放送人権委員会

放送人権委員会

2012年 9月

広島地区各局との意見交換会

放送人権委員会の初めての県単位での意見交換会が、9月14日広島市で開催された。これはこれまでの地方ブロック単位での意見交換会に加えて、少し規模を小さくして委員会の活動をより現場に届きやすくする目的で、今年度から始まったもので、広島市内のホテルの会場には、広島市に本社を置くBPO加盟放送局6社から52人が出席した。出来るだけ現場のスタッフが出やすいよう、開始時間を午後7時半に設定したこともあって、出席者は県警担当や市政担当記者、カメラマン、ディレクターが中心となった。一方委員会側からは、坂井委員長代行、山田委員、林委員、及び事務局が出席した。
意見交換会ではまず各局から要望のあった今年5月に福山市で起きたホテル火災で、警察側が実名の公表を拒み続けている問題が取り上げられ、県警担当の記者から報道各社と県警側との交渉について報告があった。
この後委員会側から、警察の一貫した態度の背景には6年前に制定された犯罪被害者等基本法、およびこれに基づいて策定された犯罪被害者等基本計画があり、この中では実名にするか匿名にするかは原則的に警察当局が判断するという項目があって、当時、放送人権委員会や民放連、日弁連から強い危惧が表明されたことが紹介された。

報道側のスタンスは、実名にするか匿名にするかはあくまで報道側が決めるもので、警察にこれを委ねることは公権力の監視というマスコミの責務の一つを損なうことになるというものだが、委員からは、ではなぜ実名の公表が必要なのか、実名をもとにして何を伝えようとするのかの考えを明確に持っていない限り、警察の壁と向き合えないのではないかという点も指摘された。また、警察が発表しなくても報道側で実名を割り出すという意欲と能力がなければ、実名公表の要求も迫力を欠くのではないかという意見も出された。

次に、報道が犯罪報道などで時に「行き過ぎた懲罰」を加えてしまう結果になる問題をテーマに話し合った。ここでは事務局調査役からこれまで放送人権委員会が取り上げた事例の中からいくつかを紹介し、どこにどういう問題があったかを議論した。
このほか意見交換会では顔なし映像やモザイク使用の問題点、犯罪や災害の被害者と家族、関係者への取材における問題点等についても話し合われた。

次回の県単位の意見交換会は、来年初めにも鹿児島市で開催する予定。