第225回 – 2015年10月
「謝罪会見報道」事案、「大喜利・バラエティー番組」事案の審理…など
佐村河内守氏が申し立てた「謝罪会見報道」と「大喜利・バラエティー番組」の2事案を集中的に審理するため、ほぼ3年ぶりに臨時委員会を開催した。その結果、両事案の「委員会決定」案を了承し、通知・公表を11月中旬にも行う運びとなった。
議事の詳細
- 日時
- 2015年10月13日(火)午後4時~9時10分
- 場所
- 「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
- 議題
- 1.謝罪会見報道事案の審理
2.大喜利・バラエティー番組事案の審理
3.その他 - 出席者
- 坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
曽我部委員、中島委員、二関委員、林委員
1.「謝罪会見報道に対する申立て」事案の審理
審理の対象は2014年3月9日放送のTBSテレビの情報バラエティー番組『アッコにおまかせ!』。佐村河内守氏が楽曲の代作問題で謝罪した記者会見を取り上げ、会見のVTRと出演者によるスタジオトークを生放送した。この放送に対し、佐村河内氏が「申立人の聴力に関して事実に反する放送であり、聴覚障害者を装って記者会見に臨んだかのような印象を与えた。申立人の名誉を著しく侵害するとともに同じ程度の聴覚障害を持つ人にも社会生活上深刻な悪影響を与えた」と申し立てた。
TBSテレビは「放送は聴覚障害者に対する誹謗や中傷も生んだ申立人の聴覚障害についての検証と論評で、申立人に聴覚障害がないと断定したものではない。放送に申立書が指摘するような誤りはなく、申立人の名誉を傷つけたものではない」と主張している。
委員会では、第4回起草委員会での検討を経て修正された「委員会決定」案を審理し、了承された。これにより、「委員会決定」の通知・公表を11月中旬にも行う運びになった。なお、一部の委員は結論が異なる少数意見を書くことになった。
2.「大喜利・バラエティー番組への申立て」事案の審理
審理の対象はフジテレビが2014年5月24日に放送した大喜利形式のバラエティー番組『IPPONグランプリ』で、「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」という「お題」を出してお笑い芸人たちが回答する模様を放送した。
申立書で佐村河内守氏は、「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いのネタ』として一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たることが明らかである」とし、さらに「現代社会に蔓延する『児童・青少年に対する集団いじめ』を容認・助長するおそれがある点で、非常に重大な放送倫理上の問題点を含んでいる」としている。
これに対し、フジテレビは答弁書で「本件番組は、社会的に非難されるべき行為をした申立人を大喜利の形式で正当に批判したものであり、不当に申立人の名誉感情を侵害するものでなく、いじめを容認・助長するおそれがあるとして児童青少年の人格形成に有害なものではない」と主張している。
本件の「委員会決定」文はこれまでの検討でほぼ固まっていたが、この日の委員会で最終的に了承された。これにより、前項の「謝罪会見報道」事案とあわせて11月中旬にも「委員会決定」の通知・公表を行う運びになった。
3.その他
- 10月5日に山形で開催された県単位意見交換会について、事務局から報告するとともに、その模様を伝える地元局のニュース番組の同録DVDを視聴した。
- 本年度中に開催する地区単位意見交換会(九州・沖縄地区)を2月3日に福岡で開催することが決まった。
- 次回は10月20日に定例委員会を開催する。
以上