第102回 – 2005年7月
「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理
審理要請案件…など
「産婦人科医院・行政指導報道」事案の審理
愛知県の産婦人科医院院長が申立てていた本事案について放送人権委員会は、今年2月の委員会で審理入りを決めた後、4回にわたって審理を行ってきた。
「委員会決定」の要旨は、「当委員会としては、本事案において、報道による人格権侵害を認めるか否かについては意見の一致を見ることはできなかったものの、正確性を欠いて深刻な結果を招いたことを重視し、名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反があったと認定する。委員会はNHK名古屋放送局に対し、本決定の主旨を放送するとともに、再発防止のため放送倫理に一層配慮するよう勧告する」というもの。
放送人権委員会では、7月28日に「委員会決定」の通知・公表を行う事を決めた。 なお、本「委員会決定」は16事案、25件目となる。
審理要請案件
◆「たこ焼き屋店主からの訴え」
本件事案は、兵庫県内で駅前に車を止め、移動販売のたこ焼き屋を営んでいた女性店主から、5月半ばから放送人権委員会事務局に苦情が寄せられていたが、当該局との話し合いがつかず、7月11日付けで申立書が届き、7月の委員会で審理するか否かを検討した。
申立ての概要は、「2005年5月9日放送の毎日放送のニュース番組「ボイス」で、盗撮映像や誘導的会話などをつなぎ合せて、私の嫌がらせで喫茶店を潰したと放送された。喫茶店主からの一方的取材で構成された番組で、私を犯罪者扱いにしている。公平な取材報道と謝罪を望む」というもの。
委員会では、申立書に対する当該局の答弁書やそれに対する申立人の反論書などを提出してもらい、来月8月の委員会で本格的な審理をおこなうことになった。なお、事案の標記を今後「喫茶店廃業報道」とすることにした。
◆「リサイクル業者からの訴え」
埼玉県内のプラスチックリサイクル関連業者から、弁護士名で、7月12日付で紛争処理申立書が届けられた。苦情の概要は、6月の報道番組で、廃棄物処理事業をめぐり不正行為が行われていると放送されたとして訂正放送をもとめたもの。委員会で検討した結果、本事案と直接関連事案が当該テレビ局との間で裁判中であることなどから、審理対象とするには申立て資格の点で問題があることが指摘された。
苦情対応状況[6月]
2005年6月の1か月間に寄せられた放送人権委員会関連の苦情の内訳は、次のとおり。
◆人権関連の苦情〔23件〕
- 斡旋・審理に関連する苦情(関係人からの人権関連の苦情で、氏名・連絡先や番組名などが明らかなもの)・・・14件
- 人権一般の苦情(人権関連だが、関係人ではない視聴者からの苦情、または、氏名・連絡先や番組名などが不明なもの)・・・9件
その他
事務局から「放送人権委員会判断基準・改訂版」の作業の進捗状況が報告され、次回までにたたき台的なものをまとめて、委員会の指示を仰ぐことになった。最後に、次回放送人権委員会は、8月23日午後4時から開くことを決め、閉会した。
以上