放送人権委員会

放送人権委員会

2005年 3月

中国・四国地区各社との意見交換会(開催地:広島)

放送人権委員会委員と中国・四国地区の放送局のBPO連絡責任者等との意見交換会が3月7日、広島市で開催された。地方での開催は、大阪、名古屋、福岡、札幌に続いて5回目で、東京を含めると9回目となる。
意見交換会には、両地区のラジオ・テレビ22放送局(民放20局、NHKは広島と東京)から、BPO登録代表者や連絡責任者ら32人が参加。飽戸弘委員長、竹田稔・堀野紀両委員長代行のほか、右崎正博、五代利矢子、中沢けい、渡邊眞次の各委員、それに事務局が出席して、報道・制作現場が抱える人権や放送倫理上の課題について意見交換した。
冒頭のスピーチで飽戸委員長は、最近のテレビメディアを巡る社会環境の変化を具体的に指摘した上で、「今こそ、放送局側が”自主・自律”を成功させなければならない。放送人権委員会は、そのための”報道の自由を守る機関”である」と強調した。
この後、放送人権委員会事務局から最近の苦情の傾向として、「顔出しやモザイクを巡る人権侵害の訴え」や「取材不足や構成・演出・編集によって事実を歪曲されたとの抗議」、「児童施設等の取材・撮影に関する保護者からの抗議」が増えていることなどを報告し、これを受けて参加者との意見交換に入った。
意見交換ではまず、広島県のテレビ局から、「女子高生殺人事件で集団的過熱取材を避けるため、地元の編集責任者会議で協議したが、代表取材で真実追求ができるのか」などの悩みや苛立ちが報告された。また、愛媛県のテレビ局から、「キー局に素材送りした映像が不適切な編集によりネット放送され、地元市民から慰謝料を要求されたトラブルでの苦情対応の難しさ」が紹介されるなど、具体的事例に沿って委員との間で活発な質疑応答が行われた。
さらに委員側から、「真実でない放送によって権利を侵害された場合の放送法に基づく訂正放送請求権は私法上の権利とは認められない、とする最高裁判決があった。これにより今後、放送局は、放送法上の訂正放送をするか否か、自律的・自主的に対応することが求められることになり、その責任はますます重くなった」との指摘があった。
最後に、飽戸委員長ら各委員が、「現場の人たちから、具体例を挙げて取材・報道上の悩みや苦情対応の難しさに関する話が聞けて、大いに参考になった。
また、参加各局には放送人権委員会の機能・役割をより理解してもらえたと思う」と感想を述べた。