「宮崎放火殺人事件報道に対する申立て」
に関する委員会決定
2022年1月18日 放送局:NHK
見解:問題なし(少数意見付記)
NHK宮崎放送局は2020年11月20日の『イブニング宮崎』で、男性2人が死亡した宮崎市内の住宅火災の続報として、放火殺人の可能性があり、2人の間に「何らかの金銭的なトラブル」があったかのように伝えた。これに対し、被害者の弟が、兄にも原因の一端があったとの印象を抱かせるものであり、兄の尊厳を傷つけたとしてNHKに対し謝罪を求める申立てを行った。NHKは取材を基に客観的な事実を伝えていると反論していた。
委員会は、審理の結果、人権侵害はなく、放送倫理上の問題もないと判断した。
【決定の概要】
委員会は、以下のとおり、本件放送には人権侵害も、放送倫理上の問題もない、と判断する。 |
2022年1月18日 第77号委員会決定
放送と人権等権利に関する委員会決定 第77号
- 申立人
- 宮崎県在住の男性(事件被害者の弟)
- 被申立人
- 日本放送協会(NHK)
- 苦情の対象となった番組
- 『イブニング宮崎』(宮崎放送局ローカルニュース)
- 放送日
- 2020年11月20日
- 放送時間
- 午後6時10分~7時のうち番組冒頭約2分間
【本決定の構成】
I.事案の内容と経緯
- 1. 放送の概要と申立ての経緯
- 2. 本件放送の内容
- 3. 論点
II.委員会の判断
- 1.申立人の人格的利益(敬愛追慕の情)の侵害
- 2.放送倫理上の問題
III.結論
IV.放送概要
V.申立人の主張と被申立人の答弁
VI.申立ての経緯および審理経過
2022年1月18日 決定の通知と公表の記者会見
通知は、2022年1月18日午後1時からBPO会議室で行われ、午後2時から千代田放送会館2階ホールで公表の記者会見が行われた。詳細はこちら。
- 「補足意見」、「意見」、「少数意見」について
- 補足意見:
- 多数意見と結論が同じで、多数意見の理由付けを補足する観点から書かれたもの
- 意見 :
- 多数意見と結論を同じくするものの、理由付けが異なるもの
- 少数意見:
- 多数意見とは結論が異なるもの
放送人権委員会の「委員会決定」における「補足意見」、「意見」、「少数意見」は、いずれも委員個人の名前で書かれるものであって、委員会としての判断を示すものではない。その違いは下のとおりとなっている。