青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第259回

第259回-2023年7月

視聴者からの意見について… など

2023年7 月25日、第259回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、6月後半から7月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見の中から、事件報道における小学生へのインタビュー取材などの問題について意見を交わしましたが、「討論」に進んだものはありませんでした。
7月の中高生モニターリポートのテーマは、「最近聴いたラジオ番組について」でした。
最後に今後の予定について確認しました。

議事の詳細

日時
2023年7月25日(火) 午後4時00分~午後6時00分
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第一会議室(千代田放送会館7階)

議題
視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について
出席者
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員

視聴者からの意見について

6月後半から7月前半までの約1カ月の間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
午後の情報番組の芸能ニュースで、有名女優が夫以外の男性と交わしたとされる交換日記の内容を読み上げたところ、「内容を公表する必要があったのか。番組がいじめに加担しているように思えた」などとする視聴者意見が寄せられました。
担当委員は「問題があるとすれば放送倫理の問題で、青少年に対するものではないだろう。当委員会で取り上げる内容ではないと思う」と述べるなど、「討論」に進むことはありませんでした。
宮城県栗原市の公立小学校に軽トラックが侵入して児童4人がはねられた事件の報道で、目撃者である小学生のインタビューが複数の報道・情報番組で放送されたことについて、視聴者から「児童が精神的・心理的に不安定になっている状況でマイクを向け、事件の様子を思い出させる行為は容認できない」などの意見がありました。
ある委員は「子ども自身のPTSD(心的外傷後ストレス障害)のリスクを考えると、ハイリスクなインタビューだと思う」と指摘しました。
別の委員は「この子どもは事件を客観的に見ていて、自分の言葉でしっかり伝えようとする意志が明確に感じられた。心配のないケースではないかと思う」としたうえで、「そこに目撃者がいて、その子どもが話してくれるのであれば、それを聴くというのは(報道機関の)ひとつの役割だろう。ただし同時に(子どもに対する)アフターケアは大事だ」と述べました。
また、「インタビューでしっかり話してくれる子どもがいたら、取材及び報道の必要性を肯定する判断になるのはうなずける。ただ今回の事件を契機に、改めてこの問題を考えてみることが重要だと思う」と呼びかける意見が出されました。その結果、「討論」に進むことはありませんでした。

中高生モニター報告について

7月のテーマは「最近聴いたラジオ番組について」で、合わせて21番組について報告がありました。複数のモニターが取り上げたのは『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)、『福山雅治 福のラジオ』(エフエム東京)、『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)で、「楽屋で話しているようなゆるいおしゃべりがとても新鮮だった」などの感想が寄せられました。
「自由記述」では、普段あまりラジオを聴かないというモニターから「自然にいろいろなジャンルの曲が耳に入ってくるので音楽の幅が広がった」、「野球をラジオで聴くと頭の中で局面を想像でき、一味違う楽しみ方があった」などの声が届いています。
「青少年へのおすすめ番組」では、『アイ・アム・冒険少年 2時間SP』(TBSテレビ)、『ニュー試』(NHK Eテレ)、『チャリキシャ!~走ってみたいグルっとMAP~』(テレビ大阪)、『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)に複数のモニターから感想が寄せられました。

◆モニター報告より◆

【最近聴いたラジオ番組について】

  • 『アナウンサー百年百話』(NHKラジオ第2)

    Jリーグが開幕したときにアナウンサーはどのように実況し、これまでの30年でどのように変化してきたのかが分かって面白かった。現役のアナウンサーが、「熱い試合で何を言ったか覚えていない」というエピソードを話していた。映像がないからこそさまざまな想像ができて面白かった。(高校1年・男子・群馬)

  • 『Top of the Morning』(LOVE FM)

    今はサブスクやYouTubeなども音楽を聴くことができますが、火曜日限定のレコードのコーナーではあえてレコードが紹介されています。私はレコードが家になくテレビなどでしか見たことがないので、紹介やその曲がとても新鮮でした。レコードは昔のものだと思いがちですが、レコードにはレコードの良さがあることに気づけました。音楽をゆっくり楽しんだり古い名曲に親しんだりするところがラジオにもぴったりの魅力だと思いました。(中学3年・女子・福岡)

  • 『ショウアップナイター プロ野球フレッシュオールスターゲーム』(ニッポン放送)

    フレッシュオールスターはおもに期待の若手中心に選手が出場しているため、将来を想像しながら聴くことが出来た。声だけで局面などがすべて理解でき、分かりやすかった。少し声のテンポが早いと追いつかないところがあった。ある程度細かいところも説明していて、テレビを見ていなくても同じくらい分かりやすかった。(中学3年・男子・神奈川)

  • 『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ)

    自分もお便りを送ろうと思うがうまく文章が書けないのに、常連のリスナーさんは文章が上手だなと改めて思った。普段は“ながら”で聴いているが、じっくり聴いているととてもいいことを言っていたので、ときどき真剣に聴くのもいいなと思った。(高校2年・女子・東京)

  • 『福山雅治 福のラジオ』(エフエム東京)
    • (福山さん主演の)ドラマの裏話を聞くことができたり、(共演者の)永瀬廉さんのモノマネをしたりしていたのが面白く、とても楽しく聴くことができました。さまざまなトークを通して出演者の知らない一面も知ることができ、新鮮でよかったです。ラジオはトークと音楽が中心になりますが、寄せられた質問をもとに貴重な話や面白い話をしていてラジオの良さがよく伝わりました。(中学2年・女子・愛知)
    • 番組全体としては、視聴者からのメールを紹介してその内容をきっかけにトークをする展開で、年の功なのかどんなメールでもそれなりにトークができるのはさすがだなと思いました。ただ「ファンクラブに入っていないと・・」と、入会の勧誘が多いように感じました。(高校3年・女子・京都)
  • 『なにわ男子の初心ラジ!』(ニッポン放送)

    メンバーとスタッフさんの仲の良さがとても伝わってきてほのぼのした平和なラジオだと感じた。一番好きなコーナーは、最後の「5年後のわたしへ」だ。自分と同年代の人の5年後の未来への手紙を聞き、目標を立てて夢に向かって頑張ってみようという気持ちにさせてくれた。(中学2年・女子・東京)

  • 『マイあさ!「健康ライフ」』(NHKラジオ第1)

    身近に感じる疑問をインターネットで調べるよりも正確に、子どもにも分かりやすいように説明していました。司会者の声は高めでとても聴きやすく耳に入りました。(中学1年・女子・千葉)

  • 『レコレール』(FM福井)

    リスナーの方と一緒に番組をやっているという感じがあり、とてもよかった。みんなが共感できる内容や、えー!そうなんだ!と思う内容のどちらも詰め込まれていて、聞いていて全然飽きなかった。これを機にこれからラジオを聞いてみたいと思った。(中学2年・女子・福井)

  • 『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)
    • ほぼ毎週(この)番組名やトーク中に出た単語がトレンド入りしていて、ラジオだけでなくSNSでもかなり盛り上がっている。パーソナリティーがアイドルで生放送というのがこの番組の特徴であり、SNSを通してトークの面白さが伝わり人気につながっているのかなと思いました。(高校1年・女子・茨城)
    • まるで楽屋で話しているかのような終着点が見えないゆるいおしゃべりがとても新鮮だった。ちゃんと会話の内容が面白いし、テレビではなかなか聞けないジャニーズのプライベートトークを聴けるのが面白かった。(高校2年・女子・愛知)
  • 『My Humming Time』(ラジオNIKKEI第2)

    普段はテレビやスマホなど視覚で理解することが多いものをよく使っている。しかしラジオのように聴覚だけで理解するものを使ってみると、視覚化できるものが無かったため理解に時間がかかった。だが自分で情景をたくさん想像することができた。今回は外国の湖の話だったため、湖のある場所を思い浮かべながら聴いたり、湖はどうして小さくなっているのかな?と原因を考えたりした。テレビやスマホなら実際の写真やイラストを見て理解するだけだっただろう。ラジオは想像力が豊かになるとても良い方法だなと思った。(高校1年・女子・北海道)

  • 『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』(J-WAVE)

    この番組は聴いているだけで時間の流れを感じることができ、まさに聴くだけで一つの「旅」だと感じる。またゆっくりとした時間の流れは自分を見直すことにつながり、新しい気づきを与えてくれた。(高校2年・男子・東京)

  • 『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)
    • この番組を聴いて「ラジオって意外と難しくなく、飽きないしすごく面白いな」と思いました。とくにリスナーのお便りがラジオパーソナリティーの人たちによってどんどん深まり面白くなっていく感じが聴いていてすごく楽しくて好きでした。自分で音楽を選ぶと好きな曲だけに偏ってしまいがちだけど、ラジオだと自然にいろいろなジャンルの曲が耳に入ってくるので音楽の幅が広がりました。(中学2年・女子・栃木県)
    • YouTubeやポッドキャストなど最近の流行りに合わせた聴き方をすることができ、昔のものや名作も聴くことができてうれしいです。せっかく魅力がつまった番組なので、CMやYouTubeショートなどを活用するともっと魅力が伝わると思います。(中学3年・男子・神奈川)
  • 『正司紗千の夕暮れチョコレート』(山形放送)

    何気ない山形の話(地元トーク)や、元気の出る曲で前向きになれました。とくに番組が始まるときのピアノのオープニングメロディーは頭から離れません。ぜひ山形に来たら聴いてほしいと思います。(高校2年・男子・山形)

  • 『サカナクション・山口一郎~Night Fishing Radio~』(NHK FM)

    パーソナリティーの山口さんが自分の言葉で作品やアーティストについて解説してくれるのだが、毎回その言葉に納得させられている。感覚として音を楽しむに過ぎない私だが、山口さんはその感覚を言語化してくれる。だからなぜ良いのか、なぜすごいのかがより明確となる。毎回私にとっては知らないアーティストが登場するのだが、私にも山口さんの解説は的確でしっくりくる。だからよく聴いているラジオ番組です。(中学1年・女子・福岡)

  • 『TALK ABOUT』、『荻上キチ・Session』(いずれもTBSラジオ)

    ラジオはテレビと異なり「見る」でなく「聴く」なので、作業しながらでも聴くことができると思いました。初めてニュース以外のラジオを聴きましたが、面白かったので別のジャンルも聴いてみたいと思いました。(高校2年・女子・東京)

  • 『大窪シゲキの9ジラジ』(広島FM)

    この番組のパーソナリティーは日々県内各地の学校の取材をしているが、それは無償で行っている。現在、若者のラジオ離れどころかそもそものリスナーが減っているなか、このような取材と番組制作はリスナーの増加につながっていくと思う。ほかの局でも若い世代のリスナー獲得のためにこのような思い切った番組制作をしてほしい。(中学3年・女子・広島)

  • 『森谷佳奈のはきださNights!』(山陰放送)

    BSSのイベント案などをリスナーさんたちと一緒に考えたり丸投げしていたりするところが、パーソナリティーの人とリスナーさんたちがつながっているなと感じました。姿が見えないラジオだからこそ、声だけで状況が把握できるよう詳しく説明してくれるのがラジオの魅力だなと思いました。(中学1年・女子・島根)

  • 『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(TBSラジオ)

    何年も毎週欠かさず聴いているお気に入りの番組です。自分がラジオにのめりこむきっかけになった番組であり、安定して毎週大笑いできる唯一の番組です。個人的には作家の笑い声も丁度よくてコーナーもクオリティが高く、全てが無駄でできた無駄が一切ないラジオだと思っています。(高校3年・男子・神奈川)

  • 『乃木坂46の「の」』(文化放送)

    普段は見えない意外な一面がたくさんあって「素」の話を聴くことができてよかった。メジャーな曲ではなくマイナーな曲も流していたのでよかった。(高校3年・男子・千葉)

  • 『SDGs学部 ミライコード』(エフエム東京)

    番組で教授が訴えていたのは「同じ地球の同じ仲間たち」ということを考えなければならない、他人事と考えた時点でその問題は解決しないということです。自分はニュースなどで報道されている内容は自分からはほど遠いものだと思っていましたが、地球という視点から考えると自分にとって身近なものなのだなと思いました。(中学2年・男子・埼玉)

【自由記述】

  • 野球はテレビ(で見る)しか楽しくないと思っていたが、ラジオで聴くと新鮮で意外と分かりやすかった。頭の中で局面を想像でき一味違う楽しみ方があった。(中学3年・男子・神奈川)

  • ラジオは映像がないので最近の若者はつまらないと思っているようだが、想像力が培われるのでとてもいいと思う。(高校2年・女子・東京)

  • これを機にスマホにラジオを聴くことができるアプリをインストールした。アプリから番組表を見て驚いたのはテレビであまり見ない人がメインの番組が「人気番組」や「急上昇」に挙がっていたことだ。テレビは万人受けするようたくさんの人に向けて放送される番組が多い印象だが、ラジオは「この人が出ているから聴く!」というその番組を聴く目的を持った視聴者がしっかり楽しめる番組をつくることがメインなのだと思った。自分の好みの番組を探してみたいと思う。(高校2年・女子・愛知)

  • 最近、テレビのニュース番組などで「若者はテレビ離れで何でもネットで情報を入手しており、それは危険だ」というコメントがなされるが、高い割合でなくても若い視聴者がいることを忘れないでほしい。そしてそれを踏まえた上での心あるコメントをしてほしい。(中学3年・女子・広島)

【青少年へのおすすめ番組】

  • 『ニュー試』(NHK Eテレ)
    • 国によっていろいろな入試の方法があり、日本とは全然違うところが多く
      とても難しかったです。日本も年々入試の方法が変わるので勉強になりました。(高校1年・女子・京都)
    • ハーバード大学の問題から、これからさらに変化し続ける社会との向き合い方や考え方を学べた。またリーダーの在り方についても知ることができ、自分の立場と置きかえて考えることができた。(中学3年・女子・広島)
  • 『やまがたZIP!「夢はかなえるもの~新米教師と校長先生の物語~』(山形放送)

    15分という短い番組でしたが、見ごたえがあって面白かった。校長先生の教育に対する熱量が伝わってきた。いかにして生徒との距離を縮めてよい関係を築くかを考えていて、校長先生面談などはいいと思った。インスタに毎日投稿していて保護者の人も学校の様子を見られるのがすてきだと思った。(高校2年・男子・山形)

◆委員のコメント◆

【最近聴いたラジオ番組について】

  • 『TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING』(J-WAVE)という番組を評価する感想があり、実際に聴いてみてとても面白い番組だった。パーソナリティーが低音で淡々と語り音楽をゆっくり紹介していく真夜中の番組のようで、私自身も引き込まれた。

  • 『大窪シゲキの9ジラジ』(広島FM)という地元の中高生を応援する番組の感想を読み、このようなローカル番組があるのだなと新鮮だった。自分のメッセージが読まれたりリクエスト曲がかかったりすることは本格的なラジオリスナーへの道につながるので、リスナーを増やすためにもこのような切り口はよいのではないか。

  • トレンド入りした“芸誕生日”という言葉が気になり『SixTONESのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を視聴したというモニターが、SNSを通してトークの面白さが伝わっているのだろうと書いていた。注目を浴びる人たちが生放送で出演し、まさにSNSとリンクしながらいろいろな相乗効果を呼ぶのは今どきのラジオ放送の在り方なのだろうと思った。

  • 特定のラジオ局一筋で聴いているという感想があったが、せっかくなのでいろいろな番組を聴いてみるといいのではないか。自分も若いとき、たくさんの深夜番組のなかから曜日ごとにハシゴをして聴いていたが、それぞれの違いや特徴が分かって面白かった。そういう聴き方のなかから自分に合う番組がもっと見つかるかもしれない。

  • 全体的にラジオを聴き慣れていないというか、新鮮な感想が多かった。メジャーな曲ではなくマイナーな曲を流していてよかったという感想もあったが、たまにラジオを聴くとそのように新鮮に受け止めてもらえる。だが、サブスク全盛の時代にそれがラジオに定着するきっかけになるかどうかは、少し難しいのかなと思った。

【自由記述について】

  • 新しいドラマやアニメを見ているが、なぜ再放送があるのか疑問だという声があった。サブスクが当たり前の時代、アプリやサイトで前の番組を見られるのになぜ再放送が必要なのかという若い世代の新鮮な感想だった。

  • 仕事に焦点を当てた番組が面白いという複数の感想があった。若い人たちは、職業を選ぶなど何か将来の勉強や参考になるようなところに注目するのだろう。青少年向け番組の中で職業を楽しく紹介するのは一つの在り方かもしれないと思う。

【青少年へのおすすめ番組について】

  • 『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ)への感想が多かった。この番組は、多様な子どもたちがたくさん登場し、誰一人同じ子どもはいない。それこそ多様性の象徴のようで、いじめも起きないしうまくできた番組だなと思いながら感想を読んだ。

  • 『ちびまる子ちゃん』に、「懐かしかった」「昔から変わっていなくて安心した」という感想があったが、なかなか複雑な感想だと思った。確かに見れば楽しめるけれど、普段は見るきっかけがないのでおすすめされないとなかなか見てくれないのではないか、とも思えた。いい番組でも中高生に普段から見る習慣を持ってもらうのはなかなか難しいのだろうかと考えさせられた。

今後の予定について

石川県金沢地区の放送局との意見交換会を11月22日(水)に金沢市で開催することを確認しました。
8月の定例委員会は休会とし、次回は9月26日(火)に千代田放送会館BPO第一会議室で開催します。

以上

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