放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第258回

第258回 – 2018年5月

「命のビザ出生地特集に対する申立て」事案の審理…など

議事の詳細

日時
2018年5月15日(火)午後4時~6時
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

奥委員長、市川委員長代行、曽我部委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、二関委員、廣田委員、水野委員

1.「命のビザ出生地特集に対する申立て」事案の審理

対象となったのは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れたユダヤ人を救った外交官・杉原千畝の出生地をめぐって、CBCテレビが2016年7月から翌年6月までに報道番組『イッポウ』で10回にわたり放送した特集等。岐阜県八百津町は千畝の手記などいわゆる「杉原リスト」をユネスコの「世界記憶遺産」に登録申請したが、番組では「八百津町で出生」という通説が揺らいでいるとして、千畝の戸籍謄本についての検証や出生地が記された手記の筆跡鑑定の結果等を放送した。
この放送について、手記を管理しているNPO法人「杉原千畝命のビザ」とその理事長らが委員会に申立書を提出し、番組は、手記は偽造文書であるとの印象を一般の視聴者に与え、さらに申立人らがそれの偽造者であるとの事実を摘示するもので、社会的評価を低下させると名誉毀損を訴えた。これに対し、CBCテレビは委員会に提出した「経緯と見解」書面において、一連の報道は、出生地の疑問やその根拠を再検証したもので、手記が真正か偽造されたものかという判断には踏み込んでいないし、申立人らが偽造したという印象を一般の視聴者が抱くとは思えないと主張した。
今月の委員会では、起草担当委員から本件事案の論点とヒアリングの質問項目の案が示され審理した。その結果、次回6月の委員会で申立人と被申立人のCBCテレビにヒアリングを実施し詳しい話を聴くことを決めた。

2.その他

  • 委員会決定第67号「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」で人権侵害の「勧告」を受けた東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で4月27日に研修会が開催された。委員会から奥武則委員長と事案の担当だった白波瀬佐和子委員、それに決定の取りまとめに当たった坂井眞前委員長が出席、TOKYO MXは社員140人余りが出席した。番組のDVDを視聴してから坂井前委員長が決定のポイントを説明し、放送と人権などをめぐって質疑応答を行った。

  • 次回委員会は6月19日に開かれる。

以上