青少年委員会

青少年委員会 議事概要

休会

休会 – 2012年9月

中高生モニターについて

中高生モニターについて

8月はBPO青少年委員会の「青少年へのおすすめ番組」を視聴してもらい、その感想を報告してもらった。8月の「青少年へのおすすめ番組」は全国の放送局から62番組が推薦された。
モニター報告は30人から寄せられた。なるべくそれぞれの地域の番組を視聴してくださいという依頼をしたが、結果的には全国ネットの番組を見ての報告が多くを占めた。関西テレビが制作するドラマ『GTO』に関しての意見が6件あり、「見ていてジーンときた」という一方で「学園ドラマでありながら、リアルな等身大な話でなかった」などの意見に分かれた。テレビ東京の『池上彰の戦争を考えるSP~戦争を起こした独裁者と熱狂~』は4人から「戦争はきれいごとでは語れない」「戦争に対する理解が深まった」などの感想が寄せられた。NHKの『トキ誕生~36年ぶりの奇跡を支えた男たち~』も4人から、トキを育てる苦労を「ドラマチックにしすぎることなくしっかりと構成していた」「胸が熱くなる内容に心を打たれた」などの報告があった。各地の放送局では、広島テレビの『除染の島へ 故郷を追われた27年』や広島ホームテレビの『HOME Jステーション』の原爆投下を取り扱ったコーナーへの感想や、仙台放送の震災復興番組『ともに』、福島テレビの『きみこそみらい』にも感想が寄せられた。
前回からはじめた<自由記述>は、「いじめ」についての感想をお願いした。「いじめは犯罪だと思う」「相談できる人を作ることがいじめを乗り越える一番の薬だ」という意見とともに「いじめの根本をなくすのはテレビの役目ではない。いじめられたり悩んでいる子も元気になれるような番組を作ることだ」という指摘もあった。

【主な意見】

  • 「『池上彰の戦争を考えるSP~戦争を起こした独裁者と熱狂~』(テレビ東京/テレビ北海道)は、主に第二次世界大戦時の日本、ドイツ、そして現在のリビアの特集でした。戦争中の日本の映像を見て、番組内でいわれていた”国民の熱狂が独裁者を作り、戦争へと導いた”という言葉の意味がよく分かりました。番組内で”ここまでいくと、国家による国民の洗脳だ”と言っていましたが、私もそのとおりだと思います。さて、”毒母”と呼ばれる、子どもに自分の(時にはまちがった)価値観を洗脳する(刷り込む)母親がいます。この言葉は精神科医の斎藤環さんが造った言葉です。でもそれは子育てをしていたら絶対起こることで、洗脳しない母親はネグレクトです。この毒母に対して中村うさぎさん(小説家、エッセイスト)は”虐待やネグレクトは許せないけれど、価値観を洗脳しない母親はいない。だから、自分で社会に出て新しい自分の価値観を手に入れる、それが自立ってことだと思う。いつまでも母親のせいにするな”と言っていました。私は”国家による洗脳”にもこれが当てはまると思います。だから、それに甘んじるのではなく、自分で調べて、見て、考えることが大切だと思います。私は、戦争のことも含めて、自分で悩んで手に入れた価値観をもった人間になりたいと思いました。」(北海道・中学3年女子)
  • 「私は『池上彰の戦争を考えるSP~戦争を起こした独裁者と熱狂~』(テレビ東京)という番組を見ました。私はもともと国際情勢に興味があり、今、アサド政権のもとで行われているシリアの内紛などにも関心があります。私が思うこの番組の良い点は、池上彰さんの戦争についての解説がわかりやすかったという事です。まず日本とドイツについて学んで、それから今へとつなげています。また、アウシュビッツ強制収容所の様子や、リビア国民がカダフィ政権下の苦しみを語るシーンが映し出されたときは胸に熱い思いが込み上げてきました。」(東京・高校2年女子)
  • 「私は今回『地球アゴラwith you 空の旅支える若者たち』(NHK-BS1)を視聴しました。今回は旅客機にかかわる仕事が紹介されていました。旅客機というと、CAやパイロットなどが思い浮かびますが、番組では空の旅を支える”知られざる仕事”として、客室乗務員のスケジュール管理をする人・航路の作成をする人・エンジンを整備する人・各飛行機ごとの燃費を計算する人・お客様の声に耳を傾ける人・機内での設備を考える人などの方々が出演されていました。いつもは見えない、一つの旅客機を飛ばすのにどれだけの人の努力がかかっているかがよくわかり、とてもいい番組だったなと思いました。ただ、司会の男性が少し出演者の方に対して失礼な言動があったのでは、と感じました。」(神奈川・高校2年女子)
  • 「『トキ誕生~36年ぶりの奇跡を支えた男たち~』(NHK総合)を見た。この番組は36年ぶりのトキの野生ふ化を陰で支えていた3人の男性への密着などをもとに、この快挙の裏側にあった惜しみない努力をまとめたもので、たった47分のドキュメントだったが、その完成度の高さに驚いた。全く無駄のない構成と、考えさせられ胸が熱くなる内容に心を打たれた。この番組が放送された2日後、今回野生ふ化した内の3羽のひな鳥の母親であるトキ一羽が死んだというニュースが皮肉にも新聞に掲載されていた。この小さな記事から、私は様々な人物の顔が頭をよぎる。」(東京・高校2年男子)
  • 「『GTO』(テレビ静岡/関西テレビ)の第6話を見ました。全体的に安っぽい感じがしていると思いました。だから、僕はこのドラマを見て特に心を動かされたとか、学んだという感じにはなりませんでした。僕はこのドラマは第1話だけ見て、見るのをやめていましたが、設定などがとてもシンプルだったので、この回だけ見てもストーリーを理解することができました。そのような誰でも見ることができる感じは良い点だと思いました。学園モノのドラマでは、若手俳優がたくさん出るのは仕方ないし、その方が僕もよいと思います。でもその分、全体の演技力なども下がってしまうのではないかと思いました。また、『GTO』は前にも実写化されている作品だし、原作もあるので、いろいろなものと比較される作品だと思います。だからこそ、脚本や映像などで質を高めた方がいいのではないかと思いました。」(静岡・高校2年男子)
  • 「私が見た番組は『NNNドキュメント‘12 除染の島へ 故郷を追われた27年』(広島テレビ放送)と『HOME Jステーション』(広島ホームテレビ)の2つです。どちらも、内容は67年前の原爆投下の話です。1945年8月6日から67年が経ち、当時広島で被爆した方々もだんだん少なくなっているようです。番組を見て、原爆の恐ろしさや戦争の怖さを経験した被爆者が減ってきている今、若い人々に伝えていくためにもテレビの力は大きいと思いました。人間がこのような過ちを二度と起こさないためにも、実際に原爆が落とされた広島や長崎だけではなく、日本全国で平和を伝える番組を放送していかなければならないと感じました。」 (広島・中学2年女子)
  • 「『シンサイミライ学校 楽しく!真剣に!学ぼうBOSAI』(NHK Eテレ)を視聴しました。8月14日の”人間力”では、15分という短い放送時間の中で防災の方法を紹介している点が、端的でわかりやすかった。15日の”命を守る絆”では、宮城の子供たちの実経験を直接伝える方法は正確で、素直に受け入れることができる。16日の”まち発見”では、自分もときどき行く京セラドームが海のそばにあることに驚き、自分の知っている場所が取り上げられることで役に立つことがあった。17日の”ふるさとの未来”では、年に6回も防災訓練のある小学校を取り上げていた。小学生対象の番組というより、地域、学校関係者にもっと見てほしい。ただし、カタカナの番組名はわかりやすそうでわかりにくいです。」(大阪・高校1年女子)
  • 「僕は、8月5日に放送された『Team Earth』(静岡朝日テレビ)を見ました。5分間というとても短い番組でしたが、見所がたくさんありました。昭和30年代の里山の復元を目指している場所での自然体験で、自分も小学校の頃に戻って体験をしているようでした。普段なかなかできない川遊びでは、より自然を身近に感じることができたと思います。野菜の収穫では、自分が収穫した野菜を食べることによって、食べ物を大切に感じると思います。夏休みだからこそできる、自然体験だと感じました。年々減りつつある、森林やきれいな川。この運動が広がって、静岡の自然、日本の自然、そして世界の自然も守ることができるといいと思います。」(静岡・中学3年男子)
  • 「私は『ともに』(仙台放送)を視聴しました。初めてこの番組を見ました。震災からの復興についての番組でした。1時間の中で4つほどの内容を取り上げているので、たくさんのことを知ることができて、よいと思います。番組の終盤に被災地の様子を伝えるコーナーがあり、その映像にはいまだに残っているがれきなどが映っていました。被害を受けた方々は、とても暗い気持ちになり、震災時のことを思い出してしまうのではないでしょうか。がれきの映像を入れずに被災地の状況を伝えるのは難しいでしょうから、せめて編集の時にがれきが大きく映っているシーンはカットするなど、被災者の方々にもう少し配慮して流してもらえれば、もっと良くなるのではないかと思いました。以前のように震災当時の映像がなくなったのは良いことではないでしょうか。」 (宮城・中学1年女子)
  • 「『きみこそみらい』(福島テレビ)を見ました。10代限定の夏フェス”閃光ライオット”から本当にデビューする人がいる。それも福島市に住んでいるなんて驚きました。このイベントは『SCHOOL OF LOCK!』というラジオ番組(エフエム東京系)で募集していたものです。そんなラジオ番組から本当にデビューしてしまう人がいるなんて、このテレビを見るまで知らなかったので、驚いただけでなく応援したくなりました。まず、自分で作詞作曲していることに感動です。自分が生まれ育った福島のことを歌詞に入れ、福島を誇りに思っていることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。」(福島・中学2年女子)

【委員の所感】

  • 多くのモニターが、ドキュメンタリーを見ながら登場した人が発した言葉の真の意味を深く理解しようとしたり、テレビが伝えたことからさらに一歩踏み込んで自分なりに考えたり解釈したりする視聴をしていることがよくわかり、リテラシーの高さに感心しました。
  • 夏休みのためか長編ドキュメンタリーを採り上げ、戦争や絶滅種保護・環境といったスケールの大きなテーマを自分に引き寄せて考えようとする意気込みにあふれる報告が多く、大変心強かった。自由記述欄の「テレビの役割はいじめをなくすことではなく、いじめられたり悩んでいる子を元気にすること。演じる側に優しさがあればいい」という意見は目が覚めるよう。こういう意見が子どもの方から出てきたことの意味を考えたい。
  • 地元局の番組を視聴している中高生が少なからずいたことを、心強く感じた。地域のことをよく知っている制作者がテーマを考え制作している番組を大切に育てていくことは、地元視聴者の大事な使命だと考える。東京から送られてくる番組中心の編成に疑問を感じているということだろう。放送局は今こそ、多様性や地域性を重視すべきだ。
  • 番組を批判的に見て鋭いコメントをしている人が数人いたが、番組制作者には、ぜひこれらのコメントに耳を傾けてほしい。

【今月のキラ★報告】 長野・高校1年女子

NEWS23クロススペシャル(8月5日・TBSテレビ)

今まで終戦の日に広島長崎の原爆の恐ろしさをテレビで耳にしても、なかなかその怖さを自分のこととして実感できなかった。今回、綾瀬はるかさんのリポートを見て、私の戦争に対する意識が少しかもしれないけれど変わってきた。
私と同じ年で原爆に遭遇してしまった龍智江子さん、本当はテレビ取材は嫌だったろうと思う。67年も前の忘れたいけれど忘れられない記憶を蘇らせてしまう1枚の写真には少女の悲しみが焼き付いている。焼け焦げてしまった母親の横で、父親が防空壕から瀕死の状態の向かいの子ども耐子さんを必死に助け出す姿を、どんな思いで見ていたのだろう。智江子さんは悲しみも何もなかったとおっしゃっていたが、現実のこととして受け入れがたかったのではないだろうか。T字型の防空壕でなぜ助かったのかアメリカ軍が調査して原爆でも安全なシェルターをつくったと言っていたが、何ともやりきれない気持ちにさせられた。あの惨状を見てアメリカ軍はなぜ間違ったことをしてしまったという気持ちにならなかったのだろう。ただ、そのアメリカ軍以上に、深い悲しみに包まれた被曝された女性たちを差別してきた日本人も同罪のように思う。戦争は本来の人間らしい優しさを奪い全てを狂わせてしまう。
世界のどこかでまだその過ちが繰り返されているのを止められるのは、龍さんや耐子さんのように実際に悲惨な戦争を経験された生の声だし、それを語り継ぐ報道の力もとても大切だと思った。

【委員会の推薦理由】

戦争体験者への取材番組について、取材を受けた人の気持ちに配慮する視点を持ちながらも、戦争体験者の生の声を語り継ぐことの必要性を指摘している点が高く評価されました。

【自由記述】

今回の<自由記述>は「いじめ」について、最近の番組で気になったことや、日ごろ感じていることについて書いてもらった。

  • ニュース番組やワイドショーでのいじめの取り上げ方は、事実をただ伝えるだけで、深い検証などをしている番組はなかなか見かけないと思いました。
  • いじめ問題はワイドショー的に扱わないでほしい。いじめ問題で視聴率をとろうなどと思わないでほしい。もっと地味に継続的にとりあげていってほしい。
  • 僕はいじめの根本をなくすのはテレビの役目ではないと思います。僕はテレビの役割はそんないじめられたりして悩んでいる子も、その番組を見ている時は元気になれるような番組を作ることだと思います。バラエティーやお笑いには、演じる側に優しさがあれば何の問題もないと思います。
  • いじめは立派な刑事事件だと思います。そのためにも、やはり大人が介入して、しっかり指導するべきだと思います。
  • いじめというのは、人と人の関係の問題である。それを警察がどうにかできるだろうか。周囲には、いじめられている友達を救いたくても救えない人がいる。それでも赤の他人である警察が救えるのだろうか。

【青少年へのおすすめ番組見学報告】

今回、8月の「青少年へのおすすめ番組」の中から、福岡放送制作の『めんたいキッズ放送局2012』(8月25日放送)の制作現場を福岡県在住の高校2年生女子の中高生モニターが見学し、青少年向けの番組はどうやって作られているのか、どんな苦労があるのか、番組制作の現場を見て何を感じたのか、報告してくれた。(『めんたいキッズ放送局2012』は、放送局が制作をサポートしながら4人の小学生が5分間の番組を制作し、その様子もあわせて放送した番組。今年で12回目になる。)

今回『めんたいキッズ放送局』の制作現場見学を通して、「様々な視点から番組が作られていること」を感じました。例えばテーマとなっていた太宰府天満宮を例に挙げても、通常は観光スポットや人気のお土産などが特集されている事が多いのですが、小学6年生の彼らは、どうして天満宮がここに建てられたのか、また地元の人も知らないような人目につかないトンネルの謎など、視聴者が知っていそうで知らない天満宮を取り上げていて、とても感心しました。
また、カメラワークやリポート、飲食コメント、ディレクター作業など初めての体験が多かったはずなのに、一人一人がきちんと役割を分担してどうしたら興味が湧く番組を作れるのかと考え、それぞれが様々な工夫をしていた様子が印象的でした。ナレーション作業の際もお互いにもっとこうした方がいい、ここはもっと元気にと全員でアドバイスをし、よりよい番組にしようという気持ちが伝わってきました。
番組制作に携わるスタッフの方にお話をうかがうと、「子どもの集中力を切らさないように、アドバイスや指摘を入れる時も言葉や言い方に注意している」とおっしゃっていました。実際私も子どもたちと一緒に行動しましたが、とても元気一杯で疲れ知らずでした。ロケの時は走り回って大変だったそうで、スタッフの方の力の大きさを感じました。
また、「夏休みに家族全員で見られる番組を目指している」というお話をうかがい、最近家族が揃って同じ番組を見るということが少なくなってきていると思うので、このような視点で作られている番組はとても貴重だと思います。
5分という限られた時間の中で、彼らの工夫や努力、そして番組に携わる多くのスタッフの方の力が沢山詰まったとても素晴らしい番組でした。
貴重な体験で、本当にありがとうございました。