青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第88回

第88回 – 2008年3月

男児ポルノに関する取り組みについて

視聴者からの意見について …など

3月25日に開催した今年度第11回青少年委員会(通算88回)では、継続審議となっている男児ポルノに関する取り組みについてのほか、2月18日~3月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見ならびに3月分の中学生モニターからの意見を基に審議した。また、中学生フォーラムと調査・研究について報告があった。

議事の詳細

日時
2008年3月25日(火)
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題

男児ポルノに関する取り組みについて

継続審議となっている男児ポルノに関する取り組みについて、前回委員会での審議を受けて、注意喚起を促す文書を出すことを決め、事務局が作成した原案を基に審議した。

委員からは次のとおり意見が出された。

  • 今、児童ポルノに対しては、社会的関心が高まってきているので、この時期に委員会としてこのような文書を出すことは効果があるし、放送関係者も関心を持ってくれるのではないか。
  • テレビでの男児の裸が悪用されたという確証はないが、児童ポルノに対する世論が高まっているし、悪用される危険性があるので、注意喚起を促すということで理解してもらえるのではないか。
  • テレビに写った裸が児童ポルノに悪用されたという事例が出てからより、委員会としては一歩先を考え、その危険性を注意喚起することに意味がある。
  • 児童ポルノに悪用されるという危険性はもちろんだが、テレビで裸を写された子どもの人権にも重点を置く必要がある。

以上の議論を踏まえ、原案に若干の修正を加えることで了承した。その後、4月11日に大日向委員長、橋元副委員長、山田委員が出席し記者会見を行い、「青少年委員会からの注意喚起―児童の裸、特に男児の性器を写すことについて」を公表するとともに、同日付で加盟各社に送付した。(詳細はこちら)

視聴者からの意見について

  • 「ユーチューブの子犬投げ捨て映像」のニュースについて
    ユーチューブにアメリカ兵と思われる男が、笑いながら子犬を崖から投げ捨てる映像が投稿され、インターネット上で大きな問題になり非難されていることを取り上げたニュースについて、「子犬を投げ捨てるシーンはネット上で大変な批判を受けていたものであり、夕方のニュースで見た子どもはショックを受けて泣きじゃくっていた」「ショッキングな映像をそのまま流す必要があったのか、甚だ疑問だ」という批判意見が視聴者から寄せられ、委員から次のような発言があった。

    ▽ 子犬投げ捨ての映像があまりにも残虐で非難されていると言いながら、その映像をわざわざ放送することは論理的に矛盾している。なぜ放送したのか、企画そのものが疑問だ。
    ▽ インターネットで問題視され、非難ないし削除された映像を、テレビニュースとしてわざわざ放送することはおかしい。この問題は、テレビ報道のあり方について新たな問題を含んでいると思う。
    ▽ 動物虐待への非難は世界的傾向なのに、なぜ、この映像を放送したのか全く疑問だ。大人も不快感を覚えるのだから、子どもには耐えられないだろう。
    ▽ あえて推測すれば、戦場の悲惨さとか、戦場におかれた兵士に精神的な異常性が生じるということを訴えたかったのだろうか?報道として戦争の悲惨さを訴える意味はあるが、あの映像が果たしてその役目を果たすのか、疑問だ。少なくとも非難が集中している映像を繰り返し放送する必要性があるとは思えない。
    ▽ 青少年委員会は、2002年に『「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」についての見解』を公表しているが、少しも理解されていないのではないか。
    ▽ 青少年への影響を考えると問題である。しかし、このニュースだけを取り上げて、委員会として意見を言うのは唐突な感じがする。最近のニュースの表現が過剰になっているという視聴者意見もあるので、その観点からも委員会として注意深く見ていく必要がある。

    以上の審議の結果、視聴者意見からは放送局、番組名が特定できないものもあるため、NHKと在京民放テレビキー5社に対し、委員会としての総意を伝えることを決め、各委員の発言を記した議事概要を後日送付した。

  • CMについて

    ▽ 継続審議となっているパチンコCMやR指定映画などの宣伝CMについては、次回委員会に局の担当者を招き、CM 考査、放送時間帯、放送量などについて意見交換し、状況を把握した上で、問題があれば何らかの対応を考えることになった。

中学生モニターについて

今月は28人から、32件(1人で複数件の報告有)の番組への意見が寄せられた。分野別では、今月はドラマが断然トップで15件、次のバラエティーが7件、情報・討論番組とニュース番組が3件ずつ。ドキュメンタリーが2件、そしてアニメと音楽番組が1件ずつだった。

局別では、今月は日本テレビ系が多く12件、フジテレビ系が7件で、テレビ朝日系5件・TBS系4件・NHK2件と続き、あとは福岡放送とテレビ熊本が1件ずつだった。

・ドラマ番組

報告が一番多かったドラマ分野で、複数意見が寄せられたのは4番組。『斉藤さん』と『1ポンドの福音』が3件ずつ、『エジソンの母』と『鹿男あをによし』が2件ずつだった。

『斉藤さん』は、「主人公の斉藤さんは、周りの人を気にせず、人の行動に対して悪いと感じるものには、しっかり注意をします。自分が正しいと思えば、その意見を主張しつづけます。空気を読まない斉藤さんだけど、勇気のある人だと思いました。私たちには悪いことは悪いと言う勇気や、自分の意見をしっかりと述べることが大切なのだと思います」などと3 件とも大好評だった。

『1ポンドの福音』は、「私はこのドラマの原作を読んだのですが原作の順番を入れ替えてあったり、原作のセリフなどが入っていてよかったです」などの好評意見と、「亀梨くんがリングで戦っている時いつもスローになって全く戦っているという感じが無い。次週の展開が分かりすぎている」という批判意見に分かれた。

『エジソンの母』は、「人は興味を持ち続ける事で強くなれ、自分の個性・可能性を引き出せる・・・そんな、視聴者が大人になると忘れがちになってしまう大切な事を教えてくれていると思いました」などと好評だった。

『鹿男あをによし』は、「奇想天外なストーリーだったが、今までにない話の展開が面白く、引き込まれるように毎週見ていた」と全体には好評だったが、「このドラマは他には見られないほどストーリーの展開が遅くて、だらだらしている感じがするので少しあきてしまうようなところがあった」という指摘もあった。

2日連続の日本テレビ開局記念番組『東京大空襲』には1 件、「私の祖父母は、戦争の経験者で、小学校の頃に戦争の話を聞かせてもらったので、知っていると思っていましたが、映像で見ると空襲によって、色々なことが起こっていたんだという悲惨さなどが分かり、とても勉強になりました」という意見が寄せられた。

バラエティー番組は7番組に1件ずつ意見が寄せられ、ほとんどが好評だった。その中で初めて意見が寄せられた3番組について紹介する。

『太田光の私が総理大臣・・・』には「面白くかつ今社会で問題になっていることが学べ、関心が持てるので楽しく見ることができる。このような面白く政治や社会の事が学べるバラエティー番組はこれからますます成長していく番組だろうと思う」、『くりぃむナントカ』には「今度ゴールデンタイムへ進出するため僕はとても楽しみにしています。僕はこの番組は特有のグダグダ感と深夜時代からの企画を継続していき、長寿番組となってくれることを期待しています」、NHKBSの『COOL JAPAN』には「外国人が日本の様々な文化を発掘する番組だ。テーマも”文房具”や”自動販売機”など身近なものなので、日本の文化にあまり興味がない人でも楽しく見ることができると思う」、などであった。

・その他の番組

他県の人は見られないローカル局制作の番組について、2件意見が寄せられたので紹介する。

福岡放送で平日の午後に放送している『めんたいワイド』には「トレタテ!夕刊めんタイムスというコーナーがあります。この日は”円高ドル安”がテーマでした。福岡の苅田町というところにトヨタ自動車の工場があるのですが、そこではほとんどが輸出用に製造しているそうです。・・・そうなると、悲鳴が—。そんなことをどこよりも詳しくどこよりも早く伝えてくれる超イチオシの企画の1つです」、テレビ熊本の『守りたい小さな仲間たち』には「熊本県に生息する植物や動物を紹介している番組で、番組と番組の間に放送されているとても短い番組です。このような番組は、全国放送にして全国の皆さんに番組の良さを知って欲しいと思います」、などいずれも番組を推奨する意見だった。

また青少年委員から出された、(1)「今の日本では、女児の裸については”写さない”という常識がありますが、男児についてはあまり気にしなくてよいような風潮があると思われます。このような風潮について、どう思われるでしょうか」、(2)「性的な描写を含むパチンコのCMや映画の予告CMについて、みなさんは、こうしたCMを見たことがありますか?あったとしたら、どう感じましたか?」、という2つの質問には、18人が意見を寄せてくれた。(1)は”男児も写してはだめ” が13人、”そんなに厳しくすることもない”が3人、”別にいいんじゃない”が2人だった。(2)は”放送すべきではない”が13人、”時間帯は考えたほうがよい”が2人、”性的描写はたいしたことない”が1人、”映画CMは問題ない”が1人だった。

2007年度後期モニターは今回の報告が最後で、4月からは新人24人・2期目9人の中学生モニターが毎月報告を送ってくれることになった。

中学生フォーラムについて

3月26日千代田放送会館2階ホールで開催された、第7回中学生フォーラム「バラエティー大討論」には中学生モニター12人が出席し、 NHKと在京民放キー局計4人の番組制作者と意見交換を行った(参加者は放送局関係者など80人)。討論は、好きなバラエティー番組・嫌いなバラエティー番組から始まり、何故食べ物を無駄にするのか、何故Hネタが多いか、何故罰ゲームが必要か、心身に与える暴力の影響は、などをテーマに活発に繰り広げられた。参加した放送局関係者からは「中学生の発言には感心した」という声が多く聞かれた。

同フォーラムの模様は、5月11日NHK教育テレビ『日曜フォーラム』(午後6時~7時)で全国放送される予定。

また、フォーラムの内容をまとめた冊子も5月末ごろには発行する予定。

調査・研究について

橋元副委員長から来年度の調査・研究について、次回委員会で方向性を示したいと考えている、との報告があった。

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