中学校教諭・懲戒処分修正裁決報道
委員会決定 第22号 – 2004年5月14日 放送局:北海道文化放送
勧告:人権侵害(少数意見付記)
北海道文化放送は2003年10月の『スーパーニュース』で教育界におけるセクハラ急増問題を取り上げた。この中で、問題教師として取り上げられた中学教諭が「人事委員会が刑罰法規に触れる行為でない等の理由で教育委員会の懲戒処分を軽減したにもかかわらず、放送はこの修正採決を曲解してセクハラ教師と印象付け、名誉を傷つけ教壇復帰を妨げようとした」と訴えた事案。
2004年5月14日 委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第22号
- 申立人
- 北海道在住中学校教諭
- 被申立人
- 北海道文化放送放送
- 苦情の対象となった番組
- 北海道文化放送(UHB)<スーパーニュース>内「今日の特集」
- 放送日時
- 2003年10月14日午後5時50分
申立てに至る経緯
特集の内容
「生徒にキスを迫った教師の信じられない行為に親も激怒・・・処分は妥当?
スクールセクハラの驚くべき実態」(新聞テレビ欄タイトル)
申立人は、「5回にわたって自校の女子生徒の頬にキスをしたほか、同生徒と二人だけでドライブや食事に行き、また自宅の鍵を渡して生徒を自宅に招くなど、教育公務員としての節度を著しく逸脱した」として、北海道教育委員会から2002年4月12日付で懲戒免職処分に付された。
この処分に対して、申立人は、北海道人事委員会に対して懲戒権の濫用があるとして、処分の取消ないし修正を求める不服申立てを行った。
この申立てに対し、北海道人事委員会は、2003年7月10日、申立ての一部を認め、「申立人の行為は、教育公務員としてふさわしくない非違行為に該当するが、いわゆるセクシュアル・ハラスメントと評価されるものでなく、刑罰法規に触れるものではない」として、「処分は重きに失し、処分者の裁量権を逸脱した違法がある」(要旨)との理由で、停職6か月の処分に修正する裁決を下した。
これに対して北海道教育委員会は、同年9月18日、再審を請求したが、同年12月17日、再審事由に当たらないとして却下した。
以上の事実経過の中で、北海道教育委員会の再審請求後、その却下決定がなされるまでの間である10月14日に行われたのが本件放送であり、申立人は、本件放送内容が申立人の名誉を毀損し、申立人の職場復帰を妨げるものであるとして、10月17日以降12月22日まで、申立人代理人を通じ苦情を申し入れ、再三にわたり交渉の機会を持ったが、了解に達せず、2004年1月7日、当委員会に対して本申立てを行うに至ったものである。
目次
- Ⅰ. 申立てに至る経緯
- Ⅱ. 申立人の申立ての要旨
- Ⅲ. 被申立人の答弁要旨
- IV. 委員会の判断