放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第191回

第191回–2024年1月

TBSテレビ『news23』委員会決定の通知・公表について報告

第191回放送倫理検証委員会は、1月12日に千代田放送会館で開催された。
委員会が1月11日に公表した、委員会決定第45号TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見について、担当委員から当日の様子などが報告された。
12月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見が報告された。
関西地区ラジオ局との意見交換会開催の進捗状況が報告された。

議事の詳細

日時
2024年1月12日(金)午後5時~午後6時40分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、長嶋委員、西土委員、毛利委員、米倉委員

1. TBSテレビ『news23』「JA自爆営業」調査報道に関する意見の通知・公表について報告

TBSテレビは、2023年1月『news23』の中の「調査報道23時」において、農業協同組合(JA)で、共済営業の過大なノルマ達成の為に、職員やその家族が不必要な契約を結ぶいわゆる“自爆営業”が横行していると、顔をぼかし声を変えた職員の証言をベースに報じた。放送後BPOに、この職員と会ったことがあるという視聴者から、放送を見て取材に応じているのが誰であるかをすぐ特定できたという声が寄せられた。委員会は、取材源の秘匿という報道の原則が損なわれた疑いがあり、取材から放送に至る経緯等について詳しく検証する必要があるとして、同年8月に審議入りを決めた。
委員会で関係者へのヒアリングや資料の精査を進めた結果、以下の点が明らかになった。まず、本放送の取材は、内部告発者の同意に依存して映像の見た目を優先した形で進められており、内部告発者の状況や真意をくみ取った取材とは言い難く、情報源の秘匿すなわち内部告発者とは十分な時間を取って信頼関係を築き、彼らが置かれた状況を正確に把握したうえで、身元が特定されないための対策を講じるという本来放送局が負うべき責任を軽んじた対応であったことが判明した。また、内部告発者が使用を控えてほしいと頼んだ映像を、約束を失念して放送してしまっており、情報源の秘匿を第一に考えていれば起こりえない失策を犯していたことも分かった。更に、取材を担当したディレクターがひとりで映像編集も行ったため、事前の映像チェックが十分ではなく、最後の砦としてのプレビューが機能していなかったことも明らかになった。
委員会はこれらの点などが問題であると指摘し、取材源の秘匿が厳守できていなかったとして、本放送は日本民間放送連盟報道指針の「2 報道姿勢」の(4)「情報の提供者を保護するなどの目的で情報源を秘匿しなければならない場合、これを貫くことは放送人の基本的倫理である」に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。2024年1月11日、委員会は当該放送局に委員会決定を通知し、引き続き記者会見を開いて意見書を公表した。
この日の委員会では、委員会決定を伝えたTBSテレビ『news23』の録画を視聴し、委員長と担当委員が通知・公表時の様子について報告した。
通知と公表の概要は、こちら

2. 12月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告

12月に寄せられた視聴者・聴取者意見は1834件で通常ベースの数値となった。そのうち、性加害問題のあった芸能事務所に所属していたアイドルグループが出演した音楽番組での扱いについて批判が集中したことなどが事務局から報告された。

3. 関西地区ラジオ局との意見交換会の開催について

「関西地区ラジオ局意見交換会」に関して、事務局から事前アンケートの集計結果が報告され、当日の進行などについて話し合われた。

以上