第264回-2024年1月23日
中高生モニターからのリポートについて… など
2024年1月23日、第264回青少年委員会を千代田放送会館BPO第一会議室で開催し、榊原洋一委員長をはじめ8人の委員全員が出席しました。
委員会では、12月後半から1月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当の委員から報告がありました。
1月の中高生モニターリポートのテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」でした。
最後に今後の予定について確認しました。
議事の詳細
- 日時
- 2024年1月23日(火) 午後4時00分~午後6時00分
放送倫理・番組向上機構BPO第一会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
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視聴者からの意見について
中高生モニター報告について
今後の予定について - 出席者
-
榊原洋一委員長、緑川由香副委員長、飯田豊委員、佐々木輝美委員、
沢井佳子委員、髙橋聡美委員、山縣文治委員、吉永みち子委員
視聴者からの意見について
12月後半から1月前半までの1カ月間に寄せられた視聴者意見について担当委員から報告がありました。
若手漫才師が出場するコンテスト番組で、あるコンビが頭髪の薄い人を揶揄する言葉を連発したことについて批判的な視聴者意見が寄せられました。担当委員は「ルッキズム批判という形での意見がしばしば集まってくる。特定の番組を対象としなくても、(青少年委員会で)何らかの話し合いが必要になる可能性が出てくるかもしれない」と指摘しました。
宗教に関する問題を正面から取り上げた教養番組のなかで、進行役のタレントが芸能事務所所属のアイドルグループのファンをカルト宗教の信者になぞらえる発言をしたことを批判する意見がありました。別の委員は「意図的にカルト集団だと決めつけたわけではないだろう」という見方を示しました。
このほかに議論になる番組はなく、「討論」に進むものはありませんでした。
中高生モニター報告について
1月のテーマは「年末年始に見たスペシャル番組について」で、モニターからは合わせて14番組への報告がありました。複数のモニターが挙げたのは『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)と『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)でした。そのほかにも年末年始の番組は長尺のものが多くありましたが、リアルタイム視聴をしているモニターが数多くいたのが特徴的でした。
「青少年へのおすすめ番組」では『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)に10人から、『サザエさん』(フジテレビ)に4人から、『クイズ!国民一斉調査』(日本テレビ)に3人から、『歴史デリバリー「源氏物語はなぜ1000年も読み継がれたのか?」』(NHK Eテレ)に2人から、それぞれ報告がありました。
◆モニター報告より◆
【年末年始に見たスペシャル番組について】
- 『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)
- 母や祖母は、ブラックビスケッツとポケットビスケッツの約20年ぶりの特別出演を懐かしそうに見ていて、私と姉にとっても今はあまりない新鮮さがとても面白かったです。司会の浜辺美波さんと橋本環奈さんが、番組の展開に合わせて衣装を替えていてとても可愛かったです!また口パクで歌っているアイドルが多いと感じました。(中学1年・女子・千葉)
- 毎年さまざまなジャンルのアーティストが出演していて偏りがなく、いろいろな世代が楽しめるのはとても良いと思った。二次元のアイドルがCGで登場していて、しっかり最近の流行に合わせてきているのは新鮮で面白かった。(中学2年・女子・愛知)
- ディズニー100周年メドレーでは、たくさんの出演者が全員で「小さな世界」を歌っていてとても感動した。最近はウクライナでの戦争などあまり良いニュースがなかったけれど、こんな風にみんなが仲良くなれたらいいなと思った。(中学2年・女子・福井)
- クラスメートの多くが見ていて様々なアーティストが出演しているので、お互いの好きなアーティストについて知り、話す機会になりました。他では見られないアイドルグループのダンスコラボやアーティストのコラボが見られて、とても嬉しかったです。(高校1年・女子・茨城)
- 紅白は毎年見ていて、旧大手芸能事務所のタレント好きの私としては「一組も出場しないのでつまらないのでは?」と思っていたが、いざ見てみると若者中心の最新曲が多かったので、あっという間に番組が終わってしまうくらい楽しくのめりこみました。(高校2年・男子・山形)
- 今年は一部のアーティストの出場が取りやめになり、K-POPやドミノ、けん玉などの演出が増えたように感じました。あまりの多さに「この人は誰」「このアーティストはじめて見た」など家族で話題となり、若者向けに偏りすぎだと思いました。(高校2年・男子・山形)
- 出場アーティストが発表されるだけで色んな声が飛び交う、唯一無二の番組だと思います。今回の視聴率は、例によって過去最低を更新したらしいのですが、個人的には、もう視聴率という尺度で測るのにはどの番組に対しても違うのではないのかと思います。(高校3年・男子・神奈川)
- 『逃走中~お台場リベンジャーズ~』(フジテレビ)
今回の放送に限らず、生存者の表示が「女性はピンク、男性は青」なのはジェンダーの視点から「どうかな?」と思いました。また、芸人同士で侮辱するような悪口を言う人がいて、そういう芸風があるのはわかるけれど、人を傷つけない笑いが見たいと思いました。一年に数回しかやらない特番なので毎回見ています。今年も年越しの“生”逃走中を放送してほしいです。(中学1年・女子・島根) - 『豪華お年玉満載!金バク!新春SP 2024』(岡山放送)
視聴者はお年玉企画として楽しみ、芸人は痛めつけられず、取り上げられた店にとってもPRになるという、まさにWin×Winが成立した番組だと思う。香川や岡山に行く予定がない配信視聴者もお菓子の抽選に応募できて、本来あるべきバラエティー番組を見ることができてとても良かった。一方で店によって放送される尺がバラバラ過ぎて公平性に欠けていたと思う。(中学2年・男子・埼玉) - 『NHKスペシャル「2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの選択”-」』(NHK総合)
おおよその年代だけでなく年や月までとても詳細に未来が予測されていること、また最近になって身近になってきたAIが未来まで計算してしまうことに、とても驚いた。しかしAIが学習する情報には人間の意図が混じりやすく、AIが予測する「必然」では考えられない判断が生じたときには予測の方向性が大きく変わることも視聴者に説明しなければ、結論だけを押し付けていることになると思う。(中学2年・男子・東京) - 『月曜から夜ふかし元日SP』(日本テレビ)
全体を通してすごくおもしろい番組だった。インタビューをうけている人たちも面白いのだが、スタッフさんの淡々としたインタビューや返し、ナレーションやMCの突っ込みなども含めて、色々な要素が掛け合わさって面白くなっているのだと思った。(中学2年・女子・東京) - 『ゴールデンラヴィット!』(TBSテレビ)
(月)~(金)のメンバーが全員出ていて、わちゃわちゃ感がすごく増して楽しかったです。「もっとも忘れられないラヴィット!」のコーナーでは、家族で「なつかしいね」「これおもしろかったね」など話してすごく盛り上がりました。(中学2年・女子・栃木) - 『ドリーム東西ネタ合戦2024』(TBSテレビ)
毎年放送していて、私や家族はこの番組を見ると「正月が来たな」と感じるし、普段お笑いやバラエティー番組を見ないので、時間のある正月にスペシャル番組として見ることができるのは良いことだと思った。(中学3年・女子・滋賀) - 『はじめてのおつかい 新春小さな大冒険3時間スペシャル』(日本テレビ)
全国各地の子どもたちが挑戦する姿はとてもほほえましく、新春から心が温かくなった。子どもが5歳前後でひやひやする場面が多かったが、画面の中でも番組スタッフがかけ回っていて万全の対策をとっているのが分かるので、その体制を崩さないでほしい。一発撮りでスタッフの労力は計り知れないが、とても良い番組なのでこれからも放送し続けてほしい。(中学3年・女子・広島) - 『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)
- リアルタイムで視聴することが多く、視聴者としてスマホで参加できたり、家族や親せきと一緒に見ながら予想できたりするのが楽しいです。いつもテレビで見ている芸能人が成功するとすごいと思うし、外すと親近感がわきます。(中学3年・女子・福岡)
- 視聴者に答えを先に知らせてから芸能人のチェックの様子を見られるものや、芸能人のチェックを見終わってから一緒にドキドキしながら結果発表を見るものがあり、ずっと同じ流れではないため飽きずに見ることができた。(高校1年・女子・北海道)
- 『ウルトラマンDASH 2024冬SP』(日本テレビ)
毎年楽しみにしている番組で、トップアスリートがさまざまなミッションに挑戦し「こんなこともできるのか」と驚かせてくれます。アスリートの底力が見られて、時間内に達成できるのかというドキドキ感もあって楽しめます。(高校1年・男子・群馬) - 『輝く!日本レコード大賞』(TBSテレビ)
予想していたアーティストが大賞を獲って嬉しかったです。新人賞は、知っている人が誰もいなくてびっくりしました。(高校1年・女子・京都) - 『映画「Dr.コトー診療所」』(フジテレビ)
ストーリーの中に災害の話も含まれていたが、つい2日前に能登半島で大きな地震が起こったこともあり他人ごとには思えなかった。実際に映画を見終えた後、震災が起こった際にどのように対応するか家族で話し合いをした。テレビやラジオを見聞きすることで楽しむと同時に対策のきっかけになるのかもしれないと感じた。(高校2年・女子・東京) - 『WBC2023 ザ・ファイナル』(TBSテレビ)
有名なプレーを見せるだけでなく、なぜそれが行われたのか、裏で何が起こっていたのかなどを掘り下げて特集していたのでとても興味を引かれた。また、音楽番組やお笑い番組だとどうしても家族の好きなジャンルにばらつきがあるが、野球は選手や球団のファンじゃなかったとしても試合を見るだけで惹き付けられるので、家族全員で盛り上がりながらテレビを見ることが出来た。(高校2年・女子・愛知) - 『笑って年越し!THE笑晦日』(日本テレビ)
昔のドラマやバラエティー番組の映像を振り返るコーナーでは、当時を知る母は楽しんでいましたが、私にはおもしろさが分からなかったです。『エンタの神様』(日本テレビ)は数年前に見ていた時はおもしろかったのですが、時代も変わり、番組の構成が地味でネタ以前につまらない印象でした。もっと明るく芸人のネタで笑うことができたらよかったと思います。(高校3年・女子・北海道) - 『夢対決2024 とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日)
長く放送されてきたので、出演するアスリートは「この番組に出たかった」と言っていて楽しんでいることが伝わり、視聴者側も楽しくみることができます。毎回実施される「リアル野球盤」が一番おもしろく、球種を決めているときに見せる現役野球選手の楽しそうな顔は、こんな一面もあるんだと思わせてくれます。(高校3年・女子・京都)
【自由記述】
- 年末年始の特番で「これは見たい!」と思わせる番組が少なかったと感じます。もっとはじけた、テレビにしかできない特別な番組が見たいです。(高校1年・男子・群馬)
- 最近は二次元アイドルがはやっていて、私の周りにも好きな人が多くいる。二次元アイドルの特集番組がもっと見たい。(中学2年・女子・愛知)
- わたしの周りには漫画原作のアニメを視聴している人が多いが、アニメ化で画風が少し変わったり、実写化で自分のイメージと異なったりするのがいやだという意見が多い。漫画が人気だからといって、必ずしもアニメや実写版も人気になるとは限らないなと思った。(中学2年・女子・東京)
- 1月1日に起きた能登半島の地震で、アナウンサー(特にNHK)が人を不安にさせるような声量や声色で放送していたので、さすがプロだなと思った。(中学3年・女子・広島)
- 元日に起きた地震で、福井県の自宅で被災した。テレビをつけるとどの番組でも一心に危険を伝えてくれていて、怖かったけれど少し安心した。お正月で制作に長い時間を費やした番組もあっただろうに、地震のことを伝えるために全て延期や中止にして、ずっと「逃げてください」と繰り返してくれていたことが何よりうれしかった。命よりも大切なものはないと全員が思うことで、今回の地震のときの放送は成り立っていたと思う。日本はとてもいい国だと思った。(中学2年・女子・福井)
- 「見逃し配信があるので、テレビをリアルで見ることができなくてもいいのでは」と主張してきましたが、能登半島で大きな地震が起こったあと、被害状況をリアルタイムで伝えるのをみて、テレビは必要だと改めて思いました。緊急ニュースとして国民すべてに知ってもらうには、映像で流されるとすごく伝わります。テレビの威力はすごいと思わざるを得ませんでした。(高校3年・女子・京都)
【青少年へのおすすめ番組】
- 『大河ドラマ「光る君へ」』(NHK総合)
- 平安時代が歴史で一番好きなので放送を楽しみにしていました。紫式部が勉強を楽しんでいたので、私も楽しめるようにしたいと思いました。お母さんが藤原家に殺されてとても悲しかったです。平安時代にある理不尽は今の時代も残っているので無くなって欲しいです。(中学3年・女子・福岡)
- 日本史が好きなので、昔の京都の街並みや貴族の暮らしを学べてとても面白かった。貴族はみんな広い寝殿造りの家で暮らしているのかと思っていたが、庶民と似たような暮らしをしている貴族がいたことをこのドラマで知り驚いた。大河ドラマでは当時の暮らしや歴史の流れを学ぶことができるため、歴史の勉強の一環として見ている。(高校1年・女子・北海道)
- 平安時代らしい優美な曲調と映像が使われたオープニングで、話が始まる前からすごくワクワクさせられた。ストーリーも、主人公の父がなかなか官職に就けない原因を、父が大納言に宛てて書いた賢ぶって他の人をけなす稚拙な文章によって察させるところなど、登場人物の特徴を動作や振る舞いでしっかり表されているのがいいなと思った。ただ新しい登場人物が登場したときナレーションでさらっと名前を言っているだけだったので聞き逃してしまい人の名前がうまく把握しきれなかった。一瞬名前を文字で出すだけでも充分記憶に残りやすいと思うので初登場のひとには映像に名前を書き出して欲しいと感じた。(高校2年・女子・愛知)
- 『歴史デリバリー「源氏物語はなぜ1000年も読み継がれたのか?」』(NHK Eテレ)
- 劇や絵を使用して解説していたので、分かりやすかった。今年放送される大河ドラマにも関連しているので関心を持てた。(中学2年・女子・愛知)
- 江戸時代では庶民に読み継がれたように説明がありましたが、平安時代から日本語が変化をしているなら各時代で源氏物語が本当に読めたのか、読めたとしてもほんの一握りの者だけだったのではないかと疑問に思いました。(高校3年・女子・京都)
- 『サザエさん』(フジテレビ)
- 「カツオとワカメとタラちゃんの中で誰が一番好きか」と家族で話題になりました。父はワカメちゃんだと言っていて、今回の放送でもお父さん思いで優しい一面が見えて人気があるのだと思います。(中学1年・女子・千葉)
- 保育園に通っていた頃によく見ていて、久しぶりに見てとても面白かったです。私が一番好きなのは、カツオが他人の家にボールを入れてしまい、その家の人に怒られているシーンです。(高校1年・女子・京都)
- 『クイズ!国民一斉調査』(日本テレビ)
- 家族と予想しながら見て、とても楽しかったし面白かったです。クイズの内容が身近で誰でも楽しく見られると思いました。(高校1年・女子・茨城)
- 自分の感覚がどれだけ世間とずれているのかを知ることができました。%でクイズを答える問題があったりして、とてもユニークで面白いなと思いました。(高校3年・男子・神奈川)
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『第57回HBC少年少女合唱団定期演奏会』(北海道放送)
同世代が演奏している姿を見て、自分も一つ秀でたものを見つけて育んでいきたいと改めて思いました。朝の時間帯に「音楽」や「芸術」などの教養を身につけるきっかけとなる番組があることは、学生にも大人にも良い影響を与えると思います。(高校3年・女子・北海道)
◆委員のコメント◆
【年末年始に見たスペシャル番組について】
- 『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』(朝日放送テレビ)を視聴した高校1年生から「ドラマ番組にスピンオフ作品があるように、バラエティー番組でも撮影の裏側やアフタートークなどのコーナーを作って放送やYouTubeなどで見られるようにしたら、そこから番組を知って見てもらえるかもしれない」と提案があった。スタッフや制作体制、番組制作の舞台裏を知りたいという欲求は、若い視聴者の間では強いと実感している。
- 今月報告があった22人のうち、17人がリアルタイム視聴をしていたことは、今まであまりなかったように思う。正月休みだったことも、家族で一緒に番組を視聴したり番組に関する話をしたりするきっかけになったのだろう。
【自由記述について】
- 『輝く!日本レコード大賞』(TBSテレビ)を視聴した高校2年生の報告に「毎年見ていますが私の知らないアーティストが多数いるので、選曲基準が知りたいです。また一般人投票で決めれば老若男女の意見が反映されるのではないかと思います」という一文があったが、若年層がこう感じるのは自然かなと思う。昨今のアイドルのオーディション番組などは審査基準が明確で視聴者が投票できたり、『M-1グランプリ』(朝日放送テレビ)では審査員はいるものの点数が可視化されているなど、評価基準がはっきりしているのが一般的。そういった番組と比較すると、『輝く!日本レコード大賞』の選曲基準の分からなさは奇妙に映るのだろう。アワードとオーディションの違いではあるが、若年層にはぴんとこないのだろうと思う。
今後の予定について
次回は2月27日(火)に定例委員会を開催します。
以上