青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第119回

第119回 – 2011年1月

視聴者意見について

中高生モニターについて …など

第119回青少年委員会は1月25日に開催され、12月14日から1月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基にバラエティー1番組について視聴し審議した。また、1月に寄せられた中高生モニター報告及び来年度の活動計画等についての審議が行われた。

議事の詳細

日時
2011年1月25日(火)  午後4時30分~6時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

日本テレビ『さんま&SMAP! 美女と野獣のX’masSP』(12月19日放送)について

青少年に人気のアイドルグループが出演する番組の内容について「低俗で下品であり、子どもには見せられない」などの批判意見が視聴者から多数寄せられ、番組を視聴の上審議した。

【委員の主な意見】

  • 当代の人気者を出演させているのに、あれだけ長時間にわたってくだらない内容を放送する局の姿勢が理解できない。もう少しテレビを大事にしてほしい。
  • 視聴者意見からは落胆感がにじみ出ている。さんま&SMAPの出演ということから子どもたちも期待感を持って見ているのに、下ネタばかりで意に反した内容だ。こういう番組がテレビ離れを助長させることに危惧を持つ。
  • BPO・放送倫理検証委員会の「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」にある”内輪受け”の典型のような気がする。スタジオ内の発言 を消音処理し、スタジオ内だけで盛り上がり、視聴者を置き去りにしている。
  • 生番組での悪乗りが行過ぎてしまったのかもしれないが、男同士でキスをするのは、夜の飲み屋など裏の世界で遊びでやるもの。表通りのテレビでやるべきではなく、見ていて不快に感じる人は多いはず。
  • 善意で考えると、今の文化を壊して新しい何かを創造しようと問題提起したのかとも思ったが、放送されたものについて番組制作者がどう総括しているかを聞いてみたい。

以上審議の結果、委員会としては上記各委員の意見をBPO報告及びBPOホームページに掲載することとした。

  • 児童施設に連続してランドセル等のプレゼントが贈られた事実の報道の際、視聴者から児童の顔を出しての取材・放送に批判の意見が寄せられた。この件について一部委員から、「個別の事情はあると思うが、将来的に問題が起きることも考えられ、許諾が得られていたとしてもそのことだけで判断せず、局内で慎重な議論が行われたうえで判断するべき」との意見が出された。

中高生モニターについて

12月~2月は「ドラマ・アニメ番組」のジャンルを取り上げている。1月のテーマは、最近「面白そうと思って見たドラマ・アニメ」の中から、「期待はずれだった番組」「つまらなかった番組」「嫌いな番組」を選び、何がよくなかったのか、どこがつまらなかったり嫌いだったりしたのか、その理由について率直な意見を書いてもらい、30人から報告が届いた。

【モニターの主な意見】

ドラマについて報告を書いてくれたモニターは17人(男子7人、女子10人)。最も期待はずれだったという番組は『美咲ナンバーワン!!』で、女子4人から意見が寄せられた。「”期待はずれ”という言葉は、この番組にピッタリだった。いくら『ごくせん』のスタッフが再集結したといったって、パクリにもほどがある。というよりも、『ごくせん』そのままだった。1話完結で、しかも同じパターンだから続きも気にならなかった。2話はおそらく見ないだろう」。
「多少は『ごくせん』っぽさが出ると思っていましたが、この番組は、まるっきり『ごくせん』そのものでした。”ヤンキー”たちが新しい担任との絆を深めていくという内容は実に素晴らしくよくできているとは思うのですが、もう少し変えてもいいのにな、と思います。しかし、『ごくせん』を見たことのない人には新しい感覚のドラマとして受け入れられるので、別にいいのかなとも思います。当たり前ですが、ドラマはどの年代をターゲットにしているかで、ガラッと印象は変わっていくということを学びました」。
次に、『Q10(キュート)』については3人から意見が寄せられた。「私が期待はずれだと思った理由は、まずドラマの設定がつまらなかったことです。以前、放送された『絶対彼氏』という番組と一緒で、人間型ロボットが主役という点でかぶっていましたし、このドラマが訴えたいメッセージがまったく無かったのも理由の一つです。制作者からのメッセージが無いのなら、見る意味も作る意味もないと思います。結局、今回視聴率を取れたのは、AKB48の前田敦子さんと佐藤健さんのおかげだと思います」。
「『Q10』は、放送時間が土曜日の夜9時からということもあって中高生の多くが見ていたと思うが、話の内容が無理やりすぎる。ドラマといえど、もっと現実的なストーリーにした方が自分たちとしても共感を覚えやすい。また、学園ものを作るのなら、高校生役なら、演じる人の年齢も現役高校生くらいにして、日ごろ学校生活を送るなかの自然な様子を演技に生かせば、その方がよっぽどいいドラマになると思う」。
そのほか、「『霊能力者 小田霧響子の嘘』が期待はずれでした。タイトル、ストーリーなど放送開始前に見たり聞いたりした情報では、『トリック』のパクリだと思いました。仲間由紀恵さんが石原さとみさんに、阿部寛さんが谷原章介さんということで、ストーリーも奇怪な事件を解決するとのことで、やっぱり同じ局ですし、まあいいかと思って見てみると、そのつまらなさにあきれ果てました。まず”笑い”ということで小ネタを入れたみたいですが、クスリとも面白くないし、スベリ祭り(まくり)です」。
「私が期待はずれだと感じたドラマは『フリーター、家を買う。』である。まずオープニングの映像から異議がある。一話の内容も見る前からこの先がバレバレである。強気で仕事に打ち込む姿が素敵なヒロインと、ダメダメな主人公というのをもう少しオープニングから強調してほしかった。そして肝心の内容だが、家を買ってない。せめて、もう買えるぞ、というところで終わってほしかった」。
「最近見たドラマで非常にがっかりしたものは、『検事・鬼島平八郎』です。レポートを書くときにこのドラマを振り返ってみたら、つまらないコントを毎週見ていたような気持ちになりました。50円を拾って交番に届けるシーンでイラっとしました。それが小学生のやることなら現実味がありますが、この主役は交番の警官が『持って帰っていい』と言っているのに『書類を書いたほうがいい』という。現実にいたら”正義感の強い人”か”めんどうな人だ”と思われるかのどちらかでしょう。それが主人公のキャラクターなのかもしれませんが、その役をいつもバラエティーで破天荒なダウンタウンの浜田雅功さんがやるので笑ってしまった」。
「僕が嫌いなドラマは『韓国ドラマ』です。最近どうしてテレビでは、韓国のドラマばかりやっているのかとても不思議に思います。『韓国ドラマ』はどれも同じような内容で、記憶喪失、御曹司、三角や四角関係のドロドロした人間関係、復讐といった分類に分かれるので、はっきり言ってどこが面白いのか理解できません。それにもかかわらず母は、よく見ていて、韓国語を覚えたとか言って『アラッそ!!でー…』とか訳の分からないことを言っています」。
特定の番組名を挙げず、最近のドラマへの要望も寄せられた。「最近のドラマはつまらないと思う。刑事ドラマや学園ドラマばかりで、家族全員で楽しんで見られるものがあまりないように思う。例えば『渡る世間は鬼ばかり』のような、殺人や暴力のない平和なホームドラマが減ってきて、家族で安心して見られるようなものがあまり見当たらないのがとても残念だ」。
「特定の番組ではありませんが、ドラマについて思うことです。(1)ヒットしたドラマの、PART2やPART3、PART4など、だんだんマンネリ化したり、映画化されたりしてそれも同じで”オチ”が予想通りなのが目立ちます。(2)アイドル頼みのドラマは、せりふの棒読みや下手な演技が目立ちます。もう少し演技力のある人を使ってほしいです。(3)漫画からのドラマ化が多すぎ、漫画のイメージとドラマが合致していなくて、ガッカリすることが多いですね」。
アニメについては11人(男子7人、女子4人)から意見が寄せられた。2人から意見が寄せられた番組は『ONE PIECE』である。「僕は『ONE PIECE』が好きだ。小学校低学年のときに見たのがきっかけだ。しかし、その後習い事を始めたので見ることができなくなってしまった。6年生のとき友人の家で『ONE PIECE』のマンガを読んだ。そこに感動やカッコよさ、面白さを覚えたので全巻を集めた。本当にマンガはすごいと思う。中学生になって久しぶりに放送を見た。面白くないことはなかったが、何か物足りない感じがしたし、戦闘シーンを誇張しすぎだと思う。また、マンガだと自分の好きなペースで好きな時間に読めるが、アニメだと決まったペースで進むので、考える暇がない」。
「SMAPのメンバーや明石家さんまさんが大ファンと言っていたので見ることにしましたが、何回か見ていると、戦った相手が仲間になったり、しつこいくらいの友情の押し付け合いがあったりで、全然面白いとは思えなかったです。売れている本が誰にでも面白いわけではなく、視聴率の高い番組が誰にでも面白いわけではないのでしょうね」。
マンガがアニメ化されてつまらなくなったという意見はほかにも届いている。「『GIANT KILLING』は、他のアニメに比べ絵にとても違和感があり、ストーリーに集中できません。線がやたらと多く感じられ、ゴチャゴチャしています。そのせいか、背景とキャラクターが一体化していて画面全体が見づらく、人の動きがギクシャクして迫力に欠けています」。
「『家庭教師ヒットマンRIBORN!』は、『週刊少年ジャンプ』に連載されていた原作を読んでいるのですごく好きなのですが、発売されている”キャラソン”がいまいちピンとこなかったし、”キャラ”も原作の方がアニメよりもずっとかっこいいと思います。原作ではあんなに迫力もあって面白かったのに、アニメになると原作のいいところがなくなってしまうのはとても残念です」。
「小学生のとき『バトルスピリッツ』というカードゲームにはまっていました。そのため『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』までは中学生になってからも早起きして見ていましたが、『バトルスピリッツ ブレイヴ』に変わったとたん、とてつもなく面白くない、と感じるようになりました。中学生になったことも関係しているとは思いますが、主人公が変わらず、キャラクターもほとんど前作と同じようで、敵の設定が曖昧すぎることが気に入りませんでした」。
「基本的にアニメ・ドラマが好きでジャンルを問わず見る僕ですが、自分が嫌いなアニメが一つだけあります。周りの友だちが見たというので、自分も興味本位で『エヴァンゲリヲン』という映画を見たことがありますが、予想を裏切るもので最初の30分しか見られずあとは寝てしまいました。また、テレビで最初の数話を見たのですが、内容が難しすぎるのと、背景に赤や青の原色が多く使われ目が疲れ、残酷なシーンも多かったので、長く見ているのがイヤになりました」。
「僕が”期待はずれ”と思った番組は『史上最強の弟子ケンイチ』です。僕はこの番組のストーリーが面白そうだと思って見ました。確かに第1話は、内容自体とても面白かったのです。しかし、ある程度物語が進んでくると30分番組のうち殆どが前回のあらすじか、回想シーンです。我々中学生の本分とは勉強であり、限りある時間をアニメに割きすぎる訳にはいきません。制作側が引き伸ばしをするのは、長く見てもらいたいからでしょうか?だとしたら逆効果だと思います」。
そのほか、長く続いている『ドラえもん』と『ちびまる子ちゃん』についても意見が寄せられた。「小学生のころ『ドラえもん』は毎週見ていたが、2005年あたりからまったく見なくなった。理由は2つある。1つは、絵がリニューアルする前の絵とかなり変わっていて、原作のイメージがなくなったように思うからだ。もう1つは交代した声優の声が違いすぎて、どうしても慣れることができないからだ。昔の声優を復活させてとは言わないが、せめて絵はあんなに変えないでくれよと思った」。

【委員の所感】

  • マンガが原作のドラマ化やアニメ化が多すぎるという意見が大半だった。特にアニメについては、主人公などに対するそれぞれの思いが反映されており、『ONE PIECE』の漫画が”面白い”と感ずる声と、アニメ化が”期待はずれ”と感じた意見には納得できるものがある。
  • 『韓国ドラマ』が多すぎるという意見は、大人たちにとっては安心して見ていられるから放送されているのだろうが、中高生たちにとっては”面白くない”という意見は、世代間の感性の差が読みとれる内容だった。
  • アニメについての意見には、かなり”専門性”があるように感じた。特に『史上最強の弟子ケンイチ』について、ストーリーは面白いが、30分のうちの多くが前回のあらすじや回想シーンで、制作者側が引き伸ばしをしているという指摘には、なるほどと思った。

「今月のキラ★報告」(神奈川・中学3年女子)

『ちびまる子ちゃん』を少し懐かしい気持ちで見てみたら、まるで教育番組のような内容になっていて少し残念でした。『ちびまる子ちゃん』のコミックスは全巻持っているほど漫画は好きですが、アニメは面白い要素だけスポンと抜いてしまったのでは、と思うくらいに、もともとの漫画の”良さ”が失われている気がしました。
従来の漫画でも”感動”をテーマにしているんだろうなという回もありましたが、最後は「父と母がケンカした原因が、ダイエット器具を買うか買わないかという、しょうもないものだった」という”オチ”もあったのに、今のアニメは、ストーリーは違いますが大体「お母さん…」とか「お父さん…」とか、まる子が感動(?)して終わりでした。道徳的なものを放映したいと思っているのかも知れませんが、それなら何も『ちびまる子ちゃん』じゃなくても、他に合うアニメがあると思います。
昔は、父・母・私・姉の4人で笑って見て楽しんでいたのに、今は『ちびまる子ちゃん』の終わり方に、照れくささとか気まずさといったようなものが残り、後味が悪いです。姉が今の私くらいのころ笑って見ていたということは、「私」が変わったというより、「アニメ」がだんだん変わってきていると思います。今、『ちびまる子ちゃん』を作っているアニメ制作の人は、もともとの『ちびまる子ちゃん』に愛着がないのでは…と疑ってしまいます。
私は『ちびまる子ちゃん』の面白さや内容、人気に頼って少し道徳をおりまぜるというのなら、どこかに『ちびまる子ちゃん』にしかできない部分が残ると思いますが、今のアニメは、『ちびまる子ちゃん』の人気、絵柄だけを利用しているので、他のアニメと似たり寄ったりになってしまっているような気がします。まったく漫画と同じにするのは無理な所もあるかと思いますが、いったん振り出しに戻って考えてほしい…と思いました。

【委員会の推薦理由】

『ちびまる子ちゃん』が教育番組のような内容に変質し、原作が持っている面白さが失われているという指摘は、子ども向け番組、ひいては子どもの文化が持つある種の避けて通れないジレンマを指摘したものだと思います。子どもの文化を大人はどのように考え、子どもに向けてどのような文化を発信するべきか、そうした重要な問いに関わる内容を含んだレポートとして評価されました。

2011年度中高生モニター募集について

青少年委員会では、放送と青少年のあり方について、一般視聴者だけでなく子どもたちの意見にも耳を傾けたいと2006年度からモニター制度を設けている。このたび、2011年度の募集を1月26日から開始した。3~4カ月単位で1つのジャンル(バラエティー・音楽番組、情報・報道番組、ドラマ・アニメ番組ほか)を取り上げ、意見や感想などを毎月報告してもらう。

委員長コメント一覧