青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第116回

第116回 – 2010年10月

視聴者意見について

中高生モニターについて

第116回青少年委員会は10月26日に開催され、9月15日から10月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に、深夜放送のアニメ1番組について視聴し審議した。また、10月に寄せられた中高生モニター報告について審議したほか、調査・研究についての経過報告が行われた。

議事の詳細

日時
2010年10月26日(火) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

深夜帯放送アニメ番組『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』
第1回放送分について(全国9局放送)

10月から始まった当該番組の第1回放送分について、「中学生の少女がアダルトソフトマニアという設定が反社会的で、子どもに悪影響を与える」などの批判意見が視聴者から多数寄せられ、番組を視聴の上、審議した。委員会としては、全員一致で放送表現や内容について特段問題にすべき点はないとした。ただし、2回目・3回目を視聴した委員から、「ストーリー展開の中で、中学生がアダルトソフトを所持することの正当性のロジックが巧妙に組み込まれており、これを受けた子どもたちへのセールスプロモーションにつながる恐れがあることを危惧する」との意見があった。

中高生モニターについて

9月~11月は「報道・情報・ドキュメンタリー番組」のジャンルを取り上げている。10月は、最近特に注目した「ニュース・報道」は何だったか、なぜそのニュースや報道に注目したのか、その情報の伝え方が分かりやすかったか、理解しやすかったか、その理由は?また、取り上げ方や伝え方がおかしいとか、疑問点などについて意見を求め、28人からレポートが寄せられた。

【モニターの主な意見】

今回、最もレポートが多かったのは、チリの鉱山落盤事故で地下700メートルに閉じ込められていた33人の作業員全員が無事救出されたニュースだった。
「僕は救出されたニュースを見て、”報道番組の力”というものを強く感じました。僕がこの事故を初めて知ったとき、南米のチリで起こったことだから1回の報道で終わると思っていました。しかし、70日間にもわたってその救出劇が放送されるとは思いもしませんでした」「今回の報道は今までに見たことのない光景で、世界が一つになったと感じました」
「各局の報道を見ていましたが、中でも(1)なぜ事故が起こったのか(2)なぜ全員生き延びることができたのか、という”私のなぜ?”を解説してくれたのは『ズームイン!!SUPER』で、チリ大使館に行って話を聞いたり、図を用意して”もしもの時の避難所があったんだ”と解説してくれたり、よく理解することができました」など、感動したという報告が多数寄せられた。
一方、「生中継は学校で見ることはできなかったが、夜のニュースを見て感動した。ただ皆同じ報道で、もっと違った視点(レスキュー隊の素顔、事故原因の追究や再発防止)の報道をすべきだと思った」「私は今回のようなニュースは苦手なため避けていたつもりだったが、いちばん印象に残った。だが、新聞やテレビは”大変だ”と煽り、救出の際は感動話として取り上げているが、事故を繰り返さないように詳しい原因追究をするとか、大規模なショーなのでは?と疑ってみるとか、違った視点から見ることも必要なのではなかろうか」という意見も寄せられた。
次に意見の多かったのは「尖閣諸島問題」である。
「尖閣諸島問題で中国がどうしてこうまで日本を追い立てるのか私には理解できません。『中国人は日本人が嫌いなの?』と母に聞いても『戦争の恨みじゃないの?』と答えるだけ…。この2週間理解できないままでしたが、10月2日の『ウェークアップ!ぷらす』を見て少し納得することができました。メインキャスターが、自民党幹事長や読売新聞編集委員、内閣官房副長官などに意見を求めたり、拓殖大学の中国人教授による細かい”中国目線”の解説や分析コメントもあったりして、何となく中国のしたたかさが見えてきました」
「僕がニュースを見ていて感じたことは、初めのころは証拠のビデオを公開して、中国が行っていることを日本だけでなく世界中に知ってもらった方がいいという内容だったが、中国がレアアースの輸出を禁止したり、日本人を拘束したりといわゆる対抗措置を取った途端に、”触らぬ神にたたりなし”的な報道に変わってしまい、正直がっかりしました」
「海上保安庁の船に中国の漁船が故意に衝突した事件ですが、日本のメディアはきちんと報道していましたが、中国は自国に不利な報道は流しません。日本の報道番組はこれから先も”真実”で分かりやすい報道をしてもらいたいと思います」などの意見が寄せられた。
「大阪地検特捜部主任検事の証拠改ざん事件」についても複数の意見が寄せられた。
「今ちょうど授業で三権分立について学んでいて、裁判所の章で検察官の役割について知ったばかりだったので、強く印象に残りました。しかし私は朝5時に起きて早く学校に行き、帰ってくるのも20時ころになり、あまり詳しくニュースを見ることができません。なので、一回のコーナーでもう少し詳しく報道してもらえたらと思います」「検事が証拠を改ざんするなど、公平な裁判の証拠品が信用できないものになったことは大変よくないことだと思います。中国漁船の船長の釈放を含め、検察庁に対する信頼が大幅に薄れたことが残念です」
「小沢元民主党代表の強制起訴問題を含めて、事件事故の表面だけを大騒ぎして背景の説明や解説・分析が不十分である。村木元厚生労働省局長の事件もえん罪になる可能性が高かった。報道機関は”真実”を報道してこその報道機関であって、自分たちの報道が間違っていたら謝るべきだと、自分は思います」。
その他、グルメ関連のニュースについて「最近は”ご当地B級グルメ”大会や連休のイベントが紹介され、新しい文化やお店を知ることができるので嫌いではありません。しかし、私が嫌だなあと思うのは、どの局も夕方の報道番組で毎日のようにグルメ特集をやっていることです。しかも内容も同じようなものばかり。夕方の報道特集というのはそれぞれの局が独自の視点で放送する貴重な時間帯であるからこそ、視聴者に必要なテーマを放送してほしいと思います」。
神戸で高校生が刺殺された事件に関するレポートもあった。「高校生の少年が中学生の少女といたところを男に襲われ、彼女を逃がして殺されたニュースはテレビでも新聞でも『彼女を犯人から守り逃がした』『ふだん、とてもいい人』というところばかりが取り上げられた。でも、夜10時に高校生と中学生が出歩いていたということを問題だとする報道や新聞記事を私は見ていない。このニュースを見て第一に思ったことは、親も学校も子どもが遊びに行っていい時間を考えてほしいということだ」。
「押尾学事件」について「僕がこのニュースに注目したのは、有名人に対する初めての裁判員裁判だったからです。毎日、押尾被告の表情がどうだったかとか、ノートにメモをとっていたことなどを放送していましたが、有名人に対する裁判員裁判で熱狂的なファンが裁判員を務めることはないのでしょうか。それと、もっと薬物の恐ろしさも放送してほしかったです。放送は派手なニュースを追いかけるだけで、一時話題になっていた”消えた高齢者”問題は、今はどこへ行ってしまったのでしょう」という報告も寄せられた。

【委員の所感】

  • チリの銅鉱山落盤事故では、作業員全員が救出されたニュースに”感動した”という意見が多かった。なかでも地下に閉じ込められた作業員たちが歌って励ましあった姿と、日本のバス事故で歌を歌って救出を待ったニュースに着目した視点が良かった。
  • 落盤事故関連の報道については、救出劇だけでなく、事故原因や再発防止策を提言したニュースを評価する意見や、報道機関はもっと問題点を掘り下げて”真実”に迫ってほしいという意見にも感心させられた。
  • 尖閣諸島問題では、事件に対する報道姿勢に疑問を呈する意見も目立っていたが、身近な製品が”メイド・イン・チャイナ”であることをきっかけに自分の価値観で日中問題を多角的にとらえ、日中関係が早く改善されることを願う姿勢も高く評価したい。
  • 中学3年の女子と交際中だった高校2年の男子が刺殺された事件に関連して、中高生の外出時間についてもっと親や学校が考えるべきという中学生の意見も傾聴に値する意見だった。

「今月のキラ★報告」 (山梨・高校1年女子)

私は先日、チリの落盤事故の作業員救出作業のニュース(テレビ朝日『サンデー・フロントライン』10月17日放送)を見ました。
チリの落盤事故の作業員救出作業についてのニュースは、どこの放送局でも取り上げられていて、どうせどこも同じだろうと思っていましたが、あるニュース番組では、チリの落盤事故の作業員救出作業についてだけでなく、日本で起こった洪水でバスが流され、人々はバスの上に避難したが、救助するためのヘリが来てくれるのは48時間後という過酷な状況で生き抜いた方たちを取り上げていました。
チリの落盤事故の作業員救出作業と、このバス事故との間に何の関係があるのか気になったので集中してよく見ていると、その2つの事件には「歌」が関係していました。どちらの事件も救助が来るまでずっと歌を歌っていたそうです。この2つの事件を関連して使用したのには「うまいなぁ」と思いました。日本で起こった洪水でバスの上で救助を待つ人々は「上を向いて歩こう」(坂本九の大ヒット曲、永六輔作詞、中村八大作曲)を一人が歌い始めると周りの人々も歌い始めたそうです。私は、この2つの事件から「歌」の素晴らしさと人間の「生き抜く力」「強さ」を感じました。
また、私はこのニュースを見て涙を流しましたが、ニュースでここまで泣けるとは思いませんでした。これからも、こういう感動できるようなニュースが増えるといいなと思います。

【委員会の推薦理由】

「歌」に注目したことがすごいと思います。チリの落盤事故に関しては、朝・昼・晩、大量の映像が流れました。そうしたなかで、日本で起こった洪水で、バスの上で救助を待っていた人たちのエピソードに注目し、共通項が「歌」であることを伝えた報道に感動したセンスを高く評価しました。