放送人権委員会

放送人権委員会 議事概要

第122回

第122回 – 2007年4月

「エステ店医師法違反事件報道」事案のヒアリングと審理

「広島ドッグパーク関連報道」事案の審理…など

「エステ店医師法違反事件報道」事案のヒアリングと審理

本事案は、東京都町田市のエステ店経営者が「医師法違反で送検されたニュースの中で、盗撮映像が使われ、私が極悪人の如く報道された。また、個人の人格が否定され、プライバシーも侵害された」と訴えているもので、これに対し、日本テレビは「報道内容は、医師法違反という重大な犯罪容疑に関する情報であって、公益を図るものであり、事実を誤りなく伝えている」と反論している。

4月の委員会では、申立人・被申立人双方を個別に招いてヒアリングが行われ、”医師法違反で書類送検”という事実の受け止め方や、店内撮影時の許諾の有無などについて質疑が行われた。

ヒアリングの後、当該VTRを再度視聴し審理を続けた。

その結果、この日の審理内容を踏まえて、起草委員が「委員会決定」の素案作りに着手し、5月上旬の連休明けに起草委員会を開いて「決定案」の検討を進めることになった。

「広島ドッグパーク関連報道」事案の審理

本件事案は、06年12月、大阪の動物愛護団体の代表が、朝日放送に対して苦情を申し立てたもので、その内容は、「11月から12月にかけて、11回にわたって放送された報道番組『ムーヴ』において犬たちを救済する我々の活動が、あたかも募金目当てであるかのように放送され、名誉を毀損された」というもの。

これに対し朝日放送は、「募金の集め方、使い方を検証する報道であり、関係者の人権、プライバシーには十分に配慮している」と主張している。

放送人権委員会は2月の委員会で審理入りを決定し3月、4月の委員会で審理を行ってきたが、双方の主張があまりにも多岐にわたっていることから、次回の委員会では、論点を数点にしぼって、さらに検討を重ねることとした。

「ラ・テ欄表記等に対する訴え」事案の審理

北海道在住のルーマニア人でセラピストの女性から苦情申立てがあった事案は、4月委員会から実質的な審理に入った。

この事案で、申立人の女性は、「2月にテレビ朝日のバラエティー番組に一家で出演したが、新聞のラ・テ欄に<バツイチ子連れ美女の・・・>等の表現で家庭の事情が書かれ、また、放送内容が当初企画意図の説明の趣旨と違っていた」と訴えている。

これに対し、テレビ朝日は、「前夫との離婚について紹介することは、事前に了承してもらっていた。現夫もインタビュー取材に応じている。取材前の打合せで番組の企画意図については十分説明している」と反論している。

今回の審理では、申立人から提出された「申立書」「反論書」、テレビ朝日側から提出された「答弁書」「再答弁書」をもとに、論点を整理して検討した。

次回の委員会では、ヒアリングを行い、双方から直接主張を聞くことになった。

審理要請案件

「都知事選候補ドクター・中松氏の苦情申立て」案件

4月2日、都知事選候補であるドクター・中松氏からファックスで「4月1日放送のキー局の情報番組で、吉田・石原・浅野・黒川4氏のみを出演させ、選挙運動に関する放送をした。これは公職選挙法及び放送法違反である。また、申立人ドクター・中松を排除したことにより、視聴者に中松はマイナーであるという誤解を与えた。世間の常識に反する捏造をしたことは”BPO違反”である」と、苦情を申し立ててきた。

この審理要請に対し放送人権委員会では、投票日が迫っていることから、次の委員会を待たずに、委員長起草の回答案を基に持ち回り協議を行った結果、「申立人が提出した文書を検討すると、申立ての内容は、選挙の公正に関するものであり、名誉・プライバシー等の権利侵害に関する苦情ではない。したがって、当委員会の運営規則に照らし、当委員会が審理すべき案件とは認められない」ということで委員全員の意見が一致し、翌3日に中松氏にその旨を文書で通知した。

3月の苦情概要

3月中にBPOに寄せられた視聴者意見のうち、放送人権委員会関連の苦情の内訳は次のとおり。

◆人権関連の苦情[19件]

  • 斡旋・審理に関連する苦情(特定個人または直接の関係人からの人権関連の苦情)・・・12件
  • 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない一般視聴者からの苦情)・・・7件

その他

村井専務理事より、番組委員会を発展的に解消した新委員会を、4月末、遅くとも5月初めに立ち上げるべく作業委員会で準備を進めているとの報告があった。

次回委員会は、5月15日(火)に、「ラ・テ欄表記等に対する訴え」事案のヒアリングを審理に先立って行うことを決め、閉会した。

以上