青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第112回

第112回 – 2010年5月

視聴者からの意見について

中高生モニターについて …など

5月25日に開催した第112回青少年委員会では、4月16日から5月15日までに青少年委員会に寄せられた視聴者意見を基に審議したほか、5月の中高生モニター報告および調査研究について、担当委員からの報告および審議が行われた。

議事の詳細

日時
2010年5月25日(火) 午後4時30分~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、境副委員長、小田桐委員、加藤委員、軍司委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者からの意見について

担当委員および事務局より、今月の視聴者意見の概要の報告を受けた上で審議したが、今月は審議の対象となる番組はなかった。

中高生モニターについて

5月は「バラエティー・クイズ番組、音楽番組」のジャンルの中から、「嫌いな番組、面白くない番組」を選んでその理由を報告してもらい、32人からレポートが寄せられた。

【モニターの主な意見】

今回いちばん意見の多かった番組は『クイズ!ヘキサゴンII』で12件(男子5人、女子7人)。主な意見は、以前のようなクイズ番組ではなく”おバカ”ユニットの歌番組化していることへの批判や、司会者が番組を私物化しているという批判である。「最初6角形で陣組んで、頭のいい人たちの心理戦って感じだったよね? あの感じは好きだったのに…どうなってんの? しかも”おバカ”キャラが流行り始めてからはただの”イジリ”大会になって見ていて飽きる。疲れる。もうちょっと気の利いた答えは出てこないのかって感じ…」
「小さいころから芸能活動していた人を”バカ扱い”して笑い者にして、何がおかしいのか…と思います。”芸能人”という遠い世界のような人々が近く感じるテレビ番組なので、頑張る人々をバカにして笑いをとるのは、よくないと思います」「司会者の趣味としか思えない番組になっている。『◎◎と△△』次は『口口と××』など、次々とユニットを選んで歌を作り、しまいには作詞者本人の口から『名曲です。感動しました』などのオンパレード。もはやワンパターン化しています」 「人を見下して笑いを取ろうとする芸風とお決まりのグループのうまくも面白くもない歌など、内輪受け狙いの番組を制作する姿勢は今はやりの”ガラパゴス化現象”とでも呼ぶより仕方ないのかなと思う」「CDや本など、お金儲けの道具にしか見えない番組になってしまい見苦しい」「ペーパーテストで成績の悪かったタレントをみんなで笑い、画面で『”おバカさん”の思考を探る脳解明クイズ』と小見出しを入れるなど言いたい放題、やりたい放題…。人気のある番組ですから以前のような経済・歴史の脳解明クイズや、古今東西クイズなど趣向を凝らしてもう一度ヘキサゴンの原点に返って直してほしいと思います」。
次に批判的な意見の多かった番組は『行列のできる法律相談所』の4件。「法律をテーマにした番組なのに内容はくだらない内輪話や低俗な内容になっている。なかでも司会者の”出演者たたき”がひど過ぎる。出演者が離婚したとき、元夫が登場するとあおりながらも次週という構成も話題になった」「この番組にかかわらず最近の兆候として、ジャニーズ系やAKB48などの人気タレントを出演させて視聴率を取ることだけに熱中しているように思います。番組を作る人たちには、視聴率を取るということだけではなく、いかに見ている自分たちを楽しませてくれる番組を制作するかということに頑張ってほしいと思います」。
複数意見が寄せられた番組は『いきなり!黄金伝説』、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』、『魔女たちの22時』、『ミュージックステーション』の4番組。『いきなり!黄金伝説』については、「メニューを食べつくす企画ばかりになってつまらない。『3日間サバイバル自炊生活』のような企画を見る方が楽しかった」「店のメニューを食べつくすという企画は、私には食べ物を粗末にしているようにしか見えません。『無人島ゼロ円生活』を復活させてほしいです」。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』には、「下品なネタ、お粗末なゲーム、そしてお決まりの罰ゲームなど、実にくだらない」「深夜放送ならではのくだらなさも多少は必要だと思いますが、あまりにもくだらな過ぎだと思います。大物芸人を出演させるだけで安心しきって、内容がまったく練られていません。あくまでも視聴者にとって”面白い”番組を作ってほしいと思います」といった意見。『ミュージックステーション』には、「あまりにそっけなさ過ぎ。もう少し見せる工夫をしてほしい」「中学生でも知っている歌手を大勢出してほしい」という声が寄せられた。

【委員の所感】

  • 番組の私物化という意見が多かった。自らがプロデュースしているタレントの歌のセールスプロモーションの場になっている。キャスティングもファミリー化していたり、構成や演出方法もパターン化して内輪ネタや楽屋オチで出演者だけが楽しんでいたりすることへの批判が多かった。中高生たちが番組を冷静に視聴している様子がよく分かる内容だった。
  • 似たような意見が多かったが、番組スタート時の趣旨から外れてきたことへの批判が目立った。インタビューの仕方やナレーション、BGMや視聴者の涙を誘おうとする手法に対して、「それって同情の押し売りでしょ」という厳しい批判など、耳を傾けるべき内容だと感じた。
  • グルメ番組や”食べつくす企画”が増えているなかで、「うまい」「最高」以外の表現ができないタレントのボキャブラリーの貧困さを嘆く声も散見された。
  • 制作費削減のためか、視聴率を稼げる人気司会者や人気グループに頼りきった、換言すれば売れっ子タレントをコントロールできなくなっている「制作現場の劣化」を嘆く声もあり、改めて中高生の感性の鋭さを気づかされる思いだった。

「今月のキラ★報告」 (福岡県・中学3年生男子)

僕は、日本テレビ系列の『秘密のケンミンSHOW』があまり好きではありません。周りのみんなは「面白い」と言って人気ですが、僕はあまりそう思いません。この番組は、紹介された都道府県(地域)にとっては活性化に繋がったり、良い効果が生まれたりするかも知れません。しかし、たまに大げさに表現している時があります。なかでもこんなことがありました。かなり前に自分の住んでいる福岡県が紹介された時、「福岡県ではイソギンチャクを料理して食べる」という紹介があり、これは違うだろうと思いました。実際、イソギンチャクを食べるのは福岡県南部のごく一部の地域であって、この回を見た限りでは県民全員が食べているみたいでした。このことに対して特に悪くは思いませんでしたが、一番気の毒だなと思ったのは本当に食べているその”地域”です。これではその地域の文化あるいは特色が薄れてしまいます。同じ県民でも自分たちの地域とは少し違うところがあるから面白いのに、”××県が”という一言によって「県全体がそう」というように誤って認識され、一番重要視されるべき地域の「珍しさ」「面白さ」が減ってしまいます。視聴者獲得のためなのか、少し大げさなところが面白くない理由です。

【委員会の推薦理由】

番組は、”地域”それぞれが育んできた豊かな文化や慣習を紹介するものですが、一方でその文化が県全体のことのように理解され、BPOにも視聴者から意見が寄せられることがあります。しかし、今回のレポートはそのことは寛容に受け入れた上で、その文化や慣習の特性を失ってほしくないという視点から、”地域”の人々への優しい眼差しで書かれていることを評価しました。

調査研究について

2010年度から2011年度にかけて行う予定の調査研究について、委員4人からなるワーキンググループの議論の報告と、今後の日程等の作業予定について、担当委員から報告し、委員会として了承した。

委員長コメント一覧