放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第219回

第219回 – 2015年4月

散骨場計画事案の対応報告
大阪府議事案通知・公表の報告
佐村河内事案2件の審理…など

散骨場計画事案で、静岡放送が提出した対応報告を検討し、了承した。また大阪府議事案(TBSラジオ)の通知・公表の模様を事務局から報告。佐村河内守氏が申し立てた2事案について、ヒアリングの論点と質問事項を議論した。

議事の詳細

日時
2015年4月21日(火)午後3時00分~7時55分
場所
「放送倫理・番組向上機構 [BPO] 」第1会議室(千代田放送会館7階)
議題
出席者

坂井委員長、奥委員長代行、市川委員長代行、紙谷委員、城戸委員、
曽我部委員、中島委員、二関委員、林委員

4月1日に就任した坂井委員長の下での初の委員会となり、冒頭、新委員長による委員長代行の指名が行われた。坂井委員長は奥武則委員と市川委員を委員長代行に指名し、二人ともこれを受諾した。
引き続き報道機関による資料用撮影が行われ、テレビ・新聞各社から9社が取材に訪れた。

1.「散骨場計画報道への申立て」事案の対応報告

2015年1月16日に通知・公表された「委員会決定第53号」に対し、静岡放送(SBS)から局としての対応と取り組みをまとめた報告書が4月10日付で提出された。この日の委員会で報告書の内容が検討され、了承された。

2.「大阪府議からの申立て」(TBSラジオ)事案の通知・公表

4月14日に行われた本事案に関する「委員会決定」の通知・公表について、事務局がまとめた資料をもとに報告した。また、当該局であるTBSラジオ&コミュニケーションズが委員会決定について報じた当日の番組の録音と、TBSテレビが放送した番組同録DVDを視聴した。 【詳細はこちら】

3.「謝罪会見報道に対する申立て」事案の審理

審理の対象は2014年3月9日放送のTBSテレビの情報バラエティー番組『アッコにおまかせ!』。佐村河内守氏が楽曲の代作問題で謝罪した記者会見を取り上げ、会見のVTRと出演者によるスタジオトークを生放送した。
この放送に対し、佐村河内氏が「申立人の聴力に関して事実に反する放送であり、聴覚障害者を装って記者会見に臨んだかのような印象を与えた。申立人の名誉を著しく侵害するとともに同じ程度の聴覚障害を持つ人にも社会生活上深刻な悪影響を与えた」と申し立てた。
TBSテレビは「放送は聴覚障害者に対する誹謗や中傷も生んだ申立人の聴覚障害についての検証と論評で、申立人に聴覚障害がないと断定したものではない。放送に申立書が指摘するような誤りはなく、申立人の名誉を傷つけたものではない」と主張している。
今月の委員会では、ヒアリングに向けて本件事案の論点と申立人と被申立人への質問事項を議論した。論点としては、本件放送が伝えた事実は何か、本件放送の公共性・公益目的をどのように考えるか等を検討した。

4.「大喜利・バラエティー番組への申立て」事案の審理

審理の対象はフジテレビが2014年5月24日に放送した大喜利形式のバラエティー番組『IPPONグランプリ』で、「幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください」という「お題」を出してお笑い芸人たちが回答する模様を放送した。
申立書で佐村河内守氏は、「一音楽家であったにすぎない申立人を『お笑いのネタ』として一般視聴者を巻き込んで笑い物にするもので、申立人の名誉感情を侵害する侮辱に当たることが明らかである」とし、さらに「現代社会に蔓延する『児童・青少年に対する集団いじめ』を容認・助長するおそれがある点で、非常に重大な放送倫理上の問題点を含んでいる」としている。
これに対し、フジテレビは答弁書で「本件番組は、社会的に非難されるべき行為をした申立人を大喜利の形式で正当に批判したものであり、不当に申立人の名誉感情を侵害するものでなく、いじめを容認・助長するおそれがあるとして児童青少年の人格形成に有害なものではない」と主張している。
今月の委員会では、ヒアリングに向けて本件事案の論点と申立人と被申立人への質問事項を議論した。論点では、申立人を「お題」で取り上げることの公共性やバラエティー番組の公共性についてどう考えるか等を検討した。

5.その他

  • 放送人権委員会の2014年度中の「苦情対応状況」について、事務局が資料をもとに報告した。同年度中、当事者からの苦情申立てが18件あり、そのうち審理入りしたのが5件(うち審理入り後取下げが1件)、委員会決定の通知・公表が1件あった。また仲介・斡旋による解決が6件あった。

  • 今年度中に予定している放送局現場視察について、各委員の日程調整をした。

  • 次回委員会は5月19日に開かれる。。

以上