放送倫理検証委員会

放送倫理検証委員会 議事概要

第78回

第78回–2014年1月

弁護士から詐欺事件の被害者として紹介された人物が実は被害者ではなかった、日本テレビの『スッキリ!!』についての審議

他局の取材音声を無断で受信して番組に使用していた、鹿児島テレビのローカル番組についての審議 次回委員会までに「意見」を通知・公表へ

「対決内容が編集で偽造された」ことが判明したフジテレビの『ほこ×たて 2時間スペシャル』についての審議

第78回放送倫理検証委員会は1月10日に開催された。
1月8日に委員会の意見を通知・公表した昨年の参議院選挙にかかわる2番組事案について、記者会見での質疑や当日の報道などが報告され、若干の意見交換を行った。
ネット詐欺の被害者として放送された人物が、実はネット詐欺専門の弁護士から紹介された、当時の所属事務所の事務員だったことが問題になった日本テレビの『スッキリ!!』について、担当委員から提出された意見書再修正案をもとにさらなる意見交換が行われ、次回委員会で意見の集約をめざすことになった。
他局がワイヤレスマイクで取材した音声を無断で受信し放送に使用していた鹿児島テレビの2つのローカル番組『ゆうテレ』と『チャンネル8』について、担当委員から意見書の修正案が提出された。意見交換の結果、一部手直しをした案を作成し、特に異論がなければそれを委員会の意見とすることが了解されたので、次回委員会までに意見を当該局に通知し、公表の記者会見を行うこととなった。
「対決内容が編集で偽造された」と出演者が告発し、番組が打ち切られたフジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(2013年10月20日放送など3本)の審議が始まり、ヒアリングに向けての論点の整理や、3本の対象番組をどう扱うかなどについて、意見交換が行われた。

1.2013年参議院議員選挙にかかわる2番組についての意見の通知・公表

対象となった2番組は、インターネットでの選挙運動解禁についての特集企画で、自民党の比例代表選挙立候補予定者だった太田房江元大阪府知事の選挙準備活動を紹介した関西テレビのニュース番組『スーパーニュースアンカー』(6月10日放送)と、自民党の比例代表の渡邉美樹候補が著名経済人としてVTR出演していることに気づかず、投票日当日の午前中に放送したテレビ熊本の情報バラエティー番組『百識王』(7月21日放送)。
1月8日、当該の2局に対して、委員会決定第17号の意見書を通知し、続いて公表の記者会見を行った。当該局の当日のテレビニュースの報道を視聴したあと、委員長や担当委員から記者会見での質疑などが報告され、若干の意見交換が行われた。

2.弁護士から詐欺事件の被害者として紹介されたが、実は被害者ではなかったことが問題になった日本テレビの『スッキリ!!』についての審議

日本テレビの朝の情報番組『スッキリ!!』で、インターネット詐欺の被害者として出演した男女2人が実は被害者ではなく、同じ番組に出演したネット詐欺専門の弁護士の当時の所属法律事務所の事務員だったことが判明し、裏付け取材が不十分だったのではないかと審議の対象とした事案(2012年の2月29日と6月1日放送)。
担当委員から、前回までの委員会の議論を取りまとめた「意見書再修正案」が提出され、さらなる意見交換を行った。その結果、事案の取材から放送に至る過程での問題点や、問題発覚後の対応などについて、ほぼ論点が整理されたが、意見書としてまとめるにはなお説明を付加する必要もあるとして、さらに意見書案を修正したうえで、次回委員会で審議することになった。

3.他局の取材音声を無断で受信して番組に使用していた、鹿児島テレビの2つのローカル番組についての審議

鹿児島テレビは、夕方の情報番組『ゆうテレ』(6月19日、8月7日放送)と週末のミニ番組『チャンネル8』(6月29日放送)で、高校総体に出場した鹿児島市内の高校の男子新体操部の活躍ぶりを、選手を激励する監督の声を交えて放送したが、監督の声は他局の取材音声を無断で受信・録音したものだったという事案。
担当委員から、前回までの委員会の議論を踏まえた「意見書修正案」が提出された。その結果、問題の背景には、音声の窃用が電波法59条に違反することを知らなかった取材ディレクター個人の過失だけでなく、地方の放送局が抱える構造的な課題もあるということで意見がほぼまとまったが、構成等について手直しの要望もあったので、それを踏まえた修正案を作成し、その案に対して特に異論がなければそれを委員会の意見とするということで意見の一致を見た。次回委員会までに、当該局への意見の通知と、公表の記者会見が行われる見通しである。

4.「対決内容が編集で偽造された」ことが明らかになったフジテレビの『ほこ×たて 2時間スペシャル』についての審議

フジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(10月20日放送)に出演していたラジコンカーの操作者が、「対決内容を偽造して編集したものが放送された」と告発したことから問題が発覚、当該局は社内調査の結果ほぼ指摘どおりであるとして、番組を打ち切った事案。
前回の委員会で、上記番組のほか、同じような問題があったと当該局が認めた、2011年10月16日と2012年10月21日放送の『ほこ×たて スペシャル』についても審議の対象とすることになり、当該局から、これら2本の番組についても詳細な報告書が提出された。
委員会では、1月中旬から始まるヒアリングに向けて、担当委員のメモをもとに論点を整理したほか、新たに提出された報告書を踏まえて3本の番組をどのように取り扱うかについても意見交換を行った。

以上