放送人権委員会

放送人権委員会

2010年 9月 

在京地区各社との意見交換会

放送人権委員会は、9月21日の委員会終了後、在京局のBPO連絡責任者との意見交換会を千代田放送会館会議室で開催した。相互理解を深め委員会活動に資する目的で、在京のテレビ、ラジオキー局とNHKから11人、委員会側から9人の委員全員と事務局メンバーが出席した。

堀野委員長は席上、放送倫理と委員会の決定について次のように述べた。
「放送人は、人の心の痛みに対する配慮が基本になければいけないと感じている。放送人に驕りがあってはいけない。放送倫理とは、つき詰めれば、うその放送で人を傷つけてはいけない、表現の仕方で傷つけてはいけないということだ。放送倫理がすべてどこかに書いてあるわけではない。例えば放送倫理基本綱領があるが、あらゆる場面に適用されるような放送倫理はない。聴く人、見る人、取材を受けた人、放送に参加した人たちの心の痛みを思いやる気持ちがあるかどうか、これが放送倫理だと思う。 委員会の決定を受けた局は現場を含めてもっとディスカッションしてほしい。決定のこの点が不満だ、もう少し突っ込んで議論したいといっていただければ、私どもも議論に応じたい」。

この後、事務局から、今後の委員会活動として、毎年開いている各地区別の意見交換会を、今年は北海道の局を対象に12月初めに札幌で開催すること、これまで出された36事案・45件の「委員会決定」を網羅した新しい『判断基準2010』の編集を進めており、11月に発行するので活用してほしいこと等を説明した。
また、本人の知らぬ間に本人の映った映像が放送で流れ、それにより権利侵害を受けた可能性があるので局に放送の視聴を求めたところ断られたとの相談が事務局に寄せられることを紹介し、こういう場合はできるだけ視聴させることが望ましいという委員会の見解が出ている(2001年2月20日)ので、系列局にも伝えてほしい旨要請した。

意見交換では、「委員会決定」を公表する記者会見の場で、当該番組の映像を公開できないかどうかについて意見を出し合った。
局出席者からは「事案を理解してもらうために見てもらった方がいい。各局の合意が必要だが、個人的にはそう思う」、「出さないのが大原則だが、客観的に判断するには見ないと分からないものもある」、「放送目的外の使用には絶対反対だ」、「人権を侵害されたという申立人は、世の中に二度と出してくれるなという気持ちだ」などの意見があった。

委員からは「テレビは見た感覚が大事だ。『委員会決定』の先例を文書で扱うだけでなく、例えば映像ライブラリーにストックして関係者が検証できるようにするなど検討すべきだ」、「年一回程度の研究会でみんなで勉強しようというときに、提供してもらえる映像素材があればいい」等の意見があった。

このほか、委員会審理の進め方や決定文の書き方、各局での決定の周知法などをめぐって意見を交わした。
在京局のBPO連絡責任者との意見交換会は2004年以来で、今回が5回目となったが、約2時間にわたって自由かつ活発な意見交換が行われた。