第206回-2018年9月25日
視聴者からの意見について…など
2018年9月25日、第206回青少年委員会をBPO第1会議室で開催し、7人の委員全員が出席しました。
委員会では、まず7月16日から9月15日までの2か月間に寄せられた視聴者意見について意見を交わしました。
情報バラエティー番組で、女子体操のパワハラ・暴力問題を伝える際、未成年の女子選手がコーチから平手打ちを受ける映像を放送したことについて、「この選手は未成年にもかかわらず顔にモザイク処理されていない。人権侵害だ」「繰り返し殴打のシーンが流れ、子どもに良くない」などの意見が寄せられました。これについて、委員からは、「この女子選手は未成年だが、会見を開き、有名な選手だ。この映像だけモザイクをかけても意味がないのではないか」「報道機関は不法な行為を報道する際、当事者の了解を取らないこともある。それを報道してはいけないとなると何も報道できなくなるのではないか」などの意見が出されました。
8月の中高生モニターのリポートのテーマは「戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」で、29人から報告がありました。モニターからは、女性アナウンサーが祖父が戦死したフィリピンを訪ねるドキュメンタリー番組について「戦争経験者のインタビューは生々しく印象に残ったので、1人でも多くの方に戦争の厳しさを語ってもらってほしい。亡くなった人数や場所をデータ化していたので映像を具体的に想像しやすかった」、戦争中アメリカ軍に接収された兵士からの手紙を家族に届けるドキュメンタリー番組について「兄からの手紙を受け取る場面では妹の『戦争はもう嫌だね』という言葉に感動し、涙が出た。シンプルな言葉だけれど、その言葉で番組が終わるのは、納得のいく終わり方だった」などの意見が寄せられました。また、9月のテーマは「夏休みに見たスペシャル番組について」で、28人から報告がありました。モニターからは、芸能人の学生時代の友人の今を調べるバラエティー番組について「学校で職場体験も近いので、こういう人はこういう仕事に就くなど、これからのことについて考えやすくなった。クラスメイトの中に将来すごいことをしている人がいるかもしれないと思うと、将来が楽しみになった」、全国の高校生がクイズで競うバラエティー番組について「知識だけでなく柔軟な発想が求められるものが多く、見ごたえがあった。なぜひきつけられるか考えてみたが、視聴者が高校生を応援することにより感情移入が生まれるからではないか。それが作れる制作陣の努力、発想がすごいと思った」などの意見が寄せられました。委員会では、それらの意見について議論しました。
次回は10月23日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2018年9月25日(火) 午後4時30分~午後7時00分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について - 出席者
- 榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、稲増龍夫委員、大平健委員、菅原ますみ委員、中橋雄委員、吉永みち子委員
視聴者からの意見について
情報バラエティー番組で、女子体操のパワハラ・暴力問題を取り上げた際、未成年の女子体操選手がコーチに平手打ちを受ける映像を放送したことについて、「コーチが女子選手を叩いている場面を何度も流している。不快になるし子どもの教育上も良くない」「未成年の女子選手が叩かれている映像がボカシもなく流されるのは、同じ年齢の子を持つ親としては見ていられなかった」「女子選手本人の同意もなく、このような衝撃的映像を顔が分かる状態で放送するのは人権侵害ではないか」といった意見が寄せられました。
これに対し委員からは「女子選手は未成年だが、会見を開き、オリンピック選手でもあり有名人だ。それまでも顔を出していることからこの映像だけモザイクをかけても意味がないのではないか」「報道機関が不法な行為を報道するときは当事者に了解を得ず報道することはこれまでもある。むしろそれを報道してはいけないとなると何も報道できなくなる」「繰り返し放送されると不快になるというのは、人の感じ方によって違うのでは」「何度も繰り返し放送されたのは、報道の必要性があったとはいえ、相当だったのかは疑問もある」「単純に年齢だけで線引きできないこともあるのではないか。未成年者とはいいながら経験を積み、自分の意見を言っている人には別の基準を使う必要もあるのではないかと思う」との意見が出されました。
スタジオに招いた多くの小・中学生の疑問に答える情報バラエティー番組について、「一般の小学生を装って発言していたのは事務所に所属する子役ではないか」「番組として台本があり、このように話せと指示があったのか」との意見が寄せられました。
これに対し委員からは「バラエティー番組では出演している子どもの中に劇団員がいたとしても問題ないのではないか」「本人の意見として言っているならば問題はないだろう」との意見が出されました。
これらの件に関しては、これ以上話し合う必要はない、となりました。
中高生モニター報告について
今月は、8月と9月のモニター報告について話し合われました。
34人の中高生モニターにお願いした8月のテーマは、「戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について」でした。また「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組について」の欄も設けました。全部で29人から報告がありました。「戦争関連番組」では、ドキュメンタリーに13人、ドラマに9人、ニュース内の企画と情報番組にそれぞれ3人、『全国戦没者追悼式』(中継)に1人から報告がありました。NHKが放送した戦争に関するドキュメンタリー『NHKスペシャル』と『ETV特集』を10人が、ドラマでは『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)を5人、『この世界の片隅に』(TBSテレビ)を4人が取り上げています。
なかでも『夕凪の街 桜の国2018』について書いた5人のうち3人のモニターが、登場人物が言った「自分の将来は自分で決めるってすごく贅沢なこと」というセリフが心に響いたと記しています。
「戦争経験者が高齢化する中、若者が関心を持つ必要があるが、終戦の日に放送される戦争関連の番組が思ったより少なくてびっくりした」や「毎年夏になると放送される戦争の番組が今年は少ないように感じました。戦後70年を過ぎ、被爆者も高齢になっている今こそ、この先どうしていくべきか考える必要があるにもかかわらず番組が少なくなっていることへ疑問を抱きました」など風化を憂う声や、「リポートを書くにあたりどんな終戦関連番組があるのか番組表で調べた。見逃しただけかもしれないが、民放ゴールデンの枠で戦争関連番組はほとんどなかった。(戦争の苦しみを)風化させない、繰り返さないという共通認識がある中で、戦争についてニュース番組で取り上げる程度、でいいはずがない。テレビ・ラジオという媒体はインターネットとは違い、ほしい情報以外も入ってくるという利点がある。そこで伝えなければどこで戦争の過ちを伝えられるのだろう。視聴率が重視される民放でも、伝えていく役割をやめないでほしい、そう思った」など放送メディアの力を信じ激励するメッセージが寄せられています。「青少年へのおすすめ番組」では、『VS嵐』(フジテレビ)を4人、『100分de名著 for ティーンズ』(NHK Eテレ)を3人が取り上げています。
◆委員の感想◆
- 【戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】
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『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)について、番組を見ることで中高生も被害者と同じような疑似体験ができるんだなというふうに思った。「戦争のことは余り知らない中高生などが多いと思うので、中高生が多く見るバラエティー番組などで戦争について触れるとより多くの人が戦争について知ることができると思います」と書かれているが、真面目なことは真面目、バラエティーはバラエティーと分けるのではなく、みんなが見ている番組の中に「戦争」を取り上げる枠があってもいいんじゃないかという意見は新鮮だなというふうに思った。
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『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)を複数が取り上げているが、「自分の将来を自分で決めるってすごく贅沢なこと」というセリフに今の自分のことを重ね合わせながら考えたと書いている。このセリフが、自分が今将来を何かに奪われるとか、突然命や夢を奪われることなく生きていかれる幸せということを、子どもたちに深く考えさせたのかなという感想を持った。
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『学徒出陣~大学生はなぜ死んだ?~』(TBSテレビ)「時代の空気に妥協したという当時特攻隊だった方のお話がとても印象に残りました」という感想がとてもセンスがいい。そして「私たちの生きる現代社会の空気が戦争に包まれたら、SNSを通じ当時よりもさらに空気に妥協しなければならないかもしれません。」とも書いてくれているが、このSNS時代の空気を高校1年生でとらえていると言うといことに感心した。
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「夏に戦争の番組は減ってきている」ということを何人かが危惧している。戦争体験者がほとんどいなくなるという時代になったとき、テレビがこの問題についてどういう視点を出していくか?ということはたしかに大きな問題なのではないかと思う。
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戦争関連の番組の本数が減っているのではないか、との意見が多かったが、たとえマンネリと言われても放送局が毎年夏に戦争の番組を作る意義はあると思う。中高生になりはじめてそのような番組を視聴する子どもたちもおり、その中高生はどんどん入れ替わり、番組を見てそれぞれがそれなりの反応をし感動している。新しいものをつくり出そうという意欲と同時に、やはり同じテーマであっても、戦争というものの悲惨さを伝えていくということに、意味があると感じる。視聴率ということ以外の教育的な意味は大きいと思う。
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◆モニターからの報告◆
- 【戦争関連番組(ドラマ・ドキュメンタリーなど)について】
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『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)とても苦しくつらい思い出なので、被爆者はあまり被爆当時のことを語りたくないそうです。語らなければ、戦争の怖さを知る人はいなくなり、また戦争が起きてしまいます。そして私たちも積極的に知ろうとしなければいけないと思いました。戦争を知らない中高生はまだ多いと思うので、中高生が多く見るバラエティー番組や音楽番組などで戦争について触れると、より多くの人が戦争について知ることができると思います。(東京・中学2年・女子)
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『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)(10代の姪の風子が広島の墓地に行ったとき)周りのお墓には8月6日が命日の人がたくさん眠っていた。「8月6日に夢も命も何もかも断ち切られた人があんなにたくさん…。自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なこと」という風子の言葉が一番心に残った。(宮城・中学2年・女子)
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『NHKスペシャル 祖父が見た戦場~ルソン島の戦い20万人の最期~』(NHK総合)戦争経験者のインタビューはやっぱり生々しく印象に残ったので、ひとりでも多くの方に戦争について語っておいてもらいたいです。番組では、戦争のイメージや亡くなった場所・人数をデータ化していたので映像を具体的に想像しやすかったです。(大阪・中学3年・女子)
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『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)「自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なこと」「8月6日に夢も命も何もかも断ち切られた人があんなにたくさん」というセリフが心に残った。「被爆した人はかわいそう」という感想とは違った切り口で原爆や爆死した人たちのことをとらえているのが、今が平和であることをより際立たせていたと思う(長崎・中学3年・女子)
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戦争を経験した人が高齢化していく中、若者が関心を持つ必要があると思いますが、終戦の日に放送される戦争関連番組が少なくてびっくりしました。戦争に関しての番組を放送すれば、ひとりでも多くの若者に触れてもらう機会が増えると思います。
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『NHKスペシャル 届かなかった手紙~時を越えた郵便配達~』(NHK総合)この番組を観て、まず思ったのは、「とても悲しい」ということです。せっかく書いた手紙が、家族や友に届けられず、家族や友はそれが読めなかったこと、書いた人の伝えたかった思いは伝わらなかったこと、聞きたかった思いが聞けなかったこと、さらには、伝えられずに亡くなった人があまりにもたくさんいたことです。戦争は、街や家が破壊されたり人が殺されたりして、物や命が失われるだけでなく、人の心や気持ちも奪われたり失われたりするのだと実感し、とても悲しくなりました。私たちは、毎日のように、少し離れた場所にいる家族や友達に一瞬でメッセージをやりとりできます。この番組の中で紹介された手紙も、私たちが家族と日々やりとりする何気無いメッセージと言葉の上ではあまり変わらないのですが、戦争中ということや、伝わらなかったという結果から見た時、そんな何気無い家族とのメッセージのやりとりがとても重い・・・貴重なものなのだと思わされました。番組の作りとしては、戦争中の実際の悲惨な映像が多いのは少し怖かったけれど、遺体が映る前にそのような映像が流れるという字幕が入ったのは、気遣いがあるなと思いました。届かなかった手紙を書いた人や受け取るはずだった人の本人の写真がたくさん出てきたり、今もお元気な遺族の方々の様子が映ったりしたのは、とても「実際の出来事なのだな」と感じられて、説得力がありました。(福岡・中学3年・女子)
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『学徒出陣~大学生はなぜ死んだ?』(宮崎放送/TBSテレビ)「時代の空気に妥協した」という当時特攻隊だった方のお話しが印象に残りました。私たちの生きる現代の空気が戦争に包まれたら、SNSを通じ当時よりもさらに"空気に妥協"しなければならないかもしれません。私は身の回りの人が兵隊になることを想像できません。しかし、戦争が今後2度と行われないわけではないと思います。必ずいつか、本当に忘れ去られたときに始まると思います。しかし、始めてはいけません。後世に伝えていく必要があると思いました。(宮崎・高校1年・女子)
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『NHKスペシャル 広島 残された問い~被ばく二世たちの戦後』(NHK総合)原爆はただ人殺しのために広島と長崎に落とされたわけではなく、この番組で特集された広島では、ある意味人殺しよりも恐ろしい目的があったことを知り驚いた。日本を利用した大規模な人体実験がアメリカにより行われたという事実があり、それによって今も苦しんでいる人たちがいる。私たち被爆者ではないものは、その事実を知らず、戦争は終わったものだと思い込んでいる。しかし、被爆者・被爆2世の方々にとっては、まだ戦争は終わっていないのではないかと思う。いつ自分に放射線による病が襲ってくるか分からない恐怖、周囲からのいわれなき差別、そのような生きづらさがあると被爆2世の方々は語っていた。この問題を番組を見て初めて知ったし、次の世代に語り継がなくてはならないとも思った。(沖縄・高校1年・男子)
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『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)登場人物が言った「自分の将来は自分で決めるってすごい贅沢なことなんだ」という言葉が心に響く。罪もないのに戦争のせいで夢も命も断ち切られてしまった人々はたくさんいる。それを知っているからこそ、僕は自分の人生を大切にしなければいけない。(兵庫・高校1年・男子)
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『NHKスペシャル 駅の子の闘い~語り始めた戦争孤児~』(NHK総合)最近子どもの貧困問題に関心があり、それと戦争孤児の問題が重なり興味がわき録画で視聴しました。戦争に関しては、教科書で習っている程度しか知らず、今まで戦争ということ自体をあまり身近に感じ、深く考えたことがありませんでした。しかし、この番組を見ることで身近に感じられ、戦争に対する考えを深めることができました。「駅の子」という存在をこの番組で見て、初めて知りとても衝撃を受けました。一番印象的だったのは親を戦争で亡くした男性の話です。親を亡くしたため親戚を頼ったところ、今までは優しくしてくれていた親戚に「なぜ、お前は生まれてきたのだ」と強くあたられたそうです。人を極限状況下に追い込む戦争は人の優しさをも奪ってしまうのだ、と間接的な戦争の恐ろしさを感じました。その方は今でもその経験に苦しんでいるそうです。今は普通に暮らしていても、戦争体験の苦しみを抱えている人がいることを改めて感じました。戦後70年以上たった今でも、戦争の苦しみは続いている、戦争は行われている時だけではなくその後も苦しみを生む。こんな戦争を二度とは繰り返したくはない、そのためにこれからを生きる私たちがこの苦しみを知ろうとしなければいけない、と強く思いました。またその人がおしゃっていた「みんな飢えていたが、一番ほしかったのは食べ物でも着るものでもなく‘ぬくもり’だった」という言葉から人間が最も必要とするものはぬくもりで、人は一人では生きていけない、という人間の本質に気づかされました。これは、現代の子どもの貧困の問題ともつながると思いました。いくら貧しくても、虐待を受けていたとしても、周りの人間のぬくもりがあればきっと希望を持って生きていけるのではないかと思います。戦後は貧しさゆえに優しさが持てなかった。しかし、今は戦後よりは、はるかに豊かになっています。だからこそ、もっと一人一人が本当は優しさを持つことができるのではないか、持つべきだと思いました。(福井・高校1年・女子)
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毎年夏になると戦争の番組が放送されますが、今年は少ないように感じました。戦後70年を過ぎ、被爆者の方も高齢になっている今こそお話をたくさん聞き、この先どうしていくべきかを考える必要があるにも関わらず番組がだんだん少なくなっていることへ疑問を抱きました。(東京・高校2年・女子)
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『夕凪の街 桜の国2018』(NHK総合)戦争関連番組というと放送時間が長く最後まで見続けられないのではないかと何となく敬遠してしまっていたが、戦争を語る世代が少なくなっている現代において、若い世代が戦争のことを知ることができる貴重な機会だと思った。今後、このような番組を見続け、戦争のことを忘れないでいたいと思う。(東京・高校2年・女子)
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『NHKスペシャル 届かなかった手紙~時を越えた郵便配達~』(NHK総合)
兄が兵士だった幸子さんが届かなかった兄からの手紙を受け取る場面で言った「戦争はもう嫌だね」という言葉に涙が出ました。シンプルな言葉だけど、誰もが思っていることであり、その言葉で番組を終わらせるのはとても納得できました。(山梨・高校2年・女子) -
『ETV特集 隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~』(NHK Eテレ)レポートを書くにあたってまず最初に、どんな戦争関連番組がやっているのか番組表を見て調べた。終戦の日の近くだったので8月15日あたりの1週間。だが、戦争関連の番組は見つからなかった。さっと見ただけなのでもしかしたら見逃していただけかもしれないが、調べた限り民放ゴールデンの枠で戦争関連の番組はほとんどなかった。後にも書くが、これはやはり少し問題があると思う。番組表ではうまく見つからなかったので、Twitterで戦争関連の番組を調べた。すると、まったく知らない人だったが、『これは見なければ』とつぶやいていたのでこの番組で書こうと決めた。日中戦争~太平洋戦争時代、千葉県・国府台陸軍病院で治療・研究されていた戦争神経症の記録を読み解く番組。戦地で受けた強いストレスで心が蝕まれた人たちが苦しむ様子など、戦争神経症を通して戦争の恐ろしさが伝わってくる番組だった。終戦から73年経った現在でも戦争神経症に悩まされている人は6名存在するとも言っていた。一通り学校やテレビなどで戦争については知っていたつもりだったが、この一連の話はまったく知らなかった。おそらくほとんどの人が、ましてや中高生では知っている人を探すほうが難しいように思える。
歴史は繰り返さないために学ぶ。それを怠ったら、また同じことが起こる。中盤、番組内でご家族の方がこうおっしゃっていた。「今の若い世代にこの苦しみを味合わせるわけにはいかない」。この言葉にすべてが詰まっていると思う。風化させない、同じことを繰り返さないという共通認識がある中で、こういった番組をNHKしか流さない、あるいはニュース番組で取り上げる程度、でいいはずがない。テレビ・ラジオという媒体はインターネットとは違い、ほしい情報以外も多く入ってくるという利点がある。そこで伝えなければどこで戦争の過ちを伝えられるのだろう。視聴率が重視される民放でも、伝えていく役割をやめないでほしい、そう思った。(東京・高校3年・男子)
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【自由記述】
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出演者同士がスタジオで会話する場面などで、ごちゃごちゃしすぎてみんなが何を言っているのかテレビのこちら側には分からなかった。内側で終わらせないで視聴者にも伝えてほしい。(東京・中学2年・女子)
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今回、戦争関連の番組をリポートするにあたり番組をチェックしてみると、2015~2016年の頃に比べて今年放送された番組の数は半分以下で、風化させないためにもこのような状況は残念に思える。(神奈川・中学3年・男子)
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NHKだけでなく民放の番組で、ゴールデンタイムに戦争関連の番組を増やしてほしいです。「重い」と思う人がいるかもしれませんが、私たち日本人は向き合っていかなければならないことだと思うので、10代にも分かりやすいような戦争関連の番組があると良いかなと思います。(東京・高校2年・女子)
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9月のテーマは、「夏休みに見たスペシャル番組について」でした。全部で28人から報告がありました。
「夏休みに見たスペシャル番組」では、バラエティー番組に13人、ドラマ・映画とクイズ番組にそれぞれ3人、教養番組に2人、音楽番組に1人、チャリティー番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)に6人から報告がありました。『24時間テレビ』については、「自由記述」でも3人のモニターが取り上げています。『24時間テレビ』以外の番組を報告したモニターが選択した番組は全て異なり、全部で22の番組についてのリポートが寄せられました。「自由記述」では、ドラマ「透明なゆりかご」(NHK総合)について感想を述べたモニターが2人いました。他にも「(若い人が殺害された事件を報道する際に)必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真はすごく顔が加工されているので出さないほうがいいと思う」と最近の事件報道への違和感も寄せられています。
◆委員の感想◆
- 【夏休みに見たスペシャル番組について】
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ある旅番組で旅人役の芸人が、「タクシードライバーに紹介されたお店が和菓子店だったときは全然興味がなさそうに、おまんじゅうを一口でほおばったり、お店の人に失礼じゃないかというふうに感じられたりするような演出があった。嫌な気分になってしまいます」というふうに書いたモニターがいた。恐らくこれは出演者及び制作者としては、視聴者を楽しませようと思ってあえて演出し、わざと演技したのだろうが、それがうまくいかなかったのではないかと思う。こうした意見を制作者に伝えていくことも必要だろう。
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「番組の前置きが長すぎて途中から見る気がなくなり飽きてしまった」というような率直な意見があった。引き延ばすタイプの演出だったのだろうと思うが、番組自体はいいテーマを取り扱っているのに、前置きが長いという演出が逆効果と受け取られていることを、逆効果になることあるということを制作者に伝えてあげられるといいのかなと思った。
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『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)への違和感を述べた報告があった。「障害者が健常者と同じようなことをして感動を誘っているということに対してやっぱりすごく何か違うのではないか。障害者を健常者と同じことをさせて感動するのではなくて、健常者のほうが障害者に近づく視点をもって現状を検証したらどうか」と指摘している。この番組は、障害者が頑張る姿イコール感動という図式が定着しており、それに対して最近は批判めいた反応が多いように思う。
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- 【自由記述】について
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「最近若い人が殺されるニュースがよく流れていますが、その人の写真に必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真はすごく顔が加工されているので出さないほうがいいと思う」という意見があったが、私もいつも気になっていた
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◆モニターからの報告◆
- 【夏休みに見たスペシャル番組について】
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『劇団ひとりの新潟ウラ自慢TV 30市町村出たとこ勝負!"あみだくじ"まかせの旅』(新潟テレビ21)3人の芸人が新潟県内30市町村に行って新潟ウラ自慢を紹介する番組です。自分の住んでいる町の知らないお店が登場するかも?と楽しみに見ていました。タクシードライバーに紹介されたお店が和菓子屋だったときは、全然興味なさそうにしてまんじゅうを一口でほおばったりしてお店の人に失礼だと思いました。嫌な気分になってしまいます。(新潟・中学1年・男子)
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『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)芸能人の学生時代の友人の今を調査する番組です。10数年ぶりに知る友人の近況に出演した芸能人はとても感動していました。学校で職場体験も近いので、これからのことについて考えやすくなりました。今のクラスメイトの中に将来すごいことをしている人がいるかもしれないと思うとワクワクして将来が楽しみになりました。(東京・中学2年・女子)
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『世界ナゼそこに?日本人~知られざる波乱万丈伝~』(テレビ東京)番組の初めに「この人は日本人なら誰もが知っているアレをやっている」と視聴者に疑問を抱かせる演出があった。しかし、30分経ってもその答えは明かされず、そのキーワードばかりが繰り返された。前置きが長すぎてなかなか答えが明かされないと、せっかく興味があっても途中から見る気がなくなって飽きてしまった。内容は面白いのにもったいないと思った。(東京・中学2年・女子)
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『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)今年はこの番組に違和感を覚えました。それは「障害者の取り上げ方」です。障害者に健常者と同じことをさせて感動を誘っているように感じます。障害者で感動を集めるのではなく、違う番組のあり方を考えるときが来ているのではないかと思う。例えば、街中で障害者が過ごしにくい場所をその人の目線に合わせて考えるなど、障害者が健常者に合わせるのではなく、健常者が障害者に寄り添うことが大切だと思う。(東京・中学3年・女子)
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『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2018』(テレビ宮崎/フジテレビ)私の友達にはホラーが苦手な人がいて、CMなどで怖いシーンを放送すると必然的に見ることになってしまって不快になると思うので、CMでの怖いシーンは好ましくないと思います。(宮崎・高校1年・女子)
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『有吉の夏休み2018 密着120時間inハワイ』(福井テレビ/フジテレビ)この感想を書くためスペシャル番組を探していたところ、この番組を番組表で見つけ、夏休み、ハワイというワードに惹かれて録画をしました。私は基本的にどんなジャンルの番組であっても何かをしながら見るというよりは、テレビを見ることに集中して一言一句逃さず見るという見方をしています。だから、見よう!と意気込んで番組を見ることになり、視聴のハードルが高くなっています。しかし、この番組はボーっとしながらテレビへの意識が半分、他への意識が半分くらいに気軽に見られる番組だということを感じました。きっとこの番組内に漂っているのんびりとした雰囲気によるものだと思います。そののんびりとした雰囲気の一番の要因は3時間という番組の長さに対してネタを詰め込みすぎていないというところにあるのだと思います。イッテQなどのように短い時間に多くのネタを詰め込む番組が今まで良いと思っていました。しかし、今回この番組を見ていて、飽きず見られるのであればこのようなゆとりをもった構成の番組も良いなと思いました。私にとって、このような見方をできる番組は少ないので、次回の放送もぜひみてみたいと思いました。(福井・高校1年・女子)
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『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ/長崎国際テレビ)この番組は常に賛否が上がっていて色々あるかもしれないけれど、頑張っている人をみると涙が出てしまうし、募金によって助かる命もあると思うと、自分はこの番組が好きです。ただ、障害者の挑戦企画ばかりではなく、健常者が障害の模擬体験をし困難を改善するために社会は何をすべきか考えてみることも、これからは必要なのではないかと思います。(長崎・高校2年・女子)
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『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ)私にとって『24時間テレビ』は夏の風物詩で、これが放送されると夏の終わりを感じます。今年も障害のある方がチャレンジする姿に勇気をもらい心が温まりました。しかし、みやぞんさんのトライアスロン企画には心が痛みました。スイムは湖に浮かぶブイを往復し、バイクはトラックを回るものであり、チャリティーマラソンは沿道の声援を受けながら人々と関わることが重要だと思うので、人々との触れ合うことのないスイムとバイクはどうなのだろうと疑問に思いました。(東京・高校3年・女子)
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『ライオンスペシャル 第38回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ)選んだ理由はこれといってなし。スペシャル感が強かったから高校生クイズに決めた。メインの出演者はもちろん同年代の高校生。何歳も年の離れた大人よりは、自分も自然な感情が抱きやすいが、他の番組と変わらず俯瞰で見ようと思った。今年は過去最近の特徴だった海外で行うスタイルとは変わり、「地頭力」を競うとのこと。たしかに、解答者が並んで、一斉に問題に答えるといったオーソドックスなクイズは1回戦だけだった。それ以降は、知識だけでなく柔軟な発想が求められるものが多く、とても見ごたえがあったと思う。気が付けば家族全員で見ていて、なぜひきつけられるのか考えてみた。すると、解答者が体を動かす系のクイズはどうしても視聴者がおいて行かれがちである(それを実際に体験することができないから)。だが、視聴者が高校生を応援することにより感情移入が生まれて、そこについていくことができるのではないか、と考えた。あるいは、応援でなくてもなにをするんだろうという強い興味があれば同じ効果が生まれるのではないかと。いずれにせよ、それが作れる制作陣の努力、発想がすごいと思った。(東京・高校3年・男子)
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- 【自由記述】について
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(若い人が殺害された事件を報道する際に)必ずと言っていいほどプリクラの写真が使われる。そのような写真は加工されて顔が変わっているので出さないほうがいいと思います。(大阪・中学3年・女子)
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『透明なゆりかご』(NHK総合)というドラマがとてもいいです。医療ドラマは感動する部分だけを取り上げているものが多いけれど、産婦人科を舞台にしたこのドラマは、様々な問題を取り上げ、とても現実的で考えさせられ、今までこんなドラマはなかったと思いました。(東京・中学3年・女子)
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『透明なゆりかご』(NHK総合)を時々母と一緒に見る。先日は、見終わった後、母と最近の子育ての環境について話をした。近年、『コウノドリ』をはじめ医療で周りの環境を丁寧に描き、「出産は幸せだけれど、その奇跡の裏にはたくさんのことがある」ということが分かるドラマが増えている気がした。(東京・高校2年・女子)
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◇中高生モニター会議について◇
- 7月28日にフジテレビにて開催された中高生モニター会議について、参加委員が感想を述べ合い、総括しました。
今後の予定について
- 10月2日、熊本市で開催される熊本地区の放送局との意見交換会の内容について最終的な確認しました。また、11月19日、盛岡市で開催される岩手地区の放送局との意見交換会のテーマ等を確認しました。
以上