放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2000年度 第12号

自動車ローン詐欺事件報道

委員会決定 第12号 – 2000年10月6日 放送局:伊予テレビ

勧告:人権侵害(少数意見付記)
1999年9月、松山市の元自動車販売仲介業者が架空ローン容疑で逮捕された事件を伝えた伊予テレビのニュースについて、自動車販売業者が「事件と関係ない自分の店の映像が断りもなく撮影され放送された。映像のボカシ処理が不十分で明らかに店名がわかり、事件の共犯かのような印象を多くの視聴者に与えた」などとして、名誉・信用の毀損を訴えた。

2000年10月6日 委員会決定

放送と人権等権利に関する委員会決定 第12号

申立人
愛媛県松山市の自動車販売業者
被申立人
伊予テレビ
対象番組
ニュース番組「キャッチあい」
放送日時
1999年9月13日

申立てに至る経緯

1999年9月13日、愛媛県松山市で自動車購入の名義貸しを利用し、架空のローン契約を結んで信販会社から現金をだまし取ったとして、元自動車販売仲介業者が詐欺容疑で逮捕された。
伊予テレビではこの事件を、同日夜の県内向けニュース番組「キャッチあい」の中で、映像を使い1分55秒間放送した。
この放送に対し、松山市の自動車販売業者が、「詐欺事件と関係ない自分の店を、断りもなく撮影し放送した。映像のボカシ処理が不十分で、明らかに店名が分かる。放送は、正当な商取引をしただけの当店が、詐欺事件の共犯であるかのような印象を多くの視聴者に与え、多大な迷惑を被っている」と伊予テレビに抗議した。
しかし、放送局側は今回のニュースは、「詐欺容疑で逮捕された元自動車販売仲介業者の逮捕事実を主眼に放送したものであり、申立人の販売店は取引のあった一つの舞台として放送しただけで、映像上もボカシ処理を施し、特定できないよう配慮している。放送原稿でも申立人の販売店名および詐欺事件との関連について一切言及していない」と主張し、双方の話し合いは対立したままに終わった。
このため、自動車販売業者が「放送によって自分や家族の名誉・信用が毀損されただけでなく、経営も追い詰められた」として、今年6月1日、本委員会に「権利侵害」の救済を求める申立てを行った。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立て要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

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