第158回–2014年5月27日
視聴者意見などを基に、「子どもが関わる事件・事故報道における配慮」をテーマに討論…など
第158回青少年委員会を、5月27日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。4月16日から5月15日までに寄せられた視聴者意見で討論の対象になったのは、子どもが関わる事件・事故報道における配慮についてです。その他、5月の中高生モニター報告、6月6日に予定されている沖縄での意見交換会、調査研究などについて話し合いました。
次回は6月24日に定例委員会を開催します。
議事の詳細
- 日時
- 2014年5月27日(火) 午後4時30分~午後6時50分
- 場所
- 放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 視聴者意見について
中高生モニター報告について
青少年委員会活動について
- 出席者
- 汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員
視聴者意見について
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情報系の番組で、被害者の同級生や学校の卒業生を顔出しでインタビューしているが、配慮が足りないのではないか、という視聴者意見や、事件の説明について配慮を求める委員からの意見もあり、子どもが関わる事件・事故報道での配慮をテーマに討論しました。事実関係の確認のため、関連する局に資料の提出を要望し、次回引き続き討論することにしました。
中高生モニター報告
■中高生モニター報告 概要
5月の中高生モニターは、「最近見た番組の感想(報道・情報・ドキュメンタリー)」というテーマでリポートを書いてもらいました。今回は31人から報告がありました。
『報道ステーション』(テレビ朝日)は5人が取り上げました。「特に良いのが特集で
す。分かりやすくCGなどを使い解説をしてくれます」(福岡・高校1年男子)、「サッカー日本代表メンバー発表は、各報道番組が工夫を凝らし解説していましたが、特にこの番組は面白く、わかりやすかったです」(兵庫・高校1年男子)などと賛辞が多く見られました。
ドキュメンタリーでは地方を舞台にした番組に関する報告が多く寄せられました。『福島をずっと見ているTV』(NHK Eテレ)「この番組を見て涙が出そうになりました。被災地の福祉や介護について私が何かすることはできないけれど、まずは現状を知ることが大事かなと思いました」(宮崎・高校2年女子)、『NEWSチャンネル4』(南海放送)「この番組の特集で愛媛県警に自動車警ら隊ができたということを初めて知った。地元局でこういうことを取り上げるのはすごく良いと思う」(愛媛・高校2年男子)。NHKのドキュメンタリーに関する報告も多くありました。『Brakelessブレーキなき社会~JR福知山線脱線事故9年~』(NHK)「この番組の完成度の高さに圧倒された。構成の工夫や画面の演出など、何をとっても素晴らしい。ここまで心に響く番組は、久しぶりだった」(東京・高校2年女子)、『ドキュメント72時間 上野公園 満開の桜の下で』(同)「この番組には自然に人間模様が表れます。広い社会を知り、多くの人の中での自分の位置を確認できるお気に入りの番組です」(大阪・中学3年女子)。
<自由記述欄>では、「ラジオ・テレビについて思ったことを自由に書いてください」と依頼しました。今回はラジオについて書いた報告が多数ありました。「地元のK-mix(静岡エフエム放送)の番組をたまに聞きますが、テレビのアナウンサーよりも丁寧語でないけれど、そこが親しみやすくてたまらなく好きです」(静岡・中学1年女子)、「私は日々ラジオを通して自分の好きな洋楽と出合っています。元気づけてくれる色々な曲が聞けるのは嬉しいです」(東京・高校1年女子)、『基礎英語3』(NHKラジオ第二放送)「毎朝欠かさず聞いています。リスニング力がUPしてとてもいいです!」(大分・中学3年女子)。一方、テレビ番組に対する批判も寄せられました。「最近はどの局も長時間似たようなスペシャル番組ばかり放送する。友達とテレビの会話をすることはあまりなくネットの話の方が多い」(東京・中学3年男子)、「主にドキュメンタリーで、はやりの俳優にナレーションをさせないでほしい。読むための発声をしていないので非常に耳触りだ。せっかくの番組が台無しになる」(東京・高校2年女子)。
■中高生モニターの意見と委員の感想
●【委員の感想】テレビ・ラジオ番組に関しての報告なのに、インターネットやYouTube、SNSに言及しているリポートが散見され、我々が考えている以上に中高生のテレビの見方が急激に変わってきている、という実感を持った。
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(広島・中学2年女子)『世界を変えるテレビ』(広島テレビ/日本テレビ)この番組を見て最初に思ったことはSNSの素晴らしさです。今、私たちの学校ではSNSに悪口を書き込み、いじめの原因になることが多く問題になっています。しかし、SNSにはデメリットだけでなくその人の使い方次第で世界を変えることができる力があるということを教えてもらえた番組でした。
●【委員の感想】番組の趣旨がしっかり中高生のハートに届いていると感じた報告があった。素晴らしい内容でそれを読むことによって間接的に番組の描いた情景にほろりとさせられた。テレビ番組の力を印象づけられた気がする。
- (宮崎・高校2年女子)『福島をずっと見ているTV』(NHK Eテレ)今回は南相馬市の老々介護についてでした。とても大変そうで、私は愛している人のために自分の人生を捧げることができるだろうか、と思いました。今自分のことで精いっぱいの日々を過ごしている私にとって、おばあちゃんたちは人生の先輩だなと思いました。
●【委員の感想】制作方法、描写の仕方など、冷静にテレビ番組を見ていると思われる優れたモニターがいた。私自身は見逃していたので残念だったが、この番組を作った制作側も素晴らしいと思った。
- (東京・高校2年女子)『Brakeless ブレーキなき社会~JR福知山線脱線事故9年~』(NHK)多角的な視点で事故原因に迫りつつ、過去・現在・未来の日本社会を捉えていく。様々な映像素材を使いながらも展開が自然なので混乱しない。タイトルも工夫が凝らされている。BBCとの共同制作であるこの番組をもっと多くの人に見てほしい。
●【委員の感想】ドキュメンタリーとは何ぞや?と問いかけたモニターがいたのにショックを受けた。モニターに応募してきた中高生はテレビ好きと思っていたが、やはり、中高生のテレビ離れはこちらの思っている以上に急激に進んでいるようだ。
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(東京・中学3年男子)ドキュメンタリーとはどんな番組でいつやっているのでしょうか。改めて自分がテレビ番組にあまり興味がないことに気づきました。自分から積極的にテレビをつけることはあまりないです。リアルタイムに放送されている番組を見ることは少ないですし、友達ともテレビについてよりネットの話題の方が多いです。
●【委員の感想】ドキュメンタリー番組は事実に基づいているが物語性もあることを実によく読み取っている。中高生がドキュメンタリー番組をもっと見る機会があればいいと感じた。
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(大阪・中学3年女子)『ドキュメント72時間 上野公園 満開の桜の下で』(NHK)桜を見る人も様々だが桜を見て思うことも人によって様々だ。しかし、桜が散ればその時間も終わる。つまり、自分を見つめなおす時間はたった一瞬だ。
●【委員の感想】テレビ番組に対する姿勢が実に多様化していると感じた。のめりこむ人もいれば、醒めて見ている人もいる。
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(秋田・中学2年女子)勉強で疲れた後は、コロコロ画面が忙しく変化するにぎやかなテレビ番組は見ていて疲れます。勉強疲れ、運動疲れ、仕事疲れを取り除いてくれるような癒しの番組があるといいですね。
●【委員の感想】テレビ番組を様々な角度から見ているモニターに感心した。自分なりの感じ方で人生の糧にしているようだ。
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(沖縄・中学2年男子)『クローズアップ現代 急増する野生動物被害』(NHK)これは人災なのでは?と私は思いました。人には人の言い分があるように、きっと動物には動物の正しい言い分があるんだろうなと思います。果たして、どちらが被害者で、どちらが加害者なんでしょうか。
●【委員の感想】青少年は今漠然とした不安を持っていて、将来自分に何ができるのか思案している子どもも多い。テレビ番組に勇気づけられた、と書いたモニター報告が印象に残った。
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(青森・中学1年女子)『世界を変えるテレビ』(青森放送/日本テレビ)私はこれを見て、やろうと思えばできないものはないのではないかと思いました。私よりも小さな子がこんな大きなことを思いついてやっていることは本当にすごいことだと感動しました。
●【委員の感想】テレビ番組や制作姿勢について痛烈な批判もみられた。
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(広島・中学2年女子)私が思うに今の多くのテレビに足りないものは、YouTubeのように新しいことに挑戦してみようという気持ちです。食べ物の番組が人気を集めたら同じような番組をたくさん作る、医療系のドラマが売れたら同様の番組をたくさん作る、同じことばかり繰り返しても視聴者は何も面白くありません。
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(広島・中学2年女子)私はバラエティーでやっている料理の値段を当てるクイズや人気の商品が何かを当てる番組内容は意味が無いと思っています。芸能人が高級な料理を食べて値段を当てることに何の意味があるのかと不思議に思うのですが、番組は続いています。
その他
- 6月6日に沖縄で開催予定の意見交換会について準備状況が報告されました。
- 調査研究の今後の予定が報告されました。