第243回-2022年2月
調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)の最終報告書案を承認…など
2022年2月22日、第243回青少年委員会を千代田放送会館会議室にてオンライン併用で開催し、7人の委員全員が出席しました。
調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関して、調査結果をまとめた最終報告書案が示され、委員会において、内容について意見交換の上、承認されました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議は、担当委員らが作成した意見の原案が委員会に提出され、内容について意見交換を行い、次回も引き続き、審議することになりました。
1月後半から2月前半に寄せられた視聴者意見に関して担当委員から、東大生というネーミングを使ったクイズ番組について、「東大刺傷事件があったのに。学歴偏重を助長する」「自粛すべきではないか」という意見が寄せられたなどの報告がありました。
2月の中高生モニターリポートのテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、2021年度民放連賞 [テレビエンターテインメント]最優秀『俺たち ウォーターボーイズ!!』(山口放送)を見てもらいました。モニターからは、「ウォーターボーイズと地域の人たちの支え合い、助け合いに温かさを感じた」「阿武町の人々の人間関係の近さがうらやましかった」などの意見が寄せられました。
委員会ではこれらの意見について議論しました。
最後に今後の予定について話し合いました。
次回は、3月22日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2022年2月22日(火) 午後4時30分~午後6時30分
- 場所
- 千代田放送会館会議室
- 議題
- 調査研究について
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について
視聴者からの意見について
中高生モニターについて
今後の予定について
- 出席者
- 榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、佐々木輝美委員、沢井佳子委員、
髙橋聡美委員、中橋雄委員、吉永みち子委員
調査研究について
担当の中橋委員から、調査研究(テーマ「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みについて」)に関し、3年間の調査結果をまとめた最終報告書案が示され、その内容について意見交換しました。その結果、委員会の承認がされました。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」についての審議
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、担当委員らが作成した意見の原案が提示され、内容について意見交換しました。その結果、次回引き続き、審議することになりました。
視聴者からの意見について
1月後半から2月前半に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
東大生というネーミングを使ったクイズ番組について、「東大刺傷事件があったのに。学歴偏重を助長する」「自粛すべきではないか」という意見が寄せられました。
昨今のドラマ全般について、「飛び降り自殺のシーンが多すぎる」「安易に自殺シーンを劇中に盛り込むのは止めて」という意見が寄せられました。
家出した女子高生が成人男性の家に何日も泊まる設定のドラマや、亡くなった妻が小学生に生まれ変わる設定のドラマに対して、「成人男性が未成年の子を誘うようなシチュエーションはいかがなものか?」「幼児愛の男性が勘違いしそうで不快」といった意見が寄せられました。
世界の事故やハプニング映像を流してゲストが驚きや笑いをこらえる内容の番組に対して、「人が死にそうになっている事故を見せて笑わせようとする倫理感覚が信じられない」「死ななければ放送して良いのか。これを見た子どもが、死にそうな人を見て『笑ってもよい』と思うと心配だ」などの意見が寄せられました。
委員会の議論から「討論」等に進んだものはありませんでした。
中高生モニターについて
35人の中高生モニターにお願いした2月のテーマは「指定するドキュメンタリー番組を見た感想」で、32人から報告がありました。いつものように「自由記述」と「青少年へのおすすめ番組」についての欄も設けました。
課題に選んだ番組は、2021年度民放連賞 [テレビエンターテインメント]最優秀『俺たち ウォーターボーイズ!!』(山口放送)です。山口県阿武町で地域を盛り上げようと活動する若者たちのシンクロナイズドスイミングチーム(以下、ウォーターボーイズ)を5年にわたって取材・撮影しています。モニターからは、「ウォーターボーイズと地域の人たちの支え合い、助け合いに温かさを感じた」「阿武町の人々の人間関係の近さがうらやましかった」「自分と同年代の登場人物の成長を心強く思った」「自分もやりたいことや好きなことを見つけたい」という感想が複数ずつ寄せられました。
「自由記述」に寄せられた内容は今月のテーマと関連したものが多く、「人の心を動かすテレビってやっぱりすごい!」「メッセージ性のあるドキュメンタリー番組をもっと見たい」などの声が届いています。また、「北京オリンピック」や猛威を振るっている新型コロナウィルス第6波についての感想や意見の記述も目立ちました。
「青少年へのおすすめ番組」では、『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』(NHK Eテレ)に8人から、『東大王SP』(TBSテレビ)に6人から、『関ジャム∞完全燃SHOW』(テレビ朝日)に5人から、『ロコだけが知っている』(NHK総合)に3人から感想が寄せられました。
◆委員の感想◆
- 【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】
-
-
自分と同年代の登場人物がいると共感の程度が強く、のめり込んで見るということが伺えた。登場人物と自分を比べ、考える機会になったようだ。
-
「継続は力だと分かった」「みんなで協力してひとつのことを行うということは素晴らしい」「自分も何か夢中になれるものがほしい」という点を挙げ、感動したという意見が多かった。都会に住んでいるモニターは、地域活性化という視点から地方ならではの魅力を感じたと記述していた。また、大げさなテロップやBGMがなく、時系列に沿って淡々と伝えていることが非常に受け取りやすかったという意見もあった。どの感想にも納得感があった。
-
モニターの記述から、若い世代はドキュメンタリーを見る機会がないのだと感じた。しかしながら、1回見る面白いということに気づいてくれる。ドキュメンタリーに触れる機会というものがもっとあるといいなと思った。
-
今のバラエティー番組はとても速いテンポで進行する。短い時間の中に要素を詰め込んで放送する。それに対して、『俺たち ウォーターボーイズ!!』はスローだという印象がある。このことがモニターには新鮮だった可能性があると思った。ゆったりと番組が流れていくので、モニターたちはしっかりと感じ、考えていくことができた。だからこそ、かなり反応が良かったのだと思う。手間暇かけて制作すること、それがテレビの特徴だというモニターからの指摘に共感した。
-
- 【自由記述について】
-
- 昨今、人気の長寿番組の終了や変更が多く見られるという記述があった。若い世代も意外とそのような長寿番組を家族と一緒に見ているんだなと思った。
◆モニターからの報告◆
-
【指定するドキュメンタリー番組を見た感想】
-
-
このような魅力ある演技をするためには多くの努力があり、手を抜かずに練習に取り組む姿があり、そのウォーターボーイズを支えているのは楽しんで見てくれる観客であり、地域一丸となって活動をしていることに心を打たれました。(中学1年・男子・岩手)
-
自分のやりたいことができ、好きなことで輝くことができる。そんな空間があることはとてもいいな、うらやましいな、と思いました。(中学1年・女子・東京)
-
元気をもらった。自分の知らないところで地域を活性化させようと本気でシンクロに取り組んでいてかっこよくもあった。この映像が伝えたいことは、本気で取り組むことが何かしらのいい結果を生むから無駄だと思うことも思い切りやってみようということだと感じた。だから、自分も全力で夢に向かって努力したいと思った。(中学2年・男子・神奈川)
-
題名を見た時は高校生たちの部活の話かと思っていたけれど、番組を見始めてから高校生の話ではなく、20代から30代くらいの方々の話で驚きました。いちばん印象に残ったのは地域の方々の人柄です。地域の方々がABUウォーターボーイズのグループのために手ぬぐいなどを販売し、その売り上げをグループの活動資金として寄付するという場面がありました。その時に、手ぬぐいを買ったおじいさんが「グループの応援になるのなら買おう」と言っていて、地域の方々の優しさがとても見えて良かったです。(中学2年・女子・大分)
-
高校生のメンバー(通称:たくちゃん)の変化が印象的でした。メンバー入りした時は高校1年生で今の僕とほぼ同年代。どこか自分との近さを感じたのですが、メンバー入りしようと思った理由が「自分に自信をつけたい」というものでさらに近い存在と感じました。「自分らしさを出したいのに人前で自分を出すのが苦手」という彼の悩みとは自分は少し違うのだけれど、「自分に自信をつけたい」という部分は僕が中学校3年間抱えてきたモヤモヤとどこか似ていました。そんな彼が、シンクロを通し成長していく姿を見て「人ってこんなに変われるんだ」と思いました。(中学3年・男子・静岡)
-
たくちゃんがメンバーの人たちに教えてもらって努力して成長していく姿に感動した。(中学3年・女子・京都)
-
自分たちにできることを見つけ、笑顔で一生懸命取り組む事はどんな人にとっても大切なことだと思いました。(中学3年・女子・富山)
-
生まれてこの方、都内以外に住んだことがなく、また親戚とはほとんど会う機会がないために故郷と呼べるような場所がないからか、番組内に出てきたウォーターボーイズと阿武町の人々の間の人間関係の近さがとても羨ましく感じられ、終始羨望のまなざしで番組に登場する人物を見ていたように思える。(高校1年・男子・東京)
-
制作者がウォーターボーイズに心を打たれたことが番組を見ていてとても伝わってきて良かったと思います。5年と言う長い月日密着してきたことで、よりその熱意が感じられました。そしてずっと密着してきたからこそ、チームの日々の努力が鮮明に切り取られていたと思います。(高校1年・女子・京都)
-
ドキュメンタリーというのは見たことがなく、見方があんまり分からなかったが、面白いなと思った。いちばん感じたことは「継続は力なり」ということと、周りがあるからこそ生きていける、活動できるということだ。(高校2年・男子・神奈川)
-
一つの事に熱心に取り組む姿は本当にかっこいいと改めて感じました。歳を重ねると熱心に取り組むことが減る中、このように一生懸命取り組むことは凄いことだと思いました。私も負けずに部活動や勉強、学校生活を全力で取り組みたいと思いました。でも、一人だけで取り組むのではなく周りも巻き込むことで、協力して団結力が生まれ、より大きな力になると思います。だから、支えてくれた方や共に頑張ってくれた方々に感謝を伝えることが大切だと思いました。(高校2年・女子・静岡)
-
大げさなテロップやBGMもなく、時系列でありのままを伝えていてウォーターボーイズの熱意がダイレクトに伝わってきました。番組を作った人もウォーターボーイズのことをすごく応援しているんだなと思いました。自分も誰かのために一生懸命に行動ができる人になりたいと思いました。(高校2年・女子・神奈川)
-
5年間継続して取材した取材班にも敬意を表したい。多くの人を巻き込んで、何かをするというワクワク感を感じた。(高校3年・男子・山形)
-
私は地方に縁がなく、関東の外でローカル局の番組を見ることがほぼないので、今回のようなその県の放送局が県内のある一つの物事について特集するものはあまり見る機会がないと感じる。東京にもローカル局はあるが、そこまで地域密着という空気を感じにくい、もしくは地域に密着した物事だとしてもとにかく数が多い為、もし特集していても他との差をつけるために勝つか負けるかのハラハラ感が強調されてしまうなどそもそも身近に感じにくいのかもしれない。ないものねだりの感覚のようにはなるが、地域を見続けてくれるローカル局の存在する一体感や身近な雰囲気が少し羨ましいと感じた。(高校3年・女子・東京)
-
10以上も歳が離れていてもみんなで楽しく、お客さんを楽しませようとする気持ちをチーム全員で持っていることに感動しました。新型コロナウィルスの影響により私たちの生活は変化が必要となり、友人や家族とも交流するのが難しくなっています。その中でも、やはりみんなで協力する力やみんなを楽しませる気持ちを持つことはとても大事だと、この番組で感じました。(高校3年・女子・福岡)
-
-
【自由記述】
-
-
今回の課題のようなメッセージ性のある番組をもっと見てみたいと思った。(中学2年・男子・神奈川)
-
私の地域でも手軽に地方の番組を見ることができるようにしてほしいと感じた。私が普段視聴している番組とは違う、知らない活動について、テレビを通してもっと多くの人に向けた発信をしてほしい。(中学2年・女子・千葉)
-
今回のドキュメンタリー番組を見て、これからのテレビのあるべきポジションを思いつきました。それは、「誰かの努力や頑張りを追い続けるチャンネルになる」ことです。政治や気象など生活に必要なことを発信するのもテレビの役割ですが、それだけではなく、「誰かの行動を長きにわたって記録し続ける」ことはテレビだからこそできると思うのです。このようなドキュメンタリーの番組はネット動画にはあまり見られない形式だから、テレビが地域や個人に「密着する」ことを掘り下げていけばテレビの独自性は保たれ、ネット動画と一線を画す存在になれると思います。(中学3年・男子・静岡)
-
人の心を変えることができるテレビ番組ってやっぱりすごいと思う。(高校1年・男子・群馬)
-
普段あまりドキュメンタリーのようなノンフィクション作品に触れることがないので、今回はとてもいい機会になりました。ドラマやアニメなど非現実的なフィクション作品も想像力が豊かになったり、ならではの面白さがあったりしますが、よりリアルに迫るノンフィクション作品は実在する人たちから大きな刺激が得られるなと思いました。(高校2年・女子・埼玉)
-
日本人選手の活躍、特に平野歩夢選手が逆転優勝したのは感動しました。その途中でサブチャンネルに切り替わり、またすぐにメインに切り替わる、ということがありました。仕方のないことなのですが、競技の直前にサブチャンネルに切り替えると途切れてしまうので、今回は平野歩夢選手の決勝の三回目という緊張の場面だったのに、途中で切れないか、ヒヤヒヤしまうこともあって、できればずっと流し続けてほしいと思いました。(中学1年・女子・東京)
-
北京オリンピックのスノーボードのハーフパイプ日本代表の平野歩夢選手が決勝の3回目金メダルが決まった時、ちょうどサブチャンネルに切り替わり、やっているところが見られなかったのでとても残念でした。(中学3年・女子・宮崎)
-
選手の皆さんが練習の成果が発揮し、今まででいちばん良い試合や演技をすることが最も大切だと思います。そのために、私たちは「金メダル」を取ることを望むのではなく、「今までの練習の成果が出せるように、頑張ってください。」と応援の言葉をかけることが、大切だと思います。だからこそ、報道側も何を一番に伝えるべきかを考えることが大切だと思います。(高校2年・女子・静岡)
-
芸能人がコロナの感染者になったり濃厚接触者になったりしています。ですが、いつの間にか復帰していることもあり、自分の周りにコロナに感染した人が出てきても、そんなに心配する事はないんだなと思うことができます。(中学2年・女子・大分)
-
昨今では人気の長寿番組の終了や変更などが多く見られ、若者やファミリーに向けた番組をいちばんに意識していることを感じます。テレビ離れが進む今、そのような世代に向けた取り組みも必要ですが、生活の一部となっているような番組が終わったり変わってしまったりするのは非常にもったいないと思います。(高校1年・女子・京都)
-
YouTubeで、テレビで使われたインタビューを使ったコラージュ画像のまとめというものを見つけた。それを見た時、テレビ局がインタビューで使うためにきちんと承諾書をとっているから許可した人たちも、悪用する人がネットにいることによってデジタルタトゥーになる危険もあると感じた。いくら承諾書があってテレビではほんの一瞬しか流れないとしても、今は一度世に出たものはネットで永遠に残り続けるので、承諾書の効果は薄れているのではないかと感じた。(高校2年・女子・東京)
-
受験で県外に滞在することがあったのですが、地元とは違うローカル番組を視聴するのをとても楽しめました。普段とは違う放送の雰囲気やC Mが、非日常感を演出してくれました。また、地元の番組が少し恋しくなりました。(高校3年・女子・静岡)
-
-
【青少年へのおすすめ番組】
-
-
『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』(NHK Eテレ)機械やネットが発展してきて「音楽を作る」というハードルが下がってきているように感じます。若い人たちがいろいろなことにチャレンジしやすい環境が作られてきているのかなと思います。私たちが成人するころにはどんな職業にチャレンジできるようになっているのだろう、将来の夢を考えるのが楽しみです。(中学1年・女子・東京)
-
『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』(NHK Eテレ)メインパーソナリティ2人とSTUTSで、即興で音楽を創るパートは、やはり音楽のプロらしく即興とは思えないほど息の合った完成度の高い楽曲を披露してくれ、その場でラップの歌詞までつける自由さにはプロの音楽家の格というのをありありと見せつけられたような気がして、尊敬を通り越して爽快さも感じさせられた。(高校1年・男子・東京)
-
『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』(NHK Eテレ)音楽は大きな部屋で作られると思っていたが、小さいスペースでも作られると知って驚いた。あのような部屋から多くの人々に聞かれる音楽の土台が作られていくと思うと凄いと思う。今ではとても有名なアーティストもこんな感じから始まったのかなと思った。(高校1年・男子・群馬)
-
『東大王SP』(TBSテレビ)知らないことは勉強になる。また問題によっては解説もあり、それがとても分かりやすく面白い。だからこそ飽きずに見ることができるし学びになる。ある種の教育テレビであるために素晴らしいと思う。(高校2年・男子・神奈川)
-
『東大王SP』(TBSテレビ)日本語というのは、奥が深くて、2時間番組もあっという間でした。その2時間もの間、視聴者を退屈させないように、公式Lineやdボタンで解答できる視聴者参加を取り入れていたのも、魅力的な番組作りのための一つの演出であり、楽しめました。(高校3年・男子・長崎)
-
『関ジャム∞完全燃SHOW』(テレビ朝日)パラリンピック開会式の作曲秘話も詳しくきけて良かった。全くその世代じゃない自分でも聞いたことのある曲で、いつまでも残っているのは凄いと思った。どうやって曲ができ上がっていくのかも見られて良かった。(高校2年・男子・愛知)
-
『ロコだけが知っている』(NHK総合)私の住んでいる富山県と、神奈川県の特集でした。地元でも知らない絶景があると改めてわかったのでどんどん知っていき、良さを発信していけたら良いなと思いました。(中学3年・女子・富山)
-
以上