東北地区各社との意見交換会(開催地:仙台)
放送人権委員会委員と東北地区会員各社のBPO連絡責任者等との意見交換会が11月29日、仙台で開催された。今回の意見交換会は、大阪、名古屋、福岡、札幌、中・四国地区に次いで地方での開催としては6回目、東京での開催を含めると10回目となる。
意見交換会には、東北地区のテレビ・ラジオ局18局(NHKは仙台局と東京から出席)から、BPOの連絡責任者、あるいは制作現場の責任者等32名が参加した。一方放送人権委員会側からは、飽戸弘委員長、竹田稔・堀野紀両委員長代行、五代利矢子・右崎正博・中沢けい・渡邊真次各委員と事務局が出席し、昨今の制作現場が抱える放送倫理上の問題点や課題等について意見を交わした。
冒頭、飽戸委員長から、これまで9年間に亘って放送人権委員会が果たしてきた役割と、放送人権委員会が抱える課題について基調報告があった。この中で飽戸委員長は、特に放送局への期待として、「放送人権委員会は報道の自由を守る機関であって、その放送人権委員会の決定をきっかけに反省と改革の出発点としてもらいたい」と強調した。
続いて、「放送人権委員会判断基準2005」の発刊について、監修をつとめた右崎委員が内容と利用方法について説明し、「放送局の皆さんにはこの『判断基準2005』を人権問題に関する重要指針として受けとめて頂きたい」と述べた。また放送人権委員会事務局からは、最近の苦情傾向として、「幼児、児童、学園内の取材と撮影に関する保護者からの抗議」や「性的少数者や難病患者の扱いに対する苦情」、「警察発表に基づく報道への抗議及び訂正要求」等が増えてきているとの報告があった。
この後、意見交換に移り、放送局側から、「福知山線の脱線事故でみられたように、個人情報に関連して取材側と取材される側とが実名公表をめぐってもろにぶつかった場面が見られたが、このような場合、報道現場ではどのように対応していったらいいか」という質問があった。
放送人権委員会委員側からは、「基本的には実名報道が望ましいが、事故報道の場合、被害者あるいは家族の心の痛みに配慮した報道も必要ではないか」、「事件事故によって被害を受けている人が報道によって更に被害を受けることは避ける必要があるが、現在は警察まで実名を発表しなくなってきているように行き過ぎた状態になっている。このような中、報道する側はどこにポイントを置いて報道するのか考える必要がある」等と答えた。
最後に、委員から放送局側に対して「テレビが大きい力を持っていることを自覚するとともに、放送される側への思いやりを持って欲しい。放送のプロとして自覚と誇りを持ってがんばってもらいたい」との激励の言葉があり、仙台での意見交換会を終えた。