青少年委員会

青少年委員会 議事概要

第162回

第162回–2014年9月30日

深夜帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマを継続討論に…など

第162回青少年委員会を、9月30日に7人の委員全員が出席してBPO第1会議室で開催しました。まず、8月16日から9月15日までに寄せられた視聴者意見から、1案件について討論しました。その他、9月の中高生モニター報告、調査研究の現状報告、11月25日開催の在京放送局との意見交換会・勉強会、2015年2月に開催することになった山梨での意見交換会などについて話し合いました。
次回は10月28日に定例委員会を開催します。

議事の詳細

日時
2014年9月30日(火) 午後4時30分~午後6時30分
場所
放送倫理・番組向上機構 [BPO] 第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者
汐見委員長、加藤副委員長、小田桐委員、川端委員、最相委員、萩原委員、渡邊委員

視聴者意見について

前回の委員会で、第1話から第3話までについて討論した深夜の時間帯に放送されている4コマ漫画を原作とする連続ドラマについて、新たに第9話を全委員が視聴した上で討論しました。
委員からは、「前回の委員会で第3話までについて審議入りしないことにした。しばらくおとなしい映像だったが、第9話は新たに性的に刺激の強い映像があった。審議入りしなかった影響だろうか。これは地上波で放送して良い内容か疑問を持つ」「たとえ深夜であっても、こういった性的に刺激の強い映像が含まれる番組が放送されることについて改めて考える必要がある」などの意見が出ました。一方「前回視聴した第1話から第3話までと、大きく変わった印象はない。男性視聴者を意識した"卑わい"な性的表現ではないので改めて議論する必要はない」「この番組は女性視聴者を意識した番組作りになっていると感じる。"放送基準 第8章 表現上の配慮(48)不快な感じを与えるような下品、卑わいな表現は避ける"に照らしても、女性が見て"不快"や"卑わい"を感じない描き方をしている」「これまで問題にした性的に過激な番組は、過激なシーンを特に売りにしていたように感じたが、この番組は、全体の文脈を大切にした中での個々のシーンであると感じた」などの意見もありました。結局、今後の放送内容を注視しながら、さらに議論を深めていくことを確認し、継続討論としました。

中高生モニター報告について

9月の中高生モニターは、「番組企画を考えてください」というテーマで書いてもらいました。今回は27人から報告がありました。様々な企画を中高生ならではの視点から考えてくれました。中学生からの企画で目立ったのは、人気のアイドルを中心に据えた企画です。そのアイドルたちが司会をしたり、中心に出演する番組を見たい、という点で一致していました。
「『僕、救世主になります』主人公はジャニーズ系のタレント。天才・運動神経抜群、いつも一人でいる切れ者の男子高校生。主人公の頭脳と体で、いろんな部活を助けるたびに、主人公が、友達を作り人生を深く知っていく学園ドラマです」(滋賀・中学1年女子)。「『VS嵐~ファミリー編~』特別スペシャル版とし、嵐+一般家族+それをサポートする芸人が出演。普通の家族がいつも見ている番組のゲームに参加する。私も番組内のアトラクションをやってみたいなあといつも見ていて思うので、そう思っている人は多いと思う。新鮮な番組になるのでは」(佐賀・中学1年女子)。地方在住のモニターからは、地方の発展に役立つための番組企画が寄せられました。「『広島土砂災害~被災地域を復興させよう』私の自宅の近くには日赤病院などがあり、常時ボランティアを募集していますが、登録している人は高齢の方がほとんどです。今回の広島土砂災害では体力のある中高生の力が必要になるのではと思います。やるべきことは一杯あると思うので、地元のテレビやラジオで被災された方のニーズを発信する番組を継続して作るべきだと思います」(広島・中学2年女子)。「『沖縄県 中高生 生徒会 サミット』沖縄県内の中高生による生徒会活動を取り上げる番組。各校独自の取り組みや悩みなどを発表してもらい、それに対して他校の生徒がアイディアを出したり、アドバイスをしながらより良い学校にするためにはどうすればいいか話し合う」(沖縄・中学2年男子)。また、未来を見据えた企画も複数寄せられました。「『高校生の夢を叶えまshow!』高校生の様々な夢を叶える番組です。俳優や大工の仕事をしてみたい!外国に行きたい!ボランティアをしたい!など。関東の高校生よりも地方の高校生を主役にしたいです」(愛知・高校2年女子)。「『密着!あなたの仕事』内容:若者の未来を応援する番組で、毎週何かの職業についている人に密着し、仕事内容を放送する番組。その職業をめざしている学生が実際その仕事を体験する企画も盛り込む」(愛媛・高校2年男子)。

【委員の主な意見】

  • 珍しいスポーツにスポットを当てる番組企画をおもしろく読んだ。データ放送でクイズを実施し、LINEやTwitterなどからもコメントを投稿できるようにする、というアイディアも出され、今の中高生には、ソーシャルメディアが欠かせないのだと思った。

  • 何人かのモニターが、「似たような企画がいろいろな番組で取り入れられ飽きてしまうことが多い」とか、「番組の企画は飽和状態なのでは」などと書きつつ、「いざ、実際に自分が斬新な企画を考えようと思うとなかなか大変だ」と書いており、番組制作現場の苦労が少しは分かってもらえたのかと、感じた。

  • サブカルチャー、中でも、2種類以上のメディアミックス展開がなされ二次元のもので今はやりのものに限定して紹介する番組の企画はおもしろく読んだ。「"オタク"を名乗るに恥じない教養を身に着けることができる番組」という表現に"オタク"の中高生のプライドが表れているように思った。

  • 『リケジョの好奇心』というタイトルで理系寄りの女子が、こうなったら面白いだろうなというようなことに挑戦していく番組企画には感心した。「身体測定の時体重を軽くするには」とか、「おならを我慢できないときに吸収するシートは作れるか」など具体例も挙げてあり、女子ならではの視点がうまく活かされている内容だと思った。

  • dボタン(データ放送)の存在を知って、大変興味をもち、もっとテレビ画面や企画内容の充実に使うべきだと述べているモニターが数人いたのが印象に残った。

  • 若い人に人気のあるタレントをナレーターやキャスターに採用して日本文化を英語で伝える番組を作り、中高生の見られる時間帯に放送すべきだという提案には一理あると思った。

【モニターの企画書に対する在京局の現場の方から届いたコメント】

◎企画1.『キミの夢を叶えよう!』(宮崎・高校2年女子)

出演者他:司会はお話のうまい芸人さん二人(個人的な意見ではありますが、ブラックマヨネーズのお二人のような方がいいです)。
番組内容:夢を追いかけている人の夢を番組で応援し、叶えてあげよう!という番組です。
昔は、『学校へ行こう!』など学生向けのそのような番組が多かったように思いますが、最近はどうも出演者だけが楽しんでいるように思えてしまいます。そこで、夢を叶えたいと思っている方を毎回募集し、番組に出ていただき、時にはその人の目指している方を番組にお呼びしてお話を聞いたりします。ですが、"やらせ"みたいになってはいけないと思うので、必ず夢が叶うわけではなく、叶わない時もあってよいと思います。夢にも「どんな職業に就きたい」だったり、「誰かに会いたい」だったり様々なものがあると思いますが、夢の大きい小さいに関わらず、どんな人でも出られる、視聴者が身近に思える番組が良いと思います。やはりどうしてもテレビ局側的には話題性のある人に…という思考があると思いますが、小さな夢でも叶えていくことで「夢を持とう!」と思ったり、夢を持っている人にとっても夢を叶えている人を見て、「私も頑張りたい!」と刺激になったらいいなと思います。私の周りにも「夢がない、夢が欲しい」と嘆いている人がたくさんいます。そんな人たちが少しでも夢を持ってもらえるような番組ができたら私はもっとこれからの社会が盛り上がっていくのでは…と思います。

【フジテレビ 編成制作局バラエティ制作センター プロデューサーの感想】

皆さんからの企画書を見て、テレビから"ためになる"情報を得たい、そして発信したい、という気持ちを改めて実感しました。その中で意外だったのは、『密着!あなたの仕事』『高校生の夢を叶えまshow!』『キミの夢を叶えよう!』など、将来の夢の実現に向けて、仕事・職業体験や企業への潜入を扱う企画が多いことでした。皆さんがいかに真面目にテレビのことを考え、テレビに期待を持ち、さらにテレビからまだまだ学びたいという思いがあることが伝わり、とても熱い気持ちになると同時に、夢のある企画書だなと思いました。テレビ番組だからこそ、普段は潜入できない仕事現場に赴き、それを体験し、伝えることができる。実際このような形態の番組はこれまでいくつも作られてきました。それだけ作られてきたということは、視聴者のニーズがそこにあり、それに応えている企画であることに間違いありません。その上で新しい切り口や展開を皆さんの新鮮味あふれる発想で見つけられると、素敵な新しい番組の誕生になると感じました。

【NHK 制作局 青少年・教育番組部 チーフ・プロデューサーの感想】

皆さんからの企画書を見て、話題の人や旬のタレントを起用したいという企画が多いですが、芸人さんを並べたよくあるトークバラエティーではなく、見せ方や中身が具体的に考えられており、テレビのことをよく知っているなと感心しました。また、『高校生の夢を叶えまshow!』『キミの夢を叶えよう!』や『密着!あなたの仕事』など、中高生が自分たちの将来について強い関心と興味を持っていることが分かりました。日頃の番組作りに活かしたいと思います。

◎企画2.『タモリの未知の世界』(東京・高校2年男子)

この番組は、タモリが毎回違うゲストと、あるテーマに関し、とことん議論する番組です。
テーマの選択は、そのゲストにまつわる物事(ゲストがミュージシャンだったら、楽器や音響設備、コンサート時の観客について等々・・・)。タモリは、あらゆる人とのコミュニケーションもとれ、また雑学力が抜きん出ているので、1時間の枠の中でゲストの人格からその人の背景的な話まで踏み込んで聞けるのではないかと思います。場所設定は、周りが白に統一されたスタジオ内で、スタイリッシュっぽく。二人の存在感が伝わり、引き立つと思います。

【日本テレビ 制作局 チーフ・プロデューサーの感想 『世界まる見えテレビ特捜部』『ナカイの窓』など担当】

今回は、中高生に身近な企画が多くありました。そう言えば、最近の地上波タイムテーブルは、中高生が夢中になる番組が少ないように感じられます。反対に、中高生向けのヒット番組が生まれやすい状況、とも言えます。そんな中、『密着!あなたの仕事』は、一見地味な感じがしますが、『ダーツの旅』のように、素人の使い方次第で大化けする可能性のあるいい企画です。また、『タモリの未知の世界』は、想像するだけでワクワクする、イメージしやすい番組でした。

☆自由記述欄1.(東京・高校2年女子)

『おはよう日本』(NHK)を錦織圭選手の決勝戦の際に視聴していたが、得点が左下に逐一表示されていて、何とも言えない違和感を覚えた。試合と全く関係の無いニュースの間も表示されており、まるでスマートフォンの画面を見せられているようで落ち着かなかった。

☆自由記述欄2.(東京・中学2年女子)

視聴率が悪いと打ち切りになると聞きます。最近、『信長のシェフ』(テレビ朝日)が突然終わってしまったのもそのためでしょうか。友達のすすめで見始め、放送のあった翌日は学校で友達とドラマの話で盛り上がっていました。そんな会話ができなくなり悲しいです。ドラマの終わり方もひっかかりました。特に大きな事件もなく、ハッピーエンドなのかそうではないのかが分かりませんでした。よく分からない結末であったことにもがっかりしました。せめて終わり方だけでもきれいに終わってほしいと思いました。残念でした。

☆自由記述欄3.(宮城・高校1年女子)

芸能人だけではなくて、視聴者も番組の企画に挑戦できて、企画に成功すれば視聴者も賞金をもらえることができる番組が見てみたいと思う。今のテレビ、主にバラエティー番組には、「視聴者も番組の企画に挑戦できて、成功すれば賞金をもらえることができる番組」が無いのが、ちょっと残念に思う。dボタンでクイズ番組には参加できるようにはなってきているが、その番組もワンパターンで正直つまらないと感じる。もっと参加できる種類を増やすなど、まだまだ課題は多いといえるだろう。

◎企画3.『ティーンへのおすすめ流行りもの』(大阪・中学3年女子)

中学生~高校生の世代で今流行しているものや注目の人などを教えてほしい。女子はとても流行に敏感なので、これを見れば友達の話にもついていけるし、「あの番組で〇〇が紹介されていたから、今度買いに行こう。」という話も出そうだと思う。私は流行が気になるものの、ファッション雑誌は1度読むと終わってしまうので、あまり買う気にならないし、雑誌の付録もかぶったりしてしまいそうで気がすすまない。そこで、ティーンの人々がハマるようなかわいいセットで情報を伝えてほしい。10分くらいはファッション・持ち物についての情報(女子)、また別に10分くらいで、今注目の人コーナーをやって、男子のファッションも少し扱い、後5分は映画や音楽のランキングや占いなどで、残りはCMなどが良いと思う。相談などを受け付けたり、HPからコメントや流行の情報を番組の担当者に伝えるシステムも作り、その中から次週などの話題を決めると良いと思う。おもしろければ、評判になり、みんなが見る番組になると思う。

【テレビ朝日 編成制作局制作1部 統括担当部長の感想】

全体の講評:中・高生の皆さんからの提案を見てまず思うのは、「テレビを作っている大人側の都合」についての疑問が目につくなぁ、ということです。「なんで錦織選手の全米オープンテニスは得点だけテロップで紹介されたのか?」「楽しみにしていた番組が突然終わる」「視聴者が参加できる番組が少ない」「もっとスマホで番組に参加できるような仕組みを」などなど…。テレビを作っていた大人としての言い分はそれぞれにあるのですが、ネットをはじめとする数年前にはなかったさまざまなメディアがどんどんユーザーフレンドリーな試みを打ち出す中、テレビだけが様々なルールや自主規制で縛られていては中・高生の皆さんにとって面白いものになろうはずもありません。そんな作る側は皆さんに見てもらえるように工夫をし続けています。皆さんに見ていただきたいのはその番組はどういった問題点をクリアしたのか、何がこれまでにない新しい点なのか、そういったことに注意して見てもらえればもっとテレビを面白く見てもらえると思います。

◎企画4.『ハッピー☆スクールライフ』(東京・中学2年女子)

私が企画したい番組は1話完結の学園ドラマです。流すのは週1回で30分のものです。
学園ドラマにしたいのは、やはり、中学生は学園ドラマが好きでよく話題になるからです。特に恋愛系は周りの友達も大好きで盛り上がります。最近は、映画『近距離恋愛』の話でもちきりです。その映画のようなドラマを企画してみたいです。30分というのは、中高生が見やすい手頃な時間だと考えます。部活、学校、塾などで忙しい中高生にとっては必ず見続けることができそうな時間だと思います。また、30分で1話にすることで、内容の詰まったドラマができそうです。

◎企画5.『アニメ日本の歴史・世界の歴史』(東京・中学2年男子)

日本や世界の歴史を子どもも大人も楽しめる本格的なアニメで学べる番組。内容もしっかりしたもので、あまり知られていない話も盛り込まれているとうれしい。小学生の時、マンガ日本の歴史、世界の歴史の本を読みまくった。教科書だとあんまり頭に入ってこないことでもマンガだと、どんどん入っていった。アニメだともっと頭に入るのにと思ってネットで探したけど、なかった。あったら絶対ヒットすると思う。みんなが見る時間に真面目な番組が増えた方がいいと思う。繰り返し再放送したり、DVD販売したら、もっといいと思う。

◎企画6.『週刊これだけ知っ得!』(東京・高校1年女子)

出演者他:『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日)に出演している先生方など
番組内容:1週間に起こった出来事を週末にまとめて、分かりやすく話題の先生方に解説してもらう番組。1週間に起こったことを簡潔にまとめて、日々のワイドショーだけでは理解できないことを教えてもらうことにより、学校での勉強にも役立ち、また社会の常識も得ることができる。

【TBSテレビ 制作局 プロデューサーの感想 『水曜日のダウンタウン』『ガンミ!!』など担当】

テレビ制作の仕事が長くなると、こんな番組がやりたい、見たい、という純粋な思いの合間に、「実現できるか」「視聴率をとれるのか」という打算めいた考え方が入り込んでくるようになります。今回読ませていただいた皆さんの企画は、「見たい」や「知りたい」「参加したい」に溢れていて、番組作りの原点とは何か、を改めて考えさせられました。また、アカデミックな視点を持ったものや、30分程度の時間を想定した企画が多数見られたことが新鮮な驚きでした。

調査・研究について

  • 「中高生の生活とテレビに関する調査(仮)」について、3,000人を超える中高生のアンケート調査が終了し集計作業に入っていると担当委員から報告がありました。

今後の予定について

  • 11月25日(火)に開催予定の「在京局との意見交換・勉強会」について、準備状況が事務局から報告されました。

  • 当初2015年1月に予定していた意見交換会を2月に山梨で開催することを確認し、準備状況が事務局から報告されました。

委員長コメント一覧