

第3号 – 放送局:テレビ朝日

申立人
A教授夫人
被申立人
テレビ朝日
対象番組
「やじうまワイド」(平成8年5月10日・22日)
「ANNニュース」(平成8年5月10日等)
「スーパーモーニング」(平成8年5月10日等)
「ワイドスクランブル」(平成8年5月16日)
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

第2号 – 放送局:TBS

申立人
A教授夫人
被申立人
TBS
対象番組
「ニュースの森」(平成8年5月10日)
「関口宏のサンデーモーニング」(平成8年5月19日)
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

第1号 – 放送局:NHK

申立人
A教授夫人
被申立人
NHK
目次
申立てに至る経緯
申立人の申立て要旨
被申立人の答弁の要旨
委員会の判断

全文pdfPDFはこちら

第1号~第4号 審理経過

当該局の対応

委員長談話