第256回 – 2018年3月
沖縄基地反対運動特集事案の通知・公表の報告、命のビザ出生地特集事案の審理…など
沖縄基地反対運動特集事案の「委員会決定」の通知・公表が3月8日に行われ、事務局が概要を報告した。命のビザ出生地特集事案の実質審理に入った。
議事の詳細
- 日時
- 2018年3月20日(火)午後4時~6時20分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1.沖縄の基地反対運動特集事案の通知・公表の報告
2.命のビザ出生地特集事案の審理
3.その他 - 出席者
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坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
白波瀬委員、曽我部委員、中島委員、二関委員、水野委員
1.「沖縄の基地反対運動特集に対する申立て」事案の通知・公表の報告
本件事案の「委員会決定」(勧告:人権侵害)の通知・公表が3月8日に行われた。事務局がその概要を報告し、当該局の東京メトロポリタンテレビジョンが放送した決定を伝える番組の同録DVDを視聴した。
2.「命のビザ出生地特集に対する申立て」事案の審理
対象となったのは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れた多くのユダヤ人を救った外交官・杉原千畝の出生地について、CBCテレビが2016年7月12日から2017年6月16日までに報道番組『イッポウ』で10回にわたり放送した特集等。番組では、岐阜県八百津町が千畝の手記などいわゆる「杉原リスト」をユネスコの「世界記憶遺産」に登録申請したのを受けて、千畝が「八百津町で出生」という通説に一部で疑念が生じており、千畝の子供で唯一存命の四男・伸生氏が入手した戸籍謄本には、「武儀郡上有知町」(現在の美濃市)で出生したと表記されていたことや、千畝の手記(下書き原稿)は出生地の記述が書き直されているとして、その筆跡鑑定の結果等を放送した。
この放送に対し、手記を管理しているNPO法人「杉原千畝命のビザ」およびその理事である杉原千弘氏と杉原まどか氏、平岡洋氏の3氏が委員会に名誉毀損を訴える申立書を提出。番組は「杉原千畝命のビザ」が実体のない怪しい団体であり、また手記は偽造文書であるとの印象を一般の視聴者に与え、さらにまどか氏および平岡氏がそれの偽造者であるとの事実を摘示しており、申立人らの社会的評価を低下させたと訴え、番組内で手記はいずれも千畝が書いた真正なものである旨の訂正を読み上げるよう求めた。
これに対し、CBCテレビは委員会に提出した「経緯と見解」書面において、番組は世界記憶遺産登録申請の活動の根幹となる「八百津町で出生」という通説が揺らいでいて、地元メディアの役割としてそれを再検証する必要があると考えて一連の報道を行ったと説明した。手記の書き直しは筆跡鑑定で、千畝とは別人の筆跡である可能性が高いという結果が出たが、手記が真正か偽造されたものかという判断には踏み込んでいないし、まどか氏および平岡氏が手記を偽造したという印象を一般の視聴者が抱くとは思えないと主張。したがって、訂正を放送する考えはないと反論した。
前回の委員会で審理入りが決定したのを受けて、今回の委員会から実質審理に入った。CBCテレビから「答弁書」が提出され、双方の主張をまとめた資料を基に事務局が説明した。
3.その他
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委員会が2月2日に長野で開催した県単位の意見交換会について事務局が報告、その模様を伝える地元局の番組同録DVDを視聴した。
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2018年度「放送人権委員会」活動計画(案)が事務局から提示され、了承された。
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委員会が2018年度中に刊行する予定の『判断ガイド 2018』について、事務局から概要を説明した。
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坂井眞委員長、中島徹委員の2委員が3月末で任期満了となり、退任することになった。坂井委員長は委員、委員長代行時代を含め3期9年、中島委員は1期3年それぞれ務めた。
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4月から委員に就任する廣田智子氏(弁護士)が専務理事から紹介され、経歴等の説明があった。
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次回委員会は4月17日に開かれる。
以上