中部地区各社との意見交換会(開催地:名古屋)
11月11日、放送人権委員会委員と中部地区会員各社の報道・制作責任者等との意見交換会が名古屋で開催された。
今回の意見交換会は地方開催としては8回目、東京開催を含めると12回目となる。意見交換会には、中部地区のラジオ、テレビ44社のうち26社が参加し、BPOの連絡責任者のほか報道、制作現場の責任者等これまでの意見交換会では最も多い52名が出席した。放送人権委員会からは、竹田委員長、堀野委員長代行、五代委員長代行、右崎委員、武田委員、中沢委員、三宅委員、山田委員の8名が出席し、また事務局から役員2人を含む9名が参加した。
今回は特に最近の報道、制作現場が抱える放送倫理上の問題点や課題について、具体的なテーマに沿って意見交換を行った。
冒頭、竹田委員長が「放送倫理について」と題する基調講演を行い、続いて上野統括調査役が、最近の放送人権委員会の活動報告を行った。
この後、今回のテーマのひとつである「隠し撮り」の問題に入り、局の参加者からは、「隠しカメラは原則として使用してはならないとあるが、重大事件における強制捜査の前の、被疑者の映像取材を行うことはよくあるし、また最近の『振り込め詐欺事件』など対象に接近していかないと、実態を描けないものまで原則として使用すべきでないと言うことなのか」との質問があった。これに対し、堀野委員長代行は、「一般にえげつないとされている取材方法について、その取材によっていかなる真実が明らかにされ、その真実が社会的にどの程度重要な問題であるか、公共性、公益性においてどれだけ明らかにする必要があるかなどとの相関関係で考慮していくべき」との考えを示した。
次に「匿名映像」のテーマに移り、インタビューで、首から下の映像や、顔にボカシをかけた映像が増えていることについて意見を交わした。委員からは、「人権への配慮でそうしなくてはならないケースがあることは分かるが、極力顔を出して話してもらわないと、証言の信頼性を損なう」などと改善を求める意見が出された。これに対し局側からは「匿名映像は、事故関係ではあまりないが、学校関係の不祥事などではよくある」、「顔出し映像によるその後のトラブルを避けたいという意識が進んでいるのでは」、「できるだけ顔出しでの放送をと心がけているが、取材現場では顔出しでは応じてもらえないことがあり、放送までの時間的制約もあって匿名映像となることもある」などの報告が出された。また撮影後に、「顔を出して放送しても良いですか?」と局の人間が確認するケースもあるという声もあった。