第83回 – 2007年10月
斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応について
バラエティー番組における罰ゲーム等について …など
10月23日に開催した今年度第6回青少年委員会(通算83回)では、斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応とバラエティー番組における罰ゲーム等についての審議。また、9月14日~10月12日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議した。
議事の詳細
- 日時
- 2007年10月23日(火)
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
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斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応について
バラエティー番組における罰ゲーム等について
視聴者意見について
新体制での委員会活動について
中学生モニターについて
斎藤前委員の解嘱に当たっての青少年委員会の対応について
青少年委員会は、大麻取締法違反で逮捕された斎藤前委員が10月3日付で解嘱されたことを受け、委員会としての対応を協議した結果、声明(詳細はこちら)を発表するとともに今回の事態への対処として、本田和子委員長が委員長職および委員を辞することとなった。
後任の委員長には委員の互選の結果、大日向雅美委員を選出した。また、副委員長は大日向委員長の指名により橋元良明委員が就任した。
バラエティー番組における罰ゲーム等について
継続審議となっていたバラエティー番組における罰ゲーム等について、前回委員会で申し合わせたとおり、テレビ局に対する要望文書の原案を本田委員長が作成し、それを基に審議した結果、若干の修正を加えることで了承した。その後、10月25日に「見解」(詳細はこちら)を公表するとともに加盟各社に送付した。
視聴者意見について
京都父親殺人事件とゲーム・アニメ番組との関連を取り上げた情報番組に対して、インターネット上で抗議文が掲載されたこともあって、「アニメが事件と類似しているような番組内容だが、事実とは違う」「事件とアニメの関連性が拡大され、このアニメが放送中止になったことに憤りを感じる」といった、主に10代男性を中心に批判的な意見が多数寄せられた。委員からは次のような意見が出された。
- 番組内でどう取り上げられたか分からないので、ビデオ視聴して真意を確かめたほうがいいのではないか。
- 事件との関連の有無は別にして、自主的に放送を中止したということは、表現の自由を自ら放棄しているのではないか。委員会としては中止した経緯も知る必要がある。
- 視聴者意見では、アニメが放送中止となったのは、情報番組で取り上げたためのように言っているが、事実はアニメを放送している局が自主的に中止したのだから委員会で情報番組を問題にすることではないのではないか。むしろ中止されたアニメが青少年に影響あるのかどうかを問題にすべきだ。
- ゲームが原作のアニメは、一般的に暴力的・性的内容が強いものが多いと言われている。そういった番組を局が自主的に中止したからといって、表現の自由を危惧することはないのではないか。
以上の審議の結果、同情報番組での京都父親殺人事件とアニメの取り上げ方について、視聴者意見が多数寄せられていることもあり、委員会として内容の確認をするため、当該局に対しビデオ提供を依頼することとなった。また、問題となったアニメを放送していた局に対しても、放送中止に至る理由と同アニメのビデオ提供について協力を求めることとなった。
次に、夕方の情報番組で小学生の強化合宿を取 材した際、男子の入浴シーンで性器が写っていたことに対し「児童・少年ポルノ愛好者の間で動画や映像として出回る危険性もある。局は児童に対してどのような責任を負うのか」「女児の裸については児童買春・ポルノ禁止法を厳しく扱っているが、男児の裸は高学年だろうとも平気で放送するのはおかしい」などといった視聴者意見が寄せられ、委員から次のような意見が述べられた。
- 以前は、男児の裸に対してはおおらかで、問題にはならなかったが、最近は批判的な意見が多くなってきている。やはりネットなどで利用されることが影響しているのではないか。
- 日本人の性的な感性が変わってきている。善意のつもりで子どもはかわいいからといって放送してもいいという時代ではなくなって来ている。児童ポルノに関しては、日本もようやく法律ができたが、まだまだ国際的には遅れているということを警告すべきだ。
- 放送された裸の映像がネット上に出るなどということは、その子どもの一生に関わることなので、ポルノ禁止法の趣旨をよく理解してこういった問題を検討していくことも委員会としての役割だ。
- 児童ポルノ関しては世界の潮流に遅れないように、法律的なことを含め、委員会でも検討していくことを考えるべきだ。
以上の審議の結果、児童ポルノに関する資料を取り揃え、今後、委員会として時間をかけて調査・研究をしていくことを決めた。
新体制での委員会活動について
大日向委員長、橋元副委員長による新体制の下、改めて青少年委員会のあり方や委員会運営について議論した。
- 視聴者意見を基にするだけでなく、もっと社会で起きていることに対しても委員会として発信していくべきだ。
- 中学生モニターに対して、自分が見ている番組だけで社会を知るのではなく、ほかの世界があることを教えてあげたい。例えば民放連の連盟賞を受賞した作品を見せることもその一つだ。
- 委員会として番組を批判するばかりでなく、いい番組を選び推奨することもやっていきたい。
以上の意見交換の結果、定例の審議のほか、各委員が視聴者意見の中から関心のある社会的なテーマを事前に提案し、委員会で議論していくこととなった。そのためには、月1回の委員会の中で議論するだけではなく、メールを利用するなどして頻繁に委員同士の意見交換を行うこととした。
中学生モニターについて
後期中学生モニターに代わった今月は、8月から10月半ばくらいまでに見た番組についての感想・批判・期待することなどの意見を募集した。結果、33人の新モニター全員から、計43件(1人で複数件の報告あり)のモニター報告が集まった。報告をジャンル別に分けると、バラエティーが断然多く21件、次がドラマで8件、そしてドキュメンタリーと情報・討論番組が3件ずつ、アニメと映画とラジオ番組が2件ずつ、報道番組と音楽番組が1件ずつだった。
局別ではフジテレビ系が13件、日本テレビ系が8件、TBS系が7件、テレビ朝日系が6件、NHKとテレビ東京とテレビ愛知が2件ずつ、読売テレビ・東海ラジオ・NHKFMが1件ずつだった。
- 件数が多かったバラエティー番組で、5番組に2件ずつ報告があった。『行列のできる法律相談所』は「バラエティーと法律という2つの要素を持つこの番組は、永久に不滅だろう」、『世界一受けたい授業SP』は「これからも、役に立つ情報や考えさせる情報をたくさん、放送して欲しいと思っています。本当にこの番組では考えさせられました」、『ウンナン極限ネタバトル』は「最近見かけなかった本物の芸人を見られるよい番組だった」、『SMAP×SMAP』は「歌、トーク、コントなどがバランスよく配分されていて、毎回飽きることなく、とても面白く見ています」、『探偵ナイトスクープ』は「視聴者参加型の番組です。どんな些細な調査でも行ってしまうところがとても好きです」などと、いずれの番組も好評だった。
他の11番組に1件ずつ意見があったが、批判は4件で『幸せってなんだっけSP』に「細木数子のワンマンショーのような感じで全体的には少し不快でした」、『からくりNEOドミノ甲子園』に「全然レベルのちがうチームをつれてきて優勝させてしまっては、あまりにも他のチームがかわいそうです。来年この番組があっても、もう見る気はしません」、『クイズ・ガリベン』に「普通、クイズ番組は視聴者も一緒に問題を考えるから面白いのに、問題を言う前から正解が出るのでクイズ番組としてはまったく面白くありませんでした」、『ロンドンハーツ』に「イタズラ番組はおもしろいですが、あとで笑えるソフトなイタズラ番組がいいです」などであった。 - ドラマでは、9月まで放送されていた『花ざかりの君たちへ』に「このドラマは1秒も見のがしませんでしたッ!!終わってしまってすごくさみしいです!」、「ドラマの最後にオチがあったので、そこもやはり原作がマンガなだけあるな、と思った。ドラマを見終わった後は、納得いったせいか、すっきりした」と好評意見が2件寄せられた。
他の6番組は1件ずつで、『マラソン』に「自閉症の青年がマラソンに挑戦し、見事3時間以内にゴールする成長物語だ。自閉症の人達の施設へ行って研究してきたという演技は迫真に迫っており、自閉症に関心を持てるようになった」と言う意見が、今月から始まった『医龍2』には「できれば最初のほうで前作をまとめたものを流してほしい」という注文が、『ガリレオ』には「キャストで堅い大人っぽいドラマなのかな?と思ったけれど、見てみると笑える所もありました。これからあの2人のキャラに絶対はまってしまう気がします」という好評意見が寄せられた。 - ドキュメンタリー分野の3番組にはいずれも共感する意見が寄せられた。『命の輝きスペシャル』に「本では読んで想像するしか出来ませんが、テレビでは本当の現実を見せてくれる所が良い所だと思います。私はこの番組を見て自分の生活環境はとても恵まれていると思いました。だから、もっとその事に気付いてくれる人が増えれば良いと思います」と。ETV特集『ごたごた荘の人々~東京・練馬共同保育所』には「ごたごた荘の魅力がある理由は”保育者と保護者が共に作る保育所”だからだ。他の保育園や幼稚園にも”保育者や保護者が共につくる”園になって欲しいと思う。構成が良く、飽きが来なく、最後まで見られた」。『世界ウルルン滞在記秋風にのって!再会スペシャル』には、「1回の番組で複数の国に出演者が訪ねて、観光では訪れることはできない、その国だけしかもっていない魅力を見ることもできる。日本の家庭とは180度違ったヌー民族の生活を見ることができ良い番組だなと思った」という内容だった。
- 情報番組では大阪の読売テレビがキー局になっている『情報ライブミヤネ屋』について「関西の”みのもんた”との異名を持つフリーアナウンサー宮根誠司さんの冠番組が、ついに福岡でも始まりました。東京ではできない、話せないような独自の世界がさらにワイドになることを願います」という番組を推奨する意見があった。
- その他、アニメ番組では『きらりんレボリューション』と『さよなら絶望先生』が、映画では『踊る大捜査線THE MOVIE2』と『火垂るの墓』が、音楽番組では『僕らの音楽』が、いずれも好評だった。
- ラジオ番組ではNHKFMのラジオドラマ『風神秘抄』に「毎日15分間、15日完結のドラマだった。聞き終えて、ラジオドラマのすごさを改めて感じた。例えば異空間につながる場面。あれは「音」だけだからこそ表現できたのだ。音から自分の頭の中での想像が広がる」と言う意見が寄せられた。
新モニター最初の報告は、番組に共感し絶賛する意見が多く26件で、良かったと賛同する意見を含めると43件中37件もが好評意見であった。賛否両論を記しているのは5件、良くなかったと批判しているのは1件だけだった。