第205回-2018年7月24日
視聴者からの意見について…など
2018年7月24日、第205回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず6月16日から7月15日までに寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
報道番組で、大阪北部地震のニュースを伝える際、亡くなった小学生の同級生のインタビューを放送したことについて、「子どもに対する配慮に欠ける」「気持ちの整理がついていない子どもに追い討ちをかける取材は言語道断である」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「災害報道での子どもへの取材としては問題なかったと思う。しかし、視聴者の中には、このような意見を持つ人がいることを取材者も意識してほしい」などの意見が出されました。
7月の中高生モニターのリポートのテーマは「最近見たバラエティーについて」で、27人から報告がありました。モニターからは、アイドルグループがゲームで対決するバラエティー番組について「家族で集まって見ていて楽しいのは良い。チームを決めて応援し、スポーツ観戦をしているような感じだ」、演芸のバラエティー番組について「亡くなった歌丸師匠の特集であったが、大喜利をして、悲しむだけでなく、笑えたことがうれしかった。若者にもわかる言葉で古典落語をすると若い層にもっと見てもらえると思う」などの意見が寄せられました。また、「自由記述」では、「好きだったドラマが、視聴率が悪くて途中で打ち切りになってしまった。ネットなどでは盛り上がっていたので、残念だった。視聴率だけではなく、ほかの指標も参考にしてほしい」などの意見も寄せられ、それらの意見について議論しました。
8月は休会とし、次回は9月25日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2018年7月24日(火) 午後4時30分~午後7時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について - 出席者
- 榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員
視聴者からの意見について
報道番組で大阪北部地震のニュースを伝える際に、地震で亡くなった小学生の友達のインタビューを放送したことについて、「気持ちの整理がついていない子どもに追い打ちをかけるような取材は言語道断だ」「教師が子どもたちの心のケアに取り組んでいるときに無配慮なインタビューをすることに倫理観を疑う」「同級生を亡くしたばかりの被害児童の心情をおもんぱかってインタビューするべきだ」との意見が寄せられました。これに対し委員からは「災害報道での子どもへの取材方法としては問題はないだろう。しかし、視聴者の中にはこのような感想を持つ人もいるということを取材者は意識してほしい」「見た人がどのような気持ちになるのか、報道する側は意識する必要があるのかもしれない」との意見が出されました。
夜のアニメ番組において残忍な殺人鬼に少女が追われるシーンについて、「残酷な殺人をするアニメで子どもに見せたくない」「中高生がこのアニメを視聴して影響を受ける」との意見が寄せられました。これに対し委員からは「これは放送時間帯的に大人を対象としたアニメ番組だと思う」「コミックをアニメーション化し放送する際には、様々課題もあるだろう」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要ない、となりました。
中高生モニター報告について
34人の中高生モニターにお願いした7月のテーマは、「最近見たバラエティーについて」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で27人から報告がありました。
「バラエティーについて」では、ひとりで2番組について報告してくれたモニターもおり、全部で25番組についてのリポートが寄せられました。複数のモニターが取り上げた番組は2つあり、『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ)に3人から、『VS嵐』(フジテレビ)に2人から報告がありました。
「自由記述」では、オウム真理教についての一連の報道に対し3人が、西日本豪雨についての災害報道に関して2人が関心を持ち、意見を寄せています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)を5人が取り上げています。
◆委員の感想◆
- 【最近見たバラエティーついて】
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今月は、全体的にしっかりと具体的なところまで踏み込んで書かれているリポートが多かったと感じられ、やはり子どもたちはバラエティーが好きで、よく見ているのだということが伝わってきた。
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ある番組で「たくさんの出演者が一度に発言するので、よく聞きとることができない。そこにさらにMCの大御所芸人が入ってきて騒ぐので余計にわからなかった」という意見があったが、みんなでワイワイと楽しくやりたいという放送局の思惑が、中学生にとっては裏目にでることがあることを制作者は知っておくといいのではないか、と思った。
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『LIFE!人生に捧げるコント』(NHK総合)について、「誰かを傷つけず共感でき笑えるコントになっている」ところを評価するリポートがあったが、これはつまりよくあるバラエティー番組では、笑いを取るために乱暴したり、誰かを傷つけたり、笑いものにすることで笑いを取りに行く風潮があるなかで、そういうことが一切ないところが良さとして挙げられていることは、良いことなのではないかと思う。
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『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)で「クイズの答えがわかるまでコマーシャルが入らないので、テンポよく見られることがこの番組の魅力だ」と分析した報告があった。これはNHKの強みだとは思うが、逆に言うと、民放では常に"CMまたぎ"で引っ張るという演出に対する批判も込めてあるのかな、という感じがする。
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『VS嵐』(フジテレビ)を「7年前から、いつも家族揃って見ている。この番組のおかげで家族が一緒に盛り上がることができる」という感想があったが、もしかすると近年はバラエティーの制作において、"みんなで見る"という視点がかなりなくなってきてしまい、割と刺激性の高いものが増えていることの裏返しなのではないか、と思った。やはり、"みんなで見る"ことができる番組があれば、「家族一緒に見よう」というような流れもまた生まれるのではないだろうかという気がする。
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今回のリポートを読んでいると番組のセレクトも多岐に渡っており、「バラエティー」の定義とはなかなか難しいなと、感じた。だた、今の子どもたちはバラエティー番組を入口に、多くのことを学んでいくのではないかとも思う。多くの子どもたちにとって、世の中のいろいろな出来事を知る入口なのかもしれない。もしかすると将来の大人の視聴者をテレビにつなぎとめておくときに、バラエティーというコンテンツは結構大きな役割を果たしているのかな、という印象を持った。
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【自由記述】について
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「サッカーW杯の中継で、試合後のインタビューが的を射ていない上に、疲労のたまっている選手に難しい質問を投げかけるのはどうかと思う」という意見があったが、本当に同感だ。インタビュアーの聞く力は、やはり大変重要なので、その力は磨いていただきたいと感じる。
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「出演者たちが視聴者には聞こえないように、芸能人だけがわかる話をしていることがあるが、何を言っているのかわからなくて気分がよくない」という感想は、ぜひ制作者に伝えたい。私も番組を視聴していて感じることがあるが、内輪では楽しいかもしれないが見ているほうは全く楽しくもなく、これを公共の電波に乗せる意味がどこにあるのだろうと、常々思っていた。
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「大雨による災害時の報道のために、ヘリコプターや取材者の多さが、救助の妨げになっているのではないかと心配になる」という指摘があった。これは、結構大切な指摘だと思う。
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◆モニターからの報告◆
- 【最近見たバラエティーについて】
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『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)MCの岡村隆史さんが、5歳のチコちゃんに叱られているときのリアクションが面白くてくせになります。答えが出るまでCMが入らないので、テンポよく見られるのがこの番組の魅力だと思います。(新潟・中学1年・女子)
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『VS嵐』(フジテレビ)一番思ったことは、家族で集まって見ていて楽しい番組は良いということです。私の家族はどちらチームを応援するか決めて、スポーツ観戦をしているように見ています。7年前からこの番組を見ていますが、7年たった今も、家族と一緒にテレビを見る時間を作ってくれるというのは、このように一緒に盛り上がることのできる番組のおかげだと思います。(東京・中学2年・女子)
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『イッテンモノ』(名古屋テレビ/テレビ朝日)知識人と芸人がトークバトルをする回でした。「興味深い」と「笑える」の2つの意味で面白かったです。同じテーマでトークをしても、分野や人によって全く違う面白さだったので、「おもしろい」はひとつじゃないと思いました。(岐阜・中学2年・女子)
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『ホンマでっか!?TV』(仙台放送/フジテレビ)お悩み相談をしたゲストに対し、たくさんの専門家たちがしゃべるのですが、ひとりひとりの声が混ざって聞こえにくかったです。そこにMCのさんまさんの声も混ざって、よりうるさいです。(宮城・中学2年・女子)
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『笑点』(福岡放送/日本テレビ)7月2日に亡くなった歌丸師匠に向けた「歌丸師匠 ありがとうSP」だった。前半は歌丸師匠の昔の様子をプレイバックしたり、笑点メンバーとの裏話が聞けたりと僕たち若者も楽しかった。後半はいつもの大喜利をして、悲しむだけでなく笑えたことが長年この番組を見ている私にとっては、とてもうれしかった。(福岡・中学2年・男子)
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『JUNKバナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)何も決まっていない自由な形で進行していくにも関わらず、まるで準備をしていたような完成度の高い笑いがあった。さらにバナナマンの2人には、リスナーからのメールから"無限の笑い"を生み出していく面白さがある。近年、企画でガチガチに固めたバラエティーが多い中、このように0から作り出していくお笑いはとても貴重であると感じました。(東京・中学3年・男子)
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『直撃!シンソウ坂上』(テレビ宮崎/フジテレビ)私たちの年代は、オウム真理教が行ったことや、その根源となるものをあまり知りません。だからこのように再現VTRで詳しく説明してくれる番組は必要だと思います。「オウム真理教」や「戦争」など、若者が実際にあまり知らなくて、絶対に起こしてはならないことについての番組で、若者向けのものがあると良いと思います。(宮崎・高校1年・女子)
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『ぴったんこカン・カン』(琉球放送・TBSテレビ)スペシャルで2時間番組が続き、内容は面白かったのだが少し長く感じた。後半の名家部のコーナーは、正直あまり歴史に興味はないのであまり面白くなかった。しかし、『西郷どん』(NHK総合)を見ていることもあり見応えはあった。バラエティーというより歴史番組を見ているようで、見たいものと微妙にズレている感じはした。(沖縄・高校1年・男子)
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『月曜から夜ふかし』(札幌テレビ・日本テレビ)ほかの番組では、番宣のために同じような芸能人が出演したりしますが、この番組はそういうことがほぼないので、毎週見ていて全く飽きません。全国を回って方言の特集をしたり、高齢の方にインタビューをしたりと身近なことに焦点を当てて、面白く伝えるのはとても良いと思いました。(北海道・高校2年・女子)
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『LIFE!人生に捧げるコント』(NHK総合)家族全員が大好きなバラエティーである。「人生」をテーマに、生きていくうえでのおかしさを笑いに取り込み、誰かを傷つけることなく、かつ共感でき、クスリと笑えるコントのスタイルは、全シリーズ一貫している。(東京・高校2年・女子)
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『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)日曜日の夜に家族で笑ってみることができ、明日からまた頑張ると、元気を与えてくれる番組のひとつです。ハードな撮影をこなし良い素材を生み出す芸人さん、それをより良く面白く編集するディレクターさんの関係が素敵だなと思いました。このような信頼関係で番組は作られていると知り、ますますこの番組を、テレビを好きになりました。(東京・高校3年・女子)
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【自由記述】
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大雨による災害時のヘリコプターや取材者の多さで、救助の邪魔にならないかと心配になりました。もちろんテレビで状況を伝えることは大事だと思いますが、ほどほどにしておいたほうがいいと思いました。(新潟・中学1年・女子)
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最近、バラエティーで体を張りすぎている企画が多いと思うので、もう少し考えたほうがいいと思う。(新潟・中学2年・男子)
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6月のモニター報告に『SCHOOL OF LOCK!』(エフエム東京)について書かれており、私もその意見に共感しました。中高生向けのラジオって、これ以外にないし、勉強しながらでも聴くことができるラジオっていいなと思っています。(東京・中学3年・女子)
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サッカーのロシアW杯で、試合後のインタビューが的を射ていないうえ、疲労のたまっている選手に酷な難しい質問を投げかけるのはどうかと思う。(東京・中学3年・男子)
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最近「オウム真理教」関連のニュースをよく見る。そしてそれに関する過去の事件について解説している番組もよく見る。私は当時生まれていなかったので、詳しいことはわからないが、この報道の多さはこの事件がどれほど世間の人々にとって衝撃的だったかということがわかる。オウム真理教が起こした一連の事件が、こうして今でも私たちに伝えられているということは、この事件がそれほど最悪だったということでもあると思う。(沖縄・高校1年・男子)
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私の大好きなドラマがあったのですが、その番組は視聴率悪くて途中で打ち切りになってしまいました。ネットなどでは、盛り上がっていたと思うのですが、打ち切りはとても残念でした。視聴率だけではなく、他の指標も参考にしてほしいと思います。また、別の番組で、芸能人が視聴者には聞こえないように芸能人だけが分かる話をしていて、何を言っているか分からなかったし、あまり気分がよくありませんでした。(福井・高校1年・女子
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最近は、TVerなどテレビで番組を見られない時や家族と見たい番組が違う時などに便利なスマホで見る番組が増えている気がします。それが現代の形でもあるけれど、ひとつのテレビを家族で囲んで見るということにテレビの楽しさがあることを忘れないでいきたいと感じました。(山梨・高校2年・女子)
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今はテレビよりもネットが流行を作る時代だと思う。ドラマなどもSNSによって広まり流行していると思う。でもそれは流行の指標がネットでの反響だからなのだ。テレビがネットを追いかけるような流れになっていることが少し悲しい。このような状況だからこそ、テレビの役割が問われると思う。(東京・高校3年・女子)
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【青少年へのおすすめ番組】について
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『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)幼稚園の時に毎週やっていた番組で大好きだったので、レギュラー番組ではなくなった今でも見ることができとてもうれしいです。(東京・中学3年・女子)
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『関口宏の東京フレンドパーク2018 7月ドラマ大集合SP!!』(TBSテレビ)以前、レギュラー番組でやっていたものをスペシャルで見られるのはとてもよかったです。(山梨・高校2年・女子)
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◇中高生モニター会議について◇
- 7月28日に開催する中高生モニター会議について、会の流れや議論するテーマを確認しました。
今後の予定について
- 10月2日、熊本市にて開催する意見交換会のテーマ案について確認しました。また、11月19日、盛岡市にて岩手地区の放送局との意見交換会を開催することを確認しました。
以上