※「放送倫理上問題がある」と指摘された番組は審議、「内容の一部に虚偽がある」と指摘された番組は「審理」
放送倫理検証委員会 委員会決定
2017年度一覧
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第28号-2018年2月8日 放送局:フジテレビ
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『とくダネ!』2つの刑事事件の特集に関する意見
フジテレビの情報番組『とくダネ!』は、2017年7月、医師法違反事件の容疑者として全く別の男性の映像をインタビューも含めて放送し、また翌8月には放送時点では書類送検されていなかった男性を「書類送検された」などと放送した。委員会では、刑事事件の容疑者の映像と刑事手続きの進捗状況という最もセンシティブな情報について、同じ番組で誤りが続いたことは大きな問題だとして審議入りしていた。
委員会は、事実に反する報道で誤った情報を視聴者に伝えた2つの特集は、放送倫理基本綱領や日本民間放送連盟放送基準に抵触し、放送倫理違反があったと判断した。そして、いずれの特集でも、その制作過程で誤りに気づいて修正するチャンスがあったにもかかわらず見逃されてしまったことから、刑事事件報道の原則を再確認するとともに、番組スタッフの連携の力をさらに高めるよう求めた。その上で、玉石混交の情報が溢れる時代では、テレビが持つ優位性は情報の正確さと取材の深さにあるとして、取材は徹底的に、裏付けは慎重に、しかし、放送は果敢にと、現場のスタッフに呼びかけた。 -
第27号-2017年12月14日 放送局:東京メトロポリタンテレビジョン
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『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見
放送倫理検証委員会は、「東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)『ニュース女子』が2017年1月2日に放送した沖縄基地問題の特集を審議してきたが、このたび委員会決定第27号として意見書をまとめ公表した。当該番組はTOKYO MXが制作に関与していない"持ち込み番組"のため、放送責任のあるTOKYO MXが番組を適正に考査したかどうかを中心に審議した。
委員会は、(1)抗議活動を行う側に対する取材の欠如を問題としなかった、(2)「救急車を止めた」との放送内容の裏付けを制作会社に確認しなかった、(3)「日当」という表現の裏付けの確認をしなかった、(4)「基地の外の」とのスーパーを放置した、(5)侮蔑的表現のチェックを怠った、(6)完パケでの考査を行わなかった、の6点を挙げ、TOKYO MXの考査が適正に行われたとは言えないと指摘した。そして、複数の放送倫理上の問題が含まれた番組を、適正な考査を行うことなく放送した点において、TOKYO MXには重大な放送倫理違反があったと判断した。 -
第26号-2017年10月5日 放送局:TBSテレビ
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『白熱ライブ ビビット』
「多摩川リバーサイドヒルズ族 エピソード7」に関する意見TBSテレビの情報番組『白熱ライブ ビビット』(2017年1月31日放送)の「犬17匹飼うホームレス直撃」という企画内容に、多摩川の河川敷で生活している男性に対する明らかな偏見と名誉毀損的な表現があり、ホームレスの人たちを「迷惑モノ」として扱っている姿勢も看過できないとして、4月の委員会で審議入りした事案。
委員会は、男性の人間性を否定するような強烈な言葉を使ったこと、視聴者に「すぐに怒鳴り散らす粗暴な人物」という印象を与えたことなどの編集や表現方法について、男性の人格を傷つけるだけでなく、ホームレスの人々への偏見を助長する恐れがあり不適切だったとして、放送倫理違反は明らかであるとした。さらに、別のホームレス男性の話を断りなく撮影し放送した点も、取材対象者との信頼関係を損ねる行為であり、これも放送倫理違反と判断した。そのうえで、番組制作スタッフにホームレス問題に対する認識の希薄さがあったことを指摘した。 -
委員長談話-2017年9月8日 放送局:フジテレビ
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インターネット上の情報にたよった番組制作について
フジテレビの情報バラエティー番組『ワイドナショー』と情報番組『ノンストップ!』で、インターネット上の情報・画像に依拠して番組を制作した結果、映画監督の事実でない引退発言や、実在しないアイスのパッケージ画像を放送した事案。委員会はこれらを審議の対象とはしなかったが、番組制作にあたってインターネット上の情報を利用するときに起こりがちな問題点について注意喚起するために、「委員長談話」を公表することにした。