在京地区各社との意見交換会(開催地:東京)
放送人権委員会委員と在京テレビ・ラジオ局のBPO連絡責任者との意見交換会が11月16日、東京で開催された。昨年4月に委員長と5人の委員が交代して以来、初めてとなる会合には、飽戸弘委員長はじめ8人の委員全員と、在京各局から10人の連絡責任者(代理を含む)が出席した。
冒頭、飽戸委員長が、「放送人権委員会は判決を下す裁判所ではない。皆さん放送事業者が自ら設置した、自主自律のための機関であって、(表現の自由に対する)権力の介入を防ごうとする機関だ」と、改めて放送人権委員会の基本的な機能を強調。あわせて、「放送人権委員会から『委員会決定』という形で問題が提起された際は、当該局だけでなく、全局の皆さんがそれに関心を持ち、問題について議論してほしい」と要望した。
意見交換では局側から、「今、裁判所では個人の名誉やプライバシーを重視している。苦情申立人は、表現の自由を尊重する放送人権委員会よりも、裁判所を頼りにしようという傾向になりはしないか」と、第三者機関としての立場の難しさを問いかける意見が出された。
これに対し委員からは、「放送人権委員会は司法でも行政でもない。委員会は、放送局の倫理性を問う方向に行くべきだと考えている」、「我々の役割は基本的には人権侵害と放送倫理上の問題からの救済だが、判断が難しいのは”放送倫理とは”ということ。法的責任でないため、そこに幅があるのはやむを得ない」、「厳しい勧告も出したが、局に求められるのは自律性だ」といった考えが述べられた。
また、「申立人の資格が『当分の間、個人』となっているが、”当分”はいつ頃までであり、団体の扱いはどうなるのか」との質問があった。これに対し、委員や事務局からは、「団体すべてが対象外ではなく、個人に近い団体は扱っている」、「放送人権委員会発足後8年になるので、『当分の間』や『個人・団体』について今後、議論が必要になってくる」との説明が行われた。
最後に委員から、「案件や事案を見てきて思うが、取材・編集過程でもう少し注意すれば、人を傷つけるような大きな問題にはならなかったはず」、「表現者は、何故そういう表現をするのかを常に考えるべきで、機械的な自主規制だけでは困る」、「放送局側から、番組を企画した際の志の高さを聞くとホッとする」といった感想が述べられ、意見交換会を締めくくった。