第81回 – 2007年7月
罰ゲームやいじめ等に関する継続審議について
視聴者意見について …など
罰ゲームやいじめ等に関する継続審議について
本田委員長から「前回委員会での審議の結果、今後、バラエティー番組での罰ゲームやいじめ等に関してさらに議論を深めていくことを決定したが、具体的には次回の9月委員会でこの問題について多角的に議論したい。まずそれに向け、罰ゲームと思われるものが出てくるバラエティーや視聴者から苦情が寄せられたドラマ等の番組を委員それぞれが視聴して、次回委員会の審議に備えてほしい。また、テレビでのいじめ等が子どもたちに及ぼす影響については、はっきりと実証されてはいないが、そうだという意見もあって、その点についても議論していきたいので、それに関する文献等があれば提供いただきたい。委員会としては、改めてこの問題を審議し、そのうえで放送局側に要望を出すことについても考えたい」との提案があり、了承された。
視聴者意見について
7月から始まった高校が舞台のいじめをテーマにした深夜帯の連続ドラマに関して、「いじめを助長する」「いじめのシーンが陰湿で刺激が強い」といった視聴者からの批判的な意見が多数寄せられ、委員からは次のとおり発言があった。
- 連続ドラマについては、最終回までの全体を見ないとなんとも言えないところがあるので、1、2回だけを見て判断することは難しい。今後の展開を注視していきたい。
- 連続ドラマの場合、途中の描き方に問題があっても最終的には視聴者が納得できる結末で終わるように作られていることが多いので、過剰に反応する必要はないのではないか。
- 放送局は、現代社会をテレビドラマの中に反映させて作っている。内容のいい悪いは別にして、いじめといった社会の病理を描くことには意味がある。
次に、いじめ問題を取り上げた情報番組の中で、コメンテーターが「いじめられる子が悪い」といった発言について、視聴者から「こういった発言はご法度で、教育委員会に聞いたら”言うべきではない、放送なら尚更だ”と言っていた。謝罪なり訂正してほしい」と意見が寄せられ、委員から次のような発言があった。
- いじめられている子どものことを考えると視聴者からの意見の内容はもっともだが、公的機関を権威づけに使って謝罪や訂正を求めるのはいかがなものか。
- いじめ問題は、いじめられる子ども=被害者、いじめる子ども=加害者というかたちだけではなく、いじめる子がいじめられる子になったり、またその逆のケースもあるように複雑なこともあるので単純に論ずることはできない。
このほか、今年度からBPOのホームページにおける青少年に関する意見の掲載方法を、BPO全体で統一したことについて、「意見のとりまとめが集約しすぎてわかりにくい」「以前のように詳細に掲載したほうが、視聴者がなにを考えているか分かり有効だ」といった視聴者意見が寄せられ、委員からは次の意見が述べられた。
- HPの視聴者意見には”お断り”として「あまり長い文章は要約、類似意見は代表的なものを掲載する」ということを明記しているので、分かってもらうしかない。
- 寄せられた意見を全部そのまま掲載するわけにはいかないのだから、ある程度整理するのは仕方がないので、このままでいいのではないか。
以上の意見が出され検討した結果、掲載するに当たっては公正に処理しているので、当分は現状の方法で掲載することにした。
中学生モニターについて
7月はモニター会議に向けて、「好きな番組・嫌いな番組、その理由」というテーマで意見を募集した。
意見を寄せてくれたのは28人。分野別ではバラエティーに関する意見が33件(好き12、嫌い14、好き嫌い両方7)でドラマについてが17件(好き13、嫌い2、両方2)だった。あとは件数がぐっと減ってアニメが3件(好き2、両方1)。2件ずつ意見があったのが、音楽番組(好き2)とニュース系番組(好き2)、スポーツ中継(嫌い2)だった。そして情報番組(両方1)が1件だった。局別ではフジテレビ系が23件、日本テレビ系が14件、TBS系8件、テレビ朝日系6件、テレビ東京系3件、NHK1件などだった。
- バラエティー分野では、『はねるのトびら』に7件(好き2、嫌い3、両方2)と意見が集中した。好きという意見は、「テンポが良く”短縮鉄道の夜”や”ほぼ100円ショップ”のコーナーが面白い」というもの、嫌いという意見は「”ギリギリス”や”つかじクリニック”のコーナーの罰ゲームなどが度を越していて不快だ」というものだった。
次は『めちゃ2イケてるッ』に3件(好き1、嫌い1、両方1)で、「毎週10年見続けた、友情の大切さを知った」という大ファンの意見がある一方、嫌いは「危険なゲームが心配・食べ物を粗末にしている」という意見だった。
2件意見があったのは『中井正広のブラックバラエティー』(好き1、嫌い1)と『脳内エステIQサプリ』(好き1、両方1)。前者では、好きは「ウケをねらっていないけど面白い番組」という意見で、嫌いは「正直伝えたい事が分からない、食べ物の扱いもひどすぎる」という意見だった。後者では、好きは「家族と競って問題が解けて面白い」など、嫌いは「最近は問題がややこじつけ的になっており、食べ物でつっている感じもある」というものだった。
他に好きな番組としては『天才!志村どうぶつ園』『嵐の宿題くん』『まごまご嵐』『学校へ行こう!MAX』『ドッカ?ン』『平成教育委員会』『水10!』、好き嫌い両方は『ザ!鉄腕!DASH!!』『行列のできる法律相談所』『いきなり!黄金伝説』『アドレなガレッジ』『アメトーク』、嫌いは『芸恋リアル』『ズバリ言うわよ!』『オーラの泉』『ミリオン家族』『笑いの金メダル』などだった。 - ドラマでは4本の番組に2件ずつ意見が寄せられた。『パパとムスメの7日間』(好き2)は、「素朴な人間関係が描かれ、オーソドックスなストーリーで安心感がある」、『牛に願いを』(好き2)は、「現実問題も重ね、愛と成長と感動の青春を自分も体験している気持ちになれるし、メッセージ性が強くてよい」という意見だった。『探偵学園Q』(好き1、両方1)は、好きが「ドキドキしスリルがある。ドラマとマンガのイメージが似かよっていて良い」、嫌いが「残酷でグロテスクそして放送時間が遅すぎる」というものだった。『花ざかりの君たちへ』(好き1、両方1)は、好きが「意外性があり主人公が楽しそうに見える」、嫌いが「映像にハートマークを入れたりして作りすぎだ」などだった。
その他好きな番組として『わたしたちの教科書』『ライアーゲーム』『プロポーズ大作戦』『山田太郎ものがたり』『どんど晴れ』などが、嫌いな番組として『喰いタン2』『バンビーノ!』などがあげられた。 - 他に2件意見があったのは『ニュースZERO』(好き2)。「2人のコメンテーターが出て来るのでいろいろな見かたができる。その日の出来事があった時間が分かるので見やすい」という内容だった。
その他アニメ番組では『REBORN』(好き1)『ハヤテのごとく!』(両方1)などに、音楽番組では『うたばん』(好き1)と『ミュージックステーション』(好き1)に、情報番組では『サンデーモーニング』(両方1)に意見が寄せられた。
分野全体に対する意見は、スポーツ中継に2件(嫌い2)で、「放送延長で番組の時間が変わるのが迷惑」などだった。
青少年委員会での委員の発言を紹介する。- やはり罰ゲームに関心が高くバラエティー、特に『はねるのトびら』に数多く意見が寄せられている。モニター会議でもいろいろ議論ができるだろう。
- 『ニュースZERO』が好評だが、「事件などが起きた時間が出るのが、自分の行動と比べられて良い」という意見があった。いろいろ考えている番組だ。
- 『オーラの泉』への意見で「人には見えないものを武器にするのはズルい」という意見は的確な番組批判だ。
- 中学生モニター会議で単に番組の好き嫌いを言い合っても仕方がない。テレビ番組について批評しメディアリテラシー力を養う必要がある。
中学生モニター会議
7月27日に開かれた「中学生モニター会議」には、全国から14人のメンバーが集まり、青少年委員会委員と活発に意見交換をした。
青少年委員会本田和子委員長のあいさつの後、青少年委員が自己紹介し、中学生モニターがモニターに応募した理由やどんな番組を何時間ぐらい見ているか話したあと、話し合いが始まった。
7月のモニター報告「好きな番組・嫌いな番組、その理由」をもとに、まずバラエティー番組について好きな理由・嫌いな理由そして罰ゲームの是非についてなど1時間ほど話し合った。ドラマについては、番組改編期に新しいドラマをどう探すか、どんなドラマが好きか、賛否両論あるドラマについてなどを話し合った。そしてその他の番組についても触れた後、テレビとケータイの比較について、大切なのはどちらかなどを話し合い3時間のモニター会議は終了した。
9月上旬には会議の模様をまとめた冊子を発行する。
<調査・研究活動について>
橋元委員から「今、テレビは子ども達にどう見られているか?(仮)」の調査について、報告書は最終原稿のチェック段階に入っている。今回の調査では、インタビュー、事前アンケート、日記式の3つの方法で調査を行ったので、それらをどう使い分けるかが難しいところだ。また、今回は量的調査ではないので、少数意見をどう盛り込んでいくか再度検討することになっている、との報告があった。