青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第84回

第84回 – 2007年11月

「見解」に対する視聴者意見について

京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について …など

11月27日に開催した今年度第7回青少年委員会(通算84回)では、10月15日~11月19日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに11月分の中学生モニターからの意見を基に審議したほか、京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について審議した。また、児童ポルノに関する取り組みと、中学生フォーラムについて検討した。

「見解」に対する視聴者意見について

10月25日に公表した「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解」について、「見解の内容は納得がいかない」「規制には反対だ」「テレビがつまらなくなる」といった批判や抗議を内容とする視聴者意見が多数寄せられ、委員から次のとおり意見が述べられた。

  • 大半の意見は「見解」の趣旨を取り違えているのではないかと感じた。全ての罰ゲームをなくせと言っているのではない。ただ、暴力シーンが直接的に暴力を誘引するということは実証されてはいないが、暴力に対する意識の持ち方への影響はあるという科学的な調査結果も出ているので、そういった結果を根拠に委員会としての考え方を徹底していく必要がある。
  • 「見解」への批判が多く来たということは、委員会の存在が認められているわけだから良かったのではないか。ただし、「見解」は全国の視聴者からの意見を基に議論し、その結果として出したわけだから、委員会としてはその姿勢をどう正しく伝えていくかを考えなければならない。
  • 「見解」に批判的な意見を寄せてきている視聴者に共通していることは、2000年に公表した「見解」も含めて内容を理解していないのではないかという印象を受けた。ただ、「見解」に対して視聴者がこのような反応を示すのは、お笑い番組に多様性がなくなったからで、見る側もストレス解消などのためだけに見ているとすれば問題だ。
  • 今回の「見解」はバラエティーの罰ゲームについて視聴者から再三意見を寄せられていたことを受けて委員会で議論して公表したものだが、批判ばかりが多く「見解」に賛同する意見が少ないことが残念だ。これまで罰ゲームを批判してきた人たちの意見をもっと聞きたい。

以上の審議の結果、委員会としては罰ゲームに関しては、今後も視聴者の意見を参考にしつつ注視していくことになった。

京都父親殺人事件とアニメ番組との関連について

京都父親殺人事件とゲーム・アニメ番組との関連を情報番組で取り上げたため、アニメ番組が放送中止となったと多数の視聴者意見が寄せられていたことについて、前回委員会で申し合わせたとおり、内容確認のため同番組のVTRを視聴したうえで、審議した。各委員の意見は次のとおり。

  • 番組で取り上げているのは同名のゲームのことであって、放送されているアニメのことは言っていない。放送中止になったことと、同番組が取り上げたこととは関係ないと思われるので、問題ないのではないか。
  • 番組の中で取り上げられたのが同名のアニメでなく、マンガやゲームであっても、視聴者にとっては同名のものが取り上げられたこと自体が問題なのではないか。
  • 因果関係が分からないにもかかわらず、インターネットにあったからと固有名詞を使って取り上げれば、そのゲームやマンガに対するマイナス効果が発生することは予測できるわけだから、番組の作り方には注意すべきだ。単に視聴者の勘違いとするのは疑問がある。
  • 凶器を使ったアニメやドラマのシーンは、直接的な模倣が出てくることもあり得る。今回の事件の状況を考えると番組内で議論するために取り上げたことはやむを得ないのではないか。

また、アニメ番組を放送休止または中止した局からその理由について、「社会通念上好ましくないと判断した」「遺族や関係者の感情を配慮した」等の回答があり、それについて委員から次のとおり発言があった。

  • アニメ番組を放送していた局の休止または中止理由にも情報番組との関連を示唆するところは見当たらず、それぞれ自主的に休止または中止しているので問題はないと考えていいのではないか。
  • 休止または中止理由として「遺族や関係者の感情」「社会通念上好ましくない」となっているが、放送局自らが自主規制をして簡単に中止していいものだろうか疑問が残る。
  • 放送した場合の反響を考えると、中止したことは局として妥当な判断だったのではないか。

児童ポルノに関する取り組みについて

前回委員会で申し合わせたとおり、山田由紀子委員から児童ポルノに関する資料が提供され、今後の取り組みについて、委員から次のような発言があった。

  • 委員会としてやるべきことは、児童ポルノの法規制の問題というより、30年前だったらほほえましいと思えた男児の裸の映像でも、幼児性愛的な問題が出てきた現代では放置できなくなっている現状を制作者に伝えていくことではないか。
  • 児童ポルノが目的ではない幼児の裸でも、それが悪用されて特定の人を刺激することになれば児童ポルノになってしまう可能性がある。こういったことを制作者にも認識してもらうことを伝えていくべきだ。
  • 一般的に児童ポルノと言っても、法律的にどのような部分が重要なのか、また、現実として男児のポルノはどのような状況なのか、委員会として専門家から説明を受け勉強することが必要だ。

以上の結果、児童ポルノに関しては、時代的な変遷も含め、今後も継続して調査・研究していくこととし、専門家による勉強会を開くことを決めた。

中学生モニターについて

今月は32人から計45件(1人で複数件の報告あり)の報告が寄せられた。分野別ではバラエティーとドラマが16件・15件と伯仲し、情報系番組が6件と続き、次が教養番組で2件、ニュース番組・アニメ・スポーツ番組・ラジオ番組そしてニュースとドラマの全般的な意見が1件ずつだった。
局別ではフジテレビ系が16件、日本テレビ系が10件、TBS系が8件、テレビ朝日系が3件、NHKとテレビ東京系が2件ずつ、九州朝日放送・エフエム愛知が1件ずつだった。
今回の報告でも、番組に共感し賛同する好評意見がやはり多く30件あり、賛否両論を記しているのが9件、良くなかったと批判している意見は6件に増えた。

  • バラエティー番組では『クイズ!ヘキサゴン?』に「どのコーナーも面白く、笑える。また、時には勉強になる」という好評意見と「昔は6人の心理戦で勝負するという面白い仕組みで、楽しく見ていた。今はおバカさんキャラの芸能人が中心になっていて、他のクイズ番組と変わりない」という批判意見の2件報告があった他は、14番組に1件ずつ報告があった。
    好評意見は『笑ってこらえて』『おネエ★MANS』『学校へ行こう!MAX』『あいのり』『ジャンプ!○○中』『SMAP×SMAP』『クイズ雑学王』『出没!アド街ック天国』の8番組に。
    賛否両論が記されたのは2番組で、『嵐の宿題くん』には「何より、嵐のメンバーのキャラクターがおもしろい。ただ、ゲストについて深く掘り下げるということがあまりなく、番組の基本形もないと思う」と、『いきなり!黄金伝説』には「最近はバラエティー番組の大半でテロップを使用していますが、この番組ほどヒドイものはないと思います。内容はものすごくいいのに…」という意見が寄せられた。
    批判意見が寄せられたのは4番組で、うち制作者に対する苦言が2件あった。まず『まるまるちびまる子ちゃん』に「ドラマ部分とは別に、日常的な日本語をアルファベットの略語にし読解するというクイズ形式のコーナーがある。自分の中学校でもその事を悪用して、暴言が飛び交っている。”死ね”という言葉を”SN”と略し、弱者を大勢で”SN”、”SN”と一斉にいびる事も十分考えられる。もっと、後先の事を考えてコーナーを作った方がいい」。『めちゃ2イケてるッ!』には「食べ物を粗末に扱ったり、熱湯をわざと大量にこぼしたり人にかけたりし、また出演者の一人をほかの出演者が無視したりいじめたりすることがある。大人だけでなく、小中学生の多くも見ているので、番組の制作側も視聴する人のことをもう少し考えてほしい」。他には『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』に「芸人と女子レスラーの対戦で、食べ物が試合のための道具になっていた。番組自体は面白くても、そういうものがあると寂しくなる」、『感動再会!”逢いたい”』には「何故あの審査員(?)に、逢うか逢わないか決められなければならないのと思った」、という感想だった。
  • ドラマではほとんどが好評意見で、複数意見があったのは『ガリレオ』が5件、『有閑倶楽部』が3件、『3年B組金八先生』が2件だった。
    『ガリレオ』には「今まで月9のドラマは恋愛物が多い中、こういう番組がでてきてくれて、とても気に入った。ミステリーものだが、あくまでも事件で起きた不可解な現象を追い、犯人はオマケみたいなものである。そこがクセになるというか、ハマる」などの意見が寄せられた。10月からのドラマは男子に人気があり、『有閑倶楽部』は全員女子だが、『ガリレオ』では2人が『金八先生』は2人とも男子だった。また女子2人からは「今シーズンのドラマはこれといって面白いものがない」という注文も寄せられている。
    他に意見が寄せられた5本のドラマのうち『ドリーム☆アゲイン』には「私のように野球好きばかりではないはずなので、つらい話の中にもおもしろい場面を作っていくと良い」という注文があったが、これ以外の『ジョシデカ』『医龍2』『暴れん坊ママ』『TRICK(再)』は好評だった。
  • 情報系番組も概ね好評だったが、『たけしの日本教育白書』には「とても内容の濃い番組でした。もし討論のコーナーがもっと早い時間にあればもっと楽しい番組になると思います。視聴率より、内容を考えた番組の構成を期待しています」と制作者への要望が寄せられた。『モクスペ 九死に一生スペシャル』は「まさに九死に一生をえた人々の実体験をもとに、それを映像化して再現したものである。人間、愛、命、死、様々な事を考えさせられた」と、『仰天・世界おもしろ学説SP』も「なぜそのような学説ができたのか、証明されるのかについて理由をしっかり言ってくれるので納得しやすい」などと好評だった。
  • その他、今月は教養番組に2件意見が寄せられた。4日間放送された『ハートをつなごう 子ども虐待』は「最近児童虐待のニュースがすごく多いのは知っていましたが、今40代50代の方々も虐待を受けて育った人が沢山居ることを知りました」、『知るを楽しむ 歴史に好奇心 明治サイエンス事件帳』も「こっくりさんに科学の力で立ち向かうというところが僕の理科魂をめらめらと燃やさせました」などと好評だった。

青少年委員会では委員から下記のような発言があった。

  • 単なる感想や意見でなく、例えば『みのもんたの朝ズバッ!』に「朝のニュース番組は忙しい人がたくさん見ているので、必要な情報をまとめる工夫をするともっと良い番組になる」とか、『クイズ!ヘキサゴン?』にも「昔のやり方と今の形を1週間ずつ交互に放送するなどしたら飽きずに見られる」などと、番組への前向きな提案をしている。こういう意見を大切にしていきたい。
  • 中学生モニターは真面目に番組を見て、きちんと評価をしてくれている。例えば中学生の間で最も話題になった番組、最もためになった番組などに「中学生モニター賞」を出したらどうか(この点についてはさらに検討することになった)。
  • ただいろいろな番組についてバラバラに報告を書いてもらっているだけではもったいない。例えば「バラエティー番組の罰ゲームをどう思うか」などテーマを設定して書いてもらい、調査などとも関連付けられたらモニター制度が意義深いものになるのではないか。

委員の発言を受け、12月のモニター報告のテーマは「バラエティー番組の罰ゲームをどう思うか」に決まった。また青少年委員会が10月に出した「『出演者の心身に加えられる暴力』に関する見解」についても感想を書いてもらう事になった。

中学生フォーラムについて

第7回中学生フォーラムは、小田桐誠委員がブレーンとして企画に関わり、2008年3月26日に開催することを決めた。

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