放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第94回

第94回–2015年6月

"出家詐欺"の報道に「やらせ」疑惑が持たれている、NHK総合の『クローズアップ現代』などを審議…など

第94回放送倫理検証委員会は6月12日に開催された。
委員会が今年3月に出した「"全聾の天才作曲家"5局7番組に関する見解」について、当該5局から提出された対応報告書を了承し、公表することとした。
"出家詐欺"の報道に放送倫理違反の疑いが濃いとして、前回審議入りしたNHK総合の『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)とその基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)について、取材・制作担当者へのヒアリングの結果が報告され、意見交換を行った。

議事の詳細

日時
2015年6月12日(金)午後5時~8時30分
場所
「放送倫理・番組向上機構[BPO]」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

川端委員長、是枝委員長代行、升味委員長代行、香山委員、斎藤委員、渋谷委員、鈴木委員、中野委員、藤田委員

1."全聾の天才作曲家"5局7番組に関する見解への対応報告書を了承

3月6日に委員会が通知公表した、「"全聾の天才作曲家"5局7番組に関する見解」(委員会決定第22号)への対応報告書が、TBSテレビ、テレビ新広島、テレビ朝日、NHK、日本テレビの当該5局から委員会に提出された。
報告書には、委員会決定を受けた後の局内の対応や、放送番組審議会でのやり取り、再発防止に向けた取り組みなどが記載されている。委員会が求めた自己検証などの要望に対しては、自己検証の内容を広報番組で放送したりホームページで公表したりした局、委員会の担当委員を招いて研修会を実施しそれを広報番組で紹介した局など、各局の対応が具体的に報告されていた。
委員会は、5局からの対応報告書をすべて了承して公表することとした。

2."出家詐欺"の追跡報道に「やらせ」疑惑が持たれている、NHK総合の『クローズアップ現代』他を審議

NHK総合の『クローズアップ現代』(2014年5月14日放送)と、その基になった『かんさい熱視線』(同年4月25日放送 関西ローカル)では、出家して僧侶となり法名を授けられる「得度」の儀式を受けると家庭裁判所の許可を受けて戸籍の名を法名に変更できることを悪用して別人を装い、金融機関から融資をだまし取るケースが広がっていると紹介した。
この中で、"出家詐欺"を斡旋する「ブローカー」と客の「多重債務者」が相談している場面について、「ブローカー」とされた人物が「自分はブローカーではなく、演技指導によるやらせ取材だった」などと主張。これに対して当該局は、「意図的または故意に、架空の場面を作り上げたり演技をさせたりして、事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』はないと判断したが、一方で、放送ガイドラインを逸脱する『過剰な演出』や『視聴者に誤解を与える編集』が行われていた」と結論付けた報告書を公表した。
委員会は、放送倫理に違反する疑いが濃いうえ、委員会として意見を言うことに意味がある事案だとして、前回この2番組を審議の対象とすることを決め、担当委員によるヒアリングが実施された。
当該局のチーフプロデューサー・ディレクター・記者ら11人に対するヒアリングを踏まえて、企画立案から取材・編集・放送に至るまでの経緯が詳細に報告され、現時点での問題点や疑問点などが指摘された。意見交換の結果、ヒアリングの対象者を増やして調査を継続するとともに、論点の整理などを進めることになった。

以上