放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 委員会決定

2013年度一覧

放送倫理検証委員会は、「問題がある」と指摘された番組を、調査、審議・審理した結果を、「委員会決定」として公表、掲載しています。

※「放送倫理上問題がある」と指摘された番組は審議、「内容の一部に虚偽がある」と指摘された番組は「審理」

第19号-2014年3月5日 放送局:日本テレビ

日本テレビ『スッキリ!!』「弁護士の"ニセ被害者"紹介」に関する意見

日本テレビは、朝の情報番組『スッキリ!!』で2012年2月29日と6月1日の2回、インターネット詐欺の特集を放送したが、ネット詐欺専門の弁護士から被害者として紹介され出演した男女2人が、実は被害者ではなく弁護士の当時の所属事務所の職員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったとして審議入りした事案。
委員会は、日本テレビが十分な裏付け取材を行わず「ニセ被害者」の証言を放送し視聴者の信頼を損なったと指摘したが、一方、放送時点において「ニセ被害者」が実際の被害者であると信じるに足る相応の理由や根拠は存在したとして、「放送倫理違反とまでは言えない」と判断した。そのうえで、今回の事例を踏まえ放送界全体で共有してほしい事柄として、「専門家」に対する過度の依存を考えなおしてほしい、など3点の問題提起を行った。

第18号-2014年2月10日 放送局:鹿児島テレビ

鹿児島テレビ「他局取材音声の無断使用」に関する意見

鹿児島テレビは、夕方のローカル情報番組『ゆうテレ』と週末の昼前の番組『チャンネル8』で、全国高校総体に出場した高校の男子新体操部を2013年6月と8月にあわせて3回紹介した。その際、選手を激励する監督の声を10か所で約2分間放送したが、これはワイヤレスピンマイクを使って、他局の取材音声を無断で受信・録音したものだった。電波法59条は、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受して窃用することを禁じている。
委員会は、取材クルーが認識していなかったとは言え、電波法違反があったことは明白なうえに、「取材・制作の過程を適正に保つようつとめる」と定めた放送倫理基本綱領の規定にも反しているなどとして、放送倫理に違反していると判断した。そのうえで、編集過程で音声の無断使用をチェックすることができなかった制作体制にも問題があったなどと指摘した。

第17号-2014年1月8日 放送局:関西テレビ、テレビ熊本

2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見

審議の対象となっていたのは、インターネットでの選挙運動解禁についての特集企画で、自民党の比例代表選挙立候補予定者だった太田房江元大阪府知事の選挙準備活動だけを紹介した関西テレビのニュース番組『スーパーニュースアンカー』(6月10日放送)と、自民党の比例代表選挙の渡邉美樹候補が著名経済人としてVTR出演している企画を、参議院選挙投票当日の午前中に放送したテレビ熊本の情報バラエティー番組『百識王』(7月21日放送)の2つの番組です。
放送と選挙の関係について、委員会は3年前の意見(委員会決定第9号)や、昨年4月の「委員長コメント」でも注意喚起を呼びかけてきました。それにもかかわらず、選挙にかかわる同様な問題が再び生じたことを、委員会は重く受け止めて、審議を行ってきました。
今回の意見で、委員会は、この2つの番組について、選挙の公平・公正性を損なう放送倫理違反があったと判断しました。その上で、選挙に関する放送倫理違反の問題の再発を防ぐために、放送業界全体において共有してほしい事柄として、「こころの秤(はかり)をイメージしよう」「組織や陣形を整えよう」などの提言を盛り込んでいます。

第16号-2013年8月2日 放送局:関西テレビ

関西テレビ『スーパーニュースアンカー』「インタビュー映像偽装」に関する意見

関西テレビの夕方のローカル番組『スーパーニュースアンカー』が2012年11月30日に放送した「大阪市職員 兼業の実態」という特集企画で、兼業について証言した情報提供者のモザイク映像が、取材スタッフを使って偽装した映像であったうえ、新聞報道で発覚するまで3か月余りも視聴者に説明していなかった事案。
委員会は、社内でのチェックが機能せず問題のインタビュー映像を放送してしまったこと、問題発覚後これを視聴者に伝えない決定をしたことの2点について、放送倫理に違反すると判断した。そのうえで、今回の問題の本質は、関西テレビがいう「不適切な映像表現」ではなく、テレビを信じてモザイク映像の放送を容認している視聴者の信頼を裏切るような「許されない映像」が放送されたことにあると指摘した。