放送人権委員会

放送人権委員会 委員会決定

2004年度 第23号

国会・不規則発言編集問題

委員会決定 第23号 – 2004年6月4日 放送局:テレビ朝日

勧告:人権侵害
2003年9月のテレビ朝日の情報トーク番組『ビートたけしのTVタックル』で、自民党の衆議院議員が予算委員会でヤジを飛ばしている映像が使われ、同議員が「全く関係ない映像を切り貼り編集した捏造で、名誉を毀損された」などと訴えた事案。テレビ朝日は別番組で同議員に意見表明の機会を提供し、当該番組内でもお詫びをしたが、同議員は救済措置を求めて申し立てた。

2004年6月4日 委員会決定

申立人
藤井孝男
被申立人
テレビ朝日
苦情の対象となった番組
テレビ朝日 「ビートたけしのTVタックル」
放送日時
2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで

申立てに至る経緯

株式会社テレビ朝日(以下「テレビ朝日」又は「被申立人」という)は、2003年9月15日(月)午後9時から9時54分まで、「ビートたけしのTVタックル」第627回「あれから1年…日本の決断」を放送した。
テレビ朝日は、同番組中の「自民党総裁選と北朝鮮問題」において、自民党総裁選挙に立候補した4人の候補者がこれまで北朝鮮問題へどのように対応してきたかについての発言を紹介する放送をしたが、自由民主党所属の衆議院議員であって同党総裁選挙に立候補している申立人(以下「藤井議員」又は、「申立人」という)については、同年9月9日の候補者所信発表演説会の北朝鮮に関する発言の紹介に引き続き、1997年2月3日の衆議院予算委員会において西村真悟議員(当時新進党)が「横田めぐみという一人の13歳の少女が拉致されたというむごい事件に関して」との質問を開始した直後に藤井議員が「発言に気を付けろ」、「しっかり責任をもって発言しろよ」との不規則発言をしたと視聴者に認識される放送(以下「本件番組部分」という)をした。
藤井議員は、上記不規則発言は、全く関係のない映像を切り貼り編集した「やらせ」映像であり、藤井議員が北朝鮮に対する拉致問題では極めて消極的な態度をとっているとの印象を一般視聴者に与えるものであり、藤井議員の名誉を著しく毀損するとともに、総裁選挙(2003年9月8日告示、同月20日開票)の悪質な選挙妨害であるとして、テレビ朝日に対し厳重抗議した。
テレビ朝日は、同年9月19日放送の「ニュースステーション」において他の総裁候補者と共に出演した藤井議員に特別に意見表明の機会を提供し、藤井議員は、「全くの事実無根であり、捏造といっていい」との発言をした。さらに、テレビ朝日は、同年10月6日の「ビートたけしのTVタックル」で「二つの場面が拉致問題に関する一連の議論であるとの認識で、直接繋げる編集を行ったため、藤井議員が横田めぐみさん拉致問題に対して不規則発言を行ったかのような誤った印象を視聴者に与える結果となったことについて心よりお詫び申し上げる」旨のお詫び放送をした。
その後テレビ朝日と藤井議員あるいは自民党との間で数回にわたり本件に関する話し合いないし電話連絡がもたれたが、同年12月11日藤井議員からテレビ朝日を相手方として当委員会に対し、本件申立てがなされた。

目次

  • Ⅰ. 申立てに至る経緯
  • Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
  • Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
  • IV. 委員会の判断

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2004年8月11日 【委員会決定を受けてのテレビ朝日の対応】

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